JP5459125B2 - 光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器 - Google Patents

光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器に関するものである。
従来から、環境にやさしい電源として、シリコンを用いた光電変換素子、いわゆる太陽電池が注目を集めている。シリコンを用いた太陽電池の中には、人工衛星等に用いられる単結晶シリコン型の太陽電池もあるが、実用的なものとしては、特に多結晶シリコンを用いた太陽電池や、アモルファスシリコンを用いた太陽電池が、産業用や家庭用として実用化が始まっている。
しかしながら、これらのシリコンを用いた太陽電池は、いずれも、製造コストが高く、また、製造に多大なエネルギーを必要とするため、必ずしも省エネルギーな電源とは言えなかった。
これに替わる次世代の太陽電池として開発され、製造コストが安く、また、製造エネルギーが少ないとされる色素増感型の太陽電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この太陽電池では、色素を半導体層に単に吸着させた構成であるため、発生した電子(キャリア)を半導体層に効率よく伝達し、外部回路に取り出すことができないという問題がある。
特開2002−175844号公報
本発明の目的は、高い光電変換効率が得られる光電変換素子、かかる光電変換素子を素子毎の特性のバラツキを抑えつつ、簡易な工程で製造し得る光電変換素子の製造方法、および、かかる光電変換素子を有し、信頼性の高い電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明に係る光電変換素子は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた光電変換層と、を有し、前記光電変換層は、ポリマーを含み、前記ポリマーは、前記第1の電極の前記第2の電極側の面に化学的または静電的に結合した第1の化合物を含む接続部と、前記接続部に結合した光電変換部と、吸収体で発生したキャリアを前記吸収体から前記第1の電極側に移動するのを媒介する機能を有するキャリア媒介部とを含み、前記光電変換部は、光を吸収して少なくとも1種類のキャリアを発生させる光吸収体を有する第2の化合物を前記接続部を基点としてリビング重合させ形成したことを特徴とする。
上記の光電変換素子においては、前記第1の電極に前記光吸収体を有する前記ポリマーが結合していることから、前記光吸収体で生成したキャリアが速やかに前記第1の電極に移動することが可能となり、これにより、高い光電変換効率が得られる光電変換素子となる。
上記の光電変換素子において、前記ポリマーは、前記光吸収体を主鎖から分枝した側鎖に有してもよい。
前記側鎖に前記光吸収体を有するポリマーは比較的重合の制御が容易であり、前記ポリマーに含まれる前記光吸収体の数をある程度制御できる。このため、光電変換効率を容易に所望のものとすることができる。
上記の光電変換素子において、前記光吸収体はクマリン骨格を含むものであってもよい。
クマリン骨格を含む化合物は一般に堅牢であり、化学的にも比較的安定であるため、耐用回数等に優れた光電変換素子となる。
上記の光電変換素子において、前記ポリマーの主鎖の一部が前記キャリア媒介部として機能するようにしてもよい。
前記キャリア媒介部として前記ポリマーの主鎖の一部を利用することにより、キャリア移動に対した結合を介した相互作用(スルーボンド相互作用)も利用することが可能となり、より迅速かつ確実にキャリアを前記第1の電極に移動させることができる。
上記の光電変換素子において、前記キャリア媒介部は、フラーレン骨格を含むものであることが好ましい。
フラーレン骨格は、電子受容性に優れているため、前記ポリマーはカスケード型電子移動系として機能し、キャリアは、光吸収体から前記第1の電極へと迅速に移動することができるとともに前記第1の電極からの逆電子移動を抑制することが可能となり、電荷分離状態の長寿命化が期待できる。
なお、前記キャリア媒介部に含まれるフラーレン骨格が直接光を吸収し、キャリアを発生させることも可能である。
本発明に係る光電変換素子の製造方法は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された光電変換層とを有する光電変換素子の製造方法であって、前記第1の電極に、接続部を、第1の化合物を化学的または静電的に結合させることにより形成する第1の工程と、前記接続部を基点として、吸収体で発生したキャリアを前記吸収体から前記第1の電極側に移動するのを媒介する機能を有するキャリア媒介部を備える第3の化合物と、光を吸収して少なくとも1種類のキャリアを発生させる光吸収体を有する第2の化合物とを、リビング重合により重合させることにより、キャリア媒介部と光電変換部とを形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする。
これにより、光電変換素子を素子毎の特性のバラツキを抑えつつ、簡易な工程で光電変換素子を製造し得る。
上記の光電変換素子の製造方法において、前記第2の化合物は、重合基を有するモノマーであることが好ましい。
上記の光電変換素子の製造方法において、前記第2の工程において、前記リビング重合を行っている期間には、前記モノマーと反応する生長末端が再生し、前記生長末端には、前記第1の工程により得られた前記接続部に含まれる置換基が結合していることが好ましい。
リビング重合によれば、ポリマーの生長過程において、生長末端が再生されモノマーの重合活性部と結合するため、モノマーが消費され、重合反応が停止した後、新たにモノマーを加えると重合反応がさらに進行する。したがって、反応系に供給するモノマーの量を変化させることによって、合成されるポリマーの重合度を精密に制御することができ、これにより、ポリマーが有する光吸収体等の数を適宜調整することができる。また、重合度の均一なポリマーを得ることができるので、形成される光電変換層において、ポリマーが有する光吸収体等の数を、面内および素子毎にある程度均一なものとすることができる。このようなことから、所望の光電変換効率を有する光電変換層を、素子毎のバラツキを抑えつつ、簡易な工程で形成することができる。
本発明の電子機器は、本発明の光電変換素子を有することを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
本発明に係る光電変換素子の一例を模式的に示す断面図である。 図1に示す光電変換素子が有する光電変換層の模式図である。 図2に示す光電変換層の一例を示す模式図である。 図1に示す光電変換素子を製造する方法を説明するための模式図である。 図1に示す光電変換素子を製造する方法を説明するための模式図である。 本発明に係る光電変換素子の他の一例が有する光電変換層の模式図である。 図6に示す光電変換層の一例を示す模式図である。 他の一例の光電変換素子を製造する方法を説明するための模式図である。 他の一例の光電変換素子を製造する方法を説明するための模式図である。 電卓を示す平面図である。 携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図である。
以下、本発明の光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態について詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明に係る光電変換素子の一例について説明する。
図1は、本発明に係る光電変換素子の一例を模式的に示す断面図、図2は、図1に示す光電変換素子が有する光電変換層の模式図、図3は、図2に示す光電変換層の一例を示す模式図、図4および図5は、それぞれ、図1に示す光電変換素子を製造する方法を説明するための模式図である。
図1に示す光電変換素子10は、第1の電極30が設けられた第1の基板20と、第2の電極60が設けられた第2の基板70とを、第1の電極30と第2の電極60とが対向するように配置し、第1の電極30と第2の電極60との間に、光電変換層40と、第2の電極60側に電解質層50とが設けられている。光電変換層40は、第1の電極30と電解質層50との間に配置され、電解質層50は、光電変換層40と第2の電極60との間に配置されている。そして、これらの外周部を封止部80により封止してなるものである。以下、各構成要素について順次説明する。
本実施形態の光電変換素子10は、図1に示すように、第1の基板20側(図中左側)から、例えば、太陽光等の光を入射して(照射して)使用するものである。
このため、第1の基板20および第1の電極30は、それぞれ、入射される光あるいは光電変換に利用される光に対して十分な透過率を有すること、すなわち、入射される光あるいは光電変換に利用される光に対して実質的に透明であることが好ましい。これにより、光を光電変換層40に効率よく到達させることができる。
第1の基板20の構成材料としては、例えば、ガラス材料、セラミックス材料、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような樹脂材料等が挙げられる。
第1の基板20の平均厚さは、その構成材料、光電変換素子10の用途等により適宜設定され、特に限定されないが、硬質材料で構成する場合、好ましくは0.1〜1.5mm程度、より好ましくは0.8〜1.2mm程度とされ、可撓性材料で構成する場合、好ましくは0.5〜150μm程度、より好ましくは10〜75μm程度とされる。
第1の基板20の内面には、第1の電極30が設けられている。この第1の電極30は、後述する光電変換層40で発生したキャリア(電荷)を受け取り、これに接続された外部回路90へ伝達する。なお、本実施形態では、一例として、このキャリアが電子である場合について説明する。
第1の電極30の構成材料(導電性材料)としては、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、フッ素原子を含有する酸化錫(FTO)、酸化インジウム(IO)、酸化錫(SnO)のような酸化物系材料、白金、銀、金、銅またはこれらを含む合金のような金属材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等として)用いることができる。
第1の電極30の平均厚さは、その構成材料、光電変換素子10の用途等により適宜設定され、特に限定されないが、酸化物系材料(透明導電性材料)で構成する場合、好ましくは0.05〜5μm程度、より好ましくは0.1〜1.5μm程度とされ、金属材料で構成する場合、好ましくは0.01〜1μm程度、より好ましくは0.03〜0.1μm程度とされる。
なお、第1の電極30は、前記の導電性材料で構成された導電層を第1の基板20側とし、半導体材料で構成された半導体層を光電変換層40側として積層した積層体で構成することができる。
この場合、半導体材料としては、例えば、TiO、ZrO、ZnO、Al、SnO、ScVO、YVO、LaVO、NdVO、EuVO、GdVO、ScNbO、ScTaO、YNbO、YTaO、ScPO、ScAsO、ScSbO、ScBiO、YPO、YSbO、BVO、AlVO、GaVO、InVO、TlVO、InNbO、InTaOのような酸化物半導体、ZnS、CdSのような硫化物半導体、CdSeのようなセレン化物半導体、TiC、SiCのような炭化物半導体、BN、BNのような窒化物半導体等が挙げられる。
第1の電極30の内面(第2の電極60側の面)には、光電変換層40が設けられている。
図2(a)に示すように、光電変換層40は、各々が複数の構造単位3を含んだ複数のポリマー分子1から構成されている。このポリマー分子1は、光吸収体2が光を吸収して(光照射による光学的刺激を受けて)、電子あるいは正孔等のキャリアを発生させる光エネルギーを電気エネルギーに変換(光電変換)する上で重要な役割を担う。そして、発生した電キャリアは、第1の電極30あるいは電解質層50を介して第2の電極60に移動して電流が発生することになる。
構造単位3としては、例えば、図2(b)に示したように発色団等の光吸収を担う光吸収体2がポリマー分子1の主鎖に組み込まれた構造を有するものや、図2(c)に示したように、主鎖骨格の一部であって側鎖が分岐する箇所である分岐部6から分枝した側鎖が発色団等の光吸収を担う光吸収体2を含むポリマー分子1が利用できる。
なお、図2(b)示した点線は、ある1つの構造単位3に含まれる光吸収体2と当該1つの構造単位3に隣接する構造単位3に含まれる光吸収体2との間に介在する結合基の一部を便宜的に示しているものであり、この点線と光吸収体2とが図2(b)に示した構造単位3を有するポリマー分子1の主鎖の少なくとも一部を構成することになる。
一方、図2(c)に示した点線は、ある1つの構造単位3に含まれる分岐部6と当該1つの構造単位3に隣接する構造単位3に含まれる分岐部6との間に介在する結合基を便宜的に示しているものであり、この点線と分岐部6とが図2(c)に示した構造単位3を有するポリマー分子1の主鎖の少なくとも一部を構成することになる。
上述の光電変換素子10を太陽電池として利用する場合は、この光吸収体2に含まれる発色団としては、可視光を吸収する、例えば、クマリン系色素、シアン系色素、キサンテン系色素、アゾ系色素、クロロフィル系色素、ポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、シアニン系色素、アントラキノン系色素、多環キノン系色素、ルテニウム錯体、鉄錯体、オスミウム錯体、銅錯体、白金錯体のような金属錯体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述の色素は、一般に堅牢な分子構造を有するため、図2(b)のように、主鎖の一部に光吸収体2を含むポリマー分子1は剛直性を有し、ポリマー分子1の構造あるいは配座のバリエーションが少なく、主鎖に含まれる光吸収体2と主鎖に含まれる他の光吸収体2との間の距離を比較的揃えることができる。このため、光吸収体2同士の間の距離に依存する電子移動の効率を比較的制御し易いという利点を有する。
また、図2(b)に示したポリマー分子1が十分な剛直性を有すれば、光吸収体2の基底状態における多量化や光吸収体2同士の励起錯体の形成等を抑制することができるため、良好な電子移動効率が達成できる場合がある。
一方、図2(c)のように側鎖に光吸収体2を有する場合は、主鎖が柔軟性を有するためポリマー分子1の構造あるいは配座のバリエーションが比較的多いが、光吸収体2を有する構造単位3の構造を適宜選択することにより、光吸収体2同士の間の距離を制御することが可能である。
また、図2(c)に示したポリマー分子1の主鎖は、一般にメチレン鎖等の柔軟な有機基を含むため、比較的溶解性が高く、溶媒中での重合反応により合成する場合は、後述する原子移動ラジカル重合、リビングアニオン重合やリビングカチオン重合等のリビング重合を用いることにより、分子量の揃った高分子量のポリマーが比較的容易に得られる。
光電変換層40は、各々が少なくとも1つの光吸収体2を有する、複数のポリマー分子1を第1の電極30の二つの主面のうち第2の電極60に対向する一つ主面を担持させることにより構成されている。ここでは、ポリマー分子1の一端部を第1の電極30の当該一つの主面に結合させている。
ポリマー分子1に含まれる光吸収体2の数を増加させることにより、光の捕集効果が向上するが、一方で上述のように多量化や励起錯体の形成等の一般にキャリア移動効率の低下の原因となる現象も生じることになるので、所望の光電変換効率等を考慮して、ポリマー分子1に含まれる光吸収体2の数は適宜選択される。例えば、クマリン系色素やポルフィリン系化合物等の多環式π電子化合物では、光吸収体2の数が5〜20であることが好ましい。つまり、ポリマー分子1として5〜20個程度の構造単位3を有すること(図2(a)中mの数を示す)が望ましい。
ポリマー分子1と第1の電極30との結合様式としては、例えば、共有結合、イオン結合、水素結合等の化学的な結合の他、静電的な結合等が挙げられる。このうち、第1の電極30とポリマー分子1との強固な結合を形成する場合は、結合様式として特に共有結合が利用される。これにより、ポリマー分子1と第1の電極30とを、空間的に近接させることが可能となり、ポリマー分子1と第1の電極30との間のキャリア移動が効率的に生じるようになる。
また、ポリマー分子1は、光吸収体2を有する構造単位3の繰り返し部分(以下、「光電変換部5」と言う。)が直接、第1の電極30の内面に結合してもよいし、図2に示すように、接続部(接続構造)4を介して、第1の電極30の内面に結合してもよい。
接続部4は、例えば、第1の電極30に、第1の電極30の表面と反応して結合する第1の官能基と、光電変換部5の原料となるモノマー分子やポリマー分子と結合する第2の官能基とを有する第1の化合物を含む溶液を接触させることによって得られる。このような接続部4を形成することにより、第1の化合物が有する第2の官能基を基点(重合反応の開始点)として、後述するリビング重合によって、第1の電極30の表面(内面)に結合するポリマー分子1を容易に合成することができる。
なお、この第1の化合物の種類、接続部4の形成方法は、後述する光電変換素子10の製造方法において説明する。
以上のような接続部4および光電変換部5を有するポリマー分子1の具体例としては、例えば、図3に示すものが挙げられる。
また、このポリマー分子1は、さらに各種の置換基を含む構造を有していてもよい。この置換基としては、特に限定されないが、例えば、飽和鎖状炭化水素基、飽和環状炭化水素基等が挙げられる。
また、第1の電極30に対するポリマー分子1の吸着量は、特に限定されないが、第1の電極30に対するポリマー分子1の吸着量が低過ぎると、光電変換層40自体の光の捕集量が減少する。一方、第1の電極30に対するポリマー分子1の吸着量が高すぎる場合は、ポリマー分子1間の距離が近くなり、互いに異なるポリマー分子1に含まれる光吸収体2の間で多量化あるいは励起錯体の形成の生起するので、典型的には、ポリマー分子1の吸着量は、0.2〜3.0nmol/cm程度の範囲に設定され、さらに典型的には、0.7〜1.6nmol/cm程度の範囲で設定される。
光電変換層40の第1の電極30と反対側(第2の電極60と光電変換層40との間)には、第2の電極60と光電変換層40との双方に接触して設けられた電解質層50は、電解質組成物で構成されている。電解質組成物に用いる電解質としては、特に限定されないが、例えば、I/I系、Br/Br系、Cl/Cl系、F/F系のようなハロゲン系、キノン/ハイドロキノン系、アスコルビン酸等が挙げられ、これらを単独または混合系として用いることができる。これらの中でも、電解質としては、I/I系が好ましい。
I/I系の電解質の具体例としては、例えば、Iと、LiI、NaI、KI、CsI、CaIのような金属ヨウ化物や、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドのような4級アンモニウム化合物ヨウ素塩等との組み合わせ等が挙げられる。
また、電解質組成物の調製に用いる溶媒としては、例えば、各種水、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートのようなカーボネート類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンのような多価アルコール類、炭酸プロピレン等が挙げられ、これらを単独または混合溶媒として用いることができる。これらの溶媒を用いることにより、イオン伝導性に優れた電解質層50が得られる。
電解質組成物中の電解質全体の濃度は、特に限定されないが、0.1〜25wt%程度であるのが好ましく、0.5〜15wt%程度であるのがより好ましい。
また、電解質層50は、液状またはゲル状のいずれでもよい。前記電解質組成物にゲル化剤を添加することにより、電解質層50をゲル状とすることができる。
電解質層50の光電変換層40と反対側には、第2の基板70に接合された第2の電極60が設けられている。
第2の電極60の構成材料としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、コバルト、白金、銀、金、銅、モリブデン、チタン、タンタルのような金属またはこれらを含む合金、あるいは、黒鉛のような各種炭素材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
第2の基板70の構成材料としては、前記第1の基板20で挙げた材料と同様のものを用いることができる。
第2の電極60および第2の基板70の平均厚さも、その構成材料、光電変換素子10の用途等により適宜設定され、特に限定されないが、それぞれ、前記第1の電極30および第1の基板20と同様とすることができる。
第1の電極30と第2の電極60との間には、光電変換層40および電解質層50の外周部を囲むように封止部80が設けられている。これにより、電解質層50が液状の場合、光電変換素子10内からの電解質層50の流出や、揮発を防止したり、光電変換素子10内への水分等の浸入を防止したりすることができる。
封止部80の構成材料としては、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。
このような光電変換素子10に光が入射すると、光電変換層40(光吸収体2)において正孔および電子が発生し、光電変換層40から電子(e)が第1の電極30側へ移動し、正孔が第2の電極60側に移動し、第1の電極30と第2の電極60との間に、電位差(光起電力)が生じる。これにより、外部回路90に、電流(光励起電流)が流れる。
このような光電変換素子10は、例えば、次のようにして製造することができる。
[1A] まず、第1の基板20および第2の基板70を用意し、これらの第1の基板20および第2の基板70の表面に、それぞれ、第1の電極30および第2の電極60を形成する。
第1の電極30および第2の電極60は、それぞれ、例えば、蒸着法、スパッタリング法等を用いた気相プロセス、印刷法等を用いた液相プロセスにより形成することができる。
[2A] 次に、第1の電極30の表面に、光電変換層40を形成する。
ここでは、図2に示すようなポリマー分子1で構成される光電変換層40を形成する場合を例にする。
[2A−1] 第1の電極30に、第1の電極30の表面と反応して結合する第1の官能基と、光電変換部5の原料となるモノマー分子やポリマー分子と結合する第2の官能基とを有する第1の化合物を含む溶液を接触させることにより接続部4を形成する(第1の工程)。
例えば、第1の電極30へのキャリア移動あるいは第1の電極30からの逆キャリア移動等の速度は、接続部4を構成する炭素数によっても調整可能であるので、接続部4を構成する炭素数を適宜調整することによって、適切なキャリア移動または逆キャリア移動の速度に設定できる。典型的には、接続部4の炭素数は、おおよそ2〜25であるのが好ましく、4〜15であるのがより好ましい。
前記第1の官能基としては、例えば、チオール基、スルホン酸基、カルボキシル基、アミノ基、リン酸基、シアノ基、ハロゲン基、アルコキシシリル基、ハロゲン化シリル基、ニトロ基、アルデヒド基等が挙げられる。
もちろん、第1の官能基としては、例えば、第1の電極30の表面に静電的に結合するものや、水素結合するもの等であってもよい。
一方、第1の化合物において、第2の官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン基、アミノ基、アルデヒド基、ニトロ基、スルホン酸基、カルボニル基等が挙げられる。
例えば、前記第1の官能基としてチオール基と、第2の官能基として臭素基とを有する化学式(1)に示した化合物を第1の電極30に作用させることにより、第1の電極30の表面に、図4に示すような接続部4を形成する。
Figure 0005459125
なお、第1の電極30の表面に、第1の化合物を含む溶液を接触させる方法としては、例えば、I:前記溶液中に第1の電極30を浸漬する方法(浸漬法)、II:第1の電極30の表面に前記溶液を塗布する方法(塗布法)、III:第1の電極30の表面に前記溶液をシャワー状に供給する方法(噴霧法)、およびIV:第1の電極30と第1の化合物を同一のチャンバー内に配置し、気化した第1の化合物を第1の電極30に吸着する方法(気化吸着法)等が挙げられる。
また、前記溶液を調製するための溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、酢酸エチル、エーテル、塩化メチレン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、浸漬法を用いる場合、第1の化合物の溶液に対して、必要に応じて、超音波を所定時間照射してもよい。これにより、第1の電極30の表面に、第1の化合物を速やかに吸着させることができる。
[2A−2] 次に、接続部4の第1の電極30と反対側に、光吸収体2を有するモノマーをリビング重合(特に、原子移動ラジカル重合:ATRP)によって重合させることにより光電変換部5を形成する(第2の工程)。これにより、ポリマー分子1が得られる(合成される)。
このリビング重合は、接続部4を結合させた第1の電極30の表面に、光吸収体2を有するモノマーと触媒とを含む溶液を接触させること等により行うことができる。
まず、光吸収体2を有するモノマーを用意する。このモノマーが有する重合基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基のような不飽和結合を有するもの、エポキシ基やオキセタン環等の環状エーテル化合物等が挙げられるが、所望の性質や反応条件等に応じてモノマーを適宜選択することができる。
以上のようなモノマーの具体例には、下記化学式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005459125
なお、化学式(2)中、nは、好ましくは1〜10の整数、より好ましくは2〜8の整数を表す。nを適宜選択することにより、光吸収体2同士の間の距離等をある程度は制御できる。
前記化学式(2)で表されるモノマーは、例えば、以下に示すような合成経路によって合成することができる。
Figure 0005459125
まず、サリチルアルデヒドとマロン酸ジメチルエステルとを反応させて、3−カルボメトキシ−クマリンを得る。
具体的には、サリチルアルデヒドに、モル等量のマロン酸ジメチルエステルと、所定量のメタノールおよびピペリジンとを加え、室温下に放置した後、溶媒を除去し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製する。
次に、得られた3−カルボメトキシ−クマリンとアミノアルコールとを反応させて、N−ヒドロキシアルキル−クマリン−3−カルボキサミドを得る。
具体的には、3−カルボメトキシ−クマリンとアミノアルコールとを、所定量のベンゼンに加え、攪拌しながら還流する。そして、還流終了後、冷却して種結晶を添加することにより結晶化し、さらに、所定の溶媒を用いて再結晶を繰り返す。
次に、得られたN−ヒドロキシアルキル−クマリン−3−カルボキサミドとメタクリル酸とジシクロヘキシルカルボジイミドとを反応させて、N−ヒドロキシアルキル−クマリン−3−カルボキサミドのメタクリル酸エステルを得る。
具体的には、N−ヒドロキシアルキル−クマリン−3−カルボキサミドに、4−ジエチルアミノピリジン、4−メトキシフェノールおよびメチレンジクロライドを加えて溶解する。そして、この溶液に、メタクリル酸のメチレンジクロライド溶液と、ジシクロヘキシルカルボジイミドのメチレンジクロライド溶液とを加えて、室温下に放置した後、生成したジシクロヘキシル尿素を濾別等により除去する。そして、濾液から溶媒を除去した後、所定量のベンゼンおよびシクロヘキサンに溶解して放置し、セライトを添加して攪拌した後、セライトを濾別等により除去する。この濾液を冷却した後、上清を除去し、得られた残渣を所定の溶媒に懸濁させ、この懸濁物を室温下に放置する。この間に生成した結晶を回収して、所定の溶媒を用いて再結晶する。
以上のようにして、前記化学式(2)で表されるモノマーが得られる。
一方、触媒には、ポリマー分子1の生長過程において、生長末端7を再生することができ、かつ、光吸収体2に対して反応性を示さないか、反応性が乏しいものが用いられる。かかる触媒として典型的な化合物は、例えば、遷移金属にハロゲン原子が配位した化合物、または遷移金属にハロゲン原子に加えてビピリジンやアミノ基等の窒素やトリフェニルホスフィンのリンなどの原子が配位した遷移金属錯体等が挙げられる。
上記の溶液を調製するための溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ブタノールのようなアルコール類、o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル等のエーテル類等が挙げられ、これらを単独または混合溶媒として用いることができる。
例えば、モノマーとして化学式(2)で表される化合物を用い、触媒としてCuBrを用いることにより、図5に示すように、第1の電極30と反対側の端部に活性な生長末端7を有する光電変換部5を形成することができる。
ここで、リビング重合では、ポリマー分子1の生長過程において、生長末端7が再生されモノマーの重合活性部であるビニル基と結合するため、モノマーが消費され、重合反応が停止した後、新たにモノマーを加えると重合反応がさらに進行する。
したがって、反応系に供給するモノマーの量を変化させることによって、合成されるポリマー分子1の重合度を精密に制御することができ、これにより、ポリマー分子1が有する光吸収体2の数を適宜調整することができる。
また、重合度の均一なポリマー分子1を得ることができるので、形成される光電変換層40において、ポリマー分子1が有する光吸収体2の数を、面内および素子毎にある程度均一なものとすることができる。
このようなことから、所望の光電変換効率を有する光電変換層40を、素子毎のバラツキを抑えつつ、簡易な工程で形成することができる。
また、前記溶液(反応液)は、重合反応を開始する前に、脱酸素処理を行っておくのが好ましい。脱酸素処理としては、例えば、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスによる真空脱気後の置換やパージ処理等が挙げられる。
また、重合反応に際して、上記の溶液の温度を所定の温度(モノマーおよび触媒が活性化する温度)まで加熱(加温)することにより、モノマーの重合反応をより迅速かつ確実に行うことができる。
この加熱の温度は、触媒の種類等によっても若干異なり、特に限定されないが、30〜100℃程度であるのが好ましい。また、加熱の時間(反応時間)は、加熱の温度を前記範囲とする場合、10〜20時間程度であるのが好ましい。
上記のような重合反応は、超音波発生器、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調節器およびガス供給口を備えた反応容器内で行うのが好ましい。
具体的には、冷却管、アルゴンガス供給手段および攪拌翼が装着された反応容器を用意し、反応容器の底に接続部4を結合させた第1の電極30を配置する。反応容器内を真空した後、アルゴンガスを供給する工程を数回行った後、アルゴンガスが反応容器内を流れるようにした状態で、この反応容器内に化学式(2)で表されるモノマーのメタノール溶液を収納し、メタノール溶液にCuBr(触媒)を添加する。そして、所定温度に加熱し、攪拌しながら所定時間、この温度を維持する。なお、攪拌翼が第1の電極30を破損しないように、攪拌翼は、第1の電極30から十分離れた上方で回転するようにしておくがことが好ましい。
以上のようにして、第1の電極30の表面に、光吸収体2を有し、一端部が結合したポリマー分子1が生成して、光電変換層40が得られる。
[2A−3] 次に、必要に応じて、光電変換層40を形成した第1の基板20を乾燥させる。
この乾燥には、例えば、凍結乾燥、通気乾燥、表面乾燥、流動乾燥、気流乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥、赤外線乾燥、高周波乾燥および超音波乾燥等の各種乾燥方法を用いることができるが、凍結乾燥により行うのが好ましい。
凍結乾燥では、溶媒を固体から気体へ昇華させることにより乾燥させるため、光電変換層40の形状や機能等にほとんど影響を与えることなく、乾燥を行うことができる。
[3A] 次に、第2の電極60が設けられた第2の基板70を、第2の電極60が第1の電極30に対向するように配置(第3の工程)し、その外周部を封止部80で封止する。これにより、光電変換層40、第2の電極60および封止部80により、電解質層50を構成する電解質組成物を充填する充填空間(セル空間)が画成される。
なお、このとき、封止部80には、電解質組成物を充填空間に充填するための供給口を形成しておく。
[4A] 次に、供給口を介して、充填空間内に電解質組成物を充填した後、供給口を塞ぐ。これにより、電解質層50が形成される。
なお、電解質組成物には、必要に応じて、ゲル化処理がなされる。このゲル化処理としては、例えば、加熱、紫外線の照射等が挙げられる。
[5A] 次に、第1の電極30および第2の電極60に、それぞれ外部回路90が備える配線の端部を接続する。
以上のような工程を経て、光電変換素子10が製造される。
このような光電変換素子10の製造方法は、各層を比較的低温で形成することができるので、特に、第1の基板20および第2の基板70として、樹脂材料を主材料とする可撓性基板を用いた光電変換素子10の製造への適用に適している。
なお、光電変換層40は、予め、前述したようなポリマー分子1の一端部にチオール基が導入された化合物を合成しておき、かかる化合物を、前述した方法(例えば浸漬法)等により、第1の電極30の表面に結合(担持)させて得ることもできる。
<第2実施形態>
次に、本発明に係る光電変換素子の他の一例について説明する。
図6は、本発明に係る光電変換素子の他の一例が有する光電変換層の模式図、図7は、図6に示す光電変換層の一例を示す模式図、図8および図9は、それぞれ、他の一例の光電変換素子を製造する方法(光電変換層の形成方法)を説明するための模式図である。
以下、第2実施形態の光電変換素子について説明するが、前記第1実施形態の光電変換素子との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態では、光電変換層40の構成(ポリマー分子1の構成)が異なり、それ以外は、基本的に上述の第1実施形態と同様である。
第2実施形態において、ポリマー分子1は、図6に示すように、接続部4と光電変換部5との間、すなわち、第1の電極30に最も近い光吸収体2よりも第1の電極30側に、さらに、光吸収体2で発生した電子(キャリア)の第1の電極30への移動を媒介するキャリア媒介部8を含むキャリア輸送部9を有するブロック共重合体である。
このような構成のポリマー分子1では、光吸収体2で発生した電子は、キャリア媒介部8に移動し、次に、第1の電極30へと移動する。かかる電子の移動は、極めて迅速に生じるため、一旦、第1の電極30に向かった電子等のキャリアが、光電変換部5側へ戻る現象や、光電変換部5で発生したキャリアが第2の電極60側に向かって移動する逆電子移動等の光電変換効率に低下の原因となる現象が生じることが好適に防止される。これにより、光電変換部5で生じた電子と正孔とを確実に分離(電荷分離)させて、第1の電極30側へ電子をより効率よく取り出すことができるようになる。その結果、光電変換素子10の光電変換効率をより向上させることができる。
このキャリア輸送部9は、キャリア媒介部8をポリマー分子1の主鎖から分枝する側鎖に有する構成であってもよいが、図6に示すように、主鎖に有する構成であるのが好ましい。これにより、より迅速かつ確実に電子を第1の電極30に移動させることができ、結果として、前述したような逆電子移動も、より確実に生じ難くすることができる。
また、キャリア輸送部9は、キャリア媒介部8を1つ有するものであればよいが、複数有するものが好ましい。これにより、逆電子移動がより確実に防止することができる。
この場合、キャリア媒介部8は、全てが同一であってもよく、少なくとも1つが異なっていてもよい。また、この場合、ポリマー分子1は、その分子構造中に、キャリア媒介部8を2〜20個有するものが好ましく、3〜10個有するものがより好ましい。これにより、光電変換層40を、十分に光電変換効率が高いものとすることができる。
このようなキャリア媒介部8としては、特に限定されないが、光電変換部5で発生した電子の第1の電極30への移動に介在する場合は、電子受容体としての性質を有する場合は、フラーレン(C60)骨格を含むもの、多環式芳香環を含むもの等が挙げられるが、これらの中でも、特に、フラーレン(C60)骨格を含むものが好ましい。
キャリア輸送部9において、主鎖を構成する分子鎖(キャリア媒介部8とともに導入される分子鎖)としては、特に限定されず、いかなるものであってもよいが、ポリスチレン(PS)のように側鎖に電子の非局在化に寄与する芳香族環を有するものが好ましい。キャリア輸送部9の側鎖に芳香族環を有することにより、この芳香族環を介した電子の移動も生じるようになり、分子鎖の鎖長を比較的長くした場合でも、電子(キャリア)の移動速度が低下するのを防止することができる。
また、芳香族環の間の相互作用等により比較的スタック構造をとりやすいので、キャリア輸送部9の主鎖の配座を制御できるという点でも有利な場合がある。
以上のようなキャリア輸送部9を有するポリマー(ブロックコポリマー)1の具体例としては、例えば、図7に示すものが挙げられる。
このような光電変換層40を有する光電変換素子10は、例えば、次のようにして製造することができる。以下、光電変換層40の形成方法を中心に説明する。
[1B]〜[2B−1] まず、前記工程[1A]〜[2A−1]と同様の工程を行う。
[2B−2] 次に、接続部4の第1の電極30と反対側に、キャリア輸送部9を形成する(第1の工程)。
ここでは、図6に示すように、キャリア輸送部9として、キャリア媒介部8を分子鎖とともに導入して構成する場合を例にする。
キャリア輸送部9は、接続部4の第1の電極30と反対側に、キャリア媒介部8となる前駆物質と、分子鎖となる第2のモノマーとを、リビング重合(特に、原子移動ラジカル重合:ATRP)によって共重合させることにより形成する。
このリビング重合は、接続部4を結合させた第1の電極30の表面に、前記前駆物質と第2のモノマーと触媒とを含む溶液を接触させること等により行うことができる。
第2のモノマーが有する重合基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基のような不飽和結合を有するもの、エポキシ基やオキセタン環等の環状エーテル化合物等が挙げられるが、所望の性質や反応条件等に応じて第2のモノマーを適宜選択することができる。また、前述したように、分子鎖は、その側鎖に芳香族環を有するものが好ましい。このことを考慮すると、第2のモノマーには、スチレンが好適である。
触媒および前記溶液を調製するための溶媒には、前記第1実施形態で挙げたものと同様のものを用いることができる。
例えば、キャリア媒介部8となる前駆物質としてフラーレンを用い、分子鎖となる第2のモノマーとしてスチレンを用い、触媒としてCuBrを用いることにより、前駆物質を取り込みつつ第2のモノマーの重合反応が進行し、図8に示すように、第1の電極30と反対側の端部に活性な生長末端7’を有するキャリア輸送部9を形成することができる。
また、前記溶液(反応液)は、重合反応を開始する前に、脱酸素処理を行っておくのが好ましい。脱酸素処理としては、例えば、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスによる真空脱気後の置換やパージ処理等が挙げられる。
また、重合反応に際して、上記の溶液の温度を所定の温度(第2のモノマーおよび触媒が活性化する温度)まで加熱(加温)することにより、第2のモノマーの重合反応をより迅速かつ確実に行うことができる。
この加熱の温度は、触媒の種類等によっても若干異なり、特に限定されないが、60〜90℃程度であるのが好ましい。また、加熱の時間(反応時間)は、加熱の温度を前記範囲とする場合、20〜50時間程度であるのが好ましい。
上記のような重合反応は、超音波発生器、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗、温度調節器およびガス供給口を備えた反応容器内で行うのが好ましい。
具体的には、冷却管、窒素ガス供給手段および攪拌翼が装着された反応容器を用意し、反応容器の底に接続部4を結合させた第1の電極30を配置する。反応容器内を真空した後、窒素ガスを供給する工程を数回行った後、窒素ガスが反応容器内を流れるようにした状態で、この反応容器内に、スチレン(第2のモノマー)と、フラーレン(C60)のo−ジクロロベンゼン溶液とを収納して混合し、混合液にCuBr(触媒)を添加する。そして、所定温度に加熱し、攪拌しながら所定時間、この温度を維持する。なお、攪拌翼が第1の電極30を破損しないように、攪拌翼は、第1の電極30から十分離れた上方で回転するようにしておくがことが好ましい。
[2B−3] 次に、前記工程[2A−2]と同様の工程を行う。すなわち、キャリア輸送部9の第1の電極30と反対側に、光電変換部5を形成する(第2の工程)。
例えば、モノマーとして化学式(2)で表される化合物を用い、触媒としてCuBrを用いることにより、図9に示すように、第1の電極30と反対側の端部に活性な生長末端7を有する光電変換部5が形成される。これにより、ポリマー分子1が得られる(合成される)。
[2B−4]〜[5B] 前記工程[2A−3]〜[5A]と同様の工程を行う。
なお、第2実施形態におけるポリマー分子1において、キャリア輸送部9に、それ自体が光を吸収してキャリアを発生し得る光電変換部としての機能を付与することもできる。
<電子機器>
次に、図10および図11に基づいて、本発明の電子機器について説明する。
図10は、本発明の電子機器を適用した電卓を示す平面図、図11は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)を示す斜視図である。
図10に示す電卓100は、本体部101と、本体部101の上面(前面)に設けられた表示部102、複数の操作ボタン103および光電変換素子設置部104とを備えている。
図10に示す構成では、光電変換素子設置部104には、光電変換素子10が5つ直列に接続されて配置されている。
図11に示す携帯電話機200は、本体部201と、本体部201の前面に設けられた表示部202、複数の操作ボタン203、受話口204、送話口205および光電変換素子設置部206とを備えている。
図11に示す構成では、光電変換素子設置部206が、表示部202の周囲を囲むようにして、光電変換素子10が複数、直列に接続されて配置されている。
以上、本発明の光電変換素子、光電変換素子の製造方法および電子機器を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、光電変換素子および電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
また、本発明の光電変換素子は、太陽電池のみならず、例えば、光センサー、光スイッチのような、光を受光して電気エネルギーに変換する各種素子(受光素子)に適用することができるものである。
また、本発明の光電変換素子では、光の入射方向は、図示のものとは異なり、逆方向からであってもよい。すなわち、光の入射方向は、任意である。
1……ポリマー分子 2……光吸収体 3……構造単位 4……接続部 5……光電変換部 6……分岐部 7、7’……生長末端 8……キャリア媒介部 9……キャリア輸送部 10……光電変換素子 20……第1の基板 30……第1の電極 40……光電変換層 50……電解質層 60……第2の電極 70……第2の基板 80……封止部 90……外部回路 100……電卓 101……本体部 102……表示部 103……操作ボタン 104……光電変換素子設置部 200……携帯電話機 201……本体部 202……表示部 203……操作ボタン 204……受話口 205……送話口 206……光電変換素子設置部

Claims (9)

  1. 第1の電極と、
    第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた光電変換層と、を有し、
    前記光電変換層は、ポリマーを含み、
    前記ポリマーは、前記第1の電極の前記第2の電極側の面に化学的または静電的に結合した第1の化合物を含む接続部と、前記接続部に結合した光電変換部と、吸収体で発生したキャリアを前記吸収体から前記第1の電極側に移動するのを媒介する機能を有するキャリア媒介部とを含み、前記光電変換部は、光を吸収して少なくとも1種類のキャリアを発生させる光吸収体を有する第2の化合物を前記接続部を基点としてリビング重合させ形成したことを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記ポリマーは、前記光吸収体を主鎖から分枝した側鎖に有する請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記光吸収体は、クマリン骨格を含むものである請求項1または2に記載の光電変換素子。
  4. 前記ポリマーの主鎖の一部が前記キャリア媒介部として機能する請求項1ないし3のいずれかに記載の光電変換素子。
  5. 前記キャリア媒介部は、フラーレン骨格を含むものである請求項4に記載の光電変換素子。
  6. 第1の電極と、
    第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された光電変換層とを有する光電変換素子の製造方法であって、
    前記第1の電極に、接続部を、第1の化合物を化学的または静電的に結合させることにより形成する第1の工程と、
    前記接続部を基点として、吸収体で発生したキャリアを前記吸収体から前記第1の電極側に移動するのを媒介する機能を有するキャリア媒介部を備える第3の化合物と、光を吸収して少なくとも1種類のキャリアを発生させる光吸収体を有する第2の化合物とを、リビング重合により重合させることにより、キャリア媒介部と光電変換部とを形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする光電変換素子の製造方法。
  7. 前記第2の化合物は、重合基を有するモノマーである請求項6に記載の光電変換素子の製造方法。
  8. 前記第2の工程において、前記リビング重合を行っている期間には、前記モノマーと反応する生長末端が再生し、
    前記生長末端には、前記第1の工程により得られた前記接続部に含まれる置換基が結合している請求項7に記載の光電変換素子の製造方法。
  9. 請求項1ないし5のいずれかに記載の光電変換素子を有することを特徴とする電子機器。
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