JP5467474B2 - 新聞巻取紙包装体 - Google Patents
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Description
紙倉庫へ搬入される巻取りは、事前に開梱して包装紙を取り除き裸のままで、即ち巻取りそのものの形で取り扱われる場合が多く、しかも、印刷機の印刷速度向上と輪転機への給紙回数の減少を目的に巻取りの連数を増加させることに対する要求が高まっており、結果として巻取りの直径が著しく大きくなり(大径化)、それに伴い巻取りの重量も増加し、最近の新聞用紙の巻取りでは70連入りのものも出現し、その重量は、およそ1.4トンにも達する。
このようなトラブルが発生すると、工程の運転を一時的に停止し、作業員が破断した紙片の除去を行なわなければならず、自動化によって省力化を行なった意味が失われてしまう。その上、このようなトラブルが即時性の要請が極めて重要な新聞印刷のための新聞社の印刷工場で発生すると、新聞の遅配を生じるということになり許されない。
1)摩擦係数上昇剤を原料に内添して抄造し、巻取りを構成する紙同士の動摩擦係数を巻取りの上紙と別の巻取りの外面同士の動摩擦係数よりも大きくする。(特許文献1)
2)ワインダーにおいて摩擦係数上昇剤を製品巻取りの巻き終わりから7〜25mの範囲の片面に噴霧して塗布し、塗布された部分の紙同士の動摩擦係数を、巻取りの上紙と別の巻取りの上紙との動摩擦係数よりも大きくする。(特許文献2)
3)JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.37に基づく、巻取紙の硬さ(R)が、40〜60である新聞印刷用巻取紙。(特許文献3)
特許文献2では、ワインダーでの摩擦係数上昇剤噴霧の工程が増えるし、1本の巻取りに摩擦係数上昇剤が噴霧された部分と噴霧されない部分ができるので、印刷適性に違いが生じ、均一な印刷上がりとならないという問題がある。
特許文献3で規定する条件のみでは、十分な効果が得られるものではない。
(1)少なくとも防湿性シートと包装材で包装された新聞巻取紙包装体であって、新聞巻取紙が防湿性シートで略1周巻回され、その上から包装材で包装されており、前記防湿性シートが、接触した紙の動摩擦係数を低下させる性質があり、以下の測定方法に基づいて測定した防湿性シートによる新聞用紙の動摩擦係数低下幅が0.05以上であることを特徴とする新聞巻取紙包装体。
(動摩擦係数低下幅の測定方法)
新聞用紙と防湿性シートを接触させて金属板に挟み、新聞用紙にかかる圧力が25N/m 2 となるように重りをのせ、温度50℃の熱風乾燥機内で1時間処理し、処理前後の新聞用紙の動摩擦係数の差を防湿性シートによる新聞用紙の動摩擦係数低下幅とする。
(2)新聞巻取紙における上巻の動摩擦係数より下巻の動摩擦係数が大きく、その差が0.05以上であることを特徴とする(1)に記載の新聞巻取紙包装体。
なお、「上巻」とは巻取紙の最も外側を構成する紙を指し、「下巻」とは「上巻」より内側を構成する紙を表す。
また、表面処理剤を塗工された紙は乾燥工程を経てカレンダー処理を施される。ここで使用されるカレンダー装置としては両面が金属ロールで処理されるマシンカレンダー、弾性ロールと金属ロールから構成されるソフトカレンダー、シューカレンダー等が使用される。
本発明の新聞巻取紙包装体は、少なくとも外装用包装材と防湿性シートで包装されており、新聞巻取紙を防湿性シートで略1周巻回した後、外装用の包装材で包装することを特徴とする。
このように包装した場合、巻取り上巻きの新聞用紙に防湿性シートが接することになるが、必ずしも新聞巻取紙の全周(360度)にわたって、防湿性シートが接している必要はなく、具体的には270度以上接していればよい。もちろん、防湿性シートを1周以上巻回してもよい。防湿性シートの片面が防湿層となっている場合は、防湿層が新聞巻取紙に接するように巻回する。
(動摩擦係数低下幅の測定方法)
新聞用紙と防湿性シートを接触させて金属板に挟み、新聞用紙にかかる圧力が25N/m 2 となるように重りをのせ、温度50℃の熱風乾燥機内で1時間処理し、処理前後の新聞用紙の動摩擦係数の差を防湿性シートによる新聞用紙の動摩擦係数低下幅とする。なお、防湿性シートの片面が防湿層となっている場合は、防湿層側を新聞巻取紙に接触させる。
上記試験条件は、この最も短い場合を想定している。すなわち、上記試験での測定値が0.05以上であれば、巻取が包装後3日程度で使用された場合でも、上巻の動摩擦係数が0.05以上低下しており、上巻破れの防止効果があることになる。
したがって、本発明の新聞巻取紙包装体は、印刷工場で使用する際に、新聞巻取紙における上巻の動摩擦係数より下巻の動摩擦係数が大きく、その差が0.05以上となっている。
一般的なロ−ル状に巻かれた巻取紙の包装形態について、次に説明する。
新聞やチラシ等の印刷には、長さが約1〜3万メートルにも及ぶ印刷用紙が使用される。通常、このような印刷用紙は、ロール状に巻かれて巻取の状態で搬送される。また、搬送の際には、巻取紙が吸湿したり損傷したりしないように、全体が防湿性シートと外装用包装材によって包装される。
上記の巻取紙を包装する一般的な包装体は、外装用包装材と防湿性シート及び当て材で主に構成され、外装用包装材は端面に接するように折り込まれた耳部を有している。そして、外装用包装材が巻取紙の周面(胴面)部分を覆い、当て材と耳部とで端面(鏡面)部分を覆うという構成をとっている。また、当て材と外装用包装材の耳部とが輸送時に剥れないように接着剤で固定されている。
防湿性シートは、巻取紙が周囲の環境変化で吸湿や放湿するのを防ぐ役割を果たす。
一方、外装用包装材は巻取紙に傷が入るのを防止する役割を果たす。すなわち、巻取紙は、トラックや船、貨車への積み込み時、輸送時、倉庫内での重機による搬送時、また巻取紙を使用する印刷工場、加工工場への搬入から使用に至るまでに、巻取紙に傷入りが発生してしまうおそれがあり、外装用包装材はこの傷入りを防止するための役割を果たす。
このような目的で使用する外装用包装材としては、坪量が大きく厚みとクッション性を備える段ボール原紙やクラフト紙が好適に使用できる。その坪量としては150〜280g/m2のものが好ましく、160〜190g/m2のものがより好ましい。かかる坪量であれば、外装用包装材が破れにくく、緩衝材としてのクッション性を十分備えるからである。また、耳部に折り癖を付ける耳折工程において、外装紙に折り癖をつけることが容易だからである。なお、坪量が150g/m2未満になると、外装用包装材の強度が弱いので破れやすく、また外装用包装紙の厚みが薄く緩衝材としてのクッション性が低下し、巻取紙に傷入りが発生しやすく、巻取紙の保管倉庫床面や印刷機周辺床面に凹凸があった場合には巻取紙に型入り、傷入りの発生するおそれが高まる。
また、坪量が280g/m2を超えると、圧縮板を端面に押し当て、巻取紙周面部分から飛び出した耳部を加熱しながら耳折りし折り癖を付ける包装工程において、外装用包装材に折り癖がつきにくく、次工程の当て材が適切にセットできないという問題を生じる。
防湿性シートとしては、一般的にはポリエチレンをクラフト紙にラミネートしたポリエチレンラミネート紙や、ポリエチレンをクラフト紙に挟んだポリサンド紙が使用されている。しかしながら、これらの防湿性シートは、防湿性に関しては充分に機能を発揮し得るものであるが、古紙として回収した場合、離解性が悪く、ポリエチレン部分は除去する必要があり、再利用が困難なものであった。そのため、産業廃棄物として扱われ、多くは焼却処分されており、省資源、資源の有効利用等の観点から大きな問題になっていた。
防湿性シートの防湿性能に関しては、JISZ0208−1976、条件B(温度40℃、相対湿度90%)による透湿度が50g/m2・24hr未満であることが好ましく、40g/m2・24hr未満であることがより好ましい。この範囲の透湿度であれば環境変化による水分の吸放湿が少なく、吸放湿による印刷時のダブリやシワ入りのトラブルがない。
本発明で使用する防湿性シートとしては、クラフト紙をベースにワックス成分を含む防湿剤を塗工したものが好ましく使用できる。基材のクラフト紙の坪量は50g/m2〜100g/m2が好ましく、70g/m2程度のものが、適度に腰があり包装の作業性が良好であり望ましい。
ワックスブリードとは、防湿層内部に存在するワックスが時間経過により防湿層表面に移行する現象であり、この現象により、防湿紙の防湿性能が高まるのであるが、弊害として、防湿紙の塗工層表面の接着性が低下したり、例えば防湿紙でコピー用紙などを包装した際、コピー用紙表面にワックスが移行し、鮮明にコピーされなかったり、コピー機で重送のトラブルが起こる。また塗工層表面にラベルなどを貼付してもすぐに剥がれたりするなどの問題がある。
一般的な防湿剤の用途では、防湿紙のワックスブリードは、前述したような問題があるが、ワックス成分は防湿効果を発揮する成分であり、防湿剤中のワックス成分の比率を少なくして、所望の防湿効果を得ようとすると、防湿剤の塗工量を増加させざるを得なかった。
パルプ原料としてDIP(カナダ標準濾水度190ml)を90質量%、TMP(カナダ標準濾水度110ml)を10質量%の割合で混合したパルプ原料100質量部に対し、歩留まり向上剤(製品名:ND260/ハイモ株式会社製)を0.020質量部、カオリンを5.0質量部添加し、硫酸バンドでpHを5.5に調整して、ギャップフォーマー型抄紙機で抄紙した。次に、ゲートロールサイズプレスを用いて、接着剤と表面サイズ剤を含む表面処理剤を下記のように塗工した。
(表面処理剤塗工条件)
接着剤として酸化澱粉(製品名:MS9000/日本食品化工株式会社製)を使用し、高分子系表面サイズ剤(オレフィン系表面サイズ剤、製品名:ポリマロンOM−25/荒川化学工業株式会社製)を使用した。
接着剤の片面当りの塗工量が0.50g/m2、高分子系表面サイズ剤の片面当りの塗工量が0.020g/m2となるように、原紙両面に同じ塗工量で塗工した。
塗工後に、乾燥、カレンダー処理を経て、坪量43.0g/m2、動摩擦係数0.50の新聞巻取紙を得た。
(新聞巻取紙の包装)
リールに巻き取った新聞巻取紙をワインダーでA巻(1,626mm幅、70連)に仕上げ、30mm幅のクラフト粘着テープで縦方向等間隔に5箇所を止めた。
次に、新聞巻取紙を、防湿性シートの防湿層が、直接新聞巻取紙の上巻に接するように1周巻き、その上に外装用包装紙(坪量180g/m2のライナー)を3.5周巻いて包装した。
使用した防湿性シートは、未晒クラフト紙70g/m2を基材とし、合成ゴム系ラテックスとワックス系エマルジョンを85:15の質量比率で混合した防湿剤を、片面に20g/m2塗工したものを用いた。防湿性シートによる新聞用紙の動摩擦係数の低下幅は0.05であった。
新聞巻取紙を包装して、3日、7日、14日、60日経過後に巻取の包装を剥がし、それぞれ、上巻の動摩擦係数と新聞巻取紙の破れの評価試験を行った。
防湿性シートを変更した以外は実施例1と同様に新聞巻取紙を製造し、実施例1と同様に評価した。
使用した防湿性シートは、未晒クラフト紙70g/m2を基材とし、合成ゴム系ラテックスとワックス系エマルジョンを80:20の質量比率で混合した防湿剤を、片面に18g/m2塗工したものを用いた。防湿性シートによる新聞用紙の動摩擦係数の低下幅は0.10であった。
防湿性シートを変更した以外は実施例1と同様に新聞巻取紙を製造し、実施例1と同様に評価した。
使用した防湿性シートは、未晒クラフト紙70g/m2を基材とし、合成ゴム系ラテックスとワックス系エマルジョンを95:5の質量比率で混合した防湿剤を、片面に25g/m2塗工したものを用いた。防湿性シートによる新聞用紙の動摩擦係数の低下幅は0.03であった。
防湿性シートを使用しなかった以外は実施例1と同様に新聞巻取紙を製造し、実施例1と同様に評価した。
(動摩擦係数低下幅の測定方法)
新聞用紙と防湿性シートの防湿層側を接触させて金属板に挟み、新聞用紙にかかる圧力が25N/m 2 となるように重りをのせ、温度50℃の熱風乾燥機内で1時間処理し、処理前後の新聞用紙の動摩擦係数を測定し、その差を防湿性シートによる新聞用紙の動摩擦係数低下幅とした。
(動摩擦係数)
JISP8147−1994「紙及び板紙の摩擦係数試験方法」による。摩擦の方向は試験片の縦方向と縦方向とし、表(巻取の外側となる面)と表を接触させて測定した。
包装後所定日数経過した新聞巻取紙包装体の包装を剥がし、2本の巻取りを5mの間隔をあけて傾斜角3度の斜面に置き、斜面の下方にある巻取はストッパーにより固定しておき、斜面の上方にある巻取を自然に転がして衝突させ、何回目の衝突で破れが生じるかを評価した。結果は1水準につき10本の新聞巻取紙について評価した平均値である。
Claims (2)
- 少なくとも防湿性シートと包装材で包装された新聞巻取紙包装体であって、新聞巻取紙が防湿性シートで略1周巻回され、その上から包装材で包装されており、
前記防湿性シートが、
接触した紙の動摩擦係数を低下させる性質があり、以下の測定方法に基づいて測定した防湿性シートによる新聞用紙の動摩擦係数低下幅が0.05以上であることを特徴とする新聞巻取紙包装体。
(動摩擦係数低下幅の測定方法)
新聞用紙と防湿性シートを接触させて金属板に挟み、新聞用紙にかかる圧力が25N/m 2 となるように重りをのせ、温度50℃の熱風乾燥機内で1時間処理し、処理前後の新聞用紙の動摩擦係数の差を防湿性シートによる新聞用紙の動摩擦係数低下幅とする。 - 新聞巻取紙における上巻の動摩擦係数より下巻の動摩擦係数が大きく、その差が0.05以上であることを特徴とする請求項1に記載の新聞巻取紙包装体。
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