JP5444156B2 - 水蒸気透過防止多孔膜、通気構造及びケース - Google Patents

水蒸気透過防止多孔膜、通気構造及びケース Download PDF

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Description

本発明は、通気性を有し水蒸気の透過を防止しうる水蒸気透過防止多孔膜に関する。
屋内の水周りで使用される機器や屋外で使用される機器、具体的には車両用電装品やセンサー類、ポータブル機器等は、水滴や雨水等にさらされる環境で使用されるが、精密電子部品を内蔵するため、水分等が内部に進入したりすると、錆の発生等により正常な機能を果たさなくなるため、密閉躯体の中に収容することが多く、また、塵埃や異物等の進入による故障を防ぐためにも密閉化が行われている。完全に機器を密閉化すると、気圧や温度変化または内部でのガス発生が起きた場合に圧力調整ができないため、通気孔を設けるべく、開口部を設けて微細な網、格子等で被覆しているが、この程度の被覆では、塵埃、異物等の固体物の進入は阻止できても、ミクロン単位の物質の進入は阻止できない。
そこで、ミクロン単位の微細孔を持つ、高分子樹脂からなる多孔膜(通気性膜)を密閉躯体の開口部に取り付け、上記した密閉化に伴う弊害を解決することが行われている。このような多孔膜としてはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂多孔膜が主流となっているが、その他にも種々の提案がなされている。
特許文献1には、ガス透過性かつ液体非透過性のPTFE樹脂多孔膜(平均孔径0.2μm以下)に、酸素選択透過性(水蒸気低透過性)のポリジメチルシロキサン系樹脂膜を組み合わせた積層膜が提案されている。
特許文献2には、2枚のガス透過性かつ液体非透過性のPTFE樹脂多孔膜(平均孔径1μm)に、親水性モノマーをグラフト共重合した水蒸気吸着性(水蒸気低透過性)のポリプロピレン樹脂多孔膜(平均孔径0.4μm)を挟んだ積層膜が提案されている。
特許文献3には、フッ素樹脂と細孔径の無機多孔性粉末から製膜される平均孔径が0.0003〜0.001μmの超微細孔の酸素選択透過性(水蒸気非透過性)の単層膜が提案されている。
特許文献4には、除湿膜として、アルミナ中空糸多孔膜(平均孔径0.2μm)の表面に親水性有機高分子物質のキトサンの薄膜を設けた水蒸気除去性(水蒸気低透過性)の積層膜が提案されている。
特許文献5には、電子機器の筐体の開口部に設けられる通気膜(ガス透過性かつ液体非透過性)として、撥水および/または撥油処理を施したPTFE樹脂多孔膜(平均孔径0.01〜10μm)の単層膜が提案されている。
特許文献6には、電子機器の筐体の開口部に設けられる通気膜(ガス透過性かつ液体非透過性)として、延伸部(フィブリル)と未延伸部(ノード)が混在したPTFE樹脂多孔膜(平均孔径0.05〜10μm)の単層膜が提案されている。
特許文献7には、厚さ方向に表面から裏面へ細孔径が大きくなる酸素選択透過性(水蒸気低透過性)のポリメチルペンテン樹脂多孔膜(表面の平均孔径0.5μm、裏面の平均孔径4μm)の単層膜が提案されている。
特許文献8には、除湿膜として、ポリエーテルイミド中空糸多孔膜の内表面に親水性高分子であるポリビニルピロリドンを被覆した水蒸気除去性(水蒸気低透過性)の単層膜が提案されている。
特許文献9には、ポリオレフィン系ポリマーと水添ジエン系ポリマーに必要に応じてシリカ等の無機フィラーを加えて溶融混練して製膜したガス透過性かつ水蒸気低透過性の単層膜が提案されている。
特開昭59−031566号公報 特開平05−261851号公報 特開平08−241737号公報 特開2001−038173号公報 特開2001−168543号公報 特開2002−035558号公報 特開2008−071579号公報 特開平11−076778号公報 特開2009−062476号公報
特許文献1については、水を透過させないが水蒸気を透過させるPTFE多孔膜と、酸素選択透過膜として水蒸気透過を抑えた0.3μm以下の厚さのシリコーン樹脂膜を合わせることは提案されているが、全体として多孔膜の形態を有しておらず、通気抵抗が大きくなるとともに、水蒸気の透過が十分に阻止できていないため、実用に適さない。
特許文献2については、多孔質基材に親水性モノマーがグラフト共重合されたグラフト膜と、その両面に配置された多孔質層を有する撥水膜は、全体として多孔膜を形成するが、3層構造となるため工程数が多く、実用上高価なものになるとともに、グラフトは表面上に形成され、グラフト率も20%程度であり、親水性は高いとは言えず、実用に適さない。
特許文献3については、細孔径を有する無機多孔性物質の粉末をフッ素樹脂を結着材として製膜した酸素選択透過膜は、粒径5〜20μmのゼオライト粉末を、フッ素樹脂溶液に混合し、溶媒を自然乾燥により製膜する方法をとるため、平均孔径が0.0003〜0.001μmと非常に微細な多孔体を得ることができ、理論的には水蒸気を透過させず酸素を透過させる膜となるが、生産性が非常に低く、工業的に提供するのは困難であり、実用に適さない。
特許文献4については、セラミックス多孔質基材の表面に親水性のキトサン等を薄膜に積層した除湿膜は、親水性のキトサン等を薄膜に積層することで0.2μm以下の孔構造を作製し、水蒸気の透過を抑えているが、基材がセラミックス多孔体のため、柔軟性が少なく、密閉躯体の被覆等には適さないとともに、親水性のキトサン等を薄膜に積層する方法が、キトサンを溶解した製膜溶液を多孔質基材上にディッピングし、または、多孔質基材を製膜溶液に浸漬し、これを乾燥するとあり、薄膜厚さの制御が困難であるとともに、セラミックス多孔基材が高価であるため、実用に適さない。
特許文献5については、撥水および撥油処理されたPTFEまたはポリオレフィンの多孔体は、機器筐体内部に水や塵埃等が進入するのを防止しつつ、温度変化による機器筐体内の圧力変化の緩和や、機器筐体内部に発生したガスの放出を制御するのに適用されるが、オイル等で多孔体が穴埋めされないように処理を行うため、親水性はなく、水蒸気の透過を防止する性能はない。
特許文献6については、製造法の提案であり、PTFE樹脂多孔体で、フィブリルが実質的に同一の方向に沿って伸長している耐液性通気フィルター体は、PTFEシートを、所定方向に、所定速度で延伸を開始した後にこの所定速度よりも遅い速度で延伸を継続することにより、表面張力が低い液体(アルコール、油等)に対して高い撥液性を発揮する耐液性フィルターを得ている。撥水性向上を目的としており、水蒸気の透過を防止する性能はこの製造法では付与できない。また、多孔体の微細孔の形成が延伸法によるため、孔の構造が単純であり、水蒸気および孔より小さい微粒子が通過しやすい欠点がある。
特許文献7については、製造法の提案であり、一方の面から他方の面にかけて孔径が傾斜的に変化する酸素選択透過膜は、水蒸気の透過を抑えるものである。膜による水蒸気の分離については、毛管凝縮の作用が大きく影響し、毛管凝縮は、毛管に接した気体が、臨界点以下で液体へと凝縮される。空気がより小さな細孔に接することにより、毛管凝縮の作用で空気中の水蒸気は水へ凝縮され、空気から水蒸気が分離されると考えられる。毛管凝縮作用による水蒸気の分離に好ましい毛管直径は、0.045〜1μmであるとしている。多孔膜の材質は種々の高分子材料が適用可能としているが、最適な高分子材料は、撥水性を有し、吸湿性が低いものが良いとしており、毛管凝縮の作用で水蒸気から生じた水滴が、撥水作用により弾かれ細孔を閉塞しないためとしている。代表的にはPTFE多孔膜があるが、毛管凝縮現象を生じるためには、水との接触角が90゜以下の親水性が必要である。PTFE多孔膜の接触角は108゜(Wu S,"Polymer Interface and Adheion"p.133−168(1992), arcel Dekker Inc.より)と大きいため、単に多孔膜の細孔径が小さいだけでは、毛管凝縮現象は生じず、水蒸気は透過する。また、多孔体の微細孔の形成が延伸法によるため、孔の構造が単純であり、孔より小さい微粒子が通過しやすい欠点がある。
特許文献9については、ポリオレフィン系ポリマーと水添ジエン系ポリマーに必要に応じてシリカ等の無機フィラーを加えて溶融混練して製膜した厚さ30〜300μmの単層膜は、電気・電子デバイス等の封止フィルムとして好適なガス透過性かつ水蒸気低透過性を有する選択透過性膜としているが、多孔膜の形態を有しておらず、通気抵抗が大きくなる。
本発明は、このような従来の問題点に鑑み、通気性を有し水蒸気の透過を防止しうる多孔膜であって、複雑な形態や構造ではなく、安価な材料で製造でき製造法が簡易かつ生産性が良好で製造コストを高めず安価に得ることができ、酸素等のガス透過が良好で通気抵抗を高めず、水蒸気の透過阻止能力が高く、柔軟性があり可撓性が良好である水蒸気透過防止多孔膜を提供することを目的とする。
水蒸気の透過を防止しうる多孔膜を実現する考え方として、前述したように、多孔膜の細孔に進入した水蒸気が細孔内で凝縮を生じる毛管凝縮作用をうまく活用することを念頭に置いた。多孔膜に進入しようとする水蒸気を毛管凝縮作用により多孔膜の細孔表面にうまく凝縮させるには、多孔膜の表面(細孔表面)が親水性(水との接触角が90゜以下)であり、適度な大きさの細孔を有することが必要と考えられる。以下、詳細に説明する。
水を透過させず、気体を透過させる多孔膜としては、多孔膜の細孔の平均直径(平均孔径)が水の直径より小さく、気体の直径より大きければ、どんな材質のものでも使用が可能である。雨滴の大きさは、いわゆる霧雨は約100μm、シトシト雨は数百μm、通常の雨は約1000μmで、気体の大きさは、酸素は0.001μm、二酸化炭素は0.002μm、水蒸気は0.0003〜0.04μmである。従って、水を透過させず、気体を透過させる多孔膜としては、平均孔径が0.01〜1μmであればよいことになる。
機器を保護する筐体の開口部等に防水性と防塵性を持ち通気を行うための多孔膜を設けた場合、気体のうち水蒸気は、多孔膜を通過すると、内部の基材、部品、機器等に接触して結露等の現象により水となり、錆や菌類が発生し、機器等の作動に悪影響を及ぼす可能性があることから、水蒸気の透過を防止することのできる多孔膜が求められる。しかし、一般に流通している平均孔径が0.01〜1.0μmの多孔膜は、PTFE樹脂製、ポリオレフィン系樹脂製であるが、これらの多孔膜は、水蒸気の透過を阻止する性能は有していない。なぜならば、これらの多孔膜は疎水性であるため、孔径がいかに小さくても水蒸気の凝縮現象は生じないため、水蒸気よりも大きな孔径を有している以上、水蒸気は透過する。水蒸気の凝縮現象は、多孔膜の細孔径が小さいほど生じやすいが、多孔膜の細孔表面が水蒸気に対して親和性でないと生じない。
多孔質材料の毛管内での凝縮現象について、以下に説明を行う。毛管凝縮は、曲がった界面の圧力差で生じ、界面形状が球面の一部で水と固体の接触角がθの時、
ΔP=P1−P2=2σcosθ/r ・・・・・・(1)
で示される。ここで、rは毛管内径、σは水の表面張力、θは水と固体の接触角を示す。毛管内側に多分子層吸着が起こると、毛管内側に薄い液相ができ、毛管内径rは小さくなる。毛管の場合、圧力差は次式に示される。
ΔP=σcosθ(1/r+1/∞) ・・・・・・(2)
ここで、rは管の半径、∞は管の長さ方向の曲率半径で管がまっすぐなら半径∞である。従って、(2)式は、次のように近似される。
ΔP=σcosθ/r ・・・・・・(3)
膜材質がPTFEの場合、水との接触角θ=108°であり、cosθ=−0.309であるから、(3)式は、
ΔP=−0.309σ/r ・・・・・・(4)
となり、毛管凝縮はマイナスとなり、従って、水蒸気は水へ凝縮しないで、毛管を通過することになる。従って、親水性で微細孔の多孔膜とすれば、水蒸気、水滴を含んだ気体を通過させても、水蒸気が細孔内で凝縮して水となり、水滴および水蒸気を透過させず、酸素等の気体は良好に透過させることが可能となる。
よって、本発明の水蒸気透過防止多孔膜は、請求項1に記載の通り、通気性を有し水蒸気の透過を防止しうる水蒸気透過防止多孔膜であって、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とする原料組成物を溶融混練して製膜した膜から前記可塑剤を除去することで三次元網目構造体に形成された膜全体に無数の連通孔を有する単層の多孔膜であり、前記ポリオレフィン系樹脂が重量平均分子量50万以上であり、前記無機粉体が比表面積100m/g以上の親水性無機粉体であり、前記ポリオレフィン系樹脂が20〜50質量%と前記無機粉体が50〜80質量%を含み、平均細孔径が0.05〜0.2μmで、親水性の多孔膜であることを特徴とする。
また、請求項2記載の水蒸気透過防止多孔膜は、請求項1記載の水蒸気透過防止多孔膜において、前記ポリオレフィン系樹脂が重量平均分子量100万以上であることを特徴とする。
また、請求項3記載の水蒸気透過防止多孔膜は、請求項1または2に記載の水蒸気透過防止多孔膜において、前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン、前記無機粉体がシリカであることを特徴とする。
また、請求項4記載の水蒸気透過防止多孔膜は、請求項1乃至3の何れか1項に記載の水蒸気透過防止多孔膜において、前記無機粉体が比表面積150m/g以上であることを特徴とする。
また、本発明の通気構造は、請求項5に記載の通り、機器を密閉構造に覆う外装体の通気構造であって、請求項1乃至4の何れか1項に記載の多孔膜を使用したことを特徴とする。
また、請求項6記載の通気構造は、内容物を密閉構造に収容するケースの通気構造であって、請求項1乃至4の何れか1項に記載の多孔膜を使用したことを特徴とする。
また、本発明のケースは、請求項7に記載の通り、請求項6記載の通気構造を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、通気性を有し水蒸気の透過を防止しうる多孔膜であって、複雑な形態や構造ではなく、安価な材料で製造でき製造法が簡易かつ生産性が良好で製造コストを高めず安価に得ることができ、酸素等のガス透過が良好で通気抵抗を高めず、水蒸気の透過阻止能力が高く、柔軟性があり可撓性が良好である水蒸気透過防止多孔膜を提供できる。
本発明の水蒸気透過防止多孔膜は、従来主流の多孔膜(通気性膜)であるPTFE樹脂を延伸によって多孔化した多孔膜より毛管(細孔)が微細かつ複雑な構造を有し、親水性が優れるため、水および水蒸気を透過させず、通気性は有するので、屋内の水周りで使用される機器、あるいは、車両用電装品、センサー類、ポータブル機器等の屋外で使用され密閉して使用される機器において、空気中の水分、水蒸気が内部に進入し、錆やカビ等を発生させて回路、機器を劣化させ正常な機能を果たさなくなることを防止でき、民生や工業上での価値が高い。また、材質は安価な無機粉体とポリオレフィン系樹脂を主体とするので、工業的に安価に大量に製造でき、汎用性の高い水蒸気透過防止多孔膜として各種用途に適用できる。
実施例1のSEM画像 従来例のSEM画像
本発明の水蒸気透過防止多孔膜は、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とする原料組成物を溶融混練して製膜した膜から可塑剤を除去することで、無機粉体の骨格がポリオレフィン系樹脂を接着機能材料として結合された形の三次元網目構造体に形成され、よって、膜全体に均一かつ微細で複雑に入り組んだ複雑な経路を有する無数の連通孔が形成された単層構造からなる多孔膜であり、ポリオレフィン系樹脂が重量平均分子量50万以上であり、無機粉体が比表面積100m/g以上の親水性無機粉体であり、ポリオレフィン系樹脂が20〜50質量%と無機粉体が50〜80質量%を含み、平均細孔径が0.05〜0.2μmと非常に微細孔であり、親水性の多孔膜となっている。
本発明の多孔膜は、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とする原料組成物を溶融混練して製膜し可塑剤を除去してなる膜であり、従来のような複数の基材の組み合わせにより機能を複合することで「酸素ガスを透過させ水蒸気を透過させない膜」を実現していた複雑な形態や構造の技術と異なり、単層構造からなるシンプルな膜であるとともに、従来のような工程が複雑であったり特殊な製法であったり、あるいは、生産性が低かったり高価な材料を使用していたりしていた技術と異なり、安価な材料で製造でき製造法が簡易かつ生産性が良好で製造コストを高めず安価に得ることができるものである。
本発明の多孔膜は、「通気性を有すること」と「水蒸気を透過させないこと」の両立を実現するため、通気抵抗を高めてしまったり、水蒸気の透過阻止が不十分であったりと、技術の実現が不完全であった従来技術と異なり、単層構造の膜でありながら、水蒸気の透過阻止性能が高いにもかかわらず、酸素等のガス透過が良好で通気抵抗を高めることがない膜を実現できた。
本発明の多孔膜は、前述の通り、平均細孔径が0.05〜0.2μmと非常に微細孔の膜であり、上記のような特徴を有するので、気体は、酸素等のガスを透過させ、水蒸気を透過させない選択透過性を有するほか、水等の液体については透過させず、塵埃の透過も防止できる。また、本発明の多孔膜は、水蒸気の透過防止性能についても、前述の通り、膜全体に均一かつ微細で複雑に入り組んだ複雑な経路を有する無数の連通孔が形成され、平均細孔径が0.05〜0.2μmで、多孔質構造をとり、細孔表面が親水性となっているので、水蒸気が膜を通過しようとすると、細孔内で水蒸気が凝縮を起こして液体である水に変化し、細孔を通過できない。一方、酸素等のガスは、複雑に入り組んだ経路をもった、平均細孔径が0.05〜0.2μmの多孔質構造に対して、良好な透過性を有し、通気抵抗も抑えられる。本発明の多孔膜は、膜の内外表面が親水性であり、水蒸気の毛管内での凝縮現象を促進する効果が高い。
本発明の多孔膜は、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とする原料組成物を溶融混練して製膜し可塑剤を除去してなる膜であり、柔軟性があり可撓性を有し施工性や加工性が良好である。
本発明の多孔膜は、前述の通り、平均細孔径が0.05〜0.2μmの孔構造を有しているが、多孔膜に多量に含まれる無機粉体は、超微粒子である一次粒子が凝集して二次粒子を形成したものであり、表面積が非常に大きいものである。本発明の多孔膜は、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とする原料組成物を溶融混練して製膜した膜から可塑剤を除去することで得られる膜であり、可塑剤が抜けたことで形成される平均孔径が約0.1〜0.2μmの孔と、無機粉体自体がもともと有する平均孔径が約0.01〜0.05μmの孔との主に2種類の孔を有した構造となって、全体として、平均細孔径が0.05〜0.2μmの孔構造を有している。
多孔膜を溶融製膜によって得る方法としては、熱可塑性樹脂に開孔剤をミクロ分散させて成形後に開孔剤を除去する開孔剤除去法、熱可塑性樹脂に無機粉体等の充填材をミクロ分散させて成形後に延伸等の歪みを与えて熱可塑性樹脂と充填材の界面を剥離する界面剥離法、熱可塑性樹脂を良溶媒に溶解して成形後急冷または貧溶媒への浸漬等により相分離させる相分離法等があるが、中でも、均一な微細孔構造が得られ易い点で、開孔剤除去法を選択した。本発明の多孔膜の製造法については、水蒸気の毛管凝縮のし易さの観点から毛細管となる孔構造を考慮した場合、単に延伸によって界面を引き伸ばして空孔を形成する界面剥離法によって得られるような表裏短絡のストレートで単純な孔構造ではなく、開孔剤除去法で得られるような迷路のように孔経路が複雑で長い距離を持つ毛管構造が、水蒸気を凝縮するのに十分な時間を確保できることから、望ましい。
本発明の多孔膜を得る方法は、前述の通り、開孔剤除去法の一例である、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とする原料組成物を溶融混練して製膜し、この膜から可塑剤を除去することによる。これにより、膜全体に均一かつ微細で複雑に入り組んだ複雑な経路を有する無数の連通孔が形成された膜が得られる。具体的な製造法の一例を以下に示す。まず、ポリオレフィン系樹脂、無機粉体、可塑剤に、必要に応じて親水化剤(界面活性剤)を加えた四者の原材料をヘンシェルミキサーまたはレーディゲミキサー等の混合機により攪拌・混合し、原料混合物を得る。次に、この混合物を先端にTダイを取り付けた二軸押出機に投入し加熱溶融・混練しながらシート状に押し出し、圧延・延伸等の二次加工により所定厚さのシートに成形する。次に、このシートを、適当な溶剤(例えば、n−ヘキサン)中に浸漬し、可塑剤を抽出除去し乾燥すれば、目的の多孔膜が得られる。尚、延伸処理は、可塑剤の抽出処理の前工程で行っても、後工程で行っても、また、前後の工程で行うようにしてもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、重量平均分子量が50万以上であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等の単独重合体または共重合体およびこれらの混合物が使用できる。中でも、成形性や経済性の面で、ポリエチレンを主体とすることが好ましい。ポリエチレンは、溶融成形温度がポリプロピレンやPTFEよりも低く、生産性が良好で製造コストを抑えられる。ポリオレフィン系樹脂は、重量平均分子量が50万以上とすることにより、無機粉体が主体の多孔膜にあって、膜の機械的強度を確保することができる。そのため、ポリオレフィン系樹脂は、重量平均分子量が100万以上であることがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂は、無機粉体との混合性も良好で、多孔膜にあって無機粉体の骨格を接着機能材料として結合させながら強度を維持するとともに、化学的に安定であり安全性が高い。ポリオレフィン系樹脂は、加熱分解時にPTFEのような有害ガスを発生させることがない。ポリオレフィン系樹脂は、多孔膜が耐熱性を必要とする用途の場合は、ポリメチルペンテン(4−メチル−1−ペンテン)や環状ポリオレフィン(エチレン・ノルボルネン)等の高融点または高軟化点の樹脂を併用することが好ましい。
無機粉体としては、粒径が細かく内部や表面に孔構造を備えた比表面積が100m/g以上で、親水性である、シリカ、アルミナ、チタニア、珪酸カルシウム、カオリンクレー、タルク、クレー、ガラス微細粉体等が使用できる。中でも、粒子径、比表面積等の各種粉体特性の選択範囲が広く、比較的安価で入手しやすく、不純物が少ない点で、シリカが好ましい。無機粉体は、比表面積が100m/g以上であることで、多孔膜の孔径を微細化することができるとともに、粉体表面に多数の親水基(−OH)を備えることができるようになり粉体の親水性が向上する。そのため、無機粉体の比表面積は150m/g以上であることがより好ましい。また、無機粉体の比表面積は400m/g以下であることが好ましい。無機粉体の比表面積が400m/gを超える場合は、粒子の表面活性度が高く凝集力が強くなるため、多孔膜中で無機粉体が均一分散されにくくなるため好ましくない。
可塑剤としては、ポリオレフィン系樹脂の可塑剤となり得る材料を選択することが好ましく、ポリオレフィン系樹脂と相溶性を有し各種溶剤等で容易に抽出できる各種有機液状体が使用でき、具体的には、飽和炭化水素(パラフィン)からなる工業用潤滑油等の鉱物オイル、ステアリルアルコール等の高級アルコール、フタル酸ジオクチル等のエステル系可塑剤等が使用できる。中でも、再利用がしやすい点で、鉱物オイルが好ましい。可塑剤は、無機粉体の原料組成物に対して200〜240部を配合されることが好ましい。
可塑剤を抽出除去するために用いる溶剤(溶媒)としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の飽和炭化水素系の有機溶剤を使用することができる。
本発明の多孔膜は、細孔表面の親水性を高め水蒸気の毛管凝縮現象を起こしやすくするため、親水性を有していることが必要である。本発明の多孔膜は、親水性の無機粉体を多量に含有しており、親水性を有するが、さらに、親水性をより高めるための親水性付与手段を講じるようにしても良い。親水性付与手段としては、界面活性剤を処理あるいは添加する方法、水溶性モノマーをグラフト重合する方法、スルホン化処理、プラズマ処理、オゾン処理等の中から自由に選択できる。中でも、界面活性剤を処理あるいは添加する方法が比較的簡易であり好ましい。
界面活性剤を処理あるいは添加する方法としては、溶融製膜前の原料組成物中に予め分散状態に添加しておく方法(内添法)、溶融製膜された多孔膜に対して後処理する方法(外添法)があるが、製造工程が簡略化できる点と、本発明の多孔膜から界面活性剤を染み出しにくくできる点で、原料組成物中に予め添加する方法(内添法)が好ましい。
界面活性剤としては、ポリオレフィン系樹脂の親水性を向上できる材料であればよく、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤の何れも使用できる。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル類等が使用できる。カチオン系界面活性剤としては、脂肪族アミン塩類、第四級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキシド等が使用できる。アニオン系界面活性剤としては、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等が使用できる。中でも、ポリオレフィン系樹脂に対して、少量の添加で、高い親水性の付与が可能であることから、アルキルスルホコハク酸塩が好ましい。
原料組成物または多孔膜には、その他、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、滑剤、抗菌剤、防黴剤、顔料、染料、着色剤、防曇剤、艶消し剤等の添加剤を、本発明の目的および効果を損なわない範囲で添加(配合)または含有させてもよい。日光の紫外線にさらされるような使用形態では、ポリオレフィン系樹脂の紫外線劣化を防止するための耐候剤を添加することが好ましい。耐候剤としては、フェノール樹脂、カーボンブラック等が使用できる。フェノール樹脂としては、有機溶剤に不溶であり、ノボラックタイプまたはレゾールタイプのもの、またはエポキシ樹脂変性フェノール樹脂等が使用できる。フェノール樹脂は、ポリオレフィン系樹脂の酸化劣化を防止する酸化防止剤としても有効である。耐候剤の含有量は、0.5〜5質量%が好ましい。
本発明の多孔膜は、ポリオレフィン系樹脂が20〜50質量%と無機粉体が50〜80質量%を含むことが必要である。ポリオレフィン系樹脂の含有量が20質量%未満であると、ポリオレフィン系樹脂を多孔膜全体に均一分散できなくなり、多孔膜の十分な機械的強度が確保できなくなるため好ましくない。無機粉体の含有量が80質量%を超える場合も、ポリオレフィン系樹脂の含有量が20質量%未満となるため、同様の理由により好ましくない。また、無機粉体の含有量が50質量%未満であると、多孔膜の孔構造を微細化かつ複雑化し多孔膜の親水性を向上させるための無機粉体の含有量が少なくなり、ポリオレフィン系樹脂の含有量が多くなるため、多孔膜の孔構造を微細化または複雑化しづらくなるとともに、多孔膜の親水性を向上しづらくなるため、好ましくない。ポリオレフィン系樹脂の含有量が60質量%を超える場合も、無機粉体の含有量が40質量%未満となるため、同様の理由により好ましくない。以上のため、本発明の多孔膜は、ポリオレフィン系樹脂が20〜45質量%と無機粉体が55〜80質量%を含むことがより好ましい。尚、本発明の多孔膜は、前述の通り、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とする原料組成物を溶融混練して製膜した膜から可塑剤を除去することによって得られるが、原料組成物中のポリオレフィン系樹脂と無機粉体の構成比率と、多孔膜中のポリオレフィン系樹脂と無機粉体の構成比率は、基本的に変わらない。
本発明の多孔膜の厚さは、実用上から、20〜500μmであることが多いが、多孔膜の用途に応じて適宜の厚さが設定される。
尚、本発明の多孔膜は、ヘッドライトユニット等の電気・電子機器のように内部を密閉構造化しつつ、温度変化で内圧が変化して割れないようにする等の目的で使用され、上記機器を構成する部材等の内容物を密閉状態(密閉構造)となるように収容するケースの通気構造、或いは、密閉構造(前記ケースとする場合を含む)を覆う外装体の通気構造として使用することができる。この他にも、汚染、水付着を防ぐために、水周りや屋外で使用されるセンサー類、デジタルカメラ・携帯電話・給湯機制御機・電気自動車・電動アシスト自転車等の通気構造としても利用することができる。
また、前記ケースの具体的形態として、箱体やフィルム状の包装体等を挙げることができる。
次に、本発明の実施例について比較例と共に詳細に説明する。
(実施例1)
ポリオレフィン系樹脂として重量平均分子量150万のポリエチレン樹脂粉体100部(質量部、以下同じ)と、親水性の無機粉体として比表面積200m/gで平均二次粒子径2μmのシリカ微粉体400部と、可塑剤として鉱物オイルの一種であるパラフィン系オイルを900部を混合し、先端にTダイを取り付けた二軸押出機に投入し加熱溶融・混練しながらシート状に押し出し、成形ロール間を通して圧延して、厚さ100μmのシートとした。次に、該シートをn−ヘキサン中に浸漬し前記シート中のパラフィン系オイルの全量を抽出除去し、乾燥して、ポリエチレン樹脂20質量%とシリカ微粉体80質量%で構成される厚さ100μmの多孔膜を得た。
(実施例2)
ポリオレフィン系樹脂として重量平均分子量150万のポリエチレン樹脂粉体100部と、親水性の無機粉体として比表面積200m/gで平均二次粒子径2μmのシリカ微粉体190部と、可塑剤として鉱物オイルの一種であるパラフィン系オイル400部と、界面活性剤としてジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩1部とを混合し、先端にTダイを取り付けた二軸押出機に投入し加熱溶融・混練しながらシート状に押し出し、成形ロール間を通して圧延して、厚さ100μmのシートとした。次に、該シートをn−ヘキサン中に浸漬し前記シート中のパラフィン系オイルの全量を抽出除去し、乾燥して、ポリエチレン樹脂35質量%とシリカ微粉体65質量%とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩0.3外質量%(固形分)で構成される厚さ100μmの多孔膜(多孔質フィルム)を得た。
(実施例3)
ポリオレフィン系樹脂として重量平均分子量150万のポリエチレン樹脂粉体100部と、親水性の無機粉体として比表面積200m/gで平均二次粒子径2μmのシリカ微粉体100部と、可塑剤として鉱物オイルの一種であるパラフィン系オイル200部と、界面活性剤としてジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩1部とを混合し、先端にTダイを取り付けた二軸押出機に投入し加熱溶融・混練しながらシート状に押し出し、成形ロール間を通して圧延して、厚さ100μmのシートとした。次に、該シートをn−ヘキサン中に浸漬し前記シート中のパラフィン系オイルの全量を抽出除去し、乾燥して、ポリエチレン樹脂50質量%とシリカ微粉体50質量%とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩0.5外質量%(固形分)で構成される厚さ100μmの多孔膜(多孔質フィルム)を得た。
(比較例1)
ポリオレフィン系樹脂として重量平均分子量150万のポリエチレン樹脂粉体100部と、親水性の無機粉体として比表面積200m/gで平均二次粒子径2μmのシリカ微粉体65部と、可塑剤として鉱物オイルの一種であるパラフィン系オイル150部と、界面活性剤としてジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩1部とを混合した。このとき、オイルを保持できるシリカ微粉体量が少ないため、150部しか混ぜることができなかった。その後、先端にTダイを取り付けた二軸押出機に投入し加熱溶融・混練しながらシート状に押し出し、成形ロール間を通して圧延して、厚さ100μmのシートとした。次に、該シートをn−ヘキサン中に浸漬し前記シート中のパラフィン系オイルの全量を抽出除去し、乾燥して、ポリエチレン樹脂60質量%とシリカ微粉体40質量%とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩0.6外質量%(固形分)で構成される厚さ100μmの多孔膜(多孔質フィルム)を得た。
(比較例2)
ポリオレフィン系樹脂として重量平均分子量150万のポリエチレン樹脂粉体100部と、親水性の無機粉体として比表面積200m/gで平均二次粒子径2μmのシリカ微粉体25部と、可塑剤として鉱物オイルの一種であるパラフィン系オイル60部と、界面活性剤としてジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩1外質量%とを混合した。このとき、オイルを保持できるシリカ微粉体量が少ないため、60部しか混ぜることができなかった。その後、先端にTダイを取り付けた二軸押出機に投入し加熱溶融・混練しながらシート状に押し出し、成形ロール間を通して圧延して、厚さ100μmのシートとした。次に、該シートをn−ヘキサン中に浸漬し前記シート中のパラフィン系オイルの全量を抽出除去し、乾燥して、ポリエチレン樹脂80質量%とシリカ微粉体20質量%とジアルキルスルホコハク酸ナトリウム塩0.8外質量%(固形分)で構成される厚さ100μmの多孔膜(多孔質フィルム)を得た。
(従来例)
市販のPTFE多孔膜として、延伸法で多孔化されて製造されたテミシュ(日東電工製、厚さ100μm)を入手し、これを従来例とした。
次に、上記にて得られた実施例1〜3、比較例1〜2、従来例の各多孔膜について、以下の試験方法により、各種特性評価を行った。結果を表1に示す。
〈厚さ〉
JIS Z 1702に規定されたダイヤルシックネスゲージを用いて測定した。
〈坪量〉
坪量は1mあたりの重量を示す。既定サイズにシート試料を裁断して、その乾燥重量を求め、1mあたりに換算して、坪量を求めた。
〈空隙率〉
平均細孔径を測定する方法の一つである水銀圧入法で、多孔膜への水銀の圧入量より空隙率を求めた。
〈平均孔径〉
水銀圧入法(JIS R 1655)により測定し、平均孔径を求めた。
〈引張強さ〉
JIS K 7113に準拠した方法で、チャック間距離50mm、引張速度200m
m/分の条件で引張試験を行って、引張強さを求めた。
〈透気度〉
ガーレー・デンソーメータ(JIS P 8117)を用い、100ccの空気が試料を通過する時間を測定して、透気度を求めた。
表1の実施例1の微細孔構造のSEM写真(倍率15000倍)から、実施例1は開孔材を抽出する製法であるため微細でかつ複雑な孔構造を持つことが判る。対して、従来例は溶融したシートを延伸する方法のため、孔はPTFEが繊維状に伸ばされ、孔構造を作成するため、微細であるが、単純な孔構造である。従って、平均孔径は実施例が細かく、従来例1が大きな値を示す。また、透気度の値も実施例が大きく、従来例が小さく、実施例の孔が微細かつ複雑構造であることを示している。
親水性は、各々のシートに純水をたらし、濡れの状況を観察した。実施例1〜3は、表面が濡れることが確認できた(実施例1はシリカ粉体が80重量%と多いため)。比較例は部分的に水滴が水玉上になり、一部に撥水されることが確認された。また従来例は前面に渡り、水滴が水玉上になり、撥水されるが確認された。従って、従来例の場合、毛管内部浸入した水蒸気に凝縮は起きず、シートを水蒸気は通過するので、水蒸気を防止することはできない。実施例の場合、全面が良く濡れ、水の接触角は0度に近く、毛管内部浸入した水蒸気は、凝縮により水となり、膜内部にとどまり、シートを通過することはないので、水蒸気を防止することができる。
比較例の場合、一部撥水が見られるので、この部分においては毛管内部浸入した水蒸気に凝縮は起きず、シートを水蒸気は通過するので、水蒸気を防止するのは不充分である。
耐熱性は加熱乾燥炉に各々の材料を入れ、熱変形の生じる温度を観察した。実施例1〜3は110℃でシート変形収縮を生じた。純粋なポリエチレンであれば80℃くらいで、変形収縮が生じるが、無機粉体が主成分であるため、実用に適応する耐熱性は備えている。比較例1、2は、PTFE多孔膜であるため、220℃の高い耐熱性を示した。
強度特性は、実施例1〜3、比較例1、2ともに実用に問題ない強度を備えている。

Claims (7)

  1. 通気性を有し水蒸気の透過を防止しうる水蒸気透過防止多孔膜であって、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体と可塑剤を主体とする原料組成物を溶融混練して製膜した膜から前記可塑剤を除去することで三次元網目構造体に形成された膜全体に無数の連通孔を有する単層の多孔膜であり、前記ポリオレフィン系樹脂が重量平均分子量50万以上であり、前記無機粉体が比表面積100m/g以上の親水性無機粉体であり、前記ポリオレフィン系樹脂が20〜50質量%と前記無機粉体が50〜80質量%を含み、平均細孔径が0.05〜0.2μmで、親水性の多孔膜であることを特徴とする水蒸気透過防止多孔膜。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂が重量平均分子量100万以上であることを特徴とする請求項1記載の水蒸気透過防止多孔膜。
  3. 前記ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン、前記無機粉体がシリカであることを特徴とする請求項1または2に記載の水蒸気透過防止多孔膜。
  4. 前記無機粉体が比表面積150m/g以上であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の水蒸気透過防止多孔膜。
  5. 機器を密閉構造に覆う外装体の通気構造であって、請求項1乃至4の何れか1項に記載の多孔膜を使用したことを特徴とする通気構造。
  6. 内容物を密閉構造に収容するケースの通気構造であって、請求項1乃至4の何れか1項に記載の多孔膜を使用したことを特徴とする通気構造。
  7. 請求項6記載の通気構造を備えたことを特徴とするケース。
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