JP5451025B2 - 建設機械用又は産業機械用の1液型水性塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、塗料安定性、仕上り性、塗膜硬度、光沢、耐水性、防食性及び耐候性に優れる建設機械用又は産業機械用の1液型水性塗料組成物に関する。
最近では、ブルドーザー、油圧ショベル、ホイールローダ等の建設機械又は産業用機械の塗装に水性塗料が使用されている。しかし建設機械又は産業用機械は、塗膜の乾燥に際して、1.被塗物の熱容量が大きく乾燥炉の熱が十分に伝達しない、2.被塗物にプラスチックやゴムが組み込まれていて加熱することができない、3.エンジンを組み込んだ建設機械又は産業用機械自体の自走によって乾燥炉へ投入し、燃料に引火の危険があることから高い温度にて塗膜を乾燥できない、等の問題点がある。このような背景から、乾燥温度100℃以下の低温又は常温の乾燥にて塗膜硬化することが求められている。
従来、ポリエステル樹脂(A)、アクリル樹脂(B)、水分散性ポリイソシアネート化合物(C)及びイオン交換された非晶質シリカ微粒子(D)を含有する塗料であって、
ポットライフが長く、硬度、仕上り性、光沢、耐水性及び防食性に優れた塗膜を形成できる2液型水性塗料が開示されている(特許文献1)。しかし、該水性塗料のポットライフは5時間程度であり、それ以上の使用は塗料の粘度上昇によって使用が困難であった。また、耐候性が不十分であった。
他に、少なくとも樹脂組成物及びドライヤー、例えばナフテン酸またはオクチル酸のコバルト塩、マンガン塩、鉛塩、ジルコニウム塩、カルシウム塩を含有する一液型塗料組成物であって、前記樹脂組成物が、エポキシ基含有(メタ)アクリル化合物と不飽和脂肪酸とを反応させて得られた不飽和脂肪酸エステル基含有(メタ)アクリルモノマーを含むエチレン性不飽和結合を有するモノマーとを共重合させたコポリマーであることを特徴とする一液型塗料組成物が開示されている(特許文献2)。
また、(A)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(A1)及びその他の重合性不飽和モノマー(A2)を含むモノマー混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が500nm以下になるように微分散させ、得られるモノマー乳化物を重合することにより製造される水性脂肪酸変性アクリル樹脂及び(B)脂肪酸(b1)及び重量平均分子量が200以上のエポキシ樹脂(b2)を構成単位として含有する水性脂肪酸変性エポキシ樹脂を含む水性樹脂組成物が開示されている(特許文献3)。しかし、特許文献2又は特許文献3の塗料は、塗料安定性、仕上り性、塗膜硬度、光沢、耐水性、防食性及び耐候性のいずれかに問題があり、改良が求められていた。
特開2007−284480号公報 特開2004−211009号公報 特開2006−37027号公報
解決しようとする課題は、塗料安定性、仕上り性、塗膜硬度、光沢、耐水性、防食性及び耐候性に優れる建設機械用又は産業機械用の1液型水性塗料組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)、水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)の固形分合計100質量部に対して、特定の金属ドライヤー(C)、並びに亜リン酸塩化合物とを含有する1液型水性塗料組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、「
1.脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a1)及びその他の重合性不飽和モノマー(a2)を含むモノマー混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が500nm以下になるように微分散させ、得られるモノマー乳化物を重合することにより得られる水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)、脂肪酸(b1)及び重量平均分子量が200以上のエポキシ樹脂(b2)を構成単位として含有する水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)であって、
該樹脂(A)と該樹脂(B)の固形分合計100質量部に対して、下記特徴の金属ドライヤー(C)を合計金属量(質量換算)で0.01〜15質量部、亜リン酸塩化合物を1〜20質量部含有する1液型水性塗料組成物。
金属ドライヤー(C):コバルト金属塩(c1)と、マンガン、ジルコニウム、リチウム及びバリウムの中から選ばれる少なくとも2種の金属の金属塩(c2)とを含む金属ドライヤー
2.さらに、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)と水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)の固形分合計100質量部に対して、下記特徴の水分散性アクリル樹脂(D)を1〜20質量部含有する1項に記載の1液型水性塗料組成物。
水分散性アクリル重合体粒子(D):カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー0.1〜15質量%及びその他の重合性不飽和モノマー85〜99.9質量%からなるモノマーの共重合体であって、重量平均分子量が30万以上である樹脂
3.1項又は2項に記載の1液型水性塗料組成物を、建設機械用又は産業機械用に用いる塗装方法」、に関する。
本発明の建設機械用又は産業機械用の1液型水性塗料組成物は、塗料安定性に優れ、仕上り性、塗膜硬度、光沢、耐水性、防食性及び耐候性に優れる塗膜を形成できる。
本発明の建設機械用又は産業機械用の1液型水性塗料組成物において、コバルト金属塩(c1)を最適量配合することによって塗膜表面の硬化乾燥を早めて塗膜表面の硬度の向上に寄与する。さらにマンガン、ジルコニウム、リチウム及びバリウムから選ばれる少なくとも2種の金属の金属塩(c2)とを含む金属ドライヤーを最適量配合することによって、塗膜内部の乾燥を早めて、耐水性及び防食性向上に寄与する。さらに、亜リン酸塩化合物を含有することによって、いっそうの防食性向上を達成できた。このようなことから得られた塗膜は、塗装膜厚が20μm以上の厚膜においても十分に塗膜性能を得ることができる。特に、1.被塗物の熱容量が大きく乾燥炉の熱が十分に伝達しない被塗物、2.被塗物にプラスチックやゴムが組み込まれていて加熱することができない被塗物、3.エンジンを組み込んだ建設機械自体の自走によって乾燥炉へ投入し、燃料に引火の危険があることから高い温度にて塗膜を乾燥できない被塗物等の塗装に有用である。これらのことから本発明の1液型水性塗料組成物は、建設機械用又は産業機械用の塗料として利用できる。
本発明は、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)と水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)の固形分合計100質量部に対して、コバルト金属塩(c1)と、マンガン、ジルコニウム、リチウム及びバリウムから選ばれる少なくとも2種の金属の金属塩(c2)を含む金属ドライヤー(C)を合計金属量(質量換算)で0.01〜15質量部、並びに亜リン酸塩化合物を1〜20質量部含有する建設機械用又は産業機械用の1液型水性塗料組成物である。以下、詳細に述べる。
被塗物:
本発明の建設機械用又は産業機械用の1液型水性塗料組成物に適する被塗物は、例えば、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、銅、チタン、ステンレス、ブリキ、トタン等からなる金属板、表面に亜鉛、銅、クロム等をメッキした金属、表面をクロム酸、リン酸亜鉛等で処理した金属基材が挙げられる。具体的には、産業用機械部品、自動車部品、2輪用部品、電気製品、建材等、及び熱容量が大きく加熱しても昇温し難い被塗物やプラスチックやゴムが組み込まれており加熱できない機械部品等も挙げられる。
水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A):
水性脂肪酸変性アクリル樹脂は、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a1)及びその他の重合性不飽和モノマー(a2)を含むモノマー混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が500nm以下になるように微分散させ、得られるモノマー乳化物を重合することにより製造される。
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a1)
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a1)は、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)に酸化硬化基を導入することができるものであり、脂肪酸由来の炭化水素鎖の末端に重合性不飽和基を有する重合性不飽和モノマーが挙げられる。ここで、重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などを挙げることができ、特に(メタ)アクリロイル基が好適である。
上記脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a1)としては、例えば、脂肪酸(a11)とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a12)との反応生成物を挙げることができる。
脂肪酸(a11)は、炭化水素鎖の末端にカルボキシル基が結合した構造を有しているものが挙げられ、例えば、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸、不乾性油脂肪酸を挙げることができる。乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸は、厳密に区別できるものではないが、通常、乾性油脂肪酸はヨウ素化が130以上の不飽和脂肪酸であり、半乾性油脂肪酸はヨウ素化が100以上かつ130未満の不飽和脂肪酸である。他方、不乾性油脂肪酸は、通常、ヨウ素価が100未満である脂肪酸である。
乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、ハイジエン酸脂肪酸等が挙げられ、また、不乾性油脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。さらに、これらの脂肪酸は、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等と併用することができる。
この中でも、本発明において、脂肪酸(a11)としては、形成塗膜に酸化硬化性を与えるべく、乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸が好適である。
エポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a12)
次いで、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a1)を製造するために上記脂肪酸(a11)と反応させうるエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a12)としては、1分子中に1個のエポキシ基と1個の重合性不飽和基を有する化合物が包含され、具体的には例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β一メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記脂肪酸(a11)とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a12)は、脂肪酸(a11)のカルボキシル基と、エポキシ基含有モノマー(a12)中のエポキシ基との当量比が0.75:1〜1.25:1、好ましくは0.8:1〜1.2:1の範囲内となるような割合で反応させることが好ましい。
上記脂肪酸(a11)とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a2)との反応は、通常、重合禁止剤の存在下に、ゲル化などの反応上の問題を起こすことなく、脂肪酸成分中のカルボキシル基とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー中のエポキシ基とが円滑に反応できる条件下で行うことができ、通常、100〜180℃の温度で0.5〜10時間加熱することにより行う。
この反応において、N,N−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩等のエステル化反応触媒を用いることができ、さらに、反応に対して不活性な有機溶剤を使用してもよい。
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロカテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのヒドロキシ化合物;ニトロベンゼン、ニトロ安息香酸、o−,m−又はp−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、2,4−ジニトロフェノール、トリニトロベンゼン、ピクリン酸などのニトロ化合物;p−ベンゾキノン、ジクロロベンゾキノン、クロルアニル、アンスラキノン、フェナンスロキノンなどのキノン化合物;ニトロソベンゼン、ニトロソ−β−ナフトールなどのニトロソ化合物等のそれ自体既知のラジカル重合禁止剤が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なお脂肪酸(a11)とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a12)との反応生成物は、分子中に2級水酸基を有する為に、塗膜の付着性向上に好適である。
また、脂肪酸変性重合性モノマー(a1)は、上記脂肪酸(a11)と水酸基含有重合性不飽和モノマー(a13)とをエステル化反応によっても得ることができる。このような水酸基含有重合性不飽和モノマー(a13)としては、1分子中に1個の水酸基と1個の重合性不飽和基を有する化合物が包含され、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコ−ル、上記炭素数2〜8ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、これらの水酸基含有重合性不飽和モノマー(a13)は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記脂肪酸(a1)と水酸基含有重合性不飽和モノマー(a13)は、通常、該脂肪酸(a11)のカルボキシル基に対して、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a13)の水酸基との当量比が、0.4:1〜1.25:1、好ましくは0.5:1〜1.2:1の範囲内で反応させることが好ましい。
上記脂肪酸(a11)と水酸基含有重合性不飽和モノマー(a13)との反応は、通常、重合禁止剤の存在下に、ゲル化などの反応上の問題を起こすことなく、脂肪酸(a11)成分中のカルボキシル基と、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a13)中の水酸基とが円滑に反応できる条件下で行うことができ、通常、エステル化触媒の存在下に、100〜180℃の温度で0.5〜10時間加熱することにより行う。
上記エステル化触媒としては、例えば、硫酸、硫酸アルミニウム、硫酸水素カリウム、アルキル置換ベンゼン、塩酸、硫酸メチル、リン酸等が挙げられ、これらの触媒は、通常、反応させる上記脂肪酸(a11)と水酸基含有重合性不飽和モノマー(a13)の合計量を基準にして、0.01〜2.0質量%の範囲内で使用することができる。また、系の粘度を下げて均一な反応を進行する為に、反応に対して不活性な有機溶剤を加えることもできる。
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロカテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのヒドロキシ化合物;ニトロベンゼン、ニトロ安息香酸、o−,m−又はp−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、2,4−ジニトロフェノール、トリニトロベンゼン、ピクリン酸などのニトロ化合物;p−ベンゾキノン、ジクロロベンゾキノン、クロルアニル、アンスラキノン、フェナンスロキノンなどのキノン化合物;ニトロソベンゼン、ニトロソ−β−ナフトールなどのニトロソ化合物、等のラジカル重合禁止剤が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
その他の重合性不飽和モノマー(a2)
本発明における水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)の製造に使用するその他の重合性不飽和モノマー(a2)は、上記脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a1)と共重合可能な重合性不飽和モノマーであり、その具体例を以下の(1)〜(11)に挙げる。
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー:アクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、マレイン酸、イタコン酸等;
(2)アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜20の1価アルコールとのモノエステ
ル化物:例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート 、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート等;
(3)芳香族系ビニルモノマー:例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等;
(4)グリシジル基含有ビニルモノマー:1分子中に1個以上のグリシジル基と1個の重合性不飽和結合とを有する化合物で、具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等;
(5)含窒素アルキル(炭素数1〜20)(メタ)アクリレート:例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等;
(6)重合性不飽和基含有アミド系化合物:1分子中に1個以上のアミド基と1個の重合性不飽和結合とを有する化合物で、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルプロピルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等;
(7)重合性不飽和基含有ニトリル系化合物:アクリロニトリル、メタクリロニトリル等;
(8)ジエン系化合物:ブタジエン、イソプレン等;
(9)ビニル化合物:酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル等;
(10)多ビニル化合物:エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等;
(11)前記、水酸基含有重合性不飽和モノマー(a13)に列記した水酸基含有重合性不飽和モノマー等;
これらのその他の重合性不飽和モノマー(a2)は、1種で又は2種以上組合せて使用することができる。
上記モノマー(a1)及びモノマー(a2)の使用割合は、特に制限されるものではなく、目的とする水性樹脂組成物に望まれる性能や用途などに応じて適宜選択することができるが、一般には、モノマー(a1)及びモノマー(a2)の合計量を基準にして、モノマー(a1)は5〜50質量%、好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは10〜35質量%の範囲内、そしてモノマー(a2)は、50〜95質量%、好ましくは60〜90質量%、さらに好ましくは65〜90質量%の範囲内とすることができる。
また、本発明の1液型水性塗料に使用する水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)は、従来から耐水性や防食性の向上に有用されたイソボルニル(メタ)アクリレート及び/又はシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の高価なモノマーを使用しなくとも、耐候性、防食性等の塗膜性能に優れることを見出せた。
本発明において、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)の製造におけるモノマーには、
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a1)及びその他の重合性不飽和モノマー(a2)を必須成分として含有し、さらに、実質的に重合性不飽和基を含有しない化合物を含有することもできる。これにより、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)の粒子が、重合性不飽和基を含有しない化合物を内包することもできる。かかる実質的に重合性不飽和基を含有しない化合物としては、例えば、紫外線吸収剤、紫外線安定剤及び金属ドライヤー等の塗料用添加剤;顔料、染料等の着色剤等を挙げることができる。
上記脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a1)及びその他の重合性不飽和モノマー(a2)を必須成分として含有するモノマー混合物(I)は、水性媒体に微分散するに際して、必要に応じて、乳化剤を併用してもよい。該乳化剤としては、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤が好適であり、該アニオン性乳化剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸などのナトリウム塩やアンモニウム塩が挙げられ、また、ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
また、1分子中にアニオン性基とポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性乳化剤や、1分子中に該アニオン性基と重合性不飽和基とを有する反応性アニオン性乳化剤を使用してもよい。該乳化剤は使用される全モノマーの合計量を基準にして0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜12質量%の範囲内で使用することができる。
また、モノマー混合物(I)は、得られる水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)の分子量を調整する目的で、連鎖移動剤を含んでいてもよい。該連鎖移動剤としては、メルカプト基を有する化合物が包含され、具体的には例えば、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノール、メルカプトエタノ−ル、チオグリセロ−ル、メルカプト酢酸(チオグリコ−ル酸)、メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。該連鎖移動剤の使用量は、一般に、全モノマーの合計量を基準にして、0.05〜10質量%、特に0.1〜5質量%の範囲内が好適である。
以上に述べたモノマー混合物(I)は水性媒体中に微分散させることにより脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(A1)及びその他の重合性不飽和モノマー(A2)を含有する粒子分散物であるモノマー乳化物(以下「モノマー乳化物」と略称することがある)が形成できる。また、水性媒体としては、水、又は水を主体としてこれに水溶性有機溶媒などの有機溶媒を混合してなる水−有機溶媒混合溶液などを挙げることができる。
上記モノマー混合物(I)の水性媒体中における濃度は、形成されるモノマー乳化物の微粒化適性、重合段階における安定性、水性塗料に適用したときの実用性などの観点から、一般に、10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%の範囲内が好適である。
モノマー混合物(I)の水性媒体中への微分散は、特に制限されるものではなく、通常、高エネルギーせん断能力を有する分散機を用いて行うことができる。その際に使用しうる該分散機としては、例えば、高圧乳化装置、超音波乳化機、高圧コロイドミル、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの分散機は、通常、10〜1000MPa、好ましくは50〜300MPa程度の高圧下で操作することができる。また、該機械にて分散を行う前に、該モノマー混合物(I)をあらかじめディスパー等で予備乳化してもよい。
モノマー混合物(I)を上記手法により水性媒体中に微分散させることにより得られるモノマー乳化物中の分散粒子の平均粒子径は、形成塗膜の透明性、耐水性等の点から、500nm以下、好ましくは80〜400nm、さらに好ましくは100〜300nmの範囲内が適している。500nmを超えると、モノマー乳化物の重合安定性及び本発明の水性樹脂組成物を用いて形成される塗膜の透明性が不十分となり好ましくない。
なお、本明細書において平均粒子径は、マイクロトラック粒度分析計(マイクロトラック9340−UPA、日機装株式会社製、レーザー回折式粒度分布測定装置)にて、試料を脱イオン水にて希釈して、20℃にして測定した時の値であり、また、微粒化されたモノマー混合物(I)の乳化物又は樹脂分散体の平均粒子径の測定は、それぞれ製造後30分経過した時点で行うものとする。
かくして得られるモノマー乳化物の重合は、例えば、ミニエマルション重合法に従い、微分散後のモノマー乳化物を撹拌機を備えた反応器に全量仕込み、重合開始剤を添加し、攪上記重合開始剤としては、油溶性、水溶性のいずれのタイプであってもよい。
上記、油溶性の重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。
また、水溶性の開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、 tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、 tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4’−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて用いることができる。また、上記重合開始剤に、必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用し、レドックス重合系としてもよい。
上記重合開始剤の使用量は、一般に、モノマー(a1)及びモノマー(a2)の合計重量を基準にして、0.1〜5質量%、特に0.2〜3質量%の範囲内が好ましい。該重合開始剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、その種類や量などに応じて適宜選択することができる。例えば、予めモノマー混合物(I)又は水性媒体に含ませてもよく、或いは重合時に一括して添加してもよく又は滴下してもよい。
本発明においては、得られる水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)の粒子の機械的安定性を向上させるために、該水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)が酸性基を有する場合には、これを中和剤により中和することが望ましい。該中和剤としては、酸性基を中和できるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア水などが挙げられ、これらの中和剤は、中和後の水性樹脂分散体のpHが6.5〜9となるように加えることが好ましい。また、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)における重合性不飽和モノマー(a2)として、ジアセトンアクリルアミドを使用する場合には、塗膜硬度向上を目的としてアジピン酸ジヒドラジドを配合することができる。
上記製造方法により得られる水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)は、安定に製造することができ、分散樹脂の平均粒子径は、500nm以下、特に100〜300nmの範囲内にすることができる。また、塗膜の仕上り性、耐水性及び防食性の点から水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)の油長は、0.5〜45%、好ましくは3〜35%、より好ましくは10〜30%の範囲内が好適である。本明細書において油長とは、樹脂固形分に対する脂肪酸の質量百分率である。
水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)
本発明の1液型水性塗料組成物において水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)と共に配
合される水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)は、脂肪酸(b1)及び重量平均分子量が200以上のエポキシ樹脂(b2)を構成単位として含有する水性樹脂であり、分散樹脂の平均粒子径が100〜1,000nm、特に100〜800nm、さらに特に100〜500nmが好適である。
本明細書において、重量平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲ
ルパーミュエーションクロマトグラフィにより測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。該ゲルパーミュエーションクロマトグラフィに用いるカラムとしては、「TSK gel G−4000HXL」、「TSK gel G−3000HXL」、「TSK gel G−2500HXL」、「TSK gel G−2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製)を挙げることができる。
また、水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)の油長としては、0.5〜45%、好ましくは5〜35%、より好ましくは8〜30%の範囲内が塗膜の仕上り性、耐水性及び防食性の点から好適である。
上記脂肪酸(b1)としては、上記水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)に使用される脂肪酸(a1)に例示された中から適宜選択して使用することができる。
一方、エポキシ樹脂(b2)は、分子中にエポキシ基を1個以上、好ましくは2個含有する重量平均分子量が200以上の樹脂であり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/F型エポキシ樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などのポリフェノール類と、エピクロルヒドリンなどのエピハロヒドリンとを反応させてグリシジル基を導入してなるか又はこのグリシジル基導入反応生成物にさらにポリフェノール類を反応させて分子量を増大させてなる芳香族エポキシ樹脂;脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;エポキシ基含有重合性不飽和モノマーとその他の重合性不飽和モノマーとを共重合させてなるエポキシ基含有アクリル系共重合体;エポキシ基を有するポリブタジエン樹脂;エポキシ基を有するポリウレタン樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂(b2)は、目的に応じて、それぞれ単独でもしくは2種以上を組み合せて使用することができる。特に好適なエポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂を挙げることができる。上記エポキシ樹脂(b2)は、一般に200〜6,000、特に300〜2,000さらに特に350〜2,000の範囲内の重量平均分子量及び一般に100〜3,000、特に150〜1,000、さらに特に175〜1,000の範囲内のエポキシ当量を有することが好ましい。
上記水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)は、脂肪酸(b1)及びエポキシ樹脂(b2)を反応させることにより得られる脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)を水性化することにより得られる。
上記脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)において、脂肪酸(b1)とエポキシ樹脂(b2)の使用割合は、脂肪酸(b1)のカルボキシル基とエポキシ樹脂(b2)のエポキシ基との当量比が、0.75:1〜1.25:1好ましくは0.8:1〜1.2:1の範囲内であることが好適である。
上記脂肪酸(b1)とエポキシ樹脂(b2)との反応は、通常、重合禁止剤の存在下に、ゲル化などの反応上の問題を起こすことなく、脂肪酸(b1)中のカルボキシル基とエポキシ樹脂(b2)中のエポキシ基とが円滑に反応するような条件下で行うことができ、通常、140〜170℃の温度で7時間〜15時間加熱することにより行う。
この反応において、N,N−ジメチルアミノエタノールなどの3級アミン、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウムなどの4級アンモニウム塩等のエステル化反応触媒を用いることができ、さらに、反応に対して不活性な有機溶媒を使用してもよい。
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロカテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのヒドロキシ化合物;ニトロベンゼン、ニトロ安息香酸、o−,m−又はp−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、2,4−ジニトロフェノール、トリニトロベンゼン、ピクリン酸などのニトロ化合物;p−ベンゾキノン、ジクロロベンゾキノン、クロルアニル、アンスラキノン、フェナンスロキノンなどのキノン化合物;ニトロソベンゼン、ニトロソ−β−ナフトールなどのニトロソ化合物等のそれ自体既知のラジカル重合禁止剤が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
なお、脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)の水性化手法としては、特に限定されるものではないが、上記脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)に乳化剤を混合し、水性媒体中に分散する方法、上記脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)がカルボキシル基を有する場合には、該カルボキシル基を塩基性物質にて中和した後、水性媒体中に分散する方法、等が挙げられる。
上記乳化剤としては、上記水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)の説明で列記した中から適宜選択できる。配合量としては、樹脂(B1)固形分に対して0.1〜15質量%、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲内が好適である。
また、上記水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)は、脂肪酸(b1)及びエポキシ樹脂(b2)を反応させてなる脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)に、さらに重合性不飽和モノマー(b3)を反応させてなる脂肪酸変性樹脂(B13)を水性化することにより得られる樹脂であってもよい。上記重合性不飽和モノマー(b3)は、上記水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)の製造におけるその他の重合性不飽和モノマー(a2)で例示した中から適宜選択して使用できる。
本発明において、脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)と重合性不飽和モノマー(b3)との反応は、例えば、脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)、重合性不飽和モノマー(b3)及び重合開始剤等を混合し、60〜150℃程度の範囲内で通常1〜10時間程度加熱反応することにより行うことができる。
この場合において、脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)と重合性不飽和モノマー(b3)の使用割合は、脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)100質量部に対し、重合性不飽和モノマー(b3)が10〜2,000質量部、好ましくは25〜1,000質量部の範囲内であることが望ましい。
上記重合開始剤としては、従来公知のものが使用できるが、水素引き抜きにより該脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)分子にラジカルを発生させ、重合性不飽和モノマー(b3)とのグラフト化を効率良く進行させるために過酸化物系の重合開始剤を使用することが望ましい。過酸化物系の重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド等が挙げられ、中でもベンゾイルパーオキサイドが好適である。
さらに、脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)と重合性不飽和モノマー(b3)との反応を効率よく進行させるために、脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)がエポキシ基を、重合性不飽和モノマー(b3)がカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを夫々含んでいてもよい。カルボキシル基を有する重合性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等が挙げられ、重合性不飽和モノマー(B2)中に0.5〜20質量%、好ましくは1〜15質量%含有されることが望ましい。重合性不飽和モノマー(B2)がカルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを含有すると、水分散性又は顔料分散性を向上させることもでき、好適である。
このエステル化反応の際には、エポキシ基/カルボキシル基反応触媒の存在下で、120℃〜150℃の条件下にて通常1〜10時間程度加熱反応することができる。エポキシ基/カルボキシル基反応触媒としては、例えば、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルフォスフォニウムブロマイド、トリフェニルベンジルフォスフォニウムクロライド等の4級塩触媒;トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類等を挙げることができる。
脂肪酸変性エポキシ樹脂(B1)と重合性不飽和モノマー(b3)との反応において、水素引き抜きによるグラフト化反応とエポキシ基/カルボキシル基によるエステル化反応の順番は適宜選択することができ、また同時に行うことも可能である。
上記重合性不飽和モノマー(b3)により変性された脂肪酸変性エポキシ樹脂(B13)の水性化方法としては、特に限定されるものではなく、該脂肪酸変性エポキシ樹脂に乳化剤を混合し、水性媒体中に分散する方法、該脂肪酸変性エポキシ樹脂がカルボキシル基を有する場合には、該カルボキシル基を塩基性物質にて中和した後、水性媒体中に分散する方法、等が挙げられる。また、水性化後に必要に応じて系中の有機溶剤を留去させ除去することもできる。
本発明の1液型水性樹脂組成物は、上記水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)及び水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)を基体樹脂成分として含有するものであり、その配合割合は塗膜の用途等に応じて変えることができるが、仕上り性、塗膜硬度、耐水性、防食性及び耐候性の点から、樹脂(A)/樹脂(B)の固形分質量比で、一般に5/95〜95/5、好ましくは30/70〜70/30の範囲内が好ましい。
金属ドライヤー(C):
本発明の1液型水性樹脂組成物は、コバルト金属塩(c1)と、マンガン、ジルコニウム、リチウム及びバリウムから選ばれる少なくとも2種の金属の金属塩(c2)とを金属ドライヤー(C)として含有する。
特に、コバルト金属塩(c1)の中でも、コバルトと脂肪酸を含むコバルト脂肪酸塩を必須成分として含有し、2種の金属の金属塩(c2)は、マンガンと脂肪酸を含むマンガン脂肪酸塩、ジルコニウムと脂肪酸を含むジルコニウム脂肪酸塩、リチウムと脂肪酸を含むリチウム脂肪酸塩及びバリウムと脂肪酸を含むバリウム脂肪酸塩の中から選ばれる少なくとも2種の脂肪酸金属塩を含有するものである。
上記の脂肪酸は、例えば、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグリノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、トウハク酸、リンデル酸、ツズ酸、マッコウ酸、ミリストオレイン酸、ゾーマリン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、鯨油酸、エルシン酸、サメ油酸、リノール酸、ヒラゴ酸、エレオステアリン酸、ブニカ酸、トリコサン酸、リノレン酸、モロクチ酸、パリナリン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ヒラガシラ酸、ニシン酸、大豆油脂肪酸、ステアリン酸、トール油脂肪酸等が挙げられる。具体的には、オクチル酸コバルト、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸バリウム、オクチル酸ジルコニウム、オクチル酸バリウム等が挙げられる。
例えば、市販品としては、Durham Cobalt 10WM(Co=10 % 金属量(%))、Durham Manganese 10WM(Mn=10 % 金属量(%))、Durham Zirconium 10WM(Zr=10 % 金属量(%))(以上、いずれもロックウッド社製)等があげられる。
また、前記した金属3種類を含有した市販品も使用することができ、例えば、Additol VXW−4940( Co/Zr/Ba=3/5/3金属含有量(%))、Additol VXW−4952(Co/Mn/Zr=3/2/4 金属含有量(%))、Additol VXW−6206( Co/Zr/Li=5/7.5/0.2金属含有量(%)) 、Additol VXW−6240(Co/Zr/Ba=4/6.5/3.7金属量(%))(以上、日本サイテック株式会社製)などが挙げられる。
1液型水性塗料組成物を塗装して得られた塗膜において、コバルト金属塩(c1)を最適量配合することによって塗膜表面の硬化乾燥を早めて塗膜表面の硬度の向上に寄与する。さらにマンガン、ジルコニウム、リチウム及びバリウムから選ばれる少なくとも2種の金属の金属塩(c2)とを含む金属ドライヤーを最適量配合することによって、塗膜内部の乾燥を早めて、塗膜の耐水性及び防食性向上に寄与する。得られた塗膜は、塗装膜厚が20μm以上の厚膜においても十分に塗膜性能を得ることができる。
上記金属ドライヤー(C)には、さらに、その他の金属ドライヤーを併用することもでき、例えば、亜鉛、銅、鉄、カルシウム、マグネシウム、セリウム、アルミニウム、ストロンチウム等の金属と前記脂肪酸との金属塩化合物が挙げられる。具体的には、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸銅、ナフテン酸鉄、ナフテン酸カルシウム、ナフテン酸マグネシウム、オクチル酸亜鉛、オクチル酸銅、オクチル酸鉄、オクチル酸カルシウム、オクチル酸マグネシウム、オクチル酸セリウム、オクチル酸アルミニウム、ネオデカン酸カルシウム等が挙げられる。
前記金属ドライヤー(C)の使用量は、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)及び水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)の合計の樹脂固形分100質量部を基準にして、合計金属量(質量換算)で0.01〜15質量部、好ましくは0.1〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部含有することがよい。コバルト金属塩(c1)と金属塩(c2)の配合量は、目的とする要求性能に応じて変動することは可能である。
さらに、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)及び水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)の合計の樹脂固形分100質量部を基準にして、各金属塩における金属量は、コバルトが0.01〜1.0質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%、さらに好ましくは0.1〜0.2質量%、並びに、マンガン、ジルコニウム、リチウム及びバリウムから選ばれる少なくとも2種の金属は、0.01〜1.0質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%、さらに好ましくは0.1〜0.3質量%の範囲が、塗膜硬度、耐水性、防食性に優れる塗膜性能を得ることができる。
亜リン酸塩化合物:
本発明の1液型水性塗料組成物には、耐水性や防食性の向上を目的として、亜リン酸塩化合物を含有する。
上記亜リン酸塩化合物は、無毒性の防錆顔料であり、亜鉛、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウムからなる群から、選ばれた1種以上の金属の亜リン酸塩が好ましい。溶出した亜リン酸イオンが、塗膜中に侵入してくる酸素を補足し、亜リン酸はリン酸に酸化され、そのリン酸イオンが金属表面の金属イオンと反応し、錯化合物を形成して金属表面を保護し、防錆効果をもたらすと考えられている。
例えば、市販品としては、亜リン酸亜鉛系のEXPERT NP−1500、EXPERT NP−1600(東邦顔料製)、亜リン酸カルシウム系のEXPERT NP−1000、EXPERT NP−1020C(東邦顔料製)、亜リン酸アルミニウム系としてはEXPERT NP−1100、EXPERT NP−1102(東邦顔料製)等が挙げられる。
本発明において亜リン酸塩化合物の配合量は、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)と水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)の固形分合計100質量部に対して、亜リン酸塩化合物を1〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは3〜10質量部が、塗料安定性、仕上り性、耐水性及び防食性の面から好ましい。
上記亜リン酸塩化合物は、従来から公知の防錆顔料を併用することも可能であり、例えば、モリブテン酸塩化合物を併用することもできる。モリブテン酸塩化合物は、無毒性の顔料であり、亜鉛、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウムからなる群から選ばれた1種以上の金属のモリブテン酸塩が好ましい。外部より侵入してくる水分に、徐々に溶出するモリブテン酸イオンと金属表面の金属イオン反応し、密着性の良い不動態被膜を形成し、金属表面を保護し防錆作用が現れると考えられている。
このようなモリブテン酸塩を含有する防錆顔料としては、モリブテン酸亜鉛系のLFボウセイ M−PSN(キクチカラー製)、モリブテン酸カルシウム系のLFボウセイ MC−400WR(キクチカラー製)、モリブテン酸アルミニウム系のLFボウセイ PM−300、PM−308(キクチカラー製)等が挙げられる。
他には、リン酸塩化合物も併用することができ、例えばリン酸亜鉛系のLFボウセイ D−1、ZP−50S(キクチカラー製)、リン酸カルシウム系のLFボウセイ CP−Z(キクチカラー製)、リン酸マグネシウム系のLFボウセイ MZP−500(キクチカラー製)、リン酸アルミニウム系のLFボウセイ CRFC−1(キクチカラー製)等が挙げられる。リン酸塩の中でも、表面を金属化合物で処理したトリポリ燐酸2水素アルミニウムが好ましく用いられる。表面を金属化合物で処理したトリポリ燐酸2水素アルミニウムは、無毒性の顔料であり、トリポリリン酸イオンのキレート化により金属表面の金属イオンとポリ燐酸塩不動態被膜を形成し、金属表面を保護し防錆作用が現れると考えられている。
ここでトリポリ燐酸2水素アルミニウムは、pHが1〜3と低く、これを配合した塗料組成物は、酸性となり、塗料粘度が上昇して、塗料の安定性を損なう恐れがあり、本発明では、このトリポリ燐酸2水素アルミニウムの表面を金属化合物で処理することにより、塗料の安定化を図っている。又、金属化合物は、トリポリ燐酸イオンの溶出を調整し、防錆効果の持続が図られる。上記金属化合物としては、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、マンガン、ビスマス、コバルト、スズ、ジルコニウム、チタニウム、ストロンチウム、銅、鉄、リチウム、アルミニウム、ニッケル、及びナトリウムの塩化物、水酸化物、炭酸化物、硫酸物等が挙げられる。金属化合物で処理されたトリポリ燐酸2水素アルミニウムとしては、市販品として、K−ホワイト Ca650、K−ホワイトK−450H、K−ホワイトG105、K−ホワイトK−105、K−ホワイトK−82(テイカ社製)等が挙げられる。
水分散性アクリル重合体粒子(D):
本発明の1液型水性塗料組成物は、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)と水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)の固形分合計100質量部に対して、前記金属ドライヤー(C)及び亜リン酸塩化合物に加え、必要に応じて、特定の水分散性アクリル重合体粒子(D)を含有することができる。水分散性アクリル重合体粒子(D)を添加することによって、耐水性を損うことなく造膜性を得ることができる。
水分散性アクリル重合体粒子(D)は、重量平均分子量が30万以上、かつ質量濃度1.35%の1,4−ジオキサンを溶媒とする液とした分光光度計による波長330nmにおける吸光度の値が0.2以下である水分散性アクリル重合体粒子である。上記吸光度の値が低いほど1,4−ジオキサンを溶媒とする液としたときの透明性が高く、水分散性アクリル重合体粒子(D)は、分枝または架橋の度合いが低いものとなる。
水分散性アクリル重合体粒子(D)は、上記吸光度測定による吸光度の値が0.2以下であり、極めて透明度が高いという特徴を有するものである。なお、本明細書においては、1,4−ジオキサンを溶媒とする液とは、1,4−ジオキサンを溶媒とする溶液及び分散液の両方を包含する。
水分散性アクリル重合体粒子(D)は、例えば、ビニルモノマーに代表されるラジカル重合性不飽和モノマーを界面活性剤などの分散安定剤の存在下で、ラジカル重合開始剤を用いて乳化重合することによって得ることができる。
上記ラジカル重合性不飽和モノマーとしては、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和モノマー(d1)、及びその他の重合性不飽和モノマー(d2)等を使用することができる。
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(d1)は、1分子中に1個以上のカルボキシル基と1個の重合性不飽和基とを有する化合物であり、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)の製造に例示した「(1)カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー」を使用できる。カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(e1)は、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。その他の重合性不飽和モノマー(e2)は、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)の製造に例示した「(2)アクリル酸又はメタクリル酸と炭素数1〜20の1価アルコールとのモノエステル化物〜(11)水酸基含有重合性不飽和モノマー等」を使用できる。水分散性アクリル重合体粒子(D)における重合性不飽和モノマーの配合割合は、重合性不飽和モノマーの総量を基準にして、下記のとおりである。
上記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(d1)は、0.1〜15質量%、好ましくは3〜10質量%、その他の重合性不飽和モノマー(d2)は、85〜99質量%、好ましくは90〜97質量%の範囲が、該重合体粒子の水分散性、耐水性及び防食性向上の点からも好ましい。
上記重合性不飽和モノマーを乳化重合する際に使用される分散安定剤としては、アニオン系乳化剤、ノニオン系乳化剤、両性イオン乳化剤などを挙げることができる。具体的には、アニオン系乳化剤としては、例えば、脂肪酸、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルリン酸塩などが挙げられる。
ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミドなどをあげることができる。両性イオン乳化剤としては、アルキルベダインなどを挙げることができる。
なお、分散安定剤としては、水分散性アクリル重合体粒子(D)を形成するビニルモノマーの乳化重合反応における共重合性、水分散性アクリル重合体粒子の分散安定性、塗膜の耐水性や防食性等の塗膜性能向上の点から、特に反応性乳化剤を好適に使用することができる。反応性乳化剤とは、ビニルモノマーとラジカル反応性を有する乳化剤であり、1分子中に重合性不飽和基を有する界面活性剤である。
上記反応性乳化剤の具体例としては、エレミノールJS−1、エレミノールJS−2(三洋化成社製)、S−120、S−180A、S−180、ラテムルPD−104、ラテムルPD−420、ラテムルPD−430S、ラテムルPD−450(花王社製)、アクアロンHS−10、アクアロンKH−10(第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE−10N、アデカリアソープSE−20N、アデカリアソープSR−1025、アデカリアソープER−10、アデカリアソープER−20、アデカリアソープER−30、アデカリアソープER−40(ADEKA製)、ANTOX MS−60(日本乳化剤社製)などを挙げることができる。
上記反応性乳化剤のうち、特に好ましいものとして、1分子中に−(CHCHO)n−(式中、nは5〜60、好ましくは10〜55、さらに好ましくは20〜45の整数)で表わされるポリオキシエチレン基及び重合性不飽和基を有する反応性乳化剤を挙げることができる。上記特に好ましい反応性乳化剤の具体例として、アデカリアソープER−30、アデカリアソープER−40、ラテムルPD−450等を挙げることができる。上記乳化剤等の分散安定剤は、乳化重合反応において、1種で又は2種以上を組合せて用いることができる。
水分散性アクリル重合体粒子(D)の乳化重合に際して用いられる分散安定剤の使用量は、重合性不飽和モノマーの総量を基準にして、0.1〜10質量%、特に1〜7.5質量%、さらに特に、1.5〜6質量%の範囲であるのが好ましい。
また、水分散性アクリル重合体粒子(D)の乳化重合に際して用いられるラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化アンモニウム等に代表される過酸化物、これら過酸化物と、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸などの還元剤とが組み合わされたいわゆるレドックス系開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕などのアゾ化合物等を挙げることができる。これらのうち、アゾ化合物が好ましい。
また、アゾ化合物の中でも25℃の水に対する溶解度が3質量%以下の水難溶性のアゾ化合物が好ましい。このようなアゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等を挙げることができ、特に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートが高分子量化の観点から好ましい。
ラジカル重合開始剤の量は水分散性アクリル重合体粒子(D)を形成する重合性不飽和モノマーの総重量に対して、通常、0.01〜5.0質量%、好ましくは0.01〜1.0質量%の範囲内であるのが適している。また、乳化重合反応系における重合性不飽和モノマーの濃度は、通常、0.1〜60質量%、好ましくは0.5〜50質量%の範囲内であることが適している。
乳化重合の際の反応温度は、使用するラジカル重合開始剤により異なるが、通常40〜100℃、好ましくは50〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃とすることができる。反応時間は通常3〜24時間、好ましくは5〜20時間、さらに好ましくは7〜16時間とすることができる。
水分散性アクリル重合体粒子(D)は、通常の均一構造又はコア/シェル構造などの多層構造のいずれであってもよい。コア/シェル構造の水分散性アクリル重合体粒子は、例えば、最初にカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(d1)を全く又は殆んど含有しない重合性不飽和モノマー成分を乳化重合し、その後、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(d1)を多量に含んだ重合性不飽和モノマー成分を加えて乳化重合することによって得ることができる。
また、水分散性アクリル重合体粒子(D)は、貯蔵安定性や塗膜の耐水性及び防食性の観点から0.5〜120mgKOH/g、好ましくは0.5〜80mgKOH/g、さらに好ましくは3〜35mgKOH/gの範囲内の酸価を有することができる。
さらに、水分散性アクリル重合体粒子(D)は、粒子の分散安定性及び塗膜の仕上り性の面から10〜500nm、好ましくは20〜300nm、さらに好ましくは40〜200nmの範囲内の平均粒子径を有することが適している。
なお水分散性アクリル重合体粒子(D)の重量平均分子量は、貯蔵安定性や得られる塗膜の加工性、基材への接着性、耐食性、耐膜残り性等の塗膜性能の観点から、30万以上であり、好ましくは30万〜1000万、さらに好ましくは80〜500万である。
水分散性アクリル重合体粒子(D)の重量平均分子量は、静的光散乱法により求めることができる。具体的には、多角度の光散乱検出装置を使用し、ジムプロット等を作成することにより値を得ることができる。あるいは、サイズ排除クロマトグラフに多角度光散乱検出器を接続したSEC−MALLS法により、デバイプロット等を作成することにより得ることができる。
一般に光散乱法による分子量測定には、以下の光散乱の基礎式(1)
Kc/R(θ)=1/MwP(θ)+2Ac+・・・ (1)
R(θ)=角度θにおける散乱光(レイリー係数)の還元強度
c=サンプル濃度
Mw=重量平均分子量
=第2ビリアル係数
K=光学パラメーター
P(θ)=角度散乱関数
が用いられるが、本発明の重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフに多角度光散乱検出器を接続したSEC−MALLS法と同様、上記式(1)において、第2ビリアル係数とサンプル濃度との積である第2項以降を無視した式から求めた値をいうものとする。
後記製造例等における測定を含め、本明細書においては、検出器として、DAWN DSP Laser Photometer(Wyatt Technology Co.製)を用い、カラムとして、「KF−806L」を2本、「KF−802」を1本(いずれもShodex社製、商品名)の計3本を用い、溶媒;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1cc/分、サンプル濃度;0.1質量%の条件で行うものとする。
試料の調製は、水分散性アクリル重合体粒子(D)のエマルションを常温にて乾燥させ、乾燥した重合体粒子を、固形分濃度が2.5質量%となるようテトラヒドロフランに加え、2時間室温にて溶解させることにより行なった。測定時はテトラヒドロフランにて、さらに濃度0.1質量%に希釈し、ポアサイズ1μmのメンブランフィルターにてろ過したものを測定試料として用いた。
水分散性アクリル重合体粒子(D)の1,4−ジオキサンを溶媒とする液の吸光度は、水分散性アクリル重合体粒子のエマルションを常温にて乾燥した後、1,4−ジオキサンを溶媒とする濃度1.35wt%液に調整したものを試料とし、分光光度計を用いて、波長330nmの条件で、吸光度を測定し、その測定値をセルの長さ(cm単位)で除して、1cm当たりの吸光度にすることにより求めた。分光光度計としては、U−4100(HITACHI社製)を用いた。上記1,4−ジオキサンを溶媒とする液は、乾燥した重合体粒子を2時間室温で溶解させようとしたものであり、溶液、分散液のいずれをも包含する。
水分散性アクリル重合体粒子(D)は、1.35質量%の1,4−ジオキサンを溶媒とする液とした分光光度計による波長330nmにおける吸光度の値が、得られる塗膜の仕上り性の観点から、0.2以下であり、好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.1以下である。
水分散性アクリル重合体粒子(D)は塩基性化合物で中和することが好ましい。水分散性アクリル重合体粒子(D)の中和剤としては、アンモニア又は水溶性アミノ化合物、例えば、モノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、ジエタノールアミン、モルホリン等を好適に使用することができる。
1液型水性塗料組成物における水分散性アクリル重合体粒子(D)の含有量は、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)と水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)の固形分合計100質量部に対して、水分散性アクリル重合体粒子(D)を1〜20質量部、好ましくは3〜15質量部、さらに好ましくは5〜10質量部が、仕上り性、塗膜硬度、光沢、耐水性、防食性及び耐候性に優れる塗膜を得ることができる。
本発明の1液型水性塗料組成物は、必要に応じて、例えば、イオン交換された非晶質シリカ微粒子、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ等の着色顔料;クレー、タルク、マイカ、バリタ、炭酸カルシウム、シリカなどの体質顔料;水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、硝酸ビスマス、ケイ酸ビスマスなどの防錆顔料;ポリアミン化合物、紫外線吸収剤、消泡剤、顔料分散剤、表面調整剤、界面活性剤、硬化触媒、増粘剤、防腐剤、凍結防止剤などを配合することができる。
前記のイオン交換された非晶質シリカ微粒子は、微細な多孔質のシリカ担体にイオン交換によってカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンが導入されたシリカ微粒子である。上記アルカリ土塁金属イオンとしては、なかでもカルシウムイオンが好適である。塗膜中に配合されたイオン交換された非晶質シリカ微粒子は、塗膜を透過してきた水素イオンや酸素イオンとイオン交換され、カルシウムイオン(Ca2+)又はマグネシウムイオン(Mg2+)などのアルカリ土類金属イオンが放出されて金属表面を保護するものと考えられる。カルシウムイオン交換シリカの市販品としては、例えば、SHIELDEX(シールデックス、登録商標)C303、SHIELDEX AC−3、SHIELDEX AC−5(以上、いずれもW.R.Grace & Co.社製)などを挙げることができる。
前記の紫外線吸収剤としては、トリアジン系またはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
が好ましく、例えば、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)
オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン と2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンの混合物(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、「TINUVIN 400」)、β−[3−(2−H−ベンゾトリアゾール)−2−イル]−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル]プロピオン酸−ポリエチレングリコール300エステル とビス{β−[3−(2−H−ベンゾトリアゾール)−2−イル]−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル}プロピオン酸}−ポリエチレングリコール300エステル の混合物(例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、「TINUVIN 1130」)などが挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダ−ドアミン誘導体を用いることができ、具体的には、例え
ば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバテ−トと
メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバテ−トの混合物
(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、「TINUVIN
292」)、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−オクチルオキシ−4−ピペリ
ジニル)デカンジオネート(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、
「TINUVIN 123」)などが挙げられる。
前記の消泡剤としては、例えばポリエーテル系、ポリシロキサンとポリエーテルの共
重合系、ポリシロキサンとケイ酸の縮合物系、金属石鹸系などが使用できる。
本発明の1液型水性塗料組成物の塗装方法、及び塗膜の硬化方法としては、例えば、浸漬塗り、刷毛塗り、ロール刷毛塗り、スプレーコート、ロールコート、スピンコート、ディップコート、バーコート、フローコート、静電塗装、ダイコート等による塗装法等が好適である。これら塗装方法による塗膜の膜厚は、10μm〜100μm、好ましくは20μm〜80μmである。
なお塗膜の硬化方法としては、常温硬化(例えば、50℃を越えて100℃以下の温度で5〜40分間強制乾燥を行った後、50℃以下で24時間〜10日間、好ましくは3日間〜7日間で塗膜を硬化させる。)、加熱硬化(例えば、100〜200℃で10〜120分間、好ましくは120〜180℃で20〜90分間で塗膜を硬化させる)により行うことができる。被塗物が、熱容量が大きく塗膜を十分に加熱できない部品や、プラスチックやゴムなどを組み込んだ部品である場合には、上記記載の常温硬化が好適である。
上記1液型水性塗料組成物の保存容器としては特に限定されないが、例えば、1L〜200Lのものを用いることができ、具体的には、ドラム缶、石油缶等が使用可能である。これらの容器は、オートクレーブ、紫外線、ガンマ線などで滅菌処理してもよいし、カビの発生や容器内の物質の腐敗を防ぐために、容器の内側をコーティングしてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。尚、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を示す。
製造例1 脂肪酸変性重合性不飽和モノマーの製造
反応容器に下記の成分を入れ、攪拌しながら反応温度140℃、5時間で反応させ、
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)を得た。
亜麻仁油脂肪酸 280部
グリシジルメタクリレート 142部
臭化テトラアンモニウムブロマイド 0.13部。
製造例2 水性脂肪酸変性アクリル樹脂の製造
ガラスビーカーに下記「モノマー乳化物組成」成分を入れ、ディスパーにて2000
rpmで15分間攪拌し、予備乳化液を製造した後、この予備乳化液を、高圧エネルギーを加えて流体同士を衝突させる高圧乳化装置にて100MPaで高圧処理することにより、分散粒子の平均粒子径が190nmのモノマー乳化物を得た。
「モノマー乳化物組成」
製造例1で得た脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a) 35部
スチレン 10部
i−ブチルメタクリレート 24部
t−ブチルメタクリレート 18部
2−エチルヘキシルメタクリレート 10部
メタクリル酸 3部
アデカリアソープER−40(注1) 2部
脱イオン水 145部
次いで、上記モノマー乳化物をフラスコへ移し、脱イオン水にて固形分濃度が45%となるように希釈した。その後85℃まで昇温させ、過硫酸アンモニウム0.5部を脱イオン水13部に溶解させた開始剤水溶液をフラスコに投入し、該温度を保持しながら3時間攪拌した。その後、過硫酸アンモニウム0.25部を脱イオン水10部に溶解させた開始剤水溶液をフラスコに添加し、該温度を保持しながら1時間攪拌した後40℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノールでpHを8.0に調整し、固形分濃度40%、分散樹脂の平均粒子径が190nmの水性脂肪酸変性アクリル樹脂No.1を得た。
(注1)「アデカリアソープER−40」:商品名、ADEKA社製、ポリオキシエチレン鎖を有するノニオン性乳化剤、有効成分60%。
製造例3〜5
モノマー乳化物の配合組成を表1のとおりに変更する以外は上記製造例2と同様にして、水性脂肪酸変性アクリル樹脂No.2〜No.4を得た。
Figure 0005451025
製造例6 水性脂肪酸変性エポキシ樹脂の製造
反応容器に、亜麻仁油脂肪酸280部、「jER828」(注2)185部及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.23部を入れ、攪拌しながら反応温度140℃で反応させ、脂肪酸変性エポキシ樹脂を得た。エポキシ基とカルボキシル基の反応は残存カルボキシル基の量を測定することによりモニターした。残存カルボキシル基の量がほぼなくなるまで反応を行い、反応が完了するまで約7時間を要した。その後、「Newcol707SF」19部を該反応容器に入れ、ディスパーにて2000rpmで攪拌しながら、脱イオン水620部を滴下し、固形分が40%の水性脂肪酸変性エポキシ樹脂を得た。
(注2)「jER828」:商品名、ジャパンエポキシレジン社製、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量185。
製造例7
配合組成を表2に記載のとおりにする以外は、上記製造例6と同様にして水性エポキシ樹脂を製造した。
Figure 0005451025
製造例8 水分散性アクリル重合体粒子No.1の水分散液の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水85部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、75℃に昇温した。
次いで、下記のモノマーと開始剤の乳化物(注3)全量のうちの3%量及び0.5%過硫酸アンモニウム水溶液10部とを反応容器内に導入し75℃で2時間保持した。その後、残りのモノマーと開始剤の乳化物を5時間かけて反応容器内に滴下し、滴下終了後6時間熟成を行なった。その後、30℃まで冷却し、5.0%ジメチルエタノールアミン水溶液と脱イオン水を用いて固形分濃度40%、pHが6.8となるように調整した。ついで、200メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、固形分40%の水分散性アクリル樹脂1の水分散液を得た。得られた水分散性アクリル重合体粒子No.1は、平均粒子径140nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定した。)、酸価10mgKOH/gを有していた。
(注3)モノマーと開始剤の乳化物:脱イオン水55部、ドデシルベンゼンスルホン酸アミン塩乳化剤3.0部、スチレン28.5部、アクリル酸エチル70部、メタクリル酸1.5部、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕0.2部を混合攪拌して、モノマーと開始剤の乳化物を得た。
製造例9 水分散性アクリル重合体粒子No.2の水分散液の製造
モノマーと開始剤の乳化物の組成を下記表1に示すとおりとする以外、製造例8と同様にして合成を行い、水分散性アクリル重合体粒子No.2の水分散液を得た。得られた水分散性アクリル樹脂No.1〜No.2の重量平均分子量、吸光度、平均粒子径、酸価及び固形分濃度を下記表3に示す。
Figure 0005451025
製造例10 水酸基含有アクリル樹脂溶液(顔料分散用樹脂)の製造例
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にプロピレングリコールモノプロピルエーテル35部を仕込み85℃に昇温後、メチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、n−ブチルアクリレート29部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15部、アクリル酸6部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル15部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.3部の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。
その後さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部の混合物を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらにジエタノールアミン7.4部を加え、固形分55%の水酸基含有アクリル樹脂溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂は酸価が47mgKOH/g、水酸基価が72mgKOH/gであった。
製造例11 顔料分散ペーストNo.1の製造例
製造例10で得た固形分55%のアクリル樹脂溶液14.5部(固形分8部)、チタン白80部、ZP−50S(注4)5部、NP−1020C(注5)5部、脱イオン水
90部加え、ボールミルに仕込み20時間攪拌することによって、固形分50%の顔料分散ペーストNo.1を得た。
製造例12〜15
表4の配合内容とする以外は、製造例11と同様にして、顔料分散ペーストNo.2〜
No.5を得た。
Figure 0005451025
(注4)ZP−50S:キクチカラー社製、商品名、リン亜鉛、酸化亜鉛混合物
(注5)NP−1020C:東邦化学社製、商品名、亜リン酸カルシウム
(注6)LF−ボウセイM−PSN:キクチカラー社製、商品名、モリブデン酸亜鉛
(注7)SHIELDEX AC−5:W.R.Grace & Co.社製、商品名、
カルシウムイオン交換された非晶質シリカ微粒子
(注8)K−WHITE 140W:テイカ社製、商品名、トリポリリン酸二水素アルミニウム。
実施例1 水性塗料No.1の製造例
製造例2で製造した固形分40%の水性脂肪酸変性アクリル樹脂溶液No.1 200部(固形分80部)、固形分40%の水性脂肪酸変性エポキシ樹脂No.1 50部(固形分20部)、50%の顔料分散ペーストNo.1を196部(固形分98部)、固形分40%の水分散性アクリル樹脂No.1を25部(固形分10部)、エチレングリコールモノブチルエーテル5部、ディスパーで攪拌しながら脱イオン水を加えて混合して固形分を調整し、固形分44%の水性塗料No.1を得た。
実施例2〜10
A〜E成分を表5の配合内容とする以外は、実施例1と同様にして、水性塗料No.2〜No.10を得た。次いで、試験板作成に従って得た試験板を、後記の試験方法によって試験に供した結果を表5に示す。
Figure 0005451025
(注10)Additol VWX−4940:日本サイテック製、商品名、Co/Zr/Ba=3%/5%/3% 金属量(%)
(注11)Additol VWX−4952:日本サイテック製、商品名、Co/Mn/Zr=3%/5%/3% 金属量(%)
(注12)Additol VWX−6206:日本サイテック製、商品名、Co/Zr/Li=5%/7.5%/0.2% 金属量(%)
(注13)Durhum Cobalt 100WM: ロックウッド製、商品名、Co=10 % 金属量(%)
(注14)Durhum Manganese 100WM: ロックウッド製、商品名、Mn=10 % 金属量(%)
(注15)Durhum Zirconium 100WM: ロックウッド製、商品名、Zr=10 % 金属量(%)
(注16)アジピン酸ジヒドラジッド:日本ファインケム製、商品名、アジピン酸ジヒドラジド
(注17)Tinuvin 1130:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、
β−[3−(2−H−ベンゾトリアゾール)−2−イル]−4−ヒドロキシ−5−
tert−ブチルフェニル]プロピオン酸−ポリエチレングリコール300エステルと
ビス{β−[3−(2−H−ベンゾトリアゾール)−2−イル]−4−ヒドロキシ−5−
tert−ブチルフェニル}プロピオン酸}−ポリエチレングリコール300エステルの
混合物
(注18) Tinuvin 292:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバテ−トと
メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバテ−トの混合物。
比較例1〜10
A成分〜E成分を表6の配合内容とする以外は、実施例1と同様にして、水性塗料No.11〜No.20を得た。次いで、試験板作成に従って得た試験板を、下記の試験方法による試験に供した結果を表6に示す。
Figure 0005451025
試験板の作成
上記の実施例1〜10、比較例1〜10にて得た水性塗料No.1〜No.20を用いて、冷延鋼板(無処理)に乾燥膜厚が35±2μmとなるようにスプレー塗装した。次に、電気熱風乾燥機を用いて80℃で30分間強制乾燥し、次いで室温(23℃)で7日間乾燥を行って試験板を得た。
(注19)塗料安定性:
各水性塗料を250mlのガラス容器に入れて暗所で40℃で30日間貯蔵し、状態をチェックした。
○は、塗料のゲル化及び相分離のいずれも認められず、
△は、やや塗料のゲル化及び相分離の少なくともいずれかがみられる、
×は、著しい塗料のゲル化及び相分離の少なくとも一つが著しくみられる。
(注20)仕上り性:
各試験板の塗面外観を目視で評価した。
○は、平滑性が良好で問題なし
△は、うねり、ツヤビケ、チリ肌などの仕上り性の低下がやや見られる、
×は、うねり、ツヤビケ、チリ肌などの仕上り性の低下が大きい。
(注21)鉛筆硬度:
JIS K 5600-5-4に準じて、試験塗板面に対し約45度の角度に鉛筆の芯を当て、芯が折れない程度に強く試験塗板面に押し付けながら前方に均一な速さで約10mm動かした。塗膜が破れなかったもっとも硬い鉛筆の硬度記号を鉛筆硬度とした。
(注22)光沢:塗膜の光沢の程度を、JIS K−5400 7.6(1990)の60度鏡面光沢度に従い、入射角と受光角とがそれぞれ60度のときの反射率を測定して、鏡面光沢度の基準面の光沢度を100としたときの百分率で表した。
(注23)塗膜の非粘着性:
各試験板の粘着性を指触で評価した。
◎は、粘着性はなく、キズ(爪あと)もつかない
〇は、粘着性はなく、キズ(爪あと)はつくが製品としては問題ない
△は、粘着性はあるが、指紋の跡は付かない
×は、粘着性があり、指紋の跡がつく。
(注24)耐水性:
各試験板を23℃で脱イオン水に72時間浸漬し、塗面を評価した。
◎は、ツヤビケもなく良好で問題ない
○は、ややツヤビケが見られるが製品として問題ないレベル
△は、フクレ、色落ちのいずれかが見られる、
×は、フクレ、色落ちのいずれかが大きい。
(注25)耐ソルトスプレー性:
各試験板の塗膜にナイフでクロスカット傷を入れ、これをJIS Z−2371に準じて120時間耐塩水噴霧試験を行い、ナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で評価した。
◎は、錆、フクレの最大幅が、カット部から2mm未満(片側)、
○は、錆、フクレの最大幅が、カット部から2mm以上でかつ3mm未満(片側)、
△は、錆、フクレの最大幅が、カット部から3mm以上でかつ4mm未満(片側)、
×は、錆、フクレの最大幅が、カット部から4mm以上(片側)。
(注26)耐候性:
JIS B−7533に規定されたサンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験において、照射時間が500時間となるまで試験を行った塗膜において、試験前の光沢に対する光沢保持率が80%となる照射時間を測定した。
〇は、照射時間が500時間となっても光沢保持率が80%以上である
△は、光沢保持率が80%を割る時間300時間以上、かつ500時間未満、
×は、光沢保持率が80%を割る時間300時間未満
熱容量が大きく乾燥炉の熱が十分に伝達しない被塗物や、プラスチックやゴムが組み込まれていて加熱することができない被塗物の塗装に有効である。

Claims (3)

  1. 脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a1)及びその他の重合性不飽和モノマー(a2)を含むモノマー混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が500nm以下になるように微分散させ、得られるモノマー乳化物を重合することにより得られる水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)、及び脂肪酸(b1)及び重量平均分子量が200以上のエポキシ樹脂(b2)を構成単位として含有する水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)を、該樹脂(A)/該樹脂(B)の固形分質量比で5/95〜95/5の比率で含有する塗料組成物であって、
    該樹脂(A)と該樹脂(B)の固形分合計100質量部に対して、下記特徴の金属ドライヤー(C)を合計金属量(質量換算)で0.01〜15質量部、亜リン酸塩化合物を1〜20質量部含有する建設機械用又は産業機械用の1液型水性塗料組成物。
    金属ドライヤー(C):コバルト金属塩(c1)と、マンガン、ジルコニウム、リチウム及びバリウムの中から選ばれる少なくとも2種の金属の金属塩(c2)とを含む金属ドライヤー
  2. さらに、水性脂肪酸変性アクリル樹脂(A)と水性脂肪酸変性エポキシ樹脂(B)の固形分合計100質量部に対して、下記特徴の水分散性アクリル樹脂(D)を1〜20質量部含有する請求項1に記載の建設機械用又は産業機械用の1液型水性塗料組成物。
    水分散性アクリル重合体粒子(D):カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー0.1〜15質量%及びその他の重合性不飽和モノマー85〜99.9質量%からなるモノマーの共重合体であって、重量平均分子量が30万以上である樹脂
  3. 亜リン酸塩化合物が、亜リン酸カルシウムである請求項1又は2に記載の建設機械用又は産業機械用の1液型水性塗料組成物。
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