JPH04268335A - 高含水ヒドロゲル - Google Patents

高含水ヒドロゲル

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JPH04268335A
JPH04268335A JP3010491A JP3010491A JPH04268335A JP H04268335 A JPH04268335 A JP H04268335A JP 3010491 A JP3010491 A JP 3010491A JP 3010491 A JP3010491 A JP 3010491A JP H04268335 A JPH04268335 A JP H04268335A
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JP
Japan
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polymer
hydrogen
water content
gel
high water
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Withdrawn
Application number
JP3010491A
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English (en)
Inventor
Shogo Nakano
中 野 正 吾
Akira Mochizuki
望 月  明
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Filing date
Publication date
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Publication of JPH04268335A publication Critical patent/JPH04268335A/ja
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Other Resins Obtained By Reactions Not Involving Carbon-To-Carbon Unsaturated Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細胞毒性がなく、しか
も形状安定性、耐熱性、機械的強度の高い高含水ヒドロ
ゲルに関する。
【0002】
【従来の技術】酵素固定化担体、DDS用基材、超音波
診断装置、吸着剤、創傷被覆材、培地等の各種の医療用
用途に高含水ゲルが適用されている。
【0003】このような高含水ゲルとしては、ポリ−2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート系(共)重合
体、ポリビニルアルコール、ビニルアルコール−エチレ
ン共重合体、セルロース、コラーゲン、ゼラチン等の、
親水性高分子材料より得られるものが知られており、柔
らかさ、機械的強度、ガス透過性、生体親和性等、高含
水ヒドロゲルの有する特性に応じて各種の部位における
、各種用途に適用されている。
【0004】セルロース等のゲルを除き、一般的に含水
ゲルを作製するためには、高分子化合物の分子間での架
橋構造を有することが必須であり、化学的架橋構造を導
入することによりこの目的を達成している。
【0005】このような化学的架橋構造の導入は、通常
、各種の架橋剤を添加することにより行われる。架橋剤
としては、官能基としてビニル基、エポキシ基、イソシ
アネート基等を有する多官能性モノマーや、各種のジア
ルデヒド等が適用されるが、これらの反応性に富んだ架
橋剤は、一般に皮膚刺激性、細胞毒性、発癌性等を有す
るものである。
【0006】ところが、高含水ゲルの製造に架橋剤を適
用すると、得られた高含水ゲル中に未反応の架橋剤が残
留するのを避けられず、特にゲルが多量である場合には
ゲル化後の架橋剤の除去は不可能に近い。
【0007】そのため、身体等に使用した際に残留する
架橋剤が溶出してしまい、皮膚刺激性、細胞毒性等の問
題を発生してしまう。つまり、このような反応性にとん
だ架橋剤を医療用の高含水ゲルに適用するのは安全性の
点で望ましくない。
【0008】また、モノマーおよび架橋剤を含有した水
溶液から重合、ゲル化して得られる高含水ゲルも、同様
にゲル中からの未反応モノマー、架橋剤の溶出を避ける
ことができず、やはり好ましくない。
【0009】従って、架橋剤、未反応モノマー等の活性
な低分子化合物の溶出のない高含水ゲルを得るためには
、高分子同士が分子間の相互作用によって架橋構造を形
成するのが好ましい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような分子間相互
作用の一つとして、分子間水素結合がある。分子間水素
結合による高分子錯体としては、ポリアクリル酸、ポリ
メタクリル酸、スチレン−マレイン酸交互共重合体等の
カルボン酸基(−COOH)を有するポリマーと、ポリ
アクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のアミド基を
有するポリマー、あるいはポリエチレンオキサイド等の
エーテル結合を有するポリマーとにおいて、カルボン酸
基とアミノ基あるいはエーテル結合性酸素との間で分子
間水素結合を形成し、錯化、ゲル化することが知られて
いる(高分子錯体  5「高分子集合体」  学会出版
センター  1983  等参照)。
【0011】しかし、これらの系では各原料化合物溶液
を混合すると、水素供与基(−COOH)と水素受与基
(アミド基、エーテルの酸素等)とが1:1前後の割合
で水素結合を形成するため、含水率の極めて低い錯体を
形成してしまい、高含水ゲルとして各種の用途への適用
は困難である。
【0012】このような観点から、本発明者らは鋭意検
討を重ね、水素供与性アミド基を有するくり返し単位を
1構成成分とする重合体と、N−置換ラクタムとを有す
る重合体とからなる水素結合性高分子錯体が高含水ゲル
となることを見い出し、先にこれを提案した(特願平2
−334929号)。しかしながら、この高含水ゲルは
耐熱性、機械的強度等の点で十分ではなく、さらなる改
良が望まれている。
【0013】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を
解決することにあり、皮膚刺激性および細胞毒性がなく
、良好な成型性、成形後の形状安定性を有し、しかも、
耐熱性、機械的強度も高い高含水ヒドロゲルを提供する
ことにある。
【0014】上記目的を達成するために、本発明者らは
鋭意検討を重ね、水素供与性基として第1あるいは第2
アミド基を有する重合体αと、N−置換ラクタムを有す
る重合体βとを有する水素結合性高分子錯体からなるゲ
ルを用い、放射線を照射して架橋構造を導入することに
より、皮膚刺激性および細胞毒性がなく安全で、成形性
、成形後の形状安定性にも優れるという従来の特性を損
なうことなく、しかも機械的強度、耐熱性をも満足させ
る高含水ヒドロゲルが得られることを見出し、本発明を
なすに至った。
【0015】すなわち、本発明は、下記式[A](式[
A]において、R1 およびR2 はHあるいは−CH
3 を、R3 はH,炭素数1〜5のアルキル基,フェ
ニル基のいずれかを、Zは−COO− M+ あるいは
Hをそれぞれ示す。なお、M+ は水素イオン、アルカ
リ金属イオン、アンモニウムイオンのいずれかを示す。 )で示される水素供与性アミド基を有するくり返し単位
を一構成成分とする重合体αと、N−置換ラクタムを有
する重合体βとを含有する分子間水素結合性高分子錯体
に放射線を照射することにより架橋構造を導入してなる
ことをを特徴とする高含水ヒドロゲルを提供する。
【0016】また、前記重合体βがポリビニルピロリド
ンであるのが好ましい。
【0017】また、前記重合体αにおけるR1 ,R2
 およびR3 がH、ZがHあるいは−COO− M+
 であるのが好ましい。
【0018】また、前記重合体αが、エチレンおよび/
または置換エチレンと無水マレイン酸とからなる共重合
体をアンモニアと反応させることによって得られる、側
鎖にアミド基を有する重合体であるのが好ましい。
【0019】以下、本発明の高含水ヒドロゲルについて
詳細に説明する。
【0020】本発明の高含水ヒドロゲルにおける重合体
αは、下記式[A] (上式において、R1 およびR2 はHあるいは−C
H3 を、R3 はH,炭素数1〜5のアルキル基,フ
ェニル基のいずれかを、Zは−COO− M+ あるい
はHをそれぞれ示す。なお、M+ は水素イオン、アル
カリ金属イオン、アンモニウムイオンのいずれかを示す
。)で示される第1または第2アミド基を有するくり返
し単位を一構成成分とするものである。
【0021】上記式[A]において、アミド基を形成す
るR3 はH、炭素数1〜5のアルキル基、あるいはフ
ェニル基である。炭素数が5を越えるアルキル基では、
後述する重合体βとの分子間水素結合を妨害してしまい
、良好な架橋構造を得ることができない。なお、良好な
架橋構造を得るために、R3 としては、Hが特に好適
に例示される。
【0022】ここで、上記重合体αを構成する式[A]
で示されるくり返し単位は、ZおよびR1 がHである
場合と、Zが−COO− M+ である場合とに分けら
れる。
【0023】ZおよびR1 がHである場合、すなわち
重合体αが で示されるくり返し単位(以下、単位aとする)を一構
成成分とする場合には、具体的には、(メタ)アクリル
アミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチ
ル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アク
リルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミドや
、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等を、単位aを
導入するための単量体として適用されるものが好適に例
示される。
【0024】特にアクリルアミドに由来する、R1 ,
R2,R3 およびZがHであるくり返し単位、すなわ
ち次式 で示されるくり返し単位が好適に例示される。
【0025】単位aをくり返し単位として一構成成分と
する場合には、重合体αは上記単量体の単独重合、上記
単量体の2種以上の共重合、さらには、後述するZが−
COO− M+ である式[A]に示されるアミド基を
くり返し単位とする共重合体や、水素供与性アミド基を
有さない単量体との共重合によって与えられる。
【0026】なお、この場合に適用可能な水素供与性ア
ミド基を有さない単量体としては、(メタ)アクリル酸
、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
ブチル等の(メタ)アクリル酸およびそのエステル; 
 ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビ
ニルエステル類;  ビニルスルホン酸、アリルスルホ
ン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸化合物類; 
 ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニ
ルプロピルエーテル等のビニルエーテル類;  N,N
−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル
(メタ)アクリルアミド、N−モルホリル(メタ)アク
リルアミド等の第3アミドを有する(メタ)アクリルア
ミド類;  その他、ビニルピリジン、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、スチレン、(メタ)アクリロニトリル等
が好適に例示される。
【0027】単位aを構成成分とする重合体αが水素供
与性アミド基を有さない単量体を含有する場合、重合体
αにおけるこの単量体の共重合組成比は0〜80mol
%程度であるのが好ましい。重合体αにおいて、水素供
与性アミド基を有さない単量体が80mol%を越える
と、後述する重合体βとの分子間水素結合力が弱くなり
、たとえば創傷被覆材等とした際に、十分な形状保持性
を得ることができない。なお、水素供与性アミド基を有
さない単量体の共重合組成比は、より好ましくは0〜6
0mol%程度である。
【0028】一方、Zが−COO− M+ である場合
、すなわち重合体αが で示されるくり返し単位(以下、単位bとする)を一構
成成分とする場合には、この構成成分は無水マレイン酸
、無水フマル酸、無水シトラコン酸等の不飽和結合を有
するジカルボン酸無水物の単独重合体あるいは共重合体
に、アンモニア、あるいはメチルアミン、エチルアミン
等のモノアルキルアミンを反応させることにより、アン
モニウム塩の構造として得ることができる。また、Mと
してアルカリ金属イオンを導入する際には、通常のイオ
ン交換法を適用することにより、その目的を達成するこ
とができる。
【0029】また、下記式によって示されるモノマー(
上記式において、R4 ,R5 およびR6 はHある
いは−CH3 を、MはH、−NH4 、アルカリ金属
イオンのいずれかを示す。)の単独重合あるいは共重合
によって得られたものであってもよい。
【0030】くり返し単位bとしては、R1 ,R2 
およびR3 がH、Zが−COO− M+ であるもの
。すなわち次式 で示されるくり返し単位が、特に好適に例示される。
【0031】単位bを一構成成分とする場合には、重合
体αは、一つのくり返し単位bからなる単独重合、複数
種のくり返し単位bからなる重合体の共重合、さらには
、前述の単位aをくり返し単位とする共重合体や水素供
与性アミド基を有さない単量体との共重合によって与え
られる。
【0032】この場合に適用可能な水素供与性アミド基
を有さない単量体としては、エチレン、プロピレン、ブ
テン、ペンテン、スチレン等の不飽和炭化水素類;  
ギ酸ビニル、酢酸ビニル等のビニルエステル類;  ビ
ニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブ
チルエーテル等のビニルエーテル類;  (メタ)アク
リル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アク
リル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸およびそのエステ
ル;  アリルアルコール、アリルエーテル、酢酸アリ
ル等のアリル化合物類;ビニルスルホン酸、アリルスル
ホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸化合物類;
  N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N
−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−モルホリル(
メタ)アクリルアミド等の第3アミドを有する(メタ)
アクリルアミド類;  その他、ビニルピリジン、塩化
ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル等
が好適に例示される。
【0033】なお、単位bのくり返し単位を構成成分と
する重合体αが水素供与性アミド基を有さない単量体を
含有する場合には、特に無水マレイン酸と、エチレン、
イソブテン、スチレン、ビニルメチルエーテル等のエチ
レンおよび/または置換エチレンとの1:1交互共重合
体から誘導される、側鎖にアミド基を有する重合体αが
、合成の容易さ等の点で好適に適用される。
【0034】単位bを構成成分とする重合体αが水素供
与性アミド基を有さない単量体を含有する場合において
、重合体αにおける水素供与性アミド基を有さない単量
体の共重合組成比は0〜80mol%程度であるのが好
ましい。重合体αにおける前記単量体が80mol%を
越えると、後述する重合体βとの分子間水素結合力が弱
くなり、十分な形状保持性を得ることができない。なお
、水素供与性アミド基を有さない単量体の共重合組成比
は、より好ましくは0〜70mol%程度である。
【0035】重合体αが単位bのくり返し単位を構成成
分とする場合においては、単位bに含まれる +M −
OOC−が酸型(−COOH)であると、この構成成分
が酸性となってしまい皮膚刺激性等の点より好ましくな
い。 そのため、この場合には、構成成分の少なくとも一部が
アルカリで中和されていることが望まれる。
【0036】適用されるアルカリとしては、水酸化アル
カリ金属のほか、アンモニア、メチルアミン、ジメチル
アミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルア
ミン、トリエチルアミン、水酸化テトラメチルアンモニ
ウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等の1〜4級ア
ミン等が好適に例示される。特に、前記単位bのくり返
し単位による構成成分が、無水マレイン酸等の酸無水物
より得られた重合物である場合には、アンモニア、メチ
ルアミン、エチルアミン等の第1アミンを用いることに
より、水素供与性アミド基を生成すると同時に、前記カ
ルボン酸部が中和されて中性の重合体αが生成されるの
で、好ましい結果を得る。
【0037】このような単位aおよび単位bのくり返し
単位を一構成成分とする重合体αの分子量は、特に限定
はないが、通常10,000以上、好ましくは30,0
00以上である。分子量を10,000以上とすること
により、好適な分子間水素結合力を得ることができ、ゲ
ルを心電計電極等に成型した後に良好な形状安定性を確
保することができる。
【0038】本発明の高含水ヒドロゲルは、このような
重合体αと、N−置換ラクタムを有する重合体βとによ
って形成される分子間水素結合性高分子錯体を含有する
ものである。
【0039】N−置換ラクタムを有する重合体βのラク
タムとしては、ピロリドン、ピペリドン、カプロラクタ
ム等が例示される。重合体βは、このラクタムのN−置
換基として重合性置換基を有する単量体を重合すること
によって得られる。
【0040】このような単量体としては、具体的にはN
−ビニルピロリドン、N−ビニルピペリドン、N−ビニ
ルカプロラクタム、(メタ)アクリルアミドエチルピロ
リドン、(メタ)アクリルアミドエチルピペリドン、N
−2[(メタ)アクリロキシエチル]ピロリドン、N−
2[(メタ)アクリロキシブチル]ピロリドン等が好適
に例示される。中でも特に、N−ビニルピロリドンを重
合したポリビニルピロリドンは好適に適用される。なお
、重合体βは、これらの単量体の2種以上の共重合体で
あってもよい。
【0041】また、重合体βは上記のN−置換ラクタム
を有する単量体と、N−置換ラクタムを有さない単量体
との共重合体であってもよい。N−置換ラクタムを有さ
ない単量体としては各種のものが適用可能であるが、具
体的には、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル等のビニルエステル類;  (メタ)アクリル酸、(
メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、
(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチ
ル等の(メタ)アクリル酸およびそのエステル;  エ
チレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、スチレン等の
不飽和炭化水素類;  N,N−ジメチル(メタ)アク
リルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド
、N−モルホリル(メタ)アクリルアミド等の第3アミ
ドを有する(メタ)アクリルアミド類;  ビニルメチ
ルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエー
テル等のビニルエーテル類;  ビニルスルホン酸、ア
リルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸化
合物類;  その他、ビニルピリジン、塩化ビニル、塩
化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリル等が好適に例
示される。
【0042】重合体βがN−置換ラクタムを有さない単
量体を含有する場合、重合体βにおけるこの単量体の共
重合組成比は0〜70mol%程度であるのが好ましい
。重合体αにおけるN−置換ラクタムを有さない単量体
が70mol%を越えると、前述の重合体αとの分子間
水素結合力が弱くなり、たとえば粘着電極等とした際に
、十分な形状保持性を得ることができない。
【0043】また、重合体βの分子量は特に限定はない
が5,000 以上であるのが好ましい。分子量を5,
000 以上とすることにより、好適な分子間水素結合
力を得ることができ、粘着電極等に成型した後に良好な
形状安定性を確保することができる。
【0044】本発明の高含水ヒドロゲルにおける重合体
αと重合体βとの含有量比は、重量比で重合体α/重合
体β=1/10〜10/2程度、好ましくは重合体α/
重合体β=2/10〜10/4程度である。
【0045】本発明の高含水ヒドロゲルは、このような
分子間水素結合性高分子錯体に放射線を照射して、架橋
構造を導入してなるものである。適用可能な放射線とし
てはγ線、電子線等、各種の放射線がいずれも適用可能
であるが、物質透過性の観点よりγ線を用いるのが好ま
しい。
【0046】放射線を前記高分子錯体に照射することに
より、化学架橋構造が導入される理由としては、放射線
の照射により高分子鎖(側鎖)にラジカルが発生し、こ
れがカップリングすることにより、分子間に新たに共有
結合が形成されるためであると考えられる。
【0047】また、放射線による架橋は、イソシアネー
ト基、エポキシ基、アルデヒド基、ビニル基等の低分子
架橋剤を適用する場合と異なり、これらの溶出を皆無と
することができるので、皮膚刺激性等の低い、安全性の
高い高含水ヒドロゲルを得ることができる。
【0048】前記高分子錯体に放射線を照射し、本発明
の高含水ゲルとする際の放射線量には特に限定はないが
、通常0.5〜10Mrad程度、好ましくは1〜6M
rad程度である。放射線量を上記範囲とすることによ
り、高分子錯体に良好に架橋構造を導入することができ
、しかも、ゲルの機械的強度の減少、着色等を起すこと
なく、良好な高含水ヒドロゲルを得ることができる。ま
た、本発明の高含水ヒドロゲルを医療用途に用いる際に
は、この放射線の照射により架橋と同時に滅菌も行なう
ことができるので、極めて好都合である。
【0049】このような本発明の高含水ヒドロゲルの製
造方法には特に限定はないが、一例として以下の方法が
好適に例示される。まず、水100重量部に対して重合
体αを5〜50重量部、重合体βを10〜100重量部
を溶解する。次いで、この溶液を所定の形状のモールド
に注入し、30〜80℃で2〜50時間加熱して、水素
結合性高分子錯体ゲルを作製したのち、所望する特性に
応じた線量の放射線を照射し、この水素結合性高分子錯
体ゲルを架橋すればよい。
【0050】なお、本発明の高含水ヒドロゲルにおいて
、水素供与性アミド基を有するくり返し単位を一構成成
分とする重合体αと、N−置換ラクタムを有する重合体
βとを溶解する水溶液が加熱によりゲル化する機構は十
分に解明されてはいないが、本発明者らは下記のように
推測する。
【0051】構成成分内に水素供与性アミド基を有する
重合体αにおいて、前記アミド基は水溶液中においては
当初は分子内水素結合に主に関与していると考えられる
。従って、この状態で構成成分内にN−置換ラクタムを
有する重合体βを混合しても、室温下では比較的安定な
水溶液状態を維持している。ところが、この水溶液を加
熱することにより、重合体αにおける分子内水素結合が
切れ、これにより重合体αのアミド基の水素と、重合体
βのアミド基の水素との間に新たに分子間水素結合が形
成されることにより、両者が物理的に架橋されてゲル化
するものと考えられる。
【0052】なお、この加熱によって得られるゲル化が
共有結合による架橋点の形成によるものでないことは、
大過剰の電解質を添加するとゲル化しないこと、得られ
たゲルは多量の熱水に再溶解することより明瞭に示唆さ
れる。また、放射線照射により化学的架橋構造が導入さ
れたことは、架橋後のゲルが上記と同様の条件で不溶と
なることより判断される。
【0053】このようにして得られた本発明の高含水ヒ
ドロゲルの含水率(%)は、下記式で定義するのが好ま
しい。 含水率=(ゲル重量−乾燥高分子重量)×100/ゲル
重量 なお、ゲル重量とは高含水ヒドロゲル全体重量を示すも
のである。
【0054】本発明の高含水ヒドロゲルにおける含水率
は、上記式で40%以上であるのが好ましい。含水率を
40%以上とすることにより、生体適合性等の点で好ま
しい結果を得る。さらに、より好ましくは含水率は50
〜80%程度である。
【0055】このような本発明の高含水ヒドロゲルは、
ゲル中に反応性モノマーや有機溶剤は存在しないため、
洗浄等の操作を行なう必要がないにも関わらず、安全性
に優れ、しかも機械的強度、耐熱性にも優れるという特
性を有している。そのため、このような特性を生かし、
酵素固定化担体ゲル、DDS用基材、心電計電極用ゲル
、超音波診断装置用ゲル、吸着剤コーティング剤、培地
、創傷用被覆材等、各種の用途に好適に用いることがで
きる。
【0056】特に、重合体αとしてアクリルアミド系ポ
リマーあるいは無水マレイン酸系共重合体より誘導され
るアミドカルボキシレート塩を用い、重合体βとしてポ
リビニルピロリドンとを用いて調製される高分子錯体ゲ
ルに、γ線を照射して得られる高含水ヒドロゲルは、優
れた粘着力、弾性率を有するものであるので、体表面へ
の貼付ができ、心電計電極用ゲル等の用途に好適に適用
可能である。なお、電極として適用した際に導電性が不
足するようであれば、このゲルに塩化ナトリウム、塩化
カリウム、酢酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、クエン酸
ナトリウム等の導電性塩を添加することにより、好適な
導電性を確保することができる。
【0057】また、本発明の高含水ヒドロゲルは、必要
に応じ、グリセリン、ジエチレングリコール、ソルビト
ール等の保湿剤を添加しても良い。さらに、本発明の高
含水ヒドロゲルは、基本的に架橋剤は不要であるが、必
要に応じ、イソシアネート系、エポキシ系等の架橋剤を
添加しても良い。
【0058】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明
をより詳細に説明する。
【0059】[実施例1]重合体αとしてイソブチレン
−無水マレイン酸交互共重合体から誘導されたアミドア
ンモニウム塩(クラレ社製  イソバン110  平均
分子量16〜17[×104 ])を25g、重合体β
としてポリビニルピロリドン(ナカライテスク社製  
K30  平均分子量4×104 )を82.5gを蒸
留水100gに溶解・混合した。この溶液を遠心脱泡し
、次いで剥離紙を敷いた容器に移して密閉し、60℃の
オーブン中で24時間放置して、淡黄色の分子間水素結
合性高分子錯体からなるゲルを得た。このゲルに1Mr
adのγ線を照射し、架橋構造を導入した。得られたゲ
ルの含水率を計測したところ、含水率は48%であった
。なお、含水率の算出は下記式を用いた。 含水率=(ゲル重量−乾燥高分子重量)×100/ゲル
重量 得られたゲルの圧縮弾性率および粘着力を図1に示す。 なお、図1において、白丸は圧縮弾性率を、黒丸は粘着
力を示すものである。圧縮弾性率は、サンプルの厚さを
約10mmとし、これを5mmφ(面積0.1963c
m2 )の圧縮用ステンレス棒を用いて50mm/mi
nの速度で圧縮した際の、応力−ひずみ曲線の初期の傾
きより求めた。 一方、粘着力は、厚さ5mmのサンプルに、5mmφの
ステンレス棒を50gfの力で1秒間圧着し、50mm
/minの速度で引き離した際のはく離直前の力を粘着
力として測定した。
【0060】[実施例2]上記実施例1において、γ線
照射量を2,3,4Mrad(本発明例)、および未照
射(比較例)として、各種のゲルを作製した。ゲルの含
水率は、それぞれ、γ線照射量2Mradのものが47
.8%、同3Mradのものが47.5%、同4Mra
dのものが47.1%、および未照射のものが48.1
%であった。 得られたゲルの圧縮弾性率および粘着力を図1に併記す
る。
【0061】[実施例3]重合体αとしてメチルビニル
エーテル−無水マレイン酸交互共重合体(AGF社製 
 ガントレッツAN139  平均分子量4〜5[×1
04 ])を濃アンモニア水に溶解して無水環を開環さ
せた後、メタノール中に再沈澱させることによって得ら
れたアミドアンモニウム塩を25g、重合体βとしてポ
リビニルピロリドン(ナカライテスク社製  K30 
 平均分子量4×104 )50gを蒸留水100gに
溶解・混合した。以下、前記実施例1と同様にして淡黄
色の分子間水素結合性高分子錯体からなるゲルを得た。 このゲルに1,2,3および4Mradのγ線を照射し
て架橋構造を導入し(本発明例)、あるいは未照射(比
較例)として各種のゲルを得た。ゲルの含水率は、それ
ぞれ、γ線照射量1Mradのものが57.0%、同2
Mradのものが56.9%、同3Mradのものが5
6.7%、同4Mradのものが56.5%、および未
照射のものが57.1%であった。また、得られたゲル
の圧縮弾性率および粘着力を図2に示す。なお、図2に
おいて、白丸は圧縮弾性率を、黒丸は粘着力を示すもの
である。
【0062】[実施例4]重合体αとしてスチレン−無
水マレイン酸交互共重合体(アルドリッチ社製平均分子
量 360,000)を濃アンモニア水に溶解して無水
環を開環させた後、メタノール中に再沈澱させることに
よって得られたアミドアンモニウム塩を25g、重合体
βとしてポリビニルピロリドン(ナカライテスク社製 
 K30  平均分子量4×104 )を50gを蒸留
水100gに溶解・混合した。以下、前記実施例1と同
様にして淡黄色の分子間水素結合性高分子錯体からなる
ゲルを得た。このゲルに3Mradのγ線を照射して架
橋構造を導入し(本発明例)、あるいは未照射(比較例
)として各種のゲルを得た。また、得られたゲルの圧縮
弾性率および粘着力を測定したところ、γ線を照射した
ものは圧縮弾性率131g/cm2 、粘着力121g
f、他方、未照射ゲルは同42g/cm2 、71gf
であった。
【0063】[実施例5]前記実施例4のスチレン−無
水マレイン酸交互共重合体の代わりにエチレン−無水マ
レイン酸交互共重合体(アルドリッチ社製  平均分子
量 100,000)を用いた以外は同様にして淡黄色
の分子間水素結合性高分子錯体からなるゲルを得た。こ
のゲルに3Mradのγ線を照射して架橋構造を導入し
(本発明例)、あるいは未照射(比較例)として各種の
ゲルを得た。また、得られたゲルの圧縮弾性率および粘
着力を測定したところ、γ線を照射したものは圧縮弾性
率103g/cm2 、粘着力105gf、他方、未照
射ゲルでは同27g/cm2 、60gfであった。
【0064】[耐熱水性試験]以上の各実施例で得られ
た各種のゲルを100gの水を入れた容器に浸漬し、密
閉して80℃のオーブンに入れ24時間放置した。その
結果、ゲルの種類を問わず、γ線を0.5Mrad以上
照射したものは膨潤したのみであったが、それ未満(未
照射)のものは溶解し、均一な溶液となっていた。
【0065】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の高
含水ヒドロゲルは、皮膚刺激性および細胞毒性がなく、
良好な成型性、成形後の形状安定性を有し、しかも機械
的強度、耐熱性にも優れるという特性を有している。こ
のような本発明の高含水ヒドロゲルは、その優れた特性
を生かし、酵素固定化担体ゲル、DDS用基材、心電計
電極用ゲル、超音波診断装置用ゲル、吸着剤、コーティ
ング剤、培地、創傷用被覆材等、各種の用途に好適に適
用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】分子間水素結合性高分子錯体からなるゲルに対
するγ線照射量と、圧縮弾性率および粘着力との関係を
示すグラフである。
【図2】分子間水素結合性高分子錯体からなるゲルに対
するγ線照射量と、圧縮弾性率および粘着力との関係を
示すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式[A] (式[A]において、R1 およびR2 はHあるいは
    −CH3 を、R3 はH,炭素数1〜5のアルキル基
    ,フェニル基のいずれかを、Zは−COO− M+ あ
    るいはHをそれぞれ示す。なお、M+ は水素イオン、
    アルカリ金属イオン、アンモニウムイオンのいずれかを
    示す。)で示される水素供与性アミド基を有するくり返
    し単位を一構成成分とする重合体αと、N−置換ラクタ
    ムを有する重合体βとを含有する分子間水素結合性高分
    子錯体に放射線を照射することにより架橋構造を導入し
    てなることをを特徴とする高含水ヒドロゲル。
  2. 【請求項2】前記重合体βがポリビニルピロリドンであ
    る請求項1に記載の高含水ヒドロゲル。
  3. 【請求項3】前記重合体αにおけるR1 ,R2 およ
    びR3 がH、ZがHあるいは−COO− M+ であ
    る請求項1または2に記載の高含水ヒドロゲル。
  4. 【請求項4】前記重合体αが、エチレンおよび/または
    置換エチレンと無水マレイン酸とからなる共重合体をア
    ンモニアと反応させることによって得られる、側鎖にア
    ミド基を有する重合体である請求項1〜3のいずれかに
    記載の高含水ヒドロゲル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006104466A (ja) * 2004-09-30 2006-04-20 Depuy Products Inc ヒドロゲル組成物およびその製造方法
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JP2015531005A (ja) * 2012-07-12 2015-10-29 プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ 易滑性自己潤滑性ポリマー表面

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