JP5463835B2 - 光学補償膜及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示素子用としての光学補償機能を有し、波長依存性等の光学特性に優れた光学補償膜、及びその製造方法に関するものである。詳細にはRe(面内位相差量)、Rth(面外位相差量)を上昇させた光学補償膜であり、より薄膜の光学補償膜が期待される。
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話からコンピューター用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。液晶ディスプレイには表示特性向上のため多くの光学フィルムが用いられている。
特に光学補償フィルムは、正面や斜めから見た場合のコントラスト向上、色調の補償などに大きな役割を果たしている。従来の光学補償フィルムとしては、ポリカーボネートや環状ポリオレフィン、セルロース系樹脂の二軸延伸フィルムが用いられている。しかしながらこれらのフィルムには二軸延伸工程が必要となること、二軸延伸工程での位相差の均一性を求めることが困難となる、等の課題がある。また特に大面積のフィルムにおいては位相差の制御を行うことがよりいっそう困難となる。
アクロン大学のハリス及びチェンは、剛直棒状のポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(アミド−イミド)、ポリ(エステル−イミド)よりなる光学補償膜を提案しており(例えば特許文献1,2参照。)、これらの材料は、自発的な分子配向性を有していることから塗工により二軸延伸工程を経ることなく位相差を発現するという特徴がある。
更に、ポリイミドの塗工性(溶剤への溶解性)を向上したポリイミドからなる光学補償膜(例えば、特許文献3参照。)、ディスコティック液晶化合物を偏光板の保護フィルムに塗工した偏光板(例えば、特許文献4参照。)、等が提案されている。
また、フェニルマレイミド−イソブテン共重合体からなる延伸フィルム(例えば、特許文献5参照。)が提案されている。
また、マレイミド樹脂よりなる塗工膜を一軸延伸してなる光学補償膜が開示されている(例えば、特許文献6参照)。
米国特許第5344916号公報 特表平10−508048号公報 特開2005−070745号公報 特許第2565644号公報 特開2004−269842号公報 特開2009−156908号公報
しかし、特許文献1〜3において提案された方法で用いられるポリマーは、芳香族ポリマーであることから位相差量の波長依存性が大きく、液晶表示素子の光学補償膜として用いた場合に色ずれなど画質低下の課題を有するものであった。
また、特許文献4に提案されているディスコティック液晶化合物を用いる方法は、液晶化合物を均一に配向させることが必要となり塗工プロセスが煩雑化する、配向ムラが大きい等の課題を有するばかりか、該液晶化合物も芳香族化合物が主体となることから位相差量の波長依存性が大きいという品質上の課題も有するものであった。
特許文献5で得られる延伸フィルムは、延伸によってRe(面内位相差量)やRth(面外位相差量)が上昇しているものの、フィルムをより薄膜化するために、さらに高い位相差発現性が求められる。
特許文献6には、紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を必要に応じて配合していてもよいと記載されているものの、添加することによりRth(面外位相差量)を上昇させる効果については記載されていない。
そこで、本発明は、光学特性に優れた光学補償膜を提供することを目的とするものであり、さらに詳しくは、透明性に優れた特定の樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる一軸延伸光学補償膜であり、Re(面内位相差量)とRth(面外位相差量)を上昇させたことにより、薄膜化が期待される光学補償膜を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の樹脂と環状炭化水素系化合物からなる一軸延伸光学補償膜であって、3次元屈折率が特定の関係にある光学補償膜が、光学補償機能を有する光学補償膜、特に液晶表示素子用の光学補償に好適な光学補償膜となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、マレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる一軸延伸光学補償膜であって、光学補償膜の延伸軸方向をx軸、それと直交する方向をy軸、面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係が、nx>ny>nzであることを特徴とする光学補償膜に関するものである。
以下、本発明の光学補償膜について詳細に説明する。
本発明の光学補償膜は、マレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる一軸延伸光学補償膜であって、光学補償膜の延伸軸方向をx軸、それと直交する方向をy軸、面方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係が、nx>ny>nzであることを特徴とする光学補償膜である。
上記環状炭化水素系化合物を添加することにより、nx、nyが増大し、nzが低下するため、環状炭化水素系化合物の添加量を変えるのみによって、下記一般式(6)で示されるRthを上昇することができる。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (6)
(ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。)
また一軸延伸を加えることで、二軸延伸で問題となる厚みムラを生じることなく、下記一般式(5)で示されるRe(面内位相差量)を上昇することができる。
Re=(nx−ny)×d (5)
(ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。
本発明の光学補償膜に用いるマレイミド系樹脂としては、例えばN−置換マレイミド重合体樹脂、N−置換マレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂等が挙げられ、該マレイミド系樹脂を構成するN−置換マレイミド残基単位としては、例えば下記一般式(1)で示されるN−置換マレイミド残基単位を挙げることができる。
Figure 0005463835
(ここで、Rは、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基,炭素数1〜18の分岐状アルキル基,炭素数1〜18の環状アルキル基、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、アミド基を示す。)
一般式(1)で示されるN−置換マレイミド残基単位におけるRは、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基,炭素数1〜18の分岐状アルキル基,炭素数1〜18の環状アルキル基、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、アミド基であり、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、クロロエチル基、メトキシエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ラウリル基等が挙げられ、炭素数1〜18の分岐状アルキル基としては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜18の環状アルキル基としては、例えばシクロヘキシル基等が挙げられ、ハロゲン基としては、例えば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等の1種又は2種以上が挙げられ、特にRth及びReが大きく、溶剤への溶解性、機械的強度に優れる光学補償膜となることから、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が好ましい。
該N−置換マレイミド残基単位の具体的例示としては、例えばN−メチルマレイミド残基単位、N−エチルマレイミド残基単位、N−クロロエチルマレイミド残基単位、N−メトキシエチルマレイミド残基単位、N−n−プロピルマレイミド残基単位、N−イソプロピルマレイミド残基単位、N−n−ブチルマレイミド残基単位、N−イソブチルマレイミド残基単位、N−s−ブチルマレイミド残基単位、N−t−ブチルマレイミド残基単位、N−n−ヘキシルマレイミド残基単位、N−シクロヘキシルマレイミド残基単位、N−n−オクチルマレイミド残基単位、N−n−ラウリルマレイミド残基単位等の1種又は2種以上が挙げられ、特にRth及びReが大きく、溶剤への溶解性、機械的強度に優れる光学補償膜となることから、N−n−ブチルマレイミド残基単位、N−イソブチルマレイミド残基単位、N−s−ブチルマレイミド残基単位、N−t−ブチルマレイミド残基単位、N−n−ヘキシルマレイミド残基単位、N−n−オクチルマレイミド残基単位等が好ましい。
該N−置換マレイミド重合体樹脂としては、例えばN−メチルマレイミド重合体樹脂、N−エチルマレイミド重合体樹脂、N−クロロエチルマレイミド重合体樹脂、N−メトキシエチルマレイミド重合体樹脂、N−n−プロピルマレイミド重合体樹脂、N−イソプロピルマレイミド重合体樹脂、N−n−ブチルマレイミド重合体樹脂、N−イソブチルマレイミド重合体樹脂、N−s−ブチルマレイミド重合体樹脂、N−t−ブチルマレイミド重合体樹脂、N−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂、N−シクロヘキシルマレイミド重合体樹脂、N−n−オクチルマレイミド重合体樹脂、N−n−ラウリルマレイミド重合体樹脂等を挙げることができる。
該N−置換マレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂としては、例えばN−メチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−エチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−クロロエチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−メトキシエチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−プロピルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−イソプロピルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−ブチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−イソブチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−s−ブチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−t−ブチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−ヘキシルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−シクロヘキシルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−ラウリルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂等を挙げることができる。
その中でも、特に製膜時の成膜性に優れ、光学補償機能、耐熱性に優れた光学補償膜となることからN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂、N−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂、N−n−オクチルマレイミド重合体樹脂、N−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂等が好ましく、特にN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂、N−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂が好ましい。
また、本発明の光学補償膜を構成するマレイミド系樹脂は、本発明の目的を逸脱しない限りにおいてN−置換マレイミド残基単位、無水マレイン酸残基単位以外の残基単位を含有するものであってもよく、該残基単位としては、例えばスチレン残基単位、α−メチルスチレン残基単位等のスチレン類残基単位;アクリル酸残基単位;アクリル酸メチル残基単位、アクリル酸エチル残基単位、アクリル酸ブチル残基単位等のアクリル酸エステル残基単位;メタクリル酸残基単位;メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸ブチル残基単位等のメタクリル酸エステル残基単位;酢酸ビニル残基単位、プロピオン酸ビニル残基単位等のビニルエステル類残基単位;アクリロニトリル残基単位;メタクリロニトリル残基単位等の1種又は2種以上を挙げることができる。
また、該マレイミド系樹脂としては、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(以下、GPCと記す。)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×10以上のものであることが好ましく、特に機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れた光学補償膜となることから2×10以上2×10以下であることが好ましい。
本発明の光学補償膜を構成するマレイミド系樹脂の製造方法としては、該マレイミド系樹脂が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、例えばN−置換マレイミド類、無水マレイン酸、場合によってはN−置換マレイミド類と共重合可能な単量体を併用しラジカル重合あるいはラジカル共重合を行うことにより製造することができる。この際のN−置換マレイミド類としては、例えばN−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−クロロエチルマレイミド、N−メトキシエチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−n−ラウリルマレイミド等の1種又は2種以上が挙げられ、共重合可能な単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル等の1種又は2種以上を挙げることができる。
また、ラジカル重合法としては、公知の重合方法で行うことが可能であり、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法等のいずれもが採用可能である。
ラジカル重合法を行う際の重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
そして、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法において使用可能な溶媒として特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジオキサン;テトラヒドロフラン(THF);アセトン;メチルエチルケトン;ジメチルホルムアミド;酢酸イソプロピル;水;N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらの混合溶媒も挙げられる。
また、ラジカル重合を行う際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
本発明は、マレイミド系樹脂に、環状炭化水素化合物を添加した一軸延伸光学補償膜であって、前記環状炭化水素化合物を添加することによりRth及びReが上昇することを見出した。環状炭化水素化合物としては、下記一般式(2)、(3)、(4)のいずれかを満たす化合物が好ましく、特に一般式(2)、(3)の化合物が好ましく、1種類若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
Figure 0005463835
(式中、X、X、Xはそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアミノ基、メルカプト基、スルホン酸基、アルコキシ基、アルデヒド基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族環を表し、それぞれが同一のものであっても、異なるものであってもよい。)
一般式(2)のX、X、Xにおけるハロゲン原子としては、例えばF、Cl、Br、I等が挙げられ、置換もしくは無置換のアミノ基としては、例えば−NH、−NHCH、−N(CH、−NHC、−N(C、−NHC、−N(C、−NH(C)、−N(C、−NHPh、等が挙げられ、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、s−ブトキシ基等が挙げられ、アルキル基としては炭素原子数1〜8であることが好ましく、例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル等が挙げられ、アルケニル基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばビニル、アリル、1−ヘキセニル等が挙げられ、アルキニル基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばエチニル、1−ブチニル、1−ヘキシニル等が挙げられる。
芳香族環は芳香族炭化水素環に加えて、芳香族複素環、芳香族縮合環を含むものとし、芳香族炭化水素環としては、例えばベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、1,3,5−トリアジン環が挙げられる。芳香族環の数としては、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜8であることがさらに好ましい。
芳香族複素環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましい。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族複素環の例には、例えばフラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、1,3,5−トリアジン環等が挙げられる。
芳香族縮合環の例には、例えばインデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、チアントレン環、ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、キノリン環等が挙げられる。
芳香族環は、置換基を有していてもよい。ただし、置換基は、2つの芳香族環の立体配座を立体障害しないことが必要である。立体障害では、置換基の種類および位置が問題になる。置換基の種類としては、立体的に嵩高い置換基(例えば、3級アルキル基)が立体障害を起こしやすい。置換基の位置としては、芳香族環の結合に隣接する位置(ベンゼン環の場合はオルト位)が置換された場合に、立体障害が生じやすい。
置換基の例には、例えばハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基、非芳香族性複素環基等が挙げられる。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル、2−ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、例えばビニル、アリル、1−ヘキセニル等が挙げられる。
アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、例えばエチニル、1−ブチニル、1−ヘキシニル等が挙げられる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、例えばアセチル、プロパノイル、ブタノイル等が挙げられる。
脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、例えばアセトキシが挙げられる。
アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、置換アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、メトキシエトキシ等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。
アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、例えばメトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、例えばメチルチオ、エチルチオ、オクチルチオ等が挙げられる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、例えばメタンスルホニル、エタンスルホニル等が挙げられる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、例えばアセトアミドが挙げられる。
脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、例えばメタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド、n−オクタンスルホンアミド等が挙げられる。
脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ等が挙げられる。
脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、例えばメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル等が挙げられる。
脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、例えばメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル等が挙げられる。
脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、例えばメチルウレイドが挙げられる。
非芳香族性複素環基の例には、例えばピペリジノ、モルホリノ等が挙げられる。
これらの中でも一般式(2)における、X、X、Xとしては、メルカプト基、芳香族環が好ましい。
具体的な一般式(2)で示される化合物としては、例えば2,4−ジアミノ−6−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリフェニル−1,3,5−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−(メチルアミノ)−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メトキシ−6−メチル−1,3,5−トリアジン等が挙げられ、特に2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリフェニル−1,3,5−トリアジンが好ましい。
Figure 0005463835
(式中X、X、Xはそれぞれ、単結合またはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、芳香族環、−NH−、−NR−、−S−、−CO−、−O−、を表し、R、R、Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、芳香族環を表す。)
一般式(3)のX、X、Xにおけるアルキレン基としては炭素原子数1〜8であることが好ましく、例えばメチレン、エチレン、n−ブチレン、n−ヘキシレン等が挙げられ、アルケニレン基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばビニレン、アリレン、1−ヘキセニレン等が挙げられ、アルキニレン基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばエチニレン、1−ブチニレン、1−ヘキシニレン等が挙げられる。
芳香族環は芳香族炭化水素環に加えて、芳香族複素環、芳香族縮合環を含むものとし、例えば一般式(2)のX、X、Xの芳香族環が挙げられる。
一般式(3)のR、R、Rにおける置換もしくは無置換のアルキル基としては炭素原子数1〜8であることが好ましく、例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル等が挙げられ、アルケニル基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばビニル、アリル、1−ヘキセニル等が挙げられ、アルキニル基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばエチニル、1−ブチニル、1−ヘキシニル等が挙げられる。
芳香族環は芳香族炭化水素環に加えて、芳香族複素環、芳香族縮合環を含むものとし、例えば一般式(2)のX、X、Xの芳香族環が挙げられる。
具体的な一般式(3)で示される化合物としては、例えば2,4−ジアミノ−6−[2−(2−メチル−1−イミダゾリル)エチル]−1,3,5−トリアジン、6−(ジブチルアミノ)−2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3−カルボキシアニリノ)−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアニリニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)ビニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられ、特に2,4,6−トリアニリニル−1,3,5−トリアジン、6−(ジブチルアミノ)−2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジンが好ましい。
Figure 0005463835
(式中X、X、Xはそれぞれ、単結合またはアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、芳香族環、−NH−、−NR−、−S−、−CO−、−O−を表し、R、R、Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、芳香族環を表す。)
一般式(4)のX、X、Xにおけるアルキレン基としては炭素原子数1〜8であることが好ましく、例えばメチレン、エチレン、n−ブチレン、n−ヘキシレン等が挙げられ、アルケニレン基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばビニレン、アリレン、1−ヘキセニレン等が挙げられ、アルキニレン基としては炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばエチニレン、1−ブチニレン、1−ヘキシニレン等が挙げられる。
芳香族環は芳香族炭化水素環に加えて、芳香族複素環、芳香族縮合環を含むものとし、例えば一般式(2)のX、X、Xの芳香族環が挙げられる。
一般式(4)のR、R、Rにおける置換もしくは無置換のアルキル基としては、炭素原子数1〜8であることが好ましく、例えばメチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル等が挙げられ、アルケニル基としては、炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばビニル、アリル、1−ヘキセニル等が挙げられ、アルキニル基としては、炭素原子数2〜8であることが好ましく、例えばエチニル、1−ブチニル、1−ヘキシニル等が挙げられる。
芳香族環は芳香族炭化水素環に加えて、芳香族複素環、芳香族縮合環を含むものとし、例えば一般式(2)のX、X、Xの芳香族環が挙げられる。
具体的な一般式(4)で示される化合物としては、例えば1,3,5−ベンゼントリチオール、1,3,5−ベンゼントリカルボニルトリクロリド、1,3,5−トリフェニルベンゼン、N,N′′,N′′′−トリフェニル−1,3,5−ベンゼントリアミン、1,3,5−トリ(9H−カルバゾール−9−イル)ベンゼン、1,3,5−トリ−t−ブチルベンゼン、1,3,5−トリアセチルベンゼン、1,3,5−トリメトキシベンゼン、1,3,5−トリス(4−ブロモフェニル)ベンゼン等が挙げられ、特に1,3,5−トリフェニルベンゼン、N,N′′,N′′′−トリフェニル−1,3,5−ベンゼントリアミンが好ましい。
これらの環状炭化水素系化合物の分子量は、100〜800であることが好ましい。
本発明の光学補償膜におけるマレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物の配合割合は、基材との密着性に優れた光学補償膜が得られることからマレイミド系樹脂100重量部に対して環状炭化水素系化合物0.01〜20重量部が好ましく、更に0.1〜10重量部が好ましく、特に1〜5重量部が好ましい。
また、マレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物の配合方法としては、特に制限はなく、例えばマレイミド系樹脂を溶媒に溶解した溶液に環状炭化水素系化合物を添加することにより行なうことができる。その際に使用する溶媒としては、マレイミド系樹脂が溶解する溶媒であれば特に制限はなく、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン等の炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等の塩素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらは2種類以上組み合わせて用いることが出来る。
本発明の光学補償膜は、マレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる一軸延伸光学補償膜であり、好ましい製造方法としては、ガラス基板、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂製フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、環状ポリオレフィンフィルム等の基材上にマレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる溶液を塗工し、乾燥することにより製造する方法が挙げられ、マレイミド系樹脂としては特に上記一般式(1)で示されるマレイミド残基単位よりなるマレイミド系樹脂であることが好ましい。
塗工方法は、マレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物を溶媒に溶解した溶液をガラス基板、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂製フィルム、ポリアクリル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、環状ポリオレフィンフィルム等の基材上に塗工後、加熱等により溶媒を除去する方法である。その際の塗工方法としては、例えばドクターブレード法、バーコーター法、グラビアコーター法、スロットダイコーター法、リップコーター法、コンマコーター法等が用いられる。工業的には薄膜塗工はグラビアコーター法、厚膜塗工はコンマコーター法が一般的である。
使用する溶剤については、マレイミド系樹脂が溶解する溶媒であれば特に制限はなく、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン等の炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等の塩素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらは2種類以上組み合わせて用いることが出来る。
溶液塗工においては、より容易に高い透明性を有し、且つ厚み精度、表面平滑性に優れた光学補償膜が得られることから、溶液粘度10〜10000cpsとすることが好ましく、特に10〜5000cpsをすることが好ましい。
この際のマレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる膜の塗工厚さは、塗工膜のRth(面外位相差量)により決められ、その中でも優れた表面平滑性、視野角改良を有する光学補償膜が得られることから、乾燥後0.1〜200μmが好ましく、さらに好ましくは0.5〜100μm、特に好ましくは1〜50μmである。
本発明の光学補償膜の一軸延伸は特に制限はなく、一般には示差走査熱量計を用いて測定したマレイミド系樹脂のガラス転移温度の−50から+50℃の延伸温度範囲において、延伸倍率1.1〜5倍の範囲で延伸可能である。特に位相差、光線透過率、およびヘーズといった光学特性は厚みに大きく左右されるため、厚みムラは極力小さくすることが好ましい。本発明の光学補償膜の延伸では塗工膜製造時の乾燥条件を制御し溶剤を残すことにより延伸温度を低下することも可能である。また、基材から剥離して延伸することも可能であるし、基材との積層体を、ともに延伸することも可能である。
具体的な延伸方法としては、マレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる溶液を、基材上に塗工し、乾燥後一軸延伸する方法が挙げられる。採用できる一軸延伸方法としては、例えばテンターにより延伸する方法、カレンダーにより圧延して延伸する方法、ロール間で延伸する方法などの方法が挙げられる。
本発明の光学補償膜は、マレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる一軸延伸光学補償膜であり、特に光学補償膜として用いる際の光学補償機能に優れたものである。一般的に二軸延伸では、フィルムの厚みムラが大きくなるため、3次元屈折率を制御することは非常に難しくなる。ディスプレイの表示面積が大きくなり、それに伴い光学補償膜の面積が大きくなると全ての面積を均一に制御することは困難であり歩留まり等の悪化をまねく。
本発明では、一軸延伸することによりRe及びRthを上昇させ、任意の光学補償機能を付与した光学補償膜とすることができる。本発明の光学補償膜は、マレイミド系樹脂と環状炭化水素系化合物からなる一軸延伸光学補償膜であって、光学補償膜の延伸軸方向をx軸、それと直交する方向をy軸、面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx>ny>nzであることを特徴とする光学補償膜である。
本発明の光学補償膜は、環状炭化水素系化合物を添加することにより下記一般式(6)で示されるRth(面外位相差量)が、無添加の場合と比して、好ましくは1.2倍以上、さらに好ましくは1.5倍以上に上昇させることができる。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (6)
(ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。)
このようにこれらの環状炭化水素系化合物は、比較的少量の使用量で光学補償膜のRthを上昇させることができ、添加量に応じてRthの上昇幅を調整することができる。また比較的マレイミド系樹脂との相溶性がよいため、膜の表面に析出(ブリードアウト)しにくい。従って、このような環状炭化水素系化合物を用いることで、簡単に光学補償膜のRthを任意の値に調整した膜を得ることができる。
本発明の光学補償膜のRthは、該マレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる塗工膜の厚み、及びマレイミド系樹脂と環状炭化水素系化合物の配合比を変えることにより、容易に制御することが可能であり、位相差フィルムとしての適応が期待できる光学補償膜となることから、Rthが50〜2000nmの範囲にあることが好ましく、さらに液晶表示素子の視野角改善効果に優れたものとなることから70〜1000nm、特に100〜500nmの範囲にあることが好ましい。
また、本発明の光学補償膜のRe(面内位相差量)は、該マレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる塗工膜を、一軸延伸条件するより容易に制御可能である。位相差フィルムとしての適応が期待できる光学補償膜となることから、下記式(5)で示される、測定波長589nmの光で測定したRe(面内位相差量)が30nm以上であることが好ましく、特に35nm以上150nm以下であることが好ましい。
Re=(nx−ny)×d (5)
(ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。)
本発明の光学補償膜は、液晶表示素子に用いた際に色ずれの小さい液晶表示素子となることから位相差量の波長依存性が小さいものであることが好ましく、塗工膜を40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R589)が1.1以下であることが好ましく、特に1.08以下であることが好ましい。
本発明の光学補償膜は、液晶表示素子に用いた際に画質の特性が良好なものとなることから、JIS K 7361−1(1997年版)を準拠し測定した光線透過率が85%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。また、JIS K 7136(2000年版)を準拠し測定したヘーズ(曇り度)が2%以下であることが好ましく、特に1%以下であることが好ましい。
本発明の光学補償膜は、液晶表示素子に用いた際の品質の安定性から耐熱性が高いものであることが好ましく、用いるマレイミド系樹脂のガラス転移温度が100℃以上であるものが好ましく、さらに120℃以上であるものが好ましく、特に135℃以上であるものが好ましい。
また、本発明の光学補償膜は熱安定性を高めるために酸化防止剤が配合されていても良い。該酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独又は併用して用いても良い。そして、相乗的に酸化防止作用が向上することからヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用して用いることが好ましく、その際には例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤を100〜500重量部で混合して使用することが特に好ましい。また、酸化防止剤の添加量としては、本発明の光学補償膜を構成するマレイミド系樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、特に0.5〜1重量部の範囲であることが好ましい。
本発明の光学補償膜は、発明の主旨を越えない範囲で、その他ポリマー、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤等が配合されたものであってもよい。
本発明の光学補償膜は、基材から剥離し用いることもできるし、基材や他の光学フィルムとの積層体(光学補償フィルム)としても用いることもできる。特に他の光学フィルムとの積層体として用いる場合の他の光学フィルムとしては、透明性、強度の点からセルロース系フィルム、環状ポリオレフィンフィルムが好ましい。
本発明の光学補償膜と基材との光学補償フィルムとする際には、前記マレイミド系樹脂、前記環状炭化水素系化合物からなる塗工膜を基材に積層し、一軸延伸した積層体とすることが好ましい。
該基材としては、例えばトリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂製フィルム、ポリアクリル系フィルム、環状ポリオレフィンフィルム等のフィルムが挙げられる。
光学補償フィルムの製造方法としては、例えばマレイミド樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる溶液を、基材に塗工し、乾燥して得た基材と塗工膜の積層体を、一軸延伸する方法が挙げられる。
溶液とする際に用いる溶媒としては、マレイミド系樹脂が溶解する溶媒であれば特に制限はなく、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン等の炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等の塩素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらは2種類以上組み合わせて用いることが出来る。
一軸延伸方法としては、例えばテンターにより延伸する方法、カレンダーにより圧延して延伸する方法、ロール間で延伸する方法などの方法が挙げられる。
該光学補償フィルムは、延伸軸方向をx1軸とし、それと直交する方向をy1軸、面外方向をz1軸とし、x1軸方向の屈折率をnx1、y軸方向の屈折率をny1、z軸方向の屈折率をnz1とした際の3次元屈折率関係がnx1>ny1>nz1であることが好ましい。
光学補償フィルムは、前記一般式(6)で示されるRth(面外位相差量)が50〜2000nmの範囲にあることが好ましく、さらに液晶表示素子の視野角改善効果に優れたものとなることから70〜1000nm、特に100〜500nmの範囲にあることが好ましい。
また、光学補償フィルムの前記一般式(5)で示されるRe(面内位相差量)が30nm以上であることが好ましく、特に35nm以上150nm以下であることが好ましい。
光学補償フィルムは、液晶表示素子に用いた際に色ずれの小さい液晶表示素子となることから位相差量の波長依存性が小さいものであることが好ましく、塗工膜を40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R589)が1.1以下であることが好ましく、特に1.08以下であることが好ましい。
光学補償フィルムは、液晶表示素子に用いた際に画質の特性が良好なものとなることから、JIS K 7361−1(1997年版)を準拠し測定した光線透過率が85%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。また、JIS K 7136(2000年版)を準拠し測定したヘーズ(曇り度)が2%以下であることが好ましく、特に1%以下であることが好ましい。
光学補償フィルムは、液晶表示素子に用いた際の品質の安定性から耐熱性が高いものであることが好ましく、用いるマレイミド系樹脂のガラス転移温度が100℃以上であるものが好ましく、さらに120℃以上であるものが好ましく、特に135℃以上であるものが好ましい。
本発明の光学補償膜は、偏光板と積層して用いることもできる。
本発明の光学補償膜は、液晶表示素子の視野角改良フィルムや色補償フィルムなどの液晶表示素子用光学補償膜として用いることができる。
本発明の光学補償膜は、マレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる一軸延伸光学補償膜であり、任意の値にRe(面内位相差量)とRth(面外位相差量)を上昇させることにより、より薄膜の光学補償膜が期待され、その光学補償機能の制御も容易であることから液晶表示素子、特にVA−モードの液晶テレビのコントラストや視角特性の改良に有効な光学補償膜として有用なものである。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
〜数平均分子量(Mn)の測定〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、ジメチルホルムアミドを溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
〜ガラス転移温度の測定〜
示差走査型熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/min.の昇温速度にて測定した。
〜光線透過率の測定〜
透明性の一評価として、JIS K 7361−1(1997年版)に準拠して光線透過率の測定を行った。
〜ヘーズの測定〜
透明性の一評価として、JIS K 7136(2000年版)に準拠してヘーズの測定を行った。
〜屈折率の測定〜
JIS K 7142(1981年版)に準拠してアッベ屈折率計(アタゴ製)を用いて測定した。
〜3次元屈折率の計算〜
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器(株)製、商品名KOBRA−WR)を用いて仰角を変えて測定波長589nmの光で3次元屈折率を測定した。さらに、3次元屈折率よりRe(面内位相差量)及びRth(面外位相差量)を算出した。
〜位相差量の波長依存性の測定〜
位相差量の波長依存性(R450/R589)は、塗工膜を40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示した。
合成例1(N−n−ブチルマレイミド重合体樹脂の製造例)
ガラス封管中に、N−n−ブチルマレイミド32.4g、重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.054gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し20gのN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂を得た。得られたN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は120000であった。また、ガラス転移温度(以下、Tgと称する)は185℃であった。
合成例2(N−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂の製造例)
ガラス封管中に、N−n−ヘキシルマレイミド40g、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.05gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し32gのN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂を得た。得られたN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は160000であった。また、Tgは148℃であった。
比較例1
合成例1で得られたN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂を50重量%のトルエンと50重量部のメチルエチルケトンからなる混合溶剤に溶解し、13%溶液とし、コーターにより、シリコンで表面がコーティングされたPETフィルム基材上に流延し、室温で48時間乾燥して幅50mm、厚み60μm(塗工膜のみの厚み)の積層体(塗工膜+基材)を得た。
得られた塗工膜を150℃で1.5倍に一軸延伸し、延伸後の光学特性を評価した。得られた塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、厚み50μm、光線透過率91.1%、ヘーズ0.6%であり、3次元屈折率はnx=1.51781、ny=1.51722、nz=1.51662であり、Rth=44.7m、Re=29.5nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であった。
比較例2
比較例1と同様の方法で作成した溶液に、さらにN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂100重量部に対し、環状炭化水素系化合物として2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン(一般式(2)の化合物)を3重量部添加した後、コーターにより、シリコンで表面がコーティングされたPETフィルム基材上に流延し、室温で48時間乾燥して幅50mm、厚み59μm(塗工膜のみの厚み)の積層体(塗工膜+基材)を得た
得られた塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、厚み50μm、光線透過率91.1%、ヘーズ0.6%であり、3次元屈折率はnx=1.51843、ny=1.51842、nz=1.51626であり、Rth=108.3m、Re=0.5nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、nx≒ny>nzであり、環状炭化水素系化合物によってRthの値は上昇しているものの、未延伸のためReが小さい。
実施例1
2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンの添加量を1重量部に変更した以外は、比較例2と同様の方法で幅50mm、厚み60μm(塗工膜のみの厚み)の積層体(塗工膜+基材)を得た。
得られた塗工膜を150℃で1.5倍に一軸延伸し、延伸後の光学特性を評価した。得られた塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、厚み50μm、光線透過率91.0%、ヘーズ0.7%であり、3次元屈折率はnx=1.51893、ny=1.51822、nz=1.51626であり、Rth=115.7m、Re=35.5nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、比較例1に示したN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂のみの塗工膜よりもnx>ny>nzの傾向が強くなっており環状炭化水素化合物によってRth及びReが上昇した膜となっている。また波長依存性が小さいことからも、薄膜化が期待され光学補償膜としてより優れたものであるといえる。
実施例2
2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジンの添加量を3重量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で幅50mm、厚み58μm(塗工膜のみの厚み)の積層体(塗工膜+基材)を得た。
得られた塗工膜を150℃で1.5倍に一軸延伸し、延伸後の光学特性を評価した。得られた塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、厚み50μm、光線透過率91.0%、ヘーズ0.6%であり、3次元屈折率はnx=1.51884、ny=1.51810、nz=1.51528であり、Rth=159.5m、Re=37.0nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.06であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、比較例1に示したN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂のみの塗工膜よりもnx>ny>nzの傾向が強くなっており環状炭化水素化合物によってRth及びReが上昇した膜となっている。また波長依存性が小さいことからも、薄膜化が期待され光学補償膜としてより優れたものであるといえる。
実施例3
環状炭化水素系化合物を6−(ジブチルアミノ)−2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン(一般式(3)の化合物)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で幅50mm、厚み61μm(塗工膜のみの厚み)の積層体(塗工膜+基材)を得た。
得られた塗工膜を150℃で1.5倍に一軸延伸し、延伸後の光学特性を評価した。得られた
塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、厚み50μm、光線透過率91.2%、ヘーズ0.6%であり、3次元屈折率はnx=1.51878、ny=1.51807、nz=1.51577であり、Rth=132.8m、Re=35.5nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、比較例1に示したN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂のみの塗工膜よりもnx>ny>nzの傾向が強くなっており環状炭化水素化合物によってRth及びReが上昇した膜となっている。また波長依存性が小さいことからも、薄膜化が期待され光学補償膜としてより優れたものであるといえる。
実施例4
6−(ジブチルアミノ)−2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジンの添加量を3重量部に変更した以外は、実施例3と同様の方法で幅50mm、厚み60μm(塗工膜のみの厚み)の積層体(塗工膜+基材)を得た。
得られた塗工膜を150℃で1.5倍に一軸延伸し、延伸後の光学特性を評価した。得られた
塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、厚み50μm、光線透過率91.1%、ヘーズ0.6%であり、3次元屈折率はnx=1.51896、ny=1.51806、nz=1.51560であり、Rth=145.5m、Re=45.0nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、比較例1に示したN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂のみの塗工膜よりもnx>ny>nzの傾向が強くなっており環状炭化水素化合物によってRth及びReが上昇した膜となっている。また波長依存性が小さいことからも、薄膜化が期待され光学補償膜としてより優れたものであるといえる。
比較例3
合成例2で得られたN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂を50重量%のトルエンと50重量部のメチルエチルケトンからなる混合溶剤に溶解し、12%溶液とし、コーターにより、185μmの環状ポリオレフィンフィルム基材上に流延し、室温で48時間乾燥して、幅50mm、厚み合計195μmの積層体(塗工膜+基材)を得た。
得られた積層体を140℃で1.25倍に一軸延伸し、延伸後の光学特性を評価した。得られた積層膜の物性を以下に示す。
得られた積層体は、厚み180μm、光線透過率91.9%、ヘーズ0.6%であり、3次元屈折率はnx1=1.53005、ny1=1.52990、nz1=1.52921であり、Rth=137.7m、Re=27.0nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.06であった。
比較例4
比較例3と同様の方法で作成した溶液に、さらにN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂100重量部に対し、環状炭化水素系化合物として2,4−ジアミノ−6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン(一般式(3)の化合物)を3重量部添加した後、コーターにより、185μmの環状ポリオレフィンフィルム基材上に流延し、室温で48時間乾燥して、幅50mm、厚み合計195μmの積層体(塗工膜+基材)を得た。
得られた積層体の物性を以下に示す。
得られた積層体は、厚み180μm、光線透過率91.8%、ヘーズ0.6%であり、3次元屈折率はnx1=1.53009、ny1=1.53009、nz1=1.52988であり、Rth=37.8m、Re=0.0nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.06であった。
これらの結果、得られた積層体は未延伸の状態では、nx≒ny>nzであり、Re、Rth共に小さく、光学補償フィルムとしての機能を十分に有しているとはいえない。
実施例5
2,4−ジアミノ−6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジンの添加量を1重量部に変更した以外は、比較例3と同様の方法で幅50mm、厚み合計194μmの積層体(塗工膜+基材)を得た。
得られた積層体を140℃で1.25倍に一軸延伸し、延伸後の光学特性を評価した。得られた積層体の物性を以下に示す。
得られた積層体は、厚み180μm、光線透過率91.8%、ヘーズ0.5%であり、3次元屈折率はnx1=1.53025、ny1=1.53003、nz1=1.52890であり、Rth=223.2m、Re=39.6nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.07であった。
これらの結果、得られた積層体は、比較例4に示したN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂のみの積層体よりもnx>ny>nzの傾向が強くなっており環状炭化水素化合物によってRth及びReが上昇している。また波長依存性が小さいことからも、薄膜化が期待され光学補償フィルムとしてより優れたものであるといえる。
実施例6
2,4−ジアミノ−6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジンの添加量を3重量部に変更した以外は、実施例5と同様の方法で幅50mm、厚み合計195μmの積層体(塗工膜+基材)を得た。
得られた積層体を140℃で1.25倍に一軸延伸し、延伸後の光学特性を評価した。
得られた積層体の物性を以下に示す。
得られた積層体は、厚み180μm、光線透過率91.7%、ヘーズ0.5%であり、3次元屈折率はnx1=1.53027、ny1=1.53005、nz1=1.52888であり、Rth=230.4m、Re=39.6nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.06であった。
これらの結果、得られた積層体は、比較例4に示したN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂のみの積層体よりもnx>ny>nzの傾向が強くなっており環状炭化水素化合物によってRth及びReが上昇している。また波長依存性が小さいことからも、薄膜化が期待され光学補償フィルムとしてより優れたものであるといえる。
実施例7
環状炭化水素系化合物をN,N´,N´´−トリフェニル−1,3,5−ベンゼントリアミン(一般式(4)の化合物)に変更した以外は、実施例5と同様の方法で幅50mm、厚み合計195μmの積層体(塗工膜+基材)を得た。
得られた積層体を140℃で1.25倍に一軸延伸し、延伸後の光学特性を評価した。
得られた積層体の物性を以下に示す。
得られた積層体は、厚み180μm、光線透過率91.8%、ヘーズ0.4%であり、3次元屈折率はnx1=1.53019、ny1=1.52998、nz1=1.52846であり、Rth=292.5m、Re=37.8nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.07であった。
これらの結果、得られた積層体は、比較例4に示したN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂のみの積層体よりもnx>ny>nzの傾向が強くなっており環状炭化水素化合物によってRth及びReが上昇している。また波長依存性が小さいことからも、薄膜化が期待され光学補償フィルムとしてより優れたものであるといえる。
実施例8
N,N´,N´´−トリフェニル−1,3,5−ベンゼントリアミンの添加量を3重量部に変更した以外は、実施例7と同様の方法で幅50mm、厚み合計195μmの積層体(塗工膜+基材)を得た。
得られた積層体を140℃で1.25倍に一軸延伸し、延伸後の光学特性を評価した。
得られた積層体の物性を以下に示す。
得られた積層体は、厚み180μm、光線透過率91.7%、ヘーズ0.4%であり、3次元屈折率はnx1=1.53025、ny1=1.53001、nz1=1.52824であり、Rth=340.2m、Re=43.2nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.07であった。
これらの結果、得られた積層体は、比較例4に示したN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂のみの積層体よりもnx>ny>nzの傾向が強くなっており環状炭化水素化合物によってRth及びReが上昇している。また波長依存性が小さいことからも、薄膜化が期待され光学補償フィルムとしてより優れたものであるといえる。
比較例5
比較例1と同様の方法で作成した溶液に、さらにN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂100重量部に対し、環状炭化水素系化合物でないトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェートを3重量部添加した後、比較例1と同様の方法で厚み62μmの積層体(塗工膜+基材)を得た。
得られた塗工膜を150℃で1.5倍に一軸延伸し、延伸後の光学特性を評価した。得られた塗工膜の物性を以下に示す。
得られた塗工膜は、厚み50μm、光線透過率90.9%、ヘーズ0.7%であり、3次元屈折率はnx=1.51781、ny=1.51734、nz=1.51681であり、Rth=38.2m、Re=23.5nmであった。さらに位相差量の波長依存性を示すR450/R589は1.05であった。
これらの結果、得られた塗工膜は、比較例1に示したN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂のみの塗工膜よりもnx≒ny>nz傾向が大きくなっておらず、環状炭化水素系化合物でない化合物を用いたことによるRe、Rthの上昇は見られない。よって、このような環状炭化水素系化合物でなくかつ一般式(2)、(3)、(4)のいずれにも属さない化合物では、マレイミド系樹脂フィルムのRe、Rthを上昇させる効果はないといえる。
以上の光学特性の評価結果を、表1に示す。
Figure 0005463835

Claims (13)

  1. マレイミド系樹脂と、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアニリニル−1,3,5−トリアジン、6−(ジブチルアミノ)−2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジンから選ばれる環状炭化水素系化合物からなる一軸延伸光学補償膜であって、光学補償膜の延伸軸方向をx軸とし、それと直交する方向をy軸、面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx>ny>nzであることを特徴とする光学補償膜。
  2. 下記一般式(1)で示されるN−置換マレイミド残基単位よりなるマレイミド系樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の光学補償膜。
    Figure 0005463835
    (ここで、Rは、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基,炭素数1〜18の分岐状アルキル基,炭素数1〜18の環状アルキル基、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、アミド基を表す。)
  3. 測定波長589nmの光で測定した際の下記式(5)で示されるRe(面内位相差量)が30nm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学補償膜。
    Re=(nx−ny)×d (5)
    (ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。)
  4. 測定波長589nmの光で測定した際の下記式(6)で示されるRth(面外位相差量)が50〜2000nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学補償膜。
    Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (6)
    (ここで、dは光学補償膜の膜厚(nm)を示す。)
  5. 塗工膜を40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長589nmの光で測定した位相差量(R589)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R589)が、1.1以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学補償膜。
  6. 液晶表示素子用光学補償膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学補償膜。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の光学補償膜と基材との積層体であることを特徴とする光学補償フィルム。
  8. マレイミド系樹脂と、環状炭化水素系化合物からなる塗工膜に基材を積層し、一軸延伸してなることを特徴とする請求項7に記載の光学補償フィルム。
  9. 積層体の延伸軸方向をx1軸とし、それと直交する方向をy1軸、面外方向をz1軸とし、x1軸方向の屈折率をnx1、y軸方向の屈折率をny1、z軸方向の屈折率をnz1とした際の3次元屈折率関係がnx1>ny1>nz1であることを特徴とする請求項7又は8に記載の光学補償フィルム。
  10. マレイミド系樹脂と2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアニリニル−1,3,5−トリアジン、6−(ジブチルアミノ)−2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジンから選ばれる環状炭化水素系化合物からなる溶液を、基材上に塗工し、乾燥して得た塗工膜を、一軸延伸することを特徴とする光学補償膜の製造方法。
  11. マレイミド系樹脂溶液が、上記一般式(1)で示されるマレイミド残基単位よりなるマレイミド系樹脂の溶液であることを特徴とする請求項10に記載の光学補償膜の製造方法。
  12. マレイミド系樹脂と、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアニリニル−1,3,5−トリアジン、6−(ジブチルアミノ)−2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジンから選ばれる環状炭化水素系化合物からなる溶液を、基材に塗工し、乾燥して得た基材と塗工膜の積層体を、一軸延伸してなることを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
  13. マレイミド系樹脂溶液が、上記一般式(1)で示されるマレイミド残基単位よりなるマレイミド系樹脂の溶液であることを特徴とする請求項12に記載の光学補償膜の製造方法。
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