以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
〈装置構成〉
図1は、エンジン及び自動変速機を備えた本発明に係るパワープラントのシステム構成を示す模式図であり、図2は、エンジンの吸気系及び排気系の構成を示す模式図である。図1及び図2に示すように、車両のパワープラントP1には、火花点火式の4気筒4サイクルエンジンであるエンジン1が設けられている。このエンジン1は、ECU(エンジンコントロールユニット)3によって制御され、所定の燃焼停止条件が成立したときに燃焼を停止させる一方、所定の燃焼復帰条件が成立したときに燃焼を復帰させる燃焼停止復帰機能を備えているとともに、当該燃焼停止復帰機能による燃焼停止中、所定の第1自動停止条件が成立したときに当該エンジン1を停止させる一方、所定の再始動条件が成立したときに当該エンジン1を再始動させる自動停止再始動機能を備えたアイドルストップエンジンである。
エンジン1は、その外殻をなすシリンダヘッド5と、当該シリンダヘッド5の下側に配置されたシリンダブロック7とを備えている。このシリンダブロック7内には、第1気筒9a、第2気筒9b、第3気筒9c、及び、第4気筒9dが設けられている。第1〜第4気筒9a,9b,…の内部には、コネクティングロッド等の連結機構(図示せず)を介してクランク軸13に連結されたピストン11がそれぞれ嵌挿されており、これら第1〜第4気筒9a,9b,…内には、各ピストン11の上方に燃焼室15がそれぞれ形成されている。
このエンジン1では、第1〜第4気筒9a,9b,…が、所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなる燃焼サイクルを繰り返すようになっている。具体的には、第1気筒9a、第3気筒9c、第4気筒9d、第2気筒9bの順に、クランク角で180度ずつ位相差をもって燃焼が行われるようになっている。このエンジン1の作動によって生じた動力ないしトルク(出力トルク)は、クランク軸13に連結されたトルクコンバータ17を介して自動変速機19に伝達される。なお、自動変速機19から出力された動力ないしトルクは、車両の駆動輪(図示せず)に伝達される。
第1〜第4気筒9a,9b,…は、基本的には同様の構造及び機能を備えている。このため、以下では、1つの気筒を例にとってその構造及び機能を説明する。各気筒9a,9b,…には、燃焼室15の頂部に、当該燃焼室15内の混合気を点火して燃焼させるための点火プラグ21が設けられている。この点火プラグ21は、その先端の電極が燃焼室15に臨むように配置されている。また、各燃焼室15の側方(図1では右側)には、燃料噴射弁23が、その先端の噴射孔が燃焼室15に臨むように配設されている。
この燃料噴射弁23は、不図示のニードル弁及びソレノイドを内蔵し、ECU3からのパルス信号により、そのパルス幅に対応する時間だけ開弁駆動されて、その駆動時間に応じた量の燃料を燃焼室15に直接噴射するようになっている。なお、燃料噴射弁23は、その燃料噴射方向が点火プラグ21の電極付近に向くように調整されている。また、燃料噴射弁23には、不図示の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給されるようになっており、燃料噴射弁23の燃料供給圧は、圧縮行程中期以降で高圧の燃焼室15内に燃料を噴射できるように、燃焼室15の圧力よりも高い値に設定されている。
各燃焼室15の上部には、当該各燃焼室15に開口する吸気ポート25及び排気ポート27がそれぞれ設けられており、各吸気ポート25には吸気弁29が、又、各排気ポート27には排気弁31がそれぞれ配設されている。これら吸気弁29及び排気弁31は、カムシャフト等を備えた動弁機構(図示せず)によりそれぞれ駆動される。なお、動弁機構は、第1〜第4気筒9a,9b,…が、上記のように所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように、当該各気筒9a,9b,…の吸気弁29及び排気弁31を開閉するように構成されている。
次に、エンジン1の吸気系及び排気系を説明する。エンジン1には、吸気ポート25及び排気ポート27とそれぞれ連通する吸気通路33及び排気通路35が設けられている。図2に示すように、吸気ポート25に近い吸気通路33の下流側は、気筒9a,9b,…毎に独立の分岐吸気通路33a,33a,33a,33aとされ、当該各分岐吸気通路33a,33a,…の上流端は、サージタンク33bとそれぞれ連通している。サージタンク33bより上流の吸気通路33は、各気筒9a,9b,…に共通の共通吸気通路33cとなっている。この共通吸気通路33cには、例えばバタフライ弁により通路断面積を調節して吸気の流れを絞るスロットル弁37と、スロットル弁37を駆動するアクチュエータ39とが配設されている。さらに、スロットル弁37の上流側には、吸入空気量を検出するエアフローセンサ41が配設されている。
一方、第1〜第4気筒9a,9b,…からの排気が集合する排気通路35の集合部の下流には、排気を浄化するための触媒コンバータ43が配設されている。ここで、触媒コンバータ43は、排気ガス浄化触媒として三元触媒を用いているが、排気ガス浄化触媒は、三元触媒に限られるものではなく、その他の排気ガス浄化触媒、例えばリーンNOX触媒を用いてもよい。
また、エンジン1には、ベルト等を介してクランク軸13によって回転駆動されるオルタネータ45が付設されている。このオルタネータ45によって発電された電力は、不図示のバッテリに蓄電されるようになっている。さらに、エンジン1には、バッテリから供給される電力によりクランク軸13を回転駆動してエンジン1を始動させるモータジェネレータ(始動装置)47が設けられている。
パワープラントP1には、クランク軸13の回転角を検出する2つのクランク角センサ49,51が設けられている。ここで、主としてクランク角センサ49からの信号に基づいて、エンジン回転速度が求められる。また、2つのクランク角センサ49,51から出力される互いに位相のずれたクランク角信号によって、クランク軸13の回転方向及び回転角度(エンジン回転数)が検出される。
さらに、パワープラントP1には、前記各センサの他に、カムシャフトの特定の回転位置を検出して気筒識別信号として出力するカム角センサ53と、不図示の電磁ピックアップを有し、車両の速度を検出する車速センサ55と、不図示のブレーキペダルの踏込量を検出するブレーキ踏込量センサ57と、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ59とが設けられている。
ECU3は、上記各センサからの信号を受け、燃料噴射弁23に対して燃料噴射量及びその噴射時期を制御する信号を出力するとともに、点火プラグ21の点火装置61に対して点火時期を制御する信号を出力し、さらにスロットル弁37のアクチュエータ39に対してスロットル開度を制御する信号を出力するようになっている。
以下、ECU3によって実行される本実施形態に係るエンジンの制御方法及びその装置構成について説明する。なお、以下の説明では、不図示のイグニッションスイッチがオンであることを前提とする。
先ず、ECU3は、所定の燃焼停止条件が成立したときに燃焼を停止させる一方、所定の燃焼復帰条件が成立したときに燃焼を復帰させる燃焼停止復帰機能を備えている。ここで、ECU3は、下記の個別条件がすべて充足されたときに、燃焼停止条件が成立したものと判定するように構成されている。
〔燃焼停止条件〕
(1)イグニッションスイッチがオンである。
(2)アクセル開度が0である。
一方、ECU3は、下記の個別条件がすべて充足されたときに、第1又は第2燃焼復帰条件が成立したものと判定するように構成されている。
〔第1燃焼復帰条件〕
(1)イグニッションスイッチがオンである。
(2)フューエルカット(以下、F/Cともいう)の実行中である。
(3)アクセル開度が0よりも大きい。
〔第2燃焼復帰条件〕
(1)イグニッションスイッチがオンである。
(2)F/Cの実行中である。
(3)車速が燃焼復帰判定値以下である。
(4)ブレーキ踏込量が0である。
なお、燃焼停止条件並びに第1及び第2燃焼復帰条件は、上記の個別条件に限定されるものでないことは勿論である。例えば、上記の個別条件のいずれかを削除してもよく、またその他の個別条件を追加してもよい。また、「燃焼復帰判定値」とは、例えば、燃料噴射停止後、車両の駆動輪の回転が自動変速機19及びトルクコンバータ17を介してクランク軸13に伝達されることで生じるエンジン回転数が、アイドル回転数より低くなるような車速をいう。
上記燃焼停止復帰機能を実現する具体的な構成として、ECU3は燃焼停止復帰条件判定部3aを有しており、この燃焼停止復帰条件判定部3aは、アクセル開度センサ59からの出力信号に基づいてアクセル開度が0であると認識した場合には、燃焼復帰条件が成立したと判定する。燃焼停止復帰条件判定部3aによるかかる判定結果は、ECU3内の燃焼制御部3dに送信される。この燃焼制御部3dは、F/Cを実行する(燃料噴射弁23に対して信号を出力して燃料噴射を停止させる)。
一方、この燃焼停止復帰条件判定部3aは、運転者に停車する意思がないと推定される場合、すなわち、F/Cの実行中に、アクセル開度センサ59からの出力信号に基づいてアクセル開度が0よりも大きい(0ではない)と認識した場合(第1燃焼復帰条件)や、車速が燃焼復帰判定値以下であり、且つ、ブレーキ踏込量が0である場合(第2燃焼復帰条件)には、燃焼復帰条件が成立したと判定する。この判定結果は、燃焼制御部3dに送信され、かかる判定結果を受けた燃焼制御部3dは、F/C復帰を実行する(燃料噴射弁23に対して信号を出力して燃料噴射を復帰させるとともに、点火装置61に対して信号を出力して点火プラグ21によって燃焼室15内の混合気を燃焼させる)。
このことで、燃焼停止復帰条件判定部3a及び燃焼制御部3dは、所定の燃焼停止条件が成立したときにエンジン1の燃焼を停止させる一方、所定の燃焼復帰条件が成立したときにエンジン1の燃焼を復帰させる本発明の燃焼停止復帰手段を構成することになる。
また、ECU3は、燃焼停止復帰機能による燃焼停止中(F/Cの実行中)、所定の第1自動停止条件が成立したときにエンジン1を自動停止させる一方、所定の再始動条件が成立したときにエンジン1を再始動させる自動停止再始動機能を備えている。ここで、ECU3は、下記の個別条件がすべて充足されたときに、第1自動停止条件が成立したものと判定するように構成されている。
〔第1自動停止条件〕
(1)イグニッションスイッチがオンである。
(2)F/Cの実行中である(アクセル開度が0である)。
(3)車速が燃焼復帰判定値以下である(停車状態を含む)。
(4)ブレーキ踏込量が0よりも大きい。
一方、ECU3は、下記の個別条件がすべて充足されたときに、第1又は第2再始動条件が成立したものと判定するように構成されている。
〔第1再始動条件〕
(1)イグニッションスイッチがオンである。
(2)自動停止中である。
(3)アクセル開度が0よりも大きい。
〔第2再始動条件〕
(1)イグニッションスイッチがオンである。
(2)自動停止中である。
(3)ブレーキ踏込量が0である。
なお、第1自動停止条件並びに第1及び第2再始動条件は、上記の個別条件に限定されるものでないことは勿論である。例えば、上記の個別条件のいずれかを削除してもよく、またその他の個別条件を追加してもよい。
上記自動停止再始動機能を実現する具体的な構成として、ECU3は自動停止再始動条件判定部3bを有しており、この自動停止再始動条件判定部3bは、F/Cの実行中に、車速センサ55からの出力信号に基づいて車速が燃焼復帰判定値以下であると認識し、アクセル開度センサ59からの出力信号に基づいてアクセル開度が0であると認識し、且つ、ブレーキ踏込量センサ57からの出力信号に基づいてブレーキ踏込量が0であると認識した場合には、第1自動停止条件が成立したと判定する。自動停止再始動条件判定部3bにより第1自動停止条件が成立した判定されたときには、この判定結果は、燃焼制御部3d並びに後述するECU3内の演算部3c及び自動停止禁止部3eに送信される。そうして、判定結果を受けた燃焼制御部3dは、後述する停車前再始動頻度が第1所定値(請求項1及び3の「所定値」に相当)より小さい場合には、F/Cを継続する(燃料噴射弁23からの燃料噴射の停止を継続させて、エンジン1を自動停止させる)。
一方、この自動停止再始動条件判定部3bは、F/Cの実行中に、アクセル開度センサ59からの出力信号に基づいてアクセル開度が0よりも大きい(0ではない)と認識した場合には、第1再始動条件が成立したと判定する。この判定結果は、燃焼制御部3d及び演算部3cに送信される。そうして、判定結果を受けた燃焼制御部3dは、燃料噴射弁23に対して信号を出力して燃料噴射を復帰させるとともに、点火装置61に対して信号を出力して点火プラグ21によって燃焼室15内の混合気を燃焼させる。
また、自動停止再始動条件判定部3bは、アクセル開度が0である場合でも、運転者に停車する意思がないと推定される場合、すなわち、自動停止中に、ブレーキ踏込量センサ57からの出力信号に基づいてブレーキ踏込量が0であると認識した場合には、第2再始動条件が成立したと判定する。この判定結果は、燃焼制御部3d及び演算部3cに送信され、かかる判定結果を受けた燃焼制御部3dは、燃料噴射弁23からの燃料噴射を復帰させるとともに、点火プラグ21によって燃焼室15内の混合気を燃焼させる。
このことで、自動停止再始動条件判定部3b及び燃焼制御部3dは、燃焼停止復帰手段によるエンジン1の燃焼停止中に、所定の第1自動停止条件が成立したときにエンジン1を自動停止させる一方、所定の再始動条件が成立したときにエンジン1を再始動させる本発明の自動停止再始動手段を構成することになる。
また、本実施形態に係るエンジンの制御方法は、車速が0となる前に(停車する前)、再始動条件が成立した頻度である停車前再始動頻度を演算する演算工程を含んでいる。この演算工程を実現する具体的な構成として、ECU3は演算部3cを有しており、この演算部3cは、エンジン1を自動停止させるか否かの判定基準となる停車前再始動頻度Frst(以下、再始動頻度Frstともいう)を演算するように構成されている。再始動頻度Frstは、その値が大きいほど、車速が0となる前に再始動した頻度が高い(停車する可能性が低い)ことを意味する一方、その値が小さいほど、車速が0となる前に再始動した頻度が低い(停車する可能性が高い)ことを意味する。
具体的には、後述するように燃焼制御部3dがエンジン1を自動停止させた後、自動停止再始動条件判定部3bから第1及び/又は第2再始動条件が成立したとの判定結果を受けた燃焼制御部3dが燃料噴射を復帰させた場合には、その制御結果が演算部3cに送信される。このように、エンジン1を自動停止させた後に復帰させたとの制御結果が演算部3cに送信されると、この演算部3cは、当該制御結果を再始動頻度Frstの対象にすべきか否かを判定し、再始動頻度Frstの対象であると判断した場合には、送信を受けた際の再始動頻度Frstに1を加えた値を新たな再始動頻度Frstとして算出し、当該演算後の再始動頻度Frstを燃焼制御部3d及び自動停止禁止部3eに送信するように構成されている。従って、初期値=0である場合に、エンジン1が自動停止後に再始動し(Frst=0+1=1)、その後再びエンジン1が自動停止した後に再始動すると(Cist=1+1=2)、再始動頻度Frst=2となる。
ここで、「再始動頻度Frstの対象にすべきか否かを判定」とは、「頻度」と「回数」とを区別するために行われる判定である。具体的には、渋滞走行時や路地走行時等におけるF/C復帰とは明らかに異なるF/C復帰を、再始動頻度を演算するための母集団から除外するために、例えば、前回のF/C復帰(前回復帰)から今回のF/C復帰(今回復帰)までの時間間隔が極端に長いか否か、前回復帰から今回復帰までの間に所定速度以上で所定時間走行したか否かを判定する。そして、前回復帰から今回復帰までの間隔が極端に長い場合や、前回復帰から今回復帰までの間に中〜高速走行が行われた場合には、演算部3cは、再始動頻度Frstの演算を中断し、今回復帰を第1回目の再始動とする新たな再始動頻度Frstの演算を開始する。
なお、再始動頻度Frstの上限値は2に設定されており、停車するまでに、エンジン1が2回以上自動停止しても、車両が停車するまで、再始動頻度Frst=2として記憶される。また、演算部3cは、車速センサ55からの出力信号に基づいて、車速が0であると認識した場合には、再始動頻度Frstを初期値(=0)にリセットするように構成されている。
このことで、演算部3cは、車速が0となる前に、再始動条件が成立した頻度である停車前再始動頻度を演算する本発明の演算手段を構成することになる。
さらに、本実施形態に係るエンジンの制御方法は、第1自動停止条件が成立した際、停車前再始動頻度が第1所定値より小さい場合には、燃焼を復帰させずにエンジン1を自動停止させる自動停止工程を含んでいる。
具体的には、ECU3内の燃焼制御部3dは、第1自動停止条件が成立した際、再始動頻度Frstが第1所定値(=2)より小さい場合、換言すると、自動停止再始動条件判定部3bから第1自動停止条件が成立したとの判定結果が送信された際、演算部3cから送信された再始動頻度Frstが2より小さい場合には、燃焼の復帰を禁止するように構成されている。すなわち、燃焼制御部3dは、エンジン1の自動停止から車両が停止するまでの間に、再加速要求などによってエンジン1を再始動する可能性が低い場合には、燃焼を復帰させずにエンジン1を自動停止させるようになっている。
なお、ここで、「燃焼の復帰を禁止する」とは、上記第1及び第2燃焼復帰条件が成立した場合にまで、燃焼の復帰を禁止することを意味するのではなく、エンジン回転数が例えばアイドル回転数より低くなった場合にも、燃焼の自動復帰を禁止して、後述する減速i−stopモード又はi−stopモードに設定することを意味する。これにより、従来のF/C制御の如く、F/Cを実行可能なエンジン回転数が、再度のクランキングを行うことなく、燃料の供給を再開することにより再始動可能なエンジン回転数領域に限定されるものとは異なり、燃費の向上を図ることが可能となる。
加えて、本実施形態に係るエンジンの制御方法は、第1自動停止条件が成立した際、再始動頻度Frstが第1所定値以上の場合には、燃焼を復帰させた後、所定の第2自動停止条件が成立したときにエンジン1を停止させる自動復帰工程を含んでいる。
具体的には、ECU3内の燃焼制御部3dは、自動停止再始動条件判定部3bから第1自動停止条件が成立したとの判定結果が送信された際、演算部3cから送信された再始動頻度Frstが2である場合には、燃焼を復帰させるように、すなわち、燃料噴射弁23に対して信号を出力して燃料噴射を復帰させるとともに、点火装置61に対して信号を出力して燃焼室15内の混合気を燃焼させるように構成されている。
また、ECU3内の自動停止禁止部3eは、自動停止再始動条件判定部3bから第1自動停止条件が成立したとの判定結果が送信された際、演算部3cから送信された再始動頻度Frstが2である場合には、所定の第2自動停止条件が成立するまでエンジン1の自動停止を禁止するように構成されている。
ここで、ECU3は、下記の個別条件がすべて充足されたときに、第2自動停止条件が成立したものと判定するように構成されている。なお、この第2自動停止条件は、下記の個別条件に限定されるものでないことは勿論である。例えば、下記の個別条件のいずれかを削除してもよく、またその他の個別条件を追加してもよい。
〔第2自動停止条件〕
(1)イグニッションスイッチがオンである。
(2)ブレーキ踏込量が0よりも大きい。
(3)車速が0である。
このように、燃焼制御部3dは、エンジン1の自動停止から車両が停止するまでの間に、再加速要求などによってエンジン1を再始動する可能性が高い場合には、燃焼を復帰させることにより速やかな再加速が実現して、ドライブフィーリングが損なわれるのを抑えるように構成されており、また、自動停止禁止部3eは、所定の第2自動停止条件が成立したとき、換言すると、運転者の停止の意思が確実に表明されたときにエンジン1を停止させるように構成されている。
このことで、燃焼制御部3dは、第1自動停止条件が成立した際、停車前再始動頻度Frstが第1所定値以上の場合には、燃焼停止復帰手段によってエンジン1の燃焼を復帰させる一方、停車前再始動頻度Frstが第1所定値より小さい場合には、燃焼停止復帰手段によるエンジン1の燃焼の復帰を禁止する本発明の燃焼停止復帰制御手段を構成し、自動停止禁止部3eは、第1自動停止条件が成立した際、停車前再始動頻度Frstが第1所定値以上の場合には、所定の第2自動停止条件が成立するまで自動停止再始動手段によるエンジン1の自動停止を禁止する本発明の自動停止禁止手段を構成している。
〈エンジンの制御方法〉
以下、ECU3によるエンジンの制御方法について、図3に示すタイムチャートを用いて説明する。なお、図3は、渋滞走行の如く、第1自動停止条件成立後、エンジン1を3回再始動した後に停車する場合を示す。また、以下の説明において、「減速F/C」とは、燃料噴射弁23からの燃料噴射が停止している(エンジン1自体は、車両の駆動輪の回転が、自動変速機19及びトルクコンバータ17を介してクランク軸13に伝達されることで回転している)状態を意味し、「減速i−stop」とは、燃料噴射が停止し且つエンジン1が停止している状態を意味し、「i−stop」とは、燃料噴射が停止し、エンジン1が停止し、且つ車両が停車している状態を意味する。
図3(a)に示すように、車両が停車している状態では、再始動頻度Frstは初期値である0に設定されている(図3(h)参照)。
時刻T1では、ブレーキ状態がOFFになるとともに、図3(c)に示すように、アクセル開度が0より大きくなると、図3(b)に示すようにエンジン回転数が上昇し、これに伴って車速が上昇する。
時刻T2では、アクセル開度が0となると、燃焼停止条件が満たされることから、図3(d)に示すように、運転状態が減速F/Cモードに設定される。時刻T2〜時刻T3では、アクセル開度が0のままであることから、第1燃焼復帰条件は成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻T3では、車速が燃焼復帰判定値以下であり、アクセル開度が0であり、且つ、図3(e)に示すように、ブレーキ状態がONであることから、先ず、第1自動停止条件が成立する。また、再始動頻度Frst(=0)が2(第1所定値)より小さいことから、ECU3内の燃焼制御部3dが燃焼の復帰を禁止し、これにより、図3(g)に示すように、運転状態が減速i−stopモードに設定される。
時刻T4からは、アクセル開度が0よりも大きくなり、また、ブレーキ状態がOFFであることから、上記第1及び第2再始動条件が共に成立し、燃料噴射が復帰するとともに、点火プラグ21によって燃焼室15内の混合気が点火されて燃焼する。これにより、エンジン回転数が上昇し、これに伴って車速が上昇する。なお、車速が0となる前に、再始動条件が成立したことから、再始動頻度Frstが1に設定される。
時刻T5では、アクセル開度が0となると、再び燃焼停止条件が満たされることから、運転状態が再び減速F/Cモードに設定される。時刻T5〜時刻T6では、アクセル開度が0のままであることから、第1燃焼復帰条件が成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻T6では、車速が燃焼復帰判定値以下であり、アクセル開度が0であり、且つ、ブレーキ状態がONであることから、再び第1自動停止条件が成立する。また、再始動頻度Frst(=1)が2(第1所定値)より小さいことから、ECU3内の燃焼制御部3dが燃焼の復帰を禁止し、これにより、運転状態が再び減速i−stopモードに設定される。
時刻T7からは、アクセル開度が0よりも大きくなり、また、ブレーキ状態がOFFであることから、第1及び第2再始動条件が共に成立し、燃料噴射を復帰するとともに、点火プラグ21によって燃焼室15内の混合気が点火されて燃焼する。これにより、エンジン回転数が上昇し、これに伴って車速が上昇する。なお、車速が0となる前に、再始動条件が成立したことから、再始動頻度Frstが2に設定される。
時刻T8では、アクセル開度が0となると、燃焼停止条件が満たされることから、運転状態が再度減速F/Cモードに設定されて、燃料噴射弁23からの燃料噴射が停止する。時刻T8〜時刻T9においては、アクセル開度が0のままであることから、第1燃焼復帰条件が成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻T9では、車速が燃焼復帰判定値以下であり、アクセル開度が0であり、且つ、ブレーキ状態がONであることから、3度目の第1自動停止条件が成立する。
ここで、再始動頻度Frstが2であることから、エンジン1の自動停止から車両が停止するまでの間に、再加速要求などによってエンジン1を再始動する可能性が高いと判断し、ECU3内の自動停止禁止部3eが、上記第2自動停止条件が成立するまでエンジン1の自動停止を禁止するとともに、ECU3内の燃焼制御部3dが燃焼を復帰させる。このため、減速i−stopモードに設定されることなく、且つ、減速F/Cモードが解除される。これにより、燃料噴射弁23からの燃料噴射を復帰するとともに、点火プラグ21によって燃焼室15内の混合気が燃焼する。
時刻T10からは、エンジン1を再始動する可能性が高いとの判断通り、アクセル開度が0よりも大きくなると、エンジン回転数がスムーズに上昇し、これに伴って車速が上昇する。
時刻T11では、アクセル開度が0となると、燃焼停止条件が満たされることから、運転状態が再度減速F/Cモードに設定されて、燃料噴射弁23からの燃料噴射が停止する。時刻T11〜時刻T12では、アクセル開度が0のままであることから、第1燃焼復帰条件が成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻T13では、ブレーキ状態がONであり、且つ、車速が0であることから、第2自動停止条件が成立する。これにより、ECU3内の自動停止禁止部3eによるエンジン1の自動停止の禁止命令が解除され、図3(f)に示すように、運転状態がi−stopモードに設定される。このとき、車速が0になったことから、再始動頻度Frstが0にリセットされる。
なお、F/C又はi−stop(より詳しくは、減速F/Cモード、減速i−stopモード又はi−stopモード)が成立している状態を示す図3(i)は、渋滞走行の如く、第1自動停止条件成立後、エンジン1を数回再始動した後に停車する場合には、断続的な波形を呈する。
−制御装置の処理動作−
ここで、制御装置の処理動作について、図4及び図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
先ず、最初のステップSA1では、車速センサ55により検出された車速と、アクセル開度センサ59により検出されたアクセル開度と、ブレーキ踏込量センサ57により検出されたブレーキ状態と、をECU3が読み込み、しかる後にステップSA2に進む。
次のステップSA2では、アクセル開度が0より大きいか否かを判定する。このステップSA2の判定がYESであるときは、ステップSA3に進む。
次のステップSA3では、運転状態がi−stopモードに設定されているか否かを判定する。より詳しくは、燃料噴射弁23からの燃料噴射が停止し、エンジン1が停止し、且つ車両が停車しているか否かを判定する。このステップSA3の判定がYESであるときは、ステップSA4に進む。次のステップSA4では、i−stopモードを解除し、ステップSA5に進んで、F/C復帰を行い、しかる後にリターンする。一方、ステップSA3の判定がNOであるときは、ステップSA6に進む。
次のステップSA6では、運転状態が減速i−stopモードに設定されているか否かを判定する。より詳しくは、燃料噴射弁23からの燃料噴射が停止し、且つ、エンジン1が停止しているか否かを判定する。このステップSA6の判定がYESであるときは、ステップSA7に進む。次のステップSA7では、減速i−stopモードを解除し、ステップSA8に進んで、F/C復帰を行い、しかる後にステップSA9に進む。ステップSA9〜SA11については後述する。一方、ステップSA6の判定がNOであるときは、ステップSA12に進む。
次のステップSA12では、運転状態が減速F/Cモードに設定されているか否かを判定する。より詳しくは、燃料噴射弁23からの燃料噴射が停止しているか否かを判定する。このステップSA12の判定がYESであるときは、ステップSA13に進む。次のステップSA13では、減速F/Cモードを解除し、ステップSA14に進んで、F/C復帰を行い、しかる後にリターンする。一方、ステップSA12の判定がNOであるときは、通常の運転状態であることから、そのままリターンする。
一方、ステップSA2の判定がNOであるとき、すなわちアクセル開度が0であるときは、ステップSA15に進む。次のステップSA15では、車速が燃焼復帰判定値よりも大きいか否かを判定する。このステップSA15の判定がYESであるときは、ステップSA16に進んで、運転状態を減速F/Cモードに設定し、しかる後にリターンする。
これに対し、ステップSA15の判定がNOであるとき、すなわち、車速が燃焼復帰判定値以下であるときは、ステップSA17に進む。なお、アクセル開度が0となると車速が下降し、その後アクセルが踏み込まれなければ、通常、車速が燃焼復帰判定値よりも高い状態(SA16)から、車速が燃焼復帰判定値以下の状態に移行するので、ステップSA15の判定がNOであるときは、運転状態が少なくとも減速F/Cモードに設定されている。
次のステップSA17では、ブレーキ状態がOFFか否か、すなわち、ブレーキペダルの踏込量が0か否かを判定する。このステップSA17の判定がYESであるときは、ステップSA18に進む。次のステップSA18では、運転状態が減速i−stopモードに設定されているか否かを判定する。このステップSA18の判定がNOであるときは、ステップSA19に進む。次のステップSA19では、ブレーキペダルが踏み込まれていないことから、運転者に停車する意思がないと推定し、F/C復帰を行い、しかる後にリターンする。一方、ステップSA18の判定がYESであるときは、ステップSA20に進む。ステップSA20〜SA24については後述する。
一方、ステップSA17の判定がNOであるとき、すなわち、ブレーキペダルが踏み込まれているときは、ステップSA25に進む。次のステップSA25では、減速F/Cモードに設定されているか否かを判定する。より詳しくは、上述の如く、ステップSA15の判定がNOであるときは、通常、運転状態が少なくとも減速F/Cモードに設定されていることから、このステップSA25では、運転状態が減速F/Cモードに設定されているか、それとも、減速i−stopモードに設定されているかを判定することになる。
このステップSA25の判定がYESであるときは、すなわち、運転状態が減速F/Cモードに設定されているときは、ステップSA26に進んで、再始動頻度Frstが2より小さいか否かを判定する。このステップSA26の判定がYESであるとき、すなわち、演算部3cから送信された再始動頻度Frstが2より小さいときは、ステップSA27に進む。
次のステップSA27では、アクセル開度が0であり(SA2)、車速が燃焼復帰判定値以下であり(SA15)、ブレーキ踏込量が0よりも大きく(SA17)、且つ、F/Cの実行中である(SA25)ことから、第1自動停止条件が成立しているので、ECU3内の燃焼制御部3dが燃焼の復帰を禁止して、運転状態を減速i−stopモードに設定し、しかる後にリターンする。
一方、ステップSA26の判定がNOであるとき、すなわち、演算部3cから送信された再始動頻度Frstが2であるときは、ステップSA28に進む。次のステップSA28では、アクセル開度が0であり(SA2)、車速が燃焼復帰判定値以下であり(SA15)、ブレーキ踏込量が0よりも大きく(SA17)、且つ、F/Cの実行中である(SA25)ことから、第1自動停止条件が成立しているが、再始動頻度Frstが2である(SA26)ため、ECU3内の燃焼制御部3dが、減速F/Cモードを解除し、ステップSA29に進む。次のステップSA29では、燃料噴射弁23からの燃料噴射を復帰させるとともに、点火プラグ21によって燃焼室15内の混合気を点火して燃焼させた後にリターンする。
これに対し、ステップSA25の判定がNOであるとき、すなわち、運転状態が減速i−stopモードであるときは、ステップSA30に進む。次のステップSA30では、車速が0か否かを判定する。このステップSA30の判定がYESであるときは、ステップSA31に進んで、運転状態をi−stopモードに設定し、しかる後にステップSA32に進む。次のステップSA32では、車速が0になったことから、演算部3cが、再始動頻度Frstを初期値である0にリセットし、しかる後にリターンする。
一方、ステップSA30の判定がNOであるときは、運転状態が減速i−stopモードに設定されたままリターンする。そうして、アクセル開度が0より大きくなると、ステップSA3、ステップSA6、ステップSA7の順に進み、ステップSA8でF/C復帰を行う。
次のステップSA9では、かかるF/C復帰が再始動頻度の対象か否かを判定する。具体的には、前回のF/C復帰から今回のF/C復帰までの間隔が極端に長い場合や、前回のF/C復帰から今回のF/C復帰までの間に中〜高速走行が行われた場合等に該当するか否かを判定し、かかる場合に該当すれば、今回のF/C復帰を再始動頻度を演算するための母集団から除外する。
このステップSA9の判定がYESであるとき、すなわち、再始動頻度Frstの演算の対象となる渋滞走行時や路地走行時等のF/C復帰のときは、ステップSA10に進む。次のステップSA10では、ECU3内の演算部3cが、数式Frst=Frst+1に従い、現在の再始動頻度Frstに1を加えた値を新たな再始動頻度Frstとして設定し、しかる後にリターンする。
一方、このステップSA9の判定がNOであるとき、例えば、前回復帰から今回復帰までの間隔が極端に長いときは、ステップSA11に進む。次のステップSA11では、ECU3内の演算部3cが、数式Frst=1に従い、再始動頻度Frstを1に設定し、しかる後にリターンする。つまり、このステップSA11では、今回復帰が自動停止後の2回目の復帰であろうが、3回以上の復帰であろうが、前回復帰から今回復帰までの間隔が極端に長いとき等には、今回復帰を自動停止後最初のF/C復帰として扱うようにしている。
また、運転状態が減速i−stopモードに設定された状態で、ブレーキ状態がOFFになると、ステップSA17、ステップSA18の順に進み、ステップSA20で減速i−stopモードが解除され、ステップSA21でF/C復帰が行われた後、ステップSA22〜ステップSA24で、ステップSA9〜ステップSA11と同様の処理動作が行われる。
−効果−
本実施形態によれば、第1自動停止条件が成立した際、再始動頻度Frstが2より小さい場合、換言すると、エンジン1の自動停止から車両が停止するまでの間に、再加速要求などによってエンジン1を再始動する可能性が低い場合には、燃焼を復帰させずにエンジン1を停止させる。これにより、F/Cを実行可能なエンジン回転数が限定される制御に比して、燃費の向上を図ることができる。
一方、第1自動停止条件が成立した際、再始動頻度Frstが2である場合、換言すると、エンジン1の自動停止から車両が停止するまでの間に、再加速要求などによってエンジン1を再始動する可能性が高い場合には、燃焼を復帰させることにより速やかな再加速が実現されるので、ドライブフィーリングが損なわれるのを抑えることができる。そして、この場合には、所定の第2自動停止条件が成立したとき、換言すると、運転者の停止の意思が確実に表明されたときにエンジン1を停止させる。
以上により、燃費の向上を図りつつ、減速と再加速が頻繁に繰り返される場合にも、ドライバビリティの悪化を抑制することができる。
(実施形態2)
本実施形態は、モータジェネレータ47を用いて制御を行う点が実施形態1と異なるものである。以下、実施形態1と異なる点について説明する。なお、この実施形態2の装置構成は、上記実施形態1のものと同じなので、以下、同一部位には同一の符号を付してその説明は省略する。
本実施形態に係るエンジンの制御方法は、停車前再始動頻度が第2所定値以上の場合、燃焼停止復帰機能によるエンジン1の燃焼停止中に車速が所定速度よりも小さくなったときに、モータジェネレータ47によってエンジン1を駆動することでエンジン回転数を所定値以上に維持する工程をさらに含んでいる。ここで、第2所定値は1に設定されており、上記第1所定値(=2)よりも小さい値になっている。
かかる工程を加えることにより、エンジンの自動停止後再始動する可能性が低い(停車前再始動頻度が第2所定値より小さい)場合には、減速i−stopモードに設定することにより燃費の向上を図り、エンジンの自動停止後再始動する可能性が中程度(停車前再始動頻度が第1所定値より小さく且つ第2所定値以上)の場合には、減速i−stopモードに設定し且つモータジェネレータ47を作動させることにより、燃費の向上を図りつつドライバビリティの悪化を抑制し、エンジンを再始動する可能性が高い(停車前再始動頻度が第1所定値以上の)場合には、減速i−stopモードに設定せず且つモータジェネレータ47を作動させることにより、速やかな再加速が実現することが可能となる。
上記工程を実現する具体的な構成として、ECU3内の燃焼制御部3dは、停車前再始動頻度が第2所定値(=1)以上の場合、燃焼停止復帰機能によるエンジン1の燃焼停止中に車速が燃焼復帰判定値(所定速度)よりも小さくなったときに、換言すると、演算部3cから送信された再始動頻度Frstが1以上の場合、燃焼停止復帰機能によるエンジン1の燃焼停止中に、車速センサ55からの出力信号に基づいて車速が燃焼復帰判定値よりも小さくなったと認識した場合モータジェネレータ47によってエンジン1を駆動するように構成されている。
〈エンジンの制御方法〉
以下、ECU3によるエンジンの制御方法について、図6に示すタイムチャートを用いて説明する。なお、図6は、渋滞走行の如く、第1自動停止条件成立後、エンジン1を3回再始動した後に停車する場合を示す。
図6(a)に示すように、車両が停車している状態では、図6(h)に示すように、再始動頻度Frstは初期値である0に設定されている。時刻T1’において、ブレーキ状態がOFFになるとともにアクセル開度が0より大きくなると、図6(b)に示すようにエンジン回転数が上昇し、これに伴って車速が上昇する。
そうして、時刻T2’において、図6(c)に示すようにアクセル開度が0となると、燃焼停止条件が満たされることから、図6(d)に示すように、運転状態が減速F/Cモードに設定される。時刻T2’〜時刻T3’においては、アクセル開度が0のままであることから、第1燃焼復帰条件は成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻T3’においては、車速が燃焼復帰判定値以下であり、アクセル開度が0であり、且つ、ブレーキ状態がONであることから、先ず、第1自動停止条件が成立する。また、再始動頻度Frst(=0)が2より小さいことから、ECU3内の燃焼制御部3dが燃焼の復帰を禁止し、これにより、図6(g)に示すように、運転状態が減速i−stopモードに設定される。このとき、再始動頻度Frst(=0)が1より小さいことから、モータジェネレータ47は作動しない。
次いで、時刻T4’からは、アクセル開度が0よりも大きくなり、また、図6(e)に示すように、ブレーキ状態がOFFであることから、上記第1及び第2再始動条件が共に成立し、F/C復帰が行われる。これにより、エンジン回転数が上昇し、これに伴って車速が上昇する。なお、車速が0となる前に、再始動条件が成立したことから、再始動頻度Frstが1に設定される。
そうして、時刻T5’において、アクセル開度が0となると、再び燃焼停止条件が満たされることから、運転状態が再び減速F/Cモードに設定される。時刻T5’〜時刻T6’においては、アクセル開度が0のままであることから、第1燃焼復帰条件が成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻T6’においては、車速が燃焼復帰判定値以下であり、アクセル開度が0であり、且つ、ブレーキ状態がONであることから、再び第1自動停止条件が成立する。また、再始動頻度Frst(=1)が2より小さいことから、ECU3内の燃焼制御部3dが燃焼の復帰を禁止し、これにより、運転状態が再び減速i−stopモードに設定される。
このとき、再始動頻度Frst(=1)が1以上で、エンジン1の燃焼停止中であり、車速が燃焼復帰判定値よりも小さくなっていることから、燃焼制御部3dはモータジェネレータ47によってエンジン1を駆動させる。
次いで、時刻T7’からは、アクセル開度が0よりも大きくなり、また、ブレーキ状態がOFFであることから、第1及び第2再始動条件が共に成立し、燃料噴射を復帰するとともに、点火プラグ21によって燃焼室15内の混合気が点火されて燃焼する。ここで、図6(i)に示すように、モータジェネレータ47によってエンジン1が駆動されていることから、エンジン回転数がスムーズに上昇し、これに伴って車速が上昇する。なお、車速が0となる前に、再始動条件が成立したことから、再始動頻度Frstが2に設定される。
そうして、時刻T8’において、アクセル開度が0となると、燃焼停止条件が満たされることから、運転状態が再度減速F/Cモードに設定されて、燃料噴射弁23からの燃料噴射が停止する。時刻T8’〜時刻T9’においては、アクセル開度が0のままであることから、第1燃焼復帰条件が成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻T9’においては、車速が燃焼復帰判定値以下であり、アクセル開度が0であり、且つ、ブレーキ状態がONであることから、3度目の第1自動停止条件が成立する。
ここで、再始動頻度Frst(=2)が1以上で、エンジン1の燃焼停止中であり、車速が燃焼復帰判定値よりも小さくなっていることから、燃焼制御部3dはモータジェネレータ47によってエンジン1を駆動させる。また、再始動頻度Frstが2であることから、エンジン1の自動停止から車両が停止するまでの間に、再加速要求などによってエンジン1を再始動する可能性が高いと判断し、ECU3内の自動停止禁止部3eが、上記第2自動停止条件が成立するまでエンジン1の自動停止を禁止するとともに、ECU3内の燃焼制御部3dが燃焼を復帰させる。このため、減速i−stopモードに設定されることなく、且つ、減速F/Cモードが解除されて、燃料噴射弁23からの燃料噴射を復帰させるとともに、点火プラグ21によって燃焼室15内の混合気を点火して燃焼させる。
そうして、時刻T10’からは、エンジン1を再始動する可能性が高いとの判断通りアクセルが踏み込まれてアクセル開度が0よりも大きくなると、モータジェネレータ47によってエンジン1が駆動されていることと、燃焼が復帰していることとが相俟って、エンジン回転数がスムーズに上昇し、これに伴って車速が上昇する。
そうして、時刻T11’において、アクセル開度が0となると、燃焼停止条件が満たされることから、運転状態が再度減速F/Cモードに設定されて、燃料噴射弁23からの燃料噴射が停止する。時刻T11’〜時刻T12’においては、アクセル開度が0のままであることから、第1燃焼復帰条件が成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻T12’においては、再始動頻度Frst(=2)が1以上で、エンジン1の燃焼停止中であり、車速が燃焼復帰判定値よりも小さくなっていることから、燃焼制御部3dはモータジェネレータ47によってエンジン1を駆動させる。
そうして、時刻T13’においては、ブレーキ状態がONであり、且つ、車速が0であることから、第2自動停止条件が成立する。これにより、ECU3内の自動停止禁止部3eによるエンジン1の自動停止の禁止命令が解除されて、運転状態がi−stopモードに設定される。なお、車速が0になったことから、再始動頻度Frstが0にリセットされる。
−効果−
本実施形態によれば、再始動頻度Frstが1以上の場合、燃焼停止復帰機能によるエンジン1の燃焼停止中に車速が燃焼復帰判定値よりも小さくなったときに、モータジェネレータ47によってエンジン1を駆動することでエンジン回転数が所定回転数以上に維持される。これにより、エンジン1の自動停止から再始動する場合には、当該所定回転数以上のエンジン回転数から再加速が行われるので、ドライバビリティの悪化をより一層抑制することができる。
また、第2所定値(=1)は第1所定値(=2)よりも小さい値に設定されていることから、自動停止工程においてエンジン1を自動停止させた状態から、再加速要求などによってエンジンを再始動する場合にも、モータジェネレータ47によってエンジン1を駆動することでエンジン回転数が所定回転数以上に維持される。これにより、再始動する可能性が低いと推定された場合に、エンジン1が再始動されたときにも、当該所定回転数以上のエンジン回転数から再加速が行われるので、ドライバビリティの悪化をより一層確実に抑制することができる。
(実施形態3)
本実施形態は、再始動条件が成立した「頻度」ではなく、エンジンが自動停止した「回数」を基準として、エンジンの燃焼を復帰させるか否かを決定する点が実施形態1と異なるものである。以下、実施形態1と異なる点について説明する。なお、この実施形態3の装置構成は、上記実施形態1のものと同じなので、以下、同一部位には同一の符号を付してその説明は省略する。
本実施形態に係るエンジンの制御方法は、車速が0となる前に、エンジン1が自動停止した回数である停車前自動停止回数を演算する第1演算工程を含んでいる。この第1演算工程を実現する具体的な構成として、演算部3cは、エンジン1を自動停止させるか否かの判定基準となる許可回数Cistを演算するように構成されている。
より詳しくは、演算部3cは、許可回数Cistの初期値として2という数値を記憶しており、車速が0となる前に、エンジンが自動停止する度に、許可回数Cistから1を減じた値を新たな許可回数Cistとして算出するように構成されている。すなわち、許可回数Cistが大きいほど、車速が0となる前にエンジン1が自動停止した回数が少ないことを意味する一方、許可回数Cistが小さいほど、車速が0となる前にエンジン1が自動停止した回数が多いことを意味する。
具体的には、燃焼制御部3dがエンジン1を自動停止させた場合には、その制御結果が演算部3cに送信される。このように、エンジン1を自動停止させたとの制御結果が演算部3cに送信される度に、この演算部3cは、送信を受けた際の許可回数Cistから1を減じた値を新たな許可回数Cistとして算出し、当該演算後の許可回数Cistを燃焼制御部3d及び自動停止禁止部3eに送信するように構成されている。従って、初期値=2である場合に、エンジン1が自動停止し(Cist=2−1=1)、その後再始動した後、再びエンジン1が自動停止すると(Cist=1−1=0)、許可回数Cist=0となる。なお、許可回数Cistの下限値は0に設定されており、停車するまでに、エンジン1が2回以上自動停止しても、車両が停車するまで、許可回数Cist=0として記憶される。
加えて、本実施形態に係るエンジンの制御方法は、車速が0となるまでエンジンが自動停止を継続した場合に、停車前自動停止回数をリセットする第2演算工程を含んでいる。具体的には、演算部3cは、燃焼制御部3dがエンジン1を自動停止させたとの制御結果を受けた後、車速センサ55からの出力信号に基づいて車速が0であると認識した場合には、許可回数Cistを初期値(=0)にリセットするように構成されている。
さらに、本実施形態に係るエンジンの制御方法は、上記第1自動停止条件が成立した際、停車前自動停止回数が第3所定値(請求項2の「所定回数」に相当)より小さい場合には、燃焼を復帰させずにエンジン1を自動停止させる自動停止工程を含んでいる。
具体的には、ECU3内の燃焼制御部3dは、第1自動停止条件が成立した際、停車前自動停止回数が第3所定値(=2)より小さい場合、換言すると、自動停止再始動条件判定部3bから第1自動停止条件が成立したとの判定結果が送信された際、演算部3cから送信された許可回数Cistが0より大きい場合には、燃焼の復帰を禁止するように構成されている。すなわち、燃焼制御部3dは、エンジン1の自動停止から車両が停止するまでの間に、再加速要求などによってエンジン1を再始動する可能性が低い場合には、燃焼を復帰させずにエンジン1を自動停止させるようになっている。
加えて、本実施形態に係るエンジンの制御方法は、第1自動停止条件が成立した際、停車前自動停止回数が第3所定値以上の場合には、燃焼を復帰させた後、上記第2自動停止条件が成立したときにエンジン1を停止させる自動復帰工程を含んでいる。
具体的には、ECU3内の燃焼制御部3dは、第1自動停止条件が成立した際、停車前自動停止回数が第3所定値(=2)の場合、換言すると、自動停止再始動条件判定部3bから第1自動停止条件が成立したとの判定結果が送信された際、演算部3cから送信された許可回数Cistが0である場合には、燃焼を復帰させるように、すなわち、燃料噴射弁23に対して信号を出力して燃料噴射を復帰させるとともに、点火装置61に対して信号を出力して燃焼室15内の混合気を燃焼させるように構成されている。
また、ECU3内の自動停止禁止部3eは、自動停止再始動条件判定部3bから第1自動停止条件が成立したとの判定結果が送信された際、演算部3cから送信された許可回数Cistが0である場合には、上記第2自動停止条件が成立するまでエンジン1の自動停止を禁止するように構成されている。
〈エンジンの制御方法〉
以下、ECU3によるエンジンの制御方法について、図7及び図8に示すタイムチャートを用いて説明する。なお、図7は、第1自動停止条件成立後、エンジン1を再始動することなく停車する場合を示し、図8は、渋滞走行の如く、第1自動停止条件成立後、エンジン1を3回再始動した後に停車する場合を示す。
《第1自動停止条件成立後、エンジンを再始動することなく停車する場合の制御》
図7(e)に示すように、ブレーキが踏み込まれており(ブレーキ状態がONであり)、車両が停車している状態では、減速i−stop許可回数(以下、許可回数ともいう)Cistは初期値である2に設定されている(図7(h)参照)。
時刻t1では、ブレーキ状態がOFFになるとともに、図7(c)に示すようにアクセルが踏み込まれてアクセル開度が0より大きくなると、図7(b)に示すようにエンジン回転数が上昇し、これに伴って車速が上昇する。
時刻t2では、アクセル開度が0となると、上記燃焼停止条件が満たされることから、図7(d)に示すように、運転状態が減速F/Cモードに設定されて、燃料噴射弁23からの燃料噴射が停止する。なお、燃料噴射停止後も、エンジン1は回転しているが、これは、車両の駆動輪の回転が、自動変速機19及びトルクコンバータ17を介してクランク軸13に伝達されるためである。
時刻t2〜時刻t3では、アクセル開度が0のままであることから、上記第1燃焼復帰条件は成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、図7(a)に示すように車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻t3では、車速が燃焼復帰判定値以下であり、アクセル開度が0であり、且つ、ブレーキ状態がONであることから、先ず、第1自動停止条件が成立する。また、許可回数Cist(=2)が0より大きいことから、燃焼制御部3dが燃焼の復帰を禁止し、これにより、図7(g)に示すように、運転状態が減速i−stopモードに設定される(エンジン1が自動停止する)。なお、車速が0となる前にエンジン1が自動停止したことから、許可回数Cistが1に設定される。
時刻t3〜時刻t4では、アクセル開度が0のままであり、また、ブレーキ状態がONであることから、上記第1及び第2再始動条件が成立せずエンジンの自動停止(減速i−stopモード)が継続される。
時刻t4では、ブレーキ状態がONであり、且つ、車速が0であることから、第2自動停止条件が成立し、図7(f)に示すように、i−stopモードに設定される。なお、車速が0となるまでエンジン1が自動停止を継続したので、許可回数Cistが2にリセットされる。また、F/C又はi−stopが成立している状態を示す図7(i)は、第1自動停止条件成立後、エンジン1を再始動することなく停車する場合には連続的な波形を呈する。
《第1自動停止条件成立後、エンジンを再始動した後に停車する場合の制御》
図8(a)に示すように、車両が停車している状態では、許可回数Cistは初期値である2に設定されている(図8(h)参照)。
時刻t1’では、ブレーキ状態がOFFになるとともに、図8(c)に示すように、アクセル開度が0より大きくなると、図8(b)に示すようにエンジン回転数が上昇し、これに伴って車速が上昇する。
時刻t2’では、アクセル開度が0となると、燃焼停止条件が満たされることから、図8(d)に示すように、運転状態が減速F/Cモードに設定される。時刻t2’〜時刻t3’では、アクセル開度が0のままであることから、第1燃焼復帰条件は成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻t3’では、車速が燃焼復帰判定値以下であり、アクセル開度が0であり、且つ、図8(e)に示すように、ブレーキ状態がONであることから、先ず、第1自動停止条件が成立する。また、許可回数Cist(=2)が0より大きいことから、ECU3内の燃焼制御部3dが燃焼の復帰を禁止し、これにより、図8(g)に示すように、運転状態が減速i−stopモードに設定される。なお、車速が0となる前にエンジン1が自動停止したことから、許可回数Cistが1に設定される。
時刻t4’からは、アクセル開度が0よりも大きくなり、また、ブレーキ状態がOFFであることから、上記第1及び第2再始動条件が共に成立し、燃料噴射が復帰するとともに、点火プラグ21によって燃焼室15内の混合気が点火されて燃焼する。これにより、エンジン回転数が上昇し、これに伴って車速が上昇する。
時刻t5’では、アクセル開度が0となると、再び燃焼停止条件が満たされることから、運転状態が再び減速F/Cモードに設定される。時刻t5’〜時刻t6’では、アクセル開度が0のままであることから、第1燃焼復帰条件が成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻t6’では、車速が燃焼復帰判定値以下であり、アクセル開度が0であり、且つ、ブレーキ状態がONであることから、再び第1自動停止条件が成立する。また、許可回数Cist(=1)が0より大きいことから、ECU3内の燃焼制御部3dが燃焼の復帰を禁止し、これにより、運転状態が再び減速i−stopモードに設定される。なお、車速が0となる前にエンジン1が自動停止したことから、許可回数Cistが0に設定される。
時刻t7’からは、アクセル開度が0よりも大きくなり、また、ブレーキ状態がOFFであることから、第1及び第2再始動条件が共に成立し、燃料噴射を復帰するとともに、点火プラグ21によって燃焼室15内の混合気が点火されて燃焼する。これにより、エンジン回転数が上昇し、これに伴って車速が上昇する。
時刻t8’では、アクセル開度が0となると、燃焼停止条件が満たされることから、運転状態が再度減速F/Cモードに設定されて、燃料噴射弁23からの燃料噴射が停止する。時刻t8’〜時刻t9’においては、アクセル開度が0のままであることから、第1燃焼復帰条件が成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻t9’では、車速が燃焼復帰判定値以下であり、アクセル開度が0であり、且つ、ブレーキ状態がONであることから、三度第1自動停止条件が成立する。
ここで、許可回数Cistが0であることから、エンジン1の自動停止から車両が停止するまでの間に、再加速要求などによってエンジン1を再始動する可能性が高いと判断し、ECU3内の自動停止禁止部3eが、上記第2自動停止条件が成立するまでエンジン1の自動停止を禁止するとともに、ECU3内の燃焼制御部3dが燃焼を復帰させる。このため、減速i−stopモードに設定されることなく、且つ、減速F/Cモードが解除される。これにより、燃料噴射弁23からの燃料噴射を復帰するとともに、点火プラグ21によって燃焼室15内の混合気が燃焼する。
時刻t10’からは、エンジン1を再始動する可能性が高いとの判断通り、アクセル開度が0よりも大きくなると、エンジン回転数がスムーズに上昇し、これに伴って車速が上昇する。
時刻t11’では、アクセル開度が0となると、燃焼停止条件が満たされることから、運転状態が再度減速F/Cモードに設定されて、燃料噴射弁23からの燃料噴射が停止する。時刻t11’〜時刻t12’では、アクセル開度が0のままであることから、第1燃焼復帰条件が成立せず燃料噴射の停止が継続される。これにより、車速が下降し、これに伴ってエンジン回転数が下降する。
時刻t13’では、ブレーキ状態がONであり、且つ、車速が0であることから、第2自動停止条件が成立する。これにより、ECU3内の自動停止禁止部3eによるエンジン1の自動停止の禁止命令が解除され、図8(f)に示すように、運転状態がi−stopモードに設定される。このとき、車速が0になったことから、許可回数Cistが2にリセットされる。
なお、F/C又はi−stopが成立している状態を示す図8(i)は、渋滞走行の如く、第1自動停止条件成立後、エンジン1を数回再始動した後に停車する場合には、断続的な波形を呈する。
−制御装置の処理動作−
ここで、制御装置の処理動作について、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、図9のステップSB1〜ステップSB8の処理は、図4のステップSA1〜ステップSA8の処理と同様であり、図9のステップSB9〜ステップSB14の処理は、図4のステップSA12〜ステップSA17の処理と同様であり、図9のステップSB15、ステップSB16、ステップSB18の処理は、図4のステップSA19、ステップSA25、ステップSA27の処理とそれぞれ同様であり、図9のステップSB20〜ステップSB23の処理は、図4のSA28〜ステップSA31の処理と同様である。よって、これらのステップの詳細な説明は省略する。
[ステップSB17]
ステップSB17では、許可回数Cistが0より大きいか否かを判定する。このステップSB17の判定がYESであるとき、すなわち、演算部3cから送信された許可回数Cistが0より大きいときは、ステップSB18に進む。一方、ステップSB17の判定がNOであるとき、すなわち、演算部3cから送信された許可回数Cistが0であるときは、ステップSB20に進む。
[ステップSB19]
ステップSB19では、車速が0となる前にエンジン1が自動停止したことから、ECU3内の演算部3cが、数式Cist=Cist−1に従い、現在の許可回数Cistから1を減じた値を新たな許可回数Cistとして設定し、しかる後にリターンする。
[ステップSB24]
ステップSB24では、車速が0になったことから、演算部3cが、許可回数Cistを初期値である2にリセットし、しかる後にリターンする。
なお、ステップSB22の判定がNOであるときは、運転状態が減速i−stopモードに設定されたままリターンする。そうして、アクセル開度が0より大きくなったり(SB2)、ブレーキ状態がOFFになったり(SB14)すると、F/C復帰(SB8,SB16)が行われ、しかる後にリターンする。そうして、再びステップSB19に至れば、運転状態が再び減速i−stopモードに設定され、次のステップSB19で、現在の許可回数Cistから更に1を減じた値を新たな許可回数Cistとして設定し、しかる後にリターンする。
−効果−
本実施形態によれば、第1自動停止条件が成立した際、許可回数Cistが0より大きい場合には、燃焼を復帰させずにエンジン1を停止させる。これにより、F/Cを実行可能なエンジン回転数が限定される制御に比して、燃費の向上を図ることができる。
一方、第1自動停止条件が成立した際、許可回数Cistが0である場合には、燃焼を復帰させることにより速やかな再加速が実現されるので、ドライブフィーリングが損なわれるのを抑えることができる。
以上により、渋滞走行の如く、第1自動停止条件成立後、例えば所定時間内に減速と再加速が頻繁に繰り返される場合には、燃費の向上を図りつつドライバビリティの悪化を抑制することができる。
また、この制御方法では、エンジンが自動停止した「回数」を基準として、エンジンの燃焼を復帰させるか否かを決定するので、許可回数Cistが0になった以後は、車両が停車するまで、エンジンを自動停止することがないので、ドライブフィーリングを優先した制御が可能となる。
さらに、車速が0となるまでエンジン1が自動停止を継続した場合に、許可回数Cistをリセットする第2演算工程を含んでいるので、その都度の運転状態に即した適正な許可回数Cistの演算を行うことができる。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記各実施形態では、エンジン1として火花点火式の4気筒4サイクルエンジンを用いたが、これに限らず、ディーゼルエンジンを用いてもよい。
また、上記各実施形態では、第1所定値を2回としたが、これに限らず、第1所定値を1回や3回以上に設定してもよい。
さらに、上記実施形態2では、始動装置としてモータジェネレータ47を用いたが、これに限らず、例えばスタータを用いてもよい。
また、上記実施形態2では、第2所定値(=1)を第1所定値(=2)よりも小さい値に設定したが、これに限らず、例えば第1所定値と第2所定値とを同じ値に設定してもよい。
さらに、上記実施形態2では、燃焼停止復帰機能によるエンジン1の燃焼停止中に車速が燃焼復帰判定値よりも小さくなったときに、モータジェネレータ47によってエンジン1を駆動するようにしたが、これに限らず、2つのクランク角センサ49,51からのクランク角信号に基づいて検出されたエンジン回転数が、所定回転数よりも小さくなったときに、モータジェネレータ47によってエンジン1を駆動するようにしてもよい。
また、上記実施形態2では、停車前再始動頻度Frstを基準として、エンジンの燃焼を復帰させるか否かを決定する制御(実施形態1)において、モータジェネレータ47によってエンジン1を駆動するようにしたが、これに限らず、停車前自動停止回数を基準として、エンジンの燃焼を復帰させるか否かを決定する制御(実施形態3)において、モータジェネレータ47によってエンジン1を駆動するようにしてもよい。この場合には、停車前自動停止回数が、第3所定値(例えば1)よりも小さい値に設定されている第4所定値(例えば0)以上の場合に、燃焼停止復帰機能によるエンジン1の燃焼停止中に車速が所定速度よりも小さくなったとき又はエンジン回転数が所定回転数よりも小さくなったときに、モータジェネレータ47によってエンジンを駆動することでエンジン回転数を所定回転数以上に維持するようにしてもよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。