JP5469030B2 - アレイ導波路回折格子 - Google Patents

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Description

本発明は、光通信の分野の光波長合分波器に関し、特に波長分割多重伝送に用いられる温度無依存のアレイ導波路回折格子に関する。
光通信の分野においては、複数の信号を別々の波長にのせて一本の光ファイバで伝送し、これにより情報容量を増加する波長分割多重方式が検討されている。この光通信方式では、異なる波長の光を合分波する温度無依存のアレイ導波路回折格子が重要な役割を果たす。
しかし、そのアレイ導波路回折格子を従来の材料を用いて構成した場合には、温度が変化すると、熱光学効果によって材料の屈折率が変化し、移相用チャネル導波路の等価屈折率が変化する。さらに、熱膨張によって移相用チャネル導波路の長さも変化する。これにより、温度に応じて移相用チャネル導波路で光が受ける位相変化量が変化してしまう。その結果としてアレイ導波路回折格子から出力される分波波長が変化してしまう。ここで、中心波長をλc、アレイ導波路回折格子の屈折率をnc、アレイ導波路回折格子の導波路長差をΔLとすると、中心波長の温度依存性は下記の式(1)で与えられる。
一例として、アレイ導波路回折格子を石英系材料で構成した場合を考えると、光通信用波長帯である1.55μm付近での温度による分波波長の変化は、10nm/℃ となる。従って、そのアレイ導波路回折格子を例えば0〜80℃の環境温度で使用する場合には、最大800nmほど波長がシフトしてしまう。このため、そのアレイ導波路回折格子は、このままでは実用システムには使用できず、光回路の温度制御を行う必要がある。
そこで、温度無依存化の方法として、アレイ導波路回折格子の一部に溝を設け、その溝の中に屈折率の温度係数がアレイ導波路回折格子を形成する材料のそれとは異なる材料を充填し、これにより温度による波長変化を補償する方法が提案されている。(例えば、特許文献1を参照)。
この従来の補償方法をさらに説明する。石英アレイ導波路回折格子に、三角あるいは三日月形の溝を切って、その溝内にポリマーを充填した場合の中心波長の温度依存性は、下記の式(2)で与えられる 。
上記の式(2)において、ΔL=ΔLc+ΔLpolymer、であり、石英ガラスのdnc/dTはプラスであり、熱膨張係数1/ΔL×dΔL/dTもプラスであるが、ポリマーのdnpolymer/dTはマイナスであるので、上記式を0にすることができ、アレイ導波路回折格子を温度無依存化することができる。
アレイ導波路回折格子の溝を複数の溝に分割することによって、各溝を横切る自由空間での伝播長を短縮することができ、ロスを低減することができるので、細く切った三角溝、三日月溝を複数並べるのが有効である。
このようにして細く掘った複数の三角あるいは三日月形の溝内にポリマーを充填することによって、温度依存性を大幅に改善することができる。この方法で温度無依存化された典型的なアレイ導波路回折格子は、−40℃〜+80℃ の一般的な動作温度範囲において、中心チャネル波長の変動が80pm と小さい。
実際に、三角溝にシリコーン樹脂を充填した場合のアレイ導波路回折格子の中心波長―温度依存性を図16に示す。図16は、2次曲線を示し、−40℃〜+80℃において、約80pmの温度依存性があることを示している。この温度依存性は、石英ガラスの屈折率の温度依存性および熱膨張の温度依存性が線形ではなく、2次の項を含むためであり、シリコーン樹脂の温度補償が1次の項のみを補正しており、2次の項を補正していないためである。
このように残存する温度依存性のために、アレイ導波路回折格子デバイスの動作温度が前述の温度範囲(0〜80℃)に限られ、また、この変化が許容される約100GHz以上のチャネル間隔を有するシステムにしかデバイスを適用することができない。例えば、温度が氷点下となる気候でデバイスの格納場所が屋外にある場合、或いは、広い通過帯域と約100GHz未満のチャネル間隔を必要とするシステムにおいては、上記の典型的なアレイ導波路回折格子を使用できない。
従って、実用化されているアレイ導波路回折格子デバイスよりも広い温度範囲に対してより高い耐熱性を示し、温度が制御された環境を必要とせず、また、複雑で製造上の公差が厳しい機械的方法を必要としない、アレイ導波路回折格子デバイスの開発が急務となっている。
上述したように、既存のポリマーを充填した溝を用いる従来の温度無依存化方法においては、シリカ系導波路材料とポリマー補償材料の屈折率は何れも、温度に対して線形に変化すると仮定し、2次の効果は一般的に無視されてきた。しかし、アレイ導波路回折格子の2次の効果まで補正する必要は、既に1997年に指摘されている。すなわち、非特許文献1のp.117の5.5 の中心波長の2次の温度依存性の節には、下記の記載がある。
「アサーマルアレイ導波路回折格子に、僅かに残留している中心波長の温度依存性は石英ガラス、シリコーン樹脂の持つ2次の温度依存性が原因である。即ち石英ガラスの屈折率の温度依存性は2次まで含めて下記のように記載される。
であり、シリコーン樹脂の屈折率の温度依存性は2次まで含めて
であり、
(1) 石英ガラスの2次の屈折率の温度依存性の効果は 1.3×10-5 (nm/℃2)
(2) シリコーンの2次の屈折率の温度依存性の効果は 0.7×10-5 (nm/℃2)
(3) シリコン基板の2次の熱膨張の効果は1.4×10-5 (nm/℃2)
であり、2次の温度係数まで補償したアレイ導波路回折格子の実現を図るためには、2次の屈折率温度依存性が負の材料を新たに使用する必要があると予測している。ちなみにシリコーン樹脂の2次の屈折率の温度依存性は正である。」
特許第3436937号公報明細書 (光導波路回路及び製造方法ならびに該光導波路回路を有する光導波路回路モジュール)
井上靖之著「石英系プレーナ光波回路を用いた波長合分波器に関する研究」 博士論文 1997年公開年度九州大学大学院システム情報科学研究科電子デバイス光学専攻 p.117 5.5 (http://dbr.nii.ac.jp/infolib/meta_pub/G9200001CROSS) (http://dbr.nii.ac.jp/infolib/meta_pub/OdnCsvSearch.cgi)
しかしながら、これまで、樹脂等のdn/dTの2次の係数についての報告はほとんど無いというのが現状であり、どのような材料が2次の係数がプラスで、どのような材料がマイナスになるのか、あるいはそもそもマイナスになる材料があるのか、ということも明らかになっていなかった。
そこで、本発明は、100種類以上におよぶ樹脂を含む材料の中から温度依存性のdn/dTの2次が負である材料を見出し、それにより温度無依存型のアレイ導波路回折格子の溝に充填するのに最適な材料を限定し、さらに、その最適な材料を用いてアレイ導波路回折格子の温度依存性を1次、2次を含めて0にするための、導波路溝の設計パラメータを提供することを目的とする。
これまで樹脂等の屈折率の温度依存性の1次の係数の報告は多数されているが、2次の係数の報告例はいまだない。そこで、上記目的を達成するため、本願発明者は、約100種類の材料のdn/dTの2次の係数を測定し、2次の係数がマイナスになる材料の特徴を後述のように明らかにした。その測定方法は、(1)プリズムカプラ法、(2)ファイバ端面からの反射減衰量測定法、(3)溝付きのアレイ導波路回折格子に対象の材料を充填して、波長−温度依存性から測定する方法である。測定の結果、Tg(ガラス転移温度)が−60℃以上にある材料は2次の係数がマイナスになることが判明した。但し、ポリオレフィンであるポリエチレン系の樹脂は、ガラス転移温度が−110℃と−20℃の2つあるが、2次の係数はマイナスに大きい(ここではポリエチレンは−20℃にガラス転移点があるとした)。また、対象の材料に、ポリエチレンに酢酸ビニル基、アクリレート基、メタアクリレート基、ヘキセン基、スチレン基などを含有させると、結晶化が起こりにくくなり、ガラス転移温度が−20℃〜−30℃となるが、2次の係数がマイナスに大きい、ということを見出した。また、ポリオレフィン誘導体であるポリプロピレンも2次の係数Bがマイナスに大きかった。
さらに、ガラス転移温度が室温よりも高くなると、通常使用温度範囲(−40℃〜80℃)において屈折率−温度の特性に屈曲点が現れ、さらに樹脂自体が硬く、クラックが入ったり、溝から剥がれたりするという、問題があるということが分かった。ここで、樹脂材料の場合には、ガラス転移温度が−60℃〜+20℃にあることが重要である。
ガラス転移温度が室温以下の場合でも、低温にすると樹脂が硬くなり、クラックが入りやすいという欠点があった。この場合には、フタル酸エステルを主とする可塑剤を添加すると樹脂が軟らかくなり、クラックを抑える効果があった。
また、ガラス転移温度が高くなると、1次の係数が小さくなり、1次の補正をするためには、溝幅差を大きくする必要があるため、ロスが大きくなるという問題があることも分かった。
さらに、溶液材料の場合には、水溶性の液体は2次の係数がマイナスであり、特に水溶液はマイナスに大きいことを見出した。オイルは、1次係数は大きいが、2次係数はほとんど0であった。
これらの温度依存性dn/dTが1次、2次ともにマイナスに大きな材料を溝に充填して、1次、2次の両方を含めて温度無依存化するには、特別な設計が必要である。即ち、石英導波路の1次、2次の温度係数を1つのポリマーで温度補償するには、その1次、2次の係数、および光路長差ΔLに特別の関係が必要であり、その関係を満足する材料を見い出したり、あるいはその条件を満足するように、2液を混合調整する必要がある。
さらに、混合調整が不可能な材料で、2次の係数がマイナスに非常に大きな材料の場合には、従来用いられている信頼性が高くさらに2次の係数の小さい他の材料とを別々に溝に充填して、石英ガラスの1次、2次の温度依存性を補償できる。例えば、ポリオレフィン系の材料であるポリエチレン系材料は、2次の係数がマイナスに非常に大きく、この材料1つを溝に充填すると、2次のマイナスの効果が大きくて、アレイ導波路回折格子の波長-温度特性が、従来の温度無依存アレイ導波路回折格子とは反対の、特性曲線が上に凸の温度依存性を示すようになる。そこで、この大きな2次のマイナスの材料と、従来の信頼性の高い1次が大きく、2次の小さいシリコーン樹脂とを別々の溝に充填することによって、1次、2次の両方とも補正して、完全に温度依存性を補正できる。
さらに、本発明の特徴について詳述する。
(1)三角あるいは三日月形の溝にポリマー等の材料を充填した温度無依存型のアレイ導波路回折格子の中心波長の温度依存性は一般に下記の式(3)で与えられる。
ここで、アレイ導波路の光路長差はΔLc(ポリマー部は除く)、ポリマーを含めると、ΔL=ΔLc+ΔLpolymer、アレイ導波路の屈折率はnc、溝の光路長差はΔLpolymer、その屈折率はnpolymer、温度はTである。式(3)の第1項はアレイ導波路回折格子の材料の屈折率の温度依存性であり、その第2項は溝に充填する材料の屈折率の温度依存性であり、その第3項はアレイ導波路回折格子の材料の熱膨張を表すものである。
溝に充填する材料の屈折率の温度依存性をdnpolymer/dT=A+B×Tと近似し、ΔL>>ΔLpolymerと仮定し、上記の第1項と第3項をまとめて、K1+K2×Tと近似できると仮定して、
とした近似した時、上記式(4)を0とするには、
の関係を満足するようにA,B、ΔL、ΔLpolymerを決めればよい。
K1,K2の値は、コア材料の屈折率の温度依存性および基板の熱膨張係数から求めることができるし、あるいはポリマーを充填しないアレイ度導波路回折格子を作製して、その波長の温度依存性から実験的に求めることができる。
(2)上記の(1)項において、アレイ導波路回折格子の材料が石英ガラスの場合、ポリマーを充填しないアレイ導波路格子の波長温度依存性から実験的に
と求められる。
K1+K2×T=6.4×10-6 + 2.3×10-8×Tであるので、
K1 =6.4×10-6 、K2= 2.3×10-8となるから、上記の式(5)、(6)から
となる。この関係を満足するようにA,B、ΔL、ΔLpolymerを決めればよい。
また、上記の()項において、アレイ導波路回折格子が石英系材料である場合には、AとBの比は定数となり、B/A=(3.5)×10-3である。従って、この条件を満足する材料を見つければよい。材料のB、Aの値を、材料の混合などによって調整可能な場合には、B/A=3.5×10-3と正確に一致させることが可能であるが、調整が難しい場合にはB/A=(3.5±0.5)×10-3として、±0.5の誤差を含んでも、1次の効果だけで補正するよりも温度依存性を解消できる効果が大きい。
(3)本発明では、上記の(2)項において、溝に充填する材料を、酢酸ビニル基、アクリレート基、ヘキセン基、メタアクリレート基を含むポリエチレン等のポリオレフィン誘導体に、DOP(フタル酸ジオクチル)、DUP(フタル酸ジウンデシル)、DIDP(フタル酸ジイソデシル)、TOTM(トリメリット酸トリオクチル)等のフタル酸エステル系の可塑剤を重量比で2倍から10倍添加した材料とし、この可塑剤の重量比を上記のA,Bに関する条件を満足するように調整する。
(4)本発明は、上記の(3)項において、充填する材料のガラス転移温度が−60℃から20℃であることが望ましい。後述するように、充填する材料のガラス転移温度とその材料のdn/dTの2次の係数Bとは密接な関係があり、充填する材料のガラス転移温度が−60℃以上になると、Bはマイナスになる。但し、ガラス転移温度が20℃以上になると、樹脂が硬くなり、クラックが入ったり、剥がれやすくなったり、屈折率の温度依存性に屈曲点を持ったりするようになるため、充填する材料のガラス転移温度は−60℃から20℃にあることが望ましい。
屈折率の温度依存性を2次の項まで補正できる材料とその充填する溝の構成を明らかにした本発明の上記構成により、本発明は、アレイ導波路回折格子の波長―温度依存性を−40℃〜+80℃において10pm以下にできるという顕著な効果を奏する。
本発明の実施例1のアレイ導波路回折格子の構造を示す平面図である。 各種ポリマーのdn/dTの1次の係数Aとガラス転移温度(Tg)との関係を示す特性図である。 各種ポリマーのdn/dTの2次の係数BとTgの関係を表す特性図である。 各種ポリマーのdn/dTのB/AとTgとの関係を表す特性図である。 溝にスチレンポリオレフィンゴムを充填した、本発明の実施例1の温度無依存アレイ導波路回折格子の波長−温度依存性を示す特性図である。 可塑剤添加量Xとdn/dTの1次の係数Aの関係を示す特性図である。 可塑剤添加量Xとdn/dTの2次の係数Bの関係を示す特性図である。 可塑剤添加量Xとdn/dTのB/Aの関係を示す特性図である。 エチレン酢酸ビニル共重合体に可塑剤を1:7の重量比で添加した樹脂を充填したアサーマルAWGの波長−温度依存性を示す特性図である。 (a)はエチレン酢酸ビニル共重合体+可塑剤10−2を加熱して溝10−3に充填する手順、(b)はポリエチレンゲルを加熱して充填した溝10−3の上にカバーガラス10−4を乗せる手順、(c)は封止用UVエポキシ接着剤10−5を毛細管現象でスラブ導波路10−1とカバーガラス10−4の間に充填する手順、(d)はUV照射を行い、接着剤を硬化する手順である、ゲルの流出を防止するための封止の方法を示す模式図であり、上に配置されている図は上面図、下に配置されている図は断面図である。 (a)はエチレン酢酸ビニル共重合体+可塑剤10−2を加熱して溝10−3に充填する手順、(b)はポリエチレンゲルを加熱して充填した溝10−3の上にカバーガラス10−4を乗せる手順、(c)は封止用UVエポキシ接着剤10−5をカバーガラス10−4の4端につける手順である、ゲルの流出を防止するための封止の別の方法を示す模式図であり、上に配置されている図は上面図、下に配置されている図は断面図である。 溝にエチレングリコール50%水溶液ゲルを充填した、本発明の実施例2の温度無依存アレイ導波路回折格子の波長−温度依存性を示す特性図である。 本発明の実施例3の複数の溝に2種類の樹脂を充填したアレイ導波路回折格子の構造を示す平面図である。 本発明の実施例3の複数の溝に2種類の樹脂を充填したアレイ導波路回折格子の構造の変形例を示す平面図である。 シリコーン樹脂とエチレンアクリレート共重合体の2種類樹脂を溝に充填したアレイ導波路回折格子の波長−温度依存性を示す特性図である。 従来の温度無依存のアレイ導波路回折格子の波長−温度依存性を示す特性図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
最初に、本発明の典型的な実施例である、実施例1について説明する。図1は本発明のアレイ導波路回折格子の構造を示す。図1において、1−1は石英基板、1−2は入力用チャネル導波路、1−3は入力側スラブ導波路、1−4は移相用チャネル導波路、1−5は出力用チャネル導波路、1−6は出力側スラブ導波路、1−7は光波の進行方向に交差して導波路を分断する三角溝あるいは三日月溝、1−8はその溝に挿入または充填した光学樹脂である。ここでは、溝は入力側スラブ導波路にあるが、出力用スラブ導波路にあってもよいし、移相用チャネル導波路にあってもよい。
これまで、各種ポリマーのdn/dTの2次の係数の値は殆ど報告されていない。そこで、本願発明者は、約100種類のポリマーのdn/dTを測定して、そのdn/dTの1次係数A、2次係数Bの値(プリズムカプラ法、ファイバ端面に樹脂を付けてその反射減衰量を測定する方法、アレイ導波路に入れる方法による)を求めた。その結果を図2、図3、および図4にそれぞれに示す。代表的な樹脂の温度係数を下記の表1にまとめて示す。ここで、図2、図3、図4、および表1には、アレイ導波路回折格子上の、光が伝播する経路上の溝幅が約20μmの場合の結果を示している。
表1から分かるように、1次の係数Aの絶対値は、Tgが高くなると小さくなる。Tgが−120℃と最も低いシリコーン樹脂は、Aの絶対値が大きい。ポリイソブチレンもTgは-70℃であり、Aの絶対値は比較的大きいが、Bはプラスである。2次の係数Bは、Tgが−60℃以下であると、プラスであるが、−60℃以上になると、マイナスに転じる。ポリオレフィン系樹脂であるポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂は、ガラス転移温度が−20℃付近にあっても、2次の係数Bはマイナスに大きい。ポリオレフィン、ポリブタジエンを含むスチレン系熱可塑性エラストマー(それぞれスチレンポリオレフィンゴム、スチレンブタジエンゴムと略す)はガラス転移温度が約−50℃で、2次の係数Bがマイナスに大きい。ガラス転移温度が室温よりも高くなると、樹脂を充填した際に、使用温度範囲−40℃〜80℃において、屈折率−温度の特性に屈曲点が現れ、さらにヒステレシスが大きくなるという問題があることが分かった。また、ガラス転移温度が室温より高い材料は、硬く、溝に充填すると剥がれたり、あるいはクラックが入ることがあった。そのため、2次の係数Bがマイナスであって、素子を安定に動作させるためには、ガラス転移温度が−60℃から室温付近であることが重要である。
エポキシ樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネートもマイナスの2次の係数を持つため、2次の補正には有効であるが、ガラス転移温度が高いため、1次の係数の絶対値が、100×10-6以下と小さく、1種類の樹脂で1次、2次を補正するためには、溝幅差ΔLを大きくする必要があり、ロスが増えるという欠点がある。また、ガラス転移温度が高い材料は、硬い樹脂であり、溝に入れて、加熱劣化試験を行うと、樹脂にクラックが入ったり、剥がれたり、波長−温度依存性に屈曲点が表れたり、スペクトルが分離したりという問題があり、そのため樹脂のガラス転移温度は20℃以下であることが重要である。
ポリブタジエンを含むポリスチレン系熱可塑性エラストマー、あるいはポリオレフィンを含むポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエチレン系樹脂がこのガラス転移温度(20℃以下)にあり、1次の係数Aの値がマイナスに大きく、2次の係数Bの値もマイナスに大きい。そこで、この実施例1では、おおよそ、B/A=3.5×10-3となるポリオレフィンを含むポリスチレン系熱可塑性エラストマー(スチレンポリオレフィンゴムと略す)を選択して、温度無依存型のアレイ導波路回折格子を作製した(図4参照)。この値は室温〜90℃までのプリズム法によって求めたものである。また、この値は、溝付きアレイ導波路回折格子の溝にその樹脂を充填してその波長温度依存性からも確認したものである。
スチレンポリオレフィンゴムの屈折率、屈折率の温度依存性は下記の表に示す通りである。
これから、B/A=3.5 ×10-3をほぼ満足していることが分かる。ここで、B/A=(3.5±0.5)×10-3の誤差があっても十分、2次まで補正が可能である。
石英ガラスを用いる場合には、下記の条件を満足すればよい。
A=-266×10-6、B=-9×10-7を上記の条件式に入れると、
となり、ΔLpolymer=0.0348×ΔLSio2 となる。ΔLsio2は35μmとして、ΔLpolymer=1.218μmと設計できる。スチレンポリオレフィンゴムは希釈液に溶かして、溝に垂らすと、毛細管現象で溝に浸入していく。その後、60℃程度でその希釈液を飛ばして乾燥させる。
このようにして作製した1種類の樹脂を溝に入れたアレイ導波路回折格子の温度−波長依存性を測定した。その結果を図5に示す。
図5から分かるように、シリコーン樹脂で温度無依存化した場合には、1次の効果しか補正できないので、−40℃〜80℃において80pmの波長変動があるが、スチレンポリオレフィンゴムで温度無依存化した場合には、1次、2次まで補正できるので、変動が15pm以内に抑えられる。
ポリイソブチレンは2次の係数が若干プラス、ポリエチレン系材料は2次の係数がマイナスに非常に大きい。
ポリイソブチレンとポリエチレン系材料は比較的構造が似ており、屈折率が比較的近いので両者を混ぜ合わせても均一に混ぜることができる。ポリイソブチレンは軟らかい材料であり、実用に供されているシリコーン樹脂と比較的特性が似ていて、安定なこのためポリイソブチレンとポリエチレン系材料を混ぜ合わせて、B/A=(3.5±0.5)×10-3となるように調整して、1、2次を補正することも可能であった。
酢酸ビニル基、アクリレート基、ヘキセン基、メタアクリレート基を含むポリエチレンにDOP(フタル酸ジオクチル)、DUP(フタル酸ジウンデシル)、DIDP(フタル酸ジイソデシル)、TOTM(トリメリット酸トリオクチル)等の可塑剤をこれらの重量比で1:2〜1:10で添加すると、B/A=(3.5±0.5)×10-3となるように調整することができる。なお、酢酸ビニル基、アクリレート基、ヘキセン基、メタアクリレート基を含むポリエチレンのB/Aは9.4×10-3〜13.2×10-3である。ポリエチレンのB/Aを3.5×10-3とできれば、1樹脂のみで、2次の残留温度依存性を補償できる。即ち2種類の樹脂を2種類の溝に充填することなく、1樹脂のみを従来の1種類の溝の素子に充填すればよい。ここでdn/dT=A+B×Tであり、nは屈折率、Tは温度、A、Bは1次、2次の係数である。
エチレン酢酸ビニル共重合体にDOPあるいはDUP可塑剤を1:X(Xは可塑剤)の重量比で添加して、ポリエチレンゲルを作製し、これらのdn/dTの1次、2次の係数A、Bを測定した。測定によって得られた係数A、BからB/Aを計算し、可塑剤添加量Xに対するA、B、およびB/Aをそれぞれ図6、7、8に示す。このデータは溝幅が約20μmのアレイ導波路回折格子において得られたデータである。溝幅が数μmである場合の同様の測定を行ったところ、溝幅が小さくなるに伴い、Xが0〜5で、Bの値が小さくなり、したがってB/Aの値も小さくなる傾向にあった。図6,7,8には、アレイ導波路回折格子上の、光が伝播する経路上の溝幅が約20μmの場合の結果とともに、溝幅が約7μmの場合の結果を示す。図7,8中の破線は、エチレン酢酸ビニル共重合体と可塑剤を混合するがエチレン酢酸ビニル共重合体と可塑剤は互いに相互作用を有せず、可塑剤のdn/dT=0とした場合の、計算値を示す。この計算値を、溝幅が1μm以下の場合のエチレン酢酸ビニル共重合体に可塑剤を添加した場合の結果と仮定し、この計算値からも溝幅が小さくなるに従ってB/Aの値も小さくなるとみなした。
可塑剤を添加すると、Aの絶対値は一旦大きくなり、さらに可塑剤を添加していくと、Aの絶対値は一定値に落ち着いた。これに対し、可塑剤の添加割合の増加に伴って、Bの絶対値は減少していく結果となった。石英導波路の温度依存性の1次、2次を補償するためには、B/A=(3.5±0.5)×10-3となればよく、この値となるのは、酢酸ビニル共重合体:可塑剤の重量比が1:2〜1:10であった。図面ではバラツキはあるものの、酢酸ビニル共重合体:可塑剤の重量比として1:3〜1:10が最適と読み取れるが、溝幅が数μmと細くなると、Xが0〜5においてB/Aが小さくなる傾向にあるため、B/A=(3.5±0.5)×10-3とするには、酢酸ビニル共重合体:可塑剤の重量比は1:2〜1:10となるとした。
アクリレート基、ヘキセン基、メタアクリレート基を含むポリエチレンについても同様の実験を行ったが、上記可塑剤を1:2〜1:10添加することにより、B/A=(3.5±0.5)×10-3とすることができた。
−40℃〜+80℃において、酢酸ビニル共重合体:DOP=1:7で混合し、作製したポリエチレンゲルを1溝のアレイ導波路回折格子に充填した際の波長−温度依存性を図9に示す。全測定温度範囲にわたって、変動範囲が30pm以下に収まっていることが分かる。
可塑剤をポリエチレン共重合体に1:2〜1:10の重量比で添加すると、室温ではゲル状態であるが、60℃以上にすると粘性を持った液体になる。アレイ導波路回折格子を傾けると流れ出す可能性があるため、図10(a)〜(d)に示すように、ポリエチレンゲルを加熱して充填した溝10−3の上にカバーガラス10−4を乗せ、UVエポキシ樹脂10−5をカバーガラス10−4の周りに流し込んで、UV照射し、封止するのが有効であった。
封止の工程は下記の通りである。
<1>エチレン酢酸ビニル共重合体+可塑剤10−2を加熱して溝10−3に充填する。
<2>ポリエチレンゲルを加熱して充填した溝10−3の上にカバーガラス10−4を乗せる。
<3>封止用UVエポキシ接着剤10−5を毛細管現象でスラブ導波路10−1とカバーガラス10−4の間に充填する。カバーガラス10−4の端に付けるとゲルの周りに浸透していく。
<4>UV照射を行い、接着剤を硬化する。
図11(a)〜(c)のように、ガラスの周りを完全に封止しなくても、ガラスの端部を接着で固定するだけで、ゲル化した液状になったポリエチレンは表面張力により、傾けても流れださないのでゲル流出は防ぐことができる。
液体である可塑剤は、揮発の可能性がある。可塑剤の沸点はDOPが386℃、DDIPが420℃、DUPが420℃以上、TOTMが430℃と高く、ビスフェノールなどの酸化防止剤を添加することによって、揮発を抑えることができる。実験では120℃、100時間で可塑剤が揮発しないことを確認している。但し、可塑剤は水を吸収するので、可塑剤が吸収した水によって光の通過ロスが若干増加することがあった。
上記酢酸ビニル共重合体:DOP=1:5として、酸化防止剤を0.5%添加して、120℃、90%RH、100時間の高温高湿加速劣化試験において、アサーマルアレイ導波路回折格子の波長の変動は20pm以下に抑えられた。
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例2では、まず、溶液の屈折率の温度依存性を調べた。オイルの屈折率の温度依存性は比較的多くのデータが蓄積されているが、−40℃〜80℃において、液体であるという条件を付けると、不凍液が有力な候補となる。そこで、不凍液を中心に屈折率の温度依存性を調べた。その結果を表3に示す。
表3から分かるように、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールは、2次の係数Bがマイナスである。しかし、B/A=1〜2×10-3程度であり、石英系のアレイ導波路回折格子に適用するには、2次の係数Bの値が不足している。そこで、エチレングリコール等に水を少し加えて、水溶液とした。水の2次の係数Bの値はマイナスに非常に大きい。但し、水は1.5μm帯の光においてロスが大きいので、重水を用いることによって、ロスを低減できた。エチレングリコール50%水溶液の屈折率およびA,Bの値は表4で与えられる。
B/A=3.46×10-3であり、1次、2次共に補正が可能である。B/Aの比は、水あるいは重水の比率を調整することによって、3.5×10-3に調整することが可能である。
但し、溶液は気泡の発生の危険があるので、これにゲル化剤(ラポナイト:ロックウッドアディティブズ社製)を3%加えてゲル化した。ラポナイトは無機材料であって、水溶液を簡易にゲル化でき、添加しても屈折率およびその温度依存性はほとんど変化がない材料である。溶液の場合には、加熱すると対流による屈折率のドリフトがあったが、ゲル化することによって、対流がなくなり、その屈折率は安定になった。また、そのゲルは、温度を急速に上げたり、急速に冷却しても樹脂などが持つ粘弾性特性がないため、温度と屈折率は1:1に対応し、経時変化はなかった。但し、封止を完全に行わないと、ゲルの水分が抜けてしまうので注意が必要である。
実施例2でも実施例1と同様に溝幅差ΔLを設計して、下記のように温度無依存のアレイ導波路回折格子を作製した。
エチレングリコール50%水溶液にラポナイトゲル化剤を3%添加し、80℃に加熱して、溶液状態にし、これをアレイ導波路回折格子の溝に充填して、室温に放置すると、ゲルとなる。ゲル化しても屈折率の温度依存性に変化はなかった。アレイ導波路回折格子の溝にこれらのゲルを充填して、その上からガラスを押さえ、シリコーンゲルを毛細管現象で空気が入らないように、ゲルの周りに充填して、硬化して封止した。あるいは、上記のようにガラスを乗せないで、充填したゲル化剤の上からシリコーンゲルを垂らして封止してもよい。
このようにして作製した温度無依存のアレイ導波路回折格子の中心波長―温度依存性を図12に示す。図12に示したように、シリコーン樹脂で温度無依存化した場合には、1次しか補正できないので、−40℃〜80℃において80pmの波長変動があるが、本実施例のようにエチレングリコール50%水溶液ゲルを溝に充填した場合には、1次、2次まで補正できるので、変動が10pm以内に抑えられる。
水溶液ゲルは封止を完全にしないと、水が抜けていくという注意すべき点がある。プロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール単体ゲルの充填も検討した。ラポナイトは水溶液しかゲル化できないのが欠点である。これらの溶液には、SS‐40N、クルーセル G、ジャガー HP-120、ジュンロン P-110、アクペック HV−505ED(三晶社製)がこれらのゲル化に有効であった。
次に、本発明の実施例3について説明する。
前述の表1からポリオレフィンを主として、酢酸ビニル基、あるいはアクリレート基、メタアクリレート基、ヘキセン基を含有するポリエチレン系樹脂は1次係数のAの値がマイナスに大きく、2次係数のBの値もマイナスに大きいことが分かる。ポリエチレン以外のポリオレフィンであるポリプロピレンもよく知られ、係数Bがマイナスに大きかった。そこで、例えば、MFR(メルトフローレート)とこれらの含有量を調整することによって、B/A=3.5×10-3の材料を作製し、この材料を溝に、実施例1、2と同様に充填することによって、1次、2次を補正することができる。
B/Aが3.5×10-3よりもかなり大きくなる材料の場合には、下記のような方法で1次,2次を補正できる。
ポリエチレン系材料は、B/Aが10〜15×10-3と大きく、ポリエチレン系材料1種類を溝に充填すると2次の補正の効果が大きすぎて、−40℃〜80℃において従来素子とは逆方向にマイナス100pm以上に温度依存性が出てしまう。
そこで、本願発明者は、係数Bがマイナスに大きな材料と、係数Bが小さな2種類の樹脂を別々の溝に充填することによって、1次、2次を補正することを発明した。
2種類のポリマーを充填した温度無依存のアレイ導波路回折格子の波長―温度依存性は下記の式(12)で与えられる。
ここで、Polymer1、Polymer 2の屈折率の温度依存性をそれぞれA1+B1・T、A2+B2・Tとする。
これが0になるためには、
となればよい。通常ポリマーの1次の係数Aはマイナスであるので上の式(13)は満足できる。そこで、ΔLpolymer1、 ΔLpolymer2を上の式(14)を満足するように設計してやれば、完全に1次、2次ともに温度無依存化できる。具体的には、石英の屈折率の温度依存性、Siの熱膨張係数、あるいはポリマーを入れないアレイ導波路回折格子を作製して、その波長の温度依存性から、
が得られる。これを上記の式(12)〜(14)に代入すると、次式が得られる。
第1の溝にこれまで実績のあるシリコーン樹脂(Aの係数がマイナスに大きく、Bの係数はプラスに小さい材料)を入れ、第2の溝にエチレンアクリレート共重合体(Aの係数はマイナスに大きく、Bの係数はマイナスに大きい)を入れると想定する。その結果は、次式となる。
ここで、エチレンアクリレート共重合体(MFR=9g/10min、アクリル酸エステル含有量=13%)の屈折率の温度依存性は、1次、2次の項は負であり、その絶対値は大きくA2=−3.78×10-4、B2=−5.24×10-6である。そこで、ΔLsio2=35μmとし、nc=1.45の値を代入すると
となる。
そこで、アレイ導波路回折格子に2種類の樹脂を充填できるように、例えば図13に示すように、アレイ導波路回折格子の入力側と出力側の両方のスラブ導波路1−3,1−6に三角溝1−7,13−1を作製した。13―1は出力用スラブ導波路1−6に掘った溝である。ここで、2つのスラブ導波路1−3,1−6にそれぞれ1種類ずつ樹脂を充填するようにしたが、図14に示すように、片方のスラブ導波路1−3のみに溝を切って2つの樹脂を充填しても構わない。
図13の基本構造は図1と同じであるが、出力側のスラブ導波路1−6に13-1の溝が形成されて、ここにエチレンアクリレート共重合体が充填されているのが相違している。1-8のシリコーン樹脂は2液性のタイプでも1液性タイプでも構わない。未硬化のシリコーン樹脂は室温で液体であるので、これらを溝に垂らして毛細管現象で溝に充填する。エチレンアクリレート共重合体は、150℃以上に加熱すると軟らかくなるので、軟らかくなった状態で溝に充填する。あるいは、エチレンアクリレート共重合体をメシチレンなどの溶媒に加熱して溶かして、溶液を作り、その溶液を溝に充填し、90℃程度に加熱して、溶媒を飛ばして、溝にこれらの樹脂を充填固着してもよい。
このようにして作製された温度無依存のアレイ導波路回折格子の波長−温度依存性を測定した結果を図15に示す。図15に示すように、シリコーン樹脂で温度無依存化した場合には、1次の効果しか補正できないので、−40℃〜80℃において80pmの波長変動があるが、本実施例のように2種類の樹脂で補正した場合には、1次、2次まで補正できるので、変動が6pm以内に抑えられる。
ここでは、エチレンアクリレート共重合体を用いたが、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、ヘキセンを含むポリエチレン、エチレン系アイオノマー樹脂、ポリプロピレンでも同様の効果が得られた。
上記エチレン系材料は比較的柔らかい材料であるが、溝に入れて−40℃程度に冷却すると硬くなってクラックが入る場合もあった。そこでフタル酸エステル(フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニルなど)の可塑剤を数10%添加することによって、柔らかくすることによって、硬くなることを防ぐことが可能であった。可塑剤を加えても、ロスの増加はなく、1、2次の係数の変化もなかった。
(他の実施例)
上記では、本発明の好適な実施例を例示して説明したが、本発明の実施例は上記例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内であれば、その構成部材等の置換、変更、追加、個数や数量の増減、形状の設計変更等の各種変形は、全て本発明の実施形態に含まれる。また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
1−1 石英基板
1−2 入力用チャネル導波路
1−3 入力側スラブ導波路
1−4 移相用チャネル導波路
1−5 出力用チャネル導波路
1−6 出力側スラブ導波路
1−7 三角溝あるは三日月溝
1−8 充填した光学樹脂
10−1 スラブ導波路
10−2 エチレン酢酸ビニル共重合体+可塑剤
10−3 溝
10−4 カバーガラス
10−5 UVエポキシ樹脂
13−1 出力用スラブ導波路に掘った溝

Claims (2)

  1. 所定の光路長差ΔLで順次長くなる複数の導波路からなるアレイ導波路と、
    前記アレイ導波路の両端部に接続された第1および第2のスラブ導波路と、
    透過波長における温度依存性を補償する温度補償手段と
    を備えたアレイ導波路回折格子において、
    前記温度補償手段は、前記アレイ導波路および前記第1および第2のスラブ導波路の少なくともいずれか1つに、光波の進行方向に交差して導波路を分断する溝を形成し、前記溝に前記分断した導波路の実効屈折率ncの温度係数と異なる屈折率温度係数を有する材料を挿入または充填することにより形成された手段であり、
    前記光路長差ΔLは、前記溝での光路長差ΔLpolymerと前記溝以外での光路長差ΔLcの和で表され、
    前記溝に挿入または充填した材料の屈折率npolymerの温度Tによる微分が、A、Bを前記材料の温度係数として
    dnpolymer/dT=A+B×Tと近似され、
    アレイ導波路回折格子の中心波長λCの温度Tによる微分が、K1、K2を定数として
    と近似され、
    前記アレイ導波路回折格子が、石英系ガラスから構成され、
    前記溝に挿入また充填した材料が、酢酸ビニル基、アクリレート基、ヘキセン基、メタアクリレート基を含むポリエチレン等のポリオレフィン誘導体に、DOP(フタル酸ジオクチル)、DUP(フタル酸ジウンデシル)、DIDP(フタル酸ジイソデシル)、TOTM(トリメリット酸トリオクチル)等のフタル酸エステル系の可塑剤を重量比で2倍から10倍添加した材料であり、
    前記重量比は、前記温度係数A、Bが、
    または、
    を満たすように調整した
    ことを特徴とするアレイ導波路回折格子。
  2. 前記溝に挿入または充填した前記材料のガラス転移温度が、−60℃から+20℃の範囲にあることを特徴とする請求項に記載のアレイ導波路回折格子。
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