JP5452545B2 - 空気調和機 - Google Patents

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Description

本発明は、空気調和機に関する。
従来の集中冷暖房用の空気調和機として、送風機により冷風もしくは温風を、ダクト及び複数の枝ダクトを介して複数の被空調室に分配し送風するダクト方式のものがある。
特許文献1には、各枝ダクトにダンパが装着された空気調和機において、各枝ダクトの風路抵抗の差異を事前に検知し、各端末風量制御ユニットの風量を間接的に推定し、被空調室の設定風量に対する適正なダンパの開閉度合をいかに制御すべきかの情報を蓄積することが記載されている。これにより、特許文献1によれば、実際の運転モードのときに上記の情報に基づきダンパの開閉度合を適宜制御することで各被空調室に適量の風量の空気を安定して供給できるとされている。
特許第2661274号公報
特許文献1には、主ダクトの根元部に配設された風量検出器で送風機による送風量を検出し、風量検出器検出信号に基づき実際の送風量を測定し、測定風量が予め設定された所定の風量となるように送風機の回転数を補正することが記載されている。この構成では、風量検出器が必要となるので、空気調和機全体の製造コストが増大する可能性がある。また、風量検出器の汚れや劣化などにより検出精度が悪化して信頼性が低下する可能性もあり、検出精度を維持するための清掃や部品交換など定期的なメンテナンスが必要となるなど、空気調和機全体の保守コストが増大する傾向にある。
一方、送風機による送風量を検出せずに、各被空調室の温度状況に対応した個別要求風量を決定し、空気調和機における全体の風量が各被空調室の個別要求風量の総和になるように制御される場合について考える。このとき、送風機の運転周波数は、空気調和機における全体の風量が同一であっても、空気調和機全体の送風経路の摩擦抵抗の違いに依存して異なる。このため、空気調和機における全体の風量の制御は、様々な摩擦抵抗に応じた要求風量と送風機の運転周波数との相関データを測定し、その相関データに基づいて行われている。この場合、様々な摩擦抵抗に応じた相関データを測定するには多大な期間が必要であり、空気調和機全体の製造コストが増大する可能性がある。また、製造時の測定条件と実際の使用状態での条件とは異なる場合が多いので、相関データに基づいて制御を行っても、空気調和機における全体の風量を適切に制御できない可能性がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、全体のコストを低減できるとともに全体の風量を適切に制御できる空気調和機を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面にかかる空気調和機は、熱交換器で熱交換された空気を送風機によりダクト及び複数の枝ダクトを介して複数の被空調室に分配して送風する集中送風装置と、被空調室に必要とされる送風量を個別要求風量として前記複数の被空調室のそれぞれについて設定する風量設定手段と、個別要求風量の前記複数の被空調室についての総和である総要求風量を決定する総要求風量決定手段と、前記決定された総要求風量に応じて、前記送風機の運転周波数を決定する周波数決定手段とを備え、前記周波数決定手段は、総要求風量から前記送風機の運転周波数を決定するための周波数決定情報を記憶する記憶手段と、前記記憶された周波数決定情報に従って、前記決定された総要求風量から前記送風機の運転周波数を求める演算手段と、前記決定された総要求風量が適正範囲の上限値に達しているか否かを判定する判定手段と、前記決定された総要求風量が適正範囲の上限値に達している場合、運転周波数が増加するように前記求められた運転周波数を補正し、前記決定された総要求風量が適正範囲の下限値に達している場合、運転周波数が減少するように前記求められた運転周波数を補正する補正手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、送風機による送風量を検出せずに、かつ、実使用状態での送風経路の摩擦抵抗によらずに、システム全体として適切な送風出力を行うことが可能となる。したがって、空気調和機の全体のコストを低減できるとともに空気調和機の全体の風量を適切に制御できる。
図1は、実施の形態に係る空気調和機の構成を示す図である。 図2は、実施の形態に係る空気調和機の動作を示すフローチャートである。 図3は、実施の形態に係る空気調和機の動作を示す図である。
以下に、本発明にかかる空気調和機の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態.
実施の形態にかかる空気調和機100について図1を用いて説明する。図1は、空気調和機100のシステム全体を示す構成図である。
空気調和機100は、1つの冷暖房源から冷風または温風を複数の被空調室に送風する集中冷暖房が可能で、しかも、各被空調室への送風量を被空調室ごとに個々に調整できるものである。具体的には、空気調和機100は、集中送風装置6、複数の送風量調整装置7a〜7d、複数の室温設定手段18a〜18d、複数の室温検出手段9a〜9d、抵抗係数設定手段12、ダンパ開閉決定手段17、総要求風量決定手段15、及び周波数決定手段16を備える。
集中送風装置6は、熱交換器2、送風機3、ダクト4、及び複数の枝ダクト5a〜5dを有する。集中送風装置6は、熱交換器2で熱交換された空気を送風機3によりダクト4及び複数の枝ダクト5a〜5dを介して複数の被空調室1a〜1dに分配して送風する。
熱交換器2は、供給された空気と熱交換を行う。熱交換器2は、例えば供給された空気を冷却する。あるいは、熱交換器2は、例えば供給された空気を加熱する。熱交換器2により熱交換された空気は例えば送風機3により吸い込まれてダクト4へ送られる。なお、図1では、熱交換器2が送風機3の吸い込み側に配された構成が例示されているが、熱交換器2は送風機3の吹出し側に配されていても良い。
送風機3は、例えば外部から熱交換器2へ空気を導くとともに、熱交換器2で熱交換された空気をダクト4へ送る。送風機3は、例えば、多翼ファンである。
ダクト4は、送風機3により送られた空気を複数の枝ダクト5a〜5dへ導く。ダクト4は、例えば、その内壁面又は外壁面にグラスウールなどで断熱加工が施されている。
複数の枝ダクト5a〜5dは、それぞれ、ダクト4により導かれた空気をさらに対応する被空調室1a〜1dへ導く。これにより、空気が被空調室1a〜1dへ送風される。各枝ダクト5a〜5dは、例えば、その内壁面又は外壁面にグラスウールなどで断熱加工が施されている。
風量設定手段11は、個別要求風量を複数の被空調室1a〜1dのそれぞれについて設定する。個別要求風量は、被空調室1a〜1dごとに個別に必要とされる(要求される)送風量である。風量設定手段11は、例えば、所定の設定範囲内で、個別要求風量を設定する。
複数の送風量調整装置7a〜7dは、それぞれ、対応する枝ダクト5a〜5dに装着されており、枝ダクト5a〜5dを通る空気の送風量を上記の設定された個別要求風量に基づいて調整する。具体的には、各送風量調整装置7a〜7dは、例えば、ダンパ8a〜8dを有している。ダンパ8a〜8dは、それぞれ、その開度により、枝ダクト5a〜5dを通る空気の送風量を、被空調室1a〜1dの個別要求風量に基づいて調整する。
複数の室温設定手段18a〜18dのそれぞれは、対応する被空調室1a〜1dの壁面等に設置され、例えばユーザからの操作に応じて、その被空調室1a〜1dの室温を設定する。
複数の室温検出手段9a〜9dのそれぞれは、対応する被空調室1a〜1dの壁面等に設置され、例えば定期的に、その被空調室1a〜1dの室温を検出する。各室温検出手段9a〜9dは、例えば、温度サーミスタである。
なお、室温設定手段18a〜18d及び室温検出手段9a〜9dは、被空調室1a〜1dに据付けられる1つのコントローラに内蔵されていてもよいし、互いに独立して集中管理されていてもよい。
抵抗係数設定手段12は、集中送風装置6からダクト4及び複数の枝ダクト5a〜5dを介して複数の被空調室1a〜1dに接続されるまでの複数の送風経路の摩擦抵抗係数をそれぞれ設定する。
圧力損失決定手段14は、各被空調室1a〜1dの個別要求風量の情報を風量設定手段11から受け、各送風経路の摩擦抵抗係数の情報を抵抗係数設定手段12から受ける。圧力損失決定手段14は、各被空調室1a〜1dの個別要求風量とその対応する送風経路の摩擦抵抗係数とに応じて、各送風経路の圧力損失を決定する。
ダンパ開閉決定手段17は、圧力損失決定手段14からの信号に応じて、各送風量調整装置7a〜7dのダンパ8a〜8dの開閉度合を決定する。
総要求風量決定手段15は、各被空調室1a〜1dの個別要求風量を風量設定手段11から受ける。総要求風量決定手段15は、各被空調室1a〜1dの個別要求風量の合計を求めて、各被空調室1a〜1dの個別要求風量の総和である総要求風量を決定する。
周波数決定手段16は、総要求風量の情報を総要求風量決定手段15から受ける。周波数決定手段16は、総要求風量、すなわち空気調和機100の実風量が得られるように、送風機3におけるファンモータの駆動周波数を決定してファンモータへ供給する。これにより、送風機3が総要求風量に応じた風量の空気をダクト4へ送る。
なお、上記各手段においては、各々設定または決定した値を記憶・保存する機能を有しているものとする。
次に、周波数決定手段16の内部構成について説明する。
周波数決定手段16は、記憶手段16a、演算手段16b、判定手段16c、及び補正手段16dを有する。
記憶手段16aは、総要求風量から送風機3の運転周波数を決定するための周波数決定情報を記憶する。周波数決定情報は、例えば、図3に示す周波数決定情報FDI1であってもよいし、あるいは、例えば、図3に示す周波数決定情報FDI1に従った、総要求風量と送風機3の運転周波数とが対応付けられテーブル化された情報であっても良い。このような周波数決定情報は、例えば、ある標準的な送風経路の摩擦抵抗に対して、予め実験的に取得されたものである。あるいは、周波数決定情報は、例えば、図3に示す周波数決定情報FDI1に従った、総要求風量と送風機3の運転周波数との関係を示す関数等を用いて定式化された情報であっても良い。
演算手段16bは、記憶手段16aにアクセスして周波数決定情報を取得するとともに、総要求風量の情報を総要求風量決定手段15から受ける。演算手段16bは、周波数決定情報(例えば、図3に示す周波数決定情報FDI1)に従って、受けた総要求風量に対応する送風機3の運転周波数を求める。
判定手段16cは、例えば一定の時間ごとに、総要求風量の情報を総要求風量決定手段15から受け、総要求風量が適正範囲APR(図3参照)の上限値又は下限値に達しているか否かを判定する。
また、判定手段16cは、総要求風量に対応する送風機3の運転周波数の情報を演算手段16bから受け、送風機3の運転周波数が適正範囲OPR(図3参照)の上限値又は下限値に達しているか否かを判定する。
補正手段16dは、判定結果を判定手段16cから受け、判定結果に応じて、演算手段16bにより求められた運転周波数を補正する。
具体的には、補正手段16dは、総要求風量が適正範囲APRの上限値に達しており運転周波数が適正範囲OPRの上限値に達していないと判定手段16cにより判定された場合、運転周波数が増加するように、演算手段16bにより求められた運転周波数を補正する。補正手段16dは、総要求風量が適正範囲APRの上限値に達しており運転周波数が適正範囲OPRの上限値に達していると判定手段16cにより判定された場合、運転周波数の補正を行わない。
また、補正手段16dは、総要求風量が適正範囲APRの下限値に達しており運転周波数が適正範囲OPRの下限値に達していないと判定手段16cにより判定された場合、運転周波数が減少するように、演算手段16bにより求められた運転周波数を補正する。補正手段16dは、総要求風量が適正範囲APRの下限値に達しており運転周波数が適正範囲OPRの下限値に達していると判定手段16cにより判定された場合、運転周波数の補正を行わない。
次に、空気調和機100の動作について図2に示すフローチャートを用いて説明する。図2は、空気調和機100の総要求風量に対応する送風機3の運転周波数を決定する動作を示すフローチャートである。空気調和機100による(例えば1以上の被空調室1a〜1dの)空調運転が開始されると、例えば、次のルーチンに従って動作制御が行われる。
ステップS1では、周波数決定手段16の補正手段16dが、送風機3の運転周波数への補正値Δfに、初期値Δf=0を設定する。
ステップS2では、風量設定手段11が、各被空調室1a〜1dの個別要求風量の値を設定する。
ステップS3では、総要求風量決定手段15が、ステップS2にて設定された各被空調室1a〜1dの個別要求風量の値を総和して、空気調和機100の総要求風量を決定する。
ステップS4では、周波数決定手段16の演算手段16bが、周波数決定情報(例えば、図3に示す周波数決定情報FDI1)に従って、ステップS3にて設定された空気調和機100の総要求風量に対応する送風機3の運転周波数を求め、これを例えばf’とおく。
ステップS5では、周波数決定手段16が、総要求風量に対する送風機3の運転周波数の補正処理の開始について可否判定を行う。周波数決定手段16は、補正処理を開始する場合(ステップS5でYes)、処理をステップS6へ進め、補正処理を開始しない場合(ステップS5でNo)、処理をステップS14へ進める。
ステップS6では、周波数決定手段16の判定手段16cが、ステップS3で決定された空気調和機100の総要求風量が適正範囲APRの上限値に達しているか否かを判断する。判定手段16cは、総要求風量が適正範囲APRの上限値に達している場合(ステップS6でYes)、処理をステップS8へ進め、総要求風量が適正範囲APRの上限値に達していない場合(ステップS6でNo)、処理をステップS7へ進める。
ステップS7では、周波数決定手段16の判定手段16cが、ステップS3で決定された空気調和機100の総要求風量が適正範囲APRの下限値に達しているか否かを判断する。判定手段16cは、総要求風量が適正範囲APRの下限値に達している場合(ステップS7でYes)、処理をステップS11へ進め、総要求風量が適正範囲APRの下限値に達していない場合(ステップS7でNo)、処理をステップS14へ進める。
ステップS8では、周波数決定手段16の判定手段16cが、総要求風量に対応する送風機3の運転周波数f’が適正範囲OPRの上限値に達しているか否かを判定する。判定手段16cは、運転周波数f’が適正範囲OPRの上限値に達している場合(ステップS8でYes)、運転周波数f’を増加補正させるべきでないものとして、処理をステップS14へ進める。判定手段16cは、運転周波数f’が適正範囲OPRの上限値に達していない場合(ステップS8でNo)、運転周波数f’を増加補正させる余地があるものとして、処理をステップS9へ進める。
ステップS9では、周波数決定手段16の判定手段16cが、総要求風量が適正範囲APRの上限値に達している状態が所定の時間以上継続しているか否かを判定する。判定手段16cは、総要求風量が適正範囲APRの上限値に達している状態が所定の時間以上継続している場合(ステップS9でYes)、補正を行うべき状態になったものとして、処理をステップS10へ進める。判定手段16cは、総要求風量が適正範囲APRの上限値に達している状態が所定の時間未満しか継続しなかった場合(ステップS9でNo)、補正を行うべき状態になっていないものとして、処理をステップS14へ進める。
ステップS10では、周波数決定手段16の補正手段16dが、運転周波数が増加補正されるように、補正値Δfを調整する。すなわち、周波数決定手段16の補正手段16dは、送風機3の運転周波数への補正値Δfに所定の値Δf’≧0を加えたものを補正値Δfとして再設定する。
ステップS11では、周波数決定手段16の判定手段16cが、総要求風量に対応する送風機3の運転周波数f’が適正範囲OPRの下限値に達しているか否かを判定する。判定手段16cは、運転周波数f’が適正範囲OPRの下限値に達している場合(ステップS11でYes)、運転周波数f’を減少補正させるべきでないものとして、処理をステップS14へ進める。判定手段16cは、運転周波数f’が適正範囲OPRの下限値に達していない場合(ステップS11でNo)、運転周波数f’を減少補正させる余地があるものとして、処理をステップS12へ進める。
ステップS12では、周波数決定手段16の判定手段16cが、総要求風量が適正範囲APRの下限値に達している状態が所定の時間以上継続しているか否かを判定する。判定手段16cは、総要求風量が適正範囲APRの下限値に達している状態が所定の時間以上継続している場合(ステップS12でYes)、補正を行うべき状態になったものとして、処理をステップS13へ進める。判定手段16cは、総要求風量が適正範囲APRの下限値に達している状態が所定の時間未満しか継続しなかった場合(ステップS12でNo)、補正を行うべき状態になっていないものとして、処理をステップS14へ進める。
ステップS13では、周波数決定手段16の補正手段16dが、運転周波数が減少補正されるように、補正値Δfを調整する。すなわち、周波数決定手段16の補正手段16dは、送風機3の運転周波数への補正値Δfから所定の値Δf’≧0を引いたものを補正値Δfとして再設定する。
ステップS14では、周波数決定手段16の補正手段16dが、実際に送風機3を運転させる指令運転周波数をfとし、総要求風量に対する送風機3の運転周波数f’と送風機3の運転周波数への補正値Δfの合計値(f’+Δf)をfに設定する。
すなわち、補正手段16dは、直前のステップがステップS10である場合、運転周波数が増加するように、ステップS4で求められた運転周波数f’を補正する。また、補正手段16dは、直前のステップがステップS13である場合、運転周波数が減少するように、ステップS4で求められた運転周波数f’を補正する。補正手段16dは、直前のステップがステップS10及びステップS13のいずれでもない場合、運転周波数f’の補正を行わない。
ステップS15では、周波数決定手段16が、空調運転の継続判定を行う。周波数決定手段16は、空調運転を継続する場合、処理をステップS2に戻し、空調運転を停止する場合、処理を終了する。
なお、上記のステップS2からステップS15の一連の制御動作は、例えば一定の時間的な間隔をおいて繰り返し行われる。これにより、実使用状態の送風経路の摩擦抵抗によらず、システム全体として適切な送風出力を行うことが可能となる。
以上のように、実施の形態では、総要求風量決定手段15が、各被空調室1a〜1dの個別要求風量の合計を求めて、各被空調室1a〜1dの個別要求風量の総和である総要求風量を決定する。周波数決定手段16は、決定された総要求風量が適正範囲APRの上限値に達した場合、周波数決定情報に従って決定された送風機3の運転周波数に対して、例えば所定の値Δf’だけ増加するように補正し、決定された総要求風量が適正範囲APRの下限値に達した場合、周波数決定情報に従って決定された送風機3の運転周波数に対して、例えば所定の値Δf’だけ減少するように補正する。これにより、送風機による送風量を検出せずに、かつ、実使用状態での送風経路の摩擦抵抗によらずに、システム全体として適切な送風出力を行うことが可能となる。したがって、空気調和機100の全体のコストを低減できるとともに空気調和機100の全体の風量を適切に制御できる。
また、実施の形態では、周波数決定手段16の補正手段16dが、決定された総要求風量が適正範囲APRの上限値に達した後に決定された総要求風量が適正範囲APRの下限値に達するまで、運転周波数が増加するように、演算手段16bにより求められた運転周波数を補正する。また、補正手段16dは、決定された総要求風量が適正範囲APRの下限値に達した後に決定された総要求風量が適正範囲APRの上限値に達するまで、運転周波数が減少するように、演算手段16bにより求められた運転周波数を補正する。これにより、総要求風量が適正範囲APRの上限値に達した後に下限値に達するまでの期間に、実質的に高周波数側にシフトされた周波数決定情報(例えば図3に示す周波数決定情報FDI2)に従った周波数制御を行うことができ、総要求風量が適正範囲APRの上限値に達した後に下限値に達するまでの期間に、実質的に低周波数側にシフトされた周波数決定情報(例えば図3に示す周波数決定情報FDI3)に従った周波数制御を行うことができる。
なお、ステップS2における被空調室1a〜1dの個別要求風量の設定方法には、被空調室1a〜1dの容積に応じて設定する方法や、被空調室1a〜1dの設定室温と実際の室温との温度差を利用する方法や、被空調室1a〜1dのPMV(Predicted Mean Vote、快適性を示す指標)値を測定する方法や、輻射熱を測定する方法などがある。
例えば、被空調室1a〜1dの容積に応じて設定する方法を用いる場合、空気調和機100は、図1に示すように、複数の能力設定手段10a〜10dをさらに備えても良い。複数の能力設定手段10a〜10dのそれぞれは、対応する被空調室1a〜1dの壁面等に設置され、その被空調室1a〜1dの個別要求能力を設定する。個別要求能力は、その被空調室1a〜1dの室温の容積に応じて必要とされる冷暖房能力に対応した能力である。個別要求能力は、例えば、その被空調室1a〜1dの室温の容積がランク付けされた値である。このように、各被空調室1a〜1dの容積に応じて必要な冷暖房能力を、被空調室1a〜1dの個別要求能力として各々設定する能力設定手段10a〜10dを備えることで、容積の小さな被空調室には過度な送風にならないように、また容積の大きな被空調室には過小な送風にならないよう各々の規定される負荷に見合った風量を要求し、制御することが可能となる。
例えば、被空調室1a〜1dの設定室温と実際の室温との温度差を利用する方法を用いる場合、風量設定手段11は、検出された室温と設定された室温との温度差から個別要求風量を決定するための風量決定情報を記憶していてもよい。風量決定情報は、例えば、複数の温度差信号(複数の温度差の範囲)と複数の個別要求風量とが対応付けられテーブル化された情報であっても良いし、温度差と個別要求風量との関係を示す関数等を用いて定式化された情報であっても良い。この場合、風量設定手段11は、1以上の被空調室1a〜1dで空調運転が開始されると、室温検出手段9a〜9dにより検出された室温と室温設定手段18a〜18dにより設定された室温との温度差を示す温度差信号を各被空調室1a〜1dについて取得する。温度差信号は、例えば、室温検出手段9a〜9dにより生成されてもよいし、風量設定手段11により生成されても良い。風量設定手段11は、取得した温度差信号と、記憶された風量決定情報とに応じて、空調運転される各被空調室1a〜1dの個別要求風量を決定して設定する。このように、各被空調室の温度状況に対応した個別要求風量を決定することができる。
また、ステップS10またはステップS13において、運転周波数の補正は繰返し行えるが、例えば補正前の運転周波数に対して±10%以上は補正を行わない、または図3に示すように上下限を設ける等の、ある一定の補正範囲を設定してもよい。すなわち、周波数決定手段16の補正手段16dは、運転周波数の補正について、補正前の運転周波数に対して所定の補正範囲(例えば、±10%の間の範囲)を有していても良い。これにより、各被空調室1a〜1dへの送風量の急激な変動や、送風機3に起因する騒音を抑制することができる。また、送風機3の出力をある一定の範囲内に抑えることができ、送風機3の能力の限界を超えないで運転することを可能とする。
また、ステップS5において、補正の結果を確認するために、補正処理後に任意の周期で次の補正処理を停止するような判定処理を行うことが考えられるが、さらに、全ての被空調室1a〜1dが空調運転を停止している状態で、1以上の被空調室1a〜1dで空調運転を開始した場合、運転開始から所定時間の間、ステップS5〜S114のルーチンを行わないようにしてもよい。すなわち、周波数決定手段16の判定手段16cは、複数の被空調室1a〜1dの全ての空調運転が停止している状態から1以上の被空調室1a〜1dの空調運転を開始した場合、開始から所定時間が経過するまで、ステップS5の判定を保留し(したがってステップS6、ステップS7の判定も保留し)、所定時間が経過したことに応じて、ステップS5の判定を行ってもよい。これにより、空調運転開始時に各被空調室1a〜1dへの送風量の過剰な補正を避けることができ、各被空調室1a〜1dへの送風量の急激な変動を抑制でき、送風機3に起因する騒音を抑制することができる。
以上のように、本発明にかかる空気調和機は、複数の被空調室への空気の分配に有用である。
1a〜1d 被空調室
2 熱交換器
3 送風機
4 ダクト
5a〜5d 枝ダクト
6 集中送風装置
7a〜7d 送風量調整装置
8a〜8d ダンパ
9a〜9d 室温検出手段
10a〜10d 能力設定手段
11 風量設定手段
12 抵抗係数設定手段
14 圧力損失決定手段
15 総要求風量決定手段
16 周波数決定手段
16a 記憶手段
16b 演算手段
16c 判定手段
16d 補正手段
17 ダンパ開閉決定手段
18a〜18d 室温設定手段
100 空気調和機

Claims (4)

  1. 熱交換器で熱交換された空気を送風機によりダクト及び複数の枝ダクトを介して複数の被空調室に分配して送風する集中送風装置と、
    被空調室に必要とされる送風量を個別要求風量として前記複数の被空調室のそれぞれについて設定する風量設定手段と、
    個別要求風量の前記複数の被空調室についての総和である総要求風量を決定する総要求風量決定手段と、
    前記決定された総要求風量に応じて、前記送風機の運転周波数を決定する周波数決定手段と、
    を備え、
    前記周波数決定手段は、
    総要求風量から前記送風機の運転周波数を決定するための周波数決定情報を記憶する記憶手段と、
    前記記憶された周波数決定情報に従って、前記決定された総要求風量から前記送風機の運転周波数を求める演算手段と、
    前記決定された総要求風量が適正範囲の上限値又は下限値に達しているか否かを判定する判定手段と、
    前記決定された総要求風量が適正範囲の上限値に達している場合、運転周波数が増加するように前記求められた運転周波数を補正し、前記決定された総要求風量が適正範囲の下限値に達している場合、運転周波数が減少するように前記求められた運転周波数を補正する補正手段と、
    を有する
    ことを特徴とする空気調和機。
  2. 前記補正手段は、前記決定された総要求風量が適正範囲の上限値に達した後に前記決定された総要求風量が適正範囲の下限値に達するまで、運転周波数が増加するように前記求められた運転周波数を補正し、前記決定された総要求風量が適正範囲の下限値に達した後に前記決定された総要求風量が適正範囲の上限値に達するまで、運転周波数が減少するように前記求められた運転周波数を補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  3. 前記補正手段は、運転周波数の補正について、所定の補正範囲を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
  4. 前記判定手段は、前記複数の被空調室の全ての空調運転が停止している状態から1以上の被空調室の空調運転を開始した場合、前記開始から所定時間が経過するまで、前記判定を保留する
    ことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
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