JP5470825B2 - 耐摩耗性鋳鉄 - Google Patents
耐摩耗性鋳鉄 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5470825B2 JP5470825B2 JP2008310042A JP2008310042A JP5470825B2 JP 5470825 B2 JP5470825 B2 JP 5470825B2 JP 2008310042 A JP2008310042 A JP 2008310042A JP 2008310042 A JP2008310042 A JP 2008310042A JP 5470825 B2 JP5470825 B2 JP 5470825B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbide
- wear
- cast iron
- resistant cast
- amount
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
Description
鋳鉄の一般的な強化法として浸炭や窒化などの表面処理技術が広く知られているが、表面処理を伴わない大型耐摩耗性鋳鉄として、Moを多く添加した組成系の鋳鉄が知られ、Moを多く添加した組成系の鋳鉄では、M7C3炭化物の析出機構を利用して鋳鉄の高硬度を保っている。
7.5≦[Nb]/([C]−2.8)≦9 …(1)
但し、[Nb]および[C]は、夫々Nb,Cの含有量(質量%)を示す。 (特許文献3参照)
このM7C3炭化物は、鉄鋼材料に析出する炭化物の類型の1つとして知られ、硬さ(Hv):1800〜2800であり、(Cr,Fe)7C3として表記することができ、高Crの鉄鋼材料において析出し易く、焼き入れ温度に加熱しても素地に固溶し難く、組織中に残留し易いので、耐摩耗性鋳鉄の強化に広く用いられている。
しかし、高硬度の耐摩耗性鋳鉄を製造する上でMoの存在は大きく、重要な添加元素であるが、現在、Moは北米地区、中南米地区、中国地区を中心とした地域からの輸入に頼っているのが現状であり、近年では世界規模の需要逼迫から、モリブデン価格の高騰が始まっている。このため本発明者は、耐摩耗性鋳鉄に必要な添加元素として、Moに代わる添加元素の研究を行い、今回良好な結果を得ることが出来たので本願発明に到達した。
残った元素において、Ti、V、Cr、Nb、Wの解析と、その他鋳鉄に含有させている元素としてSi、Mn、Niなどの元素との相関関係について各元素の含有量に応じて得られる鋳鉄が如何なる特性を具備するか種々試験研究を行った結果、本願発明に到達した。
P=1.72[Mo%]+0.51[W%]+0.23[Nb%]+5.29[Ti%]+12.2[C%]−0.59[Cr%]+2.23[Ni%]、P≧32を満たす組成を有し、
金属組織中に(Cr,Fe)7C3で示されるM7C3炭化物と、(Cr,Fe)23C6で示されるM23C6炭化物が析出され、更に、M6C炭化物としてのW6Cと、MC炭化物としてのNbCとTiCとVCのいずれかが析出されたことを特徴とする。
(2)本発明の耐摩耗性鋳鉄は、前記P=1.72[Mo%]+0.51[W%]+0.23[Nb%]+5.29[Ti%]+12.2[C%]−0.59[Cr%]+2.23[Ni%]なる式において、P≧33.7を満たす組成を有することを特徴とする。
(3)本発明の耐摩耗性鋳鉄は、化学組成として質量%で、C:2.5〜3.7%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.4〜0.8%、Ni:0.13〜5.0%、Cr:10.0〜23.0%、Mo:0.5〜4.0%を必須元素として含み、W:0.5〜3.9%、Nb:0.096〜2.1%、Ti:0.023〜1.0%、V:0.06〜0.7%を含み、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ、P*を以下の式としたとき、
P*=1.72[Mo%]+0.51[W%]+0.23[Nb%]+2.23[V%]+5.29[Ti%]+12.2[C%]−0.59[Cr%]+2.23[Ni%]、P≧32を満たす組成を有し、金属組織中に(Cr,Fe)7C3で示されるM7C3炭化物と、(Cr,Fe)23C6で示されるM23C6炭化物が析出され、更に、M6C炭化物としてのW6Cと、MC炭化物としてのNbCとTiCとVCのいずれかが析出されたことを特徴とする。
(5)本発明の耐摩耗性鋳鉄は、(1)〜(4)のいずれかに記載の耐摩耗性鋳鉄の化学組成において、化学組成として質量%で、C:2.88〜3.22%、Si:0.55〜0.66%、Mn:0.60〜0.72%、Ni:0.13〜1.55%、Cr:16.51〜22.56%、Mo:0.50〜3.94%を必須元素として含み、W:0.5〜3.86%、V:0.06〜0.7%、Nb:0.096〜2.1%、Ti:0.023〜0.27%、を含み、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする。
(7)本発明の耐摩耗性鋳鉄は、(6)に記載の金属組織中のM7C3炭化物と、M23C6炭化物の量比が、M7C3炭化物(at%)÷M23C6量(at%)<3.4となることを特徴とする。
(8)本発明の耐摩耗性鋳鉄は、(6)に記載の金属組織中のM7C3炭化物と、M23C6炭化物の量比が、M7C3炭化物(at%)÷M23C6量(at%)<2.5となることを特徴とする。
更に、これらの元素の添加に加え、W、Nb、Ti、Vの少なくとも1種をバランス良く含有させても、良好な焼入性を保持しながらコストと高硬度などの諸性能のバランスを更に高いレベルにおいて両立した耐摩耗性鋳鉄を提供することができる。
本願発明に係る耐摩耗性鋳鉄は、化学組成として質量%で、C:2.5〜3.7%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.4〜0.8%、Ni:0.13〜5.0%、Cr:10.0〜23.0%、Mo:0.5〜4.0%、W:0〜3.9%、Nb:0〜2.1%、Ti:0〜1.0%、V:0〜0.7%を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる。
前記化学組成に代えて、質量%で、C:2.88〜3.7%、Si:0.55〜1.0%、Mn:0.6〜0.8%、Ni:0.13〜5.0%、Cr:10.0〜22.56%、Mo:0.5〜3.94%としても良い。
また、先に記載の化学組成において、C:3.07〜3.15%、Ni:1.0〜1.55%、Cr:17.76〜18.18%、Mo:1.5〜3.94%、W:0〜2.38%としても良い。
P≧32を満たす組成を有することが必要とされる。
前記Pの値は、32.8以上であることがより好ましく、33.7以上であることが最も好ましい。
本発明に係る耐摩耗性鋳鉄において、P値を32.8以上とすることでHRC62.5を超える耐摩耗性鋳鉄を得ることができ、P値を33.7以上とすることでHRC63.5を超える耐摩耗性鋳鉄を得ることができる。
次に、本発明の耐摩耗性鋳鉄は、前述のいずれかの組成を有しながら、Pを以下の式としたとき、P*=1.72[Mo%]+0.51[W%]+0.23[Nb%]+2.23[V%]+5.29[Ti%]+12.2[C%]−0.59[Cr%]+2.23[Ni%]、
P≧32を満たす組成を有することが必要とされる。
前記Pの値は、32.8以上であることがより好ましく、33.7以上であることが最も好ましい。
C:2.5〜3.7%、
Cは耐摩耗性に有効な炭化物の主要構成元素の1つであり、添加量が多い程、析出物の量も多くなる。Cの含有量が2.5%よりも少ないと析出物の析出量が十分ではなく、逆に、Cの含有量が3.7%よりも多いと粗大な炭化物やグラファイトが多量に分散して脆くなるためこの範囲とした。中でも、C含有量範囲として、2.88〜3.7%、2.88〜3.22%、3.07〜3.15%がこの順により好ましい範囲となる。
SiおよびMnは鋳鉄の溶解における脱酸素に必要な元素であり、Siについては0.2〜1.0%、Mnについては0.4〜0.8%添加する。多量に添加すると耐摩耗性の劣化を招く。中でも、Si含有量において0.55〜1.0%、0.55〜0.66%の範囲がこの順でより好ましい範囲となる。また、Mn含有量において、0.6〜0.8%、0.5〜0.72%がこの順でより好ましい範囲となる。
Ni:0.13〜5.0%、
Niは焼入れ性を向上すべく、母材中に少量添加する元素であり、このような範囲で添加することが望ましい。 Ni添加はM23C6炭化物の生成に寄与し、硬さの向上に寄与する。Ni含有量において、0.13〜1.55%、1.0〜1.55%がこの順でより好ましい範囲となる。
Cr:10.0〜23.0%、
Crは材料元素として安価であり、Feと結びついて(Cr,Fe)23C6で示されるM23C6炭化物を形成する。なお、Crは(Cr,Fe)7C3で示されるM7C3炭化物の形成にも寄与する。ただし、本発明者はM7C3炭化物について鋳鉄の硬さの向上に寄与しないと考えているので、Crを必要以上に多く含有させることは望ましくない。
Cr含有量において、10〜22.56%、16.51〜22.56%、17.76〜18.18%がこの順でより好ましい範囲となる。
Moは焼入れ性を向上し、硬さの向上、耐摩耗性の向上に寄与すべく、母材中に添加されるものであり、M23C6炭化物の形成に寄与するが、Moの含有量が少ないと効果が得られにくく、含有量が多いとコストと耐摩耗性とのバランスが悪化する(特にコストの上昇が著しくなる)。
ここで、耐摩耗性を向上させるためにはMoの添加量を増やすことが好ましいが、本願発明ではMoの添加量を抑制し、耐摩耗性については他の元素の適量添加により補うので、0.5〜4.0%の範囲で良い。Mo含有量において、0.5〜3.94%、1.5〜3.94%がこの順でより好ましい範囲となる。
Wは、Moの代替え元素として有用であり、(Mo+W)量として勘案し、(3.9%以下)の範囲で添加することができる。Wは硬さの向上に寄与し、M6C炭化物としてのW6Cを析出させる。Wを添加するならば、0〜2.38%の範囲、即ち、2.38%以下が好ましい。
Nb:0〜2.1%
Nbは、Moの代替え元素として有用であり、(Mo+Nb)量として勘案し、(2.1%以下)の範囲で添加することができる。NbはNbC炭化物(MC炭化物)を析出する作用があり、耐摩耗性の向上に寄与する。
Ti:0〜1.0%
Tiは、Moの代替え元素として有用であり、(Mo+Ti)量として勘案し、(1.0%以下)の範囲で添加することができる。Tiは硬さの向上に大きく寄与し、TiCを生成する作用がある。Tiの範囲として0〜0.27%の範囲が好ましい。
V:0〜0.7%
VはVC(MC型炭化物)を析出させる作用を奏し、少量の添加でも耐摩耗性の向上効果がある。V含有量において0〜0.5%の範囲、即ち、0.5%以下の含有量がより好ましい。また、Vは焼き戻し軟化抵抗及び2次硬化に有効な元素でもある。
また、前記金属組織中のM7C3炭化物と、M23C6炭化物の量比が、M7C3炭化物(at%)÷M23C6量(at%)<3.4となることが好ましく、M7C3炭化物(at%)÷M23C6量(at%)<2.5となることがより好ましい。
例えば、オーステナイト相を主体とする母相の中に、前記条件の焼き入れ処理により高硬度のM7C3炭化物を析出させ、前記条件の焼き戻し処理によりM7C3炭化物をできる限り微細に析出させる。
そして、以上のように得られた耐摩耗性鋳鉄は、Moを多く含む従来製品より安価に得ることができ、しかも高い硬さと良好な耐摩耗性を具備させることができる。
本発明の耐摩耗性鋳鉄において、M23C6炭化物はその増加とともに硬さが向上し、その減少とともに摩耗量が増加する。本発明に係る耐摩耗鋳鉄においてM23C6炭化物は耐摩耗性に寄与する。これは、M23C6炭化物が母相中に微細に析出するため硬さや耐摩耗性に寄与するためと推定できる。
本発明の耐摩耗性鋳鉄においてMC炭化物は、その増加とともに硬さが向上し、摩耗量が増加すると考えられる。また、M6C炭化物はM7C3炭化物と同様の傾向を有すると考えられる。
この式を満たす各元素の含有量とするならば、耐摩耗性と硬度とコストのバランスの取れた耐摩耗性鋳鉄を提供することができる。
なお、コスト換算において、Cは極めて安価、Crを基準単価1として現状金属相場の相対価格換算によると、Tiは8.7倍、Niは9.5倍、Nbは11.6倍、Vは17.6倍、Wは21倍、Moは33.2倍であるので、Moの使用量を削減して他の元素に振り分けることでコスト削減をなし得ることが明らかである。
即ち、P*を以下の式としたとき、P*=1.72[Mo%]+0.51[W%]+0.23[Nb%]+2.23[V%]+5.29[Ti%]+12.2[C%]−0.59[Cr%]+2.23[Ni%]、P≧32を満たす関係とすることが好ましい。
この式を満たす各元素の含有量とするならば、Vの影響も含めてより正確に考慮し、耐摩耗性と硬度とコストのバランスの取れた耐摩耗性鋳鉄を提供することができる。
本発明に係る耐摩耗性鋳鉄を製造するにあたり、表1の試料No.1〜No.19に示す組成になるように溶解炉に鋳込み、鋳込み試料を8時間放冷して室温とした。鋳込み試料の製造は大型砂型鋳物を模擬した条件にて実施した。
次いで約1070℃にて6時間加熱後に放冷する焼き入れ処理を施し、次いで各試料を約500℃に4時間加熱後に炉冷して焼き戻す熱処理を行った。
得られた試料を研磨し、組織観察し、焼き戻し硬さの測定を行った。
その結果得られた各試料の組成比とP値、硬さ(HRC)の測定結果を以下の表1に示す。
また、化学組成として質量%で、C:2.88〜3.22%、Si:0.55〜0.66%、Mn:0.60〜0.72%、Ni:1〜1.55%、Cr:16.51〜22.56%、Mo:1.50〜3.94%、W:0〜2.38%、V:0〜0.7%、Nb:0〜2.1%、Ti:0〜0.27%の範囲を選択することにより、ビッカース硬さHRCにおいて、62.5以上の耐摩耗性鋳鉄を得られることが明らかとなった。
次に、表1に示す試料について、重回帰分析を行い、回帰式を算出した結果を図1に示す。
この重回帰分析結果から、P=1.72[Mo%]+0.51[W%]+0.23[Nb%]+5.29[Ti%]+12.2[C%]−0.59[Cr%]+2.23[Ni%]との回帰式を立案すると、その計算値HRC(予測HRC)が実測のHRCに極めて近似することを確認することができた。その重相関RはR=0.97となり、極めて1に近い数値となったので、図1に示す如く先の回帰式に基づく予測硬さと実測硬さがほぼ一致する傾向となり、先のPで示す式の実効性を確認することができる。
上の式を用いるならば、組成を変化させる際に、硬さを予測できることが判明した。この回帰式を見ると、硬さに寄与しているのは、C(12.2)>Ti(5.29)>Ni(2.23)>Mo(1.72)>W(5.1)Nb(0.23)の順である。なお、Crはマイナスの値であり、少ない方が硬さの面では良好であると考えられる。
図2(A)〜(C)に示す金属組織写真から、M7C3炭化物は比較的巨大に析出し、MC炭化物は10μm程度の大きさで析出し、M23C6炭化物は母相中に3μm以下の粒状に析出していることが分かる。なお、M23C6炭化物が熱処理により容易に母相に溶け込むことから、母相中に微細に分析している粒子がM23C6炭化物であると考えられる。
次に、図3にMC炭化物のEDX(エネルギー分散型X線)分析結果を示し、図4にM7C3炭化物のEDX分析結果を示し、図5にM23C6炭化物のEDX分析結果を示し、図6に母相のEDX分析結果を示すが、いずれも各炭化物と母相の特徴を明瞭に示している。また、MoC、TiCなどの炭化物の析出も考えられるが、本分析試料においてMC炭化物の分析結果からその主成分はNbCであると推定できる。
試験条件は、荷重:10kg、試験時間:1時間、ラバー材質:クロロブチルラバー、回転数:70rpm、研削粉末:ムライトボール0.8mm、落下速度:300g/minとした。
これは一般的に耐摩耗性に寄与すると考えられているM7C3炭化物の作用とは逆であり、新規な知見である。発明者はM7C3量(at%)=−2.6266×[HRC]+197.97、M23C6量(at%)=2.8526×[HRC]−168.25の関係を見出している。これらから硬さHRCにおいて62.5を上回る耐摩耗鋳鉄を得るためには、M7C3炭化物とM23C6炭化物の量比がM7C3量(at%)÷M23C6量(at%)<3.4を満たすとよいことがわかる。硬さHRCにおいて63.5を上回る耐摩耗鋳鉄を得るためには、M7C3炭化物とM23C6炭化物の量比がM7C3量(at%)÷M23C6量(at%)<2.5を満たすとよいことがわかる。
図8の結果から、P値を32.8以上とすることにより、硬さHRCにおいて62.5を上回る耐摩耗性鋳鉄を得ることができ、P値を33.7以上とすることにより、硬さHRCにおいて63.5を上回る耐摩耗性鋳鉄を得ることができることが分かる。
更に、Vを含む組成の試料について更に検討するために、表2の各試料で使用したP=1.72[Mo%]+0.51[W%]+0.23[Nb%]+5.29[Ti%]+12.2[C%]−0.59[Cr%]+2.23[Ni%]の回帰式に代えて、P*=1.72[Mo%]+0.51[W%]+0.23[Nb%]+2.23[V%]+5.29[Ti%]+12.2[C%]−0.59[Cr%]+2.23[Ni%]の回帰式を用い、予測HRC*の値と、P*値を求めた。
それらの結果を表3にまとめて示す。
Claims (8)
- 化学組成として質量%で、C:2.5〜3.7%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.4〜0.8%、Ni:0.13〜5.0%、Cr:10.0〜23.0%、Mo:0.5〜4.0%を必須元素として含み、W:0.5〜3.9%、Nb:0.096〜2.1%、Ti:0.023〜1.0%、V:0.06〜0.7%のうち、1種または2種以上を含み、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ、Pを以下の式としたとき、
P=1.72[Mo%]+0.51[W%]+0.23[Nb%]+5.29[Ti%]+12.2[C%]−0.59[Cr%]+2.23[Ni%]、P≧32を満たす組成を有し、
金属組織中に(Cr,Fe)7C3で示されるM7C3炭化物と、(Cr,Fe)23C6で示されるM23C6炭化物が析出され、更に、M6C炭化物としてのW6Cと、MC炭化物としてのNbCとTiCとVCのいずれかが析出されたことを特徴とする耐摩耗性鋳鉄。 - 前記P=1.72[Mo%]+0.51[W%]+0.23[Nb%]+5.29[Ti%]+12.2[C%]−0.59[Cr%]+2.23[Ni%]なる式において、P≧33.7を満たす組成を有することを特徴とする請求項1に記載の耐摩耗性鋳鉄。
- 化学組成として質量%で、C:2.5〜3.7%、Si:0.2〜1.0%、Mn:0.4〜0.8%、Ni:0.13〜5.0%、Cr:10.0〜23.0%、Mo:0.5〜4.0%を必須元素として含み、W:0.5〜3.9%、Nb:0.096〜2.1%、Ti:0.023〜1.0%、V:0.06〜0.7%を含み、残部Feおよび不可避不純物からなり、かつ、P*を以下の式としたとき、
P*=1.72[Mo%]+0.51[W%]+0.23[Nb%]+2.23[V%]+5.29[Ti%]+12.2[C%]−0.59[Cr%]+2.23[Ni%]、
P≧32を満たす組成を有し、
金属組織中に(Cr,Fe)7C3で示されるM7C3炭化物と、(Cr,Fe)23C6で示されるM23C6炭化物が析出され、更に、M6C炭化物としてのW6Cと、MC炭化物としてのNbCとTiCとVCのいずれかが析出されたことを特徴とする耐摩耗性鋳鉄。 - 前記化学組成において、C:2.88〜3.7%、Si:0.55〜1.0%、Mn:0.6〜0.8%、Ni:0.13〜5.0%、Cr:10.0〜22.56%、Mo:0.5〜3.94%としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐摩耗性鋳鉄。
- 化学組成として質量%で、C:2.88〜3.22%、Si:0.55〜0.66%、Mn:0.60〜0.72%、Ni:0.13〜1.55%、Cr:16.51〜22.56%、Mo:0.50〜3.94%を必須元素として含み、W:0.5〜3.86%、V:0.06〜0.7%、Nb:0.096〜2.1%、Ti:0.023〜0.27%、を含み、残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐摩耗性鋳鉄。
- 前記化学組成において、C:3.07〜3.15%、Ni:1.0〜1.55%、Cr:17.76〜18.18%、Mo:1.5〜3.94%、W:0.5〜2.38%としたことを特徴とする請求項5に記載の耐摩耗性鋳鉄。
- 前記金属組織中のM7C3炭化物と、M23C6炭化物の量比が、M7C3炭化物(at%)÷M23C6量(at%)<3.4となることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の耐摩耗性鋳鉄。
- 前記金属組織中のM7C3炭化物と、M23C6炭化物の量比が、M7C3炭化物(at%)÷M23C6量(at%)<2.5となることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の耐摩耗性鋳鉄。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008310042A JP5470825B2 (ja) | 2007-12-04 | 2008-12-04 | 耐摩耗性鋳鉄 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007313473 | 2007-12-04 | ||
JP2007313473 | 2007-12-04 | ||
JP2008310042A JP5470825B2 (ja) | 2007-12-04 | 2008-12-04 | 耐摩耗性鋳鉄 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009155728A JP2009155728A (ja) | 2009-07-16 |
JP5470825B2 true JP5470825B2 (ja) | 2014-04-16 |
Family
ID=40960034
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008310042A Active JP5470825B2 (ja) | 2007-12-04 | 2008-12-04 | 耐摩耗性鋳鉄 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5470825B2 (ja) |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2462527C1 (ru) * | 2011-09-30 | 2012-09-27 | Юлия Алексеевна Щепочкина | Чугун |
JP5945935B2 (ja) * | 2012-05-16 | 2016-07-05 | 新東工業株式会社 | 高クロム耐摩耗鋳鉄及びその製造方法 |
CN104099533A (zh) * | 2013-04-09 | 2014-10-15 | 丁年花 | 一种高铬镍钨七合金铸件及其生产工艺 |
CN103993242B (zh) * | 2014-04-23 | 2016-09-07 | 中建材宁国新马耐磨材料有限公司 | 一种立磨衬板的制备方法 |
CN104818429A (zh) * | 2015-05-05 | 2015-08-05 | 柳州金特新型耐磨材料股份有限公司 | 一种平地机用耐磨钢主刀板 |
KR102063134B1 (ko) * | 2018-01-08 | 2020-01-08 | 주식회사 성일터빈 | 내마모성 및 내식성이 우수한 고크롬 주철 |
CN109852876B (zh) * | 2019-03-29 | 2020-08-25 | 重庆科技学院 | 一种高硬度高韧性磨球材料的制备方法 |
CN111748723A (zh) * | 2020-06-16 | 2020-10-09 | 新泰市鼎鑫工贸有限公司 | 一种钇系重稀土高韧性耐磨高铬铸铁配方 |
CN111893373A (zh) * | 2020-07-15 | 2020-11-06 | 中国兵器科学研究院宁波分院 | 一种高硬度耐磨铸铁及其制备方法 |
CN112359273B (zh) * | 2020-10-15 | 2022-08-05 | 武汉科技大学 | 一种高硬度的高碳中铬耐磨铸铁及其制备方法 |
CN113755742A (zh) * | 2021-08-05 | 2021-12-07 | 宁国东方碾磨材料股份有限公司 | 一种高硬度铬合金铸球 |
CN114438410A (zh) * | 2022-01-14 | 2022-05-06 | 赣州市福牛金属制品有限公司 | 一种耐磨抗冲击金属材料及其成型方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS575844A (en) * | 1980-06-13 | 1982-01-12 | Komatsu Ltd | Antiabrasion special cast iron |
JP2001081527A (ja) * | 1999-09-16 | 2001-03-27 | Kurimoto Ltd | 耐摩耗合金鋳鉄材 |
JP3844935B2 (ja) * | 2000-03-07 | 2006-11-15 | 株式会社神戸製鋼所 | 耐摩耗性高Cr鋳鉄 |
JP3719664B2 (ja) * | 2002-03-28 | 2005-11-24 | 川崎重工業株式会社 | 大物用高クロム鋳鉄鋳物及びその製造方法 |
-
2008
- 2008-12-04 JP JP2008310042A patent/JP5470825B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009155728A (ja) | 2009-07-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5470825B2 (ja) | 耐摩耗性鋳鉄 | |
AU2013302197B2 (en) | Method for producing molten steel having high wear resistance and steel having said characteristics | |
TWI332031B (en) | Corrosion-resistant, cold-formable, machinable, high strength, martensitic stainless steel | |
JP5714185B2 (ja) | ステンレス鋼製ブレーキディスクとその製造方法 | |
JP6528610B2 (ja) | 金型用鋼および金型 | |
KR20140004718A (ko) | 열 확산도와 내마모성이 높은 공구강 | |
BR112015011069B1 (pt) | Aço fundido martensítico e seu método de produção | |
CN108884529B (zh) | Cr基二相合金及其制造物 | |
JP2007321245A (ja) | 耐銹性に優れたディスクブレーキ用マルテンサイト系ステンレス鋼 | |
JP5753365B2 (ja) | 高クロム鋳鉄 | |
JP5712560B2 (ja) | 耐摩耗性に優れた球状黒鉛鋳鉄品 | |
CN104087818A (zh) | 一种低铬合金耐磨球及其制备方法 | |
WO2016075951A1 (ja) | 熱間工具鋼 | |
JP5522854B2 (ja) | 冷間工具鋼およびその製造方法 | |
JP2010242147A (ja) | プラスチック成形金型用鋼およびプラスチック成形金型 | |
JP4569961B2 (ja) | ボールネジまたはワンウェイクラッチ用部品の製造方法 | |
CN102676882B (zh) | 一种耐磨、耐高温、耐腐蚀、高硬度合金材料 | |
KR20160010930A (ko) | 우수한 내충격성을 겸비한 고내마모성 냉간공구강 | |
JP5712525B2 (ja) | 耐摩耗性に優れた球状黒鉛鋳鉄品 | |
CN104087865A (zh) | 一种使用寿命长的高铬合金耐磨球及其制备方法 | |
JP6096040B2 (ja) | 高温焼戻し硬さに優れた粉末高速度工具鋼 | |
CN106048451A (zh) | 一种耐磨损合金弹簧钢及其热处理工艺 | |
CN101748335B (zh) | 一种不含镍烧结机炉蓖条材料及其制造方法 | |
JP2007197813A (ja) | 曲げ加工性に優れた耐摩耗鋼板 | |
JP2000328199A (ja) | 耐摩耗材料 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111026 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130723 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130920 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20131022 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131206 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140107 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140120 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5470825 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |