JP5466158B2 - 片手用キーケース - Google Patents
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Description
そして本発明の新規性には、現在最も一般的に普及している背景技術である特許文献1のキーケースが大きく関係している。
なぜなら、従来のこの種の三つ折型のキーケースの中央片部分には、硬い金属製の長方形様の鍵の吊り下げ部材が横に広く跨って固着していたため、この部分を縦方向に沿って山折りにするという発想自体が奇抜なものであり、思いつきにくかったからだ。
これは背景技術である特許文献2のキーケースに関しても、充分に当てはまる。このキーケースは使用する台片の数は、数個であると記載され、つまり二つとは限定されておらず、本発明のごとく中央片を外側に二つ折りにする発想自体がそもそも存在していないからである。
さらに本発明の片手用キーケースにおいては、鍵の吊り下げ部材をキーケース本体に台片ごと固着したため、特許文献2のキーケースのように、吊り下げた鍵自体の重さと面ファスナーの劣化によって、キーケース本体から台片ごと鍵の束を脱落させて鍵を紛失するという可能性はない。
これは、図7に示した請求項1のキーケースを操作する場合と比較して、鍵の束を出し入れする際の鍵同士のばらつきや、キーケース本体を掴んでいる指による外側からの圧迫がもたらす、鍵の束の通りづらさを、より軽減する効果がある。
これに対して本発明においては、二つの回転式キーホルダーをお互い隣りあわせの位置に固着しているために、キーケース本体を閉じた状態では、二つの回転式キーホルダーの円形部分の間が非常に狭くなり、この事がお互い相手のフック金具の自由な回転を阻止する効果を発揮し、鍵をつけていないフック金具や鍵の束が、キーケース本体の上部から露出してしまう事を防いでいる。これはキーケースの携帯時の、激しい動きなどにも対処できて便利である。
しかし請求項3のキーケースにおいては、その隙間部分自体が存在しないので、この部分に鍵が引っかかる事がなくなった。これは第一の効果である。
またこの事は第二の効果としてコバの仕上げを容易にもしている。従来、キーケースのコバの仕上げには、水、ワックス、コバ用の仕上げ剤などを塗る方法やその後さらに磨き上げる方法、外装材を内側へ折り返して縫い付けるへり返しと呼ばれる方法等があった。しかし請求項1及び請求項2のコバを仕上げる場合は、中央片の上端部分及び下端部分のコバを仕上る際に、中央左台片と中央右台片との間に縦方向の隙間があるために、水、ワックス、コバ用の仕上げ剤などがコバから内側の隙間へとはみ出さないように注意して塗る必要があった。特に着色も兼ねて仕上げ剤を用いる場合は、色がコバ以外の部分まではみ出ると、見栄えが悪くなるので気をつける必要があった。また、コバを磨き上げる際にも、中央左台片及び中央右台片の縁や角が潰れないように手加減する必要があり、これらの作業には手間と時間がかかっていた。へり返しを行う場合も、この隙間部分に段差があるために、縫い糸を通す穴を開ける位置が制限されていた。
しかし請求項3のキーケースにはこの様な段差が存在しないため、コバの仕上げが容易なのである。
そしてこれには次の様な効果がある。
すなわちキーケース内部の鍵を使用する際や、それら内部の鍵の収納操作を行う際に、たとえキーケース本体を前後方向に傾けて激しく動かしても、このリング金具に吊り下げた外部の鍵は、図21に示したごとき形状のキーケース本体の平面上を、旋回しながら通るだけで、キーケース本体内部へと混入して他の鍵の収納操作を妨げる事が無い。
これは、片手が不自由な人や、手荷物を持っていて片手が自由に使えない状態の人にとって、次のような場面で便利である。
それは、例えば外出時に自宅の鍵を使用しキーケースを閉じた後、引き続き車の鍵を使用する場合や、逆に車で帰宅時に車の鍵を使用し引き続き、自宅の鍵を使用するという場合に便利である。なぜならキーケース本体1の上端から露出させて鍵を吊り下げておけば、最初にキーケースを使用した後に、キーケース本体を掴んでいる位置を、そのまま少しずらすだけで、引き続き次の鍵の使用の準備ができるからである。これは、キーケース本体の下端部に鍵の吊り下げ部材を設けて、そこに鍵を吊り下げる場合と比べても、より便利である。この様にリモコン付きの車の鍵等、大きすぎてキーケース内部への収納が困難な鍵なども、キーケース本体と繋いで一所に携帯しておく事を可能にしている。
図面を使って本発明の実施の形態を説明する。図1、図2、図3及び図4において、キーケース本体1の中央片2の内側上には中央左台片2aと中央右台片2bを、左折返し片3の内側上には左折返し台片3aを、右折返し片4の内側上には右折返し台片4aを、それぞれ接着剤と縫い糸5によって固着している。そして開閉部材として、左折返し片3にバネホック6a2を、右折返し台片4aにバネホック6a1を、それぞれ固着している。
図7に示すとおり、請求項2のキーケース本体1を用いて、中央左台片2aと中央右台片2bに、鍵の吊り下げ部材として、それぞれ四角型鍵の吊り下げ部材7aをカシメ金具7a2及び7a3で固着している。
以上が請求項1の本発明の実施の形態である。
図8、図9、及び図10において、キーケース本体1xは外装材1yと内装材1zとを接着剤で貼り合わせ、縫い糸5によって縫い合わせたものである。このキーケース本体1xは、中央片2xと、中央片2xの左端に連続する左折返し片3x及び右端に連続する右折返し片4xより成り、中央片2xは、縦方向に沿った三つの帯状部分である、中央片左帯部2c、中央片中帯部2d、及び中央片右帯部2eより構成されている。また中央片2xの上端部2x1、下端部2x2、左折返し片3x、及び右折返し片4xは、外装材1yと内装材1zとを強く接着して一体化させているが、この時に使用する接着剤は、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤等の水分散系接着剤や、クロロプレンゴム系接着剤等の合成ゴム系接着剤が、最も適している。そして上端部2x1及び下端部2x2以外の中央片2xは、図10で示したそれぞれの斜線領域において、中央片中帯部2dの外装材1yと内装材1zに対しては、接着しない、中央片左帯部2c及び中央片右帯部2eに使用する接着剤よりも高い柔軟性を維持する接着剤を使用する、皮革用の柔軟剤を使用する、厚さを薄くする、素材に型押しを施す、中央片左帯部2c及び中央片右帯部2eの外装材1yと内装材1zに対しては、皮革用の硬化剤を使用する、補強材として、天然皮革、合成皮革、合成樹脂、合成繊維、金属のプレート等を挟む、以上の7つの方法の内から一つ又は複数を組み合わせて行う事により、中央片中帯部2dの硬さを、中央片左帯部2c及び中央片右帯部2eと比べて相対的に柔らかくして、中央片2xの内側面が、中央片中帯部2dから縦方向に沿って容易に山折に折れ曲がる構造を設けている。そして開閉部材として、左折返し片3xにバネホック6a2を、右折返し片4xにバネホック6a1を、それぞれ固着している。
これは、接着剤を、接着後も高い柔軟性を維持する物から順に、例えば、天然ゴム系、クロロプレンゴム系等の合成ゴム系、酢酸ビニル樹脂エマルジョン等の水分散系、という様に並べた場合において、中央片左帯部2c及び中央片右帯部2eに合成ゴム系を使用する際は、中央片中帯部2dには天然ゴム系を使用し、中央片左帯部2c及び中央片右帯部2eに水分散系を使用する際は、中央片中帯部2dには天然ゴム系もしくは合成ゴム系を使用するという事である。
図11、図12において、キーケース本体1の中央片2の内側上には中央台片2fを、左折返し片3の内側上には左折返し台片3aを、右折返し片4の内側上には右折返し台片4aを、それぞれ接着剤と縫い糸5によって固着し、また開閉部材として、左折返し片3にバネホック6a1を、右折返し台片4aにバネホック6a2を、それぞれ固着している。
中央台片2fの中央部は、縦方向に沿って線状の切り込み部分2f1がある。そして中央台片2f上の左右部分それぞれに、鍵の吊り下げ部材として回転式キーホルダー7bを、カシメ金具7c4及びカシメ金具7c5によって固着している。以上が請求項4の本発明の実施の形態である。
図13において、回転式キーホルダー本体7c1には中心穴7c2と円周穴7c3が貫通している。このニ軸型回転式キーホルダー7cは、回転式キーホルダー本体7c1、中心穴7c2を貫通させる中心軸として用いるカシメ金具7c4とカシメ金具7c5、円周穴7c3を貫通させる円周軸として用いるカシメ金具7c6、リング金具7c8、及びフック金具7c9、によって構成されている。ただし、任意の部材としてカシメ金具7c7をこれに加えてもよい。例えば図14に示すキーケース本体1sのニ軸型回転キーホルダー7cにおいては、このカシメ金具7c7を用いている。
また、このニ軸型回転式キーホルダー7cは、キーケース本体に固着する際に、補助工具として、図23に示す金属製のL型プレート8を使用する。以上が請求項5の本発明の実施の形態である
図14、図15に示す実施の形態は、請求項1のキーケースにおいて、鍵の吊り下げ部材が、回転式キーホルダー7bと二軸型回転式キーホルダー7cである、請求項6の実施の形態である。このキーケース本体1sは、へり返しの手法を用いて、ヘリを折り返し縫い付ける事によりコバの処理を行っている。また開閉順序が左前合わせとなっている。そして、開閉部材として左折返し台片3a2にマグネットホック6b1、右折返し片4sにマグネットホック6b2を固着している。
この際、図22に示した回転式キーホルダー本体7c1の円周部側面の溝7c10が、潰れて変形する事を防ぐために、図23に示すごとく、この円周部側面の溝7c10の幅と同じ厚さの金属製のL型プレート8を、回転式キーホルダー本体7c1の、円周部側面の溝7c10に挟み込んだ状態で、作業を行っている。なお円周穴7c2を貫通させたカシメ金具7c6を固着する際は、カシメ金具7c6の足に図13のカシメ金具7c7をかぶせて、これをハンマー等で叩いて固着してもよい。図14に示した実施の形態においては、このカシメ金具7c7を用いている。
また、ニ軸型回転式キーホルダー7cを中央片の内側上に固着する際は、左側に固着する場合は、その円周穴7c3の位置を11時の方向に、右側に固着する場合は、その円周穴7c3の位置を1時の方向にして、それぞれ固着している。
以上が請求項6の本発明の実施の形態である。
キーケース本体の材質は、天然皮革が最も適しており、次に適するのは合成皮革、合成樹脂等である。
その際心材として、厚紙、接着芯やスライサー等の合成繊維や合成樹脂等を、内部や内側に用いてもよい。
またこれらの心材は、キーケース本体1xにおける中央片左帯部2c及び中央片右帯部2eの補強材として、外装材1yと内装材1zとの間に挟んで用いてもよい。
尚、キーケース本体に用いる接着剤の種類は、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤等の水分散系接着剤や、クロロプレンゴム系接着剤等の合成ゴム系接着剤が、最も適している。ただしキーケース本体1xの場合は、図10に示したすべての斜線領域は除外する。
これらのキーケース本体のコバの仕上げ方には、鑢や鉋で滑らかにした後、コバ用の仕上げ剤やワックスを塗って磨き上げる方法、若しくは素材を内側に折り返して縫い付けるへり返しと呼ばれる方法を用いている。
開閉部材は、バネホック、コバホック、マグネットホック、面ファスナー等が適しており、その他にネオジム磁石等の両面マグネットを内蔵して固着する事も可能である。以上が本発明の実施の形態である。
第一例。厚さが1mmほどであり、植物タンニンなめしを行っていて、かつ仕上げは施していない牛革であるヌメ革を、内装材1zとして用い、厚さ1.0mmほどのラム革を外装材1yとして用いた場合、これらのやわらかい素材の組み合わせにおいては、中央片中帯部2dの加工は必要ない。上端部2x1及び下端部2x2を除いて、この中央片中帯部2dは接着せず、中央片左帯部2cと中央片右帯部2eに対しては、クロロプレンゴム系接着剤等の合成ゴム系接着剤、若しくは酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤等の水分散系接着剤を用いる。なお外装材1y及び内装材1zは、接着前に予め、それぞれ中央片左帯部2cと中央片右帯部2eに対して、皮革用の硬化剤を塗り硬化させておく。この際、左折返し片3x及び右折返し片4xにも同様に硬化剤を用いる。ただし、硬化剤による変色が起きるので黒色の素材を用いるか、若しくは素材を黒く着色する必要がある。
尚、図24に示すごとく、外装材1yの表面に金属製の定規10をあて、これに沿って筆先が丸い鉄筆9を押し引いて、手作業で型をつけてもよい。
これらの斜線領域に対しては接着しないか、天然ゴム系の接着剤を使用する。
2r 中央片、2x 中央片、2x1 上端部、2x2 下端部、2a 中央左台片、2b 中央右台片、2c 中央片左帯部、2d 中央片中帯部
、2e 中央片右帯部、2f 中央台片、2f1 切込み部分、2f2 切り抜き部分、3 左折返し片、3s 左折返し片、3r 左折返し片、3x 左折返し片、
3a左折返し台片、3a2 左折返し台片、3a3 左折返し台片、3x2x 折り目部分、4 右折返し片、4s 右折返し片、4r 右折返し片、
4x 右折返し片、4a 右折返し台片、4a2 右折返し台片、4a3 右折返し台片、4x2x 折り目部分、5 縫い糸、6a1 バネホック、
6a2 バネホック、6b1 マグネットホック、6b2 マグネットホック、6c 両面マグネット、6d1 面ファスナー、6d2 面ファスナー、
7a 四角型鍵の吊り下げ部材、7a1 フック金具、7a2 カシメ金具、7a3 カシメ金具、7b 回転式キーホルダー、
7c 二軸型回転式キーホルダー、7c1 回転式キーホルダー本体、7c2 中心穴、7c3 円周穴、7c4 カシメ金具、7c5 カシメ金具、7c6 カシメ金具、7c7 カシメ金具、7c8 リング金具、7c9 フック金具、7c10 円周部側面の溝、8 L型プレート、9 鉄筆、10 金属製の定規、11 型押し加工部分、
12 型押し加工部分
Claims (6)
- キーケース本体が、中央片と、この中央片の左端に連続する左折返し片及び右端に連続する右折返し片とから成り、かつ左折返し片の内側上に左折返し台片を、右折返し片の内側上に右折返し台片をそれぞれ固着し、なおかつ左折返し片と右折返し台片、若しくは左折返し台片と右折返し片に開閉部材を固着している、三つ折型のキーケース本体において、中央片の内側上に、中央左台片と中央右台片を左右に並べて固着した事により、中央片が中央左台片と中央右台片との間から縦方向に沿って容易に山折に折れ曲がる構造を設け、かつこの中央左台片と中央右台片の間を跨ぐ事なく、中央左台片及び中央右台片それぞれに、鍵の吊り下げ部材を固着している事を特徴とする、片手用キーケース。
- 請求項1の片手用キーケースにおいて、鍵の吊り下げ部材として回転式キーホルダーを用い、かつこれを中央左台片と中央右台片にそれぞれ固着した事を特徴とする、片手用キーケース。
- キーケース本体が、中央片と、この中央片の左端に連続する左折返し片及び右端に連続する右折返し片とから成り、かつ外装材と内装材とを貼り合わせたキーケース本体であり、なおかつ左折返し片及び右折返し片に開閉部材を固着している、三つ折型のキーケース本体において、中央片を縦方向に沿って三つの帯状部分に分け、それらを、中央片左帯部、中央片中帯部、中央片右帯部とし、中央片の上端部、下端部、左折返し片、及び右折返し片は、外装材と内装材とを強く接着して一体化させ、上端部及び下端部以外の中央片は、中央片中帯部の外装材と内装材に対して、接着しない、中央片左帯部及び中央片右帯部に使用する接着剤よりも高い柔軟性を維持する接着剤を使用する、皮革用の柔軟剤を使う、厚さを薄くする、型押しを施す、中央片左帯部及び中央片右帯部の外装材と内装材に対しては、皮革用の硬化剤を使用する、補強材として、天然皮革、合成皮革、合成樹脂、合成繊維、金属のプレート等を挟む、以上の7つの方法の内から一つ又は複数を組み合わせて行い、中央片中帯部の硬さを、中央片左帯部及び中央片右帯部よりも柔らかくする事により、中央片の内側面が中央片中帯部から縦方向に沿って容易に山折に折れ曲がる構造を設け、なおかつ中央片の内側面の、中央片左帯部と中央片右帯部それぞれに、回転式キーホルダー若しくはその他の鍵の吊り下げ部材を固着している事を特徴とする、片手用キーケース。
- キーケース本体が、中央片と、この中央片の左端に連続する左折返し片及び右端に連続する右折返し片とから成り、かつ左折返し片の内側上に左折返し台片を、右折返し片の内側上に右折返し台片をそれぞれ固着し、なおかつ左折返し片と右折返し台片、若しくは左折返し台片と右折返し片に、開閉部材を固着している三つ折型のキーケース本体において、中央片の内側上に中央台片を固着し、この中央台片の中央部を、縦方向に沿って線状に切り込むか、或いは部分的に切り抜く事によって、中央台片が中央部から縦方向に沿って容易に山折に折れ曲がる構造を設け、なおかつこの中央台片上の左右部分それぞれに、回転式キーホルダー若しくはその他の鍵の吊り下げ部材を固着している事を特徴とする、片手用キーケース。
- 回転式キーホルダーの円周付近に円周穴を貫通し、この回転式キーホルダーの中心穴を貫通した中心軸と共に、円周穴を貫通した円周軸を用いて、請求項1の片手用キーケース、請求項3の片手用キーケース、又は、請求項4の片手用キーケースの内のいずれか一つの本体に固着する事を特徴とする、二軸型回転式キーホルダー。
- 請求項1の片手用キーケース、請求項3の片手用キーケース、又は、請求項4の片手用キーケースの内のいずれか一つにおいて、鍵の吊り下げ部材が回転式キーホルダーであり、かつ、回転式キーホルダーの一方または両方が、請求項5の二軸型回転式キーホルダーである事を特徴とする、片手用キーケース。
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2009
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