JP5466518B2 - 銅または銅合金用エッチング液 - Google Patents
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Description
本発明は、銅または銅合金用エッチング液に関する。
金属材料に凹凸を形成するための技術として、エッチング技術が使われている。とりわけ、プリント配線板の製造においては、欠陥の発生が少なく、また、工程にかかる時間が短い利点があることから、エッチング技術が広く使われている。エッチング技術を用いたプリント配線板の製造においては、絶縁性の基板上に銅(銅合金を含む)層を積層した後、銅層表面の導体パターンとして残存させる部分に、印刷技術、フォトリソグラフィー技術等を用いてレジストパターンを形成し、エッチングにより、レジストパターンで保護されていない部分の銅層を溶解除去することで導体パターンを形成する。銅層は、別途製造した箔を接着する、電解めっき、無電解めっき等の方法で積層される。
近年になり、電子機器の高度化、小型化に対応するため、プリント配線板にも導体パターンの微細化が求められている。微細化に際しては、絶縁信頼性と低い導体抵抗の両立が問題となっている。エッチング技術によりプリント配線板を製造する場合、導体パターンの断面形状は、トップ幅(「導体パターンの表面側の幅」を言う)がボトム幅(「導体パターンの基板側の幅」を言う)より狭い台形状になる場合が多い。また、ボトム幅がトップ幅より狭い逆台形状、中央部が上面や下面より細い糸巻き状、中央部が上面や下面より太い樽状になる場合もある。
隣接導体パターン間の絶縁信頼性は、両導体パターン間の距離が最も接近している部分で決まり、また、導体抵抗は導体パターンの断面積で決まる。よって、隣接導体パターン間の距離が厚み方向のどの点でも等しい場合、すなわち、導体パターンの断面形状が矩形の場合に、高い絶縁信頼性と低い導体抵抗を最も高い水準で両立させることができる。一方、導体パターンの断面形状が台形状、逆台形状、糸巻き状、樽状等の場合には、高い絶縁信頼性と低い導体抵抗を高い水準で両立させることは難しい。
銅のエッチング液としては通常、塩化鉄(III)(以下、本発明では単に「塩化鉄」と記す)水溶液、塩化銅(II)と塩酸の混合水溶液、アンモニア、酸化剤、銅塩の混合水溶液、過酸化水素−硫酸混合水溶液、ペルオキソ二硫酸塩水溶液等が用いられているが、これらのエッチング液では、導体パターンが微細で、かつ、その断面形状が矩形であるものを形成することは到底不可能である。
矩形に近いエッチング形状を得るための技術として、銅に吸着・反応する等によって、エッチング阻害層(バンク)を形成してエッチングを阻害する化合物、いわゆるバンキング・エージェントを添加したエッチング液が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。その例として、チオ尿素を添加した塩化鉄水溶液(例えば、特許文献1参照)、ホルムアミジンジサルファイドを添加した塩化鉄水溶液(例えば、特許文献2参照)、エチレンチオ尿素を添加した塩化鉄水溶液(例えば、特許文献3参照)、チオ尿素および非イオン性または陰イオン性の界面活性剤を添加した塩化鉄水溶液(例えば、特許文献4参照)、2−アミノベンゾチアゾール化合物、ポリエチレングリコールおよびポリアミン化合物を添加した塩化銅(II)水溶液(例えば、特許文献5参照)、2−アミノベンゾチアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、エタノールアミン化合物、グリコールエーテル化合物およびN−メチル−2−ピロリドンまたはジメチルホルムアミドを添加した塩化銅(II)水溶液(例えば、特許文献6参照)、アミン類またはアジン類を添加した硫酸−過酸化水素水溶液(例えば、特許文献7参照)等のエッチング液が開示されている。
しかし、これらのエッチング液には、強い臭気を有したり、生分解性が低くて排水処理が困難だったり、液が自然分解し易くエッチング速度が安定しなかったりという問題がある。かかる問題を有しないエッチング液として、シュウ酸を添加した塩化鉄水溶液が提案されている(例えば、特許文献8参照)。
バンキング・エージェントを添加したエッチング液を用いることにより、たしかに矩形に近い回路導体の断面形状を得ることができるようになった。しかし、従来知られているバンキング・エージェントを用いたエッチング液には、パターンの粗密によりエッチング後の仕上がりに差が生じる問題があった。すなわち、エッチング時間、スプレー圧力等のエッチング条件を、パターン密度が比較的密な部分の配線断面が矩形となるように設定すると、パターン密度が疎な部分の配線断面が矩形にならず、反対に、パターン密度が比較的疎な部分の配線断面が矩形となるようにエッチング条件を設定すると、パターン密度が密な部分の配線断面が矩形にならないという問題があった(例えば、非特許文献2参照)。
雀部俊樹、石井正人、秋山政憲、加藤凡典著、「本当に実務に役立つプリント配線板のエッチング技術」日刊工業新聞社、2009年5月30日、p73
戸田健次著、「マイクロ・ナノファブリケーション研究会 第8回公開研究会予稿集」エレクトロニクス実装学会 配線板製造技術委員会、2009年9月30日、p50
本発明は、バンキング・エージェントを添加したエッチング液により、パターン密度の粗密が混在する製品を製造する場合に、疎な部分と密な部分で、エッチング後の配線断面形状に差が生じるという課題を解決しようとするものである。
バンキング・エージェントとして、シュウ酸を含む塩化鉄のエッチング液に、不飽和高級脂肪酸を含有せしめることで、パターンの粗密によらず、エッチング後の仕上がりが均一なエッチングが可能になる。
さらに、本発明のエッチング液に非イオン界面活性剤を含有せしめることによって、装置の内壁等に油状物を付着することがなくなる。
さらに、本発明のエッチング液に塩酸を含有せしめることで、パターンの粗密によるエッチング後の断面形状の差異がより小さくなる。
本発明により、配線断面形状が矩形に近く、かつ、エッチング後の仕上がりがパターンの粗密に依存しないエッチングが可能になった。
本発明のエッチング液は、バンキング・エージェントとしてシュウ酸を含有する塩化鉄エッチング液に、さらに不飽和高級脂肪酸を含有せしめることを特徴とする。塩化鉄およびシュウ酸のみからなるエッチング液では、エッチング時間を比較的短くして、疎なパターンが矩形になるようにした場合、密なパターンが台形になってしまい、逆にエッチング時間を比較的長くして、密なパターンが矩形になるようにした場合、疎なパターンが逆台形となってしまう。これに対し、かかるエッチング液に不飽和高級脂肪酸を添加することで、エッチング時間を比較的長くして、密なパターンが矩形になるようにした場合にも、疎なパターンの断面形状は矩形に維持される。これは、かかるエッチング液に添加された不飽和高級脂肪酸が、本来エッチングの進行が速いパターンが疎な部分のエッチング進行を相対的に強く抑制し、本来エッチングの進行が遅いパターンが密な部分のエッチング進行には相対的に弱くしか抑制しない作用を有することで、パターンが疎な部分と密な部分とのエッチング速度の差が縮小するという機構によるものであると考えられる。
本発明において、高級脂肪酸とは、炭素数12以上の脂肪族モノカルボン酸を指す。また、不飽和高級脂肪酸とは、かかる高級脂肪酸のうち、炭化水素基に不飽和結合を有するものを指す。かかる不飽和高級脂肪酸としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、リノール酸、ネルボン酸、リノレン酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸等が例示されるが、これらに限定されるものではない。また、本発明に用いる不飽和高級脂肪酸は、必ずしも動植物由来の脂肪を加水分解して得られるものである必要はなく、合成法等他の方法によって得られたものであっても良い。
なお、本発明のエッチング液に用いる不飽和高級脂肪酸の代わりに、ラウリン酸、ステアリン酸等の飽和高級脂肪酸を添加しても、パターンの粗密により生じる導体断面形状の差を十分に抑制することはできない。ただし、本発明のエッチング液に、さらに飽和高級脂肪酸が含まれても、不飽和高級脂肪酸の作用を阻害するものではない。従って、本発明のエッチング液を調製するにあたっては、純粋な不飽和高級脂肪酸のみならず、不飽和高級脂肪酸と飽和高級脂肪酸の双方を含有した混合高級脂肪酸を用いても差し支えない。
本発明において、不飽和高級脂肪酸は、その1種のみを用いても良いし、2種以上を組み合わせても良い。不飽和高級脂肪酸のうち、ヨウ素価の高いものは、酸化により重合し、長時間にわたり同じエッチング液を使用し続けた場合等にエッチング液中に析出してくる場合があるから、本発明のエッチング液に用いる不飽和高級脂肪酸としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸や、これらを主体とした混合高級脂肪酸等のヨウ素価が150以下のものが好ましい。
本発明のエッチング液に添加する不飽和高級脂肪酸の濃度が低すぎると、本発明の効果が十分に発現しなかったり、連続して多量のエッチングを行う場合に、初めにエッチングされる被エッチング材と、後からエッチングされる被エッチング材とで、エッチングの仕上がりに差が生じたりすることがある。また、かかる濃度が高すぎると、エッチングの速度が遅くなって生産性が低下したり、エッチング液から不飽和脂肪酸が分離して、エッチング装置の美観を損ねたり、エッチング不良の原因となったりすることがある。かかる観点から、本発明のエッチング液に添加する不飽和高級脂肪酸の濃度は、0.0003〜0.0300質量%であることが好ましく、0.0010〜0.0100質量%であることがさらに好ましい。
本発明のエッチング液における塩化鉄の濃度は、高すぎると微細なスペースのエッチングができなくなることがあり、低すぎるとエッチング速度が遅くなって生産性が低下することから、2〜20質量%とすることが好ましく、3〜15質量%とすることがさらに好ましい。なお、塩化鉄は通常水溶液または六水和物として供給されるが、本発明において、塩化鉄を含む各物質の質量および濃度は、特に断らない限り無水物としてのそれらの質量・濃度を示す。
本発明のエッチング液におけるシュウ酸の濃度は、低すぎるとバンクが形成されなくなる場合があり、高すぎるとエッチングが進行しなくなる場合がある。かかる理由から、本発明におけるシュウ酸の濃度は、後記の方法によって求められる「必要濃度」の100〜200%にすることが好ましく、120〜150%にすることがより好ましい。ここで、「必要濃度」とは、シュウ酸以外の成分の濃度を固定し、シュウ酸の濃度のみを変化させたエッチング液で予備試験を行い、エッチング後の導体の側面を顕微鏡で観察したときに、非水溶性結晶の付着が認められる最低のシュウ酸濃度である。かかる「必要濃度」は、エッチング液中の各成分の濃度、スプレー条件、エッチングされる銅または銅合金の結晶構造等の要因によって異なるが、通常、塩化鉄に対して5〜50質量%である。
本発明のエッチング液に添加された不飽和高級脂肪酸は、エッチング液から分離し、エッチング装置の内壁や管路内に油状物として付着する傾向がある。かかる油状物の付着も、少量であれば装置の美観を損ねる以外の大きな問題はないが、多量になると油塊として剥離し、エッチング液中に混入してエッチング不良の原因となることがある。かかる問題は、装置を頻繁に清掃することで回避することも可能ではあるが、これには多大な労力を要する。
かかる問題を、多大な労力を要することなく回避するために、本発明のエッチング液には非イオン界面活性剤を添加することが好ましい。本発明のエッチング液に非イオン界面活性剤を添加する場合、その量が少なすぎると油状物の付着を完全に回避することができない場合があることから、高級脂肪酸に対して100質量%以上添加することが好ましく、500質量%以上添加することがより好ましい。また、本発明のエッチング液に添加する非イオン界面活性剤の量が多すぎると、非イオン界面活性剤の有するエッチング抑制作用によってエッチング速度が低下し、生産性が低下する場合があることから、エッチング液に対して0.200質量%以下の添加にすることが好ましく、0.050質量%以下の添加にすることがさらに好ましい。
かかる非イオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体アルキルエーテル、オキシエチレン−オキシプロピレンランダム共重合体アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体アルキルフェニルエーテル、オキシエチレン−オキシプロピレンランダム共重合体アルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ソルビトール高級脂肪酸エステル、グリセリン高級脂肪酸エステル、ショ糖高級脂肪酸エステル等が挙げられる。本発明のエッチング液は強酸性であるから、エステル結合を持つ非イオン界面活性剤は加水分解し、その効果が減ぜられる場合があるので、エステル結合を持たない非イオン界面活性剤が特に好ましく用いられる。
本発明のエッチング液に塩酸を含有せしめることは、導体断面形状の均一性が向上することから好ましい。かかる効果が得られる機構は明らかでないが、過剰の塩化物イオンとpHの低下とが、バンクの化学的・機械的性質に影響を及ぼしているものと推定している。本発明のエッチング液に塩酸を含有せしめる場合の塩酸の量は、塩化水素として、0.1〜2.0質量%が好ましい。量が少なすぎると、塩酸を含有せしめる効果が発現しない場合があり、量が多すぎると、バンクが膨潤して、スペースを埋めてしまい、特に微細パターンにおいて、底部に銅が残存し易くなる場合がある。なお、本発明における塩酸の量は、エッチング液に含まれる金属イオンに対して過剰の塩化物イオンに相当する量の塩化水素の量を言う。すなわち、塩化鉄は水溶液中で一部が加水分解し塩酸を生成するが、これによって生成した塩酸の量は本発明における塩酸の量に含まない。
本発明のエッチング液は、バンキング・エージェントを添加した他のエッチング液と同様、スプレー法エッチングに用いられる。浸漬法エッチング、パドル法エッチングまたは発泡法エッチングのようなエッチング方法では、エッチング部の側面と底面とでエッチング液が流れる速度に差がないか、十分に大きくないため、エッチングが進行しなかったり、矩形に近い導体断面の形状が得られなかったりする。
以下、本発明の実施例を示す。
[実施例1]
<エッチング液の調製>
水10kgに市販の40°ボーメの塩化鉄水溶液(濃度37質量%)4.0kg(塩化鉄として1.5kg)、シュウ酸二水和物0.38kg(シュウ酸として0.24kg)を加え、濃度20質量%の塩酸1.2kg(塩化水素として0.24kg)を加え、最後に水を追加して総量を20kgとした(A液)。別に、水19kgにオレイン酸1.2gおよび非イオン界面活性剤であるポリエチレングリコールオレイルエーテル(HLB13.6、花王製、商品名:エマルゲン(登録商標)420)6.0gを加えた後、アジテーターを用いて均一な液とし、最後に水を追加して総量を20kgとした(B液)。A液を攪拌しながらB液の全量を添加し、塩化鉄4質量%、シュウ酸0.60質量%、塩酸0.6質量%、オレイン酸0.0030質量%、ポリエチレングリコールオレイルエーテル0.015質量%を含むエッチング液40kgを調製した。
<エッチング液の調製>
水10kgに市販の40°ボーメの塩化鉄水溶液(濃度37質量%)4.0kg(塩化鉄として1.5kg)、シュウ酸二水和物0.38kg(シュウ酸として0.24kg)を加え、濃度20質量%の塩酸1.2kg(塩化水素として0.24kg)を加え、最後に水を追加して総量を20kgとした(A液)。別に、水19kgにオレイン酸1.2gおよび非イオン界面活性剤であるポリエチレングリコールオレイルエーテル(HLB13.6、花王製、商品名:エマルゲン(登録商標)420)6.0gを加えた後、アジテーターを用いて均一な液とし、最後に水を追加して総量を20kgとした(B液)。A液を攪拌しながらB液の全量を添加し、塩化鉄4質量%、シュウ酸0.60質量%、塩酸0.6質量%、オレイン酸0.0030質量%、ポリエチレングリコールオレイルエーテル0.015質量%を含むエッチング液40kgを調製した。
<テスト用被エッチング材の作製>
ガラスエポキシ絶縁基板と厚み18μmの電解銅箔(三井金属鉱業製、商品名:FQ−VLP)を積層した銅貼積層板に、厚み10μmのネガ型ドライフィルムレジストを貼り合わせ、50μmピッチ(ライン幅/スペース幅=25μm/25μm)および80μmピッチ(同40μm/40μm)の縞状テストパターンを露光後、現像・水洗を行って、テスト用被エッチング材を作製した。
ガラスエポキシ絶縁基板と厚み18μmの電解銅箔(三井金属鉱業製、商品名:FQ−VLP)を積層した銅貼積層板に、厚み10μmのネガ型ドライフィルムレジストを貼り合わせ、50μmピッチ(ライン幅/スペース幅=25μm/25μm)および80μmピッチ(同40μm/40μm)の縞状テストパターンを露光後、現像・水洗を行って、テスト用被エッチング材を作製した。
<エッチング>
スプレー法エッチング装置(山縣機械製、商品名:YCE−85V)を用い、エッチング液により、80μmピッチレジストパターンにおいて隣接ライン間の最接近部の間隙が40μmになる時間t1(秒)および50μmピッチレジストパターンにおいて隣接ライン間の最接近部の間隙が25μmになる時間t2(秒)の2つの時間でエッチングを行った。なお、スプレーノズルには充円錐スプレーノズル(いけうち製、商品名:1/4M BBXP 015 PVDF)を用い、スプレー圧は0.20MPaとした。
スプレー法エッチング装置(山縣機械製、商品名:YCE−85V)を用い、エッチング液により、80μmピッチレジストパターンにおいて隣接ライン間の最接近部の間隙が40μmになる時間t1(秒)および50μmピッチレジストパターンにおいて隣接ライン間の最接近部の間隙が25μmになる時間t2(秒)の2つの時間でエッチングを行った。なお、スプレーノズルには充円錐スプレーノズル(いけうち製、商品名:1/4M BBXP 015 PVDF)を用い、スプレー圧は0.20MPaとした。
[実施例2〜12、比較例1〜2]
エッチング液に含まれる不飽和高級脂肪酸の種類および量、非イオン界面活性剤の量、塩酸の量を表1の如く変更した以外は、実施例1と同様にしてエッチングを行った。
エッチング液に含まれる不飽和高級脂肪酸の種類および量、非イオン界面活性剤の量、塩酸の量を表1の如く変更した以外は、実施例1と同様にしてエッチングを行った。
[比較例3]
エッチング液に添加する高級脂肪酸として、オレイン酸の代わりに、飽和高級脂肪酸であるラウリン酸を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例3のエッチングを行った。
エッチング液に添加する高級脂肪酸として、オレイン酸の代わりに、飽和高級脂肪酸であるラウリン酸を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例3のエッチングを行った。
[比較例4]
エッチング液に添加する高級脂肪酸として、オレイン酸の代わりに、飽和高級脂肪酸であるステアリン酸を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例4のエッチングを行った。
エッチング液に添加する高級脂肪酸として、オレイン酸の代わりに、飽和高級脂肪酸であるステアリン酸を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例4のエッチングを行った。
[比較例5]
エッチング液にシュウ酸を添加せず、同量の水を添加した以外は、実施例4と同様にして比較例5のエッチングを行った。本比較例では、エッチング時間75秒では50μmピッチレジストパターンのスペース部の絶縁基板がまだ露出しておらず、また、50μmピッチレジストパターンにおいて隣接ライン間の最接近部の間隙が25μmになる前に、導体パターンのトップ幅が狭くなりすぎて、レジストパターンが剥離したことから、50μmピッチの導体パターンを形成することはできなかった。
エッチング液にシュウ酸を添加せず、同量の水を添加した以外は、実施例4と同様にして比較例5のエッチングを行った。本比較例では、エッチング時間75秒では50μmピッチレジストパターンのスペース部の絶縁基板がまだ露出しておらず、また、50μmピッチレジストパターンにおいて隣接ライン間の最接近部の間隙が25μmになる前に、導体パターンのトップ幅が狭くなりすぎて、レジストパターンが剥離したことから、50μmピッチの導体パターンを形成することはできなかった。
<エッチング装置の汚れ評価>
各エッチング液を上記のエッチング装置内で1時間循環した後、エッチング液槽壁面の液面付近を観察し、油状付着物の有無を観察した。
各エッチング液を上記のエッチング装置内で1時間循環した後、エッチング液槽壁面の液面付近を観察し、油状付着物の有無を観察した。
<評価>
各実施例、各比較例で得られたテスト材を、アクリル樹脂で包埋後、切断、研磨して断面観察用の試料片を作製した。デジタル光学顕微鏡により、50μmピッチ、80μmピッチそれぞれのテストパターンの断面を観察し、トップ幅w1、ボトム幅w2の幅を測定した。結果を表2に示す。
各実施例、各比較例で得られたテスト材を、アクリル樹脂で包埋後、切断、研磨して断面観察用の試料片を作製した。デジタル光学顕微鏡により、50μmピッチ、80μmピッチそれぞれのテストパターンの断面を観察し、トップ幅w1、ボトム幅w2の幅を測定した。結果を表2に示す。
なお、断面の形状は、トップ幅w1およびボトム幅w2の差により、次の3種に分類した。図1に、絶縁基板1a上に形成された導体パターン1bの断面形状による分類の概略を示す。
略矩形:トップ幅w1とボトム幅w2の差が2μm以下の場合。記号「R」
逆台形:トップ幅w1がボトム幅w2よりも広く、その差が2μmを超える場合。記号「S」
台形:トップ幅w1がボトム幅w2よりも狭く、その差が2μmを超える場合。記号「T」
略矩形:トップ幅w1とボトム幅w2の差が2μm以下の場合。記号「R」
逆台形:トップ幅w1がボトム幅w2よりも広く、その差が2μmを超える場合。記号「S」
台形:トップ幅w1がボトム幅w2よりも狭く、その差が2μmを超える場合。記号「T」
高級脂肪酸を含有しないエッチング液を用いた比較例1および比較例2、高級脂肪酸として飽和高級脂肪酸のみを含有するエッチング液を用いた比較例3および比較例4では、疎なパターンが略矩形になるようなエッチング時間とした場合、密なパターンが台形になってしまい、逆に密なパターンが略矩形になるようなエッチング時間とした場合、疎なパターンが逆台形となってしまう。また、比較例5のように、シュウ酸を添加しないエッチング液に不飽和脂肪酸を含有せしめても、本発明のエッチング液を用いた場合のような微細なピッチの導体パターンは得られない。これに対し、不飽和高級脂肪酸を含有するエッチング液を用いた実施例では、疎なパターンが略矩形になるようなエッチング時間とした場合、密なパターンは略矩形となるか、台形であったとしても、トップ幅w1とボトム幅w2の差が4μm以下であり、密なパターンが略矩形になるようなエッチング時間とした場合、粗なパターンも略矩形となった。このように、実施例と比較例の比較から、シュウ酸を含有する塩化鉄エッチング液に不飽和高級脂肪酸を含有せしめることで、パターンの粗密によらず、均一なエッチングが可能となった。
実施例1、7〜9と実施例6の比較から分かるように、本発明のエッチング液に非イオン界面活性剤を含有せしめることで、エッチング装置内に油状の汚れが付着することを防止でき、よってエッチング装置の保守に要する手間を軽減できる。
実施例1と実施例10の比較から分かるように、本発明のエッチング液に塩酸を含有せしめることで、パターンの粗密によるエッチング形状の差異をより高度に低減することができる。
本発明のエッチング液は、プリント配線板の製造のみならず、リードフレーム、精密歯車、精密板ばね、エンコーダ用ディスクやストライプ、各種ステンシルの製造等のその他各種の産業用途においても、高度に制御された銅または銅合金のエッチングが必要な場合に好適に用いることができる。
1a 絶縁基板
1b 導体パターン
w1 導体パターンのトップ幅
w2 導体パターンのボトム幅
1b 導体パターン
w1 導体パターンのトップ幅
w2 導体パターンのボトム幅
Claims (3)
- 塩化鉄(III)、シュウ酸、不飽和高級脂肪酸を含有することを特徴とする銅または銅合金用エッチング液。
- さらに、非イオン界面活性剤を含有する請求項1記載の銅または銅合金用エッチング液。
- さらに、塩酸を含有する請求項1または2記載の銅または銅合金用エッチング液。
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JP2003338676A (ja) * | 2002-05-20 | 2003-11-28 | Mec Kk | 銅配線基板の製造方法 |
US7645393B2 (en) * | 2007-04-27 | 2010-01-12 | Kesheng Feng | Metal surface treatment composition |
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US20110056910A1 (en) * | 2008-02-12 | 2011-03-10 | Makoto Kato | Etching method |
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2010
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