JP5443819B2 - 粗面化された基板の製造方法 - Google Patents
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Description
シリコン薄膜の剥離に高温を要するSOITEC法は、ハンドル基板がシリコンとは異なる材料の基板である場合、熱膨張率等の熱的諸特性の相違に起因して、割れや局所的なクラック等のダメージが生じ易くなる。
一方、低温剥離が可能なSiGen法は、熱的諸特性の相違に起因した割れや局所的クラックは生じ難いものの、機械的にシリコン薄膜を剥離するため、剥離工程中にハンドル基板との接着面が剥がれたり、剥離痕が生じたり或いはシリコン薄膜に機械的なダメージが導入され易い。
本発明は、SOI基板の裏面(シリコン薄膜ではない側)の有機汚染物を除去するための洗浄を行う洗浄工程と、上記洗浄された面にサンドブラスト処理を行う工程と、上記サンドブラスト処理を行わなかった他の面を研磨する工程とを少なくとも含む粗面化された基板の製造方法を提供する。
図1(A)に示すように、絶縁性基板3上のシリコン薄膜2を有するSOI基板1には、有機汚染物質Cが存在する。この有機汚染物Cは、例えば、糊、油分等であり、環境中からもしくはウェーハのハンドリング中に絶縁性基板3上に付着する。有機汚染物Cの大きさはさまざまであるが、膜厚ムラに与える影響の大きさを考慮すると、通常1〜900μmのものである。これより大きくなるとサンドブラストにより飛ばされる可能性が高くなり、これより小さいと後述するような突起物として残る可能性が低くなるためである。
サンドブラスト処理を行うと、図1(B)に示すように、ブラストされた絶縁性基板3の面は荒れると同時に数百nm〜数μm程度除去されるため、未処理部分3bは、突起部となって残存する。サンドブラストは強い圧力で微粉を吹き付けるため、大抵の異物は処理と同時に除去されるが、粘着力の高い有機汚染物はマスクの働きをして均一なサンドブラスト処理妨げる。また、通常、サンドブラスト工程は、粉塵を発生する工程であることから、綺麗な環境化で行うことが非常に難しい工程といえる。
図2は、石英ウェーハを、後述する方法でサンドブラスト処理したときの処理後の表面の光学顕微鏡写真を示す。図2は、サンドブラスト処理の完了部分3aとともに、未処理部分3bが存在することを示す。未処理部分3bの大きさは、通常50〜200μmのものである。これらを大きくなるとサンドブラストにより飛ばされる可能性が高くなり、これらより小さいと突起物として残る可能性が低くなるためである。
SOI基板は、シリコン薄膜を提供するドナー基板である単結晶シリコン基板と、ハンドル基板である絶縁性基板とを接合させて製造できる。
絶縁性基板としては、特に限定されないが、石英基板、ガラス基板(例えば、ホウケイ酸ガラスウェーハ、結晶化ガスウェーハ等)、サファイア基板、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板等が挙げられ、曇り処理(フロスト処理)の点からは、好ましくは、石英基板、ガラス基板及びサファイア基板である。
したがって、SOI基板としては、好ましくは、SOG基板、SOQ基板及びSOS基板に適用できる。
単結晶シリコン基板の表面は、あらかじめ薄い絶縁膜を形成しておくことが好ましい。絶縁膜を通して水素イオン注入を行えば、注入イオンのチャネリングを抑制する効果が得られるからである。絶縁膜としては、好ましくは50〜500nmの厚さを有するシリコン酸化膜が好ましい。これはあまり薄いと、膜厚の酸化膜厚の制御が難しく、またあまり厚いと時間が掛かりすぎるためである。シリコン酸化膜は、一般的な熱酸化法により形成することができる。
SOI製造用絶縁性基板は、ロボットハンドリング時の滑り止めや、透明基板における在荷センサー対応策としてサンドブラスト処理が必要であり、その後シリコン薄膜を鏡面化するために研磨が必要となるため、SOI基板と同様に膜厚ムラを生じる。
有機溶剤としては、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール、アセトン等のケトン、トルエン等の芳香族炭化水素、又はこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン及びトルエンからなる群から選ばれる一以上を含み、更に好ましくはエタノール又はイソプロピルアルコールである。酸としては、硫酸、硫酸と過酸化水素と水の混合物である硫酸過水が挙げられ、硫酸と過酸化水素の好ましい濃度は、それぞれ30〜98質量%であり、好ましくは体積比で1:1から4:1(98質量%硫酸:30質量%過酸化水素水)である。
アルカリ溶液としては、好ましくは、アンモニア、水酸化アンモニウムと過酸化水素と水の混合物であるアンモニア過水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、エチレンジアミン−パイロカテコール−水(EDP)及びヒドラジンからなる群からなる選らばれる一以上を含むものが挙げられる。使用する好ましいアルカリ濃度は、有機物の除去が目的であるので特に限定されるものではない。
また、好ましい洗浄工程としてドライ洗浄が挙げられる。ドライ洗浄は、好ましくは、UV洗浄、UVオゾン洗浄及び酸素プラズマ洗浄(アッシング)からなる群から選択される。
洗浄の方法は、有機溶剤を含ませた布・紙等でふき取る方法や、または基板を有機溶剤、酸又はアルカリ溶液に浸漬し、洗浄する方法がある。いずれの方法も有効であるが、対象となる基板をサンドブラスト装置にセットする際に有機物汚染が発生する恐れがある場合は、基板セットの後に、有機溶剤を含ませた布や紙等でふき取る方法が単純で有効な方法といえる。
例えば、ブラスト用の微粉としては、平均粒径5〜50μmのアルミナやシリカが挙げられ、サンドブラスト処理は、市販の装置を用いて行うことができる。
研磨は、例えば、CMP等の研磨器を用い、チャックでSOI基板1の裏面を固定し、研磨布でシリコン薄膜を研磨して行われる。
実験例1〜6
両面研磨を施した直径150mm、厚さ625μmの石英ウェーハを複数枚用意した。石英ウェーハをサンドブラスト装置にセットし、サンドブラスト直前にイソプロピルアルコール(実施例1)又はエタノール(実施例2)で拭き取った。一方、上記サンドブラスト装置にセットする前に、石英ウェーハを熱硫酸溶液(濃度約30質量%、温度80℃)で30分間の洗浄処理(実施例3)、又は石英ウェーハを硫酸過水(98質量%硫酸:30質量%過酸化水素水=4:1体積比)で10分間の洗浄処理(実施例4)、オゾンを溶存した水溶液(10mg/L)に10分間浸漬処理(実施例5)、5分間のUVオゾン洗浄(大気をUVランプで分解しオゾンを発生する装置を使用)(実施例6)、を行い、その後上記サンドブラスト装置にセットした。
サンドブラスト処理は、平均粒径10μmの微粉を噴射して、表面粗さ(中心線平均粗さRa500nm)となるように行った。
サンドブラストされた表面は、2質量%フッ化水素酸を用いて洗浄された。
サンドブラスト未処理部の数をカウントした。未処理部は、集光灯で観察することで簡単に判別ができた。各水準10枚を用意して実験を行い、平均して1枚のウェーハ当たりのサンドブラスト処理の未処理部数を算出した。結果を図3に示す。
洗浄処理をしない以外は、実施例1と同様にして、サンドブラスト処理を行いサンドブラスト未処理部の数をカウントした。結果を図3に示す。
なお、図2は、石英基板をサンドブラスト処理したときの処理後の表面の光学顕微鏡写真を示す。図2は、サンドブラスト処理の完了部分3aとともに、未処理部分3bが存在することを示す。
洗浄後に基板を真空ピンセットでハンドリングし、サンドブラスト処理直前まで、密閉した箱の中で保管し、基板を極力汚染しないように留意した基板を用いた以外は、実験例3と同様にして、サンドブラスト処理を行い、サンドブラスト未処理部の数をカウントした。未処理部の数を実験例3の結果とともに図4に示す。
結果は良好で低い欠陥数となった。よって、溶液に浸漬して行う洗浄では、洗浄後の保管やハンドリングに留意することで有効に欠陥数を低減できた。
2 シリコン薄膜
3 絶縁性基板
3a サンドブラスト処理完了部分
3b サンドブラスト処理の未処理部分
11 研磨布
12 ウェーハチャック
C 有機汚染物
Claims (6)
- SOI基板の裏面(シリコン薄膜ではない側)の有機汚染物を除去するための洗浄を行う洗浄工程と、
上記洗浄された面に未サンドブラスト部が生じないように均一なサンドブラスト処理を行う工程と、
上記サンドブラスト処理を行わなかった他の面を研磨する工程と
を少なくとも含む粗面化された基板の製造方法。 - 上記SOI基板が、SOQ基板、SOG基板及びSOS基板からなる群から選択される請求項1に記載の粗面化された基板の製造方法。
- 上記洗浄工程が、有機溶剤、オゾン水、酸、アルカリ溶液、又はドライ洗浄を用いて上記有機汚染物を除去することを含む請求項1又は請求項2に記載の粗面化された基板の製造方法。
- 上記ドライ洗浄が、UV洗浄、UVオゾン洗浄及び酸素プラズマ洗浄(アッシング)からなる群から選択される請求項3に記載の粗面化された基板の製造方法。
- 上記有機溶剤が、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン及びトルエンからなる群から選ばれる一以上を含む請求項3に記載の粗面化された基板の製造方法。
- 上記アルカリ溶液が、アンモニア過水、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エチレンジアミン−パイロカテコール−水(EDP)及びヒドラジンからなる一群から選ばれる一以上を含む請求項3に記載の粗面化された基板の製造方法。
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