JP2014145331A - 直噴ガソリンエンジンの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アイドリングストップ車両に搭載された直噴ガソリンエンジンの制御装置において、圧縮行程噴射から吸気行程噴射への噴射形態切換時のトルク段差を抑制する。
【解決手段】アイドリングストップ機能を備える車両に搭載された直噴ガソリンエンジンの制御装置である。エンジン再始動要求があったときに、吸気管内の圧力が大気圧に相当する圧力となるような第1開度A1までスロットルバルブを開き、その後エンジン回転数NEが所定の始動判定回転数NEst以上になったときに、第1開度A1よりも小さい第2開度A2までスロットルバルブを閉じるとともに、エンジン再始動時に圧縮行程噴射を所定回数行った後に、圧縮行程噴射から吸気行程噴射へ噴射形態を切換える制御を実行する。
【選択図】図5

Description

本発明は、直噴ガソリンエンジンの制御装置に関し、特に、車両停止時にエンジンを一時的に停止させるアイドリングストップ機能を備える車両に搭載された直噴ガソリンエンジンの制御装置に関するものである。
従来から、例えば、低負荷時には、圧縮行程で燃料を噴射して点火プラグ近傍に燃料を集中させる成層燃焼を行なう一方、中高負荷時には、吸気行程で燃料噴射して点火までに気筒内に均質混合気を形成する均質燃焼を行うというように、気筒内の燃焼モードを変更可能な内燃機関が知られている。
一例として、特許文献1には、成層燃焼カウンタおよび均質燃焼カウンタの少なくとも一方の積算値に基づいて、成層燃焼制御を禁止するとともに、燃料噴射孔の堆積物を除去するための除去運転制御を開始することで、カーボン除去不良や、次回のカーボン除去燃焼運転制御への移行の遅延を回避するようにした内燃機関の燃焼制御装置が開示されている。
特開2012−087668号公報
ところで、複数の気筒は吸気、圧縮、膨張、排気の各行程にあるところ、吸気行程で燃料噴射をして圧縮行程を経て圧縮上死点近傍で点火する吸気行程噴射を最初に行うよりも、圧縮行程で燃料を噴射して圧縮上死点近傍で点火する圧縮行程噴射を最初に行う方が、早期始動に有利となる。それ故、早期始動が望まれるアイドリングストップ機能を備える車両に搭載された直噴ガソリンエンジンにおいては、エンジン再始動時に成層燃焼(圧縮行程噴射)を行うことが多い。そうして、エンジン再始動時に成層燃焼を行う場合には、通常、エンジンが始動した後、所定の条件が成立したときに、均質燃焼(吸気行程噴射)への切換えが行われる。
しかしながら、アイドリングストップ後のエンジン再始動時に、圧縮行程噴射から吸気行程噴射へ切換えると、切換直前のエンジントルクと切換直後のエンジントルクとが不連続となってトルク段差が発生し、エンジン回転数が不安定となるおそれがある。
ここで、あるスロットル開度Xにおいて圧縮行程噴射を何回行えば、吸気管内の圧力が定常値になるかは、実験や経験等から推定することができ、また、圧縮行程噴射から吸気行程噴射へ切換える際の吸気圧(吸気量)が定常値になっていれば、切換直前のエンジントルクと切換直後のエンジントルクとの差を小さくすることが可能となる。
そこで、噴射形態切換時のトルク段差を抑制すべく、アイドリングストップ後のエンジン再始動時に、スロットル弁を開度Xまで開くとともに、吸気圧(吸気量)が当該スロットル開度Xに相当する定常値になるように、圧縮行程噴射を目標回数(推定された回数)行った後に、吸気行程噴射へ切換える制御が考えられる。
かかる制御によれば、エンジン回転数が上昇して始動判定回転数に達する辺りで、大気圧であった吸気管内に負圧が発生し、圧縮行程噴射が行われる度に、吸気管内の負圧が大きくなり、圧縮行程噴射が目標回数だけ行われると、吸気圧(吸気量)が定常値になることから、そのときに吸気行程噴射への切換えることで、燃焼形態切換時のトルク段差を抑制することが可能となる。
しかしながら、かかる制御では、以下のような問題がある。すなわち、クランキング回転数やピストン停止位置は、エンジン再始動が行われる度に異なり得ることから、スタータが始動してから第1回目の燃焼(以下、第1燃焼ともいう)までの期間にばらつきが生じる可能性がある。エンジン再始動時の開度Xは通常低めに設定されているため、スタータ始動から第1燃焼までの期間にばらつきが生じると、吸気圧の挙動(吸気管内において大気圧から負圧が発生するまでの挙動)がばらつき、圧縮行程噴射を目標回数行った時点における吸気圧(吸気量)もばらつくことから、切換直前のエンジントルクと切換直後のエンジントルクとの差が大きくなるおそれがある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、アイドリングストップ機能を備える車両に搭載された直噴ガソリンエンジンの制御装置において、圧縮行程噴射から吸気行程噴射への噴射形態切換時のトルク段差を抑制する技術を提供ことにある。
上記目的を達成するため、本発明では、スタータが始動してから第1回目の燃焼(噴射)までの期間にばらつきが生じた場合にも、吸気圧の挙動を狙い通りに制御するために、スロットル開度を調整するようにしている。
具体的には、本発明は、車両停止時にエンジンを一時的に停止させるアイドリングストップ機能を備える車両に搭載された直噴ガソリンエンジンの制御装置を対象としている。
そして、アイドリングストップ制御によるエンジン停止中にエンジン再始動要求があったときに、吸気管内の圧力が大気圧に相当する圧力となるような第1開度までスロットル弁を開き、その後エンジン回転数が所定の始動判定回転数以上になったときに、上記第1開度よりも小さい第2開度までスロットル弁を閉じるとともに、エンジン再始動時に圧縮行程噴射を所定回数行った後に、圧縮行程噴射から吸気行程噴射へ噴射形態を切換える制御を実行することを特徴とするものである。
この構成によれば、アイドリングストップ制御によるエンジン停止中にエンジン再始動が要求されると、スロットル弁が第1開度まで開かれることから、スタータが始動してから第1燃焼までの期間にばらつきが生じても、始動開始当初の吸気管内の圧力は大気圧に相当する圧力で維持される。
そうして、エンジン回転数が所定の始動判定回転数以上になると、第1開度よりも小さい第2開度までスロットル弁が閉じられる。このように、スロットル弁を絞った状態で圧縮行程噴射を行うと、吸気管内において負圧が発生するが、負圧発生の出発点(スロットル弁を第2開度まで閉じた時点)では、吸気圧は大気圧に相当する圧力であることから、スタータ始動から第1燃焼までの期間にばらつきが生じても、第2燃焼(噴射)以降の負圧の発生時期がばらつくのを抑えることができる。これにより、エンジン再始動時におけるクランキング回転数やピストン停止位置によらず、吸気管内における負圧の遷移状態を常に略同じ状態とすることが可能となるので、吸気圧の挙動を狙い通りに制御することができる。
それ故、例えば、所定回数を、圧縮行程噴射を当該所定回数行った場合の吸気管内の圧力が、第2開度に相当する圧力となるような値(仮に第1所定回数とする)に設定すれば、圧縮行程噴射を第1所定回数だけ行うことで、吸気圧を常に定常値にすることが可能となる。これにより、圧縮行程噴射から吸気行程噴射への切換時に、切換直前のエンジントルクと切換直後のエンジントルクとの差が小さくなるので、噴射形態切換時のトルク段差を抑制することができる。
一方、例えば、所定回数を第1所定回数よりも少ない回数(仮に第2所定回数とする)とすると、圧縮行程噴射を第2所定回数行った場合には、噴射形態の切換えを吸気圧の定常値で行った場合に比して、気筒に吸入される空気量は多くなる。この場合は切換え直後の、例えば点火時期等を調整することによってトルク段差を抑制することが容易となる。
以上により、本発明によれば、アイドリングストップ車両に搭載された直噴ガソリンエンジンの制御装置において、圧縮行程噴射から吸気行程噴射への噴射形態切換時のトルク段差を抑制することが可能となる。
上記制御装置においては、圧縮行程噴射時の点火時期は、上記吸気管内の圧力が上記第2開度に相当する圧力である場合に、圧縮行程噴射を実行することによって発生するエンジントルクが、吸気行程噴射時の最適点火時期で吸気行程噴射を実行することによって発生するエンジントルクと等しくなるような所定点火時期に設定されていることが好ましい。
なお、本発明において、「吸気行程噴射時の最適点火時期」とは、成層燃焼においてエンジントルクが最大となる点火時期である、MBT(Minimum advance for Best Torque)を意味する。
また、「第2開度に相当する圧力」とは、スロットル開度を第2開度とした場合において、吸気管内に発生する負圧が飽和することで定常状態となった吸気圧(定常値)を意味する。
ところで、点火プラグ近傍に燃料を集中させる成層燃焼と、気筒内に均質混合気を形成する均質燃焼とでは、燃焼形態が異なるため、吸気圧(吸気量)が同じ場合でも、両者で発生するエンジントルクは必ずしも一致しない。このため、噴射形態切換時におけるトルク段差を抑制するには、点火時期等を調整することで、切換直前(圧縮行程噴射)のエンジントルクと切換直後(吸気行程噴射)のエンジントルクとを連続させることが必要となる場合もある。
ここで、圧縮行程噴射時のエンジントルクを基準として、吸気行程噴射時の点火時期を遅角させると、吸気行程噴射時のエンジントルクが不足し、例えば、機関アイドル時の均質燃焼において、エンジン回転数が目標アイドル回転数よりも低下するおそれがある。
この点、上記構成によれば、吸気圧(吸気量)が定常値である場合に、最適点火時期で吸気行程噴射を実行することによって発生するエンジントルクを基準として、圧縮行程噴射時の点火時期を設定することから、均質燃焼におけるエンジントルクが低下しないので、エンジン回転数を安定させることができる。
上記制御装置においては、上記所定回数は、圧縮行程噴射を当該所定回数行った場合における上記吸気管内の圧力が、上記第2開度に相当する圧力となるような値に設定されており、噴射形態が切り換わったときに、圧縮行程噴射時の所定点火時期から吸気行程噴射時の最適点火時期へ、点火時期を進角させる制御を実行することが好ましい。
この構成によれば、圧縮行程噴射を所定回数行った場合には、吸気管内の圧力が定常値になる。したがって、切換直前のエンジントルクと切換直後のエンジントルクとの差が小さくなるので、噴射形態切換時におけるトルク段差を抑制することができる。
また、噴射形態(燃焼形態)が切り換わったときに、圧縮行程噴射時の所定点火時期から、吸気行程噴射時の最適点火時期となるように、点火時期を進角させることから、均質燃焼におけるエンジントルクが低下しないので、エンジン回転数を安定させることができる。
ところで、ディーゼルエンジンでは、排気中に含まれる浮遊粒子状物質である煤に代表されるパティキュレートマター(Particulate Matter)の除去が重要な課題となっているが、パティキュレートマターはディーゼルエンジンだけでなく、ガソリンエンジンでも発生することがある。特に、直噴ガソリンエンジンでは、成層燃焼(圧縮行程噴射)を行う場合に、点火プラグ近傍の燃料が過濃となってスモークが発生し易くなることから、スモークに伴うパティキュレートマターが発生するおそれがある。
かかるパティキュレートマターを抑制するために、圧縮行程噴射から吸気行程噴射への切換えを出来るだけ早く実行する(圧縮行程噴射回数を少なくする)ことが考えられる。しかしながら、第2開度に相当する吸気圧(定常値)に達する前に吸気行程噴射へ切換えると、吸気圧が高い(気筒に吸入される空気量が多い)状態で切換えを実行することになり、吸気行程噴射時のエンジントルクが大きくなることから、噴射形態切換時のトルク段差が大きくなるおそれがある。
そこで、上記制御装置においては、上記所定回数は、圧縮行程噴射を当該所定回数行った場合における上記吸気管内の圧力が、上記第2開度に相当する圧力よりも大きくなるような値に設定されており、噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の点火時期を、徐々に進角させて吸気行程噴射時の最適点火時期にする制御を実行することが好ましい。
この構成によれば、所定回数が、圧縮行程噴射を当該所定回数行った場合における吸気管内の圧力が、第2開度に相当する圧力よりも大きくなるような値に設定されていることから、吸気圧が定常値に達する前に吸気行程噴射への切換えが実行される。これにより、圧縮行程噴射回数が少なくなるので、パティキュレートマターの発生を抑制することができる。
この場合には、吸気圧が高い(気筒に吸入される空気量が多い)状態で切換えが実行されるが、噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の点火時期を最適点火時期にするのではなく、点火時期を徐々に進角させて吸気行程噴射時の最適点火時期にすることから、噴射形態切換時のトルク段差が大きくなるのを抑えることができる。したがって、パティキュレートマターの発生を抑制すべく、圧縮行程噴射回数を少なくした場合にも、噴射形態切換時のトルク段差を抑制することができる。
そうして、吸気行程噴射が行われる度に、吸気管内の負圧が大きくなり、燃焼室への吸気量が減少していくところ、点火時期を徐々に進角させて、吸気行程噴射時の最適点火時期にすることから、吸気圧が定常値に達するまでの過程で、エンジン回転数が変動するのを抑えることができる。
このように、圧縮行程噴射を所定回数行った場合における吸気管内の圧力が、第2開度に相当する圧力よりも大きくなるように、所定回数を設定した場合には、噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の点火時期を、圧縮行程噴射時の所定点火時期にするとともに、その後、吸気行程噴射時の点火時期を、徐々に進角させて吸気行程噴射時の最適点火時期にする制御を実行することが好ましい。
この構成によれば、噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の点火時期を圧縮行程噴射時の所定点火時期とすることから、換言すると、吸気行程噴射時の点火時期を遅角させることから、吸気行程噴射時のエンジントルクが大きくなるのを確実に抑えることができる。したがって、パティキュレートマターの発生を抑制すべく、圧縮行程噴射回数を少なくした場合にも、噴射形態切換時のトルク段差を抑制することができる。
また、圧縮行程噴射を所定回数行った場合における吸気管内の圧力が、第2開度に相当する圧力よりも大きくなるように、所定回数を設定した場合には、噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の点火時期を、圧縮行程噴射時の所定点火時期から更に遅角させた点火時期にするとともに、その後、吸気行程噴射時の点火時期を徐々に進角させて吸気行程噴射時の最適点火時期にする制御を実行することが好ましい。
この構成によれば、噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の点火時期を圧縮行程噴射時の所定点火時期から更に遅角させることから、換言すると、吸気行程噴射時の点火時期を大きく遅角させることから、吸気行程噴射時のエンジントルクが増大するのをより確実に抑えることができる。
以上、説明したように本発明に係る直噴ガソリンエンジンの制御装置によれば、エンジン再始動時におけるクランキング回転数やピストン停止位置により、スタータ始動から第1燃焼までの期間にばらつきが生じても、吸気圧の挙動を狙い通りに制御することが可能となることから、圧縮行程噴射から吸気行程噴射への噴射形態切換時におけるトルク段差を抑制することができる。
本発明の実施形態に係る車両の要部を示す概略構成図である。 制御装置の構成の一例を示すブロック図である。 実施形態1に係るエンジン再始動制御の一例を示すフローチャート(前半部)である。 実施形態1に係るエンジン再始動制御の一例を示すフローチャート(後半部)である。 制御装置が実行するエンジン再始動制御の一例を示すタイミングチャートである。 実施形態2に係るエンジン再始動制御の一例を示すフローチャート(前半部)である。 実施形態2に係るエンジン再始動制御の一例を示すフローチャート(後半部)である。 実施形態2に係る点火ルーチンの一例を示すフローチャートである。 制御装置が実行するエンジン再始動制御の一例を示すタイミングチャートである。 制御装置が実行するエンジン再始動制御の一例を示すタイミングチャートである。 その他の実施形態に係るエンジン再始動制御の一例を示すフローチャートであり、図4に示すフローチャートのステップSA16の代わりに実行されるステップSA16−1及びステップSA16−2を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態1)
−装置構成−
図1は、本実施形態に係る車両の要部を示す概略構成図である。エンジン1は、車両に搭載される4気筒ガソリンエンジンであって、シリンダブロック1a内に形成された4つの気筒それぞれに、上下に往復動するようにピストン1cが収容されている。このエンジン1は、点火プラグ3を備えた火花点火式の4ストロークエンジンであるとともに、気筒内に燃料であるガソリンを直接噴射する直噴インジェクタ2を備えた筒内直噴式のガソリンエンジンでもある。なお、図1では、4つの気筒のうち1つの気筒のみが示されている。また、各気筒には筒内圧(燃焼圧)を検出するための筒内圧センサ27が取り付けられている。
4つの気筒におけるピストン1cの往復運動はそれぞれ、コネクティングロッド16を介してクランクシャフト15の回転運動に変換される。クランクシャフト15は、トルクコンバータ(又はクラッチ)等を介して変速機(図示せず)に連結されており、かかる変速機を介してエンジン1の出力を車両の駆動輪に伝達することができる。この変速機は、一例としてクラッチ及びブレーキ等の摩擦係合要素と遊星歯車機構とを用いた多段式の自動変速機であってもよいし、ベルト式無段変速機であってもよい。
また、クランクシャフト15は、エンジン1の始動時に起動されるスタータモータ10と連結可能になっており、このスタータモータ10によってクランクシャフト15を強制的に回転させる(クランキング)ことができる。クランクシャフト15にはシグナルロータ17が取り付けられており、当該シグナルロータ17の外周面には3つの歯(突起)17aが設けられている。
このシグナルロータ17の側方近傍には、クランク角を検出するクランクポジションセンサ31が配置されている。クランクポジションセンサ31は、例えば電磁ピックアップであって、クランクシャフト15が回転する際にシグナルロータ17の歯17aに対応するパルス状の信号を発生する。このクランクポジションセンサ31の出力信号からエンジン回転数Neを算出することができる。
一方、シリンダブロック1aの上端にはシリンダヘッド1bが締結されており、このシリンダヘッド1bによって上端を閉じられた各気筒には、ピストン1cの往復運動によって容積が変化する燃焼室1dが形成されている。シリンダヘッド1bには、この燃焼室1dに臨むように、気筒毎に点火プラグ3が配置されており、かかる点火プラグ3による点火のタイミングはイグナイタ4によって調整される。イグナイタ4はECU(Electronic Control Unit)200によって制御される。
燃焼室1dには吸気通路(吸気管)11と排気通路12とがそれぞれ連通し、新気の吸入と燃焼ガスの排出とを行うようになっている。吸気通路11には、吸気を濾過するためのエアクリーナ7、吸気通路11を通過する空気の流量を検出するための熱線式のエアフローメータ33、エンジン1の吸入空気量を調整するための電子制御式のスロットルバルブ5、サージタンク11cなどが配置されている。
スロットルバルブ(スロットル弁)5は、サージタンク11cの上流側に設けられており、スロットルモータ6によって駆動されて、その開度が制御される。スロットルバルブ5の開度は、スロットルバルブ5の近傍に設けられたスロットル開度センサ35によって検出され、エンジン1の運転状態に応じた最適な吸入空気量となるようにECU200によってフィードバック制御される。
一方、排気通路12には三元触媒8が配置されている。三元触媒8は、排気通路12に排出された排気ガス中のCO、HCの酸化およびNOxの還元を行い、それらを無害なCO2、H2O、N2とすることで排気ガスを浄化する。
排気通路12における三元触媒8の上流側には、例えば空燃比に対してリニアな特性を示すフロント空燃比センサ37が配置されている一方、排気通路12における三元触媒8の下流側には、例えばラムダセンサからなるリアO2センサ38が配置されている。これらフロント空燃比センサ37及びリアO2センサ38の出力信号はECU200にフィードバックされて、空燃比の制御に供される。
4つの気筒の頂部には、燃焼室1dに臨むように直噴インジェクタ2がそれぞれ配置されている。これらの4つの直噴インジェクタ2は共通のデリバリパイプ101に接続されていて、各直噴インジェクタ2に対して燃料供給系100から燃料が供給される。燃料供給系100は、デリバリパイプ101に接続された燃料供給管102、燃料ポンプ103および燃料タンク104などを備えている。この燃料ポンプ103は、エンジン1のカムシャフト(図示せず)から取り出した動力にて駆動される周知のプランジャ式ポンプとして構成されている。また、このデリバリパイプ101には、燃料タンク104から供給される燃料圧力を検出するための燃圧センサ29が設けられている。
直噴インジェクタ2はECU200によって制御され、各気筒に所定のタイミングで燃料噴射を行うことで、圧縮行程噴射と吸気行程噴射とを切換可能となっている。例えば、成層燃焼(圧縮行程噴射)の場合には、点火プラグ3近傍に燃料を集中させるために、燃料は圧縮行程で直噴インジェクタ2から燃焼室1d内に噴射される。一方、均質燃焼(吸気行程噴射)の場合には、点火プラグ3による点火までに気筒内に均質混合気を形成するために、燃料は吸気行程で直噴インジェクタ2から燃焼室1d内に噴射される。そして、噴射された燃料は、気筒の圧縮行程の終盤に点火プラグ3によって点火されて燃焼し、高温高圧の燃焼ガスがピストン1cを押し下げた後に、排気バルブ14の開弁に伴い排気通路12に排出される。
上記のような燃焼室1dの吸気および排気は、吸気バルブ13および排気バルブ14の開閉動作によって行われる。そして、タイミングチェーン等を介してクランクシャフト15により回転される吸気および排気の各カムシャフト(図示せず)によって、吸気バルブ13および排気バルブ14がそれぞれ所定のタイミングで開閉される。
より具体的には、吸気および排気の各カムシャフトはそれぞれ、クランクシャフト15の1/2の回転速度で回転し、ピストン1cが2往復する間に1回転する。換言すると、クランクシャフト15が2回転(720°回転)して、ピストン1cが吸気、圧縮、膨張および排気の各行程を行う間に、各カムカムシャフトが1回転し、それぞれの気筒の吸気行程で吸気バルブ13を開き、排気行程で排気バルブ14を開くようになっている。
図2は、本実施形態に係る制御装置の構成の一例を示すブロック図である。ECU200は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203及びバックアップRAM204などを備えている。
ROM202には、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU201は、ROM202に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。また、RAM203は、CPU201での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM204は、例えばエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
以上のCPU201、ROM202、RAM203及びバックアップRAM204は、バス207を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース205及び出力インターフェース206と接続されている。
入力インターフェース205には、筒内圧センサ27、燃圧センサ29、クランクポジションセンサ31、エアフローメータ33、スロットル開度センサ35、アクセルペダルの踏み込み量に応じた検出信号を出力するアクセル開度センサ36、フロント空燃比センサ37、リアO2センサ38、車両の走行速度に応じた検出信号を出力する車速センサ83、運転席近傍に配設されたシフトレバーの操作位置を検出し、その操作位置に応じた検出信号を出力するシフトレバー位置センサ84、ブレーキペダルがON操作(制動操作)された際にブレーキON信号を出力するブレーキペダルセンサ85等の各種センサ類が接続されている。
また、入力インターフェース205には、車両のメイン電源をON/OFFするためのイグニッションスイッチ48と、車両の乗員によってエンジン1の始動に係る操作が行われるスタータスイッチ49とが接続されている。イグニッションスイッチ48がON操作されると、ECU200によるエンジン1の制御が開始され、スタータスイッチ49がON操作されると、スタータモータ10によるエンジン1のクランキングが開始される。
一方、出力インターフェース206には、一例として各気筒の直噴インジェクタ2、同じく各気筒の点火プラグ3のイグナイタ4、スロットルバルブ5のスロットルモータ6及びスタータモータ10などが接続されている。
そして、ECU200は、前記した各種センサ及びスイッチからの信号に基づいて、直噴インジェクタ2の駆動制御(燃料の噴射量および噴射時期の制御)、点火プラグ3による点火時期の制御、スロットルモータ6の駆動制御(スロットル開度の制御)などを含むエンジン1の各種制御を実行する。
−アイドリングストップ制御−
本実施形態に係る車両は、交差点での信号待ち等のように一時的に停車した際に、エンジン1の各気筒に備えられた直噴インジェクタ2からの燃料供給を停止(フューエルカット)してエンジン1を一時的に停止させる所謂アイドリングストップ制御を行うようになっている。
図2に示すように、エンジン1の運転状態を制御するECU200にはアイドリングストップ制御を行うためのアイドルストップコントローラ108が接続されている。このアイドルストップコントローラ108は、アイドリングストップ条件の成立時に、ECU200に向けてフューエルカット信号を発信する。一方、エンジン再始動条件が成立した際(エンジン再始動要求があったとき)、このアイドルストップコントローラ108は、ECU200に向けてフューエルカット解除信号を発信すると同時に、再始動制御信号をスタータモータ10に送信するようになっている。
このアイドルストップコントローラ108には、車速センサ83からの車速検知信号、シフトレバー位置センサ84からのシフト位置信号、アクセル開度センサ36からのアクセルペダルの踏み込み量に応じた検出信号、ブレーキペダルセンサ85からのブレーキペダル踏み込み信号及びブレーキペダル踏み込み解除信号が直接的にまたはECU200を介して入力されるようになっている。また、アイドルストップコントローラ108は、クランクポジションセンサ31により検出されたエンジン回転数NEに対応する信号をECU200から受けるようになっている。
アイドリングストップ条件は、例えば、イグニッションスイッチ48がONの状態で、車速センサ83からの車速検知信号によって車速が「0」であることが検知され、且つブレーキペダルセンサ85からのブレーキペダル踏み込み信号によってブレーキペダルの踏み込み操作がなされていることが検知された場合に成立する。このアイドリングストップ条件が成立することで、アイドルストップコントローラ108は、ECU200に向けてフューエルカット信号を発信することになる。また、このフューエルカット信号の発信に伴って、ECU200は、直噴インジェクタ2の燃料噴射動作を停止する制御を行ってエンジン1を停止させる。
一方、このアイドリングストップ制御によってエンジン1が停止している状態からエンジン1を再始動させるためのエンジン再始動条件は、アイドリングストップ条件が成立した後に、例えば、ブレーキペダルセンサ85からのブレーキペダル踏み込み解除信号によってブレーキペダルの踏み込み解除操作がされたことが検知されるか、または、アクセルペダルの踏み込み操作がされたことが検知された場合に成立する。このエンジン再始動条件が成立することで、アイドルストップコントローラ108がECU200に向けてフューエルカット解除信号を発信すると同時に、再始動制御信号をスタータモータ10に送信するようになっている。フューエルカット解除信号を受けたECU200は直噴インジェクタ2の燃料噴射動作を開始する制御を行う。また、再始動制御信号によってスタータモータ10が作動してエンジン1のクランキングが行われる。
−エンジン再始動制御−
以下、エンジン再始動条件成立後における、直噴ガソリンエンジン1の再始動制御について説明する。
ECU200は、アイドリングストップ後のエンジン再始動時における早期始動のために、原則として成層燃焼(圧縮行程噴射)を最初に行うように構成されている。これは、4つの気筒は吸気、圧縮、膨張、排気の各行程にあるところ、吸気行程で燃料噴射をして圧縮行程を経て圧縮上死点近傍で点火する吸気行程噴射を最初に行うよりも、圧縮行程で燃料を噴射して圧縮上死点近傍で点火する圧縮行程噴射を最初に行う方が、早期始動に有利となるからである。
もっとも、ECU200は、圧縮行程噴射実行条件が成立しないときには、例外的に均質燃焼(吸気行程噴射)を最初から行うように構成されている。そして、本実施形態における圧縮行程噴射実行条件は、燃圧が所定圧以上であること、及び、クランク位置が確定していることである。なぜなら、成層燃焼は、気筒の圧縮行程後期に燃焼室1d内に燃料を噴射することにより、点火プラグ3近傍のみに可燃空燃比の混合気を成層させるものであるから、ピストン1cが圧縮上死点近傍に位置しているか否かを正確に検出するために、クランク位置が確定していること、及び、短時間で所定量の燃料を吹き切るために、ある程度の燃圧が確保されていることが要求されるからである。
ここで、本実施形態の制御装置はクランク角を検出するクランクポジションセンサ31を備えており、また、プランジャ式ポンプである燃料ポンプ103の油圧はエンジン1停止後も暫くは保持されることから、通常、圧縮行程噴射実行条件が不成立となることは想定し難い。しかしながら、クランクポジションセンサ31がノイズ等のためにクランク角を正確に検出できない場合や、燃料ポンプ103の油圧が抜ける場合も、全く無いとは言えないことから、フェールセーフとして圧縮行程噴射実行条件を設定している。
そうして、ECU200は、圧縮行程噴射実行条件が成立してエンジン再始動時に成層燃焼を行う場合には、エンジン再始動要求があったときにスロットルバルブ5を第1開度A1まで開くとともに、エンジン始動判定がなされたときに(エンジン回転数NEが所定の始動判定回転数NEst以上になったときに)、スロットルバルブ5を第2開度A2まで閉じるようにスロットルモータ6を制御する。また、ECU200は、圧縮行程噴射回数Nが第1所定回数Nchgとなったときに、噴射形態を均質燃焼(吸気行程噴射)へ切換えるように直噴インジェクタ2を制御する。
ここで、「第1開度A1」は、吸気通路11内の圧力が大気圧に相当する圧力となるようなスロットル開度であり、例えばスロットル全開に相当する。
また、「第2開度A2」は、第1開度A1よりも小さいスロットル開度であればよく、特に限定しないが、エンジン再始動時であることを考慮すれば、機関アイドル時の均質燃焼におけるエンジン回転数NEが目標アイドル回転数になるような要求スロットル開度であることが好ましい。なお、かかる要求スロットル開度は、燃費向上のために、通常低めに(閉じ側の開度範囲内に)設定されている。
さらに、「第1所定回数Nchg」とは、第2開度A2において圧縮行程噴射を当該第1所定回数Nchgだけ行った場合に、吸気通路11内の圧力(吸気圧)PMが、第2開度A2に相当する圧力になるような、換言すると、定常値PMtになるような噴射回数であり、実験や経験等から推定することが可能な値である。
ここで、エンジントルクは吸気圧PM(吸気量)に比例すると考えることができるから、圧縮行程噴射から吸気行程噴射へ切換える際の吸気圧PM(吸気量)が定常値PMtになっていれば、切換直前のエンジントルクと切換直後のエンジントルクとの差を小さくすることが可能となる。それ故、圧縮行程噴射回数Nが第1所定回数Nchgとなったときに、圧縮行程噴射から吸気行程噴射へ切換える本実施形態の制御装置では、噴射形態切換時のトルク段差を抑制することが可能となっている。
また、ECU200は、上述の如く、エンジン再始動要求があったときにスロットルバルブ5を第2開度A2まで開くのではなく、一旦スロットルバルブ5を第1開度A1まで開き、その後(エンジン始動判定がなされたときに)、スロットルバルブ5を第2開度A2まで閉じる制御を行うが、これは以下の理由による。
すなわち、クランキング回転数やピストン停止位置は、エンジン再始動が行われる度に異なり得ることから、クランキング回転数やピストン停止位置如何によっては、スタータモータ10が始動してから例えば第1回目の燃焼(以下、第1燃焼ともいう)までの期間にばらつきが生じる可能性がある。それ故、図5のスロットル開度の太破線で示すように、スタータモータ10の始動と同時にスロットルバルブ5を第2開度A2まで開くと(スロットル開度を閉じ側にすると)、スタータモータ10の始動から第1燃焼までの期間にばらつきが生じた場合には、図5の吸気圧の太破線で示すように、吸気通路11内において大気圧から負圧が発生するまでの挙動が狙い(実線)に対してばらつき、想定よりも早く吸気通路11内に負圧が発生する可能性がある。そうすると、圧縮行程噴射を第1所定回数Nchg行った時点での吸気圧PM(吸気量)もばらつくことから、切換直前のエンジントルクと切換直後のエンジントルクとの差が大きくなり、噴射形態切換時に大きなトルク段差が発生するおそれがある。
これに対し、本実施形態の制御装置では、エンジン再始動が要求されると、吸気通路11内の圧力PMが大気圧に相当する圧力となるような第1開度A1までスロットルバルブ5を開くことから、スタータモータ10が始動してから第1燃焼までの期間にばらつきが生じても、始動開始当初の吸気通路11内の圧力PMは大気圧に相当する圧力で維持される。そうして、エンジン始動判定がなされると、第2開度A2までスロットルバルブ5が閉じられるが、スロットルバルブ5を第2開度A2まで閉じた時点では、吸気圧PMは大気圧に相当する圧力であることから、スタータモータ10の始動から第1燃焼までの期間にばらつきが生じても、例えば第2燃焼(噴射)以降の負圧の発生時期がばらつくのを抑えることができる。これにより、エンジン再始動時におけるクランキング回転数やピストン停止位置によらず、吸気通路11内における負圧の遷移状態を常に略同じ状態とすることが可能となるので、吸気圧PMの挙動を狙い通りに制御することが可能となる。したがって、圧縮行程噴射を第1所定回数Nchgだけ行うと、吸気通路11内の圧力PMが常に定常値PMtになることから、スタータモータ10の始動から第1燃焼までの期間にばらつきが生じても、切換直前のエンジントルクと切換直後のエンジントルクとの差を小さくして、トルク段差を抑制することができる。
もっとも、点火プラグ3近傍に燃料を集中させる成層燃焼と、気筒内に均質混合気を形成する均質燃焼とでは、燃焼形態が異なるため、吸気圧PM(吸気量)が同じ場合でも、両者で発生するエンジントルクは必ずしも一致しない。このため、噴射形態切換時におけるトルク段差の発生を抑えるには、点火時期等を調整することで、切換直前のエンジントルクと切換直後のエンジントルクとを連続させることが必要となる場合もある。
そこで、ECU200は、噴射形態が切り換わったときに、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcから、吸気行程噴射時の最適点火時期SAiに、点火時期を進角させるように、イグナイタ4を制御する。
なお、「吸気行程噴射時の最適点火時期SAi」は、均質燃焼においてエンジントルクが最大となる点火時期であるMBT(Minimum advance for Best Torque)を意味し、エンジン回転数NEと吸気圧の定常値PMtとから、ROM202に記憶された点火制御用マップに基づいて算出可能である。
また、「所定点火時期SAc」は、吸気圧PMが定常値PMtである場合に、圧縮行程噴射を実行することによって発生するエンジントルクと、吸気行程噴射時の最適点火時期SAiで吸気行程噴射を実行することによって発生するエンジントルクとが等しくなるような、圧縮行程噴射時の点火時期である。
このように、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcから、吸気行程噴射時の最適点火時期SAiとなるように、点火時期を進角させることから、切換直前のエンジントルクと切換直後のエンジントルクとを連続させることができる。また、定常値PMtにおける吸気縮行程噴射でのエンジントルクを基準として、圧縮行程噴射時の点火時期を設定することから、機関アイドル時の均質燃焼におけるエンジン回転数NEを安定させることができる。
次いで、本実施形態に係るエンジン再始動制御の一例を、図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。なお、図3の丸1、丸2、丸3は、図4の丸1、丸2、丸3にそれぞれ繋がっているものとする。
先ず、ステップSA1では、ECU200が、再始動フラグがONか否かを判定する。この再始動フラグは、アイドリングストップ制御による車両停止中にエンジン再始動要求があったとき(エンジン再始動条件が成立したとき)に、ON設定されるものであり、制御の開始時には当然OFFとなっている。よって、このステップSA1における第1回目の判定は、NOとなるので、ステップSA2に進む。
次のステップSA2では、ECU200が、エンジン停止状態からエンジン再始動要求があったか否か、すなわち、アイドリングストップ制御によってエンジン1が停止している状態からエンジン再始動条件が成立したか否かを判定する。このステップSA2での判定がNOのときには、そのままリターンする。一方、例えば、ブレーキペダルセンサ85からのブレーキペダル踏み込み解除信号によってブレーキペダルの踏み込み解除操作がされたことが検知された場合や、アクセル開度センサ36からの信号によってアクセルペダルの踏み込み操作がされたことが検知された場合には、ECU200はエンジン再始動要求ありと判定し(ステップSA2でYES判定を行い)、ステップSA3に進む。次のステップSA3では、ECU200が、再始動フラグをONにした後、ステップSA4に進む。
次のステップSA4では、ECU200が、燃圧センサ29からの信号に基づき、燃圧が所定圧以上か否かを判定する。このステップSA4での判定がNOのとき、例えば、プランジャ式ポンプである燃料ポンプ103の油圧が不足している場合には、ステップSA7に進む。一方、このステップSA4での判定がYESのときには、ステップSA5に進む。
次のステップSA5では、ECU200が、クランク位置が確定されているか否かを判定する。このステップSA5での判定がNOのとき、例えば、クランクポジションセンサ31がノイズ等のためにクランク角を正確に検出できない場合には、ステップSA7に進む。一方、このステップSA5での判定がYESのときには、圧縮行程噴射実行条件が成立していることから、ステップSA6に進み、実行フラグ(圧縮行程噴射実行フラグ)をONにする。
ステップSA7に進むということは、圧縮行程噴射実行条件が成立していない場合であることから、実行フラグをOFFにした後、ステップSA18に進む。そうして、ステップSA18でECU200が直噴インジェクタ2を制御して吸気行程噴射を行った後、次のステップSA19でECU200がイグナイタ4を制御して、吸気行程噴射時の最適点火時期SAiで点火を実行し、その後リターンする。
このように、圧縮行程噴射実行条件が成立せず最初から吸気行程噴射が実行されると、それ以降は、ステップSA1での判定がYESとなり、実行フラグがONか否かを判定するステップSA8での判定がNOとなることから、吸気行程噴射実行(ステップSA18)及び最適点火時期SAiでの点火実行(ステップSA19)が継続されることになる。
一方、ステップSA6で実行フラグがONに設定されると、ステップSA8での判定がYESとなることから、ステップSA9に進む。次のステップSA9では、ECU200が、スロットル開度センサ35からの信号に基づいて、スロットル開度が第2開度A2であるか否かを判定する。この点、エンジン再始動要求があった時点では、スロットルバルブ5は閉じられていることから、このステップSA9における第1回目の判定はNOとなるので、ステップSA10に進む。
次のステップSA10では、ECU200がスロットルモータ6を制御して、スロットルバルブ5を第1開度A1まで開いた(全開させた)後、ステップSA11に進む。そうして、ステップSA11でECU200が直噴インジェクタ2を制御して第1回目の圧縮行程噴射を行った後、次のステップSA12でECU200がイグナイタ4を制御して、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcで点火を実行する。
次のステップSA13では、ECU200が圧縮行程噴射回数Nをカウントする。ここで、Nの初期値は「0」に設定されており、ステップSA13を行う度に圧縮行程噴射回数Nが1ずつ増加するようになっている。よって、ステップSA11で第1回目の圧縮行程噴射を行った場合には、N=1がRAM203に記憶される。
次のステップSA14では、ECU200が、エンジン回転数NEが始動判定回転数NEst以上になったか否か、すなわち、エンジン始動判定がなされたか否かを判定する。このステップSA14での判定がNOの場合、すなわち、クランクポジションセンサ31の出力信号から算出されたエンジン回転数NEが未だ始動判定回転数NEst未満の場合には、リターンする。そうして、このステップSA14での判定がNOとなってリターンした場合には、再始動フラグ及び実行フラグがONであることから、ステップSA1及びそれに続くステップSA8での判定が共にYESとなる。そうして、スロットルバルブ5はステップSA10で第1開度A1まで開かれたまま変化していないので、ステップSA9の判定がNOとなり、ステップSA10でスロットル開度が第1開度A1で維持されたまま、圧縮行程噴射(ステップSA11)及び所定点火時期SAcで点火(ステップSA12)が実行されるとともに、圧縮行程噴射回数Nが加算(ステップSA13)される。一方、ステップSA14での判定がYESの場合には、ステップSA15に進み、ECU200がスロットルモータ6を制御して、スロットルバルブ5を第1開度A1から第2開度A2まで閉じる。
次のステップSA16では、ECU200が、圧縮行程噴射回数Nが第1所定回数Nchgになったか否か、すなわち、吸気通路11内の圧力PMが定常値PMtに達したか否かを判定する。このステップSA16での判定がNOの場合にはリターンし、再始動フラグ及び実行フラグがONであることから、ステップSA1及びそれに続くステップSA8での判定が共にYESとなる。一方、スロットルバルブ5はステップSA15で第2開度A2まで閉じられたことから、ステップSA9の判定がYESとなり、圧縮行程噴射(ステップSA11)及び所定点火時期SAcで点火(ステップSA12)が実行されるとともに、圧縮行程噴射回数Nが加算(ステップSA13)される。
一方、ステップSA16での判定がYESの場合には、ステップSA17に進み、実行フラグをOFFにした後、リターンする。このように、ステップSA17で実行フラグがOFFにされると、それ以降は、ステップSA1での判定はYESとなるが、ステップSA8での判定がNOとなることから、吸気行程噴射(ステップSA18)及び最適点火時期SAiでの点火実行(ステップSA19)が継続されることになる。
次に、本実施形態に係るエンジン再始動制御について、図5に示すタイミングチャートを用いて説明する。なお、スロットル開度および吸気圧における太破線は、スタータモータ10の始動と同時にスロットルバルブ5を第2開度A2まで開いた場合を示している。
先ず、アイドリングストップ制御によってエンジン1が停止している状態である時刻t0では、エンジン回転数NEが「0」であり、スロットルバルブ5が閉じられているとともに、吸気圧PMが大気圧になっている。
この状態から、時刻t1においてエンジン再始動条件が成立すると、再始動フラグがONになり、アイドルストップコントローラ108からの信号によりスタータモータ10が駆動を開始する(ONになる)とともに、ECU200がスロットルモータ6を制御することでスロットル開度が全開状態である第1開度A1となる。
そうして、時刻t2において第1回目の圧縮行程噴射が行われて初爆が発生すると、エンジン回転数NEが上昇する。次いで、時刻t3においてエンジン回転数NEが始動判定回転数NEstに達してエンジン始動判定がなされと、ECU200がスロットルモータ6を制御することでスロットル開度が第2開度A2となる。このときまで、スロットルバルブ5は全開状態であったことから、スタータモータ10が始動してから第1燃焼までの期間にばらつきが生じても、時刻t3における吸気通路11内の圧力PMは大気圧に維持されている。
時刻t3においてスタータモータ10に対し停止信号が出てから微小時間経過後の時刻t4においてスタータモータ10が停止するとともに、その前後で大気圧であった吸気通路11内に負圧が発生する。
そうして、圧縮行程噴射が行われる度に、負圧が大きくなり、時刻t5において圧縮行程噴射回数Nが第1所定回数Nchgになると、吸気圧PMが定常値PMtになることから、ECU200が直噴インジェクタ2を制御して吸気行程噴射への切換えを行う。これと同時に、ECU200がイグナイタ4を制御することで、点火時期が、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcから吸気行程噴射時の最適点火時期SAiへ不連続に進角する。このように、吸気圧PMが定常値PMtになったときに、圧縮行程噴射から吸気行程噴射への切換え、及び、点火時期の進角を行うことから、トルク段差を抑制することができる。
(実施形態2)
本実施形態は、圧縮行程噴射から吸気行程噴射への切換えるまでの圧縮行程噴射回数、および、燃料噴射時期を補正する点が、上記実施形態1と異なるものである。他の構成については実施形態1と同様であることから、以下、実施形態1と異なる点について説明する。
本実施形態に係るエンジン1のような直噴ガソリンエンジンでは、点火プラグ3近傍に燃料を集中させる成層燃焼(圧縮行程噴射)を行うと、点火プラグ3近傍の燃料が過濃となってスモークが発生し易くなることから、スモークに伴うパティキュレートマターが発生するおそれがある。
かかるパティキュレートマターを抑制するために、本実施形態では、圧縮行程噴射から吸気行程噴射への切換えを出来るだけ早く実行するように、具体的には、上記第1所定回数Nchgよりも少ない第2所定回数Nchg’で噴射形態の切換えを行うように、ECU200が直噴インジェクタ2を制御する。なお、「第2所定回数Nchg’」は、第1所定回数Nchgよりも少ない回数と定義できるが、これを積極的に定義すると、第2開度A2において圧縮行程噴射を当該第2所定回数Nchg’だけ行った場合に、吸気通路11内の圧力PM(吸気量)が、第2開度A2に相当する圧力よりも大きくなるような噴射回数ということができる。
このような制御を行えば、圧縮行程噴射回数Nが少なくなることから、パティキュレートマターを確実に抑制することが可能となる。もっとも、第1所定回数Nchgよりも少ない第2所定回数Nchg’で圧縮行程噴射から吸気行程噴射への切換えを行うということは、吸気圧PMが定常値PMtに達する前に吸気行程噴射を行うことを意味することから、均質燃焼における吸気行程で、第2開度A2に相当する吸気量を超える大量の空気が気筒内に吸入されることになる。そうすると、切換直後(吸気行程噴射)のエンジントルクが大きくなり、大きなトルク段差が生じることになる。
そこで、本実施形態では、トルク段差を抑制するべく、噴射形態が切り換わったときに点火時期を補正するようにしている。具体的には、ECU200は、噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の点火時期を、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcに補正するとともに、その後、吸気行程噴射が行われる度に、補正点火時期SAbufを徐増量αだけ徐々に進角させて吸気行程噴射時の最適点火時期SAiにするように、イグナイタ4を制御する。
このように、噴射形態が切り換わったときに、補正点火時期SAbufを、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcにすることから、換言すると、吸気行程噴射時の点火時期を遅角させることから、吸気行程噴射時のエンジントルクが大きくなるのを抑えることができる。したがって、パティキュレートマターを抑制すべく、圧縮行程噴射回数Nを少なくした場合にも、噴射形態切換時のトルク段差を抑制することができる。
そうして、圧縮行程噴射が行われる度に、吸気通路11内の負圧が大きくなり、燃焼室1dへの吸気量が減少していくところ、吸気行程噴射が行われる度に、補正点火時期SAbufを、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcから徐増量αだけ徐々に進角させて、吸気行程噴射時の最適点火時期SAiにすることから、吸気圧PMが定常値PMtに達するまでの過程で、エンジン回転数NEが変動するのを抑えることができる。
なお、徐増量αは、最適点火時期SAiと所定点火時期SAcとの角度差を、第1所定回数Nchgと第2所定回数Nchg’との回数差で、割ることによって容易に求めることができる。
次いで、本実施形態に係るエンジン再始動制御の一例を、図6及び図7のフローチャートを参照して説明する。なお、図6の丸4、丸5、丸6は、図7の丸4、丸5、丸6にそれぞれ繋がっているものとする。また、上記図3及び図4におけるステップSA1〜ステップSA15と、図6及び図7におけるステップSB1〜ステップSB15とは、全く同じ手順なので、その説明を適宜省略する。
先ず、圧縮行程噴射実行条件が成立していない場合(ステップSB4及びステップSB5の判定がNOの場合)には、ステップSB7に進み実行フラグをOFFにした後、ステップSB19に進む。そうして、ステップSB19で、ECU200が直噴インジェクタ2を制御して吸気行程噴射を行った後、ステップSB20に進む。
次のステップSB20では、ECU200が、履歴フラグがONか否かを判定する。この履歴フラグは、圧縮行程噴射を経て吸気行程噴射に至ったときにON設定されるものであり、圧縮行程噴射実行条件が成立していない場合には、当然OFFとなっている。よって、圧縮行程噴射実行条件が成立していない場合におけるステップSB20の判定は、NOとなるので、ステップSB23に進む。
次の、ステップSB23では、ECU200がイグナイタ4を制御して、吸気行程噴射時の最適点火時期SAiで点火を実行し、その後リターンする。このように、圧縮行程噴射実行条件が成立せず最初から吸気行程噴射が実行されると、それ以降は、ステップSB8およびステップSB20での判定がNOとなることから、吸気行程噴射実行(ステップSB19)及び最適点火時期SAiでの点火実行(ステップSB23)が継続されることになる。
一方、圧縮行程噴射実行条件が成立した場合には、上記実施形態1と同様に、ステップSB15において、ECU200がスロットルモータ6を制御して、スロットルバルブ5を第1開度A1から第2開度A2まで閉じた後、ステップSB16に進む。次のステップSB16では、ECU200が、圧縮行程噴射回数Nが第2所定回数Nchg’になったか否かを判定する。このステップSB16での判定がNOの場合にはリターンし、当該ステップSB16での判定がYESになるまで、圧縮行程噴射(ステップSB11)及び所定点火時期SAcで点火(ステップSB12)が実行されるとともに、圧縮行程噴射回数Nが加算(ステップSB13)される。
一方、ステップSB16での判定がYESの場合には、ステップSB17に進み、実行フラグをOFFにした後、ステップSB18に進む。このステップSB18では、圧縮行程噴射を経て吸気行程噴射に至ったことを示す履歴フラグがONにされ、その後リターンする。このように、ステップSB17で実行フラグがOFFにされると、それ以降は、ステップSB8での判定がNOとなることから、吸気行程噴射(ステップSB19)が実行されることになる。
次のステップSB20では、ECU200が、履歴フラグがONか否かを判定するが、圧縮行程噴射実行条件が成立した場合には、ステップSB18において履歴フラグがONにされることから、このステップSB20の判定はYESとなるので、ステップSB21の点火ルーチンに進む。
図8に示す点火ルーチンでは、先ず、ステップSC1において、ECU200が、実行フラグがONからOFFに変わった直後か否かを判定する。この点、ステップSB19において第1回目の吸気行程噴射が行われた場合には、実行フラグがONからOFFに変わった直後であることから、このステップSC1の判定はYESとなるので、ステップSC2に進む。次のステップSC2では、補正点火時期SAbufの初期値を、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcに設定し、その後エンドする。
ステップSB21の点火ルーチンが終了すると、再び図7に示すフローチャートに戻り、ステップSB22に進む。このステップSB22では、ECU200がイグナイタ4を制御して、ステップSC2で設定された補正点火時期SAbuf、すなわち、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcで点火を実行し、その後リターンする。
そうして、第2回目以降の吸気行程噴射では、点火ルーチンにおけるステップSC1の判定は必ずNOとなるので、ステップSC3に進む。次のステップSC3では、補正点火時期SAbufが徐増量αだけ進角される。具体的には、第2回目の吸気行程噴射では、補正点火時期SAbuf=SAc+α、第3回目の吸気行程噴射では、補正点火時期SAbuf=SAc+2α、…、第n回目の吸気行程噴射では(nは正の整数)、補正点火時期SAbuf=SAc+(n−1)×αというように、吸気行程噴射が行われる度に、点火時期がαだけ徐々に進角することになる。
次のステップSC4では、ECU200が、補正点火時期SAbufが吸気行程噴射時の最適点火時期SAi以上になったか否かを判定する。このステップSC4での判定がNOのときは、そのままエンドし、ステップSB22において、ECU200が補正点火時期SAbuf=SAc+(n−1)×αで点火を実行するようにイグナイタ4を制御し、その後リターンする。そうして、ステップSC4での判定がYESになるまでは、ステップSC3に進むことから、補正点火時期SAbufはαだけ徐々に進角し続けることになる。
一方、ステップSC4での判定がYESのとき、すなわち、補正点火時期SAbufが吸気行程噴射時の最適点火時期SAi以上になったときには、ステップSC5に進み、履歴フラグをOFFにした後、エンドする。
このように、ステップSC5において履歴フラグがOFFにされると、それ以降の吸気行程噴射においては、ステップSB20における判定が必ずNOになるので、ステップSB23において吸気行程噴射時の最適点火時期SAiで点火が実行されることになる。
次に、本実施形態に係るエンジン再始動制御について、図9に示すタイミングチャートを用いて説明する。なお、図9における時刻t0’〜時刻t4’の状態は、図5における時刻t0〜時刻t4の状態と全く同じであることから、説明を省略する。
時刻t5’において圧縮行程噴射が第2所定回数Nchg’だけ行われると、吸気行程噴射への切換えを行うが、点火時期は、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcに維持される。このことは、吸気行程噴射時の点火時期を遅角させていることに相当する。このように、吸気行程噴射時の点火時期を遅角させることで、吸気圧PMが定常値PMtに達する前に吸気行程噴射を行うことにより大量の空気が気筒内に吸入されても、トルク段差が生じるのを抑えることができる。
そうして、時刻t5’〜時刻t6’では、吸気行程噴射が行われる度に、吸気通路11内の負圧が大きくなり、燃焼室1dへの吸気量が減少していくが、吸気行程噴射が行われる度に、補正点火時期SAbufを徐増量αだけ徐々に進角させるので、吸気圧PMが定常値PMtに達するまでの過程で、エンジン回転数NEが変動するのを抑えることができる。
(実施形態2の変形例)
上記実施形態2では、噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の補正点火時期SAbufを、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcにするようにしたが、本変形例では、図10のタイミングチャートに示すように、時刻t5”において噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の補正点火時期SAbufを、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcから更にβだけ遅角させるようにしている。そうして、その後に吸気行程噴射が行われる度に、補正点火時期SAbufを徐増量αだけ徐々に進角させて、吸気圧PMが定常値PMtに達する時刻t6”において、補正点火時期SAbufを吸気行程噴射時の最適点火時期SAiになるようにしている。
なお、かかる遅角制御は、図8に示す点火ルーチンのステップSC2において、括弧内に示すように、補正点火時期SAbufの初期値を、SAc−βに設定することで容易に実現することができる。
この変形例によれば、噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の点火時期を、圧縮行程噴射時の所定点火時期SAcからβだけ更に遅角させることから、換言すると、吸気行程噴射時の点火時期を大きく遅角させることから、吸気行程噴射時のエンジントルクが大きくなるのをより一層抑えることができる。
(その他の制御例)
次に、圧縮行程噴射から吸気行程噴射への噴射形態切換時のトルク段差を抑制し得る他の制御例について説明する。
上記実施形態1では、圧縮行程噴射回数Nが第1所定回数Nchgとなったときに、噴射形態を均質燃焼(吸気行程噴射)へ切換えるようにしたが、例えば吸気通路11内の圧力PMを検出する吸気圧センサが吸気通路11に設けられている場合には、吸気圧PMが目標吸気圧PMtに達したときに、噴射形態を切換えるようにしてもよい。
この場合には、図4に示すフローチャートのステップSA16に代えて、図11に示すステップSA16−1及びステップSA16−2を実行することによって、トルク段差を抑制することができる。すなわち、ステップSA16−1で、吸気圧PMの定常値である目標吸気圧PMt(定常値)を算出し、ステップSA16−2の判定がNOのとき(吸気圧センサによって検出された吸気圧PMが目標吸気圧PMtより大きいとき)にはリターンする一方、ステップSA16−2の判定がYESのとき(吸気圧センサによって検出された吸気圧PMが目標吸気圧PMt以下のとき)には、ステップSA17に進み、実行フラグをOFFにした後、リターンする。
このようにすれば、推定された圧縮行程噴射回数N等によらず、吸気圧PMが定常値PMtに達したときに確実に噴射形態を切換えて、トルク段差を抑制することができる。
さらに、吸気圧センサに代えて、吸気量やエンジン回転数NE等に基づいて、吸気通路11内の圧力PMを算出し、算出された吸気圧PMが目標吸気圧PMtに達したときに、噴射形態を切換えるようにしてもよい。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記各実施形態では、本発明を、4気筒ガソリンエンジン1に適用したが、これに限らず、気筒数が4未満または4を超えるガソリンエンジンに適用してもよい。
また、上記各実施形態では、第2開度A2を、機関アイドル時の均質燃焼におけるエンジン回転数NEが目標アイドル回転数になるような要求スロットル開度したが、これに限らず、第2開度A2を、第1開度A1よりも小さいスロットル開度において適宜設定してもよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明によると、圧縮行程噴射から吸気行程噴射への切換えの際にトルク段差を抑制することができるので、車両停止時にエンジンを一時的に停止させるアイドリングストップ機能を備える車両に搭載された直噴ガソリンエンジンの制御装置に適用して極めて有益である。
1 直噴ガソリンエンジン
5 スロットルバルブ(スロットル弁)
11 吸気通路(吸気管)
200 ECU(制御装置)

Claims (6)

  1. 車両停止時にエンジンを一時的に停止させるアイドリングストップ機能を備える車両に搭載された直噴ガソリンエンジンの制御装置であって、
    アイドリングストップ制御によるエンジン停止中にエンジン再始動要求があったときに、吸気管内の圧力が大気圧に相当する圧力となるような第1開度までスロットル弁を開き、その後エンジン回転数が所定の始動判定回転数以上になったときに、上記第1開度よりも小さい第2開度までスロットル弁を閉じるとともに、
    エンジン再始動時に圧縮行程噴射を所定回数行った後に、圧縮行程噴射から吸気行程噴射へ噴射形態を切換える制御を実行することを特徴とする直噴ガソリンエンジンの制御装置。
  2. 上記請求項1に記載の直噴ガソリンエンジンの制御装置において、
    圧縮行程噴射時の点火時期は、
    上記吸気管内の圧力が上記第2開度に相当する圧力である場合に、圧縮行程噴射を実行することによって発生するエンジントルクが、吸気行程噴射時の最適点火時期で吸気行程噴射を実行することによって発生するエンジントルクと等しくなるような所定点火時期に設定されていることを特徴とする直噴ガソリンエンジンの制御装置。
  3. 上記請求項2に記載の直噴ガソリンエンジンの制御装置において、
    上記所定回数は、圧縮行程噴射を当該所定回数行った場合における上記吸気管内の圧力が、上記第2開度に相当する圧力となるような値に設定されており、
    噴射形態が切り換わったときに、圧縮行程噴射時の所定点火時期から吸気行程噴射時の最適点火時期へ、点火時期を進角させる制御を実行することを特徴とする直噴ガソリンエンジンの制御装置。
  4. 上記請求項2に記載の直噴ガソリンエンジンの制御装置において、
    上記所定回数は、圧縮行程噴射を当該所定回数行った場合における上記吸気管内の圧力が、上記第2開度に相当する圧力よりも大きくなるような値に設定されており、
    噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の点火時期を、徐々に進角させて吸気行程噴射時の最適点火時期にする制御を実行することを特徴とする直噴ガソリンエンジンの制御装置。
  5. 上記請求項4に記載の直噴ガソリンエンジンの制御装置において、
    噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の点火時期を、圧縮行程噴射時の所定点火時期にするとともに、その後、吸気行程噴射時の点火時期を、徐々に進角させて吸気行程噴射時の最適点火時期にする制御を実行することを特徴とする直噴ガソリンエンジンの制御装置。
  6. 上記請求項4に記載の直噴ガソリンエンジンの制御装置において、
    噴射形態が切り換わったときに、吸気行程噴射時の点火時期を、圧縮行程噴射時の所定点火時期から更に遅角させた点火時期にするとともに、その後、吸気行程噴射時の点火時期を徐々に進角させて吸気行程噴射時の最適点火時期にする制御を実行することを特徴とする直噴ガソリンエンジンの制御装置。
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