JP5470511B2 - 含水固体ファントム - Google Patents

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Description

本発明は、含水固体ファントムに関する。さらに詳しくは室温で水をゲル化する含水固体ファントム用硬化剤でゲル化させた硬化物からなる含水固体ファントムに関する。
放射線によるガン治療は、外科手術や抗ガン剤投与と共に、ガン療法の中で重要な役割を果たしている。放射線療法は、外科療法と同様に、ガン組織とその周辺のみを治療する局所治療である点で有利なだけでなく、外科療法のような臓器摘出が不要であり、臓器を温存することができる点で優れている。しかしながら、放射線治療においては、X線検査において画像を得るために照射する量とは比較にならないほどの大量の放射線を病巣に照射する必要があるので、副作用を軽減ないし防止するために、ガン組織に対して最適な放射線量を照射してダメージを与え、一方では周囲の正常組織に対しては照射する放射線量をできる限り少なくして損傷を抑えることが求められる。
たとえば、放射線療法の1つである強度変調療法(Intensity Modulated Radio Therapy:IMRT)では、治療対象となっている患者のガン組織の位置や形状に適合させて、放射線の照射野の形状や放射線の入射方向を調整して患者のガン組織に放射線を照射し、これらの放射線照射による積算吸収線量を最適化している。したがって、放射線を患部に正確に集中させて、有効に放射線治療を実施することができる。このようなIMRTを実施する際には、まず治療計画を作成し、患部に対して所定の吸収線量分布の放射線照射を正確に行うことができる照射条件を設定する必要があり、更に、このような治療計画の妥当性を、実験的に検証する必要がある。
この場合、人体内部に線量計を挿入して試験的な線量測定を行うことはできないので、人体等価物質から構成される人体模型、すなわち、ファントム(phantom)内に線量計を挿入する。人体等価物質としては、人体の主要組織である筋肉と等価な水を使用した水ファントムや、水と等価な固体ファントムが使用されている(非特許文献1)。
日本医学放射線学会物理部会「放射線治療における高エネルギーX線および電子線の吸収線量の標準測定法」80−82,1989,通商産業研究社
しかしながら、従来の固体ファンムは、透明性が十分でなかったり、大型の成型品が容易に形成できなかったり、出来たファントムの熱安定性も不十分であるため、満足のいくファントムはできていない。
本発明の目的は、大型の成型品が室温で容易に形成でき、透明性が高く熱安定性が高い含水固体ファントム用の硬化剤および含水固体ファントムを提供することである。
本発明者は、上記の課題に鑑み、鋭意研究の結果、特定の材料を用いれば上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物(C)からなる硬化剤で水をゲル化させた硬化物を成型させてなる含水固体ファントムである。
さらに上記含水固体ファントムが放射線照射の線量測定用であることを特徴とする。
さらに上記放射線照射の線量測定用である含水固体ファントムが蛍光発光基材を含有することを特徴とする。

本発明によれば、エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物(C)からなる、含水固体ファントム用の硬化剤は、水を室温で硬化させることができる。この硬化物は透明性が高く、熱安定性がよい。この硬化物は上記の性質の他に水を多く含むので優れたファントムとなる。このファントムは透明性が高いので可視光線の透過率が高く線量測定に有利であると共に、熱安定性が高いので取り扱い易く品質管理が容易である。また、容易に硬化物となるので、大型のファントムが形成できる。
以下、本発明の実施の形態につき、説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
本発明において、固体ファントム用硬化剤におけるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)は、エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体を作成した後にアンモニアと反応させたものでもよいし、無水マレイン酸とアンモニアとの反応物をエチレン性不飽和化合物と共重合したものでもよい。前者はエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸とを溶媒中で共重合して得られる共重合体にアンモニアを反応させることによって得られるものであり、後者は溶剤の存在下または不存在下に無水マレイン酸とアンモニアを反応させたものをエチレン性不飽和化合物と共重合して得られる。好ましくは前者である。ここで使用されるエチレン性不飽和化合物は無水マレイン酸を共重合しうる不飽和化合物なら特に限定はなく、具体的にはたとえば、
(1)オレフィン系不飽和化合物
(a)直鎖状または分岐状の炭素数2〜24のオレフィン類[エチレン、プロピレン、ブテン−1,ブテン−2、イソブチレン、n−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキサン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ジイソブチレン、2−メチル−4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−4−ジメチル−2−ペンテン、ドデセン、テトラデセン、ヘキサデセン、オクタデセン、ビニリデン(塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなど)など];
(b)芳香族系オレフィン(スチレン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンスルホン酸など);
(c)ハロゲン含有オレフィン(塩化ビニル、フッ化ビニル、四フッ化エチレンなど);
(d)窒素含有オレフィン(ニトロエチレン、アクリロニトリルなど);
(e)その他オレフィン(アリルアミン、ビニルスルホン酸など);
(2)非オレフィン系不飽和化合物
(a)ビニルエーテル[メチルビニルエーテル、ポリオキシアルキレン(n=2〜200)モノアリルモノアルキル(炭素数1〜24)エーテルなど];
(b)アルキル基、ヒドロキシアルキル基の炭素数が1〜22の(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はヒドロキシアルキルエステル(アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ベヘニルなど);
(c)カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[(メタ)アクリル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸グリコールモノエーテルなど];
(d)スルホン酸基含有不飽和化合物[3−スルホプロピル(メタ)アクリレートなど];
(e)燐酸基含有不飽和化合物[(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル燐酸モノエステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェートなど];
(f)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミドなど];
(g)3級アミン又は第4級アンモニウム塩基含有不飽和化合物[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、その4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネートなどの4級化剤を用いて4級化したもの)など]:
(h)エポキシ基含有不飽和化合物[グリシジル(メタ)アクリレートな
(i)その他(N−ビニルピロリドン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニルをケン化して得られるビニルアルコールなど);
などである。これらの内好ましくは、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜24のオレフィン類およびビニルエーテルであり、好ましくはイソブチレン、メチルビニルエーテルおよびポリオキシアルキレンモノアリルモノアルキルエーテルであり、特に好ましくはイソブチレンおよびメチルビニルエーテルである。これらの単量体を単独で用いても良いし、また2種類以上を組み合わせても良い。
重合は上記エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸とを溶媒の存在下又は不存在下熱ラジカル重合、光ラジカル重合、アニオン重合等の公知の方法で重合出来る。重合は例えば0〜200℃で常圧下または加圧下にて行われる。熱ラジカル重合の場合はアゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリルなど)、過酸化物(t−ブチルパーオキシベンゾエートなど)などの重合触媒が、光ラジカル重合の場合は光ラジカル開始剤(ベンゾインアルキルエーテルなど)、増感剤(アントラキノンなど)が、アニオン重合の場合はチーグラーナッタ系触媒、メタロセン系触媒などが併用される。得られた共重合物は溶媒を脱溶媒して使用してもよいし溶媒が存在したままでも使用しても良い。好ましくは脱溶媒したものである。重合体中におけるエチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との組成比は、生成した共重合体のアンモニア反応物が水に溶解するものであればどの程度であっても差し支えない。無水マレイン酸とエチレン性不飽和化合物との組成比はモル比で通常100:1〜1:100であり、好ましくは10:1〜1:10であり、特に好ましくは5:1〜1:5である。また生成した共重合体の分子量は、通常2,000〜5,000,000であり、好ましくは3,000〜3,000,000である。
共重合体とアンモニアとの反応は種々の方法を採用することができるが、共重合体の固体粉末を溶剤中にスラリー状に分散させてアンモニアガスを溶媒中にバブリングしながら接触させる方法あるいは共重合体粉末をアンモニア水に溶解する方法などが好ましく採用される。共重合体とアンモニアとの反応比は共重合体に含まれる無水マレイン酸基1モルに対してアンモニア0.5〜2モル、好ましくは0.8〜2モルである。反応生成物の水溶液(5重量%の濃度)の25℃における粘度は、通常5〜100,000cpsであり、好ましくは10〜10,000cpsであり、特に好ましくは15〜5,000である。
本発明において、ゼラチン(B)としては、アルカリ処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを用いてもよく、またゼラチン加水分解物も用いることができ、少なくとも1個の遊離のアミノ基を持っていればよい。たとえば、牛骨の無機物をとり除いてオセインとした後、消石灰の懸濁液中に漬けておき、牛皮は適当な大きさに切断し、水洗してから石灰液中に通常2〜3ケ月間漬ける。このような石灰液による前処理を行って得られるゼラチンをアルカリ処理ゼラチンという。これに対して豚皮を希塩酸又は希硫酸に数十時間漬けて処理して得られるゼラチンを酸処理ゼラチンという。ゼラチンの形状としては、粒状、粉末、シート状のものが使用でき、分子量としては3,000〜30,000が好ましく、特にゲル(以下、硬化物ということがある)の透明性かつ保形性を得るためには、分子量5,000〜20,000が好ましい。
エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応は、下記の様に反応してゲル形成が進行するものと推定される。エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体にアンモニアを反応させると、まず共重合体中の無水マレイン酸部分が開裂し、部分的なアミドとアンモニウム塩との混合物が生成される。このアミド基とゼラチン(B)のリジン残基のアミノ基とが反応し、NHが脱離し、新たにアミド結合が形成され、その結果として三次元構造(ゲル化)が形成されると推定される。
エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応において、使用比率はゼラチンの遊離アミノ基の数により一概に特定できないが、透明性かつ保形性を得るには(B)100質量部に対して(A)を好ましくは3〜50質量部、より好ましくは5〜40質量部で反応させるのがよい。
(A)と(B)の反応方法としては、たとえば、(i)(A)の水溶液に(B)を混合する方法、(ii)(B)の水溶液に(A)を混合する方法、(iii)(A)(B)それぞれの水溶液を予め調整した後両者を混合する方法があるが、均一なゲルを得やすく、好ましい方法は(iii)である。
(A)と(B)との反応が進むと系の粘度が上昇してくる。更に進むとゲル化する。反応の終点はゲル強度によって確認出来る。ゲル強度の測定法は下記に記載する。(A)と(B)とを反応する際の温度は特に限定はないが、たとえば40〜60℃で行う場合には数時間で反応が完結し、室温で反応する場合には1昼夜を要する。(A)と(B)との反応物のゲル強度は、好ましくは3〜1,000gであり、より好ましくは5〜600であり、特に好ましくは10〜500である。
(ゲル強度測定法)
ゲルを25℃に温調した後、直径15.7mmの金属球を取り付けた棒を島津オートグラフ(島津製作所社製、AGS−500B)に接続した。金属球を5cm/分の速度でゲル中に押し込み、金属球がゲル中に完全に入った直後の応力(g)を測定した。これがゲル強度(g)である。
このようにして(A)と(B)の反応物(C)が得られるが、反応物(C)は水中で形成されると水をゲル化することになる。すなわち、上記の様に水中で(A)と(B)を反応させると水がゲル化する。
水中における(C)の濃度は特に限定はないが、(C)の濃度が小さい程硬化物中の水の量が多くなるのでファントム用としては好ましいが、ゲル強度は弱くなるので、それとの関係で決めるのがよい。たとえば、(C)の濃度が3〜20重量%が好ましく、5〜10重量%が特に好ましい。3重量%以上であると水全体をゲル化させることができる。20重量%以下であれば経済的である。5〜10重量%であると透明性、熱安定性、ゲル強度などのバランスに優れ固体ファントムとして好適に使用できる。固体ファントムは上記硬化物(ゲル化物)形成の後成型してもよいが、金型中で形成してもよい。硬化は室温でも容易に行われるので大型ファントムの形成に有利である。
本発明の硬化物(ゲル化物)は透明性が高い。透明性は透過率(%)で測定が出来る。硬化物の透過率(%)は、好ましくは80〜100、特に好ましくは90〜100である。硬化物の透明度が高い程ファントムの線量が有利に測定できる。
(透過率の測定法)10mm厚のガラス製セル中に室温で1日放置してゲルを作成し25℃に温調した後、分光光度計(島津製作所製、UV−1200)にて可視光(700nm)の透過率を測定した。
また、ここで用いられる水性の液としては(A)(B)の他に他の添加剤等を混合することが出来る。混合出来るものとしては水溶性又は水不溶性であれ特に制限はないが、例えば溶剤(アルコール、アセトンなど)、顔料、染料、老化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、防腐剤等が挙げられる。目的に応じこれらの配合物の任意の濃度のものが使用出来る。しかし、水不溶性の添加物を配合すれば透過率が低下するので水溶性添加剤が好ましい。
本発明の硬化物は、ある程度の強度を有し、従来の固体ファントム用の水系ゲルに比較しても熱安定性が高いので取り扱い易く、そのまま成型して固体ファントムとすることができるが、容器に充填してファントムとしてもよい。容器はMRIに感応せず、放射線を透過し、耐溶剤性、気密性などを有していれば特に制限はなく、ガラス、石英、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリルナイトリルが好ましい。また、容器に充填した後、窒素ガス等で置換してもよい。
硬化物をファントムに成型した後使用に供するが、ファントム中の放射線照射の線量測定法は特に限定はない。本発明における含水固体ファントムは、透明性が高いので、特に放射線照射により励起されて発光する蛍光を測定するのが好ましい。含水固体ファントム中には、銀活性リン酸塩ガラス、蛍光染料などの蛍光発光基材を含有させるのが、蛍光発光強度が大きくなるので特に好ましい。蛍光発光基材は硬化物を形成する前の上記(A)および/もしくは(B)またはそれらの水溶液に任意の濃度で溶解させておけば均一に溶解させることができる。
励起光を照射することによって発光する蛍光から、従来公知の任意の測定手段によって蛍光強度を測定することができる。測定手段としては、たとえば、CCDカメラ、又はフォトマルチプライヤーを用いることができる。高感度CCDカメラを用いると、蛍光強度を電気信号に変えることができ、その電気信号をコンピュータで処理することができる。
一般に、人体への放射線照射は、約200cGy〜300cGyの範囲で実施されるので、検量線は、少なくとも200cGy〜300cGyの範囲の照射量を正確に測定することができるように作成することが好ましく、具体的には、たとえば、15cGy程度から420cGy程度までの範囲を、好ましくは15cGy単位〜30cGy単位(最も好ましくは1cGy単位)で作成する。
(実施例1)
(1)溶液Aの調整
「ゼラチンSE−1」(アルカリ処理ゼラチン、ニッピゼラチン工業社製)(50部)にイオン交換水(950部)を加え60〜70℃に加温して均一に溶解した。
(2)溶液Bの調整
「GanterzAN 119」(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、重量平均分子量2.13×10、アイエスピー・ジャパン社製)(10部)にイオン交換水(84部)とアンモニア含有量29%のアンモニア水溶液(6部)とを加え室温下で攪拌すると1時間で均一に溶解した。アンモニア中和率80%の均一に溶解した「GanterzAN 119」の水溶液を得た。
(3)硬化物の作成
溶液A(500部)に溶液B(100部)を加えて混合し均一で透明な水溶液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、ゲル化反応を行わしめ、水含量約94%の均一で透明な水系ゲル(硬化物)を得た。
(実施例2)
(1)溶液Cの調整
「イソバン−04」(イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、分子量6×10、クラレ社製)(10部)にイオン交換水(84部)とアンモニア含有量29%のアンモニア水溶液(6部)とを加え室温下で攪拌すると1時間で均一に溶解した。アンモニア中和率80%の均一に溶解した「イソバン−04」の水溶液を得た。
(2)硬化物の作成
実施例1で作成した溶液A(500部)に溶液C(100部)を加えて混合して均一で透明な水溶液を調整した。このようにして得られた水溶液を室温で1日放置して、ゲル化反応を行わしめ、水含量約94%の均一で透明な水系ゲル(硬化物)を得た。
(比較例1)
130gのゼラチン・パウダーと蒸留水350mlとをビーカーに入れて、80±5℃までゆっくり加熱した。この温度で20分以上維持して、ゼラチン・パウダーが完全に溶解したゼラチン溶液を得た。次に、500gの市販の蜂蜜(純粋な蜂蜜250g、オリゴ糖150g、及び果糖(フルクトース)及びぶどう糖(グルコース)100gを含んでいる)を、ゼラチン溶液にゆっくり加えた。蜂蜜が溶けた後、溶液を十分混合しながら、さらに20gの食塩を加えた。この間、水の温度は80±5℃に保った。加熱された溶液をプラスチック容器(耐熱容器)へ注ぎ、室温で冷却し、水系ゲルを得た。
上記のゲル(硬化物)について、ゲルの外観、透過率、高温安定性、ゲル強度を測定した結果を表1に示す。
Figure 0005470511
評価方法は、以下の通りである。
(1)ゲルの外観
室温で1日放置して作成したゲルの外観を目視判定し、次のように評価した。
○…透明 △…わずかに白濁 ×…白濁
(2)透過率上記に記載した評価法に準じて行った。
(3)高温安定性
ゲルの外観で使用したゲルを70℃恒温槽中に24時間放置して、ゲルが破壊されて液状になるかどうかを調べた。
○…変化なし △…わずかに破壊され、液状になる ×…液状になる
(4)ゲル強度上記に記載した測定法に準じて行った。
《試験例》
(1)ファントムとして、上記実施例1で作成した硬化物を約30cm×約30cm×約30cmに切り取り、線量測定手段として銀活性リン酸塩ガラス製の線量計(120mm×120mmの平板)を使用し、及び基準線量測定として電離箱(0.6cc)を用いて強度変調療法(IMRT)の治療計画の実証実験を行った。
このときの基準線量測定として電離箱を用いて計測した吸収線量は、176.99cGy(測定室温度24.2℃;大気圧101.5kPa)が得られ、この値を真の吸収線量とした。
前記の固体ファントム内に装着し、前記治療計画データに沿って照射を行ったガラス線量計に対し、紫外線(約430nm)によって励起して発生した蛍光の蛍光強度をCCDカメラで測定すると、明確な蛍光強度データが得られた。
(2)また、銀活性リン酸塩ガラス製の線量計の代りに実施例1に準じて水溶性蛍光染料を含有させたファントムを作成して、同様に放射線照射をして発生する蛍光を測定したところ、明確な蛍光強度データが得られた。
(3)比較例1で合成したゲルにてファントムを作成し、上記(1)と同様にして蛍光強度を測定したが、(1)程明確な蛍光強度データが得られなかった。
本発明の硬化剤を用いて得られた硬化物はファントムとして好適である。

Claims (3)

  1. エチレン性不飽和化合物と無水マレイン酸との共重合体のアンモニア反応物(A)とゼラチン(B)との反応物(C)からなる硬化剤で水をゲル化させた硬化物を成型させてなる含水固体ファントム。
  2. 放射線照射の線量測定用であることを特徴とする請求項1記載の含水固体ファントム。
  3. さらに蛍光発光基材を含有することを特徴とする請求項2記載の含水固体ファントム。
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