JP5470245B2 - バイオフィルム形成の処置のためのトリアゾール化合物 - Google Patents

バイオフィルム形成の処置のためのトリアゾール化合物 Download PDF

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Description

本発明は、致死性遺伝性障害、嚢胞性線維症を有する個体の肺において遭遇する多様な環境条件下で、緑膿菌によるバイオフィルムの形成を阻害または阻止するための、式4−[3,5−ビス−(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]−トリアゾール−1−イル]安息香酸の化合物(式(I)の化合物)の使用に関する。
嚢胞性線維症は、最も一般的な寿命を縮める、小児期発症遺伝性疾患の一つである。米国における発症率は1000人に1人である。オーストラリアのビクトリア州における発症率は3600人に1人である。北イタリアにおける発症率は4300人に1人である。ヨーロッパ人およびアシュケナージ系ユダヤ人に最も一般的であり;ヨーロッパ人の子孫の22人に1人は1本のCF遺伝子を担持し、このため彼らの最も一般的な遺伝疾患となっている。
CFと略されmucoviscidosisとも称される、嚢胞性線維症は、全身に作用して進行性の機能障害および早期死亡を引き起こす遺伝病である。以前は膵臓の嚢胞性線維症として知られていたが、これは次第に単に「嚢胞性線維症」と呼ばれるようになった。CFは嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)と呼ばれる遺伝子の変異によって引き起こされる。この遺伝子産物は汗、消化液および粘液の生産を補助する。CFを有さない多くのヒトはCFTR遺伝子の2つの作動可能なコピーを有するが、嚢胞性線維症を予防するためには1個しか必要ではない。CFは遺伝子が正常に作動しなくなったときに発症する。したがって、CFは常染色体劣勢疾患と考えられている。1930年代に初めて理解された嚢胞性線維症の名前は、特徴的な膵臓における「線維症」(組織の瘢痕化)および嚢胞の形成を意味する。呼吸困難および膵臓での不十分な酵素生産は、最も一般的な症状である。粘度の高い粘液の生産および低い免疫系は頻繁な肺感染症を引き起こす。これは常に治癒するわけではないが、経口および静脈内抗生物質および他の医薬によって処置する。
嚢胞性線維症を有する個体の肺は若年齢から細菌が定着し、感染している。CFを有する患者間においてしばしば拡大するこれらの細菌は、変化した粘液中で繁殖し、肺の小気道に集まる。この粘液が、免疫細胞および抗生物質にとって侵入することが難しい細菌性微小環境、例えばバイオフィルムを生じさせる。反復する損傷に対して肺は粘度の高い分泌物で応答し、慢性感染に対しては下気道を徐々にリモデリングして、例えば気管支拡張で応答し、これが感染の排除をさらに困難なものとする。時間とともに、細菌のタイプおよびそれらの個々の特徴がCFを有する個体内で変化する。最初は、一般の細菌、例えば黄色ブドウ球菌およびインフルエンザ菌が肺に定着し、感染する。しかし最終的に、緑膿菌および時にセパシア菌が主となる。肺内でこれらの細菌は環境に適合して、一般に使用される抗生物質に対する耐性を生じる。シュードモナス属は大きなコロニーを形成することができる特別な特徴を生じ得る − これらの株は「ムコイド」シュードモナス属と知られており、嚢胞性線維症を有さないヒトにはほとんど見られない。
バイオフィルムは多様な構造を有する微生物の凝集体である。バイオフィルムは、それぞれが1〜2マイクロメーターの長さしかない微生物細胞が数百マイクロメーターの高さにもなり得る塔を形成する、小さな都市のようなものである。塔間の「道路」は、栄養、酸素およびバイオフィルムコミュニティーが生存のために必要な他のものを運搬する液体で充填されたチャンネルである。
バイオフィルムはカテーテル線およびコンタクトレンズの表面に形成される。それらはペースメーカー、置換心臓弁、人工関節および他の外科的インプラント上で増殖する。CDC(疾病管理センター)は院内(病院内での)感染の65%以上がバイオフィルムによって引き起こされていると推測している。
バイオフィルム内で増殖した細菌は抗生物質に極めて耐性であり、バイオフィルム内で増殖していない同じ細菌よりも1000倍まで耐性である。標準的な抗生物質治療はしばしば有用でなく、唯一の手段は汚染されたインプラントの除去であり得る。
緑膿菌は単極運動性を有するグラム陰性好気性桿菌である。緑膿菌はヒトおよび植物の日和見感染病原体である。
緑膿菌は、天然には広範な抗生物質に耐性であり、成功しなかった処置の後では、特にポリンの修飾によって、さらなる耐性を示し得る。抗生物質を経験則により選択するのではなく、感応性試験に従って処置を選ぶことが通常可能でなければならない。抗生物質処置が経験則的に開始されれば、感染菌株を得るためにあらゆる努力をするべきであり、使用する抗生物質の選択は、菌株培養の結果が利用可能となったときに見直されるべきである。
緑膿菌に対する活性を有する抗生物質は、アミノグリコシド類、例えばゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン、キノロン類、例えばシプロフロキサシンおよびレボフロキサシン;セファロスポリン類、例えばセフタジジム、セフェピム、セフピロム;ウレイドペニシリン類、例えばピペラシリン、チカルシリン;カルバペネム類、例えばメロペネム、イミペネム;ポリミキシン類、例えばポリミキシンB、コリスチンおよびモノバクタム類、例えばアズトレオナムを含む。
緑膿菌はヒト疾患において、広汎で、問題のある病原体である。呼吸器においてこれは、市中感染性および院内感染性の両方の肺炎を引き起こし、後者は気管支拡張症を有する患者の高い死亡率に関係しており、CFと略される遺伝性疾患である嚢胞性線維症を有する患者の主な病原菌である。これはまた、火傷および虚血性外傷における感染を引き起こし、しばしば医療機器を汚染する。多くの緑膿菌感染は、該生物がバイオフィルムの存在を採用し得るため、常套の治療、すなわち抗生物質に耐性である。例えばCFにおいて、緑膿菌は肺粘液内でエキソ多糖類組込みマイクロコロニーとして増殖する。これらの条件下で、バイオフィルムを通じてゆっくりと分散するために局所的に低下した酸素圧のような要因によって、抗生物質に対する抵抗性が上昇する。これらの要因が一体となって、慢性バイオフィルム関連感染における緑膿菌がほとんど治療不可能となる。
したがって、慢性緑膿菌感染を処置し、例えばCF患者における例えば緑膿菌のバイオフィルムを排除するための新たな戦略が必要とされている。
式(I)の化合物、例えば化合物Iは、例えば嚢胞性線維症患者におけるバイオフィルム、例えば緑膿菌のバイオフィルム形成を排除し、および/または例えばCF患者における緑膿菌のバイオフィルム形成を処置するために使用することができる。
下記式(I)の化合物および遊離酸形態、その塩および結晶形の化合物I、すなわち次の式
Figure 0005470245
を有する4−[3,5−ビス−(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]−トリアゾール−1−イル]安息香酸は、米国特許第6,465,504 B1号に記載されている。
一つの局面において、本発明は、緑膿菌のバイオフィルムを処置するための一般式(I)
Figure 0005470245
〔式中、
およびRは同時にまたはそれぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ−低級アルコキシ、カルボキシル、カルバモイル、N−低級アルキルカルバモイル、N,N−ジ−低級アルキルカルバモイルまたはニトリルであり;
およびRは同時にまたはそれぞれ互いに独立して、水素、置換もしくは非置換低級アルカノイルもしくはアロイル、または生理的条件下で除去可能な基、例えば保護基であり;
は水素、低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、ハロ−低級アルキル、カルボキシ−低級アルキル、低級アルコキシカルボニル−低級アルキル、RN−C(O)−低級アルキル、置換もしくは非置換アリールもしくはアリール−低級アルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
およびRは同時にまたはそれぞれ互いに独立して、水素、低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、アルコキシ−低級アルキル、ヒドロキシアルコキシ−低級アルキル、アミノ−低級アルキル、N−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキル、N,N−ジ(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキルであるか、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、アザ脂環式環を形成する〕
の鉄キレート剤またはその薬学的に許容される塩の使用に関する。
好ましくは、本発明は、式(I)
〔式中、RおよびRが同時にまたはそれぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、ハロ−低級アルキル、低級アルコキシまたはハロ−低級アルコキシであり;RおよびRが同時にまたはそれぞれ互いに独立して、水素または生理的条件下で除去可能な基であり;Rが低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、カルボキシ−低級アルキル、低級アルコキシカルボニル−低級アルキル、RN−C(O)−低級アルキル、置換アリール、N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノもしくはピロリジノで置換されたアリール−低級アルキル、または置換もしくは非置換ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;RおよびRが同時にまたはそれぞれ互いに独立して、水素、低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、アルコキシ−低級アルキル、ヒドロキシアルコキシ−低級アルキル、アミノ−低級アルキル、N−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキル、N,N−ジ(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキルであるか、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、アザ脂環式環を形成する〕
の化合物およびその塩の少なくとも1種と、少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む、上記使用、ならびにその製造方法に関する。
好ましくは、上記使用において、好ましい式(I)の化合物は4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である。
式(I)の化合物は、例えば米国特許第6,596,750 B2号または第6,465,504 B1号または欧州特許第0914118号に記載されているとおりに製造することができる。
ハロゲンは、例えば塩素、臭素またはフッ素であるが、ヨウ素であってもよい。
接頭語「低級」は、7個以下、特に4個以下の炭素原子を有する基を意味する。
アルキルは直鎖または分枝鎖である。それ自体、例えば低級アルキルまたは他の基、例えば低級アルコキシ、低級アルキルアミン、低級アルカノイル、低級アルキルアミノカルボニルの構成要素としてのそれは、非置換であるか、あるいはハロゲン、ヒドロキシル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、シクロ低級アルキル、アザ脂環式環またはフェニルで置換されていてもよく、好ましくはそれは非置換であるか、あるいはヒドロキシルで置換されている。
低級アルキルは例えば、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルまたはn−ヘプチル、好ましくはメチル、エチルおよびn−プロピルである。ハロ−低級アルキルはハロゲン、好ましくは塩素またはフッ素、特に3個までの塩素またはフッ素原子で置換された低級アルキルである。
低級アルコキシは例えば、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−アミロキシ、イソアミロキシ、好ましくはメトキシおよびエトキシである。ハロ−低級アルコキシはハロゲン、好ましくは塩素またはフッ素、特に3個までの塩素またはフッ素原子で置換された低級アルコキシである。
カルバモイルはHN−C(O)−の基であり、N−低級アルキルカルバモイルは低級アルキル−HN−C(O)−であり、N,N−ジ−低級アルキルカルバモイルはジ−低級アルキル−N−C(O)−である。
低級アルカノイルはHC(O)−および低級アルキル−C(O)−であり、例えばアセチル、プロパノイル、ブタノイルまたはピバロイルである。
低級アルコキシカルボニルは低級アルキル−O−C(O)−の基を意味し、例えばn−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−アミロキシカルボニル、イソアミロキシカルボニル、好ましくはメトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルである。
アリールそれ自体、例えばアリールまたは他の基、例えばアリール−低級アルキルまたはアロイルの構成要素としてのアリールは、例えばフェニルまたはナフチルであり、これは置換されているかまたは非置換である。アリールは好ましくはフェニルであり、これは非置換であるか、あるいは1個以上、特に1または2個の置換基、例えば低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ニトロ、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、アミノ、N−低級アルキルアミノ、N,N−ジ−低級アルキルアミノ、アミノカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、ジ−低級アルキルアミノカルボニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールまたはシアノで置換されている。一次的に、アリールは非置換フェニルまたはナフチル、または低級アルキル、低級アルコキシ、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、N,N−ジ−低級アルキルアミノもしくはヘテロシクロアルキルカルボニルで置換されたフェニルである。
アロイルはアリール−C(O)−の基であり、例えばベンゾイル、トルオイル、ナフトイルまたはp−メトキシベンゾイルである。
アリール−低級アルキルは例えばベンジル、p−クロロベンジル、o−フルオロベンジル、フェニルエチル、p−トリルメチル、p−ジメチルアミノベンジル、p−ジエチルアミノベンジル、p−シアノベンジル、p−ピロリジノベンジルである。
ヘテロシクロアルキルは、3〜8個、特に5〜7個の環原子を有し、その少なくとも1個がヘテロ原子(酸素、窒素および硫黄が好ましい)であるシクロアルキル基を意味する。アザ脂環式環は、3〜8個、特に5〜7個の環原子を有し、環原子の少なくとも1個が窒素原子である飽和シクロアルキル基である。アザ脂環式環は、さらに環ヘテロ原子、例えば酸素、窒素または硫黄を含んでいてもよく;これは例えばピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルまたはピロリジニルである。アザ脂環式基は非置換であるか、あるいはハロゲンまたは低級アルキルで置換されていてもよい。環窒素原子を介して結合しているアザ脂環式基が好ましく、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、ピロリジノ等として知られている。
ヘテロアリール自体、例えばヘテロアリールまたは他の置換基、例えばヘテロアリール−低級アルキルの構成要素としてのヘテロアリールは、3〜7個、特に5〜7個の環原子を有し、環原子の少なくとも1個がヘテロ原子である芳香族性基、例えばヘテロ原子、例えばピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フラニル、チオフェニル、ピリジル、ピラジニル、オキサジニル、チアジニル、ピラニルまたはピリミジニルである。ヘテロアリールは非置換であるか、あるいは置換されていてもよい。非置換であるか、あるいは1個以上、特に1または2個の置換基、例えば低級アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルボキシルまたは低級アルコキシカルボニルで置換されたヘテロアリールが好ましい。
ヘテロアリール−低級アルキルは、アルキル鎖が2個以上の炭素原子を含むとき好ましくは末端C原子上の少なくとも1個の水素原子がヘテロアリール基で置換されている、低級アルキル基を意味する。
N−低級アルキルアミノは例えば、n−プロピルアミノ、n−ブチルアミノ、i−プロピルアミノ、i−ブチルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、好ましくはメチルアミノおよびエチルアミノである。N,N−ジ−低級アルキルアミノにおいて、アルキル置換基は同一または異なっていてよい。したがってN,N−ジ−低級アルキルアミノは例えば、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−メチルエチルアミノ、N−メチル−N−モルホリノエチルアミノ、N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノまたはN−メチル−N−ベンジルアミノである。
保護基、その導入および除去は、例えばMcOmie, Protective Groups in Organic Chemistry, Plenum Press, London, New York (1973)およびMethoden der organischen Chemie [Methods of organic chemistry], Houben-Weyl, 4th Edition, Vol. 1571, Georg Thieme, Stuttgart (1974)、ならびにGreene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley, New York (1981)に記載されている。保護基の特徴は、容易に、すなわち望ましくない副反応なしに、例えば加溶媒分解、還元、光分解または生理学的条件下で、除去できることである。
ヒドロキシル基は、容易に切断可能なエステルまたはエーテル基、好ましくはアルカノイルもしくはアラルカノイルエステル基またはシクロヘテロアルキル、アラルキルもしくはアルコキシアルキルエーテル基、あるいはシリルエステルまたはシリルエーテル基の形態で、特にアセチルもしくははベンゾイルエステルまたはテトラヒドロピラニル、ベンジルもしくはメトキシメチルエーテルとして存在していてもよい。
式(I)の化合物の塩は、薬学的に許容される塩、とりわけ塩基との塩、例えば適切なアルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩またはマグネシウム塩、薬学的に許容される遷移金属塩、例えば亜鉛塩、または有機アミン、例えば環状アミン、例えばモノ、ジもしくはトリ低級アルキルアミン、例えばヒドロキシ−低級アルキルアミン、例えばモノ、ジもしくはトリヒドロキシ−低級アルキルアミン、ヒドロキシ−低級アルキル−低級アルキルアミンまたはポリヒドロキシ−低級アルキルアミンとの塩である。環状アミンは例えば、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジンまたはピロリジンである。好適なモノ−低級アルキルアミンは、例えばエチル−およびtert−ブチルアミンであり;ジ−低級アルキルアミンは例えば、ジエチル−およびジイソプロピルアミンであり;トリ低級アルキルアミンは例えばトリメチル−およびトリエチルアミンである。適切なヒドロキシ−低級アルキルアミンは、例えばモノ、ジおよびトリエタノールアミンであり;ヒドロキシ−低級アルキル−低級アルキルアミンは例えばN,N−ジメチルアミノ−およびN,N−ジエチルアミノエタノールであり;好適なポリヒドロキシ−低級アルキルアミンは例えばグルコサミンである。他の場合において、例えば強無機酸、例えば鉱酸、例えば硫酸、リン酸およびハロゲン化水素酸、強有機カルボン酸、例えば低級アルカンカルボン酸、例えば酢酸、例えば飽和もしくは不飽和ジカルボン酸、例えばマロン酸、マレイン酸またはフマル酸、または例えばヒドロキシカルボン酸、例えば酒石酸またはクエン酸、またはスルホン酸、例えば低級アルカン−または置換もしくは非置換ベンゼンスルホン酸、例えばメタン−もしくはp−トルエンスルホン酸との塩を形成することも可能である。酸性基、例えばカルボキシルと塩基性基、例えばアミノを有する式(I)の化合物は、分子内塩の形態、すなわち双性イオン形態で存在していてもよいか、あるいは分子の一部が分子内塩で、他の部分が通常の塩として存在していてもよい。
本化合物およびそれらの塩は、水和物または溶媒和物の形態であってもよく、あるいはそれらの結晶は、例えば結晶化に使用される溶媒を含んでいてもよい。
式(I)の化合物およびそれらの塩は、出発物質および実施方法の選択に基づいて、可能性のある異性体、例えば立体異性体または互変異性体の一つの形態で、またはその混合物として存在していてもよい。この文脈において、得られる純粋な異性体は例えば純粋なエナンチオマー、純粋なジアステレオマーまたは純粋な互変異性体である。同様に、存在し得る異性体の混合物は、例えばラセミ体またはジアステレオマー混合物であり得る。遊離形または塩形の式(I)の化合物の異性体混合物は、常套の方法、例えば構成成分の物理化学的相違に基づいて、分画結晶化、蒸留および/またはクロマトグラフィーによる既知の方法で、その成分に分離することができる。有利には、より活性な異性体を単離する。
したがって、本発明の1つの局面は、哺乳類のバイオフィルム形成を処置するための治療方法である。本方法は、例えばUS 6,596,750に記載のとおり、既に製造され、ヒトまたは動物体の鉄過剰を引き起こす疾患またはそれによって引き起こされる疾患の処置に有用であることが示されている、上記鉄キレート剤群を利用する。
好ましい式(I)の化合物は4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩である。化合物Iを含む医薬組成物は、例えば国際特許出願WO2004/035026に記載されている。化合物Iは製造業者の指示に従って投与することができる。
本発明は、
(1)慢性緑膿菌感染の処置用医薬の製造のための、
(2)バイオフィルム形成の処置用医薬の製造のための、
(3)緑膿菌のバイオフィルム形成の処置用医薬の製造のための、
(4)嚢胞性線維症患者における緑膿菌のバイオフィルム形成の処置用医薬の製造のための、
(5)緑膿菌のバイオフィルム形成の予防用医薬の製造のための、
(6)嚢胞性線維症患者における緑膿菌のバイオフィルム形成の予防用医薬の製造のための、
(7)緑膿菌のバイオフィルムを減少させ、または排除するための、
(8)例えば緑膿菌のバイオフィルム形成を阻害するための、
(9)例えば緑膿菌のバイオフィルム確立を阻害するための、
式(I)
Figure 0005470245
〔R1およびR5は同時にまたはそれぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキル、ハロ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ−低級アルコキシ、カルボキシル、カルバモイル、N−低級アルキルカルバモイル、N,N−ジ−低級アルキルカルバモイルまたはニトリルであり;
R2およびR4は同時にまたはそれぞれ互いに独立して、水素、置換もしくは非置換低級アルカノイルもしくはアロイル、または生理的条件下で除去可能な基であり;
R3は水素、低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、ハロ−低級アルキル、カルボキシ−低級アルキル、低級アルコキシカルボニル−低級アルキル、R6R7N−C(O)−低級アルキル、置換もしくは非置換アリールもしくはアリール−低級アルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロアリールもしくはヘテロアラルキルであり;
R6およびR7は同時にまたはそれぞれ互いに独立して、水素、低級アルキル、ヒドロキシ−低級アルキル、アルコキシ低級アルキル、ヒドロキシアルコキシ−低級アルキル、アミノ−低級アルキル、N−低級アルキルアミノ−低級アルキル、N,N−ジ−低級アルキルアミノ低級アルキル、N−(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキル、N,N−ジ(ヒドロキシ−低級アルキル)アミノ−低級アルキルであるいか、あるいはそれらが結合している窒素原子と一体となって、アザ脂環式環を形成する〕の化合物、好ましくは化合物Iまたはその薬学的に許容される塩;
(ここで、接頭語「低級」は7個以下の炭素原子を有する基を意味する);
例えば4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸の;あるいはアミノグリコシド類、例えばゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン;キノロン類、例えばシプロフロキサシンおよびレボフロキサシン;セファロスポリン類、例えばセフタジジム、セフェピム、セフピロム;ウレイドペニシリン類、例えばピペラシリン、チカルシリン;カルバペネム類、例えばメロペネム、イミペネム;ポリミキシン類、例えばポリミキシンB、コリスチンおよびモノバクタム類、例えばアズトレオナムから成る群から選択される抗生物質との組み合わせにおける;例えば固定された組合せ剤の形態における;使用に関する。
本発明は、医療機器、例えばカテーテルにおけるバイオフィルム形成を減少させ、および/または除去する方法であって、当該医療機器に化合物Iを適用する方法に関する。
他の態様において、本発明は、式(I)の化合物と、緑膿菌に対して活性である抗生物質の組合せに関する。本発明は、抗生物質がアミノグリコシド類、例えばゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン;キノロン類、例えばシプロフロキサシンおよびレボフロキサシン;セファロスポリン類、例えばセフタジジム、セフェピム、セフピロム;ウレイドペニシリン類、例えばピペラシリン、チカルシリン;カルバペネム類、例えばメロペネム、イミペネム;ポリミキシン類、例えばポリミキシンB、コリスチンおよびモノバクタム類、例えばアズトレオナムから成る群から選択される組合せに関する。好ましくは、抗生物質はゲンタマイシンまたはトブラマイシンである。
本発明は、(a)上記式(I)の化合物、好ましくは4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩と、(b)アミノグリコシド類、キノロン類、セファロスポリン類、ウレイドペニシリン類、カルバペネム類、ポリミキシン類およびモノバクタム類から成る群から選択される抗生物質を含む組合せ剤に関する。
すべて上に記載または定義する、成分(a)と(b)の何れかの組合せ、これらの2種の成分を投与することを含む温血動物を処置する方法、これらの2種の成分を含む同時、個別または逐次使用のための医薬組成物、進行の遅延もしくは処置または上記(1)〜(7)に記載の使用のための、またはこれらの目的の医薬組成物の製造のための組合せ剤の使用、あるいは成分(a)と(b)の組合せを含む商品は、以下本発明の組合せとも称し、すなわちこの用語はこれらの態様それぞれを意味し、したがって適切であるときこの用語を入れ替えることができる。
同時投与は、例えば2種以上の有効成分を含む1個の固定された組合せ剤の形態で、または独立して製剤されている2種以上の有効成分を同時的に投与して、実施することができる。逐次的使用、例えば投与は、好ましくはある時点で組合せ成分の1つ以上を投与し、他の成分を異なる時点で、すなわち時間を違えて投与することを意味し、好ましくは該組合せは1個の成分を独立して投与したときよりもより高い効果、例えば特に相乗効果を示すように投与する。個別使用、例えば投与は、好ましくは異なる時点で互いに独立して組合せ成分を投与することを意味し、好ましくは成分(a)と(b)を、両方の化合物の測定可能な血中レベルの重複が、例えば同時に、存在しないように投与することを意味する。
実施例1:
材料および方法:
緑膿菌増殖に対する効果
化合物Iの存在下または非存在下、例えば末梢血で得られる濃度で、好気的および嫌気的条件下、鉄の非存在下、10、30および50μMの鉄の存在下で、増殖させる。CF痰で通常見出される鉄の平均濃度は30μMである。コハク酸塩を含む最少培地中約10細菌のアリコート、例えば500μLをボロシリケートガラスチューブ、例えば12x75mmに植菌し、これを好気的および嫌気的条件、例えば37℃でインキュベートすることを含む標準的な方法を用いて、細菌増殖の効果を測定することができる。各実験はそれぞれ3連で実施し、各ボロシリケートチューブを一定間隔、例えば例えば0、4、8、12、16、20および24で取り出し、培地の570nmでの吸光度を増殖レベルの指標として用いた。嫌気性培養条件は、Anaerogen(商標)(Oxoid)システムを用いて作成した。嫌気性実験のために、培地が酸素に一時的に曝露されないように平行培養を実施する、すなわち必要なときにサンプリングできるように7つの平行培養を実施する。
緑膿菌運動性に対する効果
緑膿菌の運動性は、Singh et al, Nature 2002, 417(6888):552-5に記載のとおり、例えばさらなる鉄の存在下でモニターする。運動性の上昇および不調は、インビボでの緑膿菌の凝集の不能およびバイオフィルム形成の開始に関連する。運動性試験は、確立された方法を用いて、鉄の非存在下または30μMで、化合物の存在下または非存在下での例えば遊泳、集合および痙攣によって、寒天中で実施される。
緑膿菌のバイオフィルムに対する効果
この目的で、バイオフィルム形成の初期段階に相当する2つの短期間バイオフィルムモデルを使用する:ボロシリケートチューブおよびカバースリップ法。
化合物Iの存在下または非存在下、好気的または嫌気的条件下、鉄の非存在下、10、30および50μMの鉄の存在下での両方のモデルにおいて、バイオフィルム増殖を試験する。化合物Iの抗バイオフィルム効果は、標準的な方法、すなわち吸光度、3次元透視法におけるバイオフィルム構造の分析が可能な共焦点イメージングソフトウェア、例えばCOMSTATプログラムによって観察する。イメージングソフトウェアおよびカバースリップ実験におけるBacLight LIVE/DEAD染色(Molecular Probes)の使用によって、細菌マイクロコロニーおよびバイオフィルム構造の両方に対する効果を観察することができる。
緑膿菌抗生物質耐性に対する効果
アミノグリコシド類であるゲンタマイシンとトブラマイシンの最低阻害濃度(MIC)は、好気的および嫌気的条件下で、さらなる鉄の非存在下または30μMの鉄の存在下、化合物Iの存在下または非存在下、例えばおよび/または多様な濃度の化合物Iの存在下で、測定することができる。
毒性因子の緑膿菌生産に対する効果
多様な毒性因子の生産は、鉄欠乏によって誘導することができる。細菌毒性因子生産を誘導する化合物Iの能力は、化合物Iの存在下または非存在下で次に記載のとおり測定することができる。
CF個体の痰から単離した臨床緑膿菌株によるバイオフィルム発生の阻害に対する効果、確立されたバイオフィルム破壊に対する効果、化合物Iと抗生物質を同時的に投与する長期フロー細胞バイオフィルムモデルの使用を試験する。
緑膿菌増殖およびバイオフィルム形成に対する化合物Iの効果。多様な濃度の化合物Iを、嫌気性および好気性(A)増殖および(B)バイオフィルムレベルに対する効果について評価する。使用する培地は、指示の通り(37℃、24h)0または10mMのFeClを補ったMMSである。示した数値は実験あたり3個のチューブの1つの代表実験の平均±SDを意味する。 緑膿菌増殖およびバイオフィルム形成に対する高濃度の化合物Iの効果。多様な濃度の化合物Iを、嫌気性および好気性(A)増殖および(B)バイオフィルムレベルに対する効果について評価する。使用する培地は、0または10mMのFeClを補ったMMSである(37℃、24h)。示した数値は実験あたり3個のチューブの2つの代表実験の平均±SDを意味する。*はキレート剤が存在しないときのものと比較して有意に低いレベルであることを示す(P<0.05)。 多様な鉄レベルでの嫌気的バイオフィルム発生に対する化合物Iの効果。多様な鉄濃度で、化合物Iの非存在下(黒色カラム)および1339μMの化合物Iの存在下(灰色カラム)でのバイオフィルム発生に対する化合物I(1339μM)の効果。示した数値は実験あたり3個のチューブの1つの代表実験の平均±SDを意味する。*は同じ鉄レベルで化合物Iが存在しないときのバイオフィルムと比較して有意に低いバイオフィルムであることを示す(P<0.05)。 緑膿菌株PAO1に対する(A)コリスチンおよび(B)トブラマイシンのMICに対する化合物Iの効果。MICは、化合物I(1339μM)を補った(実線)、そして化合物Iを補わない(点線)MMS+10μMのFeCl中で測定する。示した数値は各条件で2連で試験した代表実験の平均±SDを意味する。 ホスホリパーゼおよび外毒素A生産に対する化合物Iの効果。示したとおり(鉄+ICL)鉄と化合物I(1339μM)を補って、培地を嫌気的条件下で24時間インキュベートする。示した数値は、ホスホリパーゼ生産のレベル(1つの実験)および外毒素A生産の平均レベル±SD(各試験条件について2連で試験した1つの実験)を意味する。
結果:
1. 増殖およびバイオフィルム発生に対する化合物Iの効果
プランクトン様増殖およびバイオフィルム発生に対する化合物Iの効果を、短期ボロシリケートガラスチューブバイオフィルムモデルで再評価した。このモデルで、バイオフィルムをガラス表面で増殖させ、後にこれを染色し、溶解させる。溶液の吸光度(OD:570nm)はバイオフィルム発生のレベルに対応する。
このモデルを用いて、コハク酸塩(MMS)+10μMのFeClを補った最少培地中で(好気的および嫌気的雰囲気)インキュベーション(24h、37℃)した後、細菌増殖およびバイオフィルムレベルを測定する。MMS培地(pH7.0)中の化合物Iの低溶解度は、初期実験を0〜100μMの低キレート剤濃度で実施する必要があることを意味する。これらの低濃度では、化合物Iは好気的または嫌気的増殖またはバイオフィルム発生を阻害しない(図1)。
化合物Iを界面活性剤PEG 400に溶解させ、次いでMMS培地に希釈して、濃度6695μMまでの化合物Iを得る。別の実験において、界面活性剤が単独では増殖およびバイオフィルムレベルに影響を与えないことが示されている(データは示さず)。高濃度の化合物Iは、嫌気的条件下では有意に緑膿菌増殖およびバイオフィルムレベルを阻害することができるが(P<0.05)、好気的条件下ではそうではない。
化合物Iが培地中の鉄レベルを直接低下させて嫌気的バイオフィルム発生を阻害するのか、あるいはそれが鉄とは独立したメカニズムによって作用するのかを試験した。培養培地中の鉄濃度を上昇させたときに嫌気的バイオフィルム発生を阻害し続けるかを見るため、濃度1339μMの化合物Iを試験する。鉄レベルの上昇と共に、化合物Iは有効ではなくなっていき、このことはその主な効果が鉄キレートによって介在され、このバイオフィルム阻害はおそらく化合物Iの結合能が飽和する、高い鉄レベルによって克服され得ることを示唆している。
2. 化合物Iは緑膿菌の抗生物質に対する感受性を向上させる。
CF個体を処置するために一般に使用される2種の抗生物質であるトブラマイシンとコリスチンの平均阻害濃度(MIC)を緑膿菌に対して試験する。これはMMS+10μMのFeCl中、化合物Iの存在下(1339μM)および非存在下、好気的および嫌気的雰囲気下で実施する(図4)。化合物Iの存在はMICを変化させない。
3. 化合物Iは毒性因子の生産に影響する
この実験で試験する毒性はホスホリパーゼCと外毒素A(ETA)である。a)MMS培地のみ、b)10μMのFeClを補ったMMS培地、そして最後にc)10μMのFeClと化合物I(1339μM)の両方を補ったMMS培地中でインキュベーションした後、これらの因子の嫌気的条件下での生産を試験する。鉄を補った場合、鉄を含まない同じ培地のものと比較して、両方の毒性因子のレベルの上昇が見られる。この上昇は化合物Iを加えたとき無効となるので、化合物Iが緑膿菌による鉄関連毒性因子生産と干渉し得ることが示唆される(図5)。
CF肺が遭遇する多様な環境条件、すなわち低酸素圧および鉄が利用可能な条件下で、緑膿菌に対する化合物Iの治療能が示される。
1. 化合物Iは、嫌気的条件下で緑膿菌増殖およびバイオフィルム発生を顕著に阻害する。これは、緑膿菌が利用可能な鉄レベルを化合物Iが低下させることと直接関連していると考えられる。
2. 化合物Iは、プランクトン様生物に対して試験したとき、抗生物質トブラマイシンとコリスチンのMICを変化させない。
3. 化合物IはホスホリパーゼCとETA生産を刺激しないが、逆に鉄の存在下でこれらの細菌性毒素因子の生産を減少させる。

Claims (11)

  1. 嚢胞性線維症患者における、緑膿菌のバイオフィルム形成の処置のための、4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬。
  2. (a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩と、(b)アミノグリコシド類の抗生物質を含む組み合わせを含む請求項1に記載の医薬
  3. 該アミノグリコシド類の抗生物質がゲンタマイシンまたはトブラマイシンである、請求項に記載の医薬
  4. 固定された組合せ剤の形である、請求項2または3に記載の医薬
  5. 緑膿菌の感染の処置または予防のための、(a)4−[3,5−ビス(2−ヒドロキシフェニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−イル]安息香酸またはその薬学的に許容される塩と、(b)アミノグリコシド類の抗生物質を含む組み合わせを含む、医薬。
  6. 該緑膿菌の感染が慢性的である、請求項5に記載の医薬。
  7. 緑膿菌がバイオフィルムを形成する、請求項5または6に記載の医薬。
  8. 緑膿菌の感染が、嚢胞性線維症患者におけるものである、請求項5〜7のいずれかに記載の医薬。
  9. 該アミノグリコシド類の抗生物質が、ゲンタマイシンまたはトブラマイシンである、請求項5〜8のいずれかに記載の医薬
  10. 該アミノグリコシド類の抗生物質がトブラマイシンである、請求項5〜8のいずれかに記載の医薬。
  11. 固定された組み合わせ剤の形である、請求項5〜10のいずれかに記載の医薬。
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