JP5467272B2 - M−c−n−o系蛍光体の製造方法 - Google Patents

M−c−n−o系蛍光体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子材料、蛍光材料として有用である、IIIB族元素(M)、炭素(C)、窒素(N)及び酸素(O)元素からなるM−C−N−O系蛍光体およびその製造方法に関する。
蛍光体は、蛍光管、蛍光表示管、夜光性表示板等々に利用され、その利用が拡大しており、最近では蛍光体とLEDとを組み合わせてテレビモニターを初め各種表示機器に使用することが試みられている。また、蛍光体の広範な応用が期待される白色蛍光体の研究・開発も進んでいる。
蛍光体の原料となる蛍光材料は、天然のものも含めて、有機物、無機物各種あり、そのような種々の蛍光材料を原料に、蛍光体が有する所要の発光色、ピーク発光スペクトル強度、経済性などの向上を求めて様々な研究開発が行われている。
このような研究開発の成果として、近年、幾つかの新たな蛍光体及びその製造方法が報告されている。
例えば、特許文献1には、一般式MmAaBbOoNn:Z(但し、M元素はII価の価数をとる1種類以上の元素であり、A元素はIII価の価数をとる1種類以上の元素であり、B元素は少なくともSiを含むIV価の価数をとる1種類以上の元素であり、Oは酸素であり、Nは窒素であり、Zは1種類以上の付活剤であり、m>0、a>0、b>0、o≧0、n>0である。)で表記される蛍光体が開示されている。そして、その製造方法について、所定の混合物を焼成炉内で焼成して焼成物を得る工程において、前記混合物の焼成を2回以上行い、当該焼成と焼成との間で、焼成された混合物の粉砕混合を行うのがよく、焼成を繰り返すことにより焼成物の均一性が向上し、蛍光体の発光効率が向上することが開示されている。
また、特許文献2には、AxSiyN(2/3x+4/3y)(0<x<2、y=2−x)(ただし、A元素は、Mg、Ca、Sr、またはBaから選ばれる1種または2種以上の元素)で示される母体結晶に、金属元素M(ただし、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybから選ばれる1種または2種以上の元素)が固溶してなる無機化合物を主成分とし、単斜晶系である蛍光体が開示されている。そして、その製造方法について、焼成して得られた粉体凝集体が固く固着している場合は、粉砕機により粉砕して平均粒径20μm以下にし、粉砕後1000°C以上の温度で熱処理するのがよく、これにより粉砕時などに低下した焼成物の表面状態を良好にすることができ、蛍光体の輝度が向上することが開示されている。
特許文献3には、尿素及び/または尿素誘導体に、Al、B、Ba、Be、Bi、Ca、Cd,Cs、Ga、Ge、Hf、In、K、Li、Mg,Mo,Nb、P、Rb、Si、Sn、Sr,Ta、Ti、V、W、Zr及び希土類金属からなる群より選択される少なくとも1つの金属を含む金属化合物を加えてなる混合融液を昇温し固化して前駆体を製造し、該前駆体を粉砕した後、焼成することにより蛍光体を製造する方法が開示されている。尿素等は、前駆体調製の過程で分解されて樹脂成分に変化し、該樹脂成分は前駆体の微粉砕処理を容易にする。前駆体が後続の焼成工程にかけられると該樹脂成分は完全に消散し、尿素等に由来する成分は最終生成物である蛍光体の内部に残留しない。
更にまた、特許文献4には、IIIB族元素(M)、炭素(C)、窒素(N)及び酸素(O)元素からなるM−C−N−O系蛍光体が開示され、その製造方法として、IIIB族元素としてホウ素(B)を用い、ホウ酸と尿素、ポリマーからなる混合物の溶液を焼成する方法が開示されている。
特開2008−88257号公報 特開2008−208238号公報 特開2005−54046号公報 国際公開WO2008/126500号公報
特許文献1〜3に開示された蛍光体は、希土類元素を含むため、製造のために希土類元素含有物を原料として使用することになるが、希土類元素含有物は一般に高価であるという問題がある。また、近年重要視されている資源保護、日本国内での資源確保、資源の脱海外依存という観点からも、希土類元素を使用しない蛍光体の開発が望まれている。
ところで、特許文献1〜3に開示されたような従来型の蛍光体では、異なる色の発光を示す蛍光体を作製する場合に材質的に異なる蛍光体原料を使用しなければならず、更にその蛍光体を用いて様々な色の発光(白色、中間色を含む)を得るためには、異なる材料系で作製したLEDや蛍光体を組み合わせて用いる必要がある。このため、材料系毎に異なる結晶の調製方法や製造装置が必要となり、多大な費用、労力、時間及び技術の蓄積を要することになる。加えて、これらの蛍光体を用いて発光素子を作製するためには、蛍光体の粒度を調整する必要もあるが、蛍光体を衝撃、研磨、破砕などの処理工程にかけると、蛍光色の変化や蛍光強度の低下が生じるため、発光素子の製造原料として好適な蛍光体の微粒子(特に、色純度が高く、輝度のそろった均一性の高い蛍光体)の入手が困難であるという問題がある。
一方、特許文献4に開示された蛍光体は、稀少な希土類元素が含まれておらず、また、重金属も含まれていないため、経済的にも環境保護の観点からも望ましい蛍光体である。また、該蛍光体の発光スペクトルのピークトップ波長は炭素の含有量に応じて変動することから、該蛍光体を利用することにより、単純な構造でありながら、様々な色合いの光を放出することが可能な発光素子を開発することが期待できる。特に、青色蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体を別個に調製し、それらを組み合わせて、演色性の良い白色蛍光体を開発することが期待される。
しかしながら、異なる蛍光色のM−C−N−O系蛍光体を組み合わせた発光素子を作製するには、各蛍光体の発光スペクトルが特許文献4に示された蛍光体よりも幅の狭いピークを有することが望ましい。また、より色純度が高く、輝度のそろった均一性の高い蛍光体が望まれている。
本発明は、前述の従来技術の問題点、社会的な要請に鑑み、発光ムラを低減し、色純度の向上したM−C−N−O系蛍光体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、M−C−N−O系蛍光体の蛍光発光に関して炭素が重要な役割を担っていることから、M−C−N−O系蛍光体の原料化合物の加熱処理による熱分解物の生成及び該熱分解物の分散の効果に着目して鋭意検討し、本発明を完成させた。本発明の方法によれば、以下のものが提供される。
[1] IIIB族元素(M)、炭素(C)、窒素(N)及び酸素(O)からなるM−C−N−O系蛍光体の製造方法であって、
IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物を含む混合物を加熱して熱分解物を生成させる工程、
得られた熱分解物を含む生成物を解砕する工程、及び
得られた解砕物を酸素含有雰囲気下で焼成する工程
を含む製造方法。
[2] 該混合物がさらに分散剤を含有する、[1]記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
[3] IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物を含む混合物を加熱する温度が150℃〜600℃の範囲内である、[1]又は[2]に記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
[4] IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物を含む混合物を窒素気流下で加熱する、[1]〜[3]のいずれかに記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
[5] 焼成温度が500℃〜1000℃の範囲内である、[1]〜[4]のいずれかに記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
[6] 焼成により得られた蛍光体生成物を粉砕する工程を更に含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
[7] 前記粉砕工程において、蛍光体生成物の平均粒径が1μm以下になるように、該蛍光体生成物を粉砕する、[8]に記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
[8] IIIB族元素(M)がホウ素(B)である、[1]〜[7]のいずれかに記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
[9] IIIB族元素(M)がアルミニウム(Al)である、[1]〜[7]のいずれかに記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
[10] IRスペクトルにおいて、1200−1250cm−1に観測されるピーク強度と1300−1400cm−1に観測されるピーク強度の比が、0.5以上2以下である、[8]に記載の方法により製造されるM−C−N−O系蛍光体。
[11] [1]〜[9]のいずれかに記載の方法により製造される、平均粒径1μm以下のM−C−N−O系蛍光体。
本発明に係る製造方法によれば、発光スペクトル幅の狭いM−C−N−O系蛍光体を得ることができ、色純度の高い、輝度のそろった均一性の高い蛍光体を安定的に入手することができる。
実施例1で得られた蛍光体の紫外線励起発光スペクトルである。 比較例1で得られた蛍光体の紫外線励起発光スペクトルである。 実施例2で得られた蛍光体の紫外線励起発光スペクトルである。 比較例2で得られた蛍光体の紫外線励起発光スペクトルである。 実施例3で得られた蛍光体の紫外線励起発光スペクトルである。 実施例4で得られた蛍光体の紫外線励起発光スペクトルである。 実施例7で得られた蛍光体の紫外線励起発光スペクトルである。 実施例1で得られた蛍光体の赤外線吸収スペクトルである。 比較例1で得られた蛍光体の赤外線吸収スペクトルである。 比較例2で得られた蛍光体の赤外線吸収スペクトルである。
本発明に係るM−C−N−O系蛍光体の製造方法は、IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物を含む混合物を加熱して熱分解物を生成させる工程、該熱分解物生成工程から得られた熱分解物を含む生成物を解砕する工程、及び、解砕工程により得られた解砕物を焼成する工程を含む。IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物を含む混合物を加熱して熱分解物を生成させる工程は、本M−C−N−O系蛍光体の原料化合物の混合物中に含まれる有機物を、燃焼消失させないような条件の下で熱分解し、該有機化合物に由来する炭素及び窒素、並びに、原料化合物中に含まれる他の成分元素とを反応させて、該混合物中に熱分解物を生成させる工程である。本工程で加熱された原料化合物の混合物は黒色様の固体に変化したことから、原料化合物中で一部炭化が進み、脱酸素及び脱水素を伴う熱分解反応が生じたものと推測することができる。熱分解物を含む生成物は、熱分解物により融着された部分を含む固形物として得られることから、生成物全体に均質に熱分解物が分散されるように解砕工程に付される。該解砕工程を経て破砕・細分化された生成物(解砕物)は更に焼成工程に付される。
本発明に係る製造方法に含まれる解砕工程は、最終生成物として得られるM−C−N−O系蛍光体中の炭素組成が均一になるように、熱分解物生成工程で生成した熱分解物をM−C−N−O系蛍光体の原料中に均等に分布させるために行われる工程であるため、熱分解物生成工程に続いて実施される必要がある。従って、先行技術に係る蛍光体製造方法において採用されている解砕工程、例えば「混合物の焼成を2回以上行い、当該焼成と焼成との間で、焼成された混合物の粉砕混合を行うのがよく、焼成を繰り返すことにより焼成物の均一性を向上させることができる」とするような解砕工程は、熱分解物生成工程を伴わない点で本発明の解砕工程とは異なる。また、本発明に係る製造方法に含まれる、熱分解物生成・解砕を経て得られたM−C−N−O系蛍光体原料を焼成する工程は、これにより目的のM−C−N−O系蛍光体を生成させる工程であるから、先行技術に係る蛍光体製造方法にみられる「粉砕時などに低下した表面状態を良好にする」ために行われる解砕工程及びその後の熱処理とは本質的に異なる。
本発明に係るM−C−N−O系蛍光体の製造方法において、原料となるIIIB族酸化物は、IIIB族酸化物を基本骨格とするものであればよい。使用できる化合物としては、ホウ酸、無水ホウ酸およびこれらのエステル、アミド、アンモニウム塩誘導体、アルミン酸およびこれらのエステル、アミド、アンモニウム塩誘導体、水酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化ガリウム、酸化ガリウム、水酸化インジウム、酸化インジウムを挙げることができる。M−C−N−O系蛍光体の生成効率、原料の入手容易性、原料安定性を考慮して、ホウ酸、無水ホウ酸若しくはこれらのアンモニウム塩、水酸化アルミニウム、水酸化ガリウムまたは酸化ガリウム水和物、水酸化インジウムを使用することが好ましい。これらは、他の相当する塩酸塩、硫酸塩などを塩基性溶液で加水分解して調製されたものを使用してもよい。上記化合物の中で、ホウ酸、無水ホウ酸、水酸化アルミニウムが好ましい。
また、本発明に係るM−C−N−O系蛍光体の製造方法において、原料となる含窒素有機化合物は、限定されるものではなく、分解してアンモニアを生成させる化合物であればよい。例えば、含窒素有機化合物としては、尿素、メチルカルバメート、エチルカルバメートなどのカルバメート類、ホルムアミド、アセトアミドなどのアミド類、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム、N−メチルピロリドンなどのラクタム類、蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウムなどのアンモニウム塩を使用することができる。M−C−N−O系蛍光体への窒素導入効果、入手容易性などを考慮して、尿素、アミド類、アンモニウム塩が好ましく、経済性、操作性を考慮して尿素がより好ましい。
本発明では、IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物からなる混合物に、更に炭素を含む分散剤を添加し混合して使用することができる。分散剤は、M−C−N−O系蛍光体の炭素源となるだけではなく、IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物の反応を容易にするため、また、後述する溶媒を使用する際には、溶媒中での含ホウ素化合物、含窒素有機化合物の分散性向上、溶媒が揮散する際に一方だけが優先的に析出することを抑制するなどの目的で使用される。使用される分散剤としては、特に制限されるものではなく、特にIIIB族元素含有化合物に親和性の高い化合物であることが好ましい。更には、該分散剤は、含窒素有機化合物が分解して、アンモニアが発生する温度より高い沸点を有することが好ましい。
このような化合物としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレンオキサイドなどのポリエーテル類、ポリビニルピロリドンなどのポリアミド類、ポリビニルグリセリン、ポリビニルアルコールなどの水酸基含有ポリマーなどの高分子化合物、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどの多価アルコール類、ジメトキシエタン、1,2−プロパンジオールジメチルエーテル、1,3−プロパンジオールジメチルエーテル、1,2−ブタンジオールジメチルエーテル、1,4−ブタンジオールジメチルエーテル、グリセリントリメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエトキシエタン、1,2−プロパンジオールジエチルエーテル、1,3−プロパンジオールジエチルエーテル、1,2−ブタンジオールジエチルエーテル、1,4−ブタンジオールジエチルエーテル、グリセリントリエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、N−メチルピロリドンなどのラクタム類を使用することができる。入手容易性、炭素の導入効果などを考慮して、ポリエチレングリコールなどの高分子化合物、エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールの使用が好ましい。
本発明では、IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物とからなる混合物、又はこれに更に分散剤を含む混合物を加熱して熱分解物を生成させることができるが、これらを溶媒に溶解または懸濁させて得られる溶液または懸濁液を加熱して熱分解物を生成させることもできる。溶媒としては特に限定されるものではなく、IIIB族元素含有化合物、含窒素有機化合物を溶解できるもの、分散性を維持できるものであればよい。すなわち、水、メタノール、エタノールなどのアルコール類を使用することができる。特に、使用時の安全性、爆発性などを考慮して、水の使用が好ましい。
使用される溶媒としては、特に、不純物を含まないことが肝要である。アルカリ金属、アルカリ土類金属の含有は、IIIB族元素含有化合物と反応し、構造を変化させ、発光に影響を及ぼすことが懸念され、また、重金属の含有も同様に、M−C−N−O系蛍光体の構造形成に影響を及ぼすことが懸念され、ハロゲンなどの含有は、含窒素有機化合物の分解を早め、窒素がM−C−N−O系蛍光体に導入されることを阻むため好ましくない。したがって、これらの不純物の含有総量として、5000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下であることが好ましい。
IIIB族元素含有化合物および含窒素有機化合物の使用量は、使用する化合物の種類、焼成温度、時間などに影響されるため、一概に決めることはできないが、通常、IIIB族元素含有化合物100重量部に対し、含窒素有機化合物を10〜1500重量部の範囲、より好ましくは、50〜1200重量部の範囲で使用される。
分散剤の使用量も、特に限定されるものではなく、使用する化合物の種類、加熱温度、時間などに影響されるため、一概に決めることはできないが、通常IIIB族元素含有化合物100重量部に対して、1〜200重量部の範囲、より好ましくは、5〜190重量部の範囲で使用される。
溶媒を使用する場合、その溶媒の使用量も特に限定されるものではなく、使用する化合物の種類、加熱温度、時間などに影響されるため、一概に決めることはできないが、通常IIIB族元素含有化合物100重量部に対して、1〜50000重量部の範囲、より好ましくは、1〜10000重量部の範囲で使用される。使用量が多すぎると、溶媒除去に時間、熱量の使用量が多くなり経済的でないため、1〜5000重量部の範囲で実施するのがさらに好ましい。
本発明では、上述のように、IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物からなる混合物、又は該混合物に分散剤を加えた分散剤含有混合物を調製する。混合する方法としては、特に制限されるものではなく、固体同士を混合する場合には、ボールミル、ターボミル、ジェットミルなどの方式を用いてよく、あるいは、乳鉢などを用いて混合してもよい。
原料の混合に関しては、溶液中で行うことも可能である。すなわち、IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物とからなる混合物のほか、該混合物に更に分散剤を加えた分散剤含有混合物を溶媒に溶解あるいは懸濁させ、この溶液あるいは懸濁液を原料混合物として熱分解物生成工程のために使用することもできる。また、上記の溶液あるいは懸濁液から、スプレードライのような方法で一度溶媒を留去して混合することもできる。
本発明に係るM−C−N−O系蛍光体の製造方法は、上述のように、上記の混合物を加熱する熱分解物生成工程と、該工程から得られた熱分解物を含む生成物を解砕する工程と、解砕工程により得られた解砕物をさらに焼成する焼成工程からなる。
熱分解物生成工程における加熱方法は、上記の混合物又は該混合物を含む溶液の中の含窒素有機化合物の熱分解を生じさせることができる方法であればよく、種々の加熱焼成装置を使用することができる。例えば、ロータリーキルン炉やコニカルキルン炉のような移動床、ローラーハース炉やプッシャー炉のような連続式固定床、雰囲気調整炉のようなバッチ式固定床などの加熱焼成炉でも、スプレーや噴霧法などの熱分解炉を用いたものでも構わない。あるいは、上記の焼成装置の代わりに、加熱混練装置、例えば一軸押し出し器、二軸押出機のような押出機、トーラスディスクなどの加熱混合機を使用することもできる。
熱分解物生成工程において、加熱温度は使用したIIIB族元素含有化合物、含窒素有機化合物、分散剤の量などに影響されるため一概に規定することはできないが、通常、150℃〜600℃の範囲に設定される。低すぎると含窒素有機化合物が分解せず、高すぎるとエネルギー消費が増加するため好ましくない。よって、好ましくは200℃〜550℃の範囲、より好ましくは、200℃〜500℃の範囲で実施する。
熱分解物生成工程において、昇温速度は、特に制限されるものではないが、速すぎると特殊な焼成炉を使用しなければならないため、設備的な負荷が大きい。また、含窒素有機化合物の分解が一気に進むため、IIIB族元素含有化合物との反応が十分に進まない、更に、含窒素有機化合物の分解縮合による炭化が十分に進行せず、燃焼焼失まで進む可能性が高く、炭素導入が出来ないなどの問題が生じる。そのため、通常、毎分1℃〜80℃の範囲、より好ましくは、2℃〜50℃の範囲で昇温する。
上記加熱温度に保持する時間は、使用した含窒素有機化合物、分散剤の量などに影響されるため一概に規定することはできないが、通常、0分〜180分の範囲に設定される。短すぎる時間では、熱伝達が十分でなく、均質性に不安があるため好ましくなく、長すぎる時間では、炭素分の欠損を引き起こすため好ましくない。よって、1分〜150分の範囲、より好ましくは、5分〜120分の範囲で実施する。
熱分解物生成工程を実施するため雰囲気としては、窒素、希ガス(例えばアルゴン)などの不活性ガス雰囲気(酸素不存在下)、大気雰囲気(酸素存在下)のいずれの雰囲気も使用することができる。しかしながら、熱分解物生成工程では、含窒素有機化合物が加熱されて分解することから、アンモニアの発生による爆発の危険を考慮して、雰囲気から酸素を遮断ないし除去することが好ましい。したがって、例えば、窒素、希ガスなどの不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。これらの操作は、ガス気流下で実施してよく、あるいは、密閉雰囲気下で実施してもよい。
降温の速度としては、特に制限されるものではないが、速すぎると特殊な焼成炉を使用しなければならないため、設備面での負荷が大きい。そのため、通常、毎分1℃〜120℃の範囲、より好ましくは、2℃〜100℃の範囲で降温する。
降温時の雰囲気としては、特に限定されるものではなく、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素存在下のいずれの雰囲気条件を使用してもよい。安全性等を考慮して、不活性ガス雰囲気下で降温することが好ましい。更に、300℃以下では、目的とする蛍光体の表面に水分が付着するため、降温時の雰囲気中に存在する気体は乾燥ガスであることが好ましい。
上記のようにして得られた熱分解物を含む生成物は、解砕混合して凝集を回避し、各成分の偏在を抑制する。この操作により、過剰な炭素の導入、又は、炭素の未導入による蛍光体の色純度の低下が抑制される。解砕混合の際に再度分散剤を加えてもかまわない。解砕混合する方法としては、特に制限されるものではなく、固体同士を解砕混合する場合には、ボールミル、ターボミル、ジェットミルなどの方式を用いてよく、あるいは、乳鉢などを用いて混合してよい。解砕の程度としては、特に制限されるものではないが、あまりに細かく解砕すると、焼成時に気体の流通が悪くなり、焼成が不均一になり斑が生じるため、好ましくない。そのため、熱分解物を含む生成物は、平均粒径が通常0.1μm〜2mmの範囲、より好ましくは、0.2μm〜1mmの範囲内となるように解砕される。
上記のようにして得られた解砕物を、焼成し、M−C−N−O系蛍光体を得る。この焼成工程における焼成は、熱分解物生成工程と同様に、種々の加熱装置を使用して行うことができる。
本焼成工程の焼成温度は、使用したIIIB族元素含有化合物、含窒素有機化合物、分散剤の量などに影響されるため一概に規定することはできないが、通常、500℃〜1000℃の範囲に設定される。低すぎると未反応の炭化残留分が、蛍光体表面に付着し、発光効率が低下するために好ましくなく、高すぎると炭素分が燃焼し尽くしてしまい、炭素の欠損が生じ、発光色が変化するため好ましくない。よって、好ましくは510℃〜950℃の範囲、より好ましくは、520℃〜900℃の範囲で実施する。
本焼成工程のための昇温速度は、特に制限されるものではないが、速すぎると特殊な焼成炉を使用しなければならないため、設備的な負荷が大きい。そのため、通常、毎分1℃〜80℃の範囲、より好ましくは、2℃〜50℃の範囲で昇温する。
焼成温度に保持する時間としては、使用した含窒素有機化合物、分散剤の量などに影響されるため一概に規定することはできないが、通常、0分〜180分の範囲に設定される。短すぎる時間では、熱伝達が十分でなく、均質性に不安があるため好ましくなく、長すぎる時間では、炭素分の欠損を引き起こすため好ましくない。よって、1分〜150分の範囲、より好ましくは、5分〜120分の範囲で実施する。
焼成の雰囲気としては、余分な炭素分を燃焼させるため、酸素存在下であればよい。通常、酸素濃度としては、特に制限されないが、1%〜30%の範囲、より好ましくは、3%〜25%の範囲で使用される。また、目的温度で保持する間に、不活性ガス雰囲気下に切り替え、更なる炭素の欠損および窒化物の酸化によるホウ酸(または無水ホウ酸)又はアルミナへの変化を抑制することもできる。これらの操作は、ガス気流下で実施してよく、あるいは、密閉雰囲気下で実施してもよい。
降温の速度としては、特に制限されるものではないが、速すぎると特殊な焼成炉を使用しなければならないため、設備的な負荷が大きい。そのため、通常、毎分1℃〜80℃の範囲、より好ましくは、2℃〜50℃の範囲で降温する。
降温時の雰囲気としては、特に限定されるものではなく、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、酸素存在下のいずれの雰囲気条件を使用してもよい。安全性等を考慮して、不活性ガス雰囲気下で降温することが好ましい。更に、300℃以下では、目的とする蛍光体表面に水分が付着するため、乾燥ガスの下で実施することが好ましい。
本発明では、得られた蛍光体を粉砕して、更に微細な粒子とすることも可能である。粉砕の方法としては特に限定されるものではないが、乳鉢などを用いて蛍光体粒子を微細粒子になるまで粉砕することもできるし、ボールミル、ターボミル、ジェットミルなどの方式を用いることもできる。これらは、乾式で行っても、アルコールなどの溶媒を用いて湿式で行ってもよい。これらの方法で粉砕を行うことにより、本発明の蛍光体は、平均粒径が0.001〜1μm、より好ましくは0.01〜0.9μmの微粒子として入手することができる。したがって、本発明によれば、特に微細な粒子に加工して使用することが要求される用途に適した蛍光体を提供することができる。なお、本明細書中、「平均粒径」の用語は、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布に基づいて決定される累積体積平均メジアン径(D50)を表わすものとする。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらの実施例に示された具体的な態様に限定して解釈されるべきではない。
<実施例1>
キシダ化学株式会社製の無水ホウ酸(B)2.44g(0.035モル)、和光純薬工業株式会社製の尿素〔(NHCO〕10.5g(0.175モル)、PEG(分子量20000)1.2gを乳鉢で粉砕混合し、アルミナ製のるつぼに移して加熱炉に入れ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温し、400℃で10分間加熱処理を行った。得られた粉末を乳鉢で解砕混合し、再度るつぼに移して加熱炉に入れ、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分で800℃まで昇温し、800℃で10分間焼成した。
実施例1で得られた蛍光体の紫外線(350nm)励起発光スペクトル結果を図1に示す。測定は日本分光株式会社製のFP−6500を用いて行った。図1において横軸は波長を示し、縦軸はPL強度を示す。以下の図面について同じである。蛍光量子効率は56%であった。蛍光体の赤外線吸収スペクトルの測定は、フーリエ変換赤外分光光度計(JEOL社製 JIR−5500)を使用して観測領域250−4000nmにおいてスキャン数30回で行った。1360cm−1の波数にピークトップを有する吸収のピーク強度は5.5であり、1242cm−1にピークトップを有する吸収のピーク強度は7.8であり、1200−1250cm−1に観測される吸収のピーク強度と1300−1400cm−1に観測される吸収のピーク強度の比は0.705であった(図8参照)。得られた蛍光体粒子の平均粒径を、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−950を使用して測定したところ、平均粒径は3μmであった。
<比較例1>
キシダ化学株式会社製の無水ホウ酸(B)2.44g(0.035モル)、和光純薬工業株式会社製の尿素〔(NHCO〕10.5g(0.175モル)、PEG(分子量20000)1.2gを乳鉢で粉砕混合し、アルミナ製のるつぼに移して加熱炉に入れ、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分で800℃まで昇温し、800℃で10分間焼成した。得られた蛍光体の紫外線励起発光スペクトル結果を図2に示す。蛍光量子効率は51%であった。
蛍光体の赤外線吸収スペクトルの測定は、フーリエ変換赤外分光光度計(JEOL社製JIR−5500)を使用して観測領域250−4000nmにおいてスキャン数30回で行った。1200−1250cm−1に観測される吸収ピークが複数存在し、1300−1400cm−1に観測される吸収ピークも複数存在したため、強度比を算出することができなかった(図9参照)。
<実施例2>
和光純薬工業株式会社製のホウ酸(HBO)1.53g(0.025モル)、尿素〔(NHCO〕15.3g(0.25モル)、PEG(分子量20000)1.0gを3000mlビーカーに取り、超純水33.3gを加え、ホットスターラー(回転数500rpm)を用いて攪拌、溶解した。得られた溶液をアルミナ製のるつぼに移して加熱炉に入れ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温し、400℃で10分間加熱処理を行った。得られた粉末を乳鉢で解砕混合し、再度るつぼに移して加熱炉に入れ、大気雰囲気下、昇温速度20℃/分で800℃まで昇温し、800℃で30分間焼成した。得られた蛍光体の紫外線励起発光スペクトルを図3に示す。蛍光量子効率は44%であった。
また、蛍光体の赤外線吸収スペクトルの測定結果によれば、1360cm−1の波数にピークトップを有する吸収のピーク強度は、6.5、1241cm−1にピークトップを有する吸収のピーク強度は7.8であり、1200−1250cm−1に観測される吸収のピーク強度と1300−1400cm−1に観測される吸収のピーク強度の比が0.833であった。
得られた蛍光体粒子の平均粒径を、堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−950を使用して測定したところ、平均粒径は2.5μmであった。
<比較例2>
和光純薬工業株式会社製のホウ酸(HBO)1.53g(0.025モル)、尿素〔(NHCO〕15.3g(0.25モル)、PEG(分子量20000)1.0gを3000mlビーカーに取り、超純水33.3gを加え、ホットスターラー(回転数500rpm)を用いて攪拌、溶解した。得られた溶液をアルミナ製のるつぼに移して加熱炉に入れ、大気雰囲気下、昇温速度20℃/分で800℃まで昇温し、800℃で30分間焼成した。得られた蛍光体の紫外線励起発光スペクトルを図4に示す。蛍光量子効率は39%であった。
蛍光体の赤外線吸収スペクトルの測定は、フーリエ変換赤外分光光度計(JEOL社製JIR−5500)を使用して観測領域250−4000nmにおいてスキャン数30回で行った。1200−1250cm−1に観測される吸収ピークが複数存在し、1300−1400cm−1に観測される吸収ピークも複数存在したため、ピーク強度比を算出することができなかった(図10参照)。
<実施例3>
キシダ化学株式会社製の無水ホウ酸(B)2.44g(0.035モル)、和光純薬工業株式会社製の尿素〔(NHCO〕10.5g(0.175モル)、PEG(分子量20000)1.2gを乳鉢で粉砕混合し、アルミナ製のるつぼに移して加熱炉に入れ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温し、400℃で10分間加熱処理を行った。得られた粉末を乳鉢で粉砕混合し、再度るつぼに移して加熱炉に入れ、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分で800℃まで昇温し、800℃で90分間焼成した。得られた蛍光体の紫外線(350nm)励起発光スペクトル結果を図5に示す。蛍光量子効率は55%であった。
また、蛍光体の赤外線吸収スペクトルの測定結果によれば、1363cm−1の波数にピークトップを有する吸収のピーク強度は7.6、1220cm−1にピークトップを有する吸収のピーク強度は4.3であり、1200−1250cm−1に観測される吸収のピーク強度と1300−1400cm−1に観測される吸収のピーク強度の比は1.813であった。
<実施例4>
キシダ化学株式会社製の無水ホウ酸(B)2.44g(0.035モル)、和光純薬工業株式会社製の尿素〔(NHCO〕10.5g(0.175モル)、PEG(分子量20000)2.6gを乳鉢で粉砕混合し、アルミナ製のるつぼに移して加熱炉に入れ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温し、400℃で10分間加熱処理を行った。得られた粉末を乳鉢で解砕混合し、再度るつぼに移して加熱炉に入れ、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分で800℃まで昇温し、800℃で20分間焼成した。得られた蛍光体の紫外線(350nm)励起発光スペクトル結果を図6に示す。蛍光量子効率は53%であった。
また、蛍光体の赤外線吸収スペクトルの測定結果によれば、1371cm−1の波数にピークトップを有する吸収ピーク強度は4.8であり、1220cm−1にピークトップを有する吸収のピーク強度は6.4であり、1200−1250cm−1に観測される吸収のピーク強度と1300−1400cm−1に観測される吸収のピーク強度との比は0.75であった。
<実施例5>
実施例1で得られた平均粒径3μmの蛍光体粒子を100ml容器のボールミルに入れ、30分を5回繰り返し粉砕した。堀場製作所製LA−950を用いて粉砕後の蛍光体粒子の平均粒径が0.8μmであることを確認した。紫外線(350nm)励起発光スペクトルを測定したところ、得られた発光スペクトルは、実施例1と同様の形状を示し、蛍光量子収率も実施例1の蛍光体が56%であったのに対し、55%と殆ど変化していないことを確認した。
<実施例6>
実施例2で得られた平均粒径2.5μmの蛍光体粒子を100ml容器のボールミルに入れ、30分を5回繰り返し粉砕した。堀場製作所製LA−950を用いて粉砕後の蛍光体粒子の平均粒径が0.6μmであることを確認した。紫外線(350nm)励起発光スペクトルを測定したところ、得られた発光スペクトルは、実施例2と同様の形状を示し、蛍光量子収率も実施例2の蛍光体が44%であったのに対し、45%と殆ど変化していないことを確認した。
<実施例7>
和光純薬工業株式会社製の硝酸アルミニウム六水和物7.92g(0.024モル)、和光純薬工業株式会社製の尿素((NHCO)15.0g(0.25モル)を300mlビーカーに取り、超純水33.3gを加え、ホットスターラー(回転数500rpm)を用いて攪拌、溶解させた。この混合溶液に和光純薬工業株式会社製のPEG(分子量2万)0.5gを添加して、再度ホットスターラーを用いて回転数500rpmで攪拌した。得られた原料溶液をアルミナ製のるつぼに移して加熱炉に入れ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で400℃まで昇温し、400℃で10分間加熱処理を行った。得られた粉末を乳鉢で解砕混合し、再度るつぼに移して加熱炉に入れ、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分で800℃まで昇温し、800℃で90分間焼成した。得られた蛍光体の紫外線(350nm)励起発光スペクトルの測定結果を図7に示す。蛍光量子効率は42%であった。
Figure 0005467272
図1と図2(ぞれぞれ本発明実施例1及び比較例1に対応する)の紫外線励起発光スペクトルを比較すると、山形の紫外線励起発光スペクトル曲線のピークトップの波長はほぼ同じ値になるが、実施例1の紫外線励起発光スペクトル曲線の形状は、比較例1のものより幅の狭いピークを有することが分かる。同様に、図3と図4(ぞれぞれ本発明実施例2及び比較例2に対応する)の紫外線励起発光スペクトルを比較した場合も、実施例2の紫外線励起発光スペクトル曲線の形状が比較例2のものより幅の狭いピークを有することが分かる(ただし、比較例2のピークトップの波長は、対応する実施例2のピークトップの波長よりも若干短波長側にシフトしている。)以上の比較の結果から、実施例1及び2で得られた蛍光体は、対応する比較例の蛍光体に比べて色純度の高い蛍光発光を示すことが明らかになった。
次に、図1、図3、図5及び図6(それぞれ本発明の実施例1、2、3及び4に対応する)を比較すると、山形の紫外線励起発光スペクトル曲線において、ピークトップの波長は、図1では480nm、図3では530nm、図5の場合が412nm、図6では572nmであり、紫外線励起発光スペクトル曲線が示すピークの裾部分の形状は少々異なるが、上部分はほぼ重ね合わせることができる程度に幅の狭い形状をしている。以上の比較の結果から、熱分解物の生成・解砕後に焼成を行った場合、昇温速度及び焼成温度に保たれる時間による影響は比較的少なく、したがって、均一性が高く安定した特性を有するM−C−N−O系蛍光体が得られやすいことが分かる。
さらに、実施例5及び6の結果から、本発明の方法により製造されたM−C−N−O系蛍光体をボールミルで粉砕した場合でも、その紫外線(350nm)励起発光スペクトル及び蛍光量子効率にほとんど変化は生じないことが明らかになった。これにより、本発明の方法により製造されたM−C−N−O系蛍光体では、粉砕による蛍光色の変化や蛍光強度の低下の問題が生じていないことが分かる。
ところで、実施例1〜6及び比較例1、2は、IIIB族元素(M)がホウ素である場合のM−C−N−O系蛍光体の製造例に相当するが、実施例1〜6で得られたM−C−N−O系蛍光体の赤外吸収スペクトル測定では、1200−1250cm−1及び1300−1400cm−1の各波数領域に明瞭な吸収ピークが1本ずつ観測されたのに対し、本発明の製造方法に従わない比較例では、前記の特徴的な吸収ピークが現れなかった。また、本発明の蛍光体の場合、1200−1250cm−1の領域に現れた吸収ピークと1300−1400cm−1の領域の吸収ピークの強度比が、前者の後者に対する割合で表示した場合、およそ0.5以上2以下の値をとることが明らかになった。したがって、Mがホウ素である場合には、上記波数領域の赤外吸収スペクトルを測定することによって、本発明に係るM−C−N−O系蛍光体の生成の有無を確認することができる。
本発明の製造方法によれば、色純度の高く、輝度の揃った均一性の高いM−C−N−O系蛍光体を提供することができるため、産業上有用である。

Claims (9)

  1. IIIB族元素(M)、炭素(C)、窒素(N)及び酸素(O)からなるM−C−N−O系蛍光体の製造方法であって、
    IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物と、炭素を含む分散剤と、を含む混合物を加熱して熱分解物を生成させる工程、
    得られた熱分解物を含む生成物を平均粒径0.1μm〜2mmの範囲まで解砕する工程、及び
    得られた解砕物を酸素含有雰囲気下で焼成する工程
    を含む製造方法。
  2. 前記分散剤は、ポリエーテル類、ポリアミド類又は水酸基含有ポリマーである高分子化合物もしくは多価アルコール類である、請求項1に記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
  3. IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物を含む混合物を加熱する温度が150℃〜600℃の範囲内である、請求項1又は2に記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
  4. IIIB族元素含有化合物と含窒素有機化合物を含む混合物を不活性ガス雰囲気下で加熱する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
  5. 焼成温度が500℃〜1000℃の範囲内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
  6. 焼成により得られた蛍光体生成物を粉砕する工程を更に含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
  7. 前記粉砕工程において、蛍光体生成物の平均粒径が1μm以下になるように、該蛍光体生成物を粉砕する、請求項6に記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
  8. IIIB族元素(M)がホウ素(B)である請求項1〜7のいずれか1項に記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
  9. IIIB族元素(M)がアルミニウム(Al)である請求項1〜7のいずれか1項に記載のM−C−N−O系蛍光体の製造方法。
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