JP5463925B2 - 復調装置、復調方法、受信機並びに通信システム - Google Patents

復調装置、復調方法、受信機並びに通信システム Download PDF

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Description

本発明は、周期が異なるサブキャリアの変調する組合せでビットの論理符号を表現する変調信号を相関検波によって復調する復調装置に関する。
周期が異なるサブキャリアの変調する組合せで論理符号を表現する変調信号が用いられている一例として、RFID(Radio Frequency Identification)技術を利用するISO(International Organization for Standardization)15693規格に定められた無線通信方式がある。同通信方式の一つとして規定されている周波数シフトキーイング(以下、FSK:Frequency shift Keying)変調方式では、423.75kHz(以下、424kHzと表記する。)と484.28kHz(以下、484kHzと表記する。)の周期の異なる2つのサブキャリアを13.56MHzのキャリアに多重化し、2つのサブキャリアの変調する順序の組合せで1ビットの0と1の論理符号を確定させている。このようなFSK変調信号を復調する方式は一般的に周波数弁別器による検波が用いられている(例えば非特許文献1)。
また、周期の異なるサブキャリアの変調する順序で論理符号を表現するFSK変調信号を復調する従来の方法の例として、キャリア抽出手段によってサブキャリアの周波数信号を抽出し、それらを帯域通過フィルタに通してサブキャリア以外のノイズ成分を遮断し、さらに抽出したサブキャリア周波数帯の信号を2つの経路に分け、一方のサブキャリア周波数帯域を遮断する第1ノッチフィルタと、他方のサブキャリア周波数帯域を遮断する第2ノッチフィルタによって、分岐した信号波をそれぞれ1つのサブキャリア周波数成分をもつ信号波とし、第1ノッチフィルタと第2ノッチフィルタを通過した2つの異なるキャリア周波数の信号からデジタルデータを復調するデータ復調手段が開示されている(例えば特許文献1)。
Identification Cards--Contactless integrated circuit cards--Vicinity cards-Part2
特開2005−38228
しかしながら従来の技術では、通信性能が低下するような通信環境によっては上記規格のように2つの近接する周期のサブキャリアから、任意のサブキャリア周波数帯域のみを抽出して復調することは困難となり、雑音耐性といった通信特性の安定性に問題点があった。また、精度を向上するためには高度なアナログ回路技術を用いる必要があり、小型化が難しいといった問題点があった。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、雑音耐性の良い、安定した通信特性を得る復調装置を提供するものである。
伝送されるビットの1ビット分に対応するサンプルクロック数を単位としてビットクロックを出力するビットクロック生成手段と、受信信号が取り得る周波数のうちの一つと同じ周波数を有する参照信号の1周期分に対応するサンプルクロック数を単位としてサブキャリアクロックを出力するサブキャリアクロック生成手段と、前記1ビット分に対応するサンプルクロック数の1/2以下のクロック数であって、且つ周期の異なるサブキャリアの夫々1周期分に対応するサンプルクロック数から算出される最小公倍数の任意の整数倍となるサンプルクロック数を単位として公倍数タイミング信号を出力する公倍数タイミング生成手段と、前記公倍数タイミング信号が出力されるタイミングから、前記1ビット分に対応するサンプルクロック数を前記最小公倍数の任意の整数倍で除算した商の剰余分となるサンプルクロック数がカウントされる間、前記サブキャリアクロックの出力を休止させるウエイト信号を出力するウエイト信号生成手段と、受信信号をサンプルクロック毎にサンプリングして格納し、前記参照信号と前記受信信号の相関値を算出する相関値算出手段と、前記公倍数タイミング信号に基づいて、前記相関値を積算して、積算値を出力する積算手段と、前記ビットクロックに基づいて、前記積算値を比較して、前記受信信号により伝送されたビットの論理符号を判定する大小判定手段と、を備えるものである。
この発明によれば、論理符号、参照信号の周期に依存せず、相関検波における相関積算値の差分が大きく安定し、雑音耐性の良い通信特性が安定した復調装置を実現することができる。
この発明の実施の形態1を示す通信システムである。 この発明の実施の形態1を示す復調装置のブロック図である。 この発明の実施の形態1を示すISO15693規格(伝送速度26.69kbps)での双副搬送波で表現される論理符号の模式図である。 この発明の実施の形態1を示す1ビット(508サンプル)内でのクロック信号のタイミングチャートである。 この発明の実施の形態1を示す公倍数タイミングを使用しない場合と公倍数タイミングを使用する場合の相関積算値を対比した図である。 この発明の実施の形態1を示す1ビット(2032サンプル)内でのクロック信号のタイミングチャートである。 この発明の実施の形態2を示す復調装置のブロック図である。 この発明の実施の形態3を示す復調装置のブロック図である。 この発明の実施の形態4を示す復調装置のブロック図である。
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。以後、具体的な例として、特に指定しない限りはISO15693に規定されたキャリア13.56MHz、424kHzと484kHzの2つのサブキャリアを用いた伝送速度26.69kbpsのFSK変調信号について相関検波する場合について説明する。
実施の形態1.
図1は本実施の形態にかかる通信システムを示す図である。送信機101は周期が異なるサブキャリアの変調する順序の組合せでビットの論理符号を表現するFSK変調信号を送信する手段を備えている。図1には送信機101から受信したFSK変調信号を受信する受信機102の内部構成例が示されている。受信機102のアンテナで受信した変調信号は増幅器103、帯域制限フィルタ104、ミキサ105、帯域制限フィルタ106を経てアナログデジタルコンバーター(以下、ADC)107にてデジタル信号に変換されて復調装置108に伝送される。ここで、ミキサ105の前段に設けられている帯域制御フィルタ104はミキサ105のローカル周波数でミキシングした時に、希望波と同一の周波数帯にミキシングされるイメージ周波数を事前に除去するためのフィルタである。また、ミキサ105の後段の帯域制御フィルタ106は信号がADC107でサンプリングされて、デジタル信号として再生される際に生じる折り返し雑音(エイリアジング)を除去するために、ADC107のサンプリング周波数のナイキスト周波数で帯域を制限するアンチエイリアスフィルタである。このような経路を経た変調信号は、変調信号の先頭信号を検出されて、復調装置にて復調される。以下に復調装置108の構成を示すとともに、その動作について説明する。
図2に本実施の形態にかかる復調装置のブロック図を示す。参照信号に用いるサブキャリアの1周期分に対応するサンプルクロック数をサブキャリア設定値として格納するサブキャリア設定値格納手段1、1ビット分に対応するサンプルクロック数をビット設定値として格納するビット設定値格納手段2、周期の異なるサブキャリアの夫々の1周期分に対応するサンプルクロック数から算出された最小公倍数値の任意の整数倍を前記サブキャリア設定値で除算した商を公倍数設定値として格納する公倍数設定値格納手段3、前記ビット設定値を前記公倍数設定値で除算した商の剰余をウエイト設定値として格納するウエイト設定値格納手段4、受信信号の相関検波に用いる参照信号を相関回路に入力する参照信号入力手段5、サンプルクロックをカウントし、サブキャリア設定値毎にサブキャリアクロックを出力することにより、参照信号と受信信号とをサブキャリアクロックのタイミングでサブキャリア同期させるサブキャリアクロック生成回路6、サンプルクロックをカウントし、ビット設定値毎にビットクロックを出力することにより、参照信号と受信信号とをビットクロックのタイミングでビット同期させるビットクロック生成回路7、サブキャリアクロックをカウントし、公倍数設定値毎に公倍数タイミング信号を出力する公倍数タイミング生成回路8、ビットクロックが出力されるタイミングを除き、公倍数タイミング信号からサンプルクロックがウエイト設定値分進むまでサブキャリアクロック生成回路6のサブキャリアクロックの出力を休止させるウエイト信号を生成するウエイト信号生成回路9、受信信号をサンプルクロック毎に格納し、サブキャリアクロックのタイミング毎に参照信号との比較結果を出力する相関回路10、相関回路10からの出力を格納し、公倍数タイミング信号のタイミング毎に前記相関値の積算を出力する積算回路11、積算回路11からの出力を格納し、その結果をビットクロックのタイミング毎に大小判定を行い、復号テーブルと比較することで論理符号を確定し、復調を行う大小判定回路12が示されている。
図3に本実施の形態の復調装置で復調する変調信号の例であるISO15693に規定されている伝送速度26.69kbpsにおいて、13.56MHzのキャリアと424kHz、484kHzの2つのサブキャリアで表現される論理符号の模式図を示す。
同規格のFSK通信方式では1ビット分に対応するサンプルクロック数はキャリア周波数(13.56MHz)を伝送速度(26.69kHz)で除算することによって求められ、508サンプルとなる。また、424kHzのサブキャリアは1サイクルに32サンプル、同様に、484kHzのサブキャリアは28サンプルとなる。これはキャリア周波数を各サブキャリア周波数で除算することによって求められる。1ビットは424kHzのサブキャリアの8サイクルと、484kHzのサブキャリアの9サイクルから構成されている。すなわち、424kHzのサブキャリアは32×8=256サンプル、484kHzのサブキャリアは28×9=252サンプルによって1ビットが構成される。また、図示されているように、484kHzがビットの前半に9サイクル、424kHzがビットの後半に8サイクルでビットが構成されている場合には論理符号0となり、424kHzがビットの前半に8サイクル、484kHzがビットの後半に9サイクルでビットが構成されている場合には論理符号1となる。このように周期の異なるサブキャリアによる変調の組合せ順序によって論理符号が定められている。
図4は1ビット内でのクロック信号のタイミングチャートである。424kHzの1サイクル分のサンプルクロック数32と484kHzの1サイクル分のサンプルクロック数28の最小公倍数は224サンプルとなる。ここで、1ビットを前半224サンプル、後半224サンプルの448サンプル(=224×2)とみなし、その間の60サンプルを無視するとする。この場合、1ビットを時系列的に表すと1ビット(508サンプル)=前半224サンプル+中間60サンプル+後半224サンプルとなる。ビットクロックのタイミングを除いて、公倍数タイミング信号が生成されるタイミングでウエイト信号が生成され、ウエイト設定値分に対応するサンプルクロック数の間、サブキャリアクロック生成回路の演算が休止され、サブキャリアクロックの生成が止められる。
次に、図2を用いて実施の形態1における復調装置の動作について説明する。
まず、例えば、484kHzのサブキャリアを参照信号として相関を取る場合、サブキャリア設定値格納手段1に格納されるサブキャリア設定値を28に設定する。サブキャリアクロック生成回路6はカウンタを具備し、ウエイト信号生成回路9からのウエイト信号が来ない限りサンプルクロックをカウントし、サブキャリア設定値のタイミングで1サンプルの信号を出力し、カウンタをリセットする。これにより受信信号と参照信号がサブキャリア同期をとるタイミングが生成される。例えば、484kHzの信号を参照信号とした場合は28サンプルのサンプルクロックがカウントされる毎に1サンプルの信号が出力される。また、ウエイト信号生成回路9からのウエイト信号が来ている間は、サブキャリアクロック生成回路6はサンプルクロックのカウントを停止する。
ビットクロック生成回路7はカウンタを具備し、サンプルクロックをカウントし、ビット設定値格納手段2に格納されるビット設定値のタイミングで1サンプルの信号を出力し、カウンタをリセットする。これにより受信信号と参照信号がビット同期をとるタイミングが生成される。例えば、1ビット分に対応するサンプルクロックが508サンプルである場合にはビット設定値として508が格納される。
公倍数タイミング生成回路8はカウンタを具備し、サブキャリアクロックをカウントし、公倍数設定値格納手段3に格納される公倍数設定値のタイミングで1サンプルの信号を発生し、カウンタをリセットする。例えば、484kHzの信号を参照信号とした場合は公倍数設定値には8が格納され、公倍数タイミング生成回路8にてサブキャリアクロックが8カウント分得られると、1サンプルの公倍数タイミング信号が出力される。尚、サブキャリアクロックを数えるのではなく、サンプルクロックをカウントし、224サンプルを数えることも当然に可能である。しかしながらカウント数を小さくすることによって、カウンタの構成を簡単にすることができるため、本実施の形態においては、サブキャリアクロックを数えることとしている。
ウエイト信号生成回路9はカウンタを具備し、公倍数タイミング生成回路8からの公倍数タイミング信号をトリガにサンプルクロックをカウントする。本実施の形態ではウエイト設定値格納手段4には1ビット分のサンプルクロック数である508を2つのサブキャリアの1周期分に対応するサンプルクロック数の最小公倍数224で除算した商の剰余である60が格納されている。公倍数タイミング生成回路8からの公倍数タイミング信号からウエイト設定値の60サンプルクロックを数えるタイミングまで1サンプルの信号を出力し、カウンタをリセットし、停止する。そして、ビットクロック生成回路7からのビットクロックを得るタイミングでカウントをリセットする。
相関回路10は、参照信号入力手段5から入力される参照信号を格納するレジスタを具備する。また受信信号をサンプルクロック毎に格納するシフトレジスタを具備する。更に、受信信号と参照信号をサブキャリアクロック生成回路6のサブキャリアクロックを得るタイミングでレジスタ毎に比較し、比較結果を合算した相関値を出力する機能を具備する。
相関回路10から出力された相関値は、サブキャリアクロック生成回路6のサブキャリアクロックの出力されるタイミングで積算回路11に入力されて積算される。積算値は公倍数タイミング生成回路8からの公倍数タイミング信号を得るタイミングで出力され、出力した後、積算値はリセットされる。
大小判定回路12は大小判定用のレジスタ、絶対値回路および判定テーブルを具備し、サブキャリアクロック生成回路6からの信号のタイミングで積算回路11の出力信号を入力し、各レジスタに格納する。そしてビットクロック生成回路7からの出力信号のタイミングで絶対値の大小判定を行い、判定テーブルに従いビット復号を行う。
本実施の形態では積算回路11にて公倍数タイミング信号毎に、すなわち、前半の224サンプルと後半の224サンプルのそれぞれについて受信信号と参照信号との相関値を積算する。以下に公倍数タイミング毎に相関値を積算する理由を述べる。
周期の異なる2つのサブキャリアの1周期分に対応するサンプルクロック数の最小公倍数により得られたタイミングで、2つのサブキャリアの内、いずれか一方のサブキャリアを参照信号として用いて、それぞれの相関値を積算した値の絶対値は一方が最大相関値となり、他方がゼロになる。
また、1ビットの先頭と後尾から前記の最小公倍数により得られた公倍数タイミング信号間の任意の整数倍の区間のみをそれぞれ相関積分することで、サブキャリア同期を確保することができる。
また、このとき相関積分値はサブキャリアおよび論理符号によらず、大小判定時の差分が大きく安定し、雑音耐性の良い相関検波が可能となる。
計算の簡略化のために、参照信号とする周期の異なるサブキャリア数は2つとして、サブキャリアA(周期:T)、サブキャリアB(周期:T)および受信信号を以下の式に示されるような式で定義する。サブキャリアAについては、
Figure 0005463925
サブキャリアBについては、
Figure 0005463925
受信信号については
Figure 0005463925
で表すことができる。この場合、受信信号とサブキャリアAの時間tにおける相関のズレは以下の式となる。
Figure 0005463925
また、受信信号とサブキャリアAの時間tにおける相関値は以下の式となる。
Figure 0005463925
k=1の時は、数式4において式の値は0となり常に同期が確立され最大相関が取れることが分かる。また、数式5の値は常に正の数値で一定であることから最大相関が得られることが分かる。同様にk=2の時は、数式4の値は時間とともにズレ量が正弦波のように変化する。また、数式5の値も同様に正弦波のように相関値が正負と変化することが分かる。
次に、2つの信号の各周期の最小公倍数に相当する時間をTとすると,T、Tは整数n、mを用いて以下の式で表される。
Figure 0005463925
数式4に数式6を代入し、ビット先頭から最小公倍数に相当する時間Tまでの積分値を求めると以下の式となり、k=2の時であっても、T周期でサブキャリア同期が得られることが分かる。
Figure 0005463925
また、同様に数式5に数式6を代入することで、サブキャリアと参照信号の周期が等しい時にはT周期で相関値の積算値が最大に、また周期が異なる時に0になることが分かる。
Figure 0005463925
Figure 0005463925
但し、TSはサンプルクロックの周期を指す。数式8、数式9より、相関値の積分値はT周期毎にサブキャリア同期がとれ、参照信号と受信信号のサブキャリアが等しい場合には最大相関になり、等しくない場合には0になるため、T周期毎に相関値の積分値を比較することで差分が大きく安定し論理符号の安定した復調が可能となることが分かる。すなわち、この方法によれば受信信号の論理符号によらず、サブキャリアの公倍数タイミング毎のサブキャリア同期を確保し、雑音耐性の良い安定した通信特性を得ることが可能となる。
図5は公倍数タイミングを使用しない場合の相関積算値と本実施の形態における前記の公倍数タイミングを使用する場合を計算機によるシミュレーションによって相関積算値を求めて対比したものである。ここで、公倍数タイミングを使用しない場合とは、参照信号と受信信号のビット同期させた上で、1ビットの全区間について相関積算値を行ったものである。この場合は参照信号に用いるサブキャリア信号に依存して、前半と後半の相関積分値が異なり、例えば、424kHzの参照信号、論理符号0の場合には相関積分値の差が132サンプル相当となり、雑音耐性が弱くなることが分かる。一方、本実施の形態における公倍数タイミングを使用した場合、すなわち、参照信号と受信信号のビット同期させ、かつ1ビットの全区間の相関積算値をとるのではなく、最小公倍数となる224サンプルの区間においてサブキャリア同期を確保しつつ、受信信号と参照信号との相関積算値を得る場合は、参照信号に用いるサブキャリア信号に依存せず、また論理符号にも依存せず、相関積分値の差分は一定値の224となる。すなわち、本実施の形態を採用することによって雑音耐性がよく、安定した通信が実現可能となることを示している。
図6は図4と同じく、1ビット内でのクロック信号のタイミングチャートである。但し、同じISO15693規格において前述の例と同じ周期のキャリア、サブキャリアを使うが、伝送速度が6.67kbpsと異なる場合での本発明の適用例を示したものである。この場合は1ビットに対応するサンプルクロック数は2032サンプルとなり、また、424kHzのサブキャリアは1サイクルに32サンプル、同様に484kHzのサブキャリアは28サンプルであることは同じであるが、1ビットは424kHzのサブキャリアの32サイクルと、484kHzのサブキャリアの36サイクルから構成されている。すなわち、424kHzのサブキャリアは32×32=1024サンプル、484kHzのサブキャリアは28×36=1008サンプルによって1ビットが構成される。また、424kHzと484kHzのサブキャリアの最小公倍数は224である。
前述の通り、相関積算値を求める区間は、最小公倍数224の任意の整数倍をとった場合に、一方は最大相関となり、他方は0となる。図6では424kHzに対しては最小公倍数の2倍となる(a)、(b)を、484kHzに対しては(g)、(h)を積算区間としている。それ以外の区間についてはウエイト信号生成回路9からのウエイト信号によりサブキャリアクロック生成回路6のサブキャリアクロックの生成が休止されることにより相関回路10で相関値が演算されない。本実施の形態により、公倍数タイミング信号を起点として受信信号と参照信号との間でサブキャリア同期を得ていれば、最小公倍数の整数倍となるどの積算区間を選択しても、一方のサブキャリアにおいては最大相関となり、他方は0となる。すなわち、積算区間は424kHzと484kHzで必ずしも同一にする必要はなく、また、公倍数タイミングでのサブキャリア同期が得られるのであれば、1ビットの先頭または末尾から積算区間をとる必要はない。
また、本実施の形態では2つのサブキャリアの内、1つのサブキャリアと同一の周期を参照信号の周期として用いているが、最大相関積算値でなくても必要な通信品質が得られる場合には参照信号の周期をサブキャリアの周期と同一からずらした周期を参照信号の周期として採用することも可能である。
以上の構成により、本実施の形態では1つの相関回路で複数のサブキャリアが多重化された変調信号を復調することができるため、復調装置の小型化、低コスト化、低消費電力化を実現することができ、更に、論理符号に依存せず、相関積算値の大小判定時の差分が大きく安定し、雑音耐性の良い、通信特性の安定した復調装置を実現できる。
尚、本実施の形態ではサブキャリアが2つの場合について説明したが、周期の異なるサブキャリアが2以上有る場合でも本発明の目的を達成することは可能である。例えば、n個の周期の異なるサブキャリアによる変調の順序によって1ビットの論理符号が定められている場合、それらのサブキャリア周期1サイクル分のサンプルクロック数から算出される最小公倍数の任意の整数倍のサンプルクロック数に相当する積算区間について、サブキャリア同期をし、相関積算値を比較することによって論理符号を判定することも可能である。この場合には複数のサブキャリアの内、参照信号と周期が同一のものが最大相関となり、他のサブキャリアについては最小相関となる。
実施の形態2.
本実施の形態では、サブキャリアクロック生成回路26がサブキャリア設定値相当のサンプルクロックをカウントするのではなく、カウンタの代わりに分周回路を具備し、サンプルクロックを分周することでサブキャリアクロックを出力するようにしたものである。
図7を用いて本実施の形態について説明する。実施の形態1と同様にISO15693に規定された双幅搬送波を用いるとする。例えば、424kHzの参照信号として用いた場合には1サイクルは32サンプルであるから、サンプルクロックを32分周する分周回路がサブキャリアクロック生成回路26に具備されていれば良い。2のN乗分周(Nは任意の整数、以下同じ)する分周回路はN個の2分周回路を並列に接続する比較的簡単な構成によって実現できるため、上記の32分周(2の5乗)を処理することについてはサブキャリアクロック生成回路26の構成を簡単にできるという効果があり、本実施の形態は好適である。
また、任意の分周値に対応する分周回路が具備されている場合には、サブキャリア設定値格納手段1にサブキャリア1周期分のサンプルクロック数を格納するのではなく、分周値Nを格納するようにし、サブキャリアクロック生成回路26に分周値の設定をする構成とすることができる。
本実施の形態によれば、サブキャリアクロック生成回路26がカウンタを用いてサンプルクロックをカウントしている場合と比べ、回路を簡単な構成とすることが可能であり、復調装置の小型化、低コスト化、低消費電力化を実現することが可能である。
実施の形態3.
本実施の形態では、ビットクロック生成回路37が1ビット分に対応するサンプルクロックをカウントするのではなく、カウンタの代わりに分周回路を具備し、公倍数タイミング信号を分周することでビットクロック信号を生成するようにしたものである。
図8を用いて本実施の形態について説明する。実施の形態1と同様にISO15693に規定された1ビットを508サンプルとし、424kHzと484kHzのサブキャリアを用いた場合には、ビットクロックが生成されるタイミングは公倍数タイミング生成回路8からの公倍数タイミング信号2回分に相当するため、公倍数タイミング信号を2分周することで、ビットクロックを出力するタイミングを得ることができる。ビットクロック生成回路37は分周回路を具備しない場合では508サンプルを数えるためのカウンタが必要となるのに比べ、公倍数タイミング信号を2分周する回路によって、実施の形態1と同様の機能を実現することが可能となる。
また、ビットクロックが出力されるタイミングが公倍数タイミング信号のN回分に相当する場合には、ビットクロック生成回路37を公倍数タイミング信号のN分周回路とすればよい。この場合にビット設定値格納手段2に1ビット分のサンプルクロック数を格納するのではなく、分周値Nを格納する構成としても良い。
本実施の形態によれば、ビットクロック生成回路37がカウンタを用いてサンプルクロックをカウントしている場合と比べ、回路を簡単な構成とすることが可能であり、装置の小型化、低コスト化、低消費電力化を実現することが可能である。
実施の形態4.
本実施の形態では、ウエイト信号生成回路49はウエイト設定値4に対応するサンプルクロック数をサブキャリアクロック生成回路6がカウントするために要する時間の間、サブキャリアクロックの出力を休止させるためのウエイト信号を出力し続けるのではなく、ウエイト信号生成回路49が公倍数タイミング信号をトリガとしてウエイト設定値4に対応するサンプルクロック数をカウントしたときに、公倍数タイミング生成回路8のカウンタと積算回路11の相関値の記録をリセットする信号を1サンプル分出力する回路を具備するものである。
図9を用いて本実施の形態について説明する。実施の形態1と同様にISO15693に規定された1ビット508サンプル、424kHzと484kHzのサブキャリアを用いた場合には、ウエイト設定値格納手段4に格納されるウエイト設定値は60サンプル分となる。ウエイト信号生成回路49は公倍数タイミング信号をトリガとして60サンプルクロック分のカウントをしている間、信号を出力しない。このときサブキャリアクロック生成回路6はサブキャリアクロックを生成し続けているため、公倍数タイミング生成回路8はカウントを続け、積算回路11では相関値をレジスタに記録していく。そして、ウエイト信号生成回路49で60サンプルクロック分のカウントがされたタイミングで公倍数タイミング生成回路8と積算回路11の夫々にリセット信号が出力され、公倍数タイミング生成回路8のカウンタに記録されているそれまで数えたサブキャリアクロック数と、積算回路11のレジスタに記録していた相関値データが消去される。これによって、公倍数タイミング生成回路8ではリセット信号から新たに224サンプルクロック分に相当するサブキャリアクロックのカウントを開始し、また、積算回路11では相関回路10から送られてくる相関値の記録を開始する。この結果、実施の形態1と同様の機能が実現することが可能となる。
本実施の形態によれば、ウエイト信号生成回路49がウエイト設定値に対応するサンプルクロックをカウントする間、1サンプルの信号を出力し続ける場合と比べて、1サンプルクロック分の信号を出力するだけで良く、回路を簡単な構成とすることが可能であり、装置の小型化、低コスト化、低消費電力化を実現することが可能である。
尚、ウエイト信号生成回路は公倍数タイミング信号をトリガとしてウエイト設定値分のサンプルクロックを数えているが、予め、公倍数タイミングに相当する224サンプルクロックとウエイト設定値の60サンプルクロック数を加算した284サンプルクロックをウエイト設定値としてウエイト設定値格納手段4に格納しておき、ビットクロックをトリガとして284サンプルクロック分のカウントをしたタイミングでリセットする信号を出力することも可能である。
実施の形態1から4の組合せによって、更なる実施の形態が生まれることは明らかである。いずれの実施の形態も、1ビットのサンプルの内、前半ビットと後半ビットの公倍数タイミングの整数倍の区間をサブキャリア同期させて相関積分値を求め、相関積算値から論理符号判定を行うため手段を用いている。
また、本実施の形態1から4、またはそれらの組合せによる実施形態はRFIDシステムを利用する非接触ICカードにおける近距離の無線通信や、次世代の近距離無線通信規格であるNFC(Near Field Communication)などの分野に好適であるが、その他の、無線通信、衛星通信、光通信においても同様に適用することができる。
1 サブキャリア設定値格納手段
2 ビット設定値格納手段
3 公倍数設定値格納手段
4 ウエイト設定値格納手段
5 参照信号入力手段
6 サブキャリアクロック生成回路
7 ビットクロック生成回路
8 公倍数タイミング生成回路
9 ウエイト信号生成回路
10 相関回路
11 積算回路
12 大小判定回路

Claims (7)

  1. 伝送されるビットの1ビット分に対応するサンプルクロック数を単位としてビットクロックを出力するビットクロック生成手段と、
    受信信号が取り得る周波数のうちの一つと同じ周波数を有する参照信号の1周期分に対応するサンプルクロック数を単位としてサブキャリアクロックを出力するサブキャリアクロック生成手段と、
    前記1ビット分に対応するサンプルクロック数の1/2以下のクロック数であって、且つ周期の異なるサブキャリアの夫々1周期分に対応するサンプルクロック数から算出される最小公倍数の任意の整数倍となるサンプルクロック数を単位として公倍数タイミング信号を出力する公倍数タイミング生成手段と、
    前記公倍数タイミング信号が出力されるタイミングから、前記1ビット分に対応するサンプルクロック数を前記最小公倍数の任意の整数倍で除算した商の剰余分となるサンプルクロック数がカウントされる間、前記サブキャリアクロックの出力を休止させるウエイト信号を出力するウエイト信号生成手段と、
    受信信号をサンプルクロック毎にサンプリングして格納し、前記参照信号と前記受信信号の相関値を算出する相関値算出手段と、
    前記公倍数タイミング信号に基づいて、前記相関値を積算して、積算値を出力する積算手段と、
    前記ビットクロックに基づいて、前記積算値を比較して、前記受信信号により伝送されたビットの論理符号を判定する大小判定手段と、を備える復調装置。
  2. 前記サブキャリアクロック生成手段はサンプルクロックを分周して前記サブキャリアクロックを生成する請求項1に記載の復調装置。
  3. 前記ビットクロック生成手段は前記公倍数タイミング信号を分周して前記ビットクロックを生成する請求項1または2のいずれかに記載の復調装置。
  4. 前記ウエイト信号生成手段は、前記公倍数タイミング信号が出力されるタイミングから、前記1ビット分に対応するサンプルクロック数を前記最小公倍数の任意の整数倍で除算した商の剰余分のサンプルクロック数をカウントするタイミングで、前記公倍数タイミング生成手段のカウンタに記録されている前記サンプルクロックのカウント数および前記積算手段に記録されている相関値データを消去するリセット信号を出力する請求項1乃至3のいずれかに記載の復調装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の復調装置を備えた受信機。
  6. 請求項5に記載の受信機と、前記受信機へ信号を送信する送信機と、を有する通信システム。
  7. 受信信号をサンプルクロック毎に格納し、前記受信信号が取り得る周波数のうちの一つと同じ周波数を有する参照信号と、前記受信信号と、の相関値を算出する相関値算出ステップと
    伝送されるビットの1ビットに対応するサンプルクロック数の1/2以下のクロック数であって、且つ周期の異なるサブキャリアの夫々1周期分に対応するサンプルクロック数から算出される最小公倍数の任意の整数倍に対応するサンプルクロック数、に対応する信号に基づいて、前記相関値を積算して、積算値を出力する積算値算出ステップと、
    前記1ビット分に対応するサンプルクロック数、に対応する信号に基づいて、前記積算値を比較することにより前記受信信号により伝送されたビットの論理符号を判定する大小判定ステップと、を含む復調方法。
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