JP2006234752A - 金属材料中アルミニウムの定量方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、鉄鋼など金属材料中のアルミニウムがmassppm程度と微量であっても簡便に精度良く検出する方法および装置を提供する。
【解決手段】アルミニウムを含有する金属試料を酸性溶液化して閉鎖系のフローシステムに注入し、金属マトリックスをイオン交換により分離除去してpHを調整した後に、形成した発色試薬または蛍光試薬による錯体を、吸光光度計または蛍光光度計により検出してアルミニウムを定量化する方法および装置。
【選択図】図1
【解決手段】アルミニウムを含有する金属試料を酸性溶液化して閉鎖系のフローシステムに注入し、金属マトリックスをイオン交換により分離除去してpHを調整した後に、形成した発色試薬または蛍光試薬による錯体を、吸光光度計または蛍光光度計により検出してアルミニウムを定量化する方法および装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属材料中アルミニウムの定量方法および装置に関し、特にイオン交換を利用して定量するものに関する。
鉄鋼など金属材料中のアルミニウムの分析には、アルミノンやオキシン、クロムアズロールSなどを発色試薬とする吸光光度法が用いられてきたが、共存成分の影響が大きく、金属マトリックスが多量に共存する状態では十分な感度が得られなかった。
例えば、0.1mass%以下と微量な場合は、電解分離や溶媒抽出分離、沈殿分離などの前処理によりアルミニウムを金属マトリックスから分離する操作を必要とする(例えば、非特許文献1)。
また、アルミニウムの分析においては分析操作中の試薬や器具、環境からの汚染が大きいため、0.01mass%以下の微量な場合、分析結果のばらつきが大きく、非特許文献1ではアルミニウム70massppmの室間再現許容差は23massppmと規定されている。
原子吸光法およびICP発光分析法などのスペクトル分析法でも、massppmレベルまで精度良く定量することは困難で、例えば、鉄鋼中70massppmのAlの分析精度(室間再現許容差)は原子吸光光度法で10massppm(非特許文献2)、ICP-AESでは8massppm(非特許文献3)と規定されている。
JISG1224-1981:鉄及び鋼ーアルミニウム定量方法 JISG1257-1994:鉄及び鋼ーアルミニウム定量方法 JISG1258-1999:鉄及び鋼ーアルミニウム定量方法
例えば、0.1mass%以下と微量な場合は、電解分離や溶媒抽出分離、沈殿分離などの前処理によりアルミニウムを金属マトリックスから分離する操作を必要とする(例えば、非特許文献1)。
また、アルミニウムの分析においては分析操作中の試薬や器具、環境からの汚染が大きいため、0.01mass%以下の微量な場合、分析結果のばらつきが大きく、非特許文献1ではアルミニウム70massppmの室間再現許容差は23massppmと規定されている。
原子吸光法およびICP発光分析法などのスペクトル分析法でも、massppmレベルまで精度良く定量することは困難で、例えば、鉄鋼中70massppmのAlの分析精度(室間再現許容差)は原子吸光光度法で10massppm(非特許文献2)、ICP-AESでは8massppm(非特許文献3)と規定されている。
JISG1224-1981:鉄及び鋼ーアルミニウム定量方法 JISG1257-1994:鉄及び鋼ーアルミニウム定量方法 JISG1258-1999:鉄及び鋼ーアルミニウム定量方法
本発明は、鉄鋼など金属材料中のアルミニウムがmassppm程度と微量であっても簡便に精度良く定量する方法および装置を提供することを目的とする。
本発明者等は金属材料中アルミニウムの高精度分析に必要な要因について検討を行い、
1)試料前処理時の器具や試薬、分析環境および作業者などが原因の汚染の低減。2)高感度の検出を阻害する多量の金属マトリックスの除去。3)安定性の良い高精度、高感度な検出法の選定が重要であり、これらの課題を解決する手段として溶液化後の金属試料溶液を、樹脂製の細管を用いたフローインジェクション方式で処理することが有効なことを見出した。
また、本発明者等は鉄、コバルト、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、パラジウム、カドミウム、スズ、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、タリウム、ビスマス、ウランなどの金属が塩酸酸性溶液で陰イオン交換樹脂に捕集されることを見出し、陰イオン交換樹脂を金属マトリックスからアルミニウムを分離する分離カラムとして系内に組み込む金属材料中アルミニウムの高精度定量装置および方法を完成させた。
1)試料前処理時の器具や試薬、分析環境および作業者などが原因の汚染の低減。2)高感度の検出を阻害する多量の金属マトリックスの除去。3)安定性の良い高精度、高感度な検出法の選定が重要であり、これらの課題を解決する手段として溶液化後の金属試料溶液を、樹脂製の細管を用いたフローインジェクション方式で処理することが有効なことを見出した。
また、本発明者等は鉄、コバルト、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、パラジウム、カドミウム、スズ、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、タリウム、ビスマス、ウランなどの金属が塩酸酸性溶液で陰イオン交換樹脂に捕集されることを見出し、陰イオン交換樹脂を金属マトリックスからアルミニウムを分離する分離カラムとして系内に組み込む金属材料中アルミニウムの高精度定量装置および方法を完成させた。
本発明は得られた知見をもとに更に検討を加えてなされたもので、すなわち本発明は、
1 アルミニウムを含有する金属試料を溶液化して閉鎖系のフローシステムに注入し、金属マトリックスをイオン交換により分離除去後、pH調整して形成した錯体を検出してアルミニウムを定量化することを特徴とする金属材料中のアルミニウムの定量方法。
2 前記錯体が発色試薬によるもので、前記錯体の検出が吸光光度計によるものであることを特徴とする1記載の金属材料中のアルミニウムの定量方法。
3 前記錯体が蛍光試薬によるもので、前記錯体の検出が蛍光光度計によるものであることを特徴とする1記載の金属材料中のアルミニウムの定量方法。
4 アルミニウムを含有する金属試料を酸性溶液化して閉鎖系のフローシステムに注入しアルミニウムの定量を行う金属材料中のアルミニウム定量装置であって、前記閉鎖系は、酸性溶液化した金属試料から陰イオン交換して金属マトリックスとアルミニウムを分離するイオン交換分離部と、分離後の酸性溶液のpHを調整するpH調整部と、アルミニウムの錯体を形成する反応部とアルミニウム錯体からアルミニウムの定量を行う検出部が順次配置されていることを特徴とする金属材料中のアルミニウム定量装置。
5 前記反応部が発色試薬とアルミニウムの錯体を形成し、前記検出部がアルミニウム錯体の吸光度を検出することを特徴とする4記載の金属材料中のアルミニウム定量装置。
6 前記反応部が蛍光試薬とアルミニウムの錯体を形成し、前記検出部がアルミニウム錯体の蛍光強度を検出することを特徴とする4記載の金属材料中のアルミニウム定量装置。
1 アルミニウムを含有する金属試料を溶液化して閉鎖系のフローシステムに注入し、金属マトリックスをイオン交換により分離除去後、pH調整して形成した錯体を検出してアルミニウムを定量化することを特徴とする金属材料中のアルミニウムの定量方法。
2 前記錯体が発色試薬によるもので、前記錯体の検出が吸光光度計によるものであることを特徴とする1記載の金属材料中のアルミニウムの定量方法。
3 前記錯体が蛍光試薬によるもので、前記錯体の検出が蛍光光度計によるものであることを特徴とする1記載の金属材料中のアルミニウムの定量方法。
4 アルミニウムを含有する金属試料を酸性溶液化して閉鎖系のフローシステムに注入しアルミニウムの定量を行う金属材料中のアルミニウム定量装置であって、前記閉鎖系は、酸性溶液化した金属試料から陰イオン交換して金属マトリックスとアルミニウムを分離するイオン交換分離部と、分離後の酸性溶液のpHを調整するpH調整部と、アルミニウムの錯体を形成する反応部とアルミニウム錯体からアルミニウムの定量を行う検出部が順次配置されていることを特徴とする金属材料中のアルミニウム定量装置。
5 前記反応部が発色試薬とアルミニウムの錯体を形成し、前記検出部がアルミニウム錯体の吸光度を検出することを特徴とする4記載の金属材料中のアルミニウム定量装置。
6 前記反応部が蛍光試薬とアルミニウムの錯体を形成し、前記検出部がアルミニウム錯体の蛍光強度を検出することを特徴とする4記載の金属材料中のアルミニウム定量装置。
本発明によれば、塩酸、硝酸、フッ化水素等の酸などによって溶液化した金属試料溶液を閉鎖系のフローシステムに注入するだけで、金属材料中アルミニウムの自動定量が可能である。
また、金属マトリックス鉄鋼など金属材料中のアルミニウムが微量であっても簡便に精度良く検出することが可能であり、金属材料の特性制御や品質向上および製造時の品質管理に幅広く利用でき、産業上極めて有用である。
また、金属マトリックス鉄鋼など金属材料中のアルミニウムが微量であっても簡便に精度良く検出することが可能であり、金属材料の特性制御や品質向上および製造時の品質管理に幅広く利用でき、産業上極めて有用である。
本発明は塩酸、硝酸、フッ化水素等の酸などによって溶液化した金属試料溶液を閉鎖系のフローシステムに注入し、アルミニウムの金属マトリックスからの分離、pH調整、錯形成反応、検出を行うことを特徴とする。
図1に本発明の一実施例に係る金属材料中アルミニウム定量用フローインジェクション定量装置を示す。
図においてP1〜P3はプランジャーパイプ、B1〜B4は三方バルブ、B5はサンプル(試料)注入用のサンプルループ5を接続した六方バルブ、RC1、RC2は反応コイル、8は分離カラム7からなる陰イオン交換分離部、10は反応コイルRC1の反応促進用の、恒温冷却水循環装置付き超音波攪拌槽でpH調整部、13は反応コイルRC2の反応安定用の恒温槽で反応部を示す。
尚、各要素の接続及び反応コイルは全てテフロン(登録商標)製の細管(好ましくは内径0.5mm及び0.8mm)を用いる。
試料4を六方バルブB5で閉鎖系のフローシステムに注入するときはプランジャーポンプP1により塩酸1を送液し、塩酸1により酸溶解した金属試料溶液をサンプルループ5を介して一定量を系内に導入する。尚、金属試料を酸溶解する酸として、塩酸の他に、硝酸、フッ化水素酸が使用できる。
尚、本発明で閉鎖系のフローシステムとは試料溶液の注入部(具体的には六方バルブB5)からアルミニウムの定量を行う定量部までの装置構成を指す。同システムはその閉鎖性から外部の環境からの汚染は最小限に止めて定量精度を向上させる効果を有する。
1.アルミニウムからの金属マトリックスの分離
系内において金属試料溶液はまず陰イオン交換分離部8を通過し、金属マトリックスが分離される。
金属試料溶液を塩酸溶液として陰イオン交換分離部8の分離カラム7を通過させることにより選択的に金属マトリックス(鉄、コバルト、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、パラジウム、カドミウム、スズ、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、タリウム、ビスマス、ウラン)を捕集し、アルミニウムから分離する。金属マトリックスは三方バルブB3から廃液6として系外に排出される。
陰イオン交換分離部8における塩酸濃度は5×10−3mol/l以上であれば分離可能であるが、捕集効率と試薬の調整や取り扱いの容易さから(7〜10)×10−3mol/lが好ましい。
図1に本発明の一実施例に係る金属材料中アルミニウム定量用フローインジェクション定量装置を示す。
図においてP1〜P3はプランジャーパイプ、B1〜B4は三方バルブ、B5はサンプル(試料)注入用のサンプルループ5を接続した六方バルブ、RC1、RC2は反応コイル、8は分離カラム7からなる陰イオン交換分離部、10は反応コイルRC1の反応促進用の、恒温冷却水循環装置付き超音波攪拌槽でpH調整部、13は反応コイルRC2の反応安定用の恒温槽で反応部を示す。
尚、各要素の接続及び反応コイルは全てテフロン(登録商標)製の細管(好ましくは内径0.5mm及び0.8mm)を用いる。
試料4を六方バルブB5で閉鎖系のフローシステムに注入するときはプランジャーポンプP1により塩酸1を送液し、塩酸1により酸溶解した金属試料溶液をサンプルループ5を介して一定量を系内に導入する。尚、金属試料を酸溶解する酸として、塩酸の他に、硝酸、フッ化水素酸が使用できる。
尚、本発明で閉鎖系のフローシステムとは試料溶液の注入部(具体的には六方バルブB5)からアルミニウムの定量を行う定量部までの装置構成を指す。同システムはその閉鎖性から外部の環境からの汚染は最小限に止めて定量精度を向上させる効果を有する。
1.アルミニウムからの金属マトリックスの分離
系内において金属試料溶液はまず陰イオン交換分離部8を通過し、金属マトリックスが分離される。
金属試料溶液を塩酸溶液として陰イオン交換分離部8の分離カラム7を通過させることにより選択的に金属マトリックス(鉄、コバルト、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、パラジウム、カドミウム、スズ、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、タリウム、ビスマス、ウラン)を捕集し、アルミニウムから分離する。金属マトリックスは三方バルブB3から廃液6として系外に排出される。
陰イオン交換分離部8における塩酸濃度は5×10−3mol/l以上であれば分離可能であるが、捕集効率と試薬の調整や取り扱いの容易さから(7〜10)×10−3mol/lが好ましい。
分離カラム7は試料毎に洗浄することが望ましく、分離後、三方バルブB2により塩酸1から、カラム洗浄液15や洗浄用純水16に切り替えてプランジャーポンプ1により送液し、分離カラム7を洗浄する。
洗浄は、純水16、カラム洗浄液15、純水16、塩酸1の順に三方バルブB2、B1を順次切り替えて送液し、分離カラム7を初期状態に調整する。カラム洗浄液15や洗浄用純水16は三方バルブB1で切り替え、洗浄後の廃液6は六方バルブB5からとして排出する。
2.pH調整
金属試料溶液は、金属マトリックスを分離カラム7により捕集した後、pH調整部10においてプランジャーポンプP2で送液するアルカリ溶液2と混合させて中和し、緩衝液に溶解した発色試薬、蛍光試薬と混合した際、錯形成に最適なpHとする。
pH調整部10では、超音波攪拌槽9内に浸漬させた反応コイルRC1に超音波を照射して中和反応を促進するが、超音波の連続照射による昇温を防止し、反応条件を一定に保つため、恒温冷却水循環装置(図では省略)により超音波攪拌槽9内の温度を一定、好ましくは30℃、とする。
pH調整部10の下流側に三方バルブB4を設け、中和後の溶液の一部11を取り出してpHを確認する。pHはpH測定可能範囲(pH1〜14)で一定であれば測定に支障はないが、pH3〜10の範囲内にあることが好ましい。
アルカリ溶液2の種類は特に規定せず、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが使用可能であるが、経時変化の小さい水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの使用が好ましい。
尚、環境試料などほぼ中性に近い溶液の場合は、緩衝溶液と混合することにより錯体を高感度に吸光、蛍光検出するため、最適なpHに調整可能であるが、塩酸溶液のように強酸性溶液の場合、そのまま緩衝溶液と混合するとpH調整範囲が限定されるため、pH調整部10を設けた。
3.錯形成反応
pH調整後の試料溶液は、反応部13の恒温槽12内の反応コイルRC2において緩衝液3に溶解した発色試薬、または蛍光試薬と混合され、錯体を形成する。緩衝液3は錯形成に最適なpHが得られ、アルミニウムと反応試薬との間で錯形成を阻害しないものとし、プランジャーポンプP3で反応コイルRC2に送液される。
緩衝液3として例えば、酢酸ナトリウムー酢酸緩衝液、塩化アンモイウムーアンモニア緩衝液などが使用できる。アルミニウムの発色試薬としてはアルミノン、エリオクロムシアニンR、スチルバゾ、クロムアズロールSなどが使用できる。
蛍光試薬としては、オキシン、ポンタクロムブルーブラックR、ルモガリオンなどが使用できる。反応試薬濃度は、試料溶液中のアルミニウム濃度に応じて、最大感度の得られる濃度を選定する。
尚、緩衝液3は発色試薬や蛍光試薬の反応時のpHを一定にするために、これらを溶解させるために用いる。恒温槽は反応コイルRC2を設置する場所の温度や測定精度に応じて適宜使用する。
4.検出
反応部13において錯体が形成された試料溶液は検出部14に送液され、吸光光度計により吸光度を測定したり、蛍光光度計により蛍光強度を測定してアルミニウムを定量する。
系内での気泡の発生を抑制し、バックグラウンドを安定化させるため、分光光度計の出側にバックコイルを配置することが好ましい。試料溶液は検出後、廃液17として系外に排出される。
洗浄は、純水16、カラム洗浄液15、純水16、塩酸1の順に三方バルブB2、B1を順次切り替えて送液し、分離カラム7を初期状態に調整する。カラム洗浄液15や洗浄用純水16は三方バルブB1で切り替え、洗浄後の廃液6は六方バルブB5からとして排出する。
2.pH調整
金属試料溶液は、金属マトリックスを分離カラム7により捕集した後、pH調整部10においてプランジャーポンプP2で送液するアルカリ溶液2と混合させて中和し、緩衝液に溶解した発色試薬、蛍光試薬と混合した際、錯形成に最適なpHとする。
pH調整部10では、超音波攪拌槽9内に浸漬させた反応コイルRC1に超音波を照射して中和反応を促進するが、超音波の連続照射による昇温を防止し、反応条件を一定に保つため、恒温冷却水循環装置(図では省略)により超音波攪拌槽9内の温度を一定、好ましくは30℃、とする。
pH調整部10の下流側に三方バルブB4を設け、中和後の溶液の一部11を取り出してpHを確認する。pHはpH測定可能範囲(pH1〜14)で一定であれば測定に支障はないが、pH3〜10の範囲内にあることが好ましい。
アルカリ溶液2の種類は特に規定せず、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが使用可能であるが、経時変化の小さい水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの使用が好ましい。
尚、環境試料などほぼ中性に近い溶液の場合は、緩衝溶液と混合することにより錯体を高感度に吸光、蛍光検出するため、最適なpHに調整可能であるが、塩酸溶液のように強酸性溶液の場合、そのまま緩衝溶液と混合するとpH調整範囲が限定されるため、pH調整部10を設けた。
3.錯形成反応
pH調整後の試料溶液は、反応部13の恒温槽12内の反応コイルRC2において緩衝液3に溶解した発色試薬、または蛍光試薬と混合され、錯体を形成する。緩衝液3は錯形成に最適なpHが得られ、アルミニウムと反応試薬との間で錯形成を阻害しないものとし、プランジャーポンプP3で反応コイルRC2に送液される。
緩衝液3として例えば、酢酸ナトリウムー酢酸緩衝液、塩化アンモイウムーアンモニア緩衝液などが使用できる。アルミニウムの発色試薬としてはアルミノン、エリオクロムシアニンR、スチルバゾ、クロムアズロールSなどが使用できる。
蛍光試薬としては、オキシン、ポンタクロムブルーブラックR、ルモガリオンなどが使用できる。反応試薬濃度は、試料溶液中のアルミニウム濃度に応じて、最大感度の得られる濃度を選定する。
尚、緩衝液3は発色試薬や蛍光試薬の反応時のpHを一定にするために、これらを溶解させるために用いる。恒温槽は反応コイルRC2を設置する場所の温度や測定精度に応じて適宜使用する。
4.検出
反応部13において錯体が形成された試料溶液は検出部14に送液され、吸光光度計により吸光度を測定したり、蛍光光度計により蛍光強度を測定してアルミニウムを定量する。
系内での気泡の発生を抑制し、バックグラウンドを安定化させるため、分光光度計の出側にバックコイルを配置することが好ましい。試料溶液は検出後、廃液17として系外に排出される。
上述した図1に示す閉鎖系を用いて鉄鋼材料中のアルミニウムを定量した。分離カラムに強塩基性陰イオン交換樹脂(Dowex社製Dowex1−X8)を充填し、キャリア溶液に8×10−3mol/l塩酸、中和用のアルカリに8×10−3mol/lNaOH、発色試薬としてクロムアズロールS(酢酸ー酢酸ナトリウム緩衝液に溶解)を用いて、鋼中0.01mass%のアルミニウムを定量した。
試料注入量は0.3mlとし、塩酸、NaOHの送液量は0.3ml/min、発色試薬は0.4ml/minで送液した。
アルミニウム錯体の吸光度は550nmで測定した。アルミニウムシグナルの例を図2に示す。シグナルの再現性は良好で、波高の繰り返し精度は鋼中換算でσ:0.00007%と極めて良好である。表2に試料とした鋼の成分を示す。
図3に本閉鎖系によるアルミニウムの検量線を示す。検量線の直線性は良好で、高精度な分析が可能である。
表1に、図3に示した検量線を用いて、鋼中のアルミニウムを定量した結果を示す。鋼中0.005mass%のアルミニウムがσ:0.3massppm未満、標準偏差で1mass%以下の良好な精度で定量できた。
また、亜鉛中0.003mass%のアルミニウムを定量したところ、鋼の場合と同程度の精度(σ:0.3massppm未満)で定量できた。表3に試料とした亜鉛の成分を示す。
試料注入量は0.3mlとし、塩酸、NaOHの送液量は0.3ml/min、発色試薬は0.4ml/minで送液した。
アルミニウム錯体の吸光度は550nmで測定した。アルミニウムシグナルの例を図2に示す。シグナルの再現性は良好で、波高の繰り返し精度は鋼中換算でσ:0.00007%と極めて良好である。表2に試料とした鋼の成分を示す。
図3に本閉鎖系によるアルミニウムの検量線を示す。検量線の直線性は良好で、高精度な分析が可能である。
表1に、図3に示した検量線を用いて、鋼中のアルミニウムを定量した結果を示す。鋼中0.005mass%のアルミニウムがσ:0.3massppm未満、標準偏差で1mass%以下の良好な精度で定量できた。
また、亜鉛中0.003mass%のアルミニウムを定量したところ、鋼の場合と同程度の精度(σ:0.3massppm未満)で定量できた。表3に試料とした亜鉛の成分を示す。
P1〜P3 プランジャーパイプ
B1〜B4 三方バルブ
B5 六方バルブ
RC1、RC2 反応コイル
1 塩酸
2 アルカリ溶液
3 緩衝液
4 試料
5 サンプルループ
7 分離カラム
8 陰イオン交換分離部
9 超音波攪拌槽
10 pH調整部
11 中和後の溶液
12 恒温槽
13 反応部
14 検出部
15 カラム洗浄液
16 純水
6、17 廃液
B1〜B4 三方バルブ
B5 六方バルブ
RC1、RC2 反応コイル
1 塩酸
2 アルカリ溶液
3 緩衝液
4 試料
5 サンプルループ
7 分離カラム
8 陰イオン交換分離部
9 超音波攪拌槽
10 pH調整部
11 中和後の溶液
12 恒温槽
13 反応部
14 検出部
15 カラム洗浄液
16 純水
6、17 廃液
Claims (6)
- アルミニウムを含有する金属試料を溶液化して閉鎖系のフローシステムに注入し、金属マトリックスをイオン交換により分離除去後、pH調整して形成した錯体を検出しアルミニウムを定量化することを特徴とする金属材料中のアルミニウムの定量方法。
- 前記錯体が発色試薬によるもので、前記錯体の検出が吸光光度計によるものであることを特徴とする請求項1記載の金属材料中のアルミニウムの定量方法。
- 前記錯体が蛍光試薬によるもので、前記錯体の検出が蛍光光度計によるものであることを特徴とする請求項1記載の金属材料中のアルミニウムの定量方法。
- アルミニウムを含有する金属試料を酸性溶液化して閉鎖系のフローシステムに注入しアルミニウムの定量を行う金属材料中のアルミニウム定量装置であって、前記閉鎖系は、酸性溶液化した金属試料から陰イオン交換して金属マトリックスとアルミニウムを分離するイオン交換分離部と、分離後の酸性溶液のpHを調整するpH調整部と、アルミニウムの錯体を形成する反応部とアルミニウム錯体からアルミニウムの定量を行う検出部が順次配置されていることを特徴とする金属材料中のアルミニウム定量装置。
- 前記反応部が発色試薬とアルミニウムの錯体を形成し、前記検出部がアルミニウム錯体の吸光度を検出することを特徴とする請求項4記載の金属材料中のアルミニウム定量装置。
- 前記反応部が蛍光試薬とアルミニウムの錯体を形成し、前記検出部がアルミニウム錯体の蛍光強度を検出することを特徴とする請求項4記載の金属材料中のアルミニウム定量装置。
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2005
- 2005-02-28 JP JP2005053362A patent/JP2006234752A/ja active Pending
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