JP5449820B2 - 機能性分子用担体 - Google Patents

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Description

本発明は、機能性分子用担体、特に、生体内において標的組織へ選択的に機能性分子を送達するための担体に関する。
薬剤治療の分野において、副作用を抑制しながら薬効を高めることで治療の最適化を目指した薬剤送達システム(DDS:Drug Delivery System)の開発が進められている。DDSは、治療を必要とする特定の組織(標的組織)に対して選択的に、必要なときに必要量の薬剤を送達可能にしようとするものであることから、タンパク質、ペプチド若しくは遺伝子などからなる、低分子薬剤よりも生体内での半減期が短い所謂バイオ薬剤の活用を図る上での有用性も高い。
DDSは、その開発において、標的組織へ薬剤を安定に送達する能力である標的性と、標的組織へ薬剤を送達するとともに標的組織での持続的な薬剤の作用を実現する能力である代謝安定性との改良が求められる。一般的なDDSは、担体に薬剤を保持させた形態のものであり、標的性および代謝安定性は主に担体に依存する。DDS用担体としてよく知られたものは、ポリエチレングリコール、リポソームおよび高分子ミセルなどであるが、これらは、標的性が良好であるものの、保持した薬剤の生理活性を大きく低下する懸念があり、また、生体内で比較的急速に代謝されて分解することから、生体への投与後に標的組織へ到達するまでの安定性および標的組織への到達後の安定性が不十分である。
そこで、DDS担体として、リジンデンドリマーおよびその枝分かれ末端にアルギニン残基またはヒスチジン残基をカップリングさせたものなどのアミノ酸デンドリマーが提案されており、このアミノ酸デンドリマーは、プラスミドDNAやsiRNAなどの核酸分子と中性の複合体を形成し、細胞内へ核酸分子を送達できることが報告されている(非特許文献1)。
また、ベンジル基が置換したヒスチジン残基を枝分かれ末端にカップリングさせたリジンデンドリマーのヒスチジン残基に対し、糖鎖をさらに結合したグリゴデンドリマーは、生体内での動態をPET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層画像)イメージングできることが報告されている(非特許文献2および3)ことから、DDS担体への展開が期待される。
新留琢郎,河野喬仁,山形真人,栗原亮介,奥田竜也,アミノ酸デンドリマーを用いた核酸デリバリー,Drug Delivery System,22−2,108−114,2007 Eric R. O. Siwu, Chika Kageyama, Sanae Shirotsuki, Kastunori Tanaka and Koichi Fukase, Acceleration of Cu(I)-Mediated Huisgen 1,3-Dipolar Cycloadditionby Histidine Derivatives: Facile Synthesis of Glycodendrimers for PET Imaging, 17th International Conference on Organic Synthesis (IUPAC/ICOS-17), June 22-27, 2008 (Daejeon, Korea) Eric R. O. Siwu, Chika Kageyama, Sanae Shirotsuki, Kastunori Tanaka, and Koichi Fukase, Acceleration of Cu(I)-Mediated Huisgen 1,3-Dipolar Cycloadditionby Histidine Derivatives: Facile Synthesis of Glycodendrimers for PET Imaging, The Fifth International Symposium on Integrated Synthesis (ISIS-5), September 4-6, 2008 (Kobe, Japan)
本発明の目的は、生体内において標的組織へ選択的に機能性分子を送達するために用いられる担体の標的性および代謝安定性を高めることにある。
本発明の機能性分子用担体は、生体内において標的組織へ選択的に機能性分子を送達するための担体であって、枝分かれ末端に置換基を有していてもよいヒスチジン残基が結合した第3世代若しくは第4世代のリジンデンドリマーのヒスチジン残基に対し、リンカーを挟んで下記の一般式(C)から(E)で表わされる糖鎖からなる群から選ばれた糖鎖が結合しているものである。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
一般式(C)から(E)において、Rは、アセチル基若しくはグリコリル基を示す。また、Rは、−(CH−若しくは−(OCHCH−で表わされる基を示し、nは1から10の整数である。
本発明の機能性分子用担体において、リンカーは、例えば、下記の一般式(F)から(O)で表わされる原子団からなる群から選ばれたものである。
Figure 0005449820
一般式(F)から(O)において、nは1から10の整数、Rは水素原子、炭素数が1から10のアルキル基、−(OCHCH−OHで表わされる基(nは1から10の整数を示す)、アミノ酸残基若しくはペプチド残基、Rは−(CH−で表わされる基(nは1から10の整数を示す)、−(OCHCH−で表わされる基(nは1から10の整数を示す)、アミノ酸残基若しくはペプチド残基を示しており、カルボニル基側がヒスチジン残基の主鎖アミノ基とアミド結合を形成しており、トリアゾール環側に糖鎖が結合している。
本発明の機能性分子用担体は、糖鎖の選択により標的性が変化する。具体的には、糖鎖が一般式(C)で表わされるものの場合、標的組織は肝臓、血液および心臓である。糖鎖が一般式(D)で表わされるものの場合、標的組織はリンパ節、脾臓、肝臓および腸管である。糖鎖が一般式(E)で表わされるものの場合、標的組織は脾臓および肝臓である。
本発明の機能性分子用担体は、枝分かれ末端に置換基を有していてもよいヒスチジン残基が結合した第3世代若しくは第4世代のリジンデンドリマーのヒスチジン残基に対し、リンカーを挟んで特定の糖鎖を結合したものであるため、標的性および代謝安定性に優れている。
本発明の機能性分子用担体は、アミノ酸デンドリマーの各枝分かれ末端と糖鎖とがリンカーを挟んで結合した構造のものである。
この担体を形成するアミノ酸デンドリマーは、中心となるリジンの側鎖のアミノ基を残した状態で主鎖のアミノ基側からリジンがアミド結合により扇型に連結した連結第3世代若しくは第4世代のリジンデンドリマーであって、当該リジンデンドリマーの第3世代若しくは第4世代側の末端、すなわち枝分かれ末端の全てのアミノ基にヒスチジンがアミド結合したものである。
ここで、第3世代および第4世代のリジンデンドリマーは、それぞれ下記の式(a)および式(b)で表わされる。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
このような第3世代若しくは第4世代のリジンデンドリマーは、公知のものであり、固相ペプチド合成法や液相ペプチド合成法といった公知のペプチド合成法に従って容易に製造することができる。
リジンデンドリマーの枝分かれ末端のアミノ基に結合するヒスチジンは、そのイミダゾイル基において置換基を有していてもよいものであり、下記の一般式(c)で表わされるものである。一般式(c)において、Rは、イミダゾイル基が置換基を有していないものの場合は水素原子を示し、イミダゾイル基が置換基を有するものも場合はメチル基若しくはベンジル基を示す。
Figure 0005449820
目的のアミノ酸デンドリマーは、第3世代若しくは第4世代のリジンデンドリマーの枝分かれ末端に位置する各アミノ基に対し、固相ペプチド合成法や液相ペプチド合成法といった公知のペプチド合成法に従ってヒスチジンまたは上記置換基を有するヒスチジンをアミド結合することで製造することができる。
一方、アミノ酸デンドリマーの枝分かれ末端に結合する糖鎖は、下記の一般式(A)から(E)で表わされる糖鎖からなる群から選ばれたものである。糖鎖は、アミノ酸デンドリマーに対して二種類以上のものが結合していてもよい。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
Figure 0005449820
一般式(A)から(E)において、Rは、アセチル基若しくはグリコリル基を示す。また、Rは、−(CH−若しくは−(OCHCH−で表わされる基を示す。nは1から10の整数である。
上述の糖鎖は、例えば、Y. Kajihara, Y. Suzuki, N. Yamamoto, K. Sasaki, T. Sakakibara, L. R. Juneja. Chem. Eur. J. 2004, 10, 971-985.に記載の方法に従って調製することができるものであるが、市販品、例えば、大塚化学株式会社製のアスパラギン結合型糖鎖のFmoc誘導体(http://tansaku.otsukac.co.jp/参照)から誘導することで調製することもできる。
本発明の機能性分子用担体において、リンカーは、アミノ酸デンドリマーのヒスチジン側と糖鎖とを連結するためのものであり、各種の結合形態、例えば、アミド結合、エーテル結合、エステル結合若しくはトリアゾール環含有結合などの結合形態を含む原子団である。リンカーとしては、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質と糖類とを結合するために通常用いられるものが、特に制限なく本発明の機能性分子用担体において用いられる。
リンカーは、アミノ酸デンドリマーの枝分かれ末端を形成するヒスチジンの主鎖のアミノ基および糖鎖のR側末端のそれぞれに対し、互いの反応により上記結合形態を形成可能な連結用原子団を導入し、アミノ酸デンドリマー側の連結用原子団に対して糖鎖側の連結用原子団を反応させると形成される。
アミノ酸デンドリマー側の連結用原子団として好ましいものは、ヒスチジンの主鎖のアミノ基に対してアミド結合により容易に導入可能な、下記の一般式(d)から(h)で示されるアルキニル基を有するもの、または、下記の一般式(i)から(m)で示されるアジ基を有するものである。これらの連結用原子団は、カルボニル基部位がヒスチジンの主鎖のアミノ基とアミド結合を形成している。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
一般式(d)から(m)において、nは、1から10の整数を示している。Rは、水素原子、炭素数が1から10のアルキル基、−(OCHCH−OHで表わされる基(nは1から10の整数を示す)、アミノ酸残基若しくはペプチド残基である。Rは、−(CH−で表わされる基(nは1から10の整数を示す)、−(OCHCH−で表わされる基(nは1から10の整数を示す)、アミノ酸残基若しくはペプチド残基である。
一方、糖鎖のR側末端の連結用原子団として好ましいものは、アミノ酸デンドリマー側の連結用原子団が一般式(d)から(h)の場合はアジ基(−N)であり、アミノ酸デンドリマー側の連結用原子団が一般式(i)から(m)の場合は下記の一般式(n)で表わされるアルキニル基(エチニル基)である。
Figure 0005449820
糖鎖のR側末端に対して連結用原子団としてアジ基を導入する方法としては、公知の各種の方法、例えば、NaNを用いたハロゲンまたはトリフレート若しくはトシレートに対する求核置換反応を採用することができる。一方、糖鎖のR側末端に対して連結用原子団として上記アルキニル基を導入する方法としては、公知の各種の方法、例えば、リチウムアセチリドを用いたハロゲンまたはトリフレート若しくはトシレートに対する求核置換反応やアルキル金属(例えば、アルキルリチウム、アルキルマグネシウム、アルキル亜鉛およびアルキル錫等)を用いたプロパルギルハロゲン化合物への求核置換反応を採用することができる。
上述の連結用原子団を有するアミノ酸デンドリマーと糖鎖とは、アルキニル基とアジ基との間での付加環化反応(フイスゲン反応)により下記の一般式(F)から(O)により表わされるトリアゾール環を含む原子団のリンカーを形成する。一般式(F)から(J)は、アルキニル基を連結用原子団として有するアミノ酸デンドリマーとアジ基を連結用原子団として有する糖鎖との反応により形成されるリンカーであり、一般式(K)から(O)は、アジ基を連結用原子団として有するアミノ酸デンドリマーとアルキニル基を連結原子団として有する糖鎖との反応により形成されるリンカーである。
Figure 0005449820
一般式(F)から(O)において、n、RおよびRは、一般式(d)から(m)と同様である。
因みに、アミノ酸デンドリマーは、リジンデンドリマーに対して上述の置換基を有するヒスチジンを結合したものである場合、当該ヒスチジン部分に銅を配位させることで連結用原子団が活性化されてフイスゲン反応が円滑に反応するため、副生成物を生成せずに糖鎖を短時間で結合することができる。
本発明の機能性分子用担体は、糖鎖の選択により標的性が変化する。すなわち、本発明の機能性分子用担体は、糖鎖を選択することで、次のような標的性を発揮する。
<糖鎖として一般式(A)で表わされるものを用いた場合>
胆嚢、腸管、腎臓および膀胱を標的組織とすることができ、生体内へ投与すると、これらの標的組織へ選択的に移動して送達される。
<糖鎖として一般式(B)で表わされるものを用いた場合>
脾臓、肺、膵臓および胆嚢を標的組織とすることができ、生体内へ投与すると、これらの標的組織へ選択的に移動して送達される。
<糖鎖として一般式(C)で表わされるものを用いた場合>
肝臓、血液および心臓を標的組織とすることができ、生体内へ投与すると、これらの標的組織へ選択的に移動して送達される。
<糖鎖として一般式(D)で表わされるものを用いた場合>
リンパ節、脾臓、肝臓および腸管を標的組織とすることができ、生体内へ投与すると、これらの標的組織へ選択的に移動して送達される。
<糖鎖として一般式(E)で表わされるものを用いた場合>
脾臓および肝臓を標的組織とすることができ、生体内へ投与すると、これらの標的組織へ選択的に移動して送達される。
本発明の機能性分子用担体は、アミノ酸デンドリマーの扇型の中心となるリジンのカルボキシル基または側鎖のアミノ基において機能性分子を結合させることができる。ここで結合させることができる機能性分子は、通常、薬剤または生体内での動態をイメージ化するための分子である。
薬剤としては、各種の低分子薬剤並びにペプチド、タンパク質、核酸、糖鎖およびこれらの任意に組合せによる複合物のような所謂バイオ薬剤が挙げられる。イメージ化用の分子としては、例えば、化合物自体に蛍光発色を有するもの、放射性金属を配位させるもの、放射性同位体を含むもの、MRI用の常磁性金属を配位させるものなどを挙げることができる。化合物自体に蛍光発色を有するものとしては、例えば、クマリン、NBD(7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール)、BODIPY(登録商標)、TAMRA(5−カルボキシテトラメチルローダミンまたは6−カルボキシテトラメチルローダミン)、ピレンおよびGEヘルスケアバイオサイエンス社のCy5等のCyシリーズなどが挙げられる。放射性金属を配位させるものとしては、例えば、ポルフォリン、DOTA(1,4,7,10−テトラアザシクロデカン−1,4,7,10−テトラ酢酸)およびDTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)などが挙げられる。また、これらに配位させることができる放射性金属としては、例えば、68Ga、64Cu、52Fe、55Co、61Cu、62Cu、63Zn、82Rb、86Y、89Zrおよび110Inなどが挙げられる。放射性同位体を含むものとしては、例えば、18F、11C、13Nおよび15Oのうちの少なくとも一つを含む誘導体(例えば、トリフルオロ(18F)ボレート等)が挙げられる。MRI用の常磁性金属を配位させるものとしては、例えば、ガドリニウムなどが挙げられる。
これらの機能性分子は、アミノ酸デンドリマーの扇型の中心となるリジンのカルボキシル基またはアミノ基に対し、アミド結合を経て直接に結合させることもできるし、適当なリンカーを挟んで結合させることもできる。
この場合に用いられるリンカーとしては、例えば、−(CH−で表わされる基(nは1から10の整数である)、−(OCHCH−で表わされる基(nは1から10の整数である)、アミノ酸残基、ペプチド残基および下記の式(o)で表わされる基を挙げることができる。式(o)で表わされる基において、環構造に含まれる窒素原子はアミノ酸デンドリマーの扇型の中心となるリジンのアミノ基を形成する窒素である。
Figure 0005449820
機能性分子を結合した本発明の担体は、糖鎖の種類に応じて上述のような特定の標的組織に対して機能性分子を選択的に送達することができる。また、本発明の担体は、生体内での代謝安定性に優れているため、生体へ投与しても容易に代謝されにくいことから機能性分子を所定の標的組織へ安定に送達することができ、また、当該標的組織へ機能性分子を送達した後も、比較的長期の間、当該標的組織において安定に残留する。このため、本発明の担体は、機能性分子として薬剤を結合したときは有効なDDSとして機能し、また、機能性分子として上述のようなイメージ化用の分子を結合したときは疾病の診断用や検査用の標識剤として有効に活用することができる。
下記の実施例1、2、6、7、11、12、16および17は参考例である。
製造例1(アルキン含有ペプチドデンドリマーの製造)
Fmoc-Lys(Boc)-OH(39 mg, 84 μmol)とMSNT(1-(メシチレン-2-スルフォニル)-3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール)(25 mg, 84 μmol)を無水ジクロロメタン(500 μL)に懸濁し、さらにメチルイミダゾール(6.7μL, 84 μmol)を加え、室温で1時間攪拌した。これを、ジクロロメタン(3分間x5回)で洗浄したWang樹脂 (1)(水酸基担持量: 0.93 mmol / g, 30 mg, 28 μmol)に作用させ、室温で1晩振盪してリジンを導入した。反応溶液を濾過により除去し、樹脂をジクロロメタン(5分間x5回)、およびN,N-ジメチルホルムアミド(5分間x5回)で洗浄した。
この樹脂に対し、20%ピペリジン/N,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え、室温で1分間振盪した。一旦反応溶液を濾過により除去した後に、再び20%ピペリジン/ N,N-ジメチルホルムアミド溶液を加え室温で20分間振盪することにより、Fmoc基を脱保護した。さらに反応溶液を濾過により除去した後に、樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド (5分間x5回) で洗浄し、ブロモフェノールブルー(PBP) テストを用いてFmoc基が脱保護されたアミノ基を検出し反応の進行を確認した。
これとは別にFmoc-Lys(Fmoc)-OH (49 mg, 84 μmol) とHOBt(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール) (11 mg, 84 μmol) をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させ、0 ℃まで冷却した。ここにジイソプロピルカルボジイミド (13μL, 84 μmol) を加え、混合物を30分攪拌し、先程の樹脂に作用させ、縮合反応を行った。室温で5時間振盪した後に反応溶液を濾過により除去し、樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド (5分間x5回) で洗浄した。
このFmoc基の脱保護と縮合反応を以下のペプチドで同様に繰り返した。
Fmoc-Lys(Fmoc)-OH (82 mg, 0.14 mmol)
Fmoc-Lys(Fmoc)-OH (263 mg, 0.45 mmol)
Fmoc-Lys(Fmoc)-OH (49 mg, 0.084 mmol)
Fmoc-His(Bn)-OH (391 mg, 0.84 mmol)
Fmoc-Pra-OH (281 mg, 0.84 mmol)
Fmoc脱保護後、ジクロロメタン (276 μL) 中の樹脂に無水酢酸 (279μL, 3.79 mmol) とピリジン (279μL, 5.30 mmol) を加え、室温で3時間攪拌した。そして樹脂をテトラヒドロフラン、メタノール、ジクロロメタンで5回ずつ、その後にジエチルエーテル (5分間x3回)で洗浄し、真空で乾燥させ、アルキン含有ペプチドデンドリマー(Wang resin 担持)(9) (159mg)を得た。
アルキン含有ペプチドデンドリマー (Wang resin 担持) (9) (78 mg) にトリフルオロ酢酸/トリエチルシラン/水 (31:1:1) を2.0 mL加え、室温で30分間振盪してペプチド鎖の樹脂からの切り出しを行った。反応溶液の濾過を行い、濾液を真空中で濃縮することで、アルキン含有ペプチドデンドリマー(10) (50 mg) の茶色の固体を得た。
以上の工程を示すと、次の通りである。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
Figure 0005449820
Figure 0005449820
Figure 0005449820
製造例2(アジド化asialo N-結合型糖タンパク質糖鎖の製造)
asialo N-結合型糖タンパク質糖鎖 (11) (1.1 mg, 0.63 μmol) をN,N-ジメチルホルムアミド(100 μL) に溶解し、7-アジドヘプタン酸 スクシンイミジルエステル(12) (0.50 mg, 1.88 μmol)、およびトリエチルアミン (0.26 μL, 0.19 mg, 1.88 μmol) を加え、アルゴン雰囲気下、1晩攪拌した。反応溶液をHPLCにより精製し、目的のアジド化asialo N-結合型糖タンパク質糖鎖(13)を1.15mg、収率96%で得た。
Figure 0005449820
HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:4.6x250 mm COSMOSIL 5C18-AR-300 Waters
検出装置:SIMADZU SPD-M20A (215nmで検出)
温度:室温
溶媒:0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水
グラジエント:10分間でアセトニトリルを10%から100%にし、その後100%で15分間
流速:1mL/min
本条件下で、アジド化糖鎖の保持時間は8.7分である。
製造例3(アジド化α2-6,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖の製造)
α2-6,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖(14) (3.9 mg, 1.66 μmol) をN,N-ジメチルホルムアミ ド(100 μL) に溶解し、7-アジドヘプタン酸 スクシンイミジルエステル(12) (1.35 mg, 5.00 μmol)、およびトリエチルアミン (0.6 μL, 0.51 mg, 5.00 μmol) を加え、アルゴン雰囲気下、1晩攪拌した。反応溶液をHPLCにより精製し、目的のアジド化α2-6,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖(15)を3.9 mg、収率94%で得た。
Figure 0005449820
HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:4.6x250 mm COSMOSIL 5C18-AR-300 Waters
検出装置:SIMADZU SPD-M20A (215nm で検出)
温度:室温
溶媒:0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水
グラジエント:10分間でアセトニトリルを10%から100%にし、その後100%で15分間
流速:1mL/min
本条件下で、アジド化糖鎖の保持時間は9.4分である。
製造例4(アジド化α2-3,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖の製造)
α2-3,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖(16) (0.9 mg, 0.39 μmol) をN,N-ジメチルホルムアミド(100 μL) に溶解し、7-アジドヘプタン酸 スクシンイミジルエステル(12) (0.31 mg, 1.15 μmol)、およびトリエチルアミン (0.16 μL, 0.12 mg, 1.15 μmol) を加え、アルゴン雰囲気下、1晩攪拌した。反応溶液をHPLCにより精製し、目的のアジド化α2-3,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖(17)を0.82mg、収率85%で得た。
Figure 0005449820
HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:4.6x250 mm COSMOSIL 5C18-AR-300 Waters
検出装置:SIMADZU SPD-M20A (215nm で検出)
温度:室温
溶媒:0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水
グラジエント:10分間でアセトニトリルを10%から100%にし、その後100%で15分間
流速:1mL/min
本条件下で、アジド化糖鎖の保持時間は11.2分である。
製造例5(アジド化α2-6,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖の製造)
α2-6,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖(18) (1.0 mg, 0.43 μmol) をN,N-ジメチルホルムアミド(100 μL) に溶解し、7-アジドヘプタン酸 スクシンイミジルエステル(12) (0.34 mg, 1.28 μmol)、およびトリエチルアミン (0.18 μL, 0.13 mg, 1.28 μmol) を加え、アルゴン雰囲気下、1晩攪拌した。反応溶液をHPLCにより精製し、目的のアジド化α2-6,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖(19)を0.94 mg、収率88%で得た。
Figure 0005449820
HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:4.6x250 mm COSMOSIL 5C18-AR-300 Waters
検出装置:SIMADZU SPD-M20A (215nm で検出)
温度:室温
溶媒:0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水
グラジエント:10分間でアセトニトリルを10%から100%にし、その後100%で15分間
流速:1mL/min
本条件下で、アジド化糖鎖の保持時間は8.5分である。
製造例6(アジド化α2-3,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖の製造)
α2-6,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖(20) (1.0 mg, 0.43 μmol) をN,N-ジメチルホルムアミド(100 μL) に溶解し、7-アジドヘプタン酸 スクシンイミジルエステル(12) (0.34 mg, 1.28 μmol)、およびトリエチルアミン (0.18 μL, 0.13 mg, 1.28 μmol) を加え、アルゴン雰囲気下、1晩攪拌した。反応溶液をHPLCにより精製し、目的のアジド化α2-6,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖(21)を0.90 mg、収率84%で得た。
Figure 0005449820
HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:4.6x250 mm COSMOSIL 5C18-AR-300 Waters
検出装置:SIMADZU SPD-M20A (215nm で検出)
温度:室温
溶媒:0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水
グラジエント:10分間でアセトニトリルを10%から100%にし、その後100%で15分間
流速:1mL/min
本条件下で、アジド化糖鎖の保持時間は10.4分である。
実施例1(asialoN-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
製造例2で得られたアジド化asialoN-結合型糖タンパク質糖鎖(13) (1.6 mg, 0.84 μmol) に製造例1で得られたアルキン含有ペプチドデンドリマー(10) (0.33 mg, 42 nmol)、 CuSO4 (0.12 mg, 0.67 μmol)、 Na-L-アスコルベート (0.13 mg, 0.67 μmol を加え、N,N-ジメチルホルムアミド (50 μL) と水 (50 μL) の混合溶媒に溶解させ、さらにジイソプロピルエチルアミン (0.12 μL, 86 μmol) を加えた。この反応混合物をアルゴン雰囲気下、室温で20分間攪拌し、シャープレスのクリック反応を行うことで、デンドリマーのアルキン部分にアジド化糖鎖を導入した。
反応後、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸) (1.36 mg, 3.37 μmol)を加え、室温で20分間攪拌して銅を配位させた。反応溶液をそのまま凍結乾燥した後、水 (200 mL) を加え、MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10で濾過し、水(100 μLx3回)で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、凍結乾燥を行うことで、下記の構造のasialoN-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(22)を得た。この構造式において、Rは、アジド化asialoN-結合型糖タンパク質糖鎖(13)に由来の糖鎖である。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
実施例2(α2-6,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
製造例3で得られたアジド化α2-6,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖(15) (0.80 mg, 0.32 μmol) に製造例1で得られたアルキン含有ペプチドデンドリマー(10) (0.13 mg, 16 nmol)、 CuSO4 (41 μg, 0.26 μmol)、 Na-L-アスコルベート (0.15 mg, 0.77 μmol)を加え、N,N-ジメチルホルムアミド (50 μL) と水 (50 μL) の混合溶媒に溶解させ、さらにジイソプロピルエチルアミン (45 nL, 33 μg, 0.26 μmol) を加えた。この反応混合物をアルゴン雰囲気下、室温で20分間攪拌し、シャープレスのクリック反応を行うことで、デンドリマーのアルキン部分にアジド化糖鎖を導入した。
反応後、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸) (0.52 mg, 1.30 μmol)を加え、室温で20分間攪拌して銅を配位させた。反応溶液をそのまま凍結乾燥した後、水 (200 mL) を加え、MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10で濾過し、水(100 μLx3回)で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、凍結乾燥を行うことで、下記の構造のα2-6,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(23)を得た。この構造式において、Rは、アジド化α2-6,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖(15)に由来の糖鎖である。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
実施例3(α2-3,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
製造例4で得られたアジド化α2-3,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖(17) (0.82 mg, 0.33 μmol) に製造例1で得られたアルキン含有ペプチドデンドリマー(10) (0.13 mg, 16 nmol)、 CuSO4 (42 μg, 0.26 μmol)、 Na-L-アスコルベート (0.16 mg, 0.79 μmol)を加え、N,N-ジメチルホルムアミド (50 μL) と水 (50 μL) の混合溶媒に溶解させ、さらにジイソプロピルエチルアミン (45 nL, 33 μg, 0.26 μmol) を加えた。この反応混合物をアルゴン雰囲気下、室温で20分間攪拌し、シャープレスのクリック反応を行うことで、デンドリマーのアルキン部分にアジド化糖鎖を導入した。
反応後、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸) (0.53 mg, 1.30 μmol)を加え、室温で20分間攪拌して銅を配位させた。反応溶液をそのまま凍結乾燥した後、水 (200 mL) を加え、MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10で濾過し、水(100 μLx3回)で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、凍結乾燥を行うことで、下記の構造のα2-3,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(24)を得た。この構造式において、Rは、アジド化α2-3,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖(17)に由来の糖鎖である。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
実施例4(α2-6,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
製造例5で得られたアジド化α2-6,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖(19) (0.94 mg, 0.38 μmol) に製造例1で得られたアルキン含有ペプチドデンドリマー(10) (0.15 mg, 19 nmol)、 CuSO4 (48 μg, 0.30 μmol)、 Na-L-アスコルベート (0.18 mg, 0.91 μmol)を加え、N,N-ジメチルホルムアミド (50 μL) と水 (50 μL) の混合溶媒に溶解させ、さらにジイソプロピルエチルアミン (52 nL, 39 μg, 0.30 μmol) を加えた。この反応混合物をアルゴン雰囲気下、室温で20分間攪拌し、シャープレスのクリック反応を行うことで、デンドリマーのアルキン部分にアジド化糖鎖を導入した。
反応後、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸) (0.61 mg, 1.51 μmol)を加え、室温で20分間攪拌して銅を配位させた。反応溶液をそのまま凍結乾燥した後、水 (200 mL) を加え、MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10で濾過し、水(100 μLx3回)で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、凍結乾燥を行うことで、下記の構造のα2-6,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(25)を得た。この構造式において、Rは、アジド化α2-6,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖(19)に由来の糖鎖である。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
実施例5(α2-3,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
製造例6で得られたアジド化α2-3,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖(21) (0.94 mg, 0.38 μmol) に製造例1で得られたアルキン含有ペプチドデンドリマー(10) (0.15 mg, 19 nmol)、 CuSO4 (48 μg, 0.30 μmol)、 Na-L-アスコルベート (0.18 mg, 0.91 μmol)を加え、N,N-ジメチルホルムアミド (50 μL) と水 (50 μL) の混合溶媒に溶解させ、さらにジイソプロピルエチルアミン (52 nL, 39 μg, 0.30 μmol) を加えた。この反応混合物をアルゴン雰囲気下、室温で20分間攪拌し、シャープレスのクリック反応を行うことで、デンドリマーのアルキン部分にアジド化糖鎖を導入した。
反応後、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-四酢酸) (0.61 mg, 1.51 μmol)を加え、室温で20分間攪拌して銅を配位させた。反応溶液をそのまま凍結乾燥した後、水 (200 mL) を加え、MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10で濾過し、水(100 μLx3回)で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、凍結乾燥を行うことで、下記の構造のα2-3,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(26)を得た。この構造式において、Rは、アジド化α2-3,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖(21)に由来の糖鎖である。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
実施例6(Cy5標識化asialo N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (17μL) に溶解させた、実施例1で得られたasialo N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(22) (0.17 mg, 4.5 nmol)に対し、蒸留水 (100 μL) に溶解させた下記の構造式で示されるCy5-アルデヒド(27) (0.45 mg, 0.46 μmol) を、19.6 μL (90 nmol) 加えた。
Figure 0005449820
この反応混合物を遮光して室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、下記の構造のCy5標識化asialo N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(Cy5-グライコクラスター1)水溶液を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
得られたCy5-グライコクラスター1水溶液とコラーゲン様物質の水溶液とを混合し(Cy5-グライコクラスター1として0.5 nmol相当)、これを生きた健常マウス及び大腸がんDLD-1を背皮下に植え付けた担癌マウスの尾から静脈注射することにより蛍光イメージングを行った。蛍光イメージングは、測定機器として、GEヘルスケア バイオサイエンス社の「eXplore Optix」を用いた。
健常マウスでは、投与4時間後に、胆嚢、腸管、腎臓、および膀胱にCy5-グライコクラスター1の集積が確認された。また、担癌マウスでは、投与4時間後に、肝臓へのCy5-グライコクラスター1の集積が確認された。
実施例7(Cy5標識化α2-6,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (21 μL) に溶解させた、実施例2で得られたα2-6,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(23) (0.21 mg, 4.5 nmol) に対し、蒸留水 (100 μL) に溶解させた、実施例6で用いたものと同じCy5-アルデヒド(27) (0.45 mg, 0.46 μmol) を、19.6 μL (90 nmol) 加えた。
この反応混合物を遮光して室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、下記の構造のCy5標識化α2-6,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(Cy5-グライコクラスター2)水溶液を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
得られたCy5-グライコクラスター2水溶液とコラーゲン様物質の水溶液とを混合し(Cy5-グライコクラスター2として0.5 nmol相当)、これを生きた健常マウス及び大腸がんDLD-1を背皮下に植え付けた担癌マウスの尾から静脈注射することにより蛍光イメージングを行った。蛍光イメージングは、測定機器として、GEヘルスケア バイオサイエンス社の「eXplore Optix」を用いた。
健常マウスでは、投与4時間後に、脾臓、肺、膵臓、および胆嚢にCy5-グライコクラスター2の集積が確認された。また、担癌マウスでは、通常マウスと同じく投与4時間後に、脾臓、肺、膵臓、および胆嚢へのCy5-グライコクラスター2の集積が確認された。
実施例8(Cy5標識化α2-3,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (21 μL) に溶解させた、実施例3で得られたα2-3,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(24) (0.21 mg, 4.5 nmol) に対し、蒸留水 (100 μL) に溶解させた、実施例6で用いたものと同じCy5-アルデヒド(27) (0.45 mg, 0.46 μmol) を、19.6 μL (90 nmol) 加えた。
この反応混合物を遮光して室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、下記の構造のCy5標識化α2-3,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(Cy5-グライコクラスター3)水溶液を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
得られたCy5-グライコクラスター3水溶液とコラーゲン様物質の水溶液とを混合し(Cy5-グライコクラスター3として0.5 nmol相当)、これを生きた健常マウス及び大腸がんDLD-1を背皮下に植え付けた担癌マウスの尾から静脈注射することにより蛍光イメージングを行った。蛍光イメージングは、測定機器として、GEヘルスケア バイオサイエンス社の「eXplore Optix」を用いた。
健常マウスでは、投与4時間後に、肝臓、血液、および心臓にCy5-グライコクラスター3の集積が確認された。また、担癌マウスでは、通常マウスと同じく投与4時間後に、肝臓、血液、および心臓へのCy5-グライコクラスター3の集積が確認された。
実施例9(Cy5標識化α2-6,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (21 μL) に溶解させた、実施例4で得られたα2-6,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(25) (0.21 mg, 4.5 nmol) に対し、蒸留水 (100 μL) に溶解させた、実施例6で用いたものと同じCy5-アルデヒド(27) (0.45 mg, 0.46 μmol) を、19.6 μL (90 nmol) 加えた。
この反応混合物を遮光して室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、下記の構造のCy5標識化α2-6,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(Cy5-グライコクラスター4)水溶液を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
得られたCy5-グライコクラスター4水溶液とコラーゲン様物質の水溶液とを混合し(Cy5-グライコクラスター4として0.5 nmol相当)、これを生きた健常マウス及び大腸がんDLD-1を背皮下に植え付けた担癌マウスの尾から静脈注射することにより蛍光イメージングを行った。蛍光イメージングは、測定機器として、GEヘルスケア バイオサイエンス社の「eXplore Optix」を用いた。
健常マウスでは、投与4時間後に、リンパ節、脾臓および肝臓にCy5-グライコクラスター4の集積が確認された。一方、担癌マウスにおいて、Cy5-グライコクラスター4は、脾臓やリンパ節への集積が低くなり、腸管、腎臓及び膀胱からの体外排出が早くなることが確認された。
実施例10(Cy5標識化α2-3,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (21 μL) に溶解させた、実施例5で得られたα2-3,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(26) (0.21 mg, 4.5 nmol) に対し、蒸留水 (100 μL) に溶解させた、実施例6で用いたものと同じCy5-アルデヒド(27) (0.45 mg, 0.46 μmol) を、19.6 μL (90 nmol) 加えた。
この反応混合物を遮光して室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、下記の構造のCy5標識化α2-3,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(Cy5-グライコクラスター5)水溶液を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
得られたCy5-グライコクラスター5水溶液とコラーゲン様物質の水溶液とを混合し(Cy5-グライコクラスター5として0.5 nmol相当)、これを生きた通常マウス及び大腸がんDLD-1を背皮下に植え付けた担癌マウスの尾から静脈注射することにより蛍光イメージングを行った。蛍光イメージングは、測定機器として、GEヘルスケア バイオサイエンス社の「eXplore Optix」を用いた。
健常マウスでは、投与4時間後に、脾臓および肝臓にCy5-グライコクラスター5の集積が確認された。一方、担癌マウスにおいて、Cy5-グライコクラスター5は、脾臓への集積が低くなり、腸管、腎臓及び膀胱からの体外排出が早くなることが確認された。
実施例11(NBD標識化asialo N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (5.7 μL) に溶解させた、実施例1で得られたasialo N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(22) (57.3 μg, 1.5 nmol) に対し、蒸留水 (110 μL) に溶解させた下記の構造式で示されるNBD-アルデヒド(28) (64.7 μg, 111.8 nmol) を、30 μL (30 nmol) 加えた。
Figure 0005449820
この反応混合物を遮光して室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、下記の構造のNBD標識化asialo N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(NBD-グライコクラスター1)水溶液を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
実施例12(NBD標識化α2-6,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (10.7 μL) に溶解させた、実施例2で得られたα2-6,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(23) (107.0 μg, 2.25 nmol) に対し、蒸留水 (110 μL) に溶解させた、実施例11で用いたものと同じNBD-アルデヒド(28) (64.7 μg, 111.8 nmol) を、44.3 μL (45 nmol) 加えた。
この反応混合物を遮光して室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、下記の構造のNBD標識化α2-6,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(NBD-グライコクラスター2)水溶液を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
実施例13(NBD標識化α2-3,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (7.1 μL) に溶解させた、実施例3で得られたα2-3,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(24) (71.3 μg, 1.5 nmol) に対し、蒸留水 (110 μL) に溶解させた、実施例11で用いたものと同じNBD-アルデヒド(28) (64.7 μg, 111.8 nmol) を、30 μL (30 nmol) 加えた。
この反応混合物を遮光して室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、下記の構造のNBD標識化α2-3,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(NBD-グライコクラスター3)水溶液を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
実施例14(NBD標識化α2-6,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (7.1 μL) に溶解させた、実施例4で得られたα2-6,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(25) (71.3 μg, 1.5 nmol) に対し、蒸留水 (110 μL) に溶解させた、実施例11で用いたものと同じNBD-アルデヒド(28) (64.7 μg, 111.8 nmol) を、30 μL (30 nmol) 加えた。
この反応混合物を遮光して室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、下記の構造のNBD標識化α2-6,α2-3N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(NBD-グライコクラスター4)水溶液を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
実施例15(NBD標識化α2-3,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (7.1 μL) に溶解させた、実施例5で得られたα2-3,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(26) (71.3 μg, 1.5 nmol) に対し、蒸留水 (110 μL) に溶解させた、実施例11で用いたものと同じNBD-アルデヒド(28) (64.7 μg, 111.8 nmol) を、30 μL (30 nmol) 加えた。
この反応混合物を遮光して室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、下記の構造のNBD標識化α2-3,α2-6N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(NBD-グライコクラスター5)水溶液を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
実施例16(DOTA標識化asialo N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (17μL) に溶解させた、実施例1で得られたasialo N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(22) (0.17 mg, 4.5 nmol)に対し、蒸留水とメタノールの混合溶媒 (1:1, 100 μL) に溶解させた下記の構造式で示されるDOTA-アルデヒド(29) (61.9 μg, 90 nmol) 加えた。
Figure 0005449820
この反応混合物を室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、DOTA標識化asialo N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター水溶液を得た。
68Ge/68Ga ジェネレータ―から1MHCl(5 mCi, 500uL)を用いて68GaCl3を溶出した。これをDOTA標識化asialo N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター (200 ug, 5.02 nmol)に95℃、pH 3.7で15分間作用させ、HPLCで分取し、下記の構造の68Ga-DOTA-グライコクラスター1を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:4.6x250 mm COSMOSIL 5C18-AR-300 Waters
検出装置:SIMADZU SPD-M20A (215nm で検出)
温度:室温
溶媒:0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水
グラジエント:10分間でアセトニトリルを10%から100%にし、その後100%で15分間
流速:1mL/min
本条件下で、68Ga-DOTA-グライコクラスター1の保持時間は7.5 -8.5分である。
得られた68Ga-DOTA-グライコクラスター1の10 MBqを生きた健常マウスの尾から静脈注射することによりPETイメージングを行った。PETイメージングは、測定機器として、Siemens Medical Solutions Inc.のmicroPET P4 system を用いた。健常マウスでは、投与4時間後に、胆嚢、腸管、腎臓、および膀胱に68Ga-DOTA-グライコクラスター1の集積が確認された。
実施例17(DOTA標識化α2-6,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (21 μL) に溶解させた、実施例2で得られたα2-6,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(23) (0.21 mg, 4.5 nmol) に対し、蒸留水とメタノールの混合溶媒 (1:1, 100 μL) に溶解させた、実施例16で用いたものと同じDOTA-アルデヒド (29) (61.9 μg, 90 nmol) 加えた。
この反応混合物を室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、DOTA標識化α2-6,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター水溶液を得た。
68Ge/68Ga ジェネレータ―から1MHCl(5 mCi, 500uL)を用いて68GaCl3を溶出した。これをDOTA標識化α2-6,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(200 ug, 4.13 nmol)に95℃、pH 3.7で15分間作用させ、HPLCで分取し、下記の構造の68Ga-DOTA-グライコクラスター2を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:4.6x250 mm COSMOSIL 5C18-AR-300 Waters
検出装置:SIMADZU SPD-M20A (215nm で検出)
温度:室温
溶媒:0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水
グラジエント:10分間でアセトニトリルを10%から100%にし、その後100%で15分間
流速:1mL/min
本条件下で、68Ga-DOTA-グライコクラスター2の保持時間は7.5 -8.5分である。
得られた68Ga-DOTA-グライコクラスター2の10 MBqを生きた健常マウスの尾から静脈注射することにより、PETイメージングを行った。PETイメージングは、測定機器として、Siemens Medical Solutions Inc.のmicroPET P4 system を用いた。健常マウスでは、投与4時間後に、脾臓、肺、膵臓および胆嚢に68Ga-DOTA-グライコクラスター2の集積が確認された。また、投与4時間後における尿中の68Ga-DOTA-グライコクラスター2の濃度は約4,000,000cpm/g程度であり、投与した68Ga-DOTA-グライコクラスター2は代謝されにくいことが判明した。
実施例18(DOTA標識化α2-3,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (21 μL) に溶解させた、実施例3で得られたα2-3,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(24) (0.21 mg, 4.5 nmol) に対し、蒸留水とメタノールの混合溶媒 (1:1, 100 μL) に溶解させた、実施例16で用いたものと同じDOTA-アルデヒド (29) (61.9 μg, 90 nmol) を加えた。
この反応混合物を室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、DOTA標識化α2-3,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター水溶液を得た。
68Ge/68Ga ジェネレータ―から1MHCl(5 mCi, 500uL)を用いて68GaCl3を溶出した。これをDOTA標識化α2-3,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター (200 ug, 4.13 nmol)に95℃、pH 3.7で15分間作用させ、HPLCで分取し、下記の構造の68Ga-DOTA-グライコクラスター3を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:4.6x250 mm COSMOSIL 5C18-AR-300 Waters
検出装置:SIMADZU SPD-M20A (215nm で検出)
温度:室温
溶媒:0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水
グラジエント:10分間でアセトニトリルを10%から100%にし、その後100%で15分間
流速:1mL/min
本条件下で、68Ga-DOTA-グライコクラスター3の保持時間は7.5 -8.5分である。
得られた68Ga-DOTA-グライコクラスター3の10 MBqを生きた健常マウスの尾から静脈注射することにより、PETイメージングを行った。PETイメージングは、測定機器として、Siemens Medical Solutions Inc.のmicroPET P4 system を用いた。健常マウスでは、投与4時間後に、肝臓、血液および心臓に68Ga-DOTA-グライコクラスター3の集積が確認された。
実施例19(DOTA標識化α2-6,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (21 μL) に溶解させた、実施例4で得られたα2-6,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(25) (0.21 mg, 4.5 nmol) に対し、蒸留水とメタノールの混合溶媒 (1:1, 100 μL) に溶解させた、実施例16で用いたものと同じDOTA-アルデヒド (29) (61.9 μg, 90 nmol) を加えた。
この反応混合物を室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、DOTA標識化α2-6,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター水溶液を得た。
68Ge/68Ga ジェネレータ―から1MHCl(5 mCi, 500uL)を用いて68GaCl3を溶出した。これをDOTA標識化α2-6,α2-3 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター (200 ug, 4.13 nmol)に95℃、pH 3.7で15分間作用させ、HPLCで分取し、下記の構造の68Ga-DOTA-グライコクラスター4を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:4.6x250 mm COSMOSIL 5C18-AR-300 Waters
検出装置:SIMADZU SPD-M20A (215nm で検出)
温度:室温
溶媒:0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水
グラジエント:10分間でアセトニトリルを10%から100%にし、その後100%で15分間
流速:1mL/min
本条件下で、68Ga-DOTA-グライコクラスター4の保持時間は7.5 -8.5分である。
実施例20(DOTA標識化α2-3,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスターの製造)
蒸留水 (21 μL) に溶解させた、実施例5で得られたα2-3,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(26) (0.21 mg, 4.5 nmol) に対し、蒸留水とメタノールの混合溶媒 (1:1, 100 μL) に溶解させた、実施例16で用いたものと同じDOTA-アルデヒド (29) (61.9 μg, 90 nmol) を加えた。
この反応混合物を室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出しDOTA標識化α2-3,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター水溶液を得た。
68Ge/68Ga ジェネレータ―から1MHCl(5 mCi, 500uL)を用いて68GaCl3を溶出した。これをDOTA標識化α2-3,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター (200 ug, 4.13 nmol)に95℃、pH 3.7で15分間作用させ、HPLCで分取し、下記の構造の68Ga-DOTA-グライコクラスター5を得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:4.6x250 mm COSMOSIL 5C18-AR-300 Waters
検出装置:SIMADZU SPD-M20A (215nm で検出)
温度:室温
溶媒:0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水
グラジエント:10分間でアセトニトリルを10%から100%にし、その後100%で15分間
流速:1mL/min
本条件下で、68Ga-DOTA-グライコクラスター5の保持時間は7.5 -8.5分である。
比較例1(DOTA標識化α2-6,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖tetraグライコクラスターの製造)
蒸留水 (21 μL) に溶解させた、下記の構造のα2-6,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖テトラグライコクラスター(30) (0.21 mg, 4.5 nmol) に対し、蒸留水とメタノールの混合溶媒 (1:1, 100 μL) に溶解させた、実施例16で用いたものと同じDOTA-アルデヒド (29) (61.9 μg, 90 nmol) 加えた。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
この反応混合物を室温で1時間振盪し、標識化を行った。MILLIPORE社Microcon centrifugal Filter YM-10を用いて濾過し、PBS バッファー (150 μL x4回) で洗浄することにより分子量10,000以下のものを取り除いた。フィルター上に残った溶液を取り出し、DOTA標識化α2-6,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖テトラグライコクラスター水溶液を得た。
68Ge/68Ga ジェネレータ―から1MHCl(5 mCi, 500uL)を用いて68GaCl3を溶出した。これをDOTA標識化α2-6,α2-6 N-結合型糖タンパク質糖鎖グライコクラスター(50 ug, 4.18 nmol)に95℃、pH 3.7で15分間作用させ、HPLCで分取し、下記の構造の68Ga-DOTA-テトラグライコクラスターを得た。
Figure 0005449820
Figure 0005449820
HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:4.6x250 mm COSMOSIL 5C18-AR-300 Waters
検出装置:SIMADZU SPD-M20A (215nm で検出)
温度:室温
溶媒:0.1%TFAアセトニトリル/0.1%TFA水
グラジエント:10分間でアセトニトリルを10%から100%にし、その後100%で15分間
流速:1mL/min
本条件下で、68Ga-DOTA-テトラグライコクラスターの保持時間は8.5 -9.5分である。
得られた68Ga-DOTA-テトラグライコクラスターの10 MBqを生きた健常マウスの尾から静脈注射し、4時間経過後における尿中の68Ga-DOTA-テトラグライコクラスターの濃度を測定したところ、約34,000,000cpm/gであり、実施例17で投与した68Ga-DOTA-グライコクラスター2に比べ、68Ga-DOTA-テトラグライコクラスターは非常に代謝され易いことが判明した。

Claims (5)

  1. 生体内において標的組織へ選択的に機能性分子を送達するための担体であって、
    枝分かれ末端に置換基を有していてもよいヒスチジン残基が結合した第3世代若しくは第4世代のリジンデンドリマーの前記ヒスチジン残基に対し、リンカーを挟んで下記の一般式(C)から(E)で表わされる糖鎖からなる群から選ばれた糖鎖が結合している、
    機能性分子用担体。
    Figure 0005449820
    Figure 0005449820
    (一般式(C)から(E)において、
    は、アセチル基若しくはグリコリル基、
    は、−(CH−若しくは−(OCHCH−で表わされる基(nは1から10の整数を示す)、
    を示す。)
  2. 前記リンカーが下記の一般式(F)から(O)で表わされる原子団からなる群から選ばれたものである、請求項1に記載の機能性分子用担体。
    Figure 0005449820
    (一般式(F)から(O)において、
    nは、1から10の整数、
    は、水素原子、炭素数が1から10のアルキル基、−(OCHCH−OHで表わされる基(nは1から10の整数を示す)、アミノ酸残基若しくはペプチド残基、
    は、−(CH−で表わされる基(nは1から10の整数を示す)、−(OCHCH−で表わされる基(nは1から10の整数を示す)、アミノ酸残基若しくはペプチド残基、
    を示し、
    カルボニル基側が前記ヒスチジン残基の主鎖アミノ基とアミド結合を形成しており、トリアゾール環側に前記糖鎖が結合している。)
  3. 前記標的組織が肝臓、血液および心臓であり、前記糖鎖が一般式(C)で表わされるものである、請求項1または2に記載の機能性分子用担体。
  4. 前記標的組織がリンパ節、脾臓、肝臓および腸管であり、前記糖鎖が一般式(D)で表わされるものである、請求項1または2に記載の機能性分子用担体。
  5. 前記標的組織が脾臓および肝臓であり、前記糖鎖が一般式(E)で表わされるものである、請求項1または2に記載の機能性分子用担体。
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