JP5469929B2 - 核酸分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、試料から蛍光検出する検出ユニットを備えた核酸分析装置に関し、蛍光色素を有する基準試料を用いて装置の器差や光学系構成部品の経時変化による検出感度を補正し、高精度な蛍光測定を実現する。
一般に核酸増幅法では、核酸標識に蛍光色素を使用し、蛍光強度変化を経時的に追跡することで核酸を含む試料の解析を行う。このような蛍光強度変化を経時的に測定するための核酸分析装置が開発されている。
分析装置においては、発光ダイオードを光源とする場合、一般に輝度を設定値に保つために定電流回路を設けることも考えられるが、前記発光ダイオードは、使用電流及び環境温度により経時劣化の速度が異なるが、経時と共に輝度が減少する。
また、輝度の減少を抑えるために発光ダイオードによる励起光の一部の光を検出素子で検出し、前記検出素子において受光光量に比例した電流を用いて、発光ダイオードへ供給する電流を調整し、輝度を一定にすることが知られている。
特開2003−344266号公報
核酸分析装置においては、ダイナミックレンジが大きく、極低濃度試料の微小な蛍光信号を十分に検出可能な感度が必要である。
本発明の目的は、光源である発光ダイオードの経時劣化以外の要因となる、光学フィルタ,レンズ,反応容器による光学系の構成部品の経時変化による影響も含めて、蛍光色素を有する一定濃度の基準試料を用いて、基準試料の発する蛍光光量を一定に調整することで、光学系を構成する部品の経時変化による検出感度の低下を補正し、高精度な測定を実現することにある。また、基準試料を用いることで、同一の測定試料を装置の器差なく測定結果が得ることが可能となる。また、本発明の目的は、蛍光光量を安定させることである。
本発明は、ディスク状のカローセルの試料ホルダに蛍光色素を有する基準となる試料を収納した反応容器を設置し、光源である発光ダイオードを常時点灯させたまま、前記カローセルが円周方向に回転しながら、前記反応容器が検出ユニットを通過時に発する蛍光を蛍光検出素子で検出し、連続で複数の試料を分析するための核酸分析装置において、前記基準試料が検出ユニットを通過する度に、基準試料の蛍光光量信号出力が設定した基準値に一定となるように、発光ダイオードの電流を調整することを特徴とする。
本発明によれば、光学系の構成部品の経時変化による検出感度の低下を防ぎ、また、装置間の器差が補正できることで、高精度な蛍光測定が可能な核酸分析装置及び方法を実現することができる。
発光ダイオードの寿命が延びることで、感度の仕様を満足する時間が延長される。
本発明による分析装置の主要部であるリーディングユニットの第1の例を示す概略構成図である。 本発明による分析装置の主要部であるリーディングユニットの第2の例を示す概略構成図である。 本発明による分析装置のカローセルの温度制御機構の例を示す図である。 本発明による分析装置の試料の光学的特性の測定方法を示す図である。 本発明による分析装置のデータ処理部の内部構成図である。 本発明による分析装置の蛍光光量信号処理と蛍光光量補正のフローチャートである。 発光ダイオードの順電流別の寿命データである。 発光ダイオードの順電流−相対光度特性図である。 発光ダイオードの周囲温度−相対光度特性図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態である核酸分析装置の主要部であるリーディングユニットの概略構成図である。図1において、発光ダイオード2より放出された光は、第1レンズ3により平行光となり、励起用バンドパスフィルタ4により余分な波長域をカットした後、第2レンズ7でカローセル8の試料ホルダに支持されている透明な容器の反応容器9内のサンプルに集光される。また、励起光の一部は、励起用バンドパスフィルタ4後段に配置されたハーフミラー5により、励起光モニタ用検出素子6上に照射される。
反応容器9は、ディスク状のカローセル8に収納されており、カローセル8を回転させるためのモータ25は、モータ駆動回路26により駆動される。このモータ駆動回路26は、データ処理部19により回転速度が指定され、指定された回転速度となるようにモータを駆動する。指定された回転速度でカローセル8が回転を始めると、第2レンズ7から集光された励起光を通過する際に反応容器9から蛍光を発する。
反応容器9から発せられる蛍光は、第3レンズ10により平行光となり、蛍光用バンドパスフィルタ11により余分な波長域をカット後、第4レンズ12で蛍光検出素子13に照射される。蛍光を蛍光検出素子13によって検知することにより、試料の光学的特性を測定する。
蛍光検出素子13からの検出信号は、蛍光用AMP15により増幅される。マルチプレクサ17において励起光用AMP16の信号か蛍光用AMP15の信号か選択され、ADC18によりAD変換される。ADC18は、タイマーからの信号より一定周期でAD変換を行う。タイマーの周期はデータ処理部により指定される。
ADC18からのデータは、励起光量をモニタする励起光データと蛍光光量をモニタする蛍光データがデータ処理部19で読み取られる。
データ処理部19で読み取った蛍光光量データは、データ処理後に発光ダイオード2に流す電流値を設定しDAC20によりDA変換される。DAC20はタイマーからの信号により一定周期でDA変換を行う。タイマーの周期はデータ処理部19により指定される。
DA変換された出力は、コンパレータ21の入力に接続し、コンパレータ21のもう一方に入力される発光ダイオード2の電源電圧を供給する基準電圧23とした発光ダイオード2に流れる電流の検出抵抗24にかかる電圧と比較し、その差分に応じた電圧を発光ダイオード2と直接接続されたトランジスタ(FET)22の制御端子に出力して発光ダイオード2に流れる電流を増幅させる。
図2を参照して、本発明によるリーディングユニット1の例を説明する。本例のリーディングユニット1は、ディスク状のカローセル8と、カローセル8を回転させるための回転機構27とカローセル8の円周に沿って配置された少なくとも1つの検出ユニット14と、検出ユニット14の光源である発光ダイオード2の輝度を調整するための蛍光色素を有する基準試料が収納された反応容器34と、カローセル8の回転位置を検出するためのフォトインタラプタ31と、反応容器9を搬送するグリッパ32とを有する。
カローセル8は、円板状のアルミ合金製のディスクによって構成され、中心軸線回りに回転可能である。カローセル8上には、周状の縁に沿って、多数の試料ホルダ28と遮光板30が設けられている。試料ホルダ28には、分析対象である試料溶液が収納された反応容器9が保持され、試料ホルダ28と同数の遮光板30が設けられている。試料ホルダ28と遮光板30はカローセル8の縁に沿って等間隔(等角度)に配置されている。図示のように、遮光板30は試料ホルダ28に対向するように、試料ホルダ28の間に配置されている。
遮光板30とフォトインタラプタ31によって、カローセル8の回転速度及び回転角度を検出するための回転位置検出機構が構成される。フォトインタラプタ31は、発光素子と受光素子が対向しているものである。遮光板30が通過するとき、発光素子の光は遮光板30にて遮断される。遮光板30はカローセル8の試料ホルダ28間に設けられており、カローセル8の回転速度と回転位置を知ることが可能である。フォトインタラプタ31の出力により、蛍光測定のサンプリング開始のタイミングを計る。
検出ユニット14はカローセル8の円周に沿って等間隔に配置されている。図2の例では、5個の検出ユニット14が設けられているが、5個以外の数の検出ユニット14を設けてもよい。検出ユニット14は交換可能であり、着脱が自由である。
回転機構27は、ステッピングモータ25を有し、ステッピングモータ25の回転をベルトにてカローセル8に伝え、カローセル8を回転させる。ステッピングモータ25を用いることにより、カローセル8を一定の速度で回転させることができる。また、ステッピングモータ25を用いることで、所望の回転角度だけ回転させることが可能である。試料ホルダ28に保持された反応容器9の数をnとするとき、カローセル8を1/n回転ずつ(360/n度)回転させることができる。
本実施の形態のカローセル8は、検出ユニット14の発光ダイオード2の輝度を調整する基準試料を有する反応容器34を少なくとも1つを備えている。
この基準試料は、濃度が既知のものである。カローセル8が一定速度で回転し、検出ユニット14を通過する度に、即ち、1回転する度に、蛍光測定を行う。測定結果から得られた蛍光光量と設定される蛍光量との比較をデータ処理部で行い、発光ダイオードに流れる電流を設定する。発光ダイオードに流れる電流は基準試料から発する蛍光光量が規定値になるように輝度調整による補正を行う。基準試料34により輝度調整された発光ダイオードの電流は、カローセル8が1回転して次に検出ユニット14を通過するまで設定した値を維持する。分析対象である試料溶液が収納された反応容器9が、検出ユニット14を通過する間は、発光ダイオード2の輝度調整は行わない。
グリッパ32は、分析対象である試料溶液が収納された反応容器9を試料ホルダ28へ搬送し、分析が完了した反応容器を廃棄穴33まで搬送する。
図3を参照して、カローセル8の温度制御機構について説明する。本例では、反応容器9内の試料を設定する温度に制御するラバーヒータ35と、反応容器内の試料の温度をモニタするサーミスタ36を有する。カローセル8の内側面に設置し、温度モニタ用のサーミスタ36の出力をデータ処理部19でデータ処理することで、カローセル8全体の温度をPI制御し、反応容器9内の試料温度を設定値に調整する。反応容器9内の試料温度を設定値にすることで試料から発する蛍光光量が安定した状態で検出可能となる。また、検出ユニット14は温度制御されたカローセル8から熱伝導により、同時に恒温化されるため、検出ユニット14内の発光ダイオード2も温度が一定に安定し、基準となる試料の反応容器34の蛍光光量を規定値に保つことが可能である。つまり、カローセル8を恒温化することにより、試料から発する蛍光光量が安定し、LEDの寿命がのびる。
図4を参照して、本発明による試料の光学的特性を測定する方法について説明する。分析対象である試料溶液が収納された反応容器9を試料ホルダ28に装着したら、カローセル8の速度を一定で回転させる。カローセル8の周囲には、5個の検出ユニット14が配置されている。検出ユニット14からは、常時発光ダイオード2からの励起光がカローセル8に照射されており、カローセル8が回転し、試料を含む反応容器9が頭上を通過すると、各検出ユニット14は反応容器9からの蛍光を測定する。蛍光測定を行うタイミングは、遮光板30がフォトインタラプタ31の発光素子から発する光を遮光しないとき、即ち、採光(1)すると、フォトインタラプタ31の受光素子に発光素子の光が採光(1)されるとき、フォトインタラプタ31の出力は、ローレベル(3)からハイレベル(4)に移行する。フォトインタラプタ31の出力がハイレベル(4)になると、待ち時間(5)経過後に一定のサンプリング時間(6)、蛍光光量のサンプリング処理41を開始する。検出ユニット14上を通過する反応容器9は、サンプリング時間(6)内に検出ユニット14通過するような位置となるような構造となっている。
サンプリングされたデータは反応容器9がカローセル8の試料ホルダ28に保持され回転しているために、検出ユニット14から照射される光の中心を通過するとき、サンプリングされたデータ(7)の蛍光光量が最大となるような蛍光光量信号のカーブで取り込まれる。サンプリング終了後に、ピーク検出処理47でメモリ40に保存されたデータが処理され、ピーク検出を行う。カローセル8の試料ホルダ28は円周状に等間隔であり、カローセル8を一定速度回転させるため、トリガ間隔(9)は一定間隔となる。
本発明の実施形態においては、蛍光を有する基準試料が収納された反応容器34が、検出ユニット14を通過する度に基準試料の反応容器34の蛍光光量を測定し、データ処理部19で図4のA点のようにピーク値を算出し、算出した蛍光光量(7)のピーク値が基準値に一定となるように、発光ダイオード2に流れる電流を調整し、蛍光光量を補正するものである。
基準試料が収納された反応容器34においては、蛍光測定後、基準試料の反応容器の蛍光光量を基準値に調整する処理を行うが、これについては後に、図5,図6を参照して説明を行う。
カローセル8の動作サイクルは、カローセル8を停止させ、反応容器9を排出,搬送,架設する容器設定期間と、カローセルを一定速度で回転させながら、蛍光を測定する蛍光測定期間とからなる。容器設定期間と蛍光測定期間の長さは一定であり、所定の周期にて繰り返す。本発明の実施形態においては、容器設定期間は10秒、蛍光測定期間は一回転20秒とし、1サイクル30秒で連続測定をおこなう。
より具体的には、次のような動作を繰り返す。(a)回転・検出→(b)排出・搬送→(c)発光ダイオード2に流れる電流の調整と、(a)→(b)→(c)→(a)→(b)→(c)→(a)・・・と繰り返す。
カローセル8が一回転する毎に、反応容器9は円周状に配置された全ての検出ユニット14を通過する。各検出ユニット14には、測定すべき波長の蛍光が割り当てられている。各検出ユニット14は、自身に割り当てられた波長の蛍光を独立的に検出する。そのため、カローセル8が1回転すると、各試料に含まれる5つの成分を分析することができる。各反応容器9には、同一の検体が採取されていないものとする。各検出ユニット14によって測定されたデータは、反応液の経時変化として外部コンピュータ29に蓄積され、更に定量分析結果として外部に出力される。本発明による実施形態におけるデータ処理部19は、図5に示すデータ処理機能を有し、図6に示すフローチャートに従った動作を行う。繰り返しになるが、本発明の実施形態においては、基準試料が収納された反応容器34が各検出ユニット14を通過する度に、蛍光測定を行い、基準試料の反応容器34の蛍光光量が基準値に一定となるように、発光ダイオード2に流れる電流値を調整し、補正を行う。
最初に、蛍光光量信号のデータ処理について説明する。データ処理部19は、反応容器9の蛍光光量信号を得るために、蛍光用AMP15出力がマルチプレクサ17のより出力するように選択後(ステップ(a))、次にカローセル8のモータ駆動回路26を制御し、カローセル8の回転を開始する(ステップ(b))。次にカローセル8の回転に伴い、遮蔽板30がフォトインタラプタ31を通過時にローレベルからハイレベルに変化を検出し、データ処理部19へ出力を行う(ステップ(c))。次に蛍光光量信号のデータ測定開始までの待ち時間を設けるために、タイマー53を制御して設定した時間待機する。
次にAD変換周期時間設定を行うためにタイマー53を制御する。これにより、タイマーはADC18にAD変換スタート信号を出力する。本発明の実施形態においては、例えば、16ビット、変換時間を4μs〜50μsとする。AD変換スタート信号より、ADC18は蛍光光量信号のAD変換を行い、AD変換が終了したことをデータ処理部19に知らせる。データ処理部19は、ADC18からAD変換終了信号を受け取ると、変換データの読み取りを行う(ステップ(f))。読み取ったデータは、AD変換毎にメモリ40に保存され(ステップ(g))、AD変換は設定したサンプリング数が完了するまで繰り返し行われる(ステップ(h))。
ステップ(h)のサンプリング終了後、測定した反応容器9の試料の蛍光光量を算出するために、メモリ40よりサンプリングしたデータを読み出し、設定したサンプリング周期となるように平均化処理54を行う。本発明では実施形態においては、平均後のデータ間隔を2msとするように、データを平均化出来るもとする(ステップ(i))。データの平均化は、測定開始前に任意に平均数を設定出来る。次に平均化されたデータの波形を平滑化するためにスムージング処理55を行う(ステップ(j))。本発明では実施形態においては、Box-Jenkins法かSavitzky-Golayスムージング法とする。
次に試料の蛍光光量値を求める。図4の蛍光光量波形のピーク値を求めるために、ガウス波形でフィッティング処理56されたデータの最大値、即ち、ピーク検出処理57を行う。本発明の例においてはガウス関数フィッティングとする(ステップ(k)、(l))。分析を行う反応容器9も発光ダイオード2に流れる電流を調整する基準試料の反応容器34両方において、蛍光測定までの手順は同様となる。分析を行う反応容器9においては、ピーク検出後に外部コンピュータ29に蓄積され、更に定量分析結果として外部に出力される。
次に基準試料が収納された反応容器34の蛍光光量補正における発光ダイオード2に流れる電流値の調整方法について説明する。基準試料の蛍光光量補正は、基準試料の蛍光光量が常に設定した基準値で一定となるような制御を行い、高精度な分析結果の算出を実現することにある。ステップ(l)で得た基準試料が収納された反応容器34の蛍光光量を、設定した蛍光光量の基準値と比較を行い、蛍光光量の変化量を算出する。データ処理部19は、1−(PFL/基準値)で、変化量を計算する(ステップ(m))。これにより、発光ダイオード2に流す電流値の設定をDAC20に出力するために、基準電流値*K(1+REV)を算出する(ステップ(n))。
計算結果と所定値1との比較を行い(ステップ(o))、ステップ(n)で算出した設定電流値が所定値1に等しいか、それ以下であるとき、ステップ(n)で算出した電流設定値をDAC20に出力する(ステップ(p))。本発明の実施形態においては、DAC20は8ビットとする。ステップ(q)でDAC20に出力されている間は、例えば図7におけるT期間の安定した状態で使用していることであり、大きな変動はないが、特に装置が設置される環境における一日の室温の温度の変化に有効である。
また、ステップ(o)において、ステップ(n)で算出した電流設定値が所定値1を超える場合、電流設定値を所定値2と比較判定を行う(ステップ(q))。ステップ(n)で算出した電流設定値が所定値1を超える場合、図8の特性のような相対関係にはないため、1つ前に設定した電流設定値に対し、変化量を補正し、DAC20に出力する(ステップ(r))。所定値1は、図7のような寿命特性から、経時劣化により光度が下降を開始した時間、例えば図7のB点とすることができる。
次にステップ(q)でステップ(n)で算出した電流設定値が所定値を超える場合、所定値2は、蛍光検出感度が低下し、仕様外になる前にアラームを警告する(ステップ(s))、即ち、発光ダイオード2の寿命を知らせることとなる。
本実施形態においては、検出した蛍光光量から蛍光光量低下を判別することと、DAC20への設定電流値の上昇を判別する機能を備えており、例えば、図7のB点を所定値1とすると、ユーザーへのアラームは、B点でデータ処理がステップ(o)からステップ(q)へ移行し、ユーザーへ早期アラームを警告するとしてもよい。またステップ(s)のアラームを警告することは、使用する発光ダイオードの寿命特性から、推測することは可能であるため、ステップ(o)からステップ(q)へ移行を検知し、以降、タイマーの設定値でアラームを出すことも可能である。尚、別の実施形態において、図7のT期間の安定した状態における蛍光光量の変動が、要求される仕様に対して、範囲内であり全く問題とならない場合においては、T期間はステップ(p)はメモリ40に記憶されている設定された固定値でよい。光学系構成部品の経時変化、特に発光ダイオード2の劣化による蛍光光量の低下を捉えてから、即ち、固定値T期間を過ぎてから、ステップ(q)以降の処理を行うとしてもよい。
本発明における効果として、光源である発光ダイオード2の長寿命化について説明する。図7は、発光ダイオード2に流れる電流値Ifを一定に流して使用されたことによる寿命曲線を示す。電流値Ifを10mAとしたときに比べ、20mAの場合は早い時間から光度が下降していることがわかる。これは、図8に示すように、順電流Ifが大きくなると光度が増すため、封止樹脂の劣化が早まるためである。発光ダイオード2の寿命は白熱電球に比べてかなり長く、素子そのものはほとんど永久に使える。発光ダイオード2が使用不能になるほとんどの場合は、電極部分の金属の酸化・劣化、過熱や衝撃で内部の金線が断線するものである。製品寿命は、封止樹脂の劣化により透光性が落ち、発光量が一定以下になった時点をいう。一般的に発光ダイオードの寿命は、全光束が初期全光度の70%、または光度が初期光度の70%に低下するまでの時間とすると定義している。
図7は、定電流制御における発光ダイオード2の寿命曲線と考えることができる。本発明の実施形態においては、分析試料の反応容器9及び基準試料の反応容器34を恒温に制御するため、検出ユニットも同時に一定温度で安定しているため、周囲環境温度に対する変動が少ないため、図7おけるT期間の間は定電流されているものと同等に電流を制御していることになる。このため、図7のCのようなダイオードを流れる電流が10mAの場合とDのようなダイオードを流れる電流が20mAの場合で、光度の低下を開始するオペレーション時間を算出できるため、設定する基準電流によって、図7のB点のような箇所を、図6のステップ(o)の所定値1として設定し、発光ダイオード2の点灯時間を計測し、記憶しておくことで、使用時間に対する比較判定を行い、ステップ(q)または(o)の処理を開始することも可能である。
また、ユーザーが一日あたりに分析を行う時間は、分析結果を算出するまでの工程の処理時間を考慮すれば算出することは容易である。分析を行った回数を所定値として比較判定し、ステップ(o)やステップ(q)の処理を行うことも可能である。
本発明の形態においては、極めて微弱な蛍光光量を検出する必要があり、最低感度を得るために、光度は一般的な寿命と判断する光度より高い値が求められる。本発明においては、光学系を構成する部品の経時変化による基準試料の反応容器34による蛍光光量補正を行うため、発光ダイオード2の劣化が始まり基準試料の反応容器34の蛍光光量が減少すると、減少量だけ順電流Ifを増加し、ステップ(r)の処理を行うため、常に一定に蛍光光量を保つ時間を長くすることが可能となるため、発光ダイオード2を一定の光度で使用できる時間が増す。即ち、核酸分析装置としての性能を満たす時間が増すことで、発光ダイオード2の長寿命化が可能である。
図9は発光ダイオード2の周囲温度に対する光度特性を示すが、周囲温度の変化は光度に大きく影響を及ぼすことがわかる。従って、図3で反応容器の温度制御について説明したが、本発明の実施形態において、分析を行う試料の反応容器9及び基準試料の反応容器34が設定温度で恒温されるようにカローセルを温度制御することで、発光ダイオード2の周囲温度も安定し有効である。且つ、測定時にはカローセルが回転し、1回転する毎に基準試料の蛍光光量補正を行うため、一日の環境温度の変化による影響に対し補正することができ、高精度の測定が可能となる。
また、別の実施例として光源の周囲環境の温度変化が大きいような場合であれば、本発明の実施形態では装置内温度もモニタしているため、装置内温度の変動を利用して、カローセル8を基準となる設定温度に一定となるよう制御することも可能である。
なお、図6の(o)では、電流設定値を所定値と比較しているが、蛍光強度の設定値を所定値と比較してもよい。(q)についても同様である。
本発明は、核酸分析装置の蛍光測定に係かる光量制御方法を提供する。本発明の方法を使用することによって、試料溶液中の対象となる物質の濃度を定量的に測定する吸光度法を用いた技術分野でも適用でき、食品の分野の飲料水の成分の濃度測定や環境の分野における飲料水の安全性,河川や工業排水の金属元素測定にも有用である。
1 リーディングユニット
2 発光ダイオード
3 第1レンズ
4 励起用バンドパスフィルタ
5 ハーフミラー
6 励起光信号検出素子(励起光モニタ用検出素子)
7 第2レンズ
8 カローセル
9 分析試料の反応容器
10 第3レンズ
11 蛍光用バンドパスフィルタ
12 第4レンズ
13 蛍光信号検出素子(蛍光検出素子)
14 検出ユニット
15 蛍光用AMP
16 励起光用AMP
17 マルチプレクサ
18 ADC
19 データ処理部
20 DAC
21 コンパレータ
22 トランジスタ(FET)
23 基準電圧
24 検出抵抗
25 ステッピングモータ(モータ)
26 モータ駆動回路
27 回転機構
28 試料ホルダ
29 外部コンピュータ
30 遮光板
31 フォトインタラプタ
32 グリッパ
33 廃棄穴
34 基準試料の反応容器
35 ラバーヒータ
36 サーミスタ
40 メモリ
41 サンプリング処理
42 タイマー制御
43 タイマー
44 平均化処理
45 スムージング処理
46 フィッティング処理
47 ピーク検出処理
48 ピーク変化量算出処理
49 電流値設定処理

Claims (7)

  1. ディスク状のカローセルと、該カローセルを回転させるための回転機構と、前記カローセルの円周に沿って配置された少なくとも1つの検出ユニットと、前記カローセルの回転位置を検出するための回転位置検出機構とを有し、
    前記カローセルは、円周方向に沿って等間隔に試料を収納したn個の反応容器を支持するように構成され、
    前記回転位置検出機構は、前記カローセル上に円周方向に沿って等間隔に装着されたn個の遮蔽板と、前記遮蔽板が通過することを検出する検出手段と、前記反応容器を設定する温度に調整する加熱ユニットと、反応容器の温度を測定する温度モニタのための温度センサを有し、
    前記検出ユニットは、前記反応容器に照射する励起光を発生する光源と、前記光源の一部を励起光検出素子に照射する手段と、前記反応容器に収納された試料が発する蛍光を検出する蛍光検出素子と
    記検出素子からの信号を切替えて出力された信号をAD変換するAD変換器と、
    前記AD変換器から出力されたデータを記憶する記憶手段と、前記記憶された蛍光光量信号データに基づいて測定する試料のピーク値を算出する手段と、算出したピーク値を外部コンピュータに蓄積し、更に定量分析結果として外部に出力される手段を有し、蛍光強度変化を経時的に追跡することで核酸を含む試料の解析を行う核酸分析装置において、
    検出ユニットを構成する光学部品の経時変化を補正する手段として、基準となる蛍光試料の蛍光光量を常に設定した蛍光光量の基準値に一定となるように制御するため、前記基準となる蛍光試料が収納された少なくとも1つの反応容器がカローセルに支持する手段と、
    前記基準となる蛍光試料が収納された反応容器が、前記カローセルが回転し、前記検出ユニットを通過する度に、測定を行い、算出した蛍光光量と蛍光光量の基準値との変化量を算出後、前記基準値との変化量に応じて、光源に流れる電流値が設定した基準の電流値に対して調整するデータ処理手段と、前記光源に流れる電流を調整するために設定した光源の電流値をDA変換するDA変換器と、
    前記算出した蛍光光量と基準値との変化量を算出後、基準値との変化量に応じて算出した光源の設定電流値を所定値と比較する手段と、
    前記比較手段の比較の結果、前記算出した電流設定値が所定値よりも小さい場合は、前記算出した電流設定値をDA変換器に出力し、また、所定値よりも大きい場合は、前回設定した光源の電流設定値に対して、蛍光光量の変化量を乗算した光源の電流値をDA変換器に出力する手段と、を備えることを特徴とする核酸分析装置。
  2. 請求項記載の核酸分析装置において、
    前記検出ユニットにおいて、前記励起光を発生する光源の励起光を集光する手段と、前記集光された励起光を必要な波長以外をカットする手段と、前記光源の一部を励起光検出素子に照射する手段を通過した光を反応容器に集光する手段と、試料が発する蛍光を集光する手段と、前記集光された蛍光を必要な波長の蛍光以外をカットする手段と、前記カットされた蛍光を前記蛍光検出素子に照射するために集光させる手段と、を備えることを特徴とする核酸分析装置。
  3. 請求項または記載の核酸分析装置において、
    前記遮蔽板は、前記反応容器を支持する反応容器ホルダと対向するように、試料の間に配置されていることを特徴とする核酸分析装置。
  4. 請求項記載の核酸分析装置において、
    前記算出した蛍光光量と基準値との変化量を算出後、前記算出した電流設定値が所定値よりも大きい場合で、且つ、光源の寿命を知らせるための所定値と比較する手段と、
    前記光源の寿命を知らせるための所定値より小さい場合は、前回設定した光源の電流設定値に対して、蛍光光量の変化量を乗算した光源の電流値をDA変換器に出力するし、前記光源の寿命を知らせるための所定値より大きい場合は、アラームを警告する手段と備えることを特徴とする核酸分析装置。
  5. ディスク状のカローセルと、該カローセルを回転させるための回転機構と、前記カローセルの円周に沿って配置された少なくとも1つの検出ユニットと、前記カローセルの回転位置を検出するための回転位置検出機構とを有し、
    前記カローセルは、円周方向に沿って等間隔に試料を収納したn個の反応容器を支持するように構成され、
    前記回転位置検出機構は、前記カローセル上に円周方向に沿って等間隔に装着されたn個の遮蔽板と、前記遮蔽板が通過することを検出する検出手段と、前記反応容器を設定する温度に調整する加熱ユニットと、反応容器の温度を測定する温度モニタのための温度センサを有し、
    前記検出ユニットは、前記反応容器に照射する励起光を発生する光源と、前記光源の一部を励起光検出素子に照射する手段と、前記反応容器に収納された試料が発する蛍光を検出する蛍光検出素子と
    記検出素子からの信号を切替えて出力された信号をAD変換するAD変換器と、
    前記AD変換器から出力されたデータを記憶する記憶手段と、前記記憶された蛍光光量信号データに基づいて測定する試料のピーク値を算出する手段と、算出したピーク値を外部コンピュータに蓄積し、更に定量分析結果として外部に出力される手段を有し、蛍光強度変化を経時的に追跡することで核酸を含む試料の解析を行う核酸分析装置において、
    検出ユニットを構成する光学部品の経時変化を補正する手段として、基準となる蛍光試料の蛍光光量を常に設定した蛍光光量の基準値に一定となるように制御するため、前記基準となる蛍光試料が収納された少なくとも1つの反応容器がカローセルに支持する手段と、前記基準となる蛍光試料が収納された反応容器が、前記カローセルが回転し、前記検出ユニットを通過する度に、蛍光測定を行い、算出した蛍光光量のピーク値を、使用する光源の寿命カーブから、光源の劣化による蛍光光量の低下を検出するために定めた蛍光光量の所定値と比較する手段と、
    前記蛍光光量の所定値より小さい場合は、予め設定した固定の電流値を出力する手段と、前記判定結果より、所定値より大きい場合は、算出した蛍光光量と蛍光光量の基準値との変化量を算出後、前記基準値との変化量に応じて、光源に流れる電流値が設定した基準の電流値に対して調整するデータ処理手段と、前記光源に流れる電流を調整するために設定した光源の電流値をDA変換するDA変換器と、備えることを特徴とする核酸分析装置。
  6. ディスク状のカローセルと、該カローセルを回転させるための回転機構と、前記カローセルの円周に沿って配置された少なくとも1つの検出ユニットと、前記カローセルの回転位置を検出するための回転位置検出機構とを有し、
    前記カローセルは、円周方向に沿って等間隔に試料を収納したn個の反応容器を支持するように構成され、
    前記回転位置検出機構は、前記カローセル上に円周方向に沿って等間隔に装着されたn個の遮蔽板と、前記遮蔽板が通過することを検出する検出手段と、前記反応容器を設定する温度に調整する加熱ユニットと、反応容器の温度を測定する温度モニタのための温度センサを有し、
    前記検出ユニットは、前記反応容器に照射する励起光を発生する光源と、前記光源の一部を励起光検出素子に照射する手段と、前記反応容器に収納された試料が発する蛍光を検出する蛍光検出素子と
    記検出素子からの信号を切替えて出力された信号をAD変換するAD変換器と、
    前記AD変換器から出力されたデータを記憶する記憶手段と、前記記憶された蛍光光量信号データに基づいて測定する試料のピーク値を算出する手段と、前記算出したピーク値を外部コンピュータに蓄積し、更に定量分析結果として外部に出力される手段を有し、蛍光強度変化を経時的に追跡することで核酸を含む試料の解析を行う核酸分析装置において、
    検出ユニットを構成する光学部品の経時変化を補正する手段として、基準となる蛍光試料の蛍光光量を常に設定した蛍光光量の基準値に一定となるように制御するため、前記基準となる蛍光試料が収納された少なくとも1つの反応容器がカローセルに支持する手段と、光源が点灯されている時間を計測し、メモリに保存する手段と、使用する光源の寿命カーブから、光源の劣化による前記基準となる蛍光試料の蛍光光量の低下を開始する時間を所定値として設定し、計測されている光源の点灯時間と所定値と比較する手段と、
    前記計測されている点灯時間が所定値に達しない場合は、予め設定した固定の電流値を出力する手段と、前記判定結果より、所定値の時間を超過した場合は、算出した蛍光光量と蛍光光量の基準値との変化量を算出後、前回設定した光源の電流設定値に対して、蛍光光量の変化量を乗算した光源の電流値をDA変換器に出力する手段と備えることを特徴とする核酸分析装置。
  7. ディスク状のカローセルと、該カローセルを回転させるための回転機構と、前記カローセルの円周に沿って配置された少なくとも1つの検出ユニットと、前記カローセルの回転位置を検出するための回転位置検出機構とを有し、
    前記カローセルは、円周方向に沿って等間隔に試料を収納したn個の反応容器を支持するように構成され、
    前記回転位置検出機構は、前記カローセル上に円周方向に沿って等間隔に装着されたn個の遮蔽板と、前記遮蔽板が通過することを検出する検出手段と、前記反応容器を設定する温度に調整する加熱ユニットと、反応容器の温度を測定する温度モニタのための温度センサを有し、
    前記検出ユニットは、前記反応容器に照射する励起光を発生する光源と、前記光源の一部を励起光検出素子に照射する手段と、前記反応容器に収納された試料が発する蛍光を検出する蛍光検出素子と
    記検出素子からの信号を切替えて出力された信号をAD変換するAD変換器と、
    前記AD変換器から出力されたデータを記憶する記憶手段と、前記記憶された蛍光光量信号データに基づいて測定する試料のピーク値を算出する手段と、前記算出したピーク値を外部コンピュータに蓄積し、更に定量分析結果として外部に出力される手段を有し、蛍光強度変化を経時的に追跡することで核酸を含む試料の解析を行う核酸分析装置において、
    検出ユニットを構成する光学部品の経時変化を補正する手段として、基準となる蛍光試料の蛍光光量を常に設定した蛍光光量の基準値に一定となるように制御するため、前記基準となる蛍光試料が収納された少なくとも1つの反応容器がカローセルに支持する手段と、一日の測定を行う時間を分析処理工程から算出し、使用する光源の寿命カーブから、オペレーション回数を所定値として設定し、オペレーション回数を比較する手段と、
    前記オペレーション回数が所定値に達しない場合は、予め設定した固定の電流値を出力する手段と、前記判定結果より、所定値の回数を超過した場合は、算出した蛍光光量と蛍光光量の基準値との変化量を算出後、前回設定した光源の電流設定値に対して、蛍光光量の変化量を乗算した光源の電流値をDA変換器に出力する手段と備えることを特徴とする核酸分析装置。
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