JP5463243B2 - アルミニウムの自動測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、浄水プロセス中の水に含まれるアルミニウムを自動測定可能なアルミニウムの自動測定装置に関する。
浄水場では、取水した原水に凝集剤を注入して原水中の濁質分を凝集させてフロックを形成させ、形成したフロックを沈殿池で沈降分離する凝集沈殿処理が行われている。フロックが沈降分離された沈殿水は、次の浄水施設であるろ過池に導入されて、ろ過される。
この凝集沈殿処理では、原水水質に応じて決定される凝集剤注入率が重要である。
凝集沈殿処理では、一般に原水水質(濁度、アルカリ度、pHなど)の計測結果から予め設定した凝集剤注入モデル式に従い凝集剤注入率を演算し、この凝集剤注入率に基づいて凝集剤を注入するフィードフォワード制御と、沈殿池出口での濁度の計測結果に基づいて、凝集剤注入率を補正するフィードバック制御を組み合わせた、フィードフォワード・フィードバック制御が採用されている。しかし、凝集沈殿処理の特質上、凝集剤を注入してから最終的な沈殿池出口の濁度として判明するまで約3〜4時間と時間遅れが大きい。
このため、フィードバックによる凝集剤注入率の補正を困難としている。
沈殿池出口での濁度の計測結果をフィードバックするのでは、時間遅れが大きいため、凝集剤注入後の微小フロックを指標とする凝集剤注入制御方法が、例えば〔特許文献1〕に記載のように提案されている。この制御方法は、凝集剤が注入された原水を、沈殿地出口よりも早い段階で採水することでフィードバック補正の時間遅れを短縮し、原水水質が変動しても早期に凝集剤注入率の補正を可能とするものである。
凝集剤が注入された原水に微小フロックが多く形成されると、以降のフロック成長が遅くなり、結果的に沈殿池出口の濁度が高くなる。したがって、フィルタなどの分級手段により微小フロックを分級してその量を測定することで、高精度で凝集剤注入率の補正ができる。ここで、微小フロックの定量は、固形成分のアルミニウム濃度を測定することで可能である。
この凝集剤注入制御方法を実現するためには、固形成分のアルミニウム濃度を簡便に自動測定できる測定装置が必要であり、さらに安価であることが望まれる。
試料水中のアルミニウム濃度の測定方法としては、原子吸光光度法、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法および吸光光度法などがある。このうち、吸光光度法としてエリオクロムシアニンレッド(C2315Na39S、以下、ECRと称する)を呈色試薬として用いる方法がある。これは溶解性アルミニウムがpH4.6〜5.6の領域において、ECR試薬と呈色反応を起こし錯体を生成して、その吸光度を求めて定量するものである。
ECR試薬によるアルミニウム濃度の測定方法として、例えば〔特許文献2〕に、試料水の温度を調節可能な金属イオン濃度測定装置が開示されている。
特開2010−137115号公報 特開2008−96396号公報
試料水中のアルミニウム濃度の測定方法である原子吸光光度法、ICP発光分光分析法、ICP質量分析法及び〔特許文献2〕に記載の方法は、試料水に固形成分が含まれると測定が困難であり、固形成分のアルミニウムを測定したい場合は、予め酸を注入して固形成分を溶解させる必要がある。そのため、自動化するには酸の注入ポンプ、酸のタンク、溶解槽を備えることが必要となり、測定装置が複雑で高価になる課題がある。
本発明の目的は、フロック中のアルミニウムが測定可能で、簡便で安価なアルミニウムの自動測定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明のアルミニウムの自動測定装置は、試料水を採水する試料水ポンプと、ECR溶液を添加するためのECR溶液ポンプと、前記ECR溶液を貯留するためのECR溶液タンクと、前記試料水および前記ECR溶液が供給される第一攪拌槽と、緩衝液を添加するための緩衝液ポンプと、前記緩衝液を貯留するための緩衝液タンクと、前記第一攪拌槽で攪拌、混合した液と前記緩衝液が供給される第二攪拌槽と、前記第二攪拌槽で攪拌、混合した液が供給される吸光度測定装置と、を備えるものである。
又、試料水を採水する試料水ポンプと、ECR溶液を添加するためのECR溶液ポンプと、前記ECR溶液を貯留するためのECR溶液タンクと、緩衝液を添加するための緩衝液ポンプと、前記緩衝液を貯留するための緩衝液タンクと、供給された前記試料水、前記ECR溶液、前記緩衝液を攪拌・混合するための攪拌槽と、前記攪拌槽で攪拌、混合した液を供給するための供給ポンプと、前記攪拌槽で攪拌、混合した液が供給される吸光度測定装置と、を備えるものである。
本発明によれば、酸性のECR試薬をpH調整用の緩衝液より先に試料水に添加する構成とすることで、固形成分のアルミニウム濃度の測定が、簡便かつ安価なアルミニウムの自動測定装置を提供することが可能となる。
本発明の実施例1であるアルミニウムの自動測定装置を説明する図である。 吸光度測定の試験フローを示す図である。 呈色反応した試料水の測定波長と吸光度の関係を示す図である。 本発明の実施例1である吸光度の連続測定試験の試験フローを示す図である。 本発明の実施例1である吸光度の連続測定結果を示す図である。 アルミニウム濃度と吸光度の関係を示す図である。 本発明の実施例2であるアルミニウムの自動測定装置を説明する図である。 本発明の実施例3であるアルミニウムの自動測定装置を説明する図である。 本発明の実施例4であるアルミニウムの自動測定装置を説明する図である。 本発明の実施例5であるアルミニウム濃度の測定までの処理フローを示す図である。
以下、本発明のアルミニウムの自動測定装置の各実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明者らは上述した課題を解決するために、ECR試薬のpHに着目した。一般的にECR試薬は、その劣化を防止するためにpH2以下の酸性となっている。試料水と酸性のECR試薬を混和して、まず、固形成分のアルミニウムを溶解させる。その後、pH調整用の緩衝液を添加し、吸光度を測定する。これにより、安価で簡便なアルミニウムの自動測定装置を実現できる。
すなわち、酸性のECR試薬をpH調整用の緩衝液より先に試料水に添加することで、固形成分のアルミニウムを溶解し、溶解成分と固形成分のアルミニウムを合わせて測定可能としている。
本発明の実施例1について図1から図6を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1におけるアルミニウムの自動測定装置を示す図である。
本実施例のアルミニウムの自動測定装置は、次のように構成されている。試料水を供給するための配管が第一攪拌槽52に接続され、その途中に試料水ポンプ51が設けられる。ECR溶液タンク56はECR溶液を試料水ポンプ51の後流側の配管に供給するための配管が設けられ、配管の途中にECR溶液ポンプ57が設けられている。
第一攪拌槽52には混合液aを供給する配管が第二攪拌槽53に接続され、第二攪拌槽53には混合液bを供給する配管が吸光度測定装置54に接続され、配管の途中には電磁弁62が設けられている。緩衝液タンク58は配管により、混合液aを供給する配管に接続され、配管の途中に緩衝液ポンプ59が設けられている。純水タンク60は配管により、電磁弁62に接続され、配管の途中に純水ポンプ61が設けられている。吸光度測定装置54は配管により廃液タンク55に接続されている。吸光度測定装置54は信号線によりデータ記録手段63に接続されている。
試料水は試料水ポンプ51により、一定流量で第一攪拌槽52に供給される。ここで、試料水ポンプ51は、チュービングポンプやプランジャーポンプなど一定流量で連続的に供給できる手段が適用される。又、試薬の使用量を低減するために、5〜100mL/min、好ましくは10〜40mL/minの流量供給するようになっている。
第一攪拌槽52には、ECR溶液タンク56からECR溶液ポンプ57を用いてECR溶液が供給される。ここで、ECR溶液ポンプ57は、試料水ポンプ51と同様に、一定流量で連続的に供給できる手段であればよい。
ECR溶液は、ECR試薬を溶媒に設定量添加して調整している。ここで、ECR溶液は時間経過とともに構成物質が還元型の化学種に変化して退色するため、退色防止としてpHを2.0以下に調整する必要がある。したがって、溶媒としては塩酸など酸性液体を使用することができる。
ECR溶液は、試料水中のアルミニウムと錯体を生成する他にも、固形成分のアルミニウムを溶解させる役割を有する。したがって、試料水にECR溶液を添加したとき、固形成分のアルミニウムを溶解させることが可能なpHとなるように、ECR溶液のpHおよび添加率を決定する必要がある。
ECR試薬の濃度は、必要なアルミニウム濃度のとき、その吸光度が吸光光度計の測定範囲内となるように設定する。ECR試薬の濃度は、試料水に添加後0.005〜0.20mg/mL、好ましくは0.01〜0.10mg/mLがよい。
ECR溶液は、pH1.9で、試料水量に対して10%添加することで、試料水のpHは3程度になる。pHが4以下ならばフロック中のアルミニウム化合物が溶解することができる。ECR溶液のpHは劣化防止とアルミニウム化合物の溶解の点から2以下、好ましくは1〜2がよい。
酢酸緩衝液の濃度はアルミニウムがECRと呈色反応し、錯体を生成するpH範囲とするために、0.2〜5mol/L、好ましくは0.5〜5mol/Lがよい。この酢酸緩衝液を添加後に試料水のpHが4.6〜5.6になるように添加量を調節する。例えば、pH1.9のECR溶液の添加量に対して酢酸緩衝液のモル量(酢酸緩衝液の濃度×添加量)は0.5〜4mol/L、好ましくは1〜3.5mol/Lがよい。
試料水およびECR溶液は、第一攪拌槽52で攪拌、混合される。ここで、攪拌手段としては良好な攪拌を得られる手段ならばよく、例えば、攪拌子とマグネチックスターラーを用いる手段などがある。第一攪拌槽52での試料水の滞留時間は5min以内、好ましくは1〜3minがよい。
試料水とECR溶液を混合した混合液aは、第二攪拌槽53に供給される。第二攪拌槽53には、緩衝液タンク58から緩衝液ポンプ59を用いて緩衝液が供給される。ここで、緩衝液ポンプ59は、試料水ポンプ51やECR溶液ポンプ57と同様に、一定流量で連続的に供給できる手段であればよい。
緩衝液を添加する目的は、アルミニウムがECR試薬と呈色反応し、錯体を生成するpH範囲である4.6〜5.6にするためである。したがって、緩衝液のpHは4.6〜5.6の範囲で決定する。また、緩衝液の濃度および添加率は、ECR溶液添加後の試料水のpHが4.6〜5.6の範囲に収まるように決定する必要がある。緩衝液は設定pHの範囲にすることが重要だが、環境への対応からPRTR対象物質の対象外であることが望ましく、例えば、酢酸と酢酸ナトリウム溶液を混合した酢酸緩衝液などを用いるとよい。
混合液aおよび緩衝液は第二攪拌槽53で攪拌、混合される。ここで、攪拌手段としては第一攪拌槽52と同様に良好な攪拌を得られる手段ならばよい。また、第二攪拌槽53は、第一攪拌槽52と同様に試料水の滞留時間は5min以内、好ましくは1〜3minがよい。
混合液aと緩衝液を混合した混合液bは、吸光度測定装置54に供給される。吸光度測定装置54では、混合液bの吸光度を測定する。ここで、吸光度の測定に用いるセルは混合液bの流量および測定精度に影響されるものの、一般に市販されている1〜5cmのものが望ましい。測定波長は高い吸光度を示す範囲から決定する必要がある。
吸光度測定装置54には、定期的に純水タンク60から純水ポンプ61により、純水が供給されて吸光度のゼロ点を調整する。ゼロ点を調整するとき、図示しない制御手段により純水ポンプ61および電磁弁62が制御される。また、第二攪拌槽53に図示しない排水口を取り付け、ゼロ点を調整している間は、混合液bは吸光度測定装置54を通過せず、直接、廃液タンク55に排水されるようになっている。
図2に、本実施例の方法による吸光度測定の試験フローを示す。S1で、試料水としてアルミニウム濃度0.15mg/Lのアルミニウム標準液を5mL採水する。S2で、試料水に0.05wt.%のECR溶液を0.5mL添加する。S3で、ECR溶液を添加後直ちに攪拌し、3min待機する。S4で、pH5.0に調整した2mol/Lの酢酸緩衝液を0.8mL添加する。S5で、酢酸緩衝液を添加後直ちに攪拌し、4min待機する。S6で、最後に測定波長200〜600nmの範囲で吸光度測定する。ここで、吸光光度計は、純水にて吸光度をゼロに調整している。
図3に、呈色反応した試料水の測定波長と吸光度の関係を示す。図3から分かるように、吸光度は、測定波長が530nm付近にピークを持つ結果となった。したがって、測定波長は490〜550nm、好ましくは515〜535nmとする。
図4に、本実施例における吸光度の連続測定フローを示す。S7で、吸光度測定装置54を起動する。S8で、電磁弁62を操作して、S9で、純水を流して吸光度をゼロに調整する。S10で、電磁弁62を操作して、S11で、25mL/minの流量で試料水ポンプ51を運転する。S12で、2.5mL/minの流量でECR溶液ポンプ57を運転する。ここで、ECR溶液は0.05wt%であり、第一攪拌槽52の容量は50mLである。S13で、4mL/minの流量で緩衝液ポンプ59を運転する。ここで、緩衝液は、酢酸と酢酸ナトリウム溶液を混合して、pH5.0に調整した2mol/Lの酢酸緩衝液を用いる。また、第二攪拌槽53の容量は50mLである。
図5に本実施例における吸光度の連続測定結果を示す。測定を開始してから吸光度が安定となった後、試料水のアルミニウム濃度を0.01mg/Lから0.05mg/Lに切替えると、吸光度が高くなり、切替えてから10minで吸光度は安定して一定となった。アルミニウム濃度を0.15、0.30、0.50mg/Lと、順次20min間隔で切替えた場合も、同じく10minで吸光度は安定して一定となった。この結果から、本実施例のアルミニウムの自動測定装置は、10min程度でアルミニウム濃度の変化に対応可能であることが分かる。
図6にアルミニウム濃度と吸光度の関係を示す。アルミニウム濃度と吸光度は、アルミニウム濃度が0.01〜0.50mg/Lの範囲で比例関係にある。したがって、本実施例の方法で、浄水場内のアルミニウム濃度の測定に必要な範囲をカバーできる。
測定された吸光度は、データ記録手段63により記録される。ここで、吸光度からアルミニウム濃度への変換は予め作成した吸光度−アルミニウム濃度の検量線を用いるが、その変換はデータ記録手段63内で行ってもよく、図示しないデータ変換手段などを用いて行ってもよい。検量線は図4に示すS9で、ゼロ点を調整したときに更新する。
吸光度を測定した後の混合液bは、廃液タンク55に排水される。廃液は、pH5程度の溶液のため、必要ならば中和処理を実施する。
本実施例では、酸性のECR試薬をpH調整用の緩衝液より先に試料水に添加する構成とすることで、固形成分のアルミニウムを反映したアルミニウム濃度の測定ができる。
本発明の実施例2について図7を用いて説明する。図7は、実施例2におけるアルミニウムの自動測定装置の構成図である。
実施例1が試料水および試薬を供給する連続式なのに対して、実施例2は、試料水および試薬を定期的に供給するバッチ式に変更したものである。
本実施例のアルミニウムの自動測定装置は、次のように構成されている。試料水を供給するための配管が攪拌槽64に接続され、その途中に試料水ポンプ51が設けられる。
ECR溶液タンク56にはECR溶液を攪拌槽64に供給するための配管が設けられ、配管の途中にECR溶液ポンプ57が設けられている。緩衝液タンク58には緩衝液を攪拌槽64に供給するための配管が設けられ、配管の途中に緩衝液ポンプ59が設けられている。
攪拌槽64には混合液bを供給する配管が設けられ吸光度測定装置54に接続されている。この配管の途中には、供給ポンプ65、電磁弁62及び電磁弁68が設けられている。純水タンク60は配管により、電磁弁62に接続され、配管の途中に純水ポンプ61が設けられている。洗浄液タンク66は配管により、電磁弁68に接続され、配管の途中に洗浄液ポンプ67が設けられている。
本実施例では、攪拌槽64、試料水ポンプ51、ECR溶液タンク56、ECR溶液ポンプ57、緩衝液タンク58、緩衝液ポンプ59、吸光度測定装置54、供給ポンプ65、電磁弁62、電磁弁68、純水タンク60、純水ポンプ61、洗浄液タンク66及び洗浄液ポンプ67は、温度調整槽110内に設置されている。
吸光度測定装置54は配管により廃液タンク55に接続されている。吸光度測定装置54は信号線によりデータ記録手段63に接続されている。
実施例2におけるアルミニウムの自動測定装置について詳細に説明する。
試料水は試料水ポンプ51により一定量、攪拌槽64に供給される。ここで、試料水ポンプ51は、チュービングポンプもしくはプランジャーポンプなどが用いられるが、図示しない制御手段により攪拌槽64へ一定量、試料水を供給、停止するようになっている。
このときの試料水の必要量は、試薬量の低減ため、5〜100mL、好ましくは10〜40mLとしている。
試料水が攪拌槽64に供給されると、ECR溶液タンク56からECR溶液ポンプ57により、攪拌槽64にECR溶液が供給される。ここで、ECR溶液ポンプ57は、試料水ポンプ51と同様に、図示しない制御手段により攪拌槽64へ一定量、試料水を供給、停止するようになっている。
試料水およびECR溶液は、攪拌槽64で攪拌、混合される。攪拌手段としては実施例1と同様に良好な攪拌を得られる手段ならばよく、例えば、攪拌子とマグネチックスターラーを用いる手段などがある。このとき、滞留時間は5min以内、好ましくは1〜3minがよい。
試料水とECR溶液を攪拌、混合後、攪拌槽64には緩衝液タンク58から緩衝液ポンプ59を用いて緩衝液が供給される。緩衝液ポンプ59は、試料水ポンプ51及びECR溶液ポンプ57と同様に、図示しない制御手段により攪拌槽64へ一定量、試料水を供給、停止するようになっている。また、攪拌、混合操作は試料水及びECR溶液を攪拌、混合する時と同様である。
試料水、ECR溶液及び緩衝液が攪拌、混合された混合液bは、供給ポンプ65により吸光度測定装置54に供給される。吸光度測定装置54では、混合液bの吸光度を測定する。
吸光度測定装置54には、実施例1と同様に定期的に純水タンク60から純水ポンプ61により純水が供給され、吸光度のゼロ点が調整される。ゼロ点を調整するとき、図示しない制御手段により純水ポンプ61及び電磁弁62が制御される。混合液bは、攪拌槽64に図示しない排水口を取り付け、ゼロ点を調整している間は、吸光度測定装置54を通過せず、直接、廃液タンク55に排水される。
測定された吸光度は、データ記録手段63により記録される。ここで、吸光度からアルミニウム濃度への変換は予め作成した吸光度−アルミニウム濃度の検量線を用いるが、その変換はデータ記録手段63内で行っても、図示しないデータ変換手段などを用いて行ってもよい。検量線は実施例1と同様に、ゼロ点を調整したときに更新する。
吸光度を測定した後の混合液bは、廃液タンク55に排水される。実施例2の場合、図示しない制御手段により、定期的に洗浄液ポンプ67及び電磁弁68が制御され、洗浄液タンク66から吸光度測定装置54に洗浄液が供給される。ここで、洗浄液としては、純水および酸など、吸光度測定装置54のセルを清浄にできるものが使用される。このとき、混合液bは、ゼロ点を調整するときと同様に、直接廃液タンク55に排水される。
なお、上述の洗浄操作において、洗浄液として酢酸緩衝液を使用してもよく、酢酸緩衝液でセルを洗浄することで、洗浄液ポンプ67及び洗浄液タンク66を取り外すことができる。廃液はpH5程度の溶液のため、必要ならば中和処理を実施する。
次の吸光度の測定に移るときには、攪拌槽64に残存した液は、試料水ポンプ51を運転することで試料水と置換され、その後、同様の操作を繰り返す。
以上の操作は、温度調整槽110内で実施する。温度調整槽110内の温度は0〜40℃、好ましくは10〜30℃に調整する。
実施例2では、図示しない制御手段により設定間隔でアルミニウム濃度を測定する。実施例2のアルミニウムの自動測定装置は、実施例1と比較して装置の運転操作は複雑になるが、試薬の使用量は低減できる。また、定期的な洗浄でセルの汚染が防止され、安定した吸光度の測定が可能となる。
本発明の実施例3について図8を用いて説明する。図8は、実施例3におけるアルミニウムの自動測定装置の構成図である。
実施例3は、実施例1と同様に構成されているが、実施例3のアルミニウムの自動測定装置においては、第一攪拌槽52に加熱器80と温度測定手段90を取り付け、図示しない温度の制御手段に温度測定手段を設けている。
実施例3のアルミニウムの自動測定装置は、第一攪拌槽52にて試料水を加熱することで、酸による固形成分のアルミニウム化合物の溶解を促進させることができる。ここで、加熱温度としては、室温より高い40〜80度がよい。
本発明の実施例4について図9を用いて説明する。図9は、実施例4におけるアルミニウムの自動測定装置の構成図である。
実施例4は、実施例1と同様に構成されているが、実施例4のアルミニウムの自動測定装置においては、第二攪拌槽53と吸光度測定装置54の間に不溶物除去手段100を取り付けている。
実施例4のアルミニウムの自動測定装置では、吸光度測定装置54の前で酸に不溶である濁質などを除去する。これにより、セルの汚染を防止されて安定した吸光度の測定が可能となる。ここで、不溶物除去手段100とはフィルタなどであり、目開き10μm以下、好ましくは0.45〜5μmのフィルタがよい。不溶物除去手段100は単体で取り付けても、配管を並列にして複数取り付けてもよい。また、フィルタの性能を長期間維持するために、逆洗装置を取り付けてもよい。
本発明の実施例5について図10を用いて説明する。図10は、実施例5におけるアルミニウム濃度の測定までの処理フローである。
実施例5は、実施例1のアルミニウムの自動測定装置において、吸光度測定装置54が単一波長ではなく、複数の波長で測定する構成としたもので、アルミニウム濃度を補正するデータ変換手段を備えている。
試料水中に障害物質が存在すると、吸光度の測定は妨害される。例えば、アルミニウム濃度が0.15mg/Lのアルミニウム標準液と、障害物質としてフミン酸(有機物)を紫外線吸光度で0.25cm-1含むアルミニウム濃度が0.15mg/Lのアルミニウム標準液を用いて、図2で示した吸光度測定の試験を実施すると(吸光光度計は、純水にて吸光度をゼロに調整)、測定波長535nmの吸光度は、有機物を含まない場合は0.736cm-1であり、有機物を含む場合は0.776cm-1となり、同じ吸光度とならない。そのため、有機物を含む場合はアルミニウム濃度を補正する必要がある。
次に、アルミニウム濃度の補正の方法を説明する。
図10に示すアルミニウム濃度の測定の処理フローでは、S14で、吸光度測定装置54を起動する。実施例5における吸光度測定装置54は、異なる波長の2つの測定系を有している。ここで、異なる波長とは、一方は障害物質を定量可能な測定波長、例えば紫外線吸光度(260nm)であり、もう一方はアルミニウムを測定可能な波長である。ここで、障害物質を定量可能な測定波長の測定系を系列1、アルミニウムを測定可能な波長の測定系を系列2とする。
S15で、電磁弁62を操作する。S16で、純水にて系列1と系列2の吸光度をゼロに調整する。S17で、電磁弁62を操作する。
S18で、試料水ポンプ51を運転する。ここで、実施例1では試料水は第一攪拌槽52に供給されるが、実施例5では試料水の一部が別配管にて系列1側に供給され、残りは実施例1と同様に第一攪拌槽52に供給される。
S19で、ECR溶液ポンプ57を運転する。S20で、緩衝液ポンプ59を運転する。S21で、吸光度aを測定し、S22で、吸光度bを測定する。
S23で、測定した吸光度aと吸光度bを用いて、データ補正手段によりアルミニウム濃度が補正される。アルミニウム濃度を補正可能なデータ変換手段は、受信した吸光度aのデータから、例えば数1を用いてアルミニウム濃度の補正値を演算する。
〔数1〕
(補正値)=A×(吸光度a) …(1) ここで、Aは係数である。
また、アルミニウム濃度を補正可能なデータ変換手段は、受信した吸光度bのデータから検量線を用いてアルミニウム濃度を演算する。そして、例えば数2を用いてアルミニウム濃度を演算する。
〔数2〕
(アルミニウム濃度)=
(吸光度bから演算したアルミニウム濃度)−(補正値) …(2) S24で、アルミニウム濃度がデータ記録手段に格納される。
以上説明したようなアルミニウム濃度を補正可能なデータ変換手段を示したが、アルミニウム濃度を補正できるならば他の数式を用いてもよい。
実施例5では、2つの測定系を有している吸光度測定装置54を例にとり説明したが、1つの測定系で、測定波長を変更可能な吸光度測定装置54を用いてもよい。
実施例5では、試料水そのものの吸光度を測定し、データ変換手段にて補正値を演算しているが、ECR溶液と緩衝液添加後の液を使って、吸光度を測定し、同様の処理により補正値を演算してもよい。
実施例5のアルミニウムの自動測定装置は、吸光度測定装置54が単一波長ではなく、複数の波長を測定する構成としたもので、吸光度測定装置54とアルミニウム濃度を補正可能なデータ変換手段から構成される、これにより、試料水中に障害物質が存在しても、アルミニウム濃度を測定することが可能である。
51 試料水ポンプ
52 第一攪拌槽
53 第二攪拌槽
54 吸光度測定装置
55 廃液タンク
56 ECR溶液タンク
57 ECR溶液ポンプ
58 緩衝液タンク
59 緩衝液ポンプ
60 純水タンク
61 純水ポンプ
62、68 電磁弁
63 データ記録手段
64 攪拌槽
65 供給ポンプ
66 洗浄液タンク
67 洗浄液ポンプ
80 加熱器
90 温度測定手段
100 不溶物除去手段
110 温度調整槽

Claims (7)

  1. 試料水を採水する試料水ポンプと、ECR溶液を貯留するためのECR溶液タンクと、該ECR溶液タンクからECR溶液を添加するためのECR溶液ポンプと、前記試料水および前記ECR溶液が供給される第一攪拌槽と、緩衝液を貯留するための緩衝液タンクと、該緩衝液タンクから緩衝液を添加するための緩衝液ポンプと、前記第一攪拌槽で攪拌、混合した液と前記緩衝液が供給される第二攪拌槽と、前記第二攪拌槽で攪拌、混合した液が供給される吸光度測定装置と、を備えることを特徴とするアルミニウムの自動測定装置。
  2. 請求項1のアルミニウムの自動測定装置において、
    前記ECR溶液のpHが1〜2、前記ECR溶液を添加後の試料水のpHが4以下の範囲で運転することを特徴とするアルミニウムの自動測定装置
  3. 請求項2のアルミニウムの自動測定装置において、
    前記ECR試薬の添加量が0.005〜0.20mg/mLであることを特徴とするアルミニウムの自動測定装置
  4. 請求項1のアルミニウムの自動測定装置において、
    前記第一攪拌槽内に供給された前記試料水および前記ECR溶液を加熱するための加熱器と、前記第一攪拌槽内の温度を測定するための温度測定手段と、を備えることを特徴とするアルミニウムの自動測定装置
  5. 請求項1のアルミニウムの自動測定装置において、
    前記吸光度測定装置が複数の波長を測定するものであって、第一の波長で障害物質の吸光度を、第二の波長でアルミニウムと障害物質の吸光度を測定し、該測定結果からアルミニウム濃度を演算することを特徴とするアルミニウムの自動測定装置。
  6. 請求項5のアルミニウムの自動測定装置において、
    前記第一の波長が254〜260nmであることを特徴とするアルミニウムの自動測定装置
  7. 請求項1のアルミニウムの自動測定装置において、
    各装置構成の一部ないしは全体を、温度調節された環境下で実施するための温度調整槽
    内に設置することを特徴とするアルミニウムの自動測定装置
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