JP5456587B2 - 医療用複室容器、薬剤入り医療用複室容器、該医療用複室容器の製造方法 - Google Patents
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Description
複数の薬剤を混合する場合、組み合わせる薬剤の種類によっては、予め混合しておくと変質することがある。従来、変質の可能性のある薬剤を組み合わせる場合には、使用直前にガラス容器中の薬剤に対して別の薬剤を注射器等で注入し混合していた。しかし、このような混合作業では、混合比率を間違えたり、混合し忘れたりするという人的ミスを生じるおそれがあった。
このような人的ミスを回避するために、入力された処方に基づいて2種以上の薬剤を混合して薬液を調製するシステムが示されている(例えば、特許文献1)。しかし該システムでは薬剤の調製に時間を要し、緊急性を要する場合等には適さない。そのため、簡易な方法により薬剤の混合を正確に行う技術が要請されていた。
該医療用複室容器においては、使用する際に外部から薬剤収納室に圧力を加えることで、各薬剤収納室を区画する弱シール部を剥離し、結果、各薬剤収納室に収容された薬剤が混合される。そのため、該医療用複室容器を用いることで、複数の薬剤を正確な混合率で混合することができ、また、その混合作業の簡易化が図れる。しかし、該医療用複室容器を用いる場合、弱シール部を剥離し忘れたまま注射や点滴を行ってしまうおそれがある。また、弱シール部を剥離させるために圧力を加えた場合でも、目視では剥離したかどうかを確認しにくいため、弱シール部が剥離していない状態で注射や点滴を行ってしまうおそれがある。
このような問題に対して種々の検討がなされている。例えば特許文献3には、プラスチックフィルムにて形成され、内部空洞を弱シール部により複数の隔室に区画された薬剤バッグと、複数の隔室の一つを臨ませつつ外周が薬液バッグに流密装着された排出口と、通常状態において前記排出口を閉鎖するように貼着された剥離膜とを具備し、該剥離膜が、薬剤バッグの対向面に、排出口に対する剥離膜の貼着より強固に貼着された薬剤収納封止体が開示されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、混合前の薬剤の誤投与を防ぐことができ、複数の薬剤の混合および排出をより確実かつ容易に行うことができる医療用複室容器および薬剤入り医療用複室容器、ならびに該医療用複室容器の製造に適した製造方法を提供することを目的とする。
[1]対向する一対の可撓性フィルムで構成され、剥離可能な弱シール部により区画された複数の薬剤収納室が一定方向に配列している容器本体と、前記容器本体の内外を連通可能にする略筒状の排出口部材と、を備える医療用複室容器であって、
前記排出口部材が、前記容器本体の周縁部に、前記複数の薬剤収納室のうち配列方向末端にある第一の薬剤収納室内に突出した突出部を形成するように取り付けられ、該突出部に、当該排出口部材内に連通する開口が設けられ、
前記突出部が、該突出部の前記開口を閉塞可能な凹部を有する押さえ部材の前記凹部に、軸方向に摺動自在に嵌合されており、
前記押さえ部材の前記突出部の軸方向における全長が、前記排出口部材が取り付けられた位置が下方となるように前記容器本体を設置した際の前記第一の薬剤収納室の薬剤未充填時の高さよりも短く、且つ前記押さえ部材を設けずに薬剤を充填した時の前記第一の薬剤収納室の高さ以上であり、
前記押さえ部材の見かけ密度が、前記複数の薬剤収納室にそれぞれ充填される複数の薬剤を混合した混合薬剤の密度未満であることを特徴とする医療用複室容器。
[2]前記凹部が、前記突出部の長さと略同一の深さで形成されている[1]に記載の医療用複室容器。
[3]前記押さえ部材の前記凹部の開口側とは反対側の先端部分が、前記凹部よりも厚みが薄く幅が広い扁平状である[1]または[2]に記載の医療用複室容器。
[4][1]〜[3]のいずれか一項に記載の医療用複室容器に薬剤を充填した、薬剤入り医療用複室容器。
[5][1]〜[3]のいずれか一項に記載の医療用複室容器を製造する方法であって、
対向する一対の可撓性フィルムを重ね合わせ、前記排出口部材の取り付け位置以外の周縁部を剥離不能にヒートシールし、前記複数の薬剤収納室を区画する位置に、剥離可能な弱シール部を形成して、前記容器本体を作製する工程(1)、
前記排出口部材および前記押さえ部材の凹部を、前記排出口部材の内部を貫通する棒状の支持部を有する保持部材の前記支持部に順次挿入し、前記排出口部材の外周面の一部が露出するように保持し、前記排出口部材の取り付け位置にて前記容器本体内に挿入する工程(2)、
ヒートシールにより、前記取り付け位置の前記容器本体の内面と前記排出口部材の露出した外周面とを剥離不能にヒートシールする工程(3)、
を含む製造方法。
図1に、本実施形態の医療用複室容器1を示す。図1(a)は、薬剤未充填時の医療用複室容器1の斜視図であり、図1(b)は、図1中の位置X−X’における医療用複室容器1の縦断面図である。図1には、排出口部材20が取り付けられた側が下方となるように、例えば点滴スタンド等のフックにつり下げて設置した状態を示している。
また、図2(a)は、医療用複室容器1が備える排出口部材20および押さえ部材30の拡大斜視図であり、図2(b)は、図2(a)中の位置A−A’における排出口部材20の横断面図である。
図3(a)は、医療用複室容器1に薬剤を充填した時の斜視図であり、図3(b)はその縦断面図である。図3には、第一の薬剤収納室14、第二の薬剤収納室15それぞれに第一の薬液L1、第二の薬液L2を充填し、排出口部材20が取り付けられた側が下方となるように、例えば点滴スタンド等のフックにつり下げて設置した状態を示している。
図4(a)は図1に示す状態、つまり薬剤未充填時の医療用複室容器1の第一の薬剤収納室14付近の部分斜視図であり、図4(b)は図3に示す状態、つまり薬剤充填時の医療用複室容器1の第一の薬剤収納室14付近の部分斜視図である。
図5(a)は、第一の薬剤収納室14、第二の薬剤収納室15それぞれに第一の薬液L1、第二の薬液L2を充填し、排出口部材20が取り付けられた側が下方となるように、例えば点滴スタンド等のフックにつり下げて設置した状態の医療用複室容器1に外方から圧力を加えて弱シール部を剥離して、第一の薬剤収納室14と第二の薬剤収納室15とを開通させた後の状態を示す斜視図であり、図5(b)はその縦断面図である。
容器本体10には、可撓性フィルム11の内面と可撓性フィルム12の内面とが剥離可能にシールされてなる弱シール部13が、該容器本体10の短手方向に直線状に設けられ、該弱シール部13により容器本体10の内部が第一の薬剤収納室14と第二の薬剤収納室15とに区画されている。第一の薬剤収納室14および第二の薬剤収納室15は、容器本体10の長手方向に配列している。
弱シール部13では、第一の薬剤収納室14、第二の薬剤収納室15のそれぞれに薬剤が収納された状態で、第一の薬剤収納室14、第二の薬剤収納室15の一方または両方に対して外方から力を加えると、可撓性フィルム11と可撓性フィルム12とが剥離するようになっている。
容器本体10の下端側の周縁部には排出口部材20が取り付けられ、排出口部材20の取り付け位置以外の周縁部では、可撓性フィルム11と可撓性フィルム12とが剥離不能に融着されている。容器本体10の上端側の周縁部には円形の吊孔16が設けられている。
本明細書においては、容器本体10の長手方向、つまり複数の薬剤収納室14、15の配列方向の末端のうち、排出口部材20が取り付けられる第一の薬剤収納室14側の末端を下端といい、第二の薬剤収納室15側の末端を上端という。
排出口部材20の容器本体10外側の端面の開口23は、図示しないゴム栓等の栓で閉栓され、使用前(輸送・保管時等)には容器本体10内の薬剤の流出を阻止し、使用時には刺栓針や専用のアダプター等の排出手段の接続によって容器本体10内の薬剤を排出できるようになっている。該栓の表面は、剥離可能な保護フィルムで被覆されてもよい。
突出部21の端面および突出部21の外周面にはそれぞれ、排出口部材20内に連通する開口24、25が設けられている。
外周面の開口25は、本実施形態では、容器本体10内面と接着されたシール部22近傍の位置に、周方向に沿って4つ設けられている。突出部21における開口が、端面の開口24のみの場合、位置がシール部22から離れているため、弱シール部13の剥離後、容器本体10内の薬剤を排出する際、薬剤の一部が容器本体10内に残留するおそれがあるが、このような位置に開口25を設けることで薬剤の残留を防止できる。
キャップ部31の内周面は、該キャップ部31に嵌合した突出部21が軸方向に摺動自在となるよう、突出部21の外周面に対応する形状で、嵌合時に突出部21の外周面との間に隙間が生じる寸法で形成されている。該隙間の大きさは、0.1〜1.0mmが好ましく、0.2〜0.5mmがより好ましい。該範囲の下限値以上であると、充分な摺動性が確保でき、上限値以下であるとキャップ部31が突出部21に斜めに収納されることを防止できる。なお、医療用複室容器1を加熱殺菌する場合、上述した隙間の大きさは、加熱殺菌後においての大きさである。
図2(a)に示すキャップ部31の深さd3は、突出部21全体を収納するために、図1(b)に示す突出部21の長さd2と略同一であるかまたはそれよりも長くなっている。本発明においては特に、キャップ部31の深さd3が突出部21の長さd2と略同一であることが好ましい。これにより、突出部21がキャップ部31内に完全に収納された際に、突出部21の端面とキャップ部31の天面とが密着し、キャップ部31の揺れを防止することができ、弱シール部13を不用意に剥離することを防止できる。
スペーサ部32の先端を、弱シール部13に対して平行な方向にある程度の幅のある扁平状とすることで、弱シール部13の意図しない剥離を防止できる。
該全長を高さh1よりも短くすることで、薬剤未充填時に押さえ部材30が摺動可能となり、且つスペーサ部32の接触によって弱シール部13が剥離するのを防止できる。また、高さh3以上とすることで、押さえ部材30の見かけ密度が第一の薬剤収納室14に充填する薬剤の密度より低い場合に、薬剤の混合前に押さえ部材30が摺動して突出部21の開口24、25の閉塞が不充分となり、混合前の薬剤が突出部21内へ必要以上に流出してしまうのを防止できる。
該全長は、さらに、第一、第二の薬剤収納室14、15それぞれに充填した薬剤が弱シール部13の剥離により混合して混合薬剤が調製された際の、該混合薬剤の最上面(液面)の位置における容器本体10内側の幅よりも短いことが好ましい。これにより、図5に示すように、薬剤混合後に押さえ部材30が容器本体10の幅方向に対して略平行に浮くようになる。
つまり、第一の薬剤収納室14に薬剤(薬液L1)を充填する前は、押さえ部材30の全長がh3以上であり且つh1よりも短いため、たとえば押さえ部材30を、スペーサ部31側の先端が弱シール部13の下端と接する位置に配置した場合には、図1、図4(a)に示すように、突出部21外周面の開口25が露出した状態となる。このとき、押さえ部材30は、スペーサ部32側の先端が弱シール部13の下端と接する位置から、キャップ部31側末端が容器本体10と接する位置までの範囲内にて、突出部21の軸方向に摺動可能である。そのため、たとえば医療用複室容器1を、排出口部材20が取り付けられた位置が上方となるように配置した場合、突出部21の開口25は露出し、また、開口24も、キャップ部31と突出部21との間に隙間があることから非閉塞状態となるため、排出口部材20から第一の薬剤収納室14に薬剤を充填することができる。
一方、第一の薬剤収納室14に薬液L1を充填していくと、第一の薬剤収納室14の厚みが厚くなるため、第一の薬剤収納室14の高さは未充填時の高さh1よりも低くなっていく。第一の薬剤収納室14の高さが低くなるにつれて、押さえ部材30が、弱シール部13によって容器本体10の下端方向に押しつけられ、薬液L1の充填完了時には、図3、図4(b)に示すように、押さえ部材30のキャップ部31側末端が容器本体10と密着する。この状態では、キャップ部31により排出口部材20の突出部21の開口24、25への薬液L1の流入が実質的に阻止される。
h2、h3の値は、それぞれ、h1、第一の薬剤収納室14の容量、第一の薬剤収納室14への薬液L1の充填量等によって異なるが、実際に使用する条件で予備実験を行うことで求めることができ、その値から押さえ部材30の全長を設定すればよい。
また、第一、第二の薬剤収納室14、15にそれぞれ充填される薬剤を混合した混合薬剤の密度は、第一の薬剤収納室14に充填する薬液L1およびその充填量ならびに第二の薬剤収納室15に充填する薬液L2およびその充填量によって異なるが、実際に使用する条件で予備実験を行うことで求めることができ、その値から押さえ部材30の見かけ密度の上限を設定すればよい。
混合薬剤の密度は、比重びんを使って常法により、またはJIS Z8804で規定される浮ひょうにより求められる。
このとき、押さえ部材30の見かけ密度が混合薬液LMの密度未満であるため、弱シール部13の剥離および混合薬液LMの調製と同時に、押さえ部材30が混合薬液LM中を浮上し、排出口部材20の突出部21からはずれ、最終的には図5に示すように混合薬液LMの液面に浮いた状態となる。このように、押さえ部材30がはずれ、排出口部材20の開口24、25が完全に露出して、容器本体10内と排出口部材20内とが連通する。そのため、排出口部材20の容器本体10外側の開口23を閉栓する図示しない栓に点滴針等の刺栓針を刺入れることにより、容器本体10内で調製された混合薬液LMを排出させ、点滴などにより患者に投与することができる。
一方、弱シール部13が剥離していない状態では、押さえ部材30は浮上しないため、その状態で刺栓針を刺入れても、第一の薬剤収納室14内の薬液L1の実質的な排出は開始されず、薬剤の未混合による誤投与を防止できる。
また、医療用複室容器1を用いる場合、従来提案されているように排出口部材20の第一の薬剤収納室14内の開口を剥離膜で閉鎖する場合に比べて、剥離膜が充分に剥離しない不具合が生じず、使用時に余分な手間がかからない。
また、混合薬液LMの液面に押さえ部材30が浮上するため、混合薬液LMが透明である場合でも、容器本体10の外側から混合薬液LMの残存量を容易に視認できる。
さらに、本発明においては、排出口部材20の開口24、25が、押さえ部材30のキャップ部31によって、非液密に閉塞されているため、滅菌を充分に行うことができる利点もある。一般的に、薬液入り医療用複室容器については、薬剤の充填後、無菌性を保証するために、高圧蒸気による加熱滅菌処理が行われる。しかし排出口部材20の容器本体10内外の開口を液密に閉鎖した状態で高圧蒸気による加熱滅菌処理を行う場合、排出口部材20内に水分等が存在し得ないため、排出口部材20内の滅菌が不充分となるおそれがある。本発明においては、キャップ部31側の末端と容器本体10とが接触しているだけであるため、加熱滅菌処理の際、薬剤がキャップ部31側の末端と容器本体10との間を通って排出口部材20内に、滅菌するには充分な量だけ漏出するため、滅菌を充分に行うことができる。
医療用容器の分野で用いられる合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエーテルサルホン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。これらのなかでも、透明性、柔軟性及び衛生性に優れ、低コストである点から、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、エチレン−αオレフィンランダム共重合体等のオレフィン系エラストマー、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、α−オレフィン−プロピレンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、これらのいずれか2種以上の混合物等が挙げられる。
これらの合成樹脂は、耐熱性向上等を目的として一部架橋されていてもよい。
可撓性フィルム11は、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。
可撓性フィルム11の厚みは、50〜1000μm程度が好ましく、100〜500μm程度がより好ましい。
可撓性フィルム11を構成する材質と可撓性フィルム12を構成する材質とは異なっていても同じであってもよいが、熱溶着が容易である点から、少なくとも容器本体10の内面が同種の合成樹脂からなるフィルムであることが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、エチレン−αオレフィンランダム共重合体等のオレフィン系エラストマー、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、α−オレフィン−プロピレンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、これらのいずれか2種以上の混合物等が挙げられる。
これらの合成樹脂は、性能向上のためにブレンドされていてもよく、耐熱性向上等を目的として一部架橋されていてもよい。
排出口部材20は、外周面をヒートシールにより容器本体10の内面と接着させる観点から、少なくともシール部22が合成樹脂製であることが好ましく、成形性等を考慮すると、排出口部材20全体が合成樹脂製であることが特に好ましい。
シール部22は、単一の材料から構成される単層構造であってもよく、複数の合成樹脂層からなる多層構造であってもよい。
シール部22を構成する合成樹脂としては、熱溶着による接着が容易であり、接着強度も高いことから、容器本体10の内面を構成する合成樹脂と同種の合成樹脂が好ましい。
排出口部材20は、シール部22のみが合成樹脂製であっても、排出口部材20全体が合成樹脂製であってもよい。また、排出口部材20のそれぞれの部分を、それぞれ異なる合成樹脂、または合成樹脂以外の材料で形成してもよい。
排出口部材20は、公知の成型方法により作製できる。
排出口部材20は、複数の部材を一体化することで形成されていてもよい。たとえば排出口部材20のシール部22および突出部21と、シール部22よりも開口23側の部分とを別々に成形し、融着させてもよい。
本明細書および特許請求の範囲において、「見かけ密度」は、押さえ部材30の質量[g]を、押さえ部材30の見かけの体積[cm3]で除した値であり、押さえ部材30の見かけの体積は、水中置換により求められる。
押さえ部材30の見かけ密度を前記混合薬剤の密度未満とする方法としては、たとえば、押さえ部材30を、密度が前記混合薬剤の密度未満の材料を用いて形成する方法が挙げられる。たとえば密度が1.0g/cm3未満の材料としては、たとえば後述するポリオレフィン樹脂が好ましい。また、多孔質体としたり、スペーサ部32の内部を空洞にする場合は、密度が前記混合薬剤の密度未満のものに限らず、密度が前記混合薬剤の密度以上の材料も使用できる。
押さえ部材30において、キャップ部31、スペーサ部32を構成する材料はそれぞれ同じであっても異なってもよい。
押さえ部材30のキャップ部31および排出口部材20の突出部21がともに合成樹脂製である場合、キャップ部31を構成する合成樹脂は、突出部21を構成する合成樹脂よりも融点が高い合成樹脂であることが好ましい。医療用複室容器1の製造する際、排出口部材20のシール部22と容器本体1の内面とのヒートシール時の熱や、高圧蒸気滅菌時の熱により、突出部21やキャップ部31が収縮するおそれがある。キャップ部31を構成する合成樹脂の融点が、突出部21を構成する合成樹脂の融点と同じかそれよりも低い場合、キャップ部31の寸法変化が大きく、突出部21が摺動しにくくなるおそれがあるが、キャップ部31を構成する合成樹脂の方の融点を高くすることで、突出部21の摺動性を確保できる。
上記した点から、具体的な例としては、排出口部材20がポリエチレン系樹脂であり、押さえ部材30がポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
押さえ部材30は、公知の成型方法により作製できる。
押さえ部材30は、複数の部材を一体化することで形成されていてもよい。たとえば押さえ部材30のキャップ部31とスペーサ部32とを別々に成形し、融着させてもよい。
第一の薬剤収納室14に収納する薬剤(以下、第一薬剤ということがある。)としては、液体の薬剤(薬液)が用いられる。
第二の薬剤収納室15に収納する薬剤(以下、第二薬剤ということがある。)は、流動性を有するものであればよく、液体でも粉体でもよい。
第一薬剤、第二薬剤の充填量は、各薬剤の種類に応じて決定できる。
対向する一対の可撓性フィルム11、12を重ね合わせ、排出口部材20の取り付け位置17以外の周縁部を剥離不能にヒートシールし、第一の薬剤収納室14と第二の薬剤収納室15とに区画する位置に、剥離可能な弱シール部13を形成して、容器本体10を作製する工程(1)、
排出口部材20および押さえ部材30のキャップ部31を、排出口部材20の内部を貫通する棒状の支持部41を有する保持部材の支持部41に順次挿入し、排出口部材20の外周面の一部が露出するように保持し、前記排出口部材20の取り付け位置17にて容器本体10内に挿入する工程(2)、
前記取り付け位置17の容器本体10内面と排出口部材20の露出した外周面とを剥離不能にヒートシールする工程(3)、
を含む製造方法。
「剥離可能」は、当該薬剤入り医療用複室容器を外側から押圧した際に剥離する強度で接着していることを示す。該強度は、例えば15mm幅の短冊を用いた剥離試験(JIS Z0238)により測定されるヒートシール強さとして、2.0〜5.0N/15mmが好ましく、2.5〜3.0N/15mmがより好ましい。
なお、ヒートシール強さに関しては、剥離強度または接着強度という場合がある。
ヒートシール強さは、ヒートシールの温度および圧力などの条件を変更することにより調整できる。また、弱シール部13のヒートシール強さを剥離可能な強度とする別の方法として、たとえば、容器本体10の内面側に、ポリエチレンとポリプロピレンとの混合物等の、融点や相溶性の異なる樹脂混合物からなる層を形成させた合成樹脂フィルムを用いて、高融点の樹脂の溶融温度以下の温度でシールする方法が挙げられる。また、ヒートシールを低温で行い、半溶着状態で弱接着させる方法、弱シール部13の形成部分に予め電子線等で架橋した可撓性材料を用いる方法、強融着部分を特定の面積割合で発生させるシールバーを用いる方法、可撓性フィルム11と可撓性フィルム12との間に易剥離性の樹脂テープを挟む方法等が挙げられる。
また、ヒートシールによる接着方法の他、インパルスシールや接着剤を用いたシールによる接着方法により弱シール部を形成してもよい。
該容器本体10においては、充填予定部18、充填予定部19をそれぞれ図6中の点線の位置でカットすると、第一の薬剤収納室14、第二の薬剤収納室15それぞれと容器本体10外とを連通する開口部が形成される。
また、容器本体10の取り付け位置17は、次の工程(2)において排出口部材20および押さえ部材30を、排出口部材20の取り付け位置17にて容器本体10に挿入するため、スペーサ部32の幅よりも幅広く形成されている。
第一の薬液収納室14への第一薬剤の充填、第二の薬液収納室15への第二薬剤の充填は、それぞれ、容器本体10の側縁部および上縁部にそれぞれ設けた充填予定部18、19から行われる。充填予定部18、19は、それぞれ、図6(a)中に点線で示す位置をそれぞれカットされ、各薬剤が注入された後、剥離不能にヒートシールされる。
なお、排出口部材20を、第一の薬剤収納室14へ薬剤を充填するための薬剤注入手段としても使用できるが、第一の薬剤収納室14へ薬剤の充填が進むにつれて、第一の薬剤収納室14の高さが低くなり、押さえ部材30により第一の薬剤収納室14側の開口が閉鎖されていく。そのため、図6に示すように充填予定部18を別途設ける方法が好ましい。
得られた薬剤入り医療用複室容器に対し、滅菌処理を行ってもよい。滅菌処理としては、通常、高圧蒸気による加熱滅菌処理が行われる。
たとえば容器本体10が有する薬剤収納室の数は、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。たとえば第二の薬剤収納室15部分に、別の弱シール部を該容器本体10の短手方向に直線状に設け、容器本体10の長手方向に3つの薬剤収納室が配列した構成としてもよい。
容器本体10を、2枚の可撓性フィルムで構成した例を示したが、例えば1枚の可撓性フィルムを折り曲げて使用してもよく、ブロー成形により形成されたフィルムを用いてもよい。
排出口部材20の突出部21にて開口25を4つ設けた例を示したが、1〜3つまたは5つ以上であってもよい。たとえば4つの開口25のうち、可撓性フィルム11、12と対向していない位置にある2つのみとしてもよい。
押さえ部材30のスペーサ部32側の先端部分が、キャップ部31よりも厚みが薄く幅が広い扁平状である例を示したが、これに限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で、それ以外の形状としてもよい。たとえばマイナスドライバーの先端部分のように、キャップ部31の幅と同じかそれよりも狭い幅であってもよい。
また、キャップ部31とスペーサ部32との境界に段がある例を示したが、キャップ部31とスペーサ部32とが滑らかに連続していてもよい。
Claims (5)
- 対向する一対の可撓性フィルムで構成され、剥離可能な弱シール部により区画された複数の薬剤収納室が一定方向に配列している容器本体と、前記容器本体の内外を連通可能にする略筒状の排出口部材と、を備える医療用複室容器であって、
前記排出口部材が、前記容器本体の周縁部に、前記複数の薬剤収納室のうち配列方向末端にある第一の薬剤収納室内に突出した突出部を形成するように取り付けられ、該突出部に、当該排出口部材内に連通する開口が設けられ、
前記突出部が、該突出部の前記開口を閉塞可能な凹部を有する押さえ部材の前記凹部に、軸方向に摺動自在に嵌合されており、
前記押さえ部材の前記突出部の軸方向における全長が、前記排出口部材が取り付けられた位置が下方となるように前記容器本体を設置した際の前記第一の薬剤収納室の薬剤未充填時の高さよりも短く、且つ前記押さえ部材を設けずに薬剤を充填した時の前記第一の薬剤収納室の高さ以上であり、
前記押さえ部材の見かけ密度が、前記複数の薬剤収納室にそれぞれ充填される複数の薬剤を混合した混合薬剤の密度未満であることを特徴とする医療用複室容器。 - 前記凹部が、前記突出部の長さと略同一の深さで形成されている請求項1に記載の医療用複室容器。
- 前記押さえ部材の前記凹部の開口側とは反対側の先端部分が、前記凹部よりも厚みが薄く幅が広い扁平状である請求項1または2に記載の医療用複室容器。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療用複室容器に薬剤を充填した、薬剤入り医療用複室容器。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療用複室容器を製造する方法であって、
対向する一対の可撓性フィルムを重ね合わせ、前記排出口部材の取り付け位置以外の周縁部を剥離不能にヒートシールし、前記複数の薬剤収納室を区画する位置に、剥離可能な弱シール部を形成して、前記容器本体を作製する工程(1)、
前記排出口部材および前記押さえ部材の凹部を、前記排出口部材の内部を貫通する棒状の支持部を有する保持部材の前記支持部に順次挿入し、前記排出口部材の外周面の一部が露出するように保持し、前記排出口部材の取り付け位置にて前記容器本体内に挿入する工程(2)、
ヒートシールにより、前記取り付け位置の前記容器本体の内面と前記排出口部材の露出した外周面とを剥離不能にヒートシールする工程(3)、
を含む製造方法。
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