JP5453089B2 - プラスチックボトルのコールドプラズマ処理及びそれを行うための装置 - Google Patents

プラスチックボトルのコールドプラズマ処理及びそれを行うための装置 Download PDF

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Description

本発明は、ボトル、特に、液体、特に食品又は薬液を収容するボトルをコールドプラズマにより連続的に処理する方法に関する。本発明はまた、この方法を実行するための装置に関する。
本明細書において、「コールドプラズマ」とは、電気的励起により、ガス中の自由電子のみが高い平均エネルギーレベルに上げられ、一方、ガスの分子及び原子は、事実上周囲のエネルギーに対応する平均熱エネルギーを保持しているプラズマを意味する。
プラスチックボトル内の液体の殺菌包装は、食品包装産業の拡大する分野である。それは、保存寿命を長くするため及び/又は微生物に対する安全性を改善するために、役立つ。
一方、病原菌による汚染を生じ易い鉱水に対し、他方、製品(ミルク、スープ、フルーツジュース)の消費を不適当にし易い微生物の再導入を避けるために、超高温(UHT)で殺菌された長寿命製品に対し、上記殺菌包装が考えられている。
更に、これらの製品の幾つかを包装する際に、外部からのガス又は揮発性種の移動を遅らせるために、特に、炭酸飲料におけるCOの損失、酸素の浸入、及び/又は風味の移動を防止するために、ボトルの不透過性を増加させる必要性が存在する。
これらの殺菌及び不透過性化操作は、ボトルの成型から充填に至るボトリングラインにおいて組み合わされねばならない。
このように、ボトリングユニットにおいて連続して次の操作が行われる。
−押し出しブロー成型によるボトルの成型、
−拡散バリアの任意の形成、その時、拡散バリアは、バリアポリマーを含む多層から直接は生じない、
−作製されたボトルの殺菌、
−あらかじめ殺菌された液体の充填、及び
−栓自体の殺菌の後、栓をする。
この産業では、上昇する製造及び切断コストが重大な関心事である。上述の一連の操作は、それぞれについて、専用の機械についての特別の技術から引き出され、製造ラインの幾つかのステーション間の移動を伴う。そのため、技術を調整又は変えることによりそれぞれの工程の期間を減少させるための試み、及びラインのそれぞれのステーション間の移動の回数を減少させる試みがなされている。
通常、現状のボトリングラインでは、過酸化水素、過酢酸、オゾン水等の酸化性の化学殺菌液により、殺菌が行われている。ボトルは、充填前に、浸漬され又は内部へ噴霧され、任意に加熱され、洗浄され、乾燥される。この方法は有効であるが、液体流出物を発生し、この処理のコストがプロセスのコストに追加されてしまう。更に、一般に、水回路の管理は、常に、その部門の企業が除去を望む、偶発的又は不可避的な微生物汚染の危険を被る。
厚紙/アルミニウム/ポリマーの多層から作られたレンガ形パックのような液体食品のための他のタイプの容器の場合、殺菌は、紫外線照射により、特にパスルモードで、可能ならば酸化性殺菌液の適用と組み合わせて行われる。紫外線照射と殺菌液との組み合わせの場合、相乗効果が得られ、殺菌は非常に急速であろう。この方法は、これらのレンガ形パックの内側のアルミニウム面を処理するのに理想的であるが、それにもかかわらず、ボトルに適用するには攻撃的過ぎる。更に、その照射は、方向性があり、明確に限定され、制限された角度で発する。そのため、不活性化されるべき病原菌に到達する前に、処理される容器の幾何学的形状により、紫外線照射はシャドウ効果を受ける。そのため、この方法は、ボトルの幾何学的形状に対し適切ではない。
減圧下で所定のガス中に維持された電気放電プラズマが、微生物に対し不活性化効果を有することは知られている。食品容器に対し、プラズマ殺菌が考慮されてきた。このように、文献EP−1068032は、現場励起の酸素マイクロ波プラズマにより、ボトルの内壁の微生物の汚染を減少させる可能性(詳細は記載されていないが)を示唆している。しかし、その有効性は、第2の工程において液体ステージとの組合せなしに行うことは不十分であることが示されている。プラズマ作用のメカニズムについては記載されていない。
ボトルの不透過性化について、様々な解決法が提案されている。
本発明において、かつ本発明によると、「不透過性化」なる語と、「拡散バリア層の堆積」なる語とは、ボトルの表面に、ボトルの外部から内部への、かつボトルの内部から外部へのガス分子の拡散を制限する層を堆積する操作を示すために、等しく用いられる。
多層共押し出し成型による解決法は、膜の剥離の危険があり、またコストが高い。どの場合でも、ポリマーバリアは液体との接触を維持し、それと相互反応を生じ、化学物質の移動を生ずる。
他の解決法は、プラズマにより励起された化学物質蒸気との反応により、ボトルの表面にバリア物質層を生成すること(いわゆるプラズマエンハンスト化学的蒸着法(化学的気相堆積法)又はPECVDと呼ばれる方法)である。
第1に、連続の、任意にはパスル状の、又は恐らくマイクロ波まで広げられた波長範囲で変化する電磁励起エネルギーが、そこにプラズマ状態を維持するためにガス中に吸収される。
より正確には、電場は、プラズマ中に存在する自由電子を強く加速する。電場中におけるそれらの非常に急速な運動中に、ガス分子との非常に頻繁な弾性衝突を常に生ずる。
このように、それらは、ガス粒子の通常の熱的攪拌と類似の統計的運動エネルギー分布を有するが、しかし、電気的励起によるものである。このメカニズムにより電子により獲得された平均運動エネルギーは、非常に高い。それは、(平均エネルギーをkT(kはボルツマン定数、Tは絶対温度)とみなすことにより)約数万ケルビンの電子の温度に等しいであろう。
しかし、初期のガスの分子及び原子は、電場から直接エネルギーを受けず、そのため、自然の熱的攪拌の統計的運動を保存する。もしガスが最初に冷たければ、プラズマ状態に入るように励起された時ですら、その状態を維持する。そのため、これは、「コールドプラズマ」と呼ばれる。ガス媒体のこの特別な状態は、一般に減圧下で引き起こされる。圧力が大気圧に近すぎる場合には、重いガス粒子、原子及び分子と電子との弾性衝突は、これら粒子自体がその弾性衝突により究極的に高エネルギーを受け取り、温度がかなり上昇するほど頻繁になる。そのとき、プラズマは、PECVDにとって有利な状態からはずれる。
コールドプラズマでは、多くの電子が、励起、イオン化、又は解離の効果をもって、ガス分子との非弾性衝突を生ずるに十分なエネルギーを有している。
イオン化は、電子−イオン対を形成するための、原子又は分子からの電子の離脱に相当する。この新しい荷電粒子の連続的生成は、容積内又は壁面における再結合によるそのような粒子の損失を補償し、定常状態においてプラズマを維持するのに役立つ。
初期のガス粒子の解離は、これらのガス種を固体表面と又は気相中で相互との反応性を非常に高くする、反応し易い、開いた化学結合を含む、より小さい断片部分、原子、及びラジカルを生成する。特に、ガス中に最初に導入された化学分子から形成されたラジカルは、基体表面と反応し、薄層が基体表面上に次第に成長する固体物質の格子中のそれらの成分原子のすべて又は一部を組み込むに至る。表面とのラジカルの反応性は、非常に高いので、この組み込み及び成長プロセスは、反応を活性化するために周囲温度以上に表面の温度を上昇させることを必要としない。電子の非弾性衝突により与えられたガス種の励起は、基本的レベルより高い、電子的又は振動的に定量化されたそれらのエネルギーレベルの1つに上昇するこれらの種に等しい。これらのエネルギーの大きさのオーダーは、数エレクトロンボルトである。そのため、ガスの仮定の加熱によるそのようなレベルを得るためには、このガスの温度は、数万ケルビン又はそれ以上であろう。コールドプラズマでは、重い粒子の全数のわずかな部分のみが、そのようなエネルギーレベルに上昇され、他の部分は、周囲の温度に対応する基本的状態に近いままである。
このことは、非熱的励起と呼ばれている。プラズマの所定の分子、原子、ラジカル、又はイオンにより担われたエネルギーは、前記種がそれに到達するとき、基体表面のレベルにおいて開放され得る。その主要な利点は、固体膜の物質中に組み込まれる間、原子の移動及び再配置を助けることであろう。このことは、良好な結合性及び原子格子中の最小の空格子点を有し、粒状又は柱状微構造のない、高品位の物質を堆積することを可能にし、このことは、基体を、質を改良するがポリマー基体には適用できない周囲温度、例えば200〜400℃よりも明らかに高い温度に必ずしも加熱する必要なく、生ずる。
コールドプラズマと接触する基体の表面に運ばれ得る非熱エネルギーの他の形は、それ自体公知の態様で、プラズマと基体との間の慎重に付与された電位差により加速されたイオンの衝撃から派生するものである。
液状食品のためのポリマーモデル上にバリア膜を堆積するPECVDプロセスは、適当な質の物質に加え、その技術がこの産業上経済的に実行可能であるように、高い堆積速度を補償するのに役立つ。数10〜100nmの厚さを有する層を堆積するためには、約100〜1000nm/分の堆積速度が一般に適切である。
高堆積速度は、効果的に凝縮し、基体の固体表面と反応し、かつバリア層の形成に関与し得る、高濃度の前駆体ラジカルの生成を意味する。この目的に対し、必要なエネルギーを有する充分な数の電子が、前駆体ラジカルの生成に到る非弾性衝突に利用可能とするように、プラズマの電子密度が高いことが特に必要である。
層物質の質を同時に維持するためには、励起された種による非熱エネルギーの入力が、表面に凝縮して固体膜を形成する原子の平均フラックスに比例しなければならないことは明らかである。事実、単位時間当たりの取り込まれた原子の数が多ければ多いほど、密度は高くなり、また規則的な原子格子を形成することにより再配列するに必要な非熱エネルギーフラックスが高くなる。
良好な質を得るために成長する膜の表面への堆積に必要な最小の非熱エネルギーフラックスは、考慮される物質及び気相の化学物質に依存する。更に、このフラックスは、処理されたガスの圧力にも関連する。この圧力が高ければ高いほど、基体表面に個別的に位置する前に気相中で早期に反応しがちとなる。均一な気相中のラジカル間の反応は、大きなサイズの結合原子クラスターの形成を生ずる。そのような原子クラスターが表面と反応すると、マトリクス又は隣接するクラスターとの結合を確立することにより、それは取り込まれ、一方、以前より存在する原子配列を維持する。このことは、薄膜を構成する物質の格子中のそれぞれの原子の最適な個別的配列に対応するものよりも、均一性及び密度の少ない構造を生ずる。このことを避けるために、成分原子が最適な格子配列に入り得るように、加えられた非熱エネルギーは、表面に到達するクラスターを解離するために利用されねばならない。
実際には、上述したPECVDプロセス(又はより一般的にはコールドプラズマ表面処理プロセス、特に殺菌処理)の様々な工程は、メカニズムの空間的分布を制御することによって実行されねばならない。これは、処理される対象は、一般に無視し得ないサイズを有し、処理の結果は問題の基体表面において均一でなければならないからである。処理の効果は、所定の位置において悪化してはならず、それ以外の場所で、基体への潜在的ダメージがあったり、不十分又は存在しなかったりしてはならない。例えば、堆積された薄膜の厚さは、被覆される部分の表面の2点間で数%を越えて変化してはならず、物質の質はどこでも実質的に同一である。
事実、例えばPECVDプロセスに含まれる活性種、堆積するラジカル、及び非熱的励起を担う粒子は、遷移状態に対応し、その寿命は短い。より正確には、その生成及び解離及び/又は再結合(その後、それらがその方法にとって有利な特性を失う)の間の気相中の平均行程は、ボトルの特徴的寸法と同一のオーダーである。電子の非弾性衝突を伴う、活性種が生成されるプラズマゾーンは、そのため、広げられなければならず、ボトル表面の形状とかなりマッチするものでなければならない。更に、プラズマを維持し、電子の非弾性衝突を促進し、活性種を生成するための電磁パワーの吸収は、このように分布したプラズマゾーン内で比較的均一でなければならない。このようにして、プラズマ処理は、充分に急速であり、完全である。
しかし、電磁パワーを供給し、処理される対象の近傍に分布する空間の任意の領域にプラズマを維持するために実質的に均一に吸収させることは、複雑な技術的問題である。これは、パワーの移動が電磁気学の法則により支配され、定義により高度な吸収体である媒体中にあるからである。特に、進行波を伝播しようとすると、その進行方向に沿って吸収により急速に減衰し、そのため生成したプラズマは不均一となる。
均一な処理を得るためにプラズマの分布を制御することは十分ではない。生成した活性種は、それらすべてについて類似の行程(その長さ及びクロスした環境の意味において)に沿って、有効に移動可能でなければならない。この移動は、処理装置内のガス流の拡散及び動力学的条件によって支配される。例えば、ラジカルの欠乏により、基体表面の近傍に不均一な境界層が形成され得る。事実、これらのラジカルの抵抗率は非常に高いので、その表面における消費は、気相中の移動よりも非常に速い。気相中の移動による堆積速度の制限は、一般的な工業的PECVDプロセスの場合にそうであるように、消費された化学的前駆体の蒸気を連続的に補充するためにガス流が維持される時に、ガス流の動力学によって与えられる不均一な分布を導く。
これらすべての問題は、扱いにくい形状を有し、高度の幾何学的対称性及び実質的な広がり(2リットルまでの容量)を有する対象物である飲料用ボトルの場合に、悪化する。一方、通常の工業用の場合には、PECVDは、円形又は矩形の平らな基体に対し適用される。このことは、プラズマ生成装置及び堆積反応装置についてのエンジニアリングの高度に複雑な問題の解決を必要とする。
それにもかかわらず、幾人かの研究者(例えば、文献US−6627163、US−5904866、US2005/001909参照)は、これらの点について行き詰っている。
PECVDによるプラスチックボトルへのバリアの形成のために今日実際に利用可能な技術的解決法は、上述の困難と闘うために、特別の技術的方策を組合せることを強いられている。
このように、SIDEL(“ACTIS”という名で知られているコマーシャルプロセス)は、マイクロ波プラズマ励起を用いるものである。マイクロ波の分布及び分布された吸収の問題は、いわば2.45GHzの周波数で供給された共鳴キャビティ内にボトル全体を置くことにより回避された。ボトルは、少し大きい径を有する誘電体チャンバー内に置かれる。なお、誘電体チャンバー自体は、共鳴キャビティの導電性構造内に置かれる。堆積方法は、ボトル内が約0.1mバールの真空を必要とし、このことは、充分なサイズのポンプ設備を必要とする。ボトルの収縮及び破壊を防ぐため、かつ外部における第2のプラズマの不所望な発生を防止するため、より低い真空度であるが、ボトルを囲むチャンバーもまたポンプにより引かれる。
更に、堆積は、静的条件で行われる。即ち、化学的前駆体を含むガス混合物が、外部から分離されているボトル内に所定の圧力の下に導入される。次いで、化学的前駆体を解離するため、及びバリア層を堆積するために、プラズマが形成される。前駆体の表面における消費により、気相と表面との間に活性種の濃度勾配が形成される。しかし、静的条件では、この勾配は、表面のどの点でも同一である。更に、この層は非常に薄いので、堆積工程は短く、化学的前駆体は一般に高い比率で消費されず、気相中の平均濃度は、ボトルの内側において、堆積時間中、急激な減少を示さない。
それにもかかわらず、共鳴キャビティ励起モードは、所定の欠点を有している。
共鳴キャビティでは、一連の孤立した電磁場分布モードのみが存在し、それはキャビティの形状に特有のモードであり、そのため一度すべてについて固定されている。キャビティのこれらの固有モードのそれぞれは、キャビティ内のマイクロ波場強度の所定の分布に対応し、そのため、このマイクロ波場のエネルギーの吸収により維持されるプラズマの分布に対応する。本発明者らは、所定のサイズを有するキャビティ内において、マイクロ波場強度分布が、600mlの容量を有するボトルが収容された領域内において軸方向に大きくは変化しない、固有モードが維持され得ることを見出した。一方、より大きいキャビティサイズでは、より大きい容量のボトルを処理するために、マイクロ波場強度が軸方向に均一であるようなモードは存在しない。特に、1.0〜2.0リットルの容量を有する市販ボトルは、この技術では処理出来ない。
共鳴キャビティによる励起に固有でもある、“SIDEL ACTIS” マイクロ波プラズマ装置の他の欠点は、堆積物の質を向上させるようにボトルの内面に制御された非熱エネルギーの堆積により与えられたわずかな可能性である。事実、マイクロ波場は、ボトルの表面近傍では、顕著な最大強度を有していない。その結果、電子の非弾性衝突の効果の下での高い内部非熱エネルギー種の生成は、このゾーンでは特に促進されない。
この装置では、プラズマイオンによるボトルの内面への攻撃を拡大及び制御することは可能ではない。ボトルは誘電体材料から作られており、分配可能でかつ調整可能な形でそれを負に帯電する明白な手段はない。例えば、ボトルを囲む導電性電極によりこの表面に均一にラジオ周波数のバイアスを加えることは可能ではない。なぜなら、この場合、マイクロ波はもはや、その中のプラズマを維持するために、ボトルの壁を通過しないからである。
他の解決法は、或る研究者により提案されているように、電子銃により生成された速度の速い電子を表面に向かって導入することであるが、この解決法は、簡単でも安価でもなく、ボトルの内部での実行可能性は、仮想のままである。
ボトル表面における非熱エネルギー入力のこの不十分性は、この技術により堆積され得る許容し得る質のバリア材質の選択を制限する。事実、これらの条件の下でさえ、十分な質の材料を提供し得ることが知られている堆積物前駆体化学物質に制限されねばならない。これは、アセチレンモノマーからの水素化アモルファスカーボンの堆積についての場合である。この場合は、飲料水用の容器のような所定の用途への適用に適さない、顕著な黄色という欠点がある。やはり顕著な有機物特性を有するオルガノシリケート前駆体層から堆積することも可能である。一方、バリアコーティングの機能を最適化するために有用なSiOxNyCzHt型の無機シリコン合金の層を堆積するために役立つ、この概念に基づく実用的方法はない。
他の解決法が、その“プラスマックス(Plasmax)”プロセスにより、SIGコーポプラスト(Corpoplast)によって提案されている。このプロセスでは、ボトル面に接触及び近接してプラズマを生成するためにマイクロ波を適用する装置は、ボトルの周囲を比較的近接して囲む導電性チャンバーからなり、その内側では、導波管を介して出力が供給されたアンテナにより、マイクロ波が注入されている。この構造は、共鳴キャビティではなく、その形状を有していない。それは、部分的には伝播性であり、部分的には静止性であり、電磁的な見地からむしろハイブリッド構造である。マイクロ波場は、一方において定常波の強度ノード及びアンチノードにより、他方において吸収媒体中の伝播の特性による強度の急速な平均の軸方向の減少により、その構造の寸法において広い不均質性を有することが予想され得る。
このことにもかかわらず、ボトルの全内面に比較的均質な堆積物を生成することに成功するためには、操作条件は、堆積速度がプラズマの強度により制限されないようなものである。より正確には、注入されたマイクロ波出力は、前駆体分子の解離による堆積ラジカルを生成するプロセスが、その出力に関しその飽和点に達するよう十分に高いものであるように選択される。このように、堆積速度は、マイクロ波場強度によってではなく前駆体濃度によってすべての地点で負わされる。
しかし、これらの条件は、マイクロ波場及びプラズマの故意に高い強度の故に、ボトル材料が急激に重大な損傷を受けるために、連続して使用することが出来ない。これを避けるために、パルス状マイクロ波の出力源が使用される。パルス期間及び反復速度は、最終的に熱に変換されることにより、加えられた過剰のエネルギーが2つのパルス間で除去されるように調整される。
パルス出力源はまた、それ自体の形で、堆積の均一性を改善するのに役立つ。その理由は、堆積パルス中の活性ラジカルが欠乏する、ボトル表面の近傍の気相が、2つの連続パルス間で再濃縮されるからである。
一方、加えたれた非熱エネルギーの制御は、この装置構成ではかなり不完全である。事実、これらの条件の下で堆積ラジカルの流れが比較的均一であるならば、同様のことを非熱エネルギーについて言うことが出来ず、これはプラズマのマイクロ波場の空間的変化を伴う。この方法の発展では、受け入れ難い損傷が、最も低いエネルギーフラックスを受けるボトル面の部分に生ずることのないように、パルスの形態が制御される。このことは、最も低いエネルギーにさらされる部分が、ラジカルフラックスと励起された非熱的種との間の妥協、即ち、堆積速度/層品質のための最適な条件の下にあることを保証しない。このように、堆積速度を減少させるために、前駆体濃度を現象させることが必要となろう。この制限は、この技術の潜在的ユーザーが処理速度の実質的な増加、即ち、典型的には10,000〜50,000ボトル/時間の増加を要求するので、望ましくない。
文献WO2006010509(KRONES)には、そのような組み合わされた処理について述べられているが、その実施についての詳細は提供されていない。
このように、最近の解決法の不十分性を減少又は除去しつつ、不透過層を堆積する方法、及び/または殺菌方法に対する現実の要求が存在する。この方法は、通常のボトリング方法において組み合わされ、何ら水性流出物を発生せず、殺菌剤を使用せず、限られた数の移動工程を備えるものである。
本発明は、従来のものとは異なる装置により維持されたコールドプラズマを用いて達成された不透過性化により、また非殺菌性ガスを用いたコールドプラズマにより独占的に実施されるその殺菌により、この要求を満たすのに役立つ。なお、この2つの工程は、単一の装置において実施可能である。この装置は、今日、工業的に要求される生産速度に匹敵し得る短時間で、殺菌とバリア層の堆積とを実行するのに役立つものでなければならない。
本発明では、「非殺菌性ガス」とは、通常の条件の下で、即ちプラズマが存在しない条件下で、殺菌活性を有していないガスを言う。
このように、本発明は、非殺菌性ガスによるコールドプラズマ殺菌のための操作、及び/又は拡散バリア層のプラズマエンハンスト化学的蒸着のための操作を含む、ボトルを処理するための方法に関する。この方法は、高密度プラズマが、一方においてボトルの内面に堆積するラジカルの、高い、かつ空間的に比較的均一なフラックスを発生し放出すること、及び、他方において、イオンによる攻撃、又は分子、原子、ラジカル若しくはイオンの内部励起の形で、高レベルの非熱エネルギーまで調整可能なフラックスを、前記表面において比較的均一に、提供することに役立つことを特徴とする。
好ましくは、プラズマの電子密度は、10〜1012cm−3、特に1010〜1011cm−3である。
非熱エネルギーは、その種において、また基本的レベルの上の定量化された電子及び振動エネルギーの励起により、固有であり、或いは、その表面を攻撃する、慎重に加えられた電場により加速されたイオンの動力学的衝撃により発生する。
発生したプラズマは、ボトルの全内面又はその直近において、高い、比較的均一な電子密度を有している。プラズマ中では、電子の非弾性衝突の効果の下で、すべての活性種の生成速度が、電子密度とともに増加する。このことは、PECVD堆積の前駆体ラジカルの場合だけでなく、プラズマ殺菌プロセスに含まれる、励起されたUVを発する種及び酸か又は還元ラジカルの場合もまたそうである。更に、非熱エネルギーの印加は、たとえば、バクテリアやウイルスの有機物質の化学的又は物理的侵食を助けることにより、微生物の不活性化のプロセスを促進する。
ボトルの内面に堆積及び殺菌種の高い、空間的に均一なフラックスを提供する、及び同じ面に非熱エネルギーの高い、空間的に均一な値まで、空間的に制御可能なフラックスを提供する本発明のプラズマ装置は、殺菌時間及び拡散バリアの堆積時間を減少するのに役立つ。
本発明によると、マイクロ波発生器によりマイクロ波が供給された表面波場アプリケーターにより、又はボトルに適合され、パルスDC電圧及び/又はラジオ波電圧が供給された中空カソードシステムにより、コールドプラズマが発生する。ボトルの内面への非熱エネルギーの印加は、導入されるマイクロ波出力を変化させることにより、又はプラズマに関し、ボトルからなる誘電体基体の自己バイアスDC電圧を調整することにより、所望のレベルに制御される。
本発明のコールドプラズマ発生装置を示す図である。 本発明のコールドプラズマ発生装置のための中空カソードを示す図である。
第1の実施形態によると、表面波放射装置とも呼ばれる表面波場アプリケーターにより伝達されたマイクロ波により、プラズマが発生する。
このアプリケーターは、ボトルからなる誘電体チャンバーにより局部的に横切られた導電性構造の形をしており、そこにプラズマを維持するために、それに沿って表面波が放出される。
そのような表面波放射装置は公知である。その概念の詳細な記述は、著作Microwave Excited Plasmas, Eds. M. Moisan and J. Pelletier, Elsssssevier, Amsterdam, 1992の第5章において、M. Moisan and Z. Zakrzewskiによりなされている。本発明に用いられる例では、共軸ラインから出力を供給されるロボックス(ro-box)及びサーファトロン(surfatron)について記載されており、中空矩形導波路により出力を供給されるサアーファガイド(surfaguide)及びサーファトロン−ガイド(surfatron-guide)について記載されている。
表面波放射装置の選択は、望まれる特性のタイプに依存する。このように、導波路によるマイクロ波の供給は、高出力を放出するのに役立つが、共軸ラインは、柔軟性又は半剛性ケーブルの形を有し、それは高生産速度のためそれぞれの処理サイクルにおいてボトルへの装置の設置を促進させるである。
表面波によりプラズマを励起する方法の1つの基本的な特徴は、それがプラズマ自体によりサポートされていることである。表面波の伝播は、この導電性の破壊により、導電性プラズマとボトルからなる誘電体の表面との間の界面において導かれる。この波は、この界面、即ち、まさにボトルの表面においてその最大強度を有する。このように、最大エネルギー密度がこのレベルにおいて(ここでは内側)プラズマ内に与えられ、これは、堆積するフリーラジカル種の生成速度、及び内部の非熱エネルギーキャリア種の生成速度、並びにこれらの種の平均エネルギーは、ボトルの壁において最大であり、そこではこれらの種は高い堆積速度と良好な層の質を保証することを必要とされる。
表面波放射装置から、波は、ボトルの対称軸に平行な誘電体壁に沿って伝播し、プラズマを維持するために吸収されるその出力を止めるに従って、徐々に減衰する。
波は、もはやプラズマが存在し、伝播をサポートし続けるに十分な出力がない地点に延びる。マイクロ波出力が増加すると、波は長距離にわたって伝播し、プラズマを維持し、そのときプラズマは更にますます延び、それによって表面波場アプリケーターの構造を何らかの形で変えることなく、処理ゾーンのスケールを調整するのに役立つ。
表面波場アプリケーターは、一般に、対称的に動作し、即ち、2つの実質的に等しい波が両側から反対の方向に発射され得る。それぞれの波の強度及びその結果であるプラズマの密度は、表面波の連続した伝播による出力の吸収のため、アプリケーターから出るに従って次第に(実際にほとんどリニアに)減少する。
このように、特定の実施形態によると、表面波場アプリケーターは、ボトルの中間ゾーンに置かれ、そこから反対方向の波がネック部と底部に向かってそれぞれ伝播する。ボトルのネック部が細いため、底部に向かうよりもネック部に向かう方が、その伝播中、波は非常にゆっくり減衰する(維持されるプラズマの容積が小さく、そのため使用される出力が低い)。従って、アプリケーターは、ネック部よりも底部により近く位置させることが出来る。波が示す形は、ボトル底部の曲面とマッチするときに実証され、特に、出力及び/又はアプリケーターから底部までの距離は、均一性及びプロセスの制御に有害である過度に顕著な妨害が構成されないように、調整されねばならない。これらの調整は、当業者にとって、最適な操作を構成する。
個別のアプリケーターのいずれかの側のプラズマ密度のリニアな減少を補償するために、かつプラズマ密度、堆積速度、及び比較的一定である非熱エネルギーの軸方向の分布を生成するために、1つ以上の表面波場アプリケーターを配置することも可能である。この目的のためには、2つの連続したアプリケーターにより放出された反対波の干渉による定常波の形成を防止することが重要である。このことは、例えば、異なるジェネレーターによりアプリケーターのそれぞれに供給することにより得られ得る。異なるジェネレーターにより発した2つの波の位相は、波の振幅ではなく、波の強度が加えられるように、関連を持たない。
ボトルの内面に向う非熱エネルギーフラックスは、入力するマイクロ波出力に依存する。しかし、この表面に向う堆積ラジカルのフラックスもまた、プラズマの電子密度を介して依存し、そのため、2つの量は、独立して調整可能ではない。事実、PECVD堆積の実際のケースは、初期の化学的前駆体蒸気が高い割合で用いられるパラメーター領域に対応する。このように、出力には比較的独立である、ボトル(又はその分圧)に導入された前駆体の濃度を変化させることにより、表面に向う堆積ラジカルのフラックスを調整することも可能である。
表面波場アプリケーターの原理は、本発明の条件の下でプラズマを維持するために他のものよりも好ましい。なぜなら、この場合、ボトル壁に沿ってマイクロ波の伝播を導く媒体を構成するのは、プラズマ自体であるからである。そのため、マイクロ波出力を適用する局部的構造に対する要求はない。しかし、プラズマを維持するためにボトル表面の近傍にマイクロ波を分布させるように、マイクロ波の伝播をサポートする、場所が限定されていない導電性構造を用いることが、全く考えられる。例えば、ボトルの形状に対し調整されたマイクロストリップラインを用いることが出来る。これらのラインは、プラズマ処理工程を行うために、ボトルに対し移動可能に適合する柔軟性を有するモバイル構造に、有利に組み込むことが出来る。
本発明の方法の第2の実施形態によると、マイクロ波による励起の場合のように、固体の堆積の前駆体ラジカルのような活性種を生成するために非常に有効である、高い電子密度でプラズマを維持するのに役立つ、中空カソードプラズマ装置により、プラズマが発生する。
中空カソードの原理は、表面波の原理とは完全に異なる。DCとラジオ波電圧との中間の周波数において、ジェネレーター(ダイオード構造)の極に連結された2つの導電性電極の間で一般に励起される。これらの周波数では、ガス分子上に既に存在する荷電粒子の非弾性衝突により、電子−イオン対の連続生成速度は、マイクロ波の場合よりも非常に低い(AC電圧の場合、プラズマ密度は周波数の平方根にほぼ伴って増加する)。
ダイオード構造では、その損失を遅らせることにより寿命を増加させ得る荷電種の閉じ込めはない。特に、それらが容積中の非弾性衝突により生成された電子であるか、或いは活発なイオンによるカソードへの攻撃を伴う「ガンマレジーム」において発生するものであるかどうかによらず、アノードは、再結合し、その表面から消失する電子を集める。
「中空カソード」と呼ばれる装置は、活発な電子をプラズマ中に長時間保持するのに役立ち、またイオン化効率及び荷電種の平均密度を増加させるのに役立つ。この原理は、そこを通して場のラインが外部アノードに戻る1つ又はそれ以上の小さい開口部を除いて、カソードが、プラズマを特にすべての方向において囲む導電性壁を有するキャビティを決定する形状に基づく。
電子の平均自由行程が中空カソードの径よりもかなり短くなるように、条件を調整することにより、更に有利な効果を得ることが出来よう。カソードにより追い出された電子は、プラズマの中心に達し、最初に中性分子と非弾性衝突を引き起こし、それによって新しい電子−イオン対を生成する高い可能性を有している。そのプロセスは、更に電荷密度を増加させる。この電荷密度は、典型的には、マイクロ波システムで得られ得るものに匹敵するダイオードシステムに関し、一桁高い。
平均自由行程は、主としてガス圧の関数であり、そのため、このガス圧は、中空カソードの径に従って、適切に選択されねばならない。
特に有利な実施形態によると、中空カソードは、その内側に置かれるボトルの形状に対し調整され、プラズマは、パルス状の負のDCバイアス、又はラジオ波バイアス、又はその組合せを印加することにより永久に保持される。
これに対し、ボトルは誘電材料からつくられているので、永久のDC負バイアスを用いることは出来ない。事実、このケースでは、プラズマの正のイオンを集める内側表面は、次第に増加する正の電荷を獲得する。この電荷により生成された電場は、電子を加速する外部励起場に対抗し、最終的にプラズマを消滅させる。
中空カソードの径は、この装置構成では、ボトルの径に対応する。ボトルの径は約50〜100mmである。この範囲内に平均自由行程を得るため、及び中空カソード効果の最大の利点を得るためには、プラズマの保持圧力は、約0.1トル以下でなければならない。
有利なことに、押し出しモールドの複製又は押し出しモールドそれ自体が、中空カソードを製造するために用いることが出来る。
外部アノードを、中間の電気的絶縁を用いて、ガスの供給及びポンプ輸送に役立つライン上で、ボトルネックの延長部におくことが出来る。ボトルと中空カソードとの間の空間におけるプラズマの着火を防止するために、またボトルの変形及び破壊を防止するために、中空カソードとボトルとの間の空間よりも、より低い真空がボトル内に確立される。
カソードと型のインプリント(imprint)との間の空間が非常に狭いとき、この空間は、上述した問題を生ずることなく、大気圧下に維持されてもよい。
中空カソードに、振幅、パルス間隔、及び調整可能な反復レートを有するパルスDC電圧を供給することが出来る。これらのパラメーターの選択は、所定の独立性をもって、プラズマの密度、及び表面バイアス電位の平均値、そのためボトルの内壁へのイオンの攻撃をコントロールするのに役立つ。この場合、それは、ボトルの内面への非熱エネルギーの入力を示すイオンによる攻撃である。パルス出力源の調整は、(それぞれのサイクル間の補充を許容することによる)気相の前駆体の欠乏の効果を減衰させることにより、堆積の均一性を改良するためには、ここでは有利ではない。事実、ボトルは、非常に狭い寸法の内部空間を示さず、この欠乏効果は、この操作が、一般にボトル内のPECVDについての場合である定常条件下で行われるならば、重要ではないであろう。
或いは、若しくはそれに加えて、カソードは、ラジオ波電圧の印加によりバイアスがかけられてもよい。この場合、通常のダイオード電極システムと同様に、自己バイアス効果が存在する。一般に、電子はイオンよりもプラズマ中で可動であるので、正への交番中に、中空カソードと接するボトルの壁により集められた負の電荷は、負への交番中に、中空カソードと接するボトルの壁により集められた正の電荷よりも、絶対値において高い。そのとき、誘電体は、ボトルの内面へのイオンによる連続的攻撃を引き起こす、負の永久電荷及び同じ符号のDC電位を獲得する。ラジオ波の励起パラメーターを調整することにより振幅が調整可能である、この自己バイアスにより、他のパラメーター、特に堆積速度、ボトルの内面に達する加速イオンの運動エネルギー、即ち、前記表面に堆積した非熱エネルギーに関し、より大きな独立性をもって、調整することが可能である。ラジオ波の励起の場合には、この装置は、中空カソードの周囲の炎の空気による、又は2つの導電体間の固体誘電体によりラジオ波のシールドを含む。
本発明によると、殺菌及び拡散バリアの堆積は、好ましくは同じプラズマ発生装置内で行われる。明らかに、所望の工程によると、プラズマ発生条件及び採用されるガスは異なっている。
このように、殺菌に使用されるプラズマは、N、O、NO、H、HO(水蒸気)、Ar、He、Kr、Xe、又はその混合物からなる群から選ばれたガスを含む。
/O混合物を用いるのが有利である。N/O混合物は、医療用殺菌に用いる場合よりも酸素がリッチな混合物であるのが好ましく、例えば、95/5〜80/20のN/Oモル比である。
このように、ボトルは約0.1〜10ミリバールの真空下に置かれ、殺菌水溶液を用いる通常の殺菌方法と同様の短い時間で、殺菌が行われる。殺菌工程の期間は、5〜0.05秒、好ましくは2〜0.1秒、より好ましくは1〜0.5秒である。
当業者は、プラズマ強度が、ポリマーの構造を劣化させること、食品用に適合しない化学種の劣化、又はポリマーの過熱なしに殺菌するに充分であるように、プラズマ条件を調整することが出来る。
これらのプラズマによる微生物の不活性化のメカニズムは、明確に説明されており、それに含まれる活性種は同定されている。細菌は、3つの型のメカニズムにより殺される。即ち、所定のエネルギーレベルの分子、イオン、及びラジカルの逆励起により発した紫外線放射であり、周辺の有機層を越えて拡散した後、遺伝子物質に到達する酸化性又は還元性ラジカルであり、内部電子又は振動エネルギーレベルのイオンによる攻撃又は逆励起による原子の散乱から生ずる微生物物質の物理的又は化学的侵食、又は酸化性又は還元性ラジカルによる有機物質の化学的攻撃である。この化学的攻撃はまた、非熱エネルギーの入力により促進される。
ここに記載した方法によるプラズマ殺菌は、何ら化学原料を用いることなく、電磁的励起であるためプラズマ内で殺菌特性のみを獲得するガスを用い、完全にドライプロセスであるだけでなく、本質的にクリーンなプロセスである。事実、細菌の不活性化の原因である活性種、還元性及び酸化性ラジカル、及び様々な他の励起種は、一時的に存在し、ガスがプラズマゾーンを去ると急速に消失し、逆励起及び/または再結合されて、O及びNのような初期のガス、プラス恐らく低比率の窒素酸化物の種を再形成する。窒素酸化物は、安価な装置、例えば反応吸着システムで容易に除去される。消費される吸着剤のサービスライフは、処理される汚染物質が低濃度であるため、長い。
殺菌工程は、主として不活性化の原因と認められる種の指標となる物理的パラメーターを獲得することにより現場制御の対象である。例えば、光学検出器は、同定された酸化性若しくは還元性ラジカル、又は所定のスペクトル帯におけるUV強度レベルの特徴的信号を追跡することが出来る。
拡散バリアの堆積工程については、プラズマ中のガスとして様々な前駆体モノマーが使用される。特に、炭化水素のような炭素ベクトル、又は考慮される堆積のタイプに従ってシリコン化合物さえも使用される。
事実、拡散バリア層は、適切な組成物、特に、化学量論的又は非化学量論的酸化物、窒化物、酸窒化物のようなアモルファスシリコン合金、又はその様々な形において水素化されたアモルファスカーボンのような固体炭素化合物を含んでいても良い。バリア層は、その厚さにより、多層構造又は特性の勾配を有していてもよい。例えば、密着性及び熱化学的強度を促進させるために、界面の近傍に更にポリマー性の有機層を堆積することが出来る。また、外表面に、より緻密な、より硬い、無機層を堆積することが出来る。アルゴン、窒素、酸素等に基づく任意のタイプのプラズマ前処理により、良好な密着性のため堆積前に、基体を準備してもよい。
堆積ラジカルのフラックスに比例する形での、非熱エネルギーフラックスの本発明による調整は、様々な前駆体化学物質に対応する広い組成範囲について、高い堆積速度を保存しつつ、バリアを構成する許容し得る質の物質を得るのに役立つ。特に、その用途の範囲を限定する残留色を有しない物質を選択することが出来る。
非熱エネルギーの制御された入力は、より大きな気相核形成の傾向にもかかわらず高い堆積品質を維持しつつ、例えば約10ミリバールの低い真空の下で堆積方法を実施するために利用され得る。このことは、表面波マイクロ波システムの場合に正当である。カソードシステム全体について、圧力の増加は、プラズマ密度を最適な条件のままとし、処理速度に対して非常に不利である。
特別の実施形態によると、本発明の方法は、第1の殺菌工程、次いで第2の拡散バリア堆積工程、そして任意の第3の殺菌「仕上げ」工程を含む。
この実施形態は、殺菌が、非常に急速な殺菌を可能とする「ハード」プラズマ内で実施される時に、特に有利である。このように、たとえこれらの条件が表面構造の多少の変更に導いたとしても、その無機バリアでコートされた後のポリマー物質は、食品との両立性を回復すべきである。更に、堆積プラズマは、それ自体、酸化性前駆体ガスを必要とするSiOx材料の場合に特に、殺菌種を含んでもよく、PECVD堆積は、主としてバクテリア的に「クリーン」法である。
たとえ時間的に不利であると言う事実により好ましくないとしても、追加の殺菌[仕上げ]工程を考慮してもよい。
他の特別の実施形態によると、本発明の方法は、任意にUV処理の適用を伴う、PECVD堆積の第1の方法、及び第2の殺菌工程を含む。
堆積後に殺菌が実施される場合、無機物質からなる拡散バリアは、裸のポリマーよりも酸化性プラズマの作用に対する耐性がより大きい、しかし、ポリマー基体との界面において、バリア層を横切るUV光子の作用を防止することが必要である。経験は、このことが界面における化学結合の分割を伴う離脱の因子であることを示している。このリスクを除去するために、堆積層の厚さのすべて又は一部が、必要ならば、UVバリア特性を与えられ得る。この目的に対しては、可視光とUVとの間のスペクトル境界に対し、吸収閾値を調整するために、SiOx層の組成を調整することで十分である。吸収の遷移は突然ではないが、たとえブルー/バイオレットスペクトルのフラクションが吸収されたとしても、バリアの厚さは、一般に、黄色が知覚されるには小さすぎる。
本発明の方法は、ボトリングプロセス全体において組み合わされ、押し出し成型後に、任意に冷却後に、直ちに実施される。
冷却工程は、PECVD堆積が殺菌前に実施される時に、特に必要である。事実、たとえ温度が堆積の質を促進したとしても、冷却後、ポリマー基体と無機バリア層との間の示差熱ストレスは過剰であり、層の脱離を生ずる。
本発明はまた、本発明の方法を実施するためのコールドプラズマ発生装置に関する。
このように、第1の実施形態によると、本発明の装置は、処理されるべきボトルの周囲に置かれる環状表面波放射装置である。それは、好ましくはボトルの中間部に置かれ、好ましくは、そのネック部よりも底部に少し近くに置かれる。そのような装置は、図1に示されている。
図1は、表面波放射装置型のコールドプラズマ発生装置1を模式的に示す。被処理モデル2が、マイクロ波発生器4によりマイクロ波を供給された環状アプリケーター3内に配置されている。ボトル内に真空を調整するためのポンピングシステム(図示せず)が、ボトル2のネック部5に配置されている。
システムが動作している時、殺菌のため、又は拡散バリアの堆積のため、必要な減圧の下で必要とされるガス流を循環させるのにも役立つポンピング装置により、ボトル内に真空が生成されている。当業者に公知の適当な装備が、適切なガス混合物をボトル内に注入するのに役立つ。この方法はまた、固定量のガス混合物を導入することにより静的条件下で実施もされる。事実、混合物の反応成分の相対的消費は、重要ではない。マイクロ波発生器が動作すると、表面波が環状アプリケーター3からボトルの底部6へ、及び環状アプリケーター3からネック部へ、両方に伝播される。
第2の実施形態によると、コールドプラズマ発生装置は、中空のカソード型であり、この中空カソードは、ボトルの形状に合わせて調整され、開閉を容易にする2つの半外殻からなり、プラズマは、負のパルスDCバイアス及び/又はラジオ波バイアスにより供給される。
図2は、コールドプラズマ発生のための中空カソード装置を模式的に示す。
この装置7では、ボトル8は、2つの半外殻からなる中空カソード9内に配置される。中空カソード9は、ボトル8の形状に調整されている。
中空カソード9には、発生器10により、負のパルスDC電圧が供給される。アノードは、アースに接続されている。ネック部に置かれた絶縁要素13は、アノードをカソードから分離する。上記場合のように、ポンピングシステム(図示せず)が、ボトルのネック部に配置され、また組成、減圧、及び所定の又はゼロのプロセスガス流を維持するためのガスを注入する装置も配置されている。
ボトリングラインにおける現存する設備とこのプラズマ装置との組合せは、もし適用できるならば、固有のストレスについて考慮する。例えば、中空カソード装置の場合には、カソードは、アースに対し、高い負の電位に上げられているので、完全な信頼性と安全性のため、動作する設備の残りの部分との電気的絶縁を生成しなければならない。中空カソード装置にラジオ波が供給される場合、設備の残りの部分の構造に従いつつ、RFのシールドを組み込まなければならない。中空カソードは、ボトルの設置及び取り出しを容易にするため、2つの半外殻から作られている。
この装置は、外殻が閉ざされる時にそれらの良好な絶縁を保持しつつ、2つの壁間に施された絶縁、内部及び外部導電体の良好な電気的連続性を提供する手段をもって、二重壁、内側に中空カソード、及び外側に外装アノードを具備している。
中空カソードがモールド自体からなる場合、モールドのフレームへの機械的結合が、絶縁材料、例えばセラミックヒンジパーツにより提供されねばならない。
真空を維持し、処理室を急速に開閉し、プロセスガスを注入し、ボトルを設置、取り出し、ボトルを取り扱う、これらの手段は、ボトリングラインに通常用いられているものである。
以下に実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、これは例示するためだけのものである。
実施例1
本発明の任意の無菌ボトリングラインに適用することが出来る。
通常の押し出しブロー成形装置において、ポリマープリフォームがボトルに変換される。押し出し成形されたボトルは、図1に示すプラズマ装置を具備する処理ステーションに輸送される。
真空を維持し、処理室を急速に開閉し、プロセスガスを注入し、ボトルを設置、取り出し、ボトルを取り扱う、これらの手段は、ボトリングラインに通常用いられているものである。
ボトル内に1.0ミリバールの真空を形成し、90/10のN/Oモル比のN/O混合物をボトルに導入する。ボトルの変形を防止するために、ボトルの外壁周辺を50ミリバールの真空とする。
実施例2
通常の押し出しブロー成形装置において、ポリマープリフォームがボトルに変換される。押し出し成形されたボトルは、図2に示すプラズマ装置を具備する処理ステーションに輸送される。このプラズマ装置では、押し出し成形の金属レプリカが中空カソードを構成する。
真空を維持し、処理室を急速に開閉し、プロセスガスを注入し、ボトルを設置、取り出し、ボトルを取り扱う、これらの手段は、ボトリングラインに通常用いられているものである。
ボトル内に0.2ミリバールの真空を形成し、90/10のN/Oモル比のN/O混合物をボトルに導入する。
ボトルの殺菌のレベルを光学検出器を用いてモニターする。光学検出器は、同定された酸化性ラジカル、例えば原子状酸素の特徴的信号を追跡する。この信号のレベルが所定時間(約1秒)、静止しているならば、ガス種は除去され、拡散バリアを製造するに必要な種と置換されている。
第1の工程では、アルゴンベースのプラズマを用いて密着性を促進するために内面が前処理される。次いで、アルゴン、酸素及びシランの混合物をプラズマ内に導入することにより、拡散バリアを堆積する。
拡散バリアの厚さが充分となったときに、真空が中断され、押し出しモールドからボトルが取り除かれ、充填ステーションに輸送される前に冷却される。同時に、押し出しブロモールドに新しいプリフォームが導入される。

Claims (17)

  1. 非殺菌性ガスでポリマーボトルのコールドプラズマ殺菌を含むポリマーボトルを処理する方法であって、
    ボトル内面の直近において最大強度を有する非パルス状マイクロ波のボトルの内面への分布された伝播により、又はパルス状DC又はラジオ波電圧が供給される、ボトルに適合された中空カソードシステムにより、コールドプラズマが発生し、
    内部電子レベル又は振動レベルのプラズマの種のイオンによる攻撃又は逆励起の形で、ボトルの内面への非熱エネルギーが、殺菌工程中に殺菌種の流れに従って調整され、前記
    非熱エネルギーは導入されるマイクロ波出力を変化させることにより、又はプラズマに関し、ボトルからなる誘電体基体の自己バイアスDC電圧を調整することにより、制御されることを特徴とするポリマーボトルを処理する方法。
  2. 前記ポリマーボトルがプラスチックボトルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. ポリマーボトルへの拡散バリアのプラズマエンハンスト化学的蒸着(PECVD)をさらに含み、前記コールドプラズマはボトル内面の直近において最大強度を有する、ボトルの内面への非パルス状マイクロ波の分布された伝播により、又はパルス状DC又はラジオ波電圧が供給される、ボトルに適合された中空カソードシステムにより、発生し、前記ボトルの内面における前記非熱エネルギーはバリア層の堆積操作中に堆積された固体の自由ラジカル前駆体の流れに従って調整されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 殺菌及びバリア層堆積操作は、1つの同一の装置で実施されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. マイクロ波発生器によりマイクロ波が供給される少なくとも1つのマイクロ波場アプリケーターにより、コールドプラズマが発生されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  6. 無相関の位相により分布され、供給された複数の表面波アプリケーターにより、コールドプラズマが発生されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. ボトルに対し可動に調整されたマイクロストリップアプリケーターにより、分布した態様でマイクロ波が伝播されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  8. 殺菌に用いるプラズマは、N、O、NO、H、HO、Ar、He、Kr、Xe、又はその混合物からなる群から選ばれたガスを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 殺菌に用いるプラズマは、N/O混合物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  10. 殺菌に用いるプラズマは、95/5〜80/20のN/Oモル比のN/O混合物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  11. 殺菌時間は、5〜0.05秒であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 殺菌時間は、2〜0.1秒であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  13. 殺菌時間は、1〜0.5秒であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  14. 殺菌は、0.1〜100ミリバールの真空で実施されることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 拡散バリアの堆積に使用されるプラズマは、モノマー、ガス状カーボンベクトル、ガス状シリコン化合物又はその混合物を含むことを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の方法。
  16. 前記拡散バリアは、0.1〜10ミリバールの真空で堆積されることを特徴とする請求項3〜7,15のいずれかに記載の方法。
  17. 殺菌は、拡散バリア層の堆積前に行われることを特徴とする請求項3〜7、15,16のいずれかに記載の方法。
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