JP5459542B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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リテーナ部材は、断面ゲート型に形成されており、リテーナ部材の底板が巻き掛け伝動部材の内周に当接することにより、巻き掛け伝動部材の弦部の振動を抑制する。
すなわち、動力伝達装置の変速比の変更に伴う弦の揺動運動に追従するように、スタビライザを揺動することができる。これにより、変速比に拘らず、スタビライザが弦に過大な力で押圧されることを抑制できるので、伝動部材が受ける抵抗を少なくできる。これにより、伝動部材の弦振動を抑制しつつ、伝動効率を高くできる。
また、本発明において、上記噴射孔には、潤滑油中の異物を除去するためのストレーナが備えられている場合がある(請求項3)。この場合、噴射孔から噴射される潤滑油中に異物が混じることを抑制することができる。したがって、伝動部材に異物が混入することを抑制できる。これにより、伝動部材のスムーズな屈曲をより確実にすることができ、また、伝動部材とプーリとの接触部分に異物が噛み込むことを抑制できる。
図1は、本発明の一参考形態に係るスタビライザを含む、動力伝達装置としての無段変速機の概略構成を示す模式的側面図である。また、図2は、無段変速機1の一部破断模式的平面図である。
図1および図2を参照して、無段変速機1は、自動車等の車両に搭載されるものであり、第1のプーリ2(プライマリープーリ)と、第2のプーリ3(センカダリープーリ)と、両プーリ2,3間に巻き掛けられた無端状の伝動部材としてのチェーン4と、両プーリ2,3およびチェーン4を収容したケーシング5と、チェーン4が挿通されるスタビライザ17と、各プーリ2,3のクランプ力を制御する制御部9とを備えている。
各連結部材62は、第1のピン63と第2のピン64とを含んでいる。第1のピン63と第2のピン64とが相対的に転がり摺動接触することにより、リンク61同士の走行方向Xの屈曲が可能とされている。転がり摺動接触とは、転がり接触およびすべり接触の少なくとも一方を含む接触状態をいう。
本実施の形態では、スタビライザ17が、張り側の弦領域4aに取り付けられる場合に則して説明するが、上記のスタビライザ17を、緩み側の弦領域4bにも取り付けるようにしてもよいし、弦領域4aには取り付けられなくてもよい。
駆動源10から入力軸11に回転駆動力が入力されると、入力軸11および第1のプーリ2が同行回転する。そして、この第1のプーリ2の回転は、チェーン4を介して、第2のプーリ3に伝達される。無段変速機1は、第1のプーリ2の有効半径および第2のプーリ3の有効半径を変更させることにより、変速比(第2のプーリ3の回転速度/第1のプーリ2の回転速度)を連続的に変化させることができる。
図3および図3のIV−IV線に沿う断面図である図4を参照して、ケーシング5は、チェーン4をその幅方向W1に挟む一対の側壁5a,5bを含んでいる。スタビライザ17は、一対の側壁5a,5bの間に配置されている。スタビライザ17は、例えば2つ割り形状とされており、両プーリ間に巻き掛けられた後のチェーン4に取り付けられる。スタビライザ17の材質は金属でもよいし、合成樹脂でもよい。2つ割り形状を一体化するには、嵌め合わせでもよいし、溶接または融着でもよいし、ねじ止めとしてもよい。
梁部30は、スタビライザ17をケーシング5に固定するためのものであり、梁部本体32と、梁部本体32からスタビライザ17の幅方向W2の両側から突出する一対の突出部33,34とを含んでいる。突出部33,34は、柱形形状に形成されており、幅方向W2と平行な方向に沿って互いに同軸に並んでいる。一対の突出部33,34の基端は梁部本体32に固定されており、一対の突出部33,34の先端は、ケーシング5の対応する側壁5a,5bにそれぞれ固定されている。梁部本体32は、一対の突出部33,34からチェーン4の弦領域4a側に延びている。
これら内対向壁21、外対向壁22および一対の側壁23,24によって、弦領域4aを全周に亘って取り囲みこの弦領域4aを若干の遊びをもって挿通させる挿通路25が区画されている。
一方の側壁23の内側面23aと、他方の側壁24の内側面24aは、それぞれ、弦振動方向Yと略平行に延びている。スタビライザ本体17の幅方向W2に関する内側面23a,24a間の間隔E1は、チェーン4の横幅(幅方向W1に関する長さ)E2よりも大きい値とされている(E1>E2)。
内対向壁21の内側面21aは、側面視において、チェーン4の弦領域4aに向けて滑らかに凸となる山形形状に形成されており、且つ、走行方向Xに対称な形状となっている。この内側面21aは、チェーン4の内周4cに隣接しており、頂部35と、頂部35を挟んで配置される第1の傾斜部36および第2の傾斜部37とを含んでいる。
図3を参照して、第1の傾斜部36は、頂部35に対して走行方向Xの下流側に配置されている。この第1の傾斜部36は、主に、無段変速機1が減速装置として機能しているときにチェーン4の弦領域4aの弦振動を抑制するためのものであり、走行方向Xに進むに従い、弦振動方向Yに関してチェーン4の弦領域4aから離れる方向に向かっている。側面視における第1の傾斜部36の傾斜方向は、無段変速機1がアンダードライブ(減速)時で且つ減速比が最も大きいときの、チェーン4の弦領域4aの延びる方向に略沿うようにされている。挿通路25の出口25cにおいて、第1の傾斜部36には、チェーン4の脱出をスムーズにするためのフィレット(R状部)38が形成されている。
潤滑油供給路42は、梁部30および内対向壁21に形成されている。潤滑油供給路42の先端は、内側面21aの頂部35に開放されており、チェーン4の内周4cに潤滑油を供給(噴射)する噴射孔44が形成されている。噴射孔44は、スタビライザ17の幅方向W2に関する内側面21aの略中央に配置されている。噴射孔44には、潤滑油中の異物を除去するためのストレーナ45が取付けられている。
図5において、実線で示されたチェーン4は、無段変速機1の変速比が1であるとき(等速時)のチェーン4の位置を示している。また、二点鎖線で示されたチェーン4は、無段変速機1のアンダードライブ時で且つ減速比が最も高いときのチェーン4の位置を示している。また、破線で示されたチェーン4は、無段変速機1のオーバードライブ時で且つ増速比が最も高いときのチェーン4の位置を示している。
このように、オーバードライブ時には、スタビライザ17の内側面21aの第2の傾斜部37がチェーン4の内周4cに摺接するとともに、内側面22aの第2の傾斜部41がチェーン4の外周4dに摺接している。なお、無段変速機1が増速装置として機能しているときには、各第2の傾斜部37,41はチェーン4に摺接可能である。
このように、アンダードライブ時には、スタビライザ17の内側面21aの第1の傾斜部36がチェーン4の内周4cに摺接するとともに、内側面22aの第1の傾斜部40がチェーン4の外周4dに摺接している。なお、無段変速機1が減速装置として機能しているときには、各第1の傾斜部36,40はチェーン4に摺接可能である。
中間点P1,P2は、各プーリ2,3の中心軸線C1,C2と平行な方向に沿ってみた場合に(側面視において)、変速に拘らず位置が概ね変化しない位置となっている。
本参考形態によれば、スタビライザ17は、弦領域4aの周囲を全周に亘って取り囲む。したがって、チェーン4が弦振動したとき、スタビライザ17は、チェーン4の内周4cと外周4dの両方に接触することができる。これにより、チェーン4の弦振動をスタビライザ17単体で確実に抑制することができる。スタビライザ17単体でチェーン4の弦振動を確実に抑制することができるので、スタビライザ17と他の部材との協働により弦振動を抑制する必要がない。したがって、スタビライザ17の配置の自由度を高くすることができる。
さらに、弦領域4aが、スタビライザ17の内側面22aに軽圧接されていることにより、弦領域4aの弦振動をより確実に抑制することができる。
また、噴射孔44には、潤滑油中の異物を除去するためのストレーナ45が備えられている。これにより、噴射孔44から噴射される潤滑油中に異物が混じることを抑制することができる。したがって、チェーン4に異物が混入することを抑制できる。これにより、チェーン4のスムーズな屈曲をより確実にすることができ、また、チェーン4と各プーリ2,3との接触部分に異物が噛み込むことを抑制できる。
例えば、図7に示すように、梁部30の梁部本体32と内対向壁21との間にコイルばね等の弾性部材47を介装し、梁部30に対してスタビライザ本体31を弾性支持してもよい。弾性部材47は、例えば、2つ(複数)設けられて、走行方向Xに沿って並んでおり、スタビライザ本体31の回転を規制している。弾性部材47は、内側面21aがチェーン4の内周4cに軽圧接されるように、スタビライザ本体31を付勢している。
オーバードライブ時(増速時)には、弦領域4a側のスタビライザ本体31の第2の傾斜部37,41が弦領域4aに摺接するとともに、弦領域4b側のスタビライザ本体31の第2の傾斜部37,41が弦領域4bに摺接する。
図9(a)は、本発明の一実施形態の模式的側面図であり、図9(b)は、図9(a)の要部の拡大断面図であり、図10(a)は、図9(b)のXa−Xa線に沿う断面図であり、図10(b)は、図10(a)のXb−Xb線に沿う断面図である。
図9(b)および図10(a)を参照して、スタビライザ171は、スライダ49と、スライダ49によって案内されるスタビライザ本体311とを備えている。
スライダ49は、揺動中心F1回りのスタビライザ本体311の揺動を案内するためのものであり、揺動中心F1回りの揺動方向Jに関してケーシング5と相対摺動可能である。
図9(b)および図10(b)を参照して、ガイド溝52は、揺動中心F1を中心とする円弧形形状に形成されており、一方の側壁5a内に配置される第1の部分53と、第1の部分53よりも幅(側面視における横幅)が狭く形成され一方の側壁5aの内側面5bに開放された第2の部分54とを含んでいる。
図9(a)を参照して、スタビライザ本体311は、第1および第2のプーリ2,3の対向方向Zに関して、揺動中心F1とは異なる位置に配置されており、チェーン4の弦領域4aによって支持されている。図10(a)を参照して、このスタビライザ本体311は、例えば2つ割り形状とされており、第1および第2プーリ間に巻き掛けられた後のチェーン4に取り付けられる。
挿通路251の内側面251aは、チェーン4の内周4cに対向する内対向壁211の内側面(第1の対向面)211aと、チェーン4の外周4dに対向する外対向壁221の内側面221aと、一方の側壁231の内側面231aと、他方の側壁241の内側面(第2の対向面)241aと、を含んでいる。
図9(b)を参照して、内対向壁211の内側面211aは、側面視において、走行方向Xと略平行な平坦面に形成されており、チェーン4の内周4cに隣接している。走行方向Xに関する挿通路251の入口251bおよび出口251cにおいて、内側面211aには、チェーン4の出入りをスムーズにするためのフィレット(R状部)38がそれぞれ形成されている。
以上の構成により、チェーン4の弦領域4aが基準軸線H1回りに揺動すると、スタビライザ17は、基準軸線H1と合致する揺動中心F1回りに揺動する。このとき、スライダ49は、ガイド溝52内を揺動中心F1回りに揺動する。
変速比が1の状態からアンダードライブで且つ減速比が最大の状態になるように変速されると、弦領域4aは、図9(b)の実線で示す位置から2点鎖線で示す位置に変位する。この弦領域4aの変位に伴って、スタビライザ171は、図9(b)に2点鎖線で示す位置に変位する。
また、各上記実施の形態において、上側の弦領域4aが張り側の弦領域4aであり、下側の弦領域が弛み側の弦領域4bであったが、第1および第2のプーリ2,3が図1の回転方向とは逆方向に回転する場合には、上側の弦領域が弛み側の弦領域4bとなり、下側の弦領域が張り側の弦領域4aとなる。また、伝動部材として、チェーンに代えて、ベルトを用いるようにしてもよい。
Claims (3)
- 溝幅をそれぞれ変更可能な第1および第2のプーリと、
これらのプーリ間に巻き掛けられ、一対の端面が対応するプーリの溝に係合して動力を伝達する無端状の伝動部材と、
上記伝動部材の弦の周囲を全周に亘って取り囲みこの弦の振動を抑制するスタビライザと、を備え、
上記スタビライザは、各上記プーリの互いの対向方向に関して上記スタビライザとは異なる位置に配置され上記第1のプーリの中心軸線とは平行な所定の揺動中心回りに揺動可能であり、
上記動力伝達装置の変速比を変更するために各上記プーリの溝幅が変更される際、上記弦は、上記揺動中心回りに揺動するように構成されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 請求項1において、上記スタビライザは、上記伝動部材に向けて開口する噴射孔を有する潤滑油供給路を含んでいることを特徴とする動力伝達装置。
- 請求項2において、上記噴射孔には、潤滑油中の異物を除去するためのストレーナが備えられていることを特徴とする動力伝達装置。
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