JP5463172B2 - 発泡成形体の製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、成形型のキャビティに複数の原料を注入して、キャビティ内で発泡成形体を成形する発泡成形体の製造装置と製造方法に関する。
従来、ノズル等からなる注入ヘッドにより、複数の発泡成形の原料を成形型のキャビティの各部に注入して混合し、それらを成形型内で発泡成形して発泡成形体を製造することが行われている。また、生産性を向上させるため、複数の成形型を原料の注入装置まで順に搬送し、注入装置で各成形型に原料を注入して、発泡成形体を連続して製造する製造装置が知られている(特許文献1参照)。
ところが、原料の注入時には、複数の原料をキャビティの複数箇所で互いに重複する部分に注入する必要があるため、注入ヘッドによる各原料の注入作業の繰り返しにより、複数の原料の注入開始から終了までの総時間が長くなる傾向がある。また、複数の原料を迅速に注入しようとしても、複数の注入ヘッドの移動に伴い注入ヘッド同士が干渉する虞があり、それらを円滑に移動させつつ、発泡成形体の製造に要するサイクルタイムを短縮させるのは難しい。従って、発泡成形体の生産性をより向上させる観点から、更なる改良が求められている。
特開2002−36246号公報
本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、成形型のキャビティに複数の発泡成形の原料を注入して発泡成形体を製造するときに、各原料を注入する複数の注入ヘッド同士の干渉を防止して複数の原料の注入を円滑かつ迅速に実行させ、発泡成形体の生産性を向上させることである。
本発明は、キャビティ内で発泡成形体を成形する成形型と、成形型を搬送する搬送装置とを備え、開放させた成形型のキャビティに複数の発泡成形の原料を注入して発泡成形体を製造する発泡成形体の製造装置であって、各原料をキャビティに注入する複数の注入ヘッドと、複数の注入ヘッドを順に、キャビティに設定された各原料の注入経路に沿って成形型の搬送方向の一方側から他方側に向けて移動させる移動手段と、移動手段を制御して、前の注入ヘッドが前記搬送方向の一方側から離れて注入経路中の所定位置まで移動したときに、次の注入ヘッドを前記搬送方向の一方側に移動させて注入経路に沿った移動を開始させる制御装置と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明は、発泡成形体の成形型を搬送する工程を有し、開放させた成形型のキャビティに複数の発泡成形の原料を注入して、キャビティ内で発泡成形体を成形する発泡成形体の製造方法であって、各原料を注入する複数の注入ヘッドを順に、キャビティに設定された各原料の注入経路に沿って成形型の搬送方向の一方側から他方側に向けて移動させる工程と、開放させた成形型のキャビティに、注入経路に沿って移動する各注入ヘッドから各原料を注入する工程と、成形型を閉鎖してキャビティ内で発泡成形体を成形する工程と、を有し、前記複数の注入ヘッドを順に移動させる工程が、前の注入ヘッドが前記搬送方向の一方側から離れて注入経路中の所定位置まで移動したときに、次の注入ヘッドを前記搬送方向の一方側に移動させて注入経路に沿った移動を開始させる工程を有することを特徴とする。
本発明によれば、成形型のキャビティに複数の発泡成形の原料を注入して発泡成形体を製造するときに、各原料を注入する複数の注入ヘッド同士の干渉を防止して複数の原料の注入を円滑かつ迅速に実行でき、発泡成形体の生産性を大いに向上させることができる。
本実施形態の発泡成形体の成形型を示す断面図である。 図1の矢印X方向から見た下型の平面図である。 発泡成形の原料の注入装置を模式的に示す要部側面図である。 本実施形態の発泡成形体の製造装置を模式的に示す要部平面図である。 原料の注入経路を模式的に示す下型の平面図である。 複数の注入ヘッドの移動手順を示す下型の平面図である。
以下、本発明の発泡成形体の製造装置(以下、製造装置という)と発泡成形体の製造方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の製造装置は、型開きして開放させた成形型のキャビティに、複数の発泡成形のための原料(以下、単に原料という)をそれぞれ注入して混合させ、混合原料をキャビティ内で発泡させて成形し、所定形状の発泡成形体を製造する。以下では、樹脂からなる2つの原料(発泡樹脂原料)をキャビティに注入して、成形型内で発泡させつつ成形及び硬化させて、発泡成形体として車両用シートパッドを製造する例を説明する。
なお、車両用シートパッドは、自動車等の車両の座席内に設けられるパッドであり、軟質や硬質のポリウレタンフォームにより、座席内の各部の形状に応じた形状に成形される。また、ここでは、主にイソシアネート成分からなる原液と、主にポリオール成分からなる原液に、それぞれ各種の発泡剤や添加剤等を添加した2つの原料を使用し、それらを混合して、成形型で発泡成形して発泡成形体を製造する。
図1は、本実施形態の製造装置が備える発泡成形体の成形型を示す断面図であり、発泡成形体を成形中の状態を模式的に示している。
成形型10は、図示のように、上下に重ねて組み合わされる上型11と下型12とを有し、両型11、12間に区画される内部のキャビティ13内で、クッション状の発泡成形体20を成形する。
上型11は、キャビティ13の上面を区画して発泡成形体20を成形する成形部11Aと、成形部11Aを囲む周縁部11Bとを有し、成形部11Aの下面が、成形する発泡成形体20の外面形状に応じた形状に形成されている。下型12は、キャビティ13の上面以外の下面と側面を区画して発泡成形体20を成形する成形部12Aと、成形部12Aを囲む周縁部12Bとを有する。下型12の成形部12Aは、発泡成形体20の略全体を収容する凹状をなし、内面の各部が、成形する発泡成形体20の各外面形状に応じた形状に形成されている。
これら上型11と下型12は、板状の周縁部11B、12B同士が重ね合わされて、それらの合わせ面がキャビティ13を囲んで全体に亘り当接する。その状態で、上型11と下型12は、下型12の成形部12Aが上型11の成形部11Aで塞がれて成形型10を閉鎖し、内部に、成形する発泡成形体20の形状に応じた形状のキャビティ13を区画する。ここでは、発泡成形体20は、両側の側部21に対して中央部22の厚さが薄くなっており、この発泡成形体20の形状に対応して、キャビティ13は、中央部に対して両側部の空間が相対的に大きく(厚く)なるように形成される。また、上型11と下型12は、上下方向に相対移動して接近及び離間し、或いは、ヒンジ等の連結部材により連結されて、連結部材の動作に伴い接近及び離間する方向に相対移動する。
本実施形態では、上型11を移動(図の矢印M)させて、上型11を、下型12から離間した開放(型開き)位置と、その周縁部11Bが下型12の周縁部12Bに当接した閉鎖(型閉め)位置との間で移動させる。その際、開閉装置(図示せず)により、上型11を開閉の両方向に移動させて成形型10を開閉し、上型11の型閉め位置への移動により、成形型10の内部にキャビティ13を区画して、その中で発泡成形体20を発泡成形して硬化させる。また、成形型10は、上型11を型開き位置へ移動させて、開放させた下型12のキャビティ13に対する原料の注入と、成形後の発泡成形体20の取り出しとが行われる。
図2は、図1の矢印X方向から見た下型12の平面図である。
下型12は、図示のように、全体として平面視矩形状をなし、キャビティ13の上部側が全体に亘って外部に向かって開口して、周縁部12B内の中央部にキャビティ13の開口部13Aが設けられている。この開口部13Aと凹状の成形部12Aとの間の空間が、下型12におけるキャビティ13になっており、開口部13Aから、キャビティ13へ複数(ここでは2つ)の原料が注入される。複数の原料は、注入装置により、それぞれ予め設定されたキャビティ13の複数の注入位置に注入されて、キャビティ13内の重複する部分に供給され、各注入位置を中心に混合される。その後、成形型10が型閉めされてキャビティ13が閉鎖され、上型11と下型12間のキャビティ13で発泡成形体20が成形される。
図3は、原料の注入装置を模式的に示す要部側面図である。
注入装置2は、図示のように、発泡成形の原料Gをキャビティ13に注入する注入ヘッド30と、注入ヘッド30を移動させる移動装置であるロボット40とを有する。注入ヘッド30は、注入装置2の原料Gを注入する先端部に設けられて、キャビティ13の各注入位置に移動して原料Gを注入する原料Gの注入先端部(注入先端装置)であり、ロボット40の先端に取り付けられている。また、注入ヘッド30は、先端に原料Gを注入するための注入口が設けられたノズル31と、ノズル31を支持するハンド32(又はホルダ)と、ノズル31を開閉して原料Gの注入を開始及び停止させる開閉機構(図示せず)とを有する。注入ヘッド30は、管路33を介して原料Gの供給源(図示せず)に接続され、供給源から供給される原料Gをノズル31から噴出させてキャビティ13に注入する。
ロボット40は、6つの旋回軸や回転軸を有する6軸の多関節ロボットであり、床面等に設置された基部41と、基部41の上面上で旋回する旋回部42とを有する。また、ロボット40は、旋回部42から関節(軸部)43を挟んで順に連結された2つのアーム44、45及び手首部46と、以上の各部をそれぞれに応じて駆動する各種アクチュエータ等からなる駆動手段(図示せず)とを有する。ロボット40は、旋回部42の旋回、アーム44、45と手首部46の関節43を中心にした屈曲、及び、アーム45と手首部46の回転(それぞれ図3の矢印J1〜J6に対応)を組み合わせて、手首部46に連結されたハンド32を移動させる。
注入装置2は、このようにロボット40を作動させて、注入ヘッド30を、任意の向きや状態に配置しつつ移動可能範囲内の任意の位置に移動させる。これにより、注入装置2は、予め設定された動作パターンに基づき、注入ヘッド30を、キャビティ13の開口部13Aの範囲で移動させて、注入ヘッド30による原料Gの注入を行う。また、注入装置2は、各原料Gをキャビティ13に注入する複数の注入ヘッド30と、各注入ヘッド30を移動させる複数のロボット40とを有し、複数の注入ヘッド30により、それぞれ所定のタイミングで各原料Gを注入させる。本実施形態では、上記のように2つの原料G(GA、GB)を使用して発泡成形体20を成形するため、注入装置2は、2つの注入ヘッド30(30A、30B)及びロボット40(40A、40B)を有する。即ち、注入装置2は、第1と第2の原料GA、GBをキャビティ13に各々注入する第1と第2の注入ヘッド30A、30B、及び、第1と第2の注入ヘッド30A、30Bを各々移動させる第1と第2の移動装置(ロボット40A、40B)からなる。
図4は、この注入装置2を含む製造装置を模式的に示す要部平面図である。
製造装置1は、図示のように、保持部材(図示せず)に保持された複数(図では8つ)の成形型10と、それらを所定の搬送方向(図4の矢印H)に搬送する搬送装置3と、装置全体を制御する制御装置50とを備えている。搬送装置3は、環状(ここでは円形状)をなすコンベヤ3Aと、コンベヤ3Aを循環駆動する駆動装置(図示せず)とを有し、コンベヤ3A上に複数の成形型10が一定間隔で配置され、コンベヤ3Aを循環駆動して成形型10を所定速度で搬送する。
製造装置1は、搬送装置3により、複数の成形型10を搬送方向Hに搬送して、コンベヤ3A上の搬送経路内で循環させ、搬送経路中の各搬送範囲(図4の矢印P1〜P8)で、発泡成形体20の製造に関する各工程を順に行う。具体的には、製造装置1は、搬送範囲P1で、搬送装置3の内側や外側(ここでは外側)に設置された注入装置2により、開放させた成形型10のキャビティ13に複数の原料Gを注入して、搬送範囲P2で成形型10を閉鎖する。次に、搬送範囲P3〜P5で、成形型10を加熱手段(図示せず)により加熱して、成形型10内の発泡成形体20を加熱処理し、搬送範囲P6で成形型10を開放する。続いて、搬送範囲P7、P8で成形型10から発泡成形体20を取り出し、搬送範囲P1で、再び原料Gをキャビティ13に注入する。製造装置1は、循環する複数の成形型10を使用して発泡成形体20の製造ラインを構成し、それぞれの成形型10で各工程を繰り返し行い、成形型10の循環に合わせて発泡成形体20を連続して製造する。
ここで、製造装置1は、搬送範囲P1に、上記した第1と第2の注入ヘッド30A、30Bを保持した第1と第2のロボット40A、40Bを有し、それらが成形型10に隣接して搬送方向Hに並べて設置されている。本実施形態では、第1の注入ヘッド30Aと第1のロボット40Aが、搬送方向Hの上流側(図4では右側)に、第2の注入ヘッド30Bと第2のロボット40Bが、搬送方向Hの下流側(図4では左側)に配置される。第1と第2のロボット40A、40Bは、搬送範囲P1まで搬送されて通過する成形型10に対して、搬送方向Hの各配置位置から、互いに異なるタイミングで注入ヘッド30A、30Bを移動させて、各原料GA、GBの注入動作を実行させる。
また、第1と第2のロボット40A、40Bには、成形型10側の所定位置に、それぞれの注入ヘッド30A、30Bを移動させるときの移動の基準となる基準位置KA、KBが各々設定されている。第1と第2のロボット40A、40Bは、各原料GA、GBの注入時に、それぞれ基準位置KA、KBを原点として注入ヘッド30A、30Bの移動を制御し、基準位置KA、KBを初期位置として注入ヘッド30A、30Bの移動を開始させる。その後、注入ヘッド30A、30Bを、成形型10の上方で移動させてキャビティ13へ原料GA、GBを注入させ、注入終了後に、注入ヘッド30A、30Bを基準位置KA、KBまで移動させて基準位置KA、KBで停止させる。このように、第1と第2のロボット40A、40Bは、複数の注入ヘッド30A、30Bを移動させる移動手段4を構成し、制御装置50により制御されて関連して動作する。なお、「基準位置」とは、注入装置2の注入ヘッド30の座標の基準を決めて、注入装置2に認識させるための位置であり、いわゆる作業原点(ゼロ点)のことをいう。
制御装置50は、例えばマイクロプロセッサ(MPU)51と、各種処理のためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)52と、MPU51が直接アクセスするデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)53等を備えたマイクロコンピュータを有する。また、制御装置50は、MPU51によりROM52に格納されたプログラムを実行することで得られる機能実現手段として、制御や発泡成形体20の製造処理を行う各手段を有する。制御装置50は、接続された移動手段4や搬送装置3等の製造装置1の各部を制御して、発泡成形体20を製造するための各動作を実行させる。
次に、製造装置1により発泡成形体20を製造する処理や手順、及び、発泡成形体20の製造方法について説明する。
この製造装置1では、まず、搬送装置3により発泡成形体20の成形型10を上記のように搬送しつつ、上型11(図1参照)を下型12から離間させて成形型10を型開きする。続いて、キャビティ13内に成形後の発泡成形体20があるときには発泡成形体20を取り出し、成形型10を注入装置2の位置(図4の搬送範囲P1)まで搬送する。次に、注入装置2を作動させて、移動手段4により注入ヘッド30A、30Bを移動させ、開放させた成形型10(下型12)のキャビティ13(図2参照)に、注入ヘッド30A、30Bから原料GA、GBを順に注入する。その際、注入ヘッド30A、30Bを所定の注入経路に沿って移動させて、原料GA、GBをキャビティ13に注入する。
図5は、原料GA、GBの注入経路を模式的に示す下型12の平面図であり、図2に示す下型12に対して、右に90度回転させた下型12を示している。
各原料GA、GBの注入経路Tは、図示のように、キャビティ13の寸法や形状等に応じて、原料GA、GBをキャビティ13の全体に適宜注入できるように、その全体に亘って、かつ、搬送装置3による成形型10の搬送方向Hの一方側から他方側に向けて設定される。原料GA、GBは、注入ヘッド30A、30Bにより、それぞれキャビティ13に設定された注入経路Tに沿って、注入経路T中の複数の注入位置(図5の丸で示す位置)でキャビティ13に順に注入される。
即ち、移動手段4は、各原料GA、GBを注入する複数の注入ヘッド30A、30Bを順に、キャビティ13に設定された各原料GA、GBの注入経路Tに沿って移動させつつ、キャビティ13の範囲内で、成形型10の搬送方向Hの一方側から他方側に向けて移動させる。その際、移動手段4は、キャビティ13の深さ等に応じて、注入ヘッド30A、30Bを上下方向にも移動させる。また、移動手段4は、注入ヘッド30A、30Bを、各注入位置で原料GA、GBの注入に必要な時間だけ停止させて、原料GA、GBをキャビティ13に所定量注入させる。
本実施形態では、搬送方向Hの一方側が搬送方向Hの下流側(図5では左側)、搬送方向Hの他方側が搬送方向Hの上流側(図5では右側)であり、注入動作時に、注入ヘッド30A、30Bを搬送方向Hの下流側から上流側に移動させる。また、注入経路Tは、搬送方向Hの下流側と上流側で、搬送方向Hと交差する方向(図5では上下方向)に延び、それらの間で搬送方向Hに傾斜して延びる屈曲形状に設定されている。注入ヘッド30A、30Bは、この注入経路Tに沿って、搬送方向Hの下流側で移動(位置R1から位置R2まで、注入装置2の基部41に近づく方向に移動)して、上流側に向けて傾斜方向に移動(位置R2から位置R3)し、上流側で下流側と同じ方向に移動(位置R3から位置R4)して移動を終了する。その際、移動手段4は、搬送方向Hの上流側から搬送される成形型10に対して、上流側に位置する第1の注入ヘッド30Aから移動させて、キャビティ13に第1の原料GAを注入させる。また、第1の注入ヘッド30Aがキャビティ13内で搬送方向Hの下流側から移動した後、その移動中の所定のタイミングで、搬送方向Hの下流側に位置する第2の注入ヘッド30Bの移動を開始させる。
図6は、複数の注入ヘッド30A、30Bの移動手順を示す下型12の平面図である。
製造装置1は、制御装置50により移動手段4を制御して、まず、第1の注入ヘッド30A(図6A参照)の移動を注入経路Tの位置R1から開始させて、第1の注入ヘッド30Aを搬送方向Hの上流側の位置R3まで移動させる。また、第1の注入ヘッド30Aが位置R3まで移動するのに合わせて、第2の注入ヘッド30B(図6B参照)を搬送方向Hの下流側に移動させて、その位置R1からの移動を開始させる。次に、両注入ヘッド30A、30Bを、注入経路Tの異なる範囲で同時に移動させ(図6C参照)、第1の注入ヘッド30Aの移動を位置R4で終了させた後、第2の注入ヘッド30Bの移動を位置R2、R3を経て位置R4で終了させる(図5参照)。
このように、制御装置50は、移動手段4を制御して、第1の注入ヘッド30A(前の注入ヘッド)が、搬送方向Hの一方側(ここでは下流側)から離れて注入経路T中の所定位置まで移動したときに、第2の注入ヘッド30B(次の注入ヘッド)を搬送方向Hの一方側に移動させて、その注入経路Tに沿った移動を開始させる。製造装置1は、これら注入経路Tに沿って移動する各注入ヘッド30A、30Bから、開放させたキャビティ10の各注入位置に各原料GA、GBを注入して、各原料GA、GBの注入を順に完了させる。これにより、第1の注入ヘッド30Aが搬送方向Hの下流側から上流側に向けて移動した後、第1の注入ヘッド30Aによる第1の原料GAの注入が完了する前に(ここでは上流側まで移動したとき)、第2の注入ヘッド30Bによる第2の原料GBの注入を開始させる。続いて、第1の注入ヘッド30Aによる第1の原料GAの注入を完了させつつ、第2の注入ヘッド30Bにより搬送方向Hの下流側で第2の原料GBを注入させて、第2の注入ヘッド30Bを、搬送方向Hの上流側に向けて移動させて第2の原料GBの注入を完了させる。
なお、第1の注入ヘッド30Aの上記した注入経路T中の所定位置は、少なくとも第2の注入ヘッド30Bを移動開始位置R1に移動させて、その注入経路Tに沿った移動を開始できる位置が設定される。併せて、この所定位置は、両注入ヘッド30A、30B同士を干渉させずに注入経路Tに沿って併行して移動できる位置が、注入経路Tの下流側から離れた上流側に向かう途中に、又は上流側(ここでは上流側まで移動したときの位置R3)に設定される。その際、所定位置は、両注入ヘッド30A、30Bの移動開始の間隔ができるだけ短くなるように注入経路T中に設定するのが望ましい。従って、互いに干渉しなければ、第1の注入ヘッド30Aが位置R3まで移動する前に、第2の注入ヘッド30Bを搬送方向Hの下流側に移動させることもできる。
また、この製造装置1では、搬送装置3により成形型10を搬送しながら搬送を停止せずに、複数の発泡成形の原料GA、GBを成形型10のキャビティ13に注入する。そのため、移動手段4は、注入ヘッド30A、30Bを、搬送方向Hの下流側に移動する成形型10の移動に合わせて移動させつつ、キャビティ13内で注入経路Tに沿って移動させる。加えて、注入経路Tは、搬送方向Hの他方側(ここでは上流側)における移動終了位置R4が、キャビティ13の注入装置2に近い側(図4参照)であり、各注入ヘッド30A、30Bに設定された上記した移動の基準位置KA、KB側に設定される。よって、移動手段4は、キャビティ13内で、各注入ヘッド30A、30Bを、搬送方向Hの上流側まで移動させて各移動の基準位置KA、KB側で、注入経路Tに沿った移動を終了させる。
製造装置1は、これら移動する各注入ヘッド30A、30Bにより、複数の発泡成形の原料GA、GBを、開放させた成形型10のキャビティ13に、その重複する部分に注入して混合し、成形型10を閉鎖する。続いて、キャビティ13内で発泡成形体20を発泡成形させて所定形状に成形し、上記した加熱処理等を経て、成形型10を開放して成形型10から発泡成形体20を取り出す。製造装置1は、これら成形の各工程を繰り返して、キャビティ13内で複数の原料GA、GBからなる発泡成形体20を成形して、発泡成形体20を連続して製造する。
以上説明したように、本実施形態では、第1の注入ヘッド30Aが注入経路T中の所定位置まで移動したときに、第2の注入ヘッド30Bの注入経路Tに沿った移動を開始させ、それらを順に移動させて原料GA、GBをキャビティ13に注入する。そのため、両注入ヘッド30A、30Bを互いに干渉するのを防止して円滑に移動させて、各原料GA、GBの注入動作を併行して実行させることができる。また、各原料GA、GBを、その注入期間を一部重複させてキャビティ13に注入できるため、全原料GA、GBの注入開始から終了までの総時間を短縮させることもできる。これに伴い、原料GA、GBをキャビティ13に迅速に注入して、発泡成形体20の製造のサイクルタイムを短縮させることができる。
従って、本実施形態によれば、発泡成形体20を製造するときに、各原料GA、GBを注入する複数の注入ヘッド30A、30B同士の干渉を防止して複数の原料GA、GBの注入を円滑かつ迅速に実行でき、発泡成形体20の生産性を大いに向上させることができる。また、注入経路Tに沿った注入ヘッド30A、30Bの移動を、キャビティ13の注入装置2(基部41)側の基準位置KA、KB側で終了させることで、原料GA、GBの注入を完了した注入ヘッド30A、30Bと基準位置KA、KBとの間の距離を短くできる。その結果、注入ヘッド30A、30Bを基準位置KA、KBに短時間で復帰させて、次に原料GA、GBの注入を開始するまでに要する時間を短縮できるため、成形型10の搬送速度を速くして、より生産性を向上できる。
ここで、キャビティ13への原料GA、GBの注入は、注入中と注入前後で、成形型10の搬送速度を変化させずに行ってもよく、搬送速度を変更して行ってもよい。又は、原料GA、GBの注入は、成形型10の搬送を停止して行うようにしてもよい。しかしながら、成形型10を搬送しながら原料GA、GBをキャビティ13に注入するときには、成形型10を停止させて原料GA、GBを注入する間欠運転と比べて、本発明を用いることにより、時間の損失を低減して生産性を一層向上できる。そのため、原料GA、GBの注入は、成形型10を搬送しながら行うのがより好ましい。また、注入ヘッド30A、30Bによる注入の順序は逆にすることもでき、第2の注入ヘッド30Bから注入を開始させてもよい。
更に、この製造装置1では、注入ヘッド30A、30Bを搬送方向Hの下流側から上流側に向けて移動させたが、注入ヘッド30A、30Bは、搬送方向Hの上流側から下流側に向けて移動させるようにしてもよい。この場合には、注入ヘッド30A、30Bの干渉を考慮して、注入ヘッド30A、30Bによる注入の順序を逆にすればよい。このようにしても、注入ヘッド30A、30B同士の干渉を防止等して、発泡成形体20の生産性を充分に向上できる。ただし、成形型10を搬送しつつ、注入ヘッド30A、30Bを搬送方向Hの下流側から上流側に向けて移動させると、その移動中に逆方向に搬送される成形型10の搬送距離に応じて、注入ヘッド30A、30Bの移動距離が短縮する。これにより、注入ヘッド30A、30Bの移動にかかる時間も短縮して、生産性をより一層向上できる。
なお、各原料GA、GBは、発泡成形体20の発泡成形に必要な1つの成分からなる原料でもよく、複数の成分等を混合させた原料でもよい。また、キャビティ13に注入する原料Gと注入ヘッド30の数は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。3つ以上の注入ヘッド30を使用するときには、3つ目から後の注入ヘッド30は、上記と同様に、それぞれ前の注入ヘッド30が注入経路T中の所定位置まで移動したときに、注入経路Tに沿った移動を開始させる。更に、成形型10は、円形状の経路で搬送する他に、楕円形状や矩形状、又は多角形状の経路で搬送してもよく、レール上を走行する走行体に設置して搬送する等、コンベヤ3A以外の搬送装置で搬送してもよい。原料GA、GBの注入経路Tも、例えば平面視S字状、W字状、U字状、M字状等、上記と異なる屈曲形状や湾曲形状、又は直線形状に設定することもできる。加えて、複数の注入ヘッド30の注入経路Tは、互いに異なる経路を設定してもよい。
1・・・発泡成形体の製造装置、2・・・注入装置、3・・・搬送装置、4・・・移動手段、10・・・成形型、11・・・上型、12・・・下型、13・・・キャビティ、20・・・発泡成形体、30・・・注入ヘッド、31・・・ノズル、32・・・ハンド、33・・・管路、40・・・ロボット、41・・・基部、42・・・旋回部、43・・・関節、44、45・・・アーム、46・・・手首部、50・・・制御装置、51・・・MPU、52・・・ROM、53・・・RAM、K・・・基準位置、G・・・原料、H・・・搬送方向、T・・・注入経路。

Claims (8)

  1. キャビティ内で発泡成形体を成形する成形型と、成形型を搬送する搬送装置とを備え、開放させた成形型のキャビティに複数の発泡成形の原料を注入して発泡成形体を製造する発泡成形体の製造装置であって、
    各原料をキャビティに注入する複数の注入ヘッドと、
    複数の注入ヘッドを順に、キャビティに設定された各原料の注入経路に沿って成形型の搬送方向の一方側から他方側に向けて移動させる移動手段と、
    移動手段を制御して、前の注入ヘッドが前記搬送方向の一方側から離れて注入経路中の所定位置まで移動したときに、次の注入ヘッドを前記搬送方向の一方側に移動させて注入経路に沿った移動を開始させる制御装置と、
    を備えたことを特徴とする発泡成形体の製造装置。
  2. 請求項1に記載された発泡成形体の製造装置において、
    搬送装置により成形型を搬送しながら複数の発泡成形の原料をキャビティに注入することを特徴とする発泡成形体の製造装置。
  3. 請求項2に記載された発泡成形体の製造装置において、
    前記搬送方向の一方側が搬送方向の下流側であり、前記搬送方向の他方側が搬送方向の上流側であることを特徴とする発泡成形体の製造装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載された発泡成形体の製造装置において、
    移動手段が、キャビティ内で、各注入ヘッドを前記搬送方向の他方側まで移動させて、各注入ヘッドに設定された移動の基準位置側で注入経路に沿った移動を終了させることを特徴とする発泡成形体の製造装置。
  5. 発泡成形体の成形型を搬送する工程を有し、開放させた成形型のキャビティに複数の発泡成形の原料を注入して、キャビティ内で発泡成形体を成形する発泡成形体の製造方法であって、
    各原料を注入する複数の注入ヘッドを順に、キャビティに設定された各原料の注入経路に沿って成形型の搬送方向の一方側から他方側に向けて移動させる工程と、
    開放させた成形型のキャビティに、注入経路に沿って移動する各注入ヘッドから各原料を注入する工程と、
    成形型を閉鎖してキャビティ内で発泡成形体を成形する工程と、を有し、
    前記複数の注入ヘッドを順に移動させる工程が、前の注入ヘッドが前記搬送方向の一方側から離れて注入経路中の所定位置まで移動したときに、次の注入ヘッドを前記搬送方向の一方側に移動させて注入経路に沿った移動を開始させる工程を有することを特徴とする発泡成形体の製造方法。
  6. 請求項5に記載された発泡成形体の製造方法において、
    成形型を搬送しながら複数の発泡成形の原料をキャビティに注入することを特徴とする発泡成形体の製造方法。
  7. 請求項6に記載された発泡成形体の製造方法において、
    前記搬送方向の一方側が搬送方向の下流側であり、前記搬送方向の他方側が搬送方向の上流側であることを特徴とする発泡成形体の製造方法。
  8. 請求項5ないし7のいずれかに記載された発泡成形体の製造方法において、
    前記複数の注入ヘッドを順に移動させる工程が、キャビティ内で、各注入ヘッドを前記搬送方向の他方側まで移動させて、各注入ヘッドに設定された移動の基準位置側で注入経路に沿った移動を終了させる工程を有することを特徴とする発泡成形体の製造方法。
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