JP5453894B2 - 接着シート - Google Patents

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Description

本発明は、接着シートに関する。
従来、半導体素子と半導体素子搭載用の支持部材との接合には銀ペーストが主に使用されている。しかし、近年の半導体素子の小型化・高性能化に伴い、使用される支持部材にも小型化・細密化が要求されるようになってきている。こうした要求に対して、銀ペーストでは、はみ出しや半導体素子の傾きに起因するワイヤボンディング時における不具合の発生、銀ペーストからなる接着剤層の膜厚の制御困難性、及び接着剤層のボイド発生等により上記要求に対処しきれなくなってきている。
そのため、上記要求に対処するべく、近年、フィルム状の接着剤が使用されるようになってきた。このフィルム状接着剤は、個片貼付け方式又はウェハ裏面貼付け方式において使用されている。フィルム状接着剤を用いて個片貼付け方式により半導体装置を作製する場合には、まず、ロール状(リール状)に巻き取られたフィルム状接着剤をカッティング又はパンチングによって任意のサイズに切り出し、フィルム状接着剤の個片を得る。この個片を、半導体素子搭載用の支持部材に貼り付け、フィルム状接着剤付き支持部材を得る。その後、ダイシング工程によって個片化した半導体素子をフィルム状接着剤付き支持部材に接合(ダイボンド)して半導体素子付き支持部材を作製する。
しかし、個片貼付け方式においてフィルム状接着剤を用いる場合には、フィルム状接着剤を切り出して支持部材に接着するための専用の組立装置が必要であるため、銀ペーストを使用する方法に比べて製造コストが高くなるという問題がある。
一方、フィルム状接着剤を用いてウェハ裏面貼付け方式により半導体装置を作製する場合には、まず、半導体ウェハの回路面とは反対側の面(裏面)にフィルム状接着剤を貼付け、更にフィルム状接着剤の半導体ウェハ側と反対側の面にダイシングテープを貼り合わせる。次に、ダイシングによって半導体ウェハ及びフィルム状接着剤を個片化し、フィルム状接着剤付き半導体素子を得る。得られたフィルム状接着剤付き半導体素子をピックアップし、それを半導体素子搭載用の支持部材に接合(ダイボンド)する。その後、加熱、硬化、ワイヤボンド等の工程を経ることにより半導体装置を作製する。
しかし、フィルム状接着剤を用いた上記のウェハ裏面貼付け方式においては、半導体ウェハのダイシングを行うまでに、フィルム状接着剤を半導体ウェハに貼付する工程とダイシングテープをフィルム状接着剤に貼付する工程との2つの貼付工程が必要である。そこで、このプロセスを簡略化するために、フィルム状接着剤とダイシングテープとを貼り合わせ、一枚で両方の機能を併せ持つ接着シート(ダイボンドダイシングシート)が開発されている(例えば、特許文献1参照)。このような接着シートは、例えば、剥離基材/接着剤層/粘着フィルムの三層構造を有している。
また、このような接着シートを、半導体素子を構成するウェハの形状にあらかじめ加工しておく方法(いわゆるプリカット加工)が知られている(例えば、特許文献2及び3参照)。かかるプリカット加工は、使用されるウェハの形状に合わせて樹脂層(接着剤層及び粘着フィルム)を打ち抜き、ウェハを貼り付ける部分以外の樹脂層を剥離しておく方法である。
プリカット加工が施された接着シートは、例えば、図6(a)に示すような構造を有している。また、図6(b)は、図6(a)の接着シートのX−X端面図であり、剥離基材1上に接着剤層2が積層され、その上にさらに粘着フィルム3が、剥離基材1側において粘着性を有する面となるようにして積層されている。なお、粘着フィルム3は接着剤層2を覆い、且つ、接着剤層2の周囲で剥離基材1に接するように積層されており、これにより、半導体ウェハのダイシングを行う際に、半導体ウェハの外周部のウェハリングに粘着フィルム3を貼り付けて接着シートを固定することができるようになっている。
かかるプリカット加工を施す場合、上記の接着シートは一般的に、接着剤層をウェハ形状に合わせてプリカット加工し、それと粘着フィルム(ダイシングテープ)とを貼り合わせた後、この粘着フィルム(ダイシングテープ)に対してウェハリング形状に合わせたプリカット加工を施すか、又は、あらかじめウェハリング形状にプリカット加工した粘着フィルム(ダイシングテープ)を、プリカット加工したフィルム状接着剤と貼り合わせることによって作製される。
特開平7−45557号公報 実公平6−18383号公報 特開2007−2173号公報
上記プリカット加工が施された接着シートは、通常、図7に示すように円筒状の巻き芯11に巻きつけて、ロール状の接着シートロール4として供給される。このとき、以下のような不具合が生じることを本発明者等は見出した。すなわち、上記プリカット加工が施された接着シートにおいては、ロール中心部分の芯11近くでは巻きの力が集中し、上記プリカット形状が、重なり合う接着剤層へ転写が発生する。接着剤層の厚みが厚くなった場合、巻き跡が更に転写されやすくなる。これら巻き跡の転写により接着シートに平滑性の欠陥があると、接着シートを半導体ウェハへ貼り付けたときに半導体ウェハと接着剤層との間に空気を巻き込み、半導体ウェハとの密着が十分にとれないため、半導体装置組み立て方法上、不具合が生じることがある。
一般的に上記接着シートは、半導体作製工程の方法上、円形を有するフィルムの径が250〜450mm、円形フィルム間の間隔が5〜20mmである。接着シートの厚さは、一般的に接着剤層及び粘着フィルムの総厚みとして60〜150μmである。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、上記接着シートをロール状に巻き取った場合において、接着剤層に巻き跡が転写されることを十分に抑制し、被着体に接着剤層を貼り付ける際に、空気の巻き込みによるボイドの発生を十分に抑制することが可能な接着シートを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)剥離基材と、該剥離基材上の長さ方向に分散配置された接着剤層と、該接着剤層を覆い、且つ、該接着剤層の周囲で前記剥離基材に接するように形成された粘着フィルムと、を有した、ロール状に巻かれた接着シートであって、前記ロール状に巻かれた接着シートの内径側に平坦なリード部分を有する接着シート。
(2)前記平坦なリード部分が、前記接着剤層と、前記粘着フィルムを有さず平坦である上記(1)記載の接着シート。
(3)前記平坦なリード部分が、前記剥離基材を連続して使用、又は別途剥離基材を継ぐことによって形成されている上記(2)記載の接着シート。
(4)前記接着剤層及び前記粘着フィルムの少なくとも一方が、前記剥離基材を剥離した後に前記接着剤層又は前記粘着フィルムを貼り付けるべき被着体の平面形状に合致する平面形状、を有している上記(1)〜(3)のうちのいずれか一つに記載の接着シート。
(5)前記接着剤層が、熱可塑性樹脂及び熱重合性成分を含有したものである上記(4)記載の接着シート。
(6)前記熱可塑性樹脂が、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上の高分子量成分である上記(5)記載の接着シート。
(7)前記高分子量成分が、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体である上記(6)記載の接着シート。
(8)前記熱重合性成分が、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含有したものである上記(5)〜(7)のうちのいずれか一つに記載の接着シート。
(9)前記高エネルギー線の照射により、前記接着剤層と前記粘着フィルムとの間の粘着力が低下する上記(1)〜(8)のうちのいずれか一つに記載の接着シート。
本発明によれば、接着剤層に巻き跡が転写されることを十分に抑制し、被着体に接着剤層を貼り付ける際に空気の巻き込みによるボイドの発生を十分に抑制することが可能な接着シートを提供することができる。
本発明において、プリカット形状の転写が要因となる、顧客使用時のボイド発生抑制に対して効果がある。
本発明の接着シート(実施例1)の第1実施形態を示す模式図である。 本発明の接着シート(実施例2)の第2実施形態を示す模式図である。 比較例1の接着シートの実施形態を示す模式図である。 比較例3の接着シートの実施形態を示す模式図である。 本発明の接着シートの断面図である。 (a)は、接着シートの平面図であり、(b)は接着シートのX−X端面図である。 プリカット加工が施された接着シートを示す模式図である。 従来の接着シートの断面図である。
<接着シート>
本発明の接着シートは、剥離基材と、該剥離基材上の長さ方向に分散配置された接着剤層と、該接着剤層を覆い、且つ、該接着剤層の周囲で前記剥離基材に接するように形成された粘着フィルムと、を有した、ロール状に巻かれた接着シートであって、前記ロール状に巻かれた接着シートの内径側に平坦なリード部分を有することを特徴とする。
ここで、「平坦なリード部分」とは、凹凸のない平面性を有する、製品前後に設置される、装置取り付け時に製品として使用できない部分ということを意味する。
本発明における平坦なリード部分は、平坦なリード部分内に前記接着剤層と、前記粘着フィルムとを含まず、剥離基材のみで構成されることが好ましい。また、本発明における平坦なリード部分は、別途剥離基材を継ぐことによって形成されているものであってもよい。別途継がれる剥離基材の材質は、接着シートに用いられる剥離基材と同材質であることが、生産性の観点から好ましいが、異材質であっても構わない。
図1に示すように、本発明のロール状に巻かれた接着シート4は、凹凸のない平坦なリード部Aを有する。
以下、図面を参照しながら本発明の接着シートの好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1、2はそれぞれ本発明の接着シート4の第1、第2実施形態を示す模式図である。図1、2に示すように、本発明のリード部分Aには接着剤層2、及び粘着フィルム3を配置せずに剥離基材1のみの構成となっており、平坦性を有する。図2に示すリード部分Aは剥離基材1を粘着テープ5で継いだ構造になっている。継がれる剥離基材1は、接着シート4の剥離基材と同材質であっても異材質であってもよい。
本発明の接着シートは、リード部分の凹凸をなくすことにより、巻き取り時のロール内部のしわが低減され、接着剤層に他の接着剤層の巻き跡が転写されることを十分に抑制することができる。従来の接着シートでは、図8に従来のロール状の接着シートの断面を示すように、作業性とコストの観点からリード部分Aの両端部に粘着フィルム3bを残して配置している。そのため、粘着フィルム3bを有するシート両端部分と有さないシート中央部分で段差が生じ、接着剤層へのプリカット形状の巻き跡の転写が多く発生している(図中の矢印の大きさは転写の程度を示す)。
これに対して本発明は、リード部分のシート両端部分の粘着フィルムを取り除くことで、リード部内の凹凸をなくし、段差の影響を最小限に抑えることが可能となる。その結果、段差しわが接着剤層に転写されることを抑制することが可能となる。具体的には、図5にロール状の接着シートの断面を示すように、リード部分Aのシート両端部分には剥離基材1のみで何も有さず平坦となっている(図中の矢印の大きさは転写の程度を示す)。そして、接着剤層へのプリカット形状の巻き跡の転写が抑制されることにより、半導体ウェハ等の被着体に接着剤層を貼り付ける際に、空気の巻き込みによるボイド等の発生を十分に抑制することができる。
本発明におけるの平坦なリード部分は、前述したように接着シートの剥離基材と同一の材料であることが望ましい。これにより、平坦なリード部分を設けるために新たにフィルム等の材料を用意する必要がなく、粘着フィルムを取り除くか、又は剥離基材を継ぐことで、容易に平坦なリード部分を形成することができる。
このように、ロール状に巻かれた接着シートが平坦なリード部分を有することで、凹凸に起因する接着剤層のしわを低減することが出来る。そのため、本発明の接着シートにおける接着剤層及び粘着フィルムを半導体ウェハ等の被着体に接着剤層を貼り付ける際に、空気の巻き込みによるボイド等の発生をより十分に抑制しウェハとの密着を十分確保することができる。
本発明のリード部分長は特に制限されるものではないが、作業性の観点から1m以上の長さを有していることが好ましい。
本発明のリード部分の幅は特に制限されるものではないが、作業性、梱包性の観点から製品粘着層幅と同一であることが好ましい。接着シートを半導体ウェハと貼り付けて半導体装置の製造に用いる場合は、接着シートの幅は、一般的には200〜400mmである。本発明のリード部分の厚みは特に制限されるものではないが、凹凸をなくすという本発明の趣旨からも、剥離基材厚の0.95〜1.0倍であることが好ましい。
本発明の接着シートの被着体としては、例えば半導体ウェハが挙げられるが、この半導体ウェハの平面形に合致する平面形状を接着剤層が有していることにより、半導体ウェハをダイシングする工程が容易となる傾向がある。
接着剤層の形状としては、被着体(例えば、半導体ウェハ)の貼り付けが可能な形状であれば特に制限はなく、例えば、平面形状として、円形、四角形、五角形、六角形、八角形等が挙げられる。なお、接着剤層の平面形状は、被着体(例えば、半導体ウェハ)の平面形状に完全に一致している必要はなく、例えば、被着体(例えば、半導体ウェハ)の平面形状よりもやや大きい平面形状であってもよい。
また、接着剤層が被着体の平面形状に合致した平面形状を有していても良いが、後述の粘着フィルムが有していても良い。
なお、接着剤層において、半導体ウェハを貼り付ける部分以外の部分は無駄になるため、作製工程の観点から円形の平面形状を有する一般的な半導体ウェハと貼り合わせる場合には、接着剤層は、円形の平面形状又は半導体ウェハの平面形状に合致する平面形状(半導体ウェハ形状)であることが好ましい。
接着剤層は特に制限されないが、例えば、熱硬化性接着剤、光硬化性接着剤、熱可塑性接着剤、及び、酸素反応性接着剤等からなる群より選ばれる接着剤から構成される。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができるが、接着剤として半導体素子の固定に使用されることを考慮すると、接着剤層は熱硬化性接着剤により構成されていることが好ましい。
熱硬化性接着剤としては、熱により硬化するものであれば特に制限はなく、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソジアヌレート基、アミノ基、アミド基等の官能基を持つ熱重合性成分を含むものが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができるが、接着シートとしての耐熱性及び熱硬化による接着力を考慮すると、上記の熱重合性成分と熱可塑性樹脂とが含有された熱硬化性接着剤を用いることが好ましい。これにより、接着剤層を介して、半導体素子を半導体素子搭載用の支持部材又は別の半導体素子に十分に固定することができる。
ここで、熱硬化性接着剤に含有される熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を有する樹脂、又は少なくとも未硬化状態において熱可塑性を有していれば、加熱後に架橋構造を形成する樹脂であってもよく特に制限されないが、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上の高分子量成分であることが好ましい。また、重量平均分子量が上記範囲の熱可塑性樹脂を用いることにより、接着剤層の室温での硬さを高めることができ、接着シートを巻き取った際の圧力により接着剤層に巻き跡が転写されることを抑制することができる。更に、何らかの原因で接着剤層に巻き跡の転写が生じた場合でも、上記の熱可塑性樹脂を用いていることで、接着剤層を半導体ウェハに貼り付ける際の加熱により容易に変形することが可能となり、ボイドを低減することができる。
より好ましくは、熱可塑性樹脂(A)Tg(ガラス転移温度)が10〜100℃であり、且つ、重量平均分子量が5000〜20万であるもの、又は熱可塑性樹脂(B)Tgが−50℃〜50℃であり、且つ、重量平均分子量が10万以上であるものが好ましい。これらを用いることにより、半導体装置作製における作業環境下でフィルム形状を維持し、取り扱い易い接着シートにすることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
TgはTMA測定により測定できる。
上記熱可塑性樹脂(A)としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等が挙げられる。これらの中でもポリイミド樹脂を用いることが好ましい。
上記熱可塑性樹脂(B)としては、官能性モノマーを含む高分子量成分を使用することが好ましく、この重合体の官能性モノマーの官能基としてはグリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、中でもグリシジル基が好ましい。より具体的には、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能基モノマーを含むエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体等の高分子量成分が好ましく、硬化後の熱重合性成分と非相溶であることがより好ましい。
上記官能基を有する官能性モノマーを用いて、Tgが−50℃〜50℃であり、且つ、重量平均分子量が10万以上の熱可塑性樹脂(B)は、市販されているものとして、例えば、帝国化学産業(株)製のHTR−860P−3(Tg:40℃、重量平均分子量:20万)等が挙げられる。
上記官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上の高分子量成分としては、例えば、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能性モノマーを含有し、かつ重量平均分子量が10万以上であるエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体等が挙げられ、それらの中でも硬化後に熱重合性成分と非相溶であるものが好ましい。
上記官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上の上記エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、上記官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、上記官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上のアクリルゴム等を使用することができ、上記官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上のアクリルゴムがより好ましい。上記エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体における、上記グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等のエポキシ樹脂含有モノマー単位の量は、モノマー全量を基準として0.5〜6.0質量%が好ましく、0.5〜5.0質量%がより好ましく、0.8〜5.0質量%が特に好ましい。
グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートと併用される官能性モノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。なお、本発明において、エチル(メタ)アクリレートとは、エチルアクリレートとエチルメタクリレートの両方を示す。官能性モノマーを組み合わせて使用する場合の混合比率は、エポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体のTgを考慮して決定し、Tgが−50℃以上となるようにすることが好ましい。Tgが−50℃以上であると、Bステージ状態での接着剤層のタック性が適当であり、取り扱い性が良好なものとなる傾向にある。
熱硬化性接着剤に好ましく含有される、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上のエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体の市販されているものとして、例えば、帝国化学産業(株)製のHTR−860P−3(Tg:40℃、重量平均分子量:20万)等が挙げられる。
熱硬化性接着剤に含有される熱重合性成分としては、熱により重合するものであれば特に制限は無く、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等の官能基を持つ化合物が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができるが、接着シートとしての耐熱性を考慮すると、熱によって硬化し接着作用を及ぼす熱硬化性樹脂を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられ、特に、耐熱性、作業性、信頼性に優れるダイボンドダイシングシートが得られる点でエポキシ樹脂を使用することが最も好ましい。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂硬化剤を合わせて使用することが好ましい。
これにより、接着剤層を用いて得られた半導体装置は、半導体素子を半導体素子搭載用の支持部材あるいは別の半導体素子に十分に固定することができ、半導体装置が使用される環境下で半導体装置の破損や故障を防ぐことができる。
上記エポキシ樹脂としては、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等の二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂等を使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂等、一般に知られているものを使用することができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコートシリーズ(エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009)、ダウケミカル社製のDER−330、DER−301、DER−361、及び、東都化成株式会社製のYD8125、YDF8170等が挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート152、エピコート154、日本化薬株式会社製のEPPN−201、ダウケミカル社製のDEN−438等が挙げられる。
更に、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬株式会社製のEOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027、東都化成株式会社製のYDCN−701、YDCN−702、YDCN−703、YDCN−704等が挙げられる。
多官能エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のEpon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163、ナガセケムテックス株式会社製のデナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等が挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート604、東都化成株式会社製のYH−434、三菱ガス化学株式会社製のTETRAD−X及びTETRAD−C、住友化学株式会社製のELM−120等が挙げられる。
複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810、UCC社製のERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記脂環式エポキシ樹脂としては、ダイセル化学工業(株)製 エポリードシリーズ、セロキサイドシリーズ等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独でまたは2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
エポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ジシアンジアミド、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも、特に吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂及びクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂が好ましい。これらのエポキシ樹脂硬化剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記フェノール樹脂硬化剤の中で好ましいものとしては、例えば、大日本インキ化学工業株式会社製の商品名:フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH−4150、フェノライトVH4170、明和化成株式会社製の商品名:H−1、ジャパンエポキシレジン株式会社製の商品名:エピキュアMP402FPY、エピキュアYL6065、エピキュアYLH129B65、及び、三井化学株式会社製の商品名:ミレックスXL、ミレックスXLC、ミレックスRN、ミレックスRS、ミレックスVR等が挙げられる。
上記接着剤層を構成する熱硬化性接着剤が熱重合性成分を含む場合、接着剤層には更に硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤としては、特に制限はなく、例えば、イミダゾール類等が挙げられる。具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、接着剤層には、その取り扱い性向上、熱伝導性向上、溶融粘度の調整及びチキソトロピック性付与等を目的として、無機フィラーを添加することもできる。無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウィスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられる。また、フィラーの形状は特に制限されるものではない。これらのフィラーは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、熱伝導性向上の観点からは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカが好ましい。また、溶融粘度の調整やチキソトロピック性の付与の観点からは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカが好ましい。
無機フィラーの添加量は、接着剤層の総量を基準として1〜50質量%が好ましい。添加量が1質量%未満であると添加効果が十分に得られない傾向があり、50質量%を超えると、接着剤層の粘接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題を起こす傾向がある。
また、接着剤層には、異種材料間の界面結合を良くするために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられ、中でも効果が高い点でシラン系カップリング剤が好ましい。
上記カップリング剤の使用量は、その効果や耐熱性及びコストの面から、接着剤層全量を基準として0.01〜10質量%とするのが好ましい。
接着剤層の厚さは、0.1〜150μmであることが好ましく、5〜80μmであることがより好ましい。厚さが0.1μm未満であると、接着剤として十分な接着力が確保できなくなる傾向があり、150μmを超えると、接着シートを半導体製造に用いる場合、半導体装置が肉厚になり、半導体装置の使用用途が制限される傾向がある。
本発明の接着シートの粘着フィルムは、基材フィルムに粘着剤層を設けたものが好ましい。この場合、粘着フィルムにおける接着剤層と接する側の層が上記粘着剤層となっている。
粘着フィルムに使用する基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポイエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
また、粘着剤層が形成される側と反対側のフィルムは、フィルムの伸びが大きく、エキスパンド工程での作業性がよい点で、25℃での引張弾性率が1000MPa以下であることが好ましく、800MPa以下であることがより好ましく、600MPa以下であることが特に好ましい。この引張弾性率は、JIS K7113号に準じて測定されるものである。
粘着フィルムを構成する上記粘着剤層としては、高エネルギー線又は熱によって硬化する(すなわち、上記接着剤層との間の粘着力を制御できる)ものが好ましい。高エネルギー線によって硬化するものがより好ましく、紫外線によって硬化するものが特に好ましい。
高エネルギー線又は熱によって硬化する粘着剤層を構成する粘着剤としては、従来から種々のタイプが知られている。それらの中から、高エネルギー線の照射によって、接着剤層に対する粘着力が低下するものを適宜選んで用いることが好ましい。
上記粘着剤としては、特に制限されないが、例えば、ジオール基を有する化合物、イソシアネート化合物、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ジアミン化合物、尿素メタクリレート化合物、側鎖にエチレン性不飽和基を有する高エネルギー線重合性共重合体等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
粘着フィルムにおいて、粘着剤層の厚さは、0.1〜30μmであることが好ましい。この厚さが0.1μm未満であると、十分な粘着力を確保することが困難となる傾向があり、ダイシング時に半導体チップが飛散する可能性があり、30μmを超えると、経済的でなくなる上に、特性上特に有利な点はない。剥離基材の厚さは、使用時の作業性を損なわない範囲で適宜選択することができるが、10〜500μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましく、30〜50μmであることが特に好ましい。
剥離基材は、接着シートの使用時にキャリアフィルムとしての役割を果たすものであり、かかる剥離基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルム等を使用することができる。また、紙、不織布、金属箔等も使用することができる。
また、剥離基材の接着剤層と接する側の面は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の離型剤で表面処理されていてもよい。
剥離基材の厚さは、使用時の作業性を損なわない範囲で適宜選択することができるが、10〜500μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましく、30〜50μmであることが特に好ましい。
<接着シートの製造方法>
次に本発明の接着シートを製造する方法について説明する。あらかじめプリカット加工によって形成された接着シートをリール状に巻き取り、製品とする際、内径側の接着剤層及び粘着フィルムを取り除き、取り除いた部分を平坦なリード部分として使用する。平坦なリード部分は別途剥離基材を継ぐことによって形成されてもよい。本方式は廃棄フィルムを必要としないためコスト面で有効であるが、作業性の観点から平坦なリード部分は製品部分と厳密に並行に継がれる必要があるため、並行に配置された金属ロール上で継ぎの作業を実施する必要がある。
<接着シートの使用>
上記本発明の接着シートは、下記の工程を含む半導体装置の製造方法に、好適に使用される。
上記剥離基材、上記接着剤層及び上記粘着フィルムからなる接着シートから、上記接着剤層と上記粘着フィルムとからなる積層体を上記剥離基材から剥離し、上記積層体を、上記接着剤層側の面で半導体ウェハに貼り付けて積層体付き半導体ウェハを得る貼り付け工程と、
上記接着シート積層体付き半導体ウェハを、上記接着剤層と上記粘着フィルムとの界面までダイシングし、上記半導体ウェハを所定の大きさの半導体素子に切断するダイシング工程と、
上記積層体に高エネルギー線を照射して、上記粘着フィルムの上記接着剤層に対する粘着力を低下させた後、上記粘着フィルムから上記半導体素子を上記接着剤層とともにピックアップし、接着剤層付き半導体素子を得るピックアップ工程と、
上記接着剤層付き半導体素子における上記半導体素子を、上記接着剤層を介して被着体に接着する接着工程。
上記の半導体装置の製造方法によれば、その製造工程において本発明の接着シートを用いているため、半導体ウェハに接着剤層を貼り付ける際に、空気の巻き込みによるボイド等の発生を十分に抑制することができ、半導体装置を効率的に製造することができる。
更に、上記の半導体装置の製造方法により製造される半導体装置を提供することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(接着剤層形成用ワニスの作製)
まず、エポキシ樹脂としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:YDCN−703、東都化成株式会社製、エポキシ当量:220)60質量部、及び、エポキシ樹脂硬化剤として低吸水性フェノール樹脂(商品名:ミレックスXLC−LL、三井化学株式会社製、フェノールキシレングリコールジメチルエーテル縮合物)40質量部に、シクロヘキサノン1500質量部を加えて撹拌混合し、第1のワニスを調製した。次に、この第1のワニスに、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:NUC A−189、日本ユニカー株式会社製)1.5質量部、及び、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(商品名:NCU A−1160、日本ユニカー株式会社製)3質量部を加え、更に無機物フィラーとしてシリカフィラー(商品名:R972V、日本アエロジル株式会社製)32質量部を加えて撹拌混合した後、ビーズミルにより分散処理を行うことで第2のワニスを調製した。次に、この第2のワニスに、エポキシ基含有アクリル酸エステル共重合体(商品名:HTR−860P−3、帝国化学産業株式会社製、Tg:40℃、重量平均分子量:20万)200質量部、及び、硬化促進剤として1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール(商品名:キュアゾール2PZ−CN、四国化成工業株式会社製)0.5質量部を加えて撹拌混合し、接着剤層形成用ワニスを調整した。
(実施例1)
上記接着剤層形成用ワニスを、剥離基材である膜厚50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名:テイジンピューレックスA31、帝人デュポンフィルム株式会社製)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥を行い、膜厚20μmのBステージ状態の接着剤層を形成した。なお、得られた接着剤層の25℃硬化前の貯蔵弾性率は300MPa、及び260℃硬化後の貯蔵弾性率は4MPaであった。
得られた接着剤層に対して、剥離基材への切り込み深さが10μm以下となるように調節してφ210mmの円形プリカット加工を行った(第1の切断工程)。
その後、接着剤層の不要部分を除去し、粘着フィルム(商品名:FH−DC、古河電気工業(株)製)をその粘着剤層が接着剤層と接するように、室温(25℃)、線圧1kg/cm、速度0.5m/分の条件で貼付けた。そして、粘着フィルムに対して、剥離基材への切り込み深さが10μm以下となるように調節して接着剤層と同心円状にφ290mmの円形プリカット加工を行った(第2の切断工程)。
その後、リールに巻き取る際、リール内径側1.2m部分の接着剤層及び粘着フィルムを取り除きリード部分とした。1リールに300枚当該フィルムを巻き取りこれにより、図1に示す構造を有する接着シートを得た。
(実施例2)
リード部分を剥離基材と同一のフィルムを継ぐことによって形成した。リード長を1.2mとした以外は実施例1と同様にして図2に示す接着シートを得た。
(比較例1)
リール内径側リード部分(1m分)の接着剤層及び粘着シートを取り除かず、巻取りを行った。それ以外は実施例1と同様にして図3に示す接着シートを得た。
(比較例2)
リード部分4.0m分の接着剤層及び粘着シートを取り除かず、比較例1と同様にして接着シートを得た。
(比較例3)
リール内径側リード部分(1m分)の接着剤層を取り除き、端部の粘着シートは取り除かず、巻取りを行った。それ以外は実施例1と同様にして図4に示す接着シートを得た。
(比較例4)
リード部分を4.0mとした以外は比較例3と同様にして接着シートを得た。
[巻き跡の転写抑制性評価試験]
実施例1、2及び比較例1〜4の接着シートを、円形形状の粘着フィルムの数が300枚になるようにてロール状に巻きとった状態で、4週間冷蔵庫内(5℃)で放置した。その後、接着シートロールを室温に戻してからロールを解き、280枚目のフィルムについて目視にて巻き跡の転写の有無を観察し、以下の評価基準に従って、○、△、×の3段階で接着シートの巻き跡の転写抑制性を評価した。その結果を表1に示す。
○:あらゆる角度から観察しても凹み(巻き跡の転写)を確認できない、
△:フィルム上面からは凹み(巻き跡の転写)が確認できないが、フィルムの角度を変え観察することで凹みが確認できる、
×:フィルム上面から観察し、フィルム上に凹み(巻き跡の転写)が確認できる。
また、巻き跡の転写抑制性を評価した後の接着シートにおいて、接着剤層及び粘着フィルムを剥離基材から剥離し、これを接着剤層側から80℃でミラーウェハに貼り付けたときの、ボイドの発生の有無を目視にて評価した。その結果を表1に示す。
○:ボイドの発生はない。
△:問題ないレベルではあるが微小のボイドが発生。
×:フィルム上面から観察し、フィルムとウェハの間にボイドが確認できる。
Figure 0005453894
以上の結果から明らかなように、本発明の接着シート(実施例1、2)によれば、比較例の接着シート(比較例1〜4)と比較して、ロール状に巻き取った場合において、リード長に関係なく接着剤層に巻き跡が転写されることを十分に抑制することができ、それによって、接着剤層を半導体ウェハに貼り付ける際にボイドの発生を十分に抑制することができることが確認された。
本発明により、接着シートをロール状に巻き取った場合において、接着剤層に巻き跡が転写されることを十分に抑制し、被着体に接着剤層を貼り付ける際に空気の巻き込みによるボイドの発生を十分に抑制することが可能な接着シートを提供できる。
1:剥離基材
2:接着剤層
3、3a、3b:粘着フィルム
4:ロール

Claims (5)

  1. 剥離基材と、該剥離基材上の長さ方向に分散配置された接着剤層と、該接着剤層を覆い、且つ、該接着剤層の周囲で前記剥離基材に接するように形成された粘着フィルムと、を有、ロール状に巻かれた接着シートであって、
    前記ロール状に巻かれた接着シートの内径側に、前記接着剤層と前記粘着フィルムとを有さず平坦なリード部分を有する接着シート。
  2. 前記平坦なリード部分が、前記剥離基材を連続して使用することによって形成されているか、又は別途剥離基材を継ぐことによって形成されている請求項記載の接着シート。
  3. 前記接着剤層及び前記粘着フィルムの少なくとも一方が、前記剥離基材を剥離した後に前記接着剤層又は前記粘着フィルムを貼り付けるべき被着体の平面形状に合致する平面形状有している請求項1又は2記載の接着シート。
  4. 前記接着剤層が、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤を含有したものである請求項記載の接着シート。
  5. エネルギー線の照射により、前記接着剤層と前記粘着フィルムとの間の粘着力が低下する請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の接着シート。
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