以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る排気システムSの全体構成を示す全体図である。排気システムSは、送風装置1と、空気調和機2と、換気装置3とから構成される。このうち、送風装置1は室内において移動可能に使用され、空気調和機2及び換気装置3は、それぞれ天井に埋設されている。
なお、空気調和機2は、天井に埋設される必要はなく、天井面から若干吊下げても良いし、壁面に取り付けられていても良い。また、換気装置3も天井面に埋設され、その吸込口が天井面とほぼ同一面上に設けられていることが望ましいが、天井面近くに設置され、天井近くの空気を吸込み、屋外に排気できれば良く、天井面近くの側壁に設けても良い。さらにこの第1の実施形態においては、換気装置は、24時間換気のために常にオンされている。
送風装置1は、病院や介護施設に入所している者のおむつを交換する際に発生する臭い(糞便臭)を吸い込むために使用される。送風装置1は、図1、或いは図2に示すその断面図に表わされているように、外形が略直方体であり、その側面(前面)には室内の空気を吸気する空気吸引部11が設けられ、その上面には吸気された空気を室内上方へ排気する空気排出部12が設けられている。
空気吸引部11は、実際に室内の空気を吸い込む吸込部11aと送風装置1本体に連結されている吸込ダクト1bとから構成されている。吸込部11aは、臭いが発生した箇所に配置し周辺の空気を吸い込む。また、発生した臭いを確実に吸い込むために、その開口部は吸込ダクト11bの内径よりも大きく形成されている。吸込ダクト11bは、従事者の操作によってある程度の伸縮及び左右方向への変位可能な素材を用いて形成されており、従事者が吸込部11aを臭いの発生箇所に対してより適切な位置へと移動させることが可能とされている。
実際に使用される場合は、図1に示されているように、送風装置1は移動可能な台車Aに載置されており、従事者は、おむつ交換の際に、台車AをベッドBの横まで移動させ、送風装置1をベッドB脇に配置した後、吸込ダクト11bをベッドB上の所定の位置へと向ける。このように送風装置1を移動可能としたため、1台の送風装置1で何人もの病人や介護者に対応可能となる。
空気排出部12は、上述したように送風装置1の上面に設けられている。これは、空気吸引部11から吸い込まれた臭いを送風装置1の上方、すなわち天井方面へと排気するためである。空気吸引部11及び空気排出部12とは通気路13によって繋がっており、図2に示す矢印のように、送風装置1本体側面から吸い込まれた臭いは通気路13を通りその上面から排気される。送風装置1内部には、送風機15が設置されている。この送風機15は、羽根15aと、この羽根15aを回転させる電動機15bと、送風機15を送風装置1内部に設置するためのケーシング15cとから構成されている。送風機15が駆動されることによって、空気吸引部11から吸気された空気は通気路13を介して空気排出部12から室内上方へと送られる。
通気路13の途中であって空気排出部12の直前には加熱装置であるヒータ14が設けられている。このヒータ14は吸い込まれた臭い(空気)を加熱するためのものである。一般的に熱せられた気体はより上方(高いところ)へと移動する性質があることから、送風装置1が吸い込んだ臭いを天井面へと送風する。天井面に設けられた換気装置3は、その吸込口から天井近辺の屋内空気を吸込み、屋外へと排気する。したがって、送風装置1から天井面へと排気される臭いは、天井面に設置された換気装置3にて吸込まれ、屋外へ排気される。ヒータ14によって送風装置1に吸い込まれた空気が加熱されると、空気排出部12が送風装置1の上面に設けられていることと相まって吸い込まれた空気(臭い)をあまり拡散させることなく天井の換気装置3へと送り出すことができる。
送風装置1には、さらに送風制御部16が設けられている。この送風制御部16は、送風装置1内部のヒータ14や送風機15の制御を行うとともに、後述する送風装置1の動きに関連させて室内に設置される空気調和機2の運転制御を行う。送風制御部16には、図1には示されていないタイマ17も設けられており、送風装置1内部のヒータ14等の制御や空気調和機2の運転制御の際に使用される。
空気吸引部11の直後の通気路13には、脱臭手段18が設置されている。本発明の実施の形態における排気システムSでは、送風装置1、空気調和機2及び換気装置3が連動して発生した臭いの除去を行うため、最終的には換気装置3によって室内から屋外へと臭いが排気される。従って、送風装置1は単に発生した臭いを室内上方へと送るだけの役割であっても良いが、本発明の実施の形態における送風装置1の内部には、脱臭手段18を設置している。
上述したように換気装置3による換気が行われるものの、吸い込まれた臭い(空気)は送風装置1から換気装置3への移動中に、室内を通り抜けることになる。従って、おむつ交換等を行う従事者、或いは、同室の者のことを考慮すれば臭いが少ないに越したことはない。従って、送風装置1本体内部に脱臭手段18を設けて少しでもその臭いを除去することとしている。脱臭手段18は、例えば、活性炭やゼオライト等の吸着材で構成されるが、その材質はどのようなものであっても良く、送風装置1が使用される環境に合わせて自由に選択することができる。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る排気システムを構成する各機器の内部構成及びその関係を示すブロック図である。上述したように、送風装置1に関しては、タイマ17を含む送風制御部16がヒータ14、送風機15を制御することで、送風装置1全体の制御を行っている。さらに送風制御部16は送信部19と接続されており、この送信部19を介して送風装置1の動きに合わせて空気調和機2に対して制御信号を送信する。
なお、送風装置1の送風制御部16から空気調和機への制御信号の送信は、本実施形態においては赤外線信号を用いた無線で行われるが、有線を介して送信する方式であっても良い。
空気調和機2は、図1の排気システムSの全体図に示されるように、室内の天井に埋め込まれて設置される。空気調和機2は、室内の空調を行う。図1では、室内の空気を吸気する向き、及び、熱交換された空気を室内に供給する向きをそれぞれ矢印で示している。また、図1では空気調和機2は1台設置されているのみであるが、室内に複数台設置されていても構わない。
空気調和機2は、図3の内部構成を示すブロック図に示すように、室内機2Aと室外機2Bとから構成されている。室内機2Aと室外機2Bとは冷媒回路Cによってそれぞれ接続されている。室内機2Aは室内に、室外機2Bは建物の外に設置され、両者の間には建物の壁Wが存在する。
室外機2B内には、低温低圧の冷媒を吸入して圧縮し、高温高圧の冷媒を吐出する圧縮機21と、この圧縮機21の吐出側に一端が接続された四方弁22と、この四方弁22の他端に室外ファン(図示せず)を備える室外熱交換器23が接続される。室外熱交換器23には、さらに絞り機構24が接続され、絞り機構24を通った冷媒は室内機2A内の室内熱交換器25に入る。室内熱交換器25には室内ファン26が備えられている。室内ファン26は、羽根26aと羽根26aを回転させる電動機26bから構成され、羽根26aが回転することによって、冷風、或いは、温風を室内に送風する。室内熱交換器25出た冷媒は、再度四方弁22を介して圧縮機21に戻る。
これら圧縮機21、四方弁22、室外熱交換器23、絞り機構24、室内熱交換器25は、それぞれが配管Pによって連結され、冷媒回路Cを構成する。なお、冷媒回路C内を流通する冷媒には、例えば、R410AやCO2といった冷媒が使用されるが、この冷媒の種類については制限はない。
空気調和機2は、空調機制御部27によって制御される。具体的には、室温、設定温度、運転モード及び運転/停止指令に基づき、圧縮機21の駆動を制御するインバータ28や室内ファン26に対してその運転・停止や回転数指令等の制御信号を送信することで制御する。さらに、本実施形態においては、空気調和機2は、送風装置1(送風制御部16)からの制御信号を受信部29で受信し、その制御信号に基づいて空調機制御部27が空気調和機2の制御を行う。
換気装置3は、図3の内部構成を示すブロック図に示されているように、換気装置3を運転制御する換気制御部31と、換気制御部31からの信号を受けて回転し換気を行う換気送風機32とが備えられている。換気送風機32は、羽根32a及びこの羽根32aを回転させる電動機32bから構成されている。換気送風機32が回転することによって、図1または図3の矢印に示すように、吸込口33から吸い込まれた室内の空気がへと送られ、室内の換気がなされる。
換気装置3は、換気制御部31によって制御される。具体的には、1日中(24時間)換気を行うために、換気制御部31は、特別な操作で停止されない限り、換気送風機32を常にON(運転)させている。
図4は、本実施形態に係る排気システムSの制御の流れを示すフローチャートである。また、図5は、同実施形態に係る排気システムSを構成する各機器の制御状態を示すタイムチャートである。
なお、図5及び後述する他の実施形態の図8、12及び図13のタイムチャートは、縦軸に排気システムSを構成する各機器のON、OFFが示されている。また、その横軸は時間を示している。
送風装置1は、電源がONされて運転が開始されるまで待機状態にある(図4のST1)。具体的な使用態様としては、例えば、従事者が、図1に示す台車A上に載置された送風装置1をおむつの交換が必要な者が寝ているベッドBの近傍まで移動させ、おむつの交換の前に従事者が送風装置1の運転を操作ボタン等を操作してオンする。送風装置1の運転が開始されると(ST1のYES)、送風制御部16は送信部19を介して空気調和機2へ制御信号を送信する。
空気調和機2に対して送信される制御信号は、おむつの交換の開始から所定の期間、その運転をOFFとするように指令する信号である(ST2)。空気調和機2は、室内に室内ファン26を利用して熱交換された空気を室内に供給している。一方、上述したように、送風装置1は、空気吸引部11から吸い込んだ空気(臭気)を送風装置1の上面に設けられた空気排出部12から天井に向けて排気する。また、この排気される空気(臭い)に対してはヒータ14で加熱して、より天井へと上昇させやすくしている。
このような状況において、空気調和機2から室内に対して空調、すなわち、温調空気の送風、が行われると、せっかく送風装置1から上方に向けて排気された空気が室内で攪拌されてしまう。攪拌された空気は室内の低い位置に戻ってしまい、従事者や他の同室の者に対して臭いを拡散させてしまうという不都合が生じる。そこで、おむつ交換は一時のことであるので、その間空気調和機2の運転をOFFとし、空気調和機2の室内ファン26を停止させることで、送風装置1から排気された空気が確実に天井へと移動し、そこに滞留できるようにするものである。
空気調和機2の運転がOFFされた状態で、換気装置3は、送風装置1が上方に排気した空気を拡散させることなく吸込口33から吸い込んで屋外へと排気する。
送風制御部16は、空気調和機2へ制御信号を送信するとともに、自身のヒータ14及び送風機15に対して運転を開始させる(ON)(ST4)。これにより、ヒータ14は加熱を開始し、送風機15は電動機15bが羽根15aの回転を開始する。このように送風装置1の各部が駆動を開始することによって、ベッドB上の吸込部11a近傍の空気は天井へと移動する。
図5に示すタイムチャートには、上述した各機器の運転状態が示されている。送風装置1がONされることによって、送風装置1内のヒータ14及び送風機15はON、換気装置3はON、空気調和機2のみがその運転を停止(OFF)することになる。
送風制御部16は、おむつの交換が終了して従事者によってOFFされるまでは上述した状態のまま待機する(ST5のNO)。おむつの交換が終了すると、従事者は、送風装置1の操作ボタン等を操作して運転を終了させる(ST5のYES)。
その後、送風制御部16は、タイマ17に「Tm」の時間の計測を開始するよう指示する(ST6)。このタイマ17が計測する時間は、後述する排気システムSの一連の動作が全て終了するまで計測され、適宜排気システムSの制御に使用される。その意味では、この「Tm」はある所定の長さの時間が設定されるのではなく、単に計時しているに過ぎないことを示している。
併せて、ヒータ14をOFFする(ST7)。この状態では送風機15は未だ駆動されている。そのことが図5のタイムチャートに示されている。これは、送風装置1の運転終了操作後すぐにヒータ14及び送風機15をOFFすると、送風により冷却されていたヒータ4周辺が過熱することを防止するためである。
ヒータ14がOFFされた後、タイマ17が計測しているTmが予め定められた時間「Ts1」を越えたか否かが送風制御部16内において判断される(ST8)。この時間「Ts1」は、送風機15を停止させたとしてもヒータ4の予熱による悪影響が生じない値に設定される。「Ts1」が経過すると(ST8のYES)、送風制御部16は、送風機15を停止(OFF)させ(ST9)、送風装置1の運転を完全に停止させる。
さらに、送風制御部16は、タイマ17が計測する時間Tmが予め定められている時間「Ts2」を経過したか否か判断する(ST10)。この時間「Ts2」は、空気調和機2の運転を再開(ON)させるタイミングを決定するものである。換気装置3の換気能力によるが、送風装置1が運転を停止しても、送風装置1が排気した空気は、その一部が例えば、図1に示すように天井に滞留していることが考えられる。これら滞留している空気を全て屋外へと排気しなければ室内に臭いが残ってしまうことになる。従って、送風装置1が運転を停止した後も「Ts2」の時間が経過するまで空気調和機2の運転を開始させない。
タイマ17が計測する時間が「Ts2」を経過した場合には(ST10のYES)、空気調和機2に対して運転停止を解除し、運転を再開させる制御信号を送信する(ST11)。所定の時間「Ts2」が経過すれば天井に滞留していた空気も換気装置3の運転によって全て屋外に排気されていると考えられ、この状態であれば空気調和機2が室内の空調を行っても臭いが室内を循環してしまうことはないからである。
なお、「Ts1」、「Ts2」のいずれも送風装置1が使用される環境、例えば、部屋の広さ、換気装置3の換気能力等に合わせて任意にその時間を設定することができる。
図5に示すタイムチャートでは、上述した、送風装置1の送風機15が停止した後、一定時間(=Ts2−TS1)が経過した後に空気調和機2がONされる様子が示されている。
その上で、送風制御部16は、タイマ17の計時を停止し、リセットする(ST13)。これによって、おむつの交換に伴う室内の空気の排気が完了する。
以上説明したように、送風装置1、空気調和機2及び換気装置3からなる排気システムSにおいて、送風装置1(送風制御部16)が空気調和機2を制御し、これらが連動して運転されることによって、おむつの交換時等に発生する生活気を短時間で確実に、安価に除去することのできる送風装置及び排気システムを提供することができる。
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、上述の第1の実施形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
この実施形態においては、第1の実施形態と異なり、換気装置3は、通常はOFFの状態にあり、送風装置1からの制御信号を受信してONの状態となる。また、送風装置1の送風制御部16は、ヒータ14、送風機15、空気調和機2の制御に加え、換気装置3のオン、オフの運転制御を行う。送風制御部16内のタイマ17は、送風装置1内部のヒータ14等や空気調和機2の制御に加え、換気装置3の運転制御にも使用される。
このため、この第2の実施形態においては、図6に示すように換気装置3は、送風装置1の送風制御部16からの制御信号を受信部34で受信し、その制御信号に基づいて換気制御部31が換気装置3のオン、オフの制御を行う。なお、送風制御部16から換気装置3への制御信号の送信は、赤外線信号を用いた無線で行われるようにしているが、有線を介して送信する方式であっても良い。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る排気システムSの制御の流れを示すフローチャートである。また、図8は、本発明の第2の実施の形態に係る排気システムSを構成する各機器の制御状態を示すタイムチャートである。
送風装置1の運転が開始されると(ST1のYES)、送風制御部16は送信部19を介して空気調和機2及び換気装置3へ制御信号を送信する。
空気調和機2に対して送信される制御信号は、その運転をOFFとするように指令する信号である(ST2)。ほぼ同時に送風装置1は、換気装置3に対してON(運転開始)の信号を送信する(ST3)。この信号により、換気装置3はONし、送風装置1が上方に排気した空気を吸込口33から吸い込んで屋外へと排気する。さらに、送風制御部16は、ヒータ14及び送風機15に対して運転を開始させる(ON)(ST4)。
図8に示すタイムチャートには、上述した各機器の運転状態が示されている。送風装置1がONされることによって、送風装置1内のヒータ14及び送風機15はON、換気装置3もON、空気調和機2のみがその運転を停止(OFF)することになる。
送風制御部16は、おむつの交換が終了して運転が終了されるまでは上述した状態のまま待機する(ST5のNO)。おむつの交換が終了すると、従事者の操作等により送風装置1の運転は終了する(ST5のYES)。その後、送風制御部16は、タイマ17に対して「Tm」の時間の計測を開始するよう指示し(ST6)、ヒータ14をOFFする(ST7)。ヒータ14がOFFされた後、タイマ17が計測しているTmが予め定められた時間「Ts1」を越えたか否かが送風制御部16内において判断される(ST8)。この時間「Ts1」は、送風機15を停止させるか否かを判断するためのものであり、「Ts1」が経過すると(ST8のYES)、送風制御部16は、送風機15を停止(OFF)させる(ST9)。
さらに、送風制御部16は、タイマ17が計測する時間Tmが予め定められている時間「Ts2」を経過したか否か判断する(ST10)。この時間「Ts2」は、空気調和機2の運転を再開させ、換気装置3を停止(OFF)させるタイミングを計る目安となる時間である。すなわち、送風装置1が運転を停止した後も「Ts2」の時間が経過するまで空気調和機2は運転を再開させず、換気装置3の運転を継続させる。
タイマ17が計測する時間が「Ts2」を経過した場合には(ST10のYES)、空気調和機2に対して運転停止を解除するため、送風制御部16は、運転を再開させる制御信号を送信する(ST11)。また、換気装置3へも制御信号が送信され、その運転が停止(OFF)される(ST12)。上述したように、所定の時間「Ts2」が経過すれば天井に滞留していた空気も全て室外に排気されていると考えられ、換気装置3を停止しても問題はない。
図8に示すタイムチャートでは、上述した、送風装置1の送風機15が停止した後、一定時間が経過した後に空気調和機2がONされ、反対に換気装置3はOFFされる様子が示されている。
その上で、送風制御部16は、タイマ17の計時を停止し、リセットする(ST13)。これによって、おむつの交換に伴う室内の空気の排気が完了する。
以上説明したように、送風装置1、空気調和機2及び換気装置3からなる排気システムSにおいて、送風装置1(送風制御部16)が空気調和機2及び換気装置3を制御し、これら3者が連動して運転されることによって、おむつの交換時等に発生する生活気を短時間で確実に、安価に除去することのできる送風装置及び排気システムを提供することができる。
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、上述の第1、2の実施形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
上述した第1、2の実施の形態においては、送風装置1が排気システムSを構成する他の空気調和機2及び換気装置3の運転制御を行うこととしていたが、第3の実施の形態においては、図9に示すように空気調和機2及び換気装置3を運転制御する中央制御部40が設けられている場合である。
病院や介護施設によっては、各部屋に設置されている複数の空気調和機2及び換気装置3が1カ所の中央制御部40によって集中的に管理されている場合がある。このようなシステムの場合には、送風装置1が空気調和機2及び換気装置3の運転制御を行うよりも、中央制御部40によって、送風装置1と空気調和機2及び換気装置3を連動制御する方が簡単である。
従って、第3の実施形態における送風装置1は、あくまでも送風装置1の運転の状態(ON、OFFの状態)を中央制御部40(実際には中央制御部40に接続される受信部41)に送信するに止まる。中央制御部40は、受信した送風装置1からの信号を基に空気調和機2及び換気装置3の制御を行う。
送風装置1から中央制御部40へ送信される運転状態の信号は、赤外線などの無線で実施される。これは、送風装置1を移動可能としているため、有線ではその配線処理が困難なためである。しかしながら、通信に電力線搬送を使用すれば、送風装置1への配線は電源線のみですむため問題がない。一方、空気調和機2及び換気装置3は屋内に固定された設備であることから、中央制御部40との間の通信は有線が用いられる。
さらに、第3の実施形態における換気装置3の運転能力は複数段に切り換えることができる仕様とされ、少なくとも「OFF」、「弱風運転」、「強風運転」の3段階に切り換えることができる。
以下、第3の実施形態における排気システムSの運転制御について、図10ないし図12に示すフローチャート、或いはタイムチャートを利用して説明する。ここで、図10は、第3の実施形態に係る「送風装置の制御の流れ」を示すフローチャートである。一方、図11は、「中央制御部の制御の流れ」を示すフローチャートである。タイムチャートに関しては、図12は、換気装置3が送風装置1の運転開始時に「弱風運転」をしている場合を示し、図13は、換気装置3が送風装置1の運転開始時に「OFF」の状態にあった場合を示している。
まず、送風装置1の運転が開始操作されたか否かが送風制御部16において判断される(図7のST21)。送風装置1の運転が開始されると(ST21のYES)、送風装置1の運転が開始されたことを示す情報が赤外線信号により送信部19、受信部41を介して中央制御部40に送信される(ST22)。これは、送風装置1の運転開始に伴って、中央制御部40によって空気調和機2の運転を停止させるとともに及び換気装置3の運転制御を行うためである。
続いて送風装置1は、ヒータ14及び送風機15の運転を開始する(ST23)。これによって、おむつを交換する際の送風装置1の準備は整ったことになる。おむつの交換中はこのまま空気吸引部11から空気を吸い込み空気排出部12から天井に向けて一度脱臭された空気を排気する。
次に、図11のフローチャートを使用しつつ、中央制御部40の制御の流れを説明する。上述したステップST22において送風制御部16が送風装置1が運転を開始したことを示す信号を中央制御部40へ送信すると、中央制御部40の受信部41がその信号を受信する(ST41)。送風装置1からの信号が受信されるまでは(ST41のNO)、図示していないが、中央制御部40は通常通り送風装置1の運転とは関係なく空気調和機2と換気装置3を制御する。
中央制御部40は、送風装置1から運転開始を示す信号を受信すると(ST41のYES)、おむつ交換が開始されたと判断し、空気調和機2の運転を停止するよう、空気調和機2に信号を送信する(ST42)。この信号を受信した空気調和機2は、その運転を停止(OFF)する。
また、換気装置3に対しては、現在の運転能力の如何に拘わらず強風運転のモードへと切り換えるように信号を送信する(ST43)。ここで、換気装置3の運転能力を強風運転に切り換えるのは、弱風運転まして換気装置3自体が停止(OFF)の状態にある場合に、その状態のままでは送風装置1から排気される空気を素早く屋外へと排気することが難しいからである。
図12、或いは、図13に示すタイムチャートには上述した各機器の動きが示されている。ここでは送風装置1の運転開始(ON)に伴って、ヒータ14及び送風機15がONされる。併せて、送風装置1からの信号を受信した中央制御部40によって空気調和機2はその運転を停止(OFF)し、一方、換気装置3は強風運転へと運転状態を変化される。なお、上述したように、図12は送風装置1の運転開始時に換気装置3が弱風運転にある場合を示しており、図13では、送風装置1の運転開始時に換気装置3が停止(OFF)している場合を示している。
以上説明した状態で、中央制御部40は送風装置1から運転終了の信号が送信されてくるまで待機状態となる(ST44)。
次に、図10のフローチャートに戻り、おむつの交換が終了し、送風装置1の運転がOFF(運転終了)される状態になると(ST24のYES)、送風制御部16は、タイマ17に対して「Tf」の時間の計測を開始するよう指示する(ST25)。このタイマ17が計測する時間は、後述する排気システムSの一連の動作が全て終了するまで計測され、適宜排気システムSの制御に使用される。その意味では、この「Tf」はある所定の長さの時間が設定されるのではなく、単に計時しているに過ぎないことを示している。
送風制御部16は、まずヒータ14をOFFし(ST26)、所定の時間「Tfs」が経過したか否かを判断する(ST27)。この所定の時間「Tfs」は、第1の実施形態におけるTs1と同じ機能を果たすもので、送風機15を停止(OFF)させるためのタイミングを決定するための時間である。
「Tfs」の時間が経過したと判断された場合には(ST27のYES)、送風機15をOFFさせ(ST28)、続いてタイマ17をリセットする(ST29)。そして、送風装置1の運転終了の旨の信号を中央制御部40に対して送信する(ST30)。これによって、送風装置1は全ての機能が終了する。
一方、図11のフローチャートに示されるように、送風装置1から運転終了の信号を受信した中央制御部40は(ST44のYES)、内部のタイマ(図示せず)にて時間「Tm」の計測を開始し(ST45)、その後、タイマが計測する時間Tmが予め定められている時間「Ts2」を経過したか否か判断する(ST46)。この時間「Ts2」は、第1、第2の実施形態の「Ts2」と同じで、空気調和機2の運転再開、換気装置3を停止(OFF)または弱風に戻すタイミングを計る目安となる時間であるが、値としては第1、2の実施形態におけるTs2−Ts1に相当する。
上述したように送風装置1が運転を停止した直後には、送風装置1が排気した臭いを含む空気が天井付近の滞留していることが考えられる。従って、送風装置1が運転を停止した後も「Ts2」の時間が経過するまで空気調和機2の運転再開は行わず、換気装置3を停止または弱風としない。
タイマが計測する時間が「Ts2」を経過した場合には(ST46のYES)、中央制御部40は、空気調和機2に対して運転停止を解除し、運転再開させる制御信号を送信する(ST47)。所定の時間「Ts2」が経過すれば天井に滞留していた空気も全て屋外に排気されていると考えられるからである。
また、換気装置3へも制御信号が送信され、その運転が停止(OFF)、或いは、弱風運転を行うようにされる(ST48)。これは、送風装置1が運転中は空気調和機2が停止していたことにより、室温が低下または上昇してしまったことに対処するためのもので、空気調和機2の運転再開直後は、換気装置3による換気量を少なくして、早めに室温を設定温度に到達させて、室内の快適性を向上させるためである。
なお、24時間換気を設定している場合には、換気装置3を停止(OFF)させることは望ましくないので、ステップST48では、弱風運転が設定される。
この状態で、その状態で、予め定められている所定の時間「Ts3」が経過した場合には(ST49のYES)、室内の空調は十分に行われたと判断され、換気装置3の風量を元に戻す指令が中央制御部40から送信される(ST50)。所定の時間「Ts3」は、対象となる部屋の広さ、空気調和機の能力によって最適値が異なるが、一般的には20分程度が設定される。
なお、風量を元に戻す際の、元の風量とは、送風装置1の運転前の換気装置3の風量を意味し、送風装置1の運転前の換気装置3が停止(OFF)であった場合は、停止となり、弱風運転中であった場合は、弱風運転となる。
その後、中央制御部40は内部のタイマをリセットしておむつ交換に伴う運転処理が終了する(ST51)。以後、スタートへと戻り、送風装置1からの運転開始信号が受信されるまで、空気調和機2及び換気装置3の通常の運転を行う。
以上説明したように、送風装置1、空気調和機2及び換気装置3からなる排気システムSにおいて、中央制御部40が送風装置1からの信号を基に空気調和機2及び換気装置3を制御し、これら3者が連動して運転することによって、おむつの交換時等に発生する生活気を短時間で確実に、安価に除去することのできる送風装置及び排気システムを提供することができる。
(第4の実施の形態)
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、上述の第1ないし第3の実施形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
第4の実施の形態では、図14に示すように中央制御部40に臭いセンサ42が接続されている点で、上述した実施形態と相違する。この臭いセンサ42は、例えば、各室内の天井近くに空気調和機2、或いは、換気装置3と同様に設置されている。
これまで送風装置1の停止後、どの時点まで空気調和機2の運転を停止し、換気装置3を(強風)運転するかについては、中央制御部40が所定の時間の経過(「Ts2」)を判断した上で空気調和機2の運転再開及び換気装置3の弱風運転または停止を決定していた(図11のフローチャートに示すステップST46)。第4の実施形態においては、空気調和機2及び換気装置3の運転状態移行をこのタイマを利用した時間の情報を基に判断するのではなく、実際に天井に滞留している臭いがあるレベル以下となったか否かという臭いセンサ42による検出結果を基に判断する点がこれまでと相違する。
従って、臭いセンサ42は逐次自身が設置されている付近の臭気について検出し、中央制御部40にその検出結果を送信するようになっている。
図15は、第4の実施形態に係る中央制御部の制御の流れを示すフローチャートである。上述したように、空気調和機2及び換気装置3の運転状態移行をタイマではなく、臭いセンサ42からの検出結果に基づいて判断することから、そのステップのみが第3の実施の形態に示す中央制御部の制御の流れと相違する。なお、送風装置1の制御の流れは、上述した第3の実施の形態における制御と同一であることからここではその説明を省略する。
具体的には、送風装置1から運転終了の信号を受信した後のステップである(それまでのステップは図11のフローチャートに示すステップST41ないしステップST44である)。中央制御部40は、臭いセンサ42から送信される検出値(検出結果)が所定値よりも小さな値であるか否かを判断する(ST61)。この判断を基に、所定値よりも検出値が大きければ(ST61のNO)、未だ臭いセンサ42が設置されている周辺、すなわち、天井付近には臭気が滞留していると判断し、空気調和機2の運転停止、換気装置3の強風運転を継続することになる。
一方、所定値よりも検出値が小さくなれば、臭気が許容できる範囲以下となった、と判断できるので(ST61のYES)、中央制御部40は図示しないタイマに時間の計測を指示する(ST45)。この後のステップは、第3の実施形態にて説明した通りである(ST47ないしST51)。
以上説明したように、送風装置1、空気調和機2及び換気装置3からなる排気システムSにおいて、中央制御部40が送風装置1(送風制御部16)からの信号を基に空気調和機2及び換気装置3を制御し、これら3者が連動して運転されることによって、おむつの交換時等に発生する生活気を短時間で確実に、安価に除去することのできる送風装置及び排気システムを提供することができる。
特に臭いセンサを設けたことによって、確実に臭いが減少した状態で空気調和機の運転が再開されるため、空気調和機の送風による室内への臭いの攪拌が防止でき、従事者の負担をより一層軽減させることができる。
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。