JP5448377B2 - 車両用衝撃吸収体 - Google Patents

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本発明は、車両構成体、例えばドアトリム、ピラー、バンパーに内装して、車両の内部または外部からの衝撃から搭乗車を保護するための車両用衝撃吸収体に関するものである。
この種の車両用衝撃吸収体であって、熱可塑性樹脂をブロー成形して中空二重壁構造で中空部を有し、その表面壁と裏面壁から凹状リブを形成してその互いの先端部を接合して一体化したものは、特開2004−149074公報および特許第3313999号公報に記載されている。
特開2004−149074公報 特許第3313999号公報
上記特開2004−149074公報および特許第3313999号公報にも記載されているように、この種の車両用衝撃吸収体は、車両構成体に内装するものであるから、車体壁側とそれに対向する内装壁との間隔に応じて厚みの大なるものと小なるものを複数個用いたり、あるいは厚みの大なる部分と小なる部分を一体に成形したものを用いるが、厚みの大なる部分と小なる部分を有するものをブロー成形により一体に成形すると、厚みの大なる部分は中空部の容積が大であるから、樹脂のブロー比が他の部分より大きくなるので、その部分の強度が低くなって所要の衝撃吸収効果が十分得られないことが指摘されている。
また一方では、車両のピラーに内装するもののように、ピラーにおける車体壁側とそれに対向する内装壁との間隔に応じて厚みの大なる衝撃吸収体と小なる衝撃吸収体では、搭乗者が衝撃を受けた際の衝撃が車体壁側とそれに対向する内装壁との間隔が小さい部分を越えて車体壁にまで到達してしまうことが多く、衝撃に対する保護効果が著しく低下する。
そこで、本発明は、衝撃吸収体の中空部厚みの大なる部分樹脂芯材をブロー成形時に内蔵するとともに中空部の厚みの大なる部分には、その中空部の他方の壁から凹状リブを形成して、この凹状リブによって前記樹脂芯材を支えて一方の壁との間に固定することによって、樹脂のブロー比が他の部分より大きくなる部分の強度を保持して所要の衝撃吸収効果を得られるようにした車両用衝撃吸収体を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するための本発明の請求項1に係る車両用衝撃吸収体は、車両構成体に内装する熱可塑性樹脂製の車両用衝撃吸収体において、衝撃吸収体は、ブロー成形によって一体に成形された中空二重壁構造で、その厚みの大なる部分と小なる部分を有しており、前記衝撃吸収体の中空部には、その厚みの大なる部分に樹脂芯材を内蔵してなり、前記中空部の厚みの大なる部分には、その中空部の他方の壁から中空の凹状リブが形成されていて、この凹状リブによって樹脂芯材を支えて一方の壁との間に挟み込む形で固定していることを特徴とする。
また、本発明において、樹脂芯材は、その厚み方向に貫通する空洞を多数有するハニカム構造体であることが好適である。そして、本発明の衝撃吸収体は、ピラーにおける車体壁側とそれに対向する内装壁との間隔に応じて厚みの大なる部分と小なる部分を一体に有しており、ドアトリムにおける車体壁側とそれに対向する内装壁との間隔に応じて厚みの大なる部分と小なる部分を一体に有しており、前記厚みの大なる部分の中空部に樹脂芯材を内蔵してなるものであり、バンパーの一部または略全体にわたって内蔵してなるものである。
樹脂芯材としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル誘導体、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン−ジエン類等のターポリマー、ABS樹脂、ポリオレフィンオキサイド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂が挙げられる。なお、これらは一種類を単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。特に、熱可塑性樹脂のなかでもオレフィン系樹脂またはオレフィン系樹脂を主体にした樹脂、ポリプロピレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂を主体にした樹脂が、繊維層との溶着性、機械的強度および成形性のバランスに優れている点で好ましい。樹脂芯材は、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
樹脂芯材がハニカム構造体の場合には、ハニカム構造体と樹脂シートとの間に不織布や織布若しくは熱溶着性のシートやホットメルトタイプの接着剤を介在させることができ、この介在物は好ましくは不織布や織布が使用される。不織布や織布は少なくもハニカム構造体と同材質で溶着するか、あるいはハニカム構造体と同質若しくは接着性のあるシートを介して不織布をアンカー効果などによりハニカム構造体に結合させるか、または接着剤でハニカム構造体に接着しているものである。好ましくは、不織布や織布はハニカム構造体および樹脂シートより融点の高い材質を用いる。また、不織布は樹脂シートに対して融着によるアンカー効果の持つものか樹脂シートと同材質で覆われた被覆繊維であることが好ましい。すなわち、不織布または織布が繊維として残るほうが、全体の補強性を高めることになる。さらに、繊維層(不織布または布)が樹脂芯材と樹脂シートの間に存在することにより成形時の残存空気の逃がしの効果があり、また一方空気を吹込む場合にも、中空部全体に空気を行き渡らせることになる。熱溶着性シートは、低融点であり、樹脂芯材と親和性を有するものであることが好ましく、例えば、衝撃吸収体の外壁がポリプロピレンで、樹脂芯材がポリエステルである場合は、無水マイレン酸変性ポリプロピレン等の相溶性を持つ樹脂を用いる。
本発明に係る車両用衝撃吸収体によれば、衝撃吸収体の中空部厚みの大なる部分に樹脂芯材をブロー成形時に内蔵するとともに中空部の厚みの大なる部分には、その中空部の他方の壁から凹状リブが形成されていて、この凹状リブによって前記樹脂芯材を支えて一方の壁との間に固定することによって、樹脂のブロー比が他の部分より大きくなる部分の強度を保持して所要の衝撃吸収効果を得られるものである。
図1は本発明の一実施の形態に係る車両用衝撃吸収体の断面図である。図2は本発明の車両用衝撃吸収体をドアトリムに内装した態様の断面図、図3は本発明の車両用衝撃吸収体をピラーに内装した態様の断面図、図4は本発明の車両用衝撃吸収体をバンパーの一部に内装した態様の断面図、図5は同上略全体にわたって内装した態様の断面図である。
図1において、1は衝撃吸収体である。この衝撃吸収体1は、熱可塑性プラスチックをブロー成形してなる中空二重壁構造のものであって、2は中空部、3は周壁面、4は一方の壁、5は他方の壁である。前記衝撃吸収体1は、厚みの大なる部分6と小なる部分7を有しており、中空部2には、厚みの大なる部分6に樹脂芯材8を内蔵してなるものである。前記厚みの大なる部分6には、他方の壁5から凹状リブ9が形成されており、この凹状リブ9によって樹脂芯材8を支えて一方の壁4との間に固定している。また、厚みの小なる部分7は、一方の壁4と他方の壁5から凹状リブ10、11を形成してあり、凹状リブ10、11の先端は互いに溶着されて一体化されている。樹脂芯材8は、その厚み方向に貫通する空洞を多数有するハニカム構造体であることが好適であるが、それに限るものではなく種々の樹脂芯材を採用することが可能である。なお、図示しないが一方の壁および他方の壁から複数のリブを形成して樹脂芯材8を中空部2に浮かせた形態とすることもでき、その形態にすれば衝撃に対する吸収性を向上させることができ、緩衝性や剛性の調整等が可能となる。
図1に示す構成の衝撃吸収体1は、図2に示すようにドアトリム12に内装されるが、ドアトリム12の車体壁13と内装壁14との間隔が大なる箇所に衝撃吸収体1の厚みの大なる部分6が介在し、車体壁13と内装壁14との間隔が小なる箇所に衝撃吸収体1の厚みの小なる部分7が介在するように内装される。厚みの大なる部分6と小なる部分7が一体となった衝撃吸収体1をブロー成形すると、厚みの大なる部分6のブロー比が大きいので薄肉部分が生じてその構成壁の強度が低下するが、本発明の衝撃吸収体1の厚みの大なる部分6には樹脂芯材8が内蔵されているので、その部分の衝撃吸収のための強度低下は生ぜず、所要の衝撃吸収効果が得られる。
図3に示すように、ピラー15に内装する本発明の衝撃吸収体1は、ピラー15における車体壁16とそれに対向する内装壁17との間隔に応じて厚みの大なる部分18と小なる部分19を一体に有している。なお、厚みの小なる部分18の中空部に樹脂芯材20を内蔵してる。そして、このような衝撃吸収体1をピラー15に内装すると、搭乗者Aが厚みの小なる部分18で衝撃を受けた際にも、その衝撃が車体壁16にまで到達してしまうことがなく、所要の衝撃吸収効果を得ることができる。
図4および図5に示すように、車両のバンパー21に内装する発明の衝撃吸収体1は、その中空部内に樹脂芯材22を内蔵させたものであるが、図4に示すように衝撃吸収体1をバンパー21の一部(左右両端寄りの箇所)に、または図5に示すようにバンパー21の略全体にわたって内蔵した形態とする。
本発明に係る車両用衝撃吸収体1は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタート等のポリエステル系樹脂、ポリアミドなど、剛性等の機械的高度の大きい樹脂で構成する。特に、破裂誘導部を好適に機能させる観点からポリプロピレン、ABS樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリフェニレンエーテル樹脂が好適であり、さらにこれらのブレンド物またはポリマーアロイとすることが好ましく、曲げ弾性率が10000kg/cm2以上であるとともに、常温時におけるアイゾット衝撃値が35kg/cm2以下の範囲であることが好ましい。
芯材12は樹脂芯材であるが、その樹脂材料としては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンペンテン、メチルペンテン等のオレフィン類の単独重合体あるいは共重合体であるポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン)、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のアクリル誘導体、ポリカーボネート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、エチレン−プロピレン−ジエン類等のターポリマー、ABS樹脂、ポリオレフィンオキサイド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂が挙げられる。なお、これらは一種類を単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよい。特に、熱可塑性樹脂のなかでもでオレフィン系樹脂またはオレフィン系樹脂を主体にした樹脂、ポリプロピレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂を主体にした樹脂が、繊維層との溶着性、機械的強度および成形性のバランスに優れている点で好ましい。樹脂芯材は、添加剤が含まれていてもよく、その添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
本発明に係る衝撃吸収体は、自動車等のドア、ドアトリムあるいはボディーサイドパネル、ルーフパネル、ピラー、バンパーなどの車両構成部材に内装して、それらの部分の衝撃吸収性を格段に高めることができるものであり、自動車の安全性向上に大いに貢献するものである。
本発明の一実施の形態に係る車両用衝撃吸収体の断面図である。 本発明の車両用衝撃吸収体をドアトリムに内装した態様の断面図である。 本発明の車両用衝撃吸収体をピラーに内装した態様の断面図である。 本発明の車両用衝撃吸収体をバンパーの一部に内装した態様の断面図である。 同上略全体にわたって内装した態様の断面図である。
1 衝撃吸収体
2 中空部
3 周壁面
4 一方の壁
5 他方の壁
6 厚みの大なる部分
7 厚みの小なる部分
8 樹脂芯材
9 凹状リブ
10、11 凹状リブ
12 ドアトリム
13 車体壁
14 内装壁
15 ピラー
16 車体壁
17 内装壁
18 厚みの大なる部分
19 厚みの小なる部分
20 樹脂芯材
21 バンパー
22 樹脂芯材
A 搭乗者

Claims (5)

  1. 車両構成体に内装する熱可塑性樹脂製の車両用衝撃吸収体において、
    衝撃吸収体は、ブロー成形によって一体に成形された中空二重壁構造で、その厚みの大なる部分と小なる部分を有しており、
    前記衝撃吸収体の中空部には、その厚みの大なる部分に樹脂芯材を内蔵してなり、
    前記中空部の厚みの大なる部分には、その中空部の他方の壁から中空の凹状リブが形成されていて、この凹状リブによって樹脂芯材を支えて一方の壁との間に挟み込む形で固定している
    ことを特徴とする車両用衝撃吸収体。
  2. 樹脂芯材は、その厚み方向に貫通する空洞を多数有するハニカム構造体であることを特徴とする請求項1記載の車両用衝撃吸収体。
  3. 衝撃吸収体は、車両のピラーに内装するものであって、ピラーにおける車体壁側とそれに対向する内装壁との間隔に応じて厚みの大なる部分と小なる部分を一体に有してることを特徴とする請求項1または2記載の車両用衝撃吸収体。
  4. 衝撃吸収体は、車両のドアトリムに内装するものであって、ドアトリムにおける車体壁側とそれに対向する内装壁との間隔に応じて厚みの大なる部分と小なる部分を一体に有しており、前記厚みの大なる部分の中空部に樹脂芯材を内蔵してなることを特徴とする請求項1または2記載の車両用衝撃吸収体。
  5. 衝撃吸収体は、車両のバンパーに内装するものであって、バンパーの一部または略全体にわたって内蔵してなることを特徴とする請求項1または2記載の車両用衝撃吸収体。
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