JP5468171B1 - 吸液性固状物、吸液性固状物の製造方法、凝固剤、除菌性凝固剤、研磨助剤、消臭・芳香剤、及び防虫剤。 - Google Patents
吸液性固状物、吸液性固状物の製造方法、凝固剤、除菌性凝固剤、研磨助剤、消臭・芳香剤、及び防虫剤。 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】床用樹脂仕上げ剤の剥離廃液を凝集処理することによって得られ、アクリルポリマーを含有し、嵩比重が0.6g/cm3以下であることを特徴とする吸液性固状物。
【選択図】なし
Description
(1) 床用樹脂仕上げ剤の剥離廃液を、凝集処理、ろ過、及び乾燥することによって得られ、アクリルポリマーを含有し、嵩比重が0.6g/cm3以下であることを特徴とする吸液性固状物であり、
(2) 剥離剤を含有しないことを特徴とする前記(1)に記載の吸液性固状物であり、
(3) 床用樹脂仕上げ剤の皮膜が形成された床面を、剥離剤を使用することなく、水で濡らしつつ研磨することによって生じる床用樹脂仕上げ剤の剥離廃液を回収し、
この剥離廃液を凝集処理することによって固形分を回収し、
この固形分を乾燥することによって吸液性固状物を得ることを特徴とする前記(2)に記載の吸液性固状物の製造方法であり、
(4) 前記凝集処理は、無機凝集剤と高分子凝集剤とを剥離廃液に添加することを特徴とする前記(3)に記載の吸液性固状物の製造方法であり、
(5)前記(2)に記載の吸液性固状物、又は前記(3)若しくは前記(4)に記載の製造方法によって得られた吸液性固状物を含有して成る凝固剤
(6) 前記(2)に記載の吸液性固状物、又は前記(3)若しくは前記(4)に記載の製造方法によって得られた吸液性固状物と除菌剤とを含有して成る除菌性凝固剤であり、
(7) 前記(2)に記載の吸液性固状物、又は前記(3)若しくは前記(4)に記載の製造方法によって得られた吸液性固状物を含有して成る研磨助剤であり、
(8) 前記(2)に記載の吸液性固状物、又は前記(3)若しくは前記(4)に記載の製造方法によって得られた吸液性固状物と消臭・芳香性物質とを含有して成る消臭・芳香剤であり、
(9) 前記(2)に記載の吸液性固状物、又は前記(3)若しくは前記(4)に記載の製造方法によって得られた吸液性固状物と防虫性物質とを含有して成る防虫剤である。
床面に床用樹脂仕上げ剤の皮膜が形成される。床用樹脂仕上げ剤が床面に皮膜を形成でき
る限りにおいて、前記床面は特に限定されるものではなく、例えば、塩化ビニールに代表
されるプラスチック樹脂の床面、Pタイルの床面、リノリウムの床面、石床の床面、又は
木床の床面であってもよい。床用樹脂仕上げ剤を床面に塗布乾燥する方法は、従来公知の
方法を用いることができ、例えば、床用樹脂仕上げ剤をモップによって床面に塗布した後
、20〜40分間放置する方法を用いることができる。床用樹脂仕上げ剤を塗布する際に
は、塗布の回数を変えることによって、床面に形成される皮膜の層数を調節することがで
きる。本発明では、床面に形成される床用樹脂仕上げ剤の皮膜は1層のみであってもよい
し、複数層であってもよい。
本発明では、清掃現場で発生した床用樹脂仕上げ剤の剥離廃液から得られた吸液性固状物を、例えば、吐瀉物の凝固剤として清掃現場で使用することができるので、清掃現場におけるリサイクル意識を高めることができる。
消臭性物質は、アンモニア、アセトアルデヒド、及び硫化水素等の悪臭の元となる物質を吸着する物質、又は悪臭の元となる物質を化学的に反応させて悪臭のしない別の物質に変える物質であり、液体であることが好ましい。消臭性物質としては、有機系及び無機系の消臭性物質が挙げられる。有機系消臭性物質としては、例えば、茶葉やキノコ等の植物抽出物を組み合わせた天然系消臭性物質、アミノ酸系消臭性物質、又は両性界面活性剤系消臭性物質が挙げられる。無機系消臭性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、及び酸化亜鉛等の金属酸化物、並びに、銀、銅、又は亜鉛等の金属をケイ酸塩化合物に担持させた物質が挙げられる。これらの消臭性物質は、1種のみで使用してもよく、複数種を組み合わせて使用してもよい。これらの消臭性物質は、水等の液体に、適宜、溶解及び希釈されることによって使用されることが好ましい。
芳香性物質は、芳香を発する物質であればよく、芳香を発する揮発性の液体であることが好ましい。芳香性物質としては、例えば、市販されている香水を用いてもよく、植物油から抽出された芳香性のエッセンシャルオイルを用いてもよい。芳香性物質には、その芳香成分が悪臭を感覚的に打ち消すことによって、消臭効果を奏するものがある。このように、芳香性物質によって悪臭を感覚的に打ち消す消臭方法は、マスキング法と称されることがある。尚、吸液性固状物と消臭性物質とを含有する消臭剤、及び吸液性固状物と芳香性物質とを含有する芳香剤は、本発明の消臭・芳香剤の一例である。
悪臭の原因物質は多岐に渡るので、前記消臭・芳香性物質のうち、複数種類を組み合わせて使用することが好ましい。
吸液性固状物と消臭・芳香性物質とから消臭・芳香剤を得るには、例えば、吸液性固状物に、液体の消臭・芳香性物質を適量、添着させ、及び/又は担持させる(以下、「添着・担持させる」と称することがある。)方法を用いることができる。本発明の吸液性固状物は比較的多くの空隙を有するので、空隙中に消臭・芳香性物質を多量に添着・担持させることができ、空隙中に添着・担持させられた揮発性物質は、徐々に空気中へと揮発する。また、空隙に添着・担持させられた揮発性のない消臭性物質は、吸液性固状物の空隙中において、悪臭の元となる物質を吸着したり、悪臭の元となる物質を化学的に反応させたりすることによって、消臭効果を発揮する。よって、本発明の吸液性固状物を用いることにより、消臭・芳香性能を長持ちさせることができ、具体的には、悪臭の元となる物質を吸着したり、悪臭の元となる物質を化学的に反応させて別の物質に変えたり、マスキング法により悪臭を打ち消したりする性能を長持ちさせることができる。消臭・芳香剤に含有される吸液性固状物の粒径は、適宜設計変更することができるが、例えば、30〜120メッシュであることが好ましい。
また、吸液性固状物に添着・担持させる消臭・芳香性物質は、水やアルコール、その他の液体によって希釈したものを使用することにより、その空気中への揮発量を制御することができる。
使用開始時の消臭・芳香剤における吸液性固状物の含有率、及び消臭・芳香性物質の含有率は適宜設計変更することができるが、例えば、吸液性固状物の含有率が40質量%以上80質量%以下であり、消臭・芳香性物質総量の含有率が20質量%以上60質量%以下であることが好ましい。消臭・芳香剤を使用するにつれて、消臭・芳香剤中の揮発性の消臭・芳香性物質は空気中へと揮発するので、消臭・芳香剤における消臭・芳香性物質の含有率は使用と共に小さくなる。
(水剥離法による吸液性固状物の製造)
(1)皮膜の剥離
ワックス用モップを用いて、30m2の塩ビシートの床に、床用樹脂仕上げ剤(ディバーシー株式会社製、製品名スターダム)を1回塗布した。床用樹脂仕上げ剤の塗布量は、床1m2当たり15ccとなるようにした。塗布後、20分間乾燥させることによって、床用樹脂仕上げ剤の皮膜を形成した
皮膜を形成してから1週間後に、水剥離機械であるオーボット(フラビーオービタルシステムズ インコーポレイテッド製)の回転盤の上に17.6kgの重しを載せ、ナイロン素材からなるアクアストリッピングパッド(インテックスソリューション株式会社製)を回転盤に装填し、剥離剤を使用することなく、水を少量出しながら、床用樹脂仕上げ剤の皮膜が形成された床面を研磨することによって、床用樹脂仕上げ剤の剥離廃液を得た。
(2)剥離廃液の凝集処理
前記(1)で得られた剥離廃液を、吸水バキュームマシンで回収した。回収量は、約2000ccであった。廃液を透明なプラスチックのバケツに移し、無機凝集剤である硫酸アルミニウムと、高分子凝集剤であるポリグルタミン酸の架橋体と、増量剤である硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、及び炭酸ナトリウムとを含有する凝集剤(以下、「凝集剤1」と称することがある。)を2g、凝集剤1の濃度が剥離廃液に対して0.1質量%となるように、粉体のまま添加して、モップの柄で攪拌した。攪拌後、約50秒で凝集反応が始まり、約90秒以内には完全に固液分離した。固液分離した廃液のうち1000ccを、ポリプロピレン素材の不織布(ユニチカ株式会社製)に1回通して、濾水と、固形分とに分離した。
(3)固形分の乾燥と粒度調整
前記(2)で得られた固形分を、不織布で包みこんだまま手で絞ることによって、大方の水分を取った。その後、固形分を不織布に入れたまま、日中でも日陰となる野外の場所に3日間静置した。固形分を静置してから2日が経つと、固形分は小石状の固まりと粉とになり、固形分を静置してから3日が経つと、ほとんどの水分が蒸発して完全な粉状となった吸液性固状物が得られた。得られた吸液性固状物は約41gであり、これは剥離廃液重量の約4.1質量%であった。この吸液性固状物を製粉機にかけ粒度を30メッシュ程度に調整し嵩比重を測定したところ、0.48g/cm3であった。また、得られた吸液性固状物の臭いを官能試験にて調べたところ、アミン又は溶剤の臭いは感知されなかった。以下、この製造例1における剥離剤を使用しない吸液性固状物の製造方法を、「水剥離法」と称することがある。
(製造例2)
製造例1の(3)固形分の乾燥において、固形分を不織布で包み込んだまま手で絞ることによって、大方の水分を取った後、固形分を不織布に入れたまま、日中でも日陰となる野外の場所に2日間静置したこと以外は、製造例1と同様にして吸液性固状物を得た。得られた吸液性固状物は、灰色であり、さらさらとした粉状であった。この吸液性固状物を製粉機にかけ粒度を30メッシュ程度に調整し嵩比重を測定したところ、0.47g/cm3であった。また、得られた吸液性固状物の臭いを官能試験にて調べたところ、アミン又は溶剤の臭いは感知されなかった。
(製造例3)
製造例1の(3)固形分の乾燥において、固形分を不織布で包み込んだまま手で絞ることによって、大方の水分を取った後、固形分を不織布から出して、日中には直射日光のあたる野外の場所に1日間静置したこと以外は、製造例1と同様にして吸液性固状物を得た。得られた吸液性固状物は、灰色であり、ほんの少し湿った感触のある粉状であった。この吸液性固状物を製粉機にかけ粒度を30メッシュ程度に調整し嵩比重を測定したところ、0.51g/cm3であった。また、得られた吸液性固状物の臭いを官能試験にて調べたところ、アミン又は溶剤の臭いは感知されなかった。
(アルカリ剥離法による吸液性固状物の製造)
(1)皮膜の剥離
ワックス用モップを用いて、30m2の塩ビシートの床に、床用樹脂仕上げ剤(ディバーシー株式会社製、製品名スターダム)を1回塗布した。床用樹脂仕上げ剤の塗布量は、床1m2当たり15ccとなるようにした。塗布後、20分間乾燥させることによって、床用樹脂仕上げ剤の皮膜を形成した。
皮膜を形成してから1週間後に、強アルカリ性(pH13)の剥離剤であるジェイリムーバープロ(ディバーシー株式会社製)を10倍に水で希釈した液を床用樹脂仕上げ剤の皮膜が形成された床面に1回塗布した。剥離剤の塗布量は床1m2当たり200ccとなるようにした。剥離剤を塗布した後10分間放置し、剥離剤が床用樹脂仕上げ剤の皮膜内部に浸透するようにした。その後、市販の床用洗浄機であってモーターの回転数が160/190rpmのフロアーポリッシャー(アマノ武蔵株式会社製)に、ナイロン素材からなるブラックストリッピングパッド(住友スリーエム株式会社製)を前記フロアーポリッシャーの回転盤に装填した。このフロアーポリッシャーを用いて、床用樹脂仕上げ剤の皮膜が形成された床面を研磨することによって、床用樹脂仕上げ剤の剥離廃液を得た。
(2)剥離廃液の中和、凝集処理
前記(1)で得られた剥離廃液を、吸水バキュームマシンで回収した。回収量は、約6000ccであった。この剥離廃液を透明なプラスチックのバケツに移し、剥離廃液の1次処理剤であって酸性の溶液であるマジカルZ1(アイビーグリーン株式会社製)を加えることによって、剥離廃液をpH7まで中和した。中和後、剥離廃液の2次処理剤であって粉体の凝集剤であるマジカルZ2(アイビーグリーン株式会社製)を0.5質量%の濃度となるように添加して、モップの柄で攪拌した。攪拌してから、約3分後に凝集反応が開始し、約5分以内には剥離廃液が柔らかい半練り状になった。半練り状になった剥離廃液のうち1000ccを、ポリプロピレン素材の不織布(ユニチカ株式会社製)に1回塗布して、濾水と、固形分とに分離した。
(3)固形分の乾燥と粒度調整
前記(2)で得られた固形分を、不織布で包み込んだまま手で絞ることによって、可能な限りに水分を取った後、日中でも日陰となる野外の場所に5日間静置した。固形分を静置してから3日が経つと、固形分は小石状の固まりと粉とになり、固形分を静置してから5日が経つと、ほとんどの水分が蒸発して完全な粉状になった吸液性固状物が得られた。得られた吸液性固状物は約82gであり、これは剥離廃液重量の約8.2質量%であった。この吸液性固状物を製粉機にかけ粒度を30メッシュ程度に調整し嵩比重を測定したところ、0.67g/cm3であった。また、得られた吸液性固状物の臭いを官能試験にて調べたところ、アミン又は溶剤の臭いが感知された。以下、この製造例4における剥離剤を使用した吸液性固状物の製造方法を、「アルカリ剥離法」と称することがある。
(製造例5)
製造例4の(3)固形分の乾燥において、固形分を不織布で包み込んだまま手で絞ることによって、大方の水分を取った後、固形分を不織布から出して、日中には直射日光のあたる野外の場所に1日静置したこと以外は、製造例4と同様にして吸液性固状物を得た。得られた吸液性固状物は、黒色の強い灰色であり、さらさらとした粉状であった。この吸液性固状物を製粉機にかけ粒度を30メッシュ程度に調整し嵩比重を測定したところ、0.72g/cm3であった。また、得られた吸液性固状物の臭いを官能試験にて調べたところ、アミン又は溶剤の臭いが感知された。
(実施例1)
直径10mmのアクリル製の円筒管に、前記製造例1で得られた吸液性固状物を10cm3、4.8g詰めた。また、前記円筒管の底に6か所の穴を開け、この穴に紙をあてがった。円筒管の上部から水を0.5gずつ均一に垂らしていき、水が円筒管の底部にあてがった紙へと沁み出すのを目視により確認した。紙への水の沁み出しは3分間毎に確認し、水が沁み出す直前までに添加した水の質量を、最大吸水量とした。また、水を垂らす前における前記円筒管に詰められた吸液性固状物の質量に対する最大吸水量の割合を、吸水率とした。結果を以下の表1に示す。
(実施例2)
直径10mmのアクリル製の円筒管に、前記製造例2で得られた吸液性固状物を10cm3、4.7g詰めたこと以外は、前記実施例1と同様にして実験を行った。結果を以下の表1に示す。
(実施例3)
直径10mmのアクリル製の円筒管に、前記製造例3で得られた吸液性固状物を10cm3、5.1g詰めたこと以外は、前記実施例1と同様にして実験を行った。結果を以下の表1に示す。
(比較例1)
直径10mmのアクリル製の円筒管に、前記製造例4で得られた吸液性固状物を10cm3、6.7g詰めたこと以外は、前記実施例1と同様にして実験を行った。結果を以下の表1に示す。
(比較例2)
直径10mmのアクリル製の円筒管に、前記製造例5で得られた吸液性固状物を10cm3、7.2g詰めたこと以外は、前記実施例1と同様にして実験を行った。結果を以下の表1に示す。
直径10mmのアクリル製の円筒管に、前記製造例1で得られた吸液性固状物を5.0g詰め、紙への水の沁み出しを3分毎に確認すること以外は、前記実施例1と同様にして実験を行った。結果を以下の表2に示す。
(実施例5)
直径10mmのアクリル製の円筒管に、前記製造例1で得られた吸液性固状物と焼結セピオライト#15-30メッシュ(原産国:スペイン、輸入販売元:株式会社セピオジャパン、以下、「焼結セピオライト」と称する。)とを50質量%ずつ混合した混合粉末を5.0g詰めたこと以外は、前記実施例4と同様にして実験を行った。結果を以下の表2に示す。
(比較例3)
直径10mmのアクリル製の円筒管に、アクリルポリマーの原液を乾燥させることによって得られた残渣を、5.0g詰めたこと以外は、前記実施例4と同様にして実験を行った。結果を以下の表2に示す。
(比較例4)
床面に塗布する前の床用樹脂仕上げ剤(ディバーシー株式会社製、製品名スターダム)の原液を、製造例1に記載した凝集処理方法を用いることによって凝集させ、残渣を得た。この残渣を、直径10mmのアクリル製の円筒管に、5.0g詰めたこと以外は、前記実施例4と同様にして実験を行った。結果を以下の表2に示す。
(比較例5)
直径10mmのアクリル製の円筒管に、前記製造例4で得られた吸液性固状物を5.0g詰めたこと以外は、前記実施例4と同様にして実験を行った。結果を以下の表2に示す。
直径30mmのアクリル製の円筒管に、前記製造例1で得られた吸液性固状物を30g詰め、紙への水の沁み出しを2分毎に確認すること以外は、前記実施例1と同様にして実験を行った。結果を以下の表3に示す。
(実施例7)
直径30mmのアクリル製の円筒管に、前記製造例1で得られた吸液性固状物と焼結セピオライトとを50質量%ずつ混合した混合粉末を、30g詰めたこと以外は、前記実施例6と同様にして実験を行った。結果を以下の表3に示す。
(比較例6)
直径30mmのアクリル製の円筒管に、前記製造例4で得られた吸液性固状物を30g詰めたこと以外は、前記実施例6と同様にして実験を行った。結果を以下の表3に示す。
(実施例11)
(1)凝固剤の調製
前記製造例1で得られた吸液性固状物を、製粉機を用いることによって、10〜30メッシュに調製した。この吸液性固状物を45質量%、焼結セピオライトを44質量%、高吸水性樹脂であるアクリル酸ナトリウム重合物を8質量%、及びジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを3質量%含有するように混合した粉末を、凝固剤とした。
(2)凝固試験
30cm角のPタイルの床面に、30ccの水を加えた。この床面の水に、5gの前記凝固剤を1mの高さから振りかけた。1分後に、水が凝固したことを目視で確認し、市販の紙製の使い捨てホウキとチリトリとで凝固物を回収し、ペーパータオルで凝固物を拭き取って、回収した凝固物とペーパータオルとの合計重量を測定したところ、35gであった。凝固物は、硬く、床面に付着せずに紙製のほうきとチリトリとで簡単に剥がすことができた。表4の「凝固物の回収し易さ」の欄に「○」として示した。また、凝固物は糊上になって床面に残ることがなく、全量を回収する事ができた。表4の「凝固物の残存」の欄に「○」として示した。
(比較例11)
凝固剤として、ケイ酸化合物、高分子凝集剤及びジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを主成分とした市販の家庭用凝固剤(以下、「家庭用凝固剤1」と称することがある。)を凝固剤として使用したこと以外は、実施例11と同様にして実験を行った。この家庭用凝固剤1は、床用樹脂仕上げ剤の剥離廃液から得られた吸液性固状物を含有しない。
回収した凝固物とペーパータオルとの合計重量は、32gであった。凝固物は、やわらかく、床面に付着してホウキとチリトリとでは剥がしにくく回収がしにくかった。表4の「凝固物の回収し易さ」の欄に「×」として示した。また、凝固物は、糊状になって床面に残存していた。表4の「凝固物の残存」の欄に「×」として示した。
(比較例12)
凝固剤として、ゼオライト、高分子凝集剤及び顆粒状二酸化塩素を主成分とした市販の業務用凝固剤(以下、「業務用凝固剤2」と称することがある。)を使用したこと以外は、実施例11と同様にして実験を行った。この業務用凝固剤2は、床用樹脂仕上げ剤の剥離廃液から得られた吸液性固状物を含有しない。回収した凝固物とペーパータオルとの合計重量は、32gであった。凝固物は、やわらかく、床面に付着してホウキとチリトリとでは剥がしにくく回収がしにくかった。表4の「凝固物の回収し易さ」の欄に「×」として示した。また、凝固物は、糊状になって床面に残存していた。表4の「凝固物の残存」の欄に「×」として示した。
(実施例12)
30cm角のPタイルの床面に、30ccの人間の尿を加えたこと以外は、実施例11と同様にして実験を行った。また、凝固物を回収した後の床面の臭いを官能評価した。
凝固物の回収量、凝固物の回収し易さ、及び凝固物の残存については、実施例11と同様の結果を得た。凝固物を回収した直後は、床面から尿の臭いは確認されず、若干の塩素臭が確認された。凝固物を回収してから3分後には、塩素臭は確認されなかった。
(比較例13)
凝固剤として家庭用凝固剤1を使用したこと以外は、実施例12と同様にして実験を行った。
凝固物の回収量、凝固物の回収し易さ、及び凝固物の残存については、比較例11と同様の結果を得た。凝固物を回収した直後に、床面から尿の臭いが僅かに確認された。
(比較例14)
凝固剤として、業務用凝固剤2を使用したこと以外は、実施例12と同様にして実験を行った。
凝固物の回収量、凝固物の回収し易さ、及び凝固物の残存については、比較例12と同様の結果を得た。凝固物を回収した直後に、床面からやや尿の臭いが確認された。
(実施例13)
30cm角のPタイルの床面に、30ccのアマニ油を加えた。この床面のアマニ油に、実施例11で調製した凝固剤を10gずつ、数回に分けて、1mの高さからアマニ油に振りかけた。3分後にアマニ油の状態を目視で確認した。アマニ油は徐々に凝固剤に吸収される様子が観察され、凝固剤を合計で40g振りかけた時に、ほぼ全量のアマニ油が凝固剤に吸収されて柔らかい凝固物が形成された。市販の紙製の使い捨てホウキとチリトリとで凝固物を回収した後に、床面を乾燥したペーパータオルで拭き取って清浄な状態に仕上げた。ホウキとチリトリとで回収できた凝固物の質量は64gであり、これは、アマニ油と振りかけた凝固剤との合計質量に対して約92質量%であった。また、その後のペーパータオルによる拭き取りによって、床面にこぼしたアマニ油の全量を回収することができた。
(比較例15)
凝固剤として、家庭用凝固剤1を使用したこと以外は、実施例13と同様にして実験を行った。
凝固剤を振りかけてから3分後に、アマニ油は凝固剤に吸収されることなく、大半が液体のまま床面に残存していた。合計で60gの凝固剤をアマニ油に振りかけた後であっても、アマニ油は凝固剤に吸収されることなく、大半が液体のまま床面に残存した。
(比較例16)
凝固剤として、業務用凝固剤2を使用したこと以外は、実施例13と同様にして実験を行った。
凝固剤を振りかけてから3分後に、アマニ油は凝固剤に吸収されることなく、大半が液体のまま床面に残存していた。合計で60gの凝固剤をアマニ油に振りかけた後であっても、アマニ油は凝固剤に吸収されることなく、大半が液体のまま床面に残存した。
(実施例14)
30cm角のPタイルの床面に、30ccの鉱物油系油性塗料を加えた。この床面の鉱物油系油性塗料に、実施例11で調製した凝固剤を10gずつ、数回に分けて、1mの高さから振りかけた。3分後に鉱物油系油性塗料の状態を目視で確認した。鉱物油系油性塗料は徐々に凝固剤に吸収される様子が観察され、凝固剤を合計で40g振りかけた時に、ほぼ全量の鉱物油系油性塗料が凝固剤に吸収されて柔らかい凝固物が形成された。市販の紙製の使い捨てホウキとチリトリとで凝固物を回収した後に、床面を乾燥したペーパータオルで拭き取って清浄な状態に仕上げた。ホウキとチリトリとで回収できた凝固物の質量は60gであり、これは、鉱物油系油性塗料と振りかけた凝固剤との合計質量に対して約85質量%であった。また、その後のペーパータオルによる拭き取りによって回収した鉱物油系油性塗料と、前記ホウキとチリトリとで回収できた凝固物の質量とを合計すると、67gであった。これは、鉱物油系油性塗料と振りかけた凝固剤との合計質量に対して約96質量%であった。また、ペーパータオルによる拭き取り後は、床面に鉱物油系油性塗料の残存は確認されなかった。
(比較例17)
凝固剤として、家庭用凝固剤1を使用したこと以外は、実施例14と同様にして実験を行った。
凝固剤を振りかけてから3分後に、鉱物油系油性塗料は凝固剤に吸収されることなく、大半が液体のまま床面に残存していた。合計で60gの凝固剤を鉱物油系油性塗料に振りかけた後であっても、鉱物油系油性塗料は凝固剤に吸収されることなく、大半が液体のまま床面に残存した。
(比較例18)
凝固剤として、業務用凝固剤2を使用したこと以外は、実施例14と同様にして実験を行った。
凝固剤を振りかけてから3分後に、鉱物油系油性塗料は凝固剤に吸収されることなく、大半が液体のまま床面に残存していた。合計で60gの凝固剤を鉱物油系油性塗料に振りかけた後であっても、鉱物油系油性塗料は凝固剤に吸収されることなく、大半が液体のまま床面に残存した。
(実施例15)
30cm角のPタイルの床面に、30ccの牛乳を加えた。この床面の牛乳に、実施例11で調製した凝固剤5gを、1mの高さから振りかけた。凝固剤を振りかけた直後より、ストップウォッチを用いて1分が経過する毎に床面の牛乳の状態を目視で確認した。凝固剤を振りかけた直後より、床面の牛乳が徐々に凝固剤に吸収される様子が観察された。凝固剤を振りかけてから5分が経過した時に、ほぼ全量の牛乳が凝固剤に吸収されて、床面に柔らかい凝固物が形成された。市販の紙製の使い捨てホウキとチリトリとで凝固物を回収した後に、床面を乾燥したペーパータオルで拭き取って清浄な状態に仕上げた。ホウキとチリトリとで回収できた凝固物の質量は33gであり、これは、牛乳と振りかけた凝固剤との合計質量に対して約94質量%であった。また、その後のペーパータオルによる拭き取りによって、床面にこぼした牛乳の全量を回収することができた。
(比較例19)
凝固剤として、家庭用凝固剤1を使用したこと以外は、実施例15と同様にして実験を行った。
凝固剤を振りかけてから5分が経過した時には、若干量の牛乳が、凝固剤に吸収されることなく液体のまま床面に残存していた。ほぼ全量の牛乳が凝固剤に吸収されて、柔らかい凝固物が形成されたのは、凝固剤を振りかけてから7分が経過した時であった。
(比較例20)
凝固剤として、業務用凝固剤2を使用したこと以外は、実施例15と同様にして実験を行った。
凝固剤を振りかけてから5分が経過した時には、若干量の牛乳が、凝固剤に吸収されることなく液体のまま床面に残存していた。ほぼ全量の牛乳が凝固剤に吸収されて、柔らかい凝固物が形成されたのは、凝固剤を振りかけてから7分が経過した時であった。
(実施例16)
30cm角のPタイルの床面に、5ccの血液(株式会社ケー・エー・シー製研究用試薬・ヒト全血SAG)を加えた。この床面の血液に、実施例11で調製した凝固剤5gを、30cmの高さから血液に振りかけた。凝固剤を振りかけた直後より、ストップウォッチを用いて1分が経過する毎に床面の血液の状態を目視で確認した。凝固剤を振りかけた直後より、床面の血液が徐々に凝固剤に吸収される様子が観察された。凝固剤を振りかけてから7分が経過した時に、ほぼ全量の血液が凝固剤に吸収されて、床面に柔らかい凝固物が形成された。市販の紙製の使い捨てホウキとチリトリとで凝固物を回収した後に、床面を乾燥したペーパータオルで拭き取って清浄な状態に仕上げた。ホウキとチリトリとで回収できた凝固物の質量は9.5gであり、これは、血液と振りかけた凝固剤との合計質量に対して約95質量%であった。また、その後のペーパータオルによる拭き取りによって、床面にこぼした血液の全量を回収することができた。
(比較例21)
凝固剤として、家庭用凝固剤1を使用したこと以外は、実施例16と同様にして実験を行った。
凝固剤を振りかけてから7分を経過した時には、血液の若干量は液体のまま床面に残存していた。ほぼ全量の血液が凝固剤に吸収されて柔らかい凝固物が形成されたのは、凝固剤を振りかけてから8分を経過した時であった。
(比較例22)
凝固剤として、業務用凝固剤2を使用したこと以外は、実施例16と同様にして実験を行った。
凝固剤を振りかけてから7分を経過した時には、血液の若干量は液体のまま床面に残存していた。ほぼ全量の血液が凝固剤に吸収されて柔らかい凝固物が形成されたのは、凝固剤を振りかけてから8分を経過した時であった。
(実施例31)
(1)除菌性凝固剤の調製
製造例1で得られた吸液性固状物を、製粉機を用いることによって、10〜30メッシュに調製した。この吸液性固状物の含有率が45質量%、10〜30メッシュの焼結セピオライトの含有率が44質量%、30〜120メッシュの高吸水性樹脂の含有率が8質量%、30〜120メッシュのジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(濃度:55質量%)の含有率が3質量%となるように、混合した粉末を、除菌性凝固剤とした。
(2)凝固試験
30cm角に区切られたオフィスビルのトイレの塩化ビニールシートの床面に、30ccの水を加えた。水を加えた後に、市販のナイロンたわしを用いて床面を擦り、汚れを床表面に浮き立たせた。その後、1mの高さから5gの除菌性凝固剤を万遍なく床面の水に振りかけた。1分後、水が凝固したことを目視で確認し、市販のホウキとチリトリとで凝固物を回収した。
(3)コロニーの発生による除菌評価
凝固物を回収した後の床面を乾燥したペーパータオルで拭いた。この床面に、クリーンスタンプ(ニッスイ製薬株式会社製)の寒天培地面を軽く押し当て、35℃の条件下で一般生菌及び真菌を培養した。目視で培地表面を確認したところ、クリーンスタンプの培地表面には、一般生菌及び真菌ともにコロニーの発生は確認されなかった。
(4)ATP量による除菌評価
凝固物を回収した後の床面を乾燥したペーパータオルで拭いた。この床面を、湿った綿棒で軽くふき取り、ルミテスターPD−20(キッコーマンバイオケミファ株式会社製)を用いて、ATP(アデノシン三リン酸)の量を測定した。ATPの測定値が大きいほど、細菌が増殖するのに必要な有機物の残存量を示す。ATPの測定値は、68RLU(Relative Light Unit)であった。
(比較例31)
除菌性凝固剤として、家庭用凝固剤1を用いたこと以外は、実施例31と同様にして実験を行った。
クリーンスタンプの培地表面に、わずかながら細菌のコロニーが発生したことが目視によって確認されたほか、ATPの測定値は386RLUであった。
(比較例32)
除菌性凝固剤として、業務用凝固剤2を用いたこと以外は、実施例31と同様にして実験を行った。
クリーンスタンプの培地表面に、わずかながら細菌のコロニーが発生したことが目視によって確認されたほか、ATPの測定値は1284RLUであった。
(実施例41)
(1)研磨剤と研磨助剤との混合粉末の調製
製造例1で得られた吸液性固状物を、製粉機を用いることによって、30〜80メッシュの粒度に調製した。研磨助剤としてこの吸液性固状物を40質量%、研磨剤として粒径が80メッシュの酸化アルミナ(永塚工業株式会社製)を60質量%含有するように混合した混合粉末を調製した。
(2)研磨試験
床用Pタイル30cm角を4分割に区切り、そのうち3区分にディバーシー株式会社製の床用樹脂仕上げ剤スターダムを、それぞれの区分において床用樹脂仕上げ剤が1層、2層、及び3層となるように、塗布し乾燥させた。前記(1)で調製した混合粉末を0.5g、床用樹脂仕上げ剤が塗布された床面に均一に振りかけ、研磨剤を内包しないナイロンタワシ(住友スリーエム株式会社製)を使って、床面を手で10回擦った。仕上げ剤が1層塗布された区分では、均一に床用樹脂仕上げ剤の皮膜を擦り取ることができた。一方で、床用樹脂仕上げ剤が2層又は3層塗布された区分では、ナイロンタワシが皮膜の表面で滑り、均一に研磨することができず、床用樹脂仕上げ剤の表面がまだらに床面に残存する状態になった。
さらに0.5ccの水を床面に加えながら手で擦ると、混合粉末が水を吸って床面に均一に拡散し、ナイロンタワシが皮膜の表面で滑ることなく、手で均一に研磨することができた。床用樹脂仕上げ剤が1層、2層、及び3層塗布されたいずれの区分においても、床用樹脂仕上げ剤を塗布していない残り1区分と同様の状態にまで研磨されたことを目視にて確認した。
(比較例41)
其々の区分の床面に、研磨助剤を用いることなく、80メッシュの粒径の酸化アルミナ(永塚工業株式会社製)0.5gを塗布したこと以外は、実施例41と同様にして実験を行った。
0.5ccの水を床面に加えながら手で擦っても、床用樹脂仕上げ剤が2層又は3層塗布された区分においては、ナイロンタワシが皮膜の表面で滑るという問題が解消されず、床用樹脂仕上げ剤の表面がまだらに床面に残存する状態になった。
(実施例42)
オフィスビルの床のPタイルを90枚、すなわち8.1m2に区切り、ディバーシー株式会社製の床用樹脂仕上げ剤スターダムを塗布して、床用樹脂仕上げ剤の皮膜を有さないPタイルと、床用樹脂仕上げ剤が1層、2層、又は3層塗布されたPタイルとを作製した。これらのPタイルの表面に、45gの実施例41で調製した混合粉末を均一に散布した。床洗浄機械オーボット(フラビーオービタルシステムズ、インコーポレイテッド社製)に、ナイロン素材のアクアストリッピングパッド(インテックスソリューション株式会社製)を装填して、1m2当たり15秒の速度で、剥離剤を使用することなく、水を少量吹きかけながら床用樹脂仕上げ剤の皮膜表面を研磨(以下、「水剥離」と称することがある。)した。その後、Pタイル表面を、10円コインを使って手で3回削り、床用樹脂仕上げ剤の固形分の10円コインへの転移及び付着を目視で確認することによって、床用樹脂仕上げ剤の皮膜が床面に残っているかを評価した。2層の床用樹脂仕上げ剤が塗布された区分は、水剥離により皮膜は残存しなかったが、3層の床用樹脂仕上げ剤が塗布された区分は、皮膜が残存した。
さらに、オーボットに装填するパッドを、住友スリーエム株式会社製のナイロン素材のハイプロパッドに変更して同様の水剥離の作業を行い、同様に10円コインを用いて皮膜が床面に残っているかを評価した。2層及び3層の床用樹脂仕上げ剤が塗布された区分では、床用樹脂仕上げ剤の皮膜は残存しなかった。また作業後に、床面に水剥離及び研磨剤による削り跡の傷が入っていないか目視で確認したが、傷は入っていなかった。
(比較例42)
Pタイルの表面に、実施例41で調製した混合粉末を散布しないことの他は、実施例42と同様にして実験を行った。
オーボットに装填したパッドがアクアストリッピングパッドの場合の結果は、1層の床用樹脂仕上げ剤が塗布された区分は、均一に水剥離され床用樹脂仕上げ剤の皮膜は残存していなかった。一方、2層以上の床用樹脂仕上げ剤が塗布された区分では、10円コインに床用樹脂仕上げ剤の固形分が付着しており、皮膜は研磨できずに残っていた。
オーボットに装填したパッドが住友スリーエム株式会社製ハイプロパッドの場合の結果は、2層の床用樹脂仕上げ剤が塗布された区分では水剥離により皮膜は残存しなかったが、3層の床用樹脂仕上げ剤が塗布された区分では床用樹脂仕上げ剤の皮膜は残存した。
実施例41〜42と比較例41〜42とにより、吸液性固状物を含有する研磨助剤を使用して作業を行うと、皮膜を研磨する性能が高まり、床の素材を傷めることなく作業の効率を高めることができることが示された。
(実施例43)
オフィスビルの塩化ビニール素材の床における直径約1cmで最大深さ約2mmである凹部分に、ディバーシー株式会社製の床用樹脂仕上げ剤スターダムを塗布して3層の床用樹脂仕上げ剤の皮膜が形成された床面を再現した。また、実施例41で調製した混合粉末を、床面に1g散布した。床洗浄機械オーボット(フラビー オービタルシステムズ、インコーポレイテッド社製)に、ナイロンとポリエステル混合素材の柔らかい白パッド(住友スリーエム株式会社製)を装填し、さらにその下すなわち床面に直に触れる部分にはアクアストリッピングパッドを装填して、床面に水を少量吹きかけながらオーボットを5秒間運転して凹み部分において水剥離を行った。その後、塩化ビニール床の表面を10円コインと手で3回削り、床用樹脂仕上げ剤の固形分の10円コインへの転移及び付着を目視で確認し、床用樹脂仕上げ剤の皮膜が床面に残っているかを評価した。
結果は、床面の凹み部分であって、3層の床用樹脂仕上げ剤が塗布された部分に、床用樹脂仕上げ剤の皮膜が残存しなかった。
(比較例43)
床面に実施例41で調製した混合粉末を散布しないことの他は、実施例43と同様に実験を行った。結果として、床用樹脂仕上げ剤の皮膜は研磨できずに床面に残っていた。
実施例43と比較例43とにより、床面に凹み部分がある場合の水剥離作業においても、吸液性固状物を含有した研磨助剤を使用して作業を行うことによって、床用樹脂仕上げ剤の皮膜を研磨する性能が高まり、作業が効率化されることが示された。
(実施例44)
オフィスビルの男子トイレにおいて、一般の洗剤では落とすのが難しい小便器の陶器表面にこびり付いた尿による黄ばみと水垢の黒ずみ汚れ部分に、実施例41で調製した研磨助剤を10cm2当たり0.5gの割合で、ごく少量の水とともに吹きかけた。その後、市販のナイロンタワシを使って手で10回、陶器表面を擦った。陶器表面は、均一に擦られ研磨され、黄ばみと黒ずみは除去できた。さらに同様の条件で、オフィスビルの窓ガラス表面にこびり付いたうろこ状の水垢、塗装した鉄部・アルミ部分他に固着した水垢汚れ、給湯室のステンレス部分の水垢、一般家庭台所のフライパンや鍋の底の炭化してこびり付いた汚れ等々のこびり付いた汚れも同様に、実施例41で調製した研磨助剤を吹きかけた後に、市販のナイロンタワシを使って手で10回擦った。いずれの例においても、水垢、炭化した汚れ、及びこびり付いた汚れを研磨して除去できた。
(実施例51)
製造例1で得られた吸液性固状物10gに、芳香性物質としてユーカリ油100%のエッセンシャルオイルを10g添加し、市販の家庭用芳香剤の容器に詰め、通気のある家庭の玄関に置いた。ユーカリ油の香りが、官能により1ヶ月以上持続して確認された。また、香りは容器を振って吸液性固状物を分散させることによって、一時的に強まることはあったものの、通常は均一の強さで芳香されていた。なお、エッセンシャルオイルを添加した吸液性固状物の1ヶ月経過後における重量は、14gであった。
(比較例51)
吸液性固状物10gの代わりに、比較例3で用いたアクリルポリマーの原液を乾燥させることによって得られた残渣10gを使用したこと以外は、実施例51と同様にして実験を行った。実験開始後2〜3日間は、香りが強く感じられたが、実験開始後1週間すると、官能による検査では香りを確認できない程度に弱くなった。なお、実験から2週間後におけるエッセンシャルオイルを添加した吸性固状物の重量は、10gであった。
実施例51及び比較例51より、本願発明の吸液性固状物を芳香剤に含有させることによって、香りを長期間持続させることができることが示された。
(実施例52)
製造例1で得られた吸液性固状物10gに、消臭・芳香性物質としてアミノ酸系消臭成分と芳香性物質とを含み、市販されている液体のトイレ用消臭・芳香剤(小林製薬株式会社製、製品名・トイレの消臭剤)を10g添着・担持させ、市販の家庭用消臭剤の容器に詰め、通気をなくした家庭のトイレに置いた。排便後の悪臭に対する消臭効果が、官能により1ヶ月以上持続して確認された。また、排便後の悪臭を素早く消臭したい時には、容器を振って吸液性固状物を分散させることによって消臭効果を強めることができた。なお、消臭・芳香剤を添着・担持させた吸液性固状物の1ヶ月経過後における重量は、12gであった。
(比較例52)
吸液性固状物10gの代わりに、市販されているゼオライト(サン・ゼオライト工業株式会社製、製品名・ゼオライトPS)10gを使用したこと以外は、実施例52と同様にして実験を行った。実験開始後2〜3週間は、排便後悪臭を強く感じることはなかったが、実験開始後4週間すると、官能による検査では悪臭を強く感じることが確認された。なお、実験から4週間後における消臭・芳香性物質を添着・担持させたゼオライトの重量は、11gであった。
(実施例53)
製造例1で得られた吸液性固状物10gに、消臭・芳香性物質として無機系消臭性物質と植物精油を組み合わせた物質とを含み、市販されている液体のタバコ専用消臭・芳香剤(エステー株式会社製、製品名・お部屋の消臭力)を10g添着・担持させ、250ccのプラスチック容器の中に置いてキャップを閉めた。タバコの煙を適量プラスチックボトルの中に流し込みキャップをして、1分後にタバコの煙の臭いが残っているかを、官能による検査にて確認した。このタバコの煙の臭いの検査を、1週間毎に繰り返し行った。6週間を経過してもタバコの煙の臭いは確認されなかった。
(比較例53)
吸液性固状物10gの代わりに、市販されているゼオライト(サン・ゼオライト工業株式会社製、製品名・ゼオライトPS)10gを使用したこと以外は、実施例53と同様にして実験を行った。実験開始後2〜3週間は、タバコの煙の臭いを強く感じることはなかったが、実験開始後4週間すると、官能による検査ではタバコの煙の臭いを感じることが確認された。
実施例52、53、及び比較例52、53より、本願発明の吸液性固状物を消臭・芳香剤に含有させることによって、消臭・芳香性能を長期間持続させることができることが示された。
(実施例61)
製造例1で得られた吸液性固状物10gに、防虫性物質として虫の嫌がる天然ハーブ等の植物抽出物を含む植物精油を10g添加し、市販の家庭用不快害虫忌避剤の容器に詰め、通気のある家庭のベランダの網戸の上部に吊り下げて設置した。天然ハーブの香りが、官能試験によって1ヶ月以上持続して確認された。また、ユスリカ、チョウバエ等の不快害虫が室内へと侵入すること、及び網戸と隣接したガラス戸に前記不快害虫の死骸が付着することは、視覚によって確認されなかった。なお、植物精油を添加した吸液性固状物の1ヶ月経過後における重量は、15gであった。
(比較例61)
吸液性固状物10gの代わりに、比較例3で用いたアクリルポリマーの原液を乾燥させることによって得られた残渣10gを使用したこと以外は、実施例61と同様にして実験を行った。防虫剤の設置後2〜3日間は、天然ハーブの香りが強く感じられ、前記不快害虫の姿がベランダ全域において確認できなかったが、防虫剤の設置後1週間程度経つと、官能試験によっては香りが確認できない程度に弱くなり、ユスリカ、チョウバエ等がベランダに飛翔している姿が視覚によって確認された。また、網戸に隣接しているガラス戸には、10羽以上のユスリカの死骸が付着していた。なお、防虫剤を設置してから2週間後における植物精油を添加した吸液性固状物の重量は10gであった。
実施例61及び比較例61より、吸液性固状物と防虫性物質とを含有する防虫剤を用いることによって、防虫効果を長期間持続させることができることが示された。
Claims (9)
- 床用樹脂仕上げ剤の剥離廃液を、凝集処理、ろ過、及び乾燥することによって得られ、
アクリルポリマーを含有し、嵩比重が0.6g/cm3以下であることを特徴とする吸液性固状物。 - 剥離剤を含有しないことを特徴とする請求項1に記載の吸液性固状物。
- 床用樹脂仕上げ剤の皮膜が形成された床面を、剥離剤を使用することなく、水で濡らしつつ研磨することによって生じる床用樹脂仕上げ剤の剥離廃液を回収し、
この剥離廃液を凝集処理することによって固形分を回収し、
この固形分を乾燥することによって吸液性固状物を得ることを特徴とする請求項2に記載の吸液性固状物の製造方法。 - 前記凝集処理は、無機凝集剤と高分子凝集剤とを剥離廃液に添加することを特徴とする請求項3に記載の吸液性固状物の製造方法。
- 請求項2に記載の吸液性固状物、又は請求項3若しくは請求項4に記載の製造方法によって得られた吸液性固状物を含有して成る凝固剤。
- 請求項2に記載の吸液性固状物、又は請求項3若しくは請求項4に記載の製造方法によって得られた吸液性固状物と除菌剤とを含有して成る除菌性凝固剤。
- 請求項2に記載の吸液性固状物、又は請求項3若しくは請求項4に記載の製造方法によって得られた吸液性固状物を含有して成る研磨助剤。
- 請求項2に記載の吸液性固状物、又は請求項3若しくは請求項4に記載の製造方法によって得られた吸液性固状物と消臭・芳香性物質とを含有して成る消臭・芳香剤。
- 請求項2に記載の吸液性固状物、又は請求項3若しくは請求項4に記載の製造方法によって得られた吸液性固状物と防虫性物質とを含有して成る防虫剤。
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