JP5443015B2 - 医薬組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、医薬組成物に関する。
我が国では、高齢化に伴い、アルツハイマー病やパーキンソン病などの認知・記憶障害や、様々なストレスに起因するうつ病など脳神経疾患患者が増加し、社会問題となっている。
うつ病患者は1999年の44万人から2002年には71万人に増加した。うつ病は治療せずに放置すると自殺につながる可能性が高いことも問題になっている。自殺者は2006年まで9年連続で3万人を越えるなど大きな社会問題となっており、その背景にはうつ病が密接に関係していると言われている。
不安障害を併発したうつ病患者も少なくない。不安障害は症状によって強迫性障害、パニック障害、広場恐怖、急性ストレス障害、全般性不安障害などに分けられるが、代表的な不安障害であるパニック障害は、世界各国で生涯有病率1.5〜3.3%であり、約3割が抑うつを併発しており、パニック障害患者のうつ病生涯有病率は50%以上である。
また、高齢化社会に突入し、認知症患者も増加の一途をたどっている。認知症の一つであるアルツハイマー病は65歳以上で4〜6%、80歳以上で15%以上がかかるとされ、現在国内における患者数は60万人に上る。
ところで、近年、脳の高次機能にはMAPキナーゼのシグナル伝達経路が重要な役割を果たすことが明らかになってきた。脳でMAPキナーゼを活性化する脳由来神経栄養因子(BDNF)の遺伝子多型が見出され、その解析から、BDNFの機能異常は、うつ病、アルツハイマー病、記憶障害等の危険因子になることも明らかにされた(非特許文献1)。すなわち、脳の健康を保つ上でMAPキナーゼの働きが重要と考えられる。
MAPキナーゼの活性化には、キナーゼサブドメイン7、8の間に存在するスレオニン残基とチロシン残基の両方がリン酸化されることが必要である。うつ病モデル動物を使った実験では、海馬や前頭葉皮質においてリン酸化MAPキナーゼが減少しているという報告があり(非特許文献2)、短期記憶を長期記憶へと定着させるのに役立つと考えられている長期増強(long−term potentiation; LTP)の発現にもMAPキナーゼが関与しているという報告もある(非特許文献3、非特許文献4)。このように、うつや記憶障害といった脳神経疾患とMAPキナーゼには深い関係があると考えられる。
Cell.2003 Jan 24;112(2):257−69. Behav.Brain Res.2006 Dec 15;175 (2):233−40. J.Neurosci.2000 Jun 15;20(12):4563−72. J.Neurosci.2002 July 1;22(13):5432−41.
うつ病の治療薬は既にいくつか開発されているが問題点も多い。新世代薬の登場で改善されつつあるとはいえ、現在臨床で使用されているうつ病薬には胃腸障害、肝障害などの副作用があるほか、共通して即効性に乏しく、効果が現れるまでにある程度の期間(2〜3週間)が必要といった問題がある。不安障害の治療にはベンゾジアゼピン系抗不安薬などが用いられるが、眠気、ふらつき、依存性などの問題点もある。アルツハイマー病の治療薬としては、種々の合成医薬品の開発が進められているものの、その一つであるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬には、肝障害などの副作用が報告されており、確固たる治療薬は未だ作られていないのが現状である。
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、脳神経疾患の治療や予防、脳機能改善に用いることができ、副作用が少なく、長期にわたって服用しても安全性が高い医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明は、ピーナッツの渋皮及び/又はその抽出物を有効成分として含有し、脳神経疾患治療、脳神経疾患予防、及び脳機能改善から成る群から選ばれる1以上を用途とする医薬組成物を要旨とする。
本発明の医薬組成物は、ピーナッツの渋皮、ピーナッツの渋皮の抽出物、又はそれらの両方を有効成分として含有することにより、脳神経疾患治療作用、脳神経疾患予防作用、脳機能改善作用を有する。本発明の医薬組成物は、その有効成分がBDNF類似の活性を示し、脳神経細胞のMAPキナーゼ活性化亢進作用を有することにより、上記の作用を奏すると考えられる。また、本発明の医薬組成物は、有効成分として安全性の高い天然物を用いているので、副作用が少なく、長期にわたって服用しても安全性が高い。
前記脳神経疾患とつ症状、不安症状、及び記憶障害から成る群から選ばれる1以上である
前記脳機能改善と憶学習能改善である
本発明の医薬組成物は、BDNF類似の作用を有し、更にはBDNFの遺伝子発現亢進作用を有する。BDNFはアルツハイマー病やうつ症状を改善する作用があることが知られている。よって、本発明の医薬組成物を用いれば、アルツハイマー病やうつ症状を改善することができる。
本発明に係る医薬組成物の利用形態として、剤形・形態は任意であり、カプセル、粉末、顆粒、固形、液体、ゲル等の形態で利用できる。例えば、リンクや製剤等の形態を有する医薬品とすることができる
本発明におけるピーナッツ(Arachis hypogaea LINNE)は、マメ科ラッカセイ属に属する植物であり、南京豆や落花生、唐人豆とも呼ばれる。ピーナッツの渋皮は薄皮、甘皮とも呼ばれるものであるが、一般にピーナッツを各種加工食品に加工する際、ほとんどが除去されており、大部分は廃棄処分されている。本発明はこの未利用資源である渋皮を有効利用し、付加価値の高い組成物(例えば医薬品や健康食品など)を生み出すものであり、その点からも非常に意義深いものと言える。
本発明におけるピーナッツは、ラッカセイ属に属する植物であればその種類は問わないが、一般に広く食用に供されているピーナッツ(A.hypogaea)が、原料入手が容易である点から好ましい。また、ピーナッツの産地、収穫時期等についてもなんら制限されない。さらに、渋皮はピーナッツ加工食品を製造する際の脱皮工程で発生するものを利用することができる。その際の渋皮の状態は乾燥状態、湿潤状態のいずれも、原料として使用するには問題がない。しかし、その後の加工で渋皮粉砕品とする場合には、粉砕工程を考慮すると、乾燥状態である方が望ましいが、一旦湿潤状態で渋皮を取り出した後、乾燥させてもなんら問題はない。また、加熱工程や焙煎工程などの加工処理が施された後に脱皮された渋皮を用いても構わない。また、脱皮工程の方法として、殻をはずした後、湯に浸漬することによって渋皮を膨潤させてから脱皮を行う場合がある。その際用いられた湯には有効成分が溶け出していることから、この湯を本発明に係る組成物の原料として使用することも可能である。すなわち、湯を必要に応じてフィルター等で濾過した後、減圧濃縮法、常圧濃縮法、薄膜蒸留法などの濃縮手段を用いて濃縮後、凍結乾燥法、噴霧乾燥法などの粉末化手段を用いて粉末化することができる。さらに必要に応じて、後述するエタノールなどの溶媒を用いて抽出精製を行っても良い。さらに後述する吸着樹脂などを用いた精製手段を組み合わせても良い。
ピーナッツから得られた渋皮を粉砕することで粉砕物を得ることができ、この乾燥粉砕物を本発明における有効成分として使用することができる。この際の乾燥方法は、熱風乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、流動乾燥など一般に乾燥手段として用いられている方法を用いることができ、特にその方法は限定されるものではない。また、粉砕方法には乾式粉砕、湿式粉砕、ジェットミルなど一般に粉砕手段として用いられる方法を用いることができ、特にその方法は限定されるものではない。
一方、渋皮抽出物を本発明の有効成分として使用することができる。剥いた渋皮をそのまま抽出しても良いが、適当な粒度に粉砕したものを原料として抽出する方が抽出効率を高めるためには望ましい。抽出に用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール等、ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸エチル等の群から選ばれる単独の溶媒、または2種類以上の溶媒の任意の混合溶媒のいずれであってもよいが、抽出物が最終的に食品などに配合される場合は、安全性の点で、水、エタノール、またはこれらの混合溶媒を用いるのが好ましい。また、抽出率を向上させるため、抽出は複数回実施するようにしても良い。抽出の際の原料(渋皮)と溶媒との比率は特に限定されるものではないが、原料1部に対して溶媒2〜1000部とすることが好ましく、特に抽出操作、効率の点で、原料1部に対して溶媒5〜100部を用いることが好ましい。また、抽出温度は特に限定される物ではないが、室温から溶媒の沸点の範囲とするのが便利である。抽出時間は抽出温度などによって異なるが、30分〜24時間の範囲とするのが好ましい。
このようにして得られた抽出物から、必要に応じて、カラムクロマトグラフィーなどの分離手法を用い、有効成分を精製した分画物を分離しても良い。分離の手段としては、カラムや薄層等によるクロマトグラフィーや膜分離法を用いることができ、ゲル浸透、ゲル濾過等のサイズ排除クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー等の方法を用いることができる。具体的には、ピーナッツ渋皮抽出物を少量の水、含水メタノール、含水エタノールなどの溶媒に溶解し、セファデックスLH−20(商品名、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)、ダイアイオンHP−20(商品名、三菱化学製)などの吸着樹脂を充填したカラムに通液し、有効成分を吸着樹脂に吸着させた後、水で十分洗浄し、さらに、有効成分を溶出させるに充分な濃度と量のメタノール、エタノール、アセトンなどの親水性溶媒、あるいはこれらと水との混合溶媒で有効成分を溶出させればよい。
更に、抽出物や分画物は、減圧濃縮法、常圧濃縮法、薄膜蒸留法などの濃縮手段を用いて濃縮液とした後、凍結乾燥法、噴霧乾燥法などの粉末化手段を用いて粉末化することができる。
マウス海馬及び前頭葉皮質におけるMAPキナーゼリン酸化に及ぼすピーナッツ渋皮抽出物の亢進効果の評価を示すグラフである。 試験に用いるマウスの選別における尾懸垂試験の結果を示すグラフである。 ピーナッツ渋皮抽出物あるいはPBSをうつ様モデルマウスに3週間反復経口投与した後の尾懸垂試験の結果を示すグラフである。 ピーナッツ渋皮抽出物あるいはPBSをうつ様モデルマウスに3週間反復経口投与した後のガラス玉覆い隠し試験の結果を示すグラフである。 高架式十字迷路の概要を示す説明図である。 ピーナッツ渋皮抽出物あるいはPBSをうつ様モデルマウスに3週間反復経口投与した後の高架式十字迷路試験の結果を示すグラフである。 ピーナッツ渋皮抽出物あるいはPBSをうつ様モデルマウスに3週間反復経口投与した後のオープンフィールド試験の結果を示すグラフである。 ピーナッツ渋皮抽出物あるいはPBSを正常マウスに1週間反復経口投与した後のY字型迷路試験の結果を示すグラフである。 ピーナッツ渋皮抽出物あるいはPBSを正常マウスに2週間反復経口投与した後の新規物質認識試験の結果を示すグラフである。 ピーナッツ渋皮抽出物あるいはPBSをTMTとともにマウスに投与した後のY字型迷路試験の結果を示すグラフである。 RT−PCR法によるBDNF遺伝子発現解析結果を表すグラフである。
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。
1.ピーナッツ渋皮抽出物の製造
乾燥ピーナッツの渋皮1000gに、16Lの60%エタノールを加え、40℃にて1時間攪拌抽出した後、ろ過し、1回目の抽出液を得た。抽出残渣に再度2Lの60%エタノールを加え、40℃にて30分攪拌抽出した後、ろ過し、2回目の抽出液を得た。1回目の抽出液と2回目の抽出液とを合わせ、40℃にて減圧濃縮し、約1/50容量まで濃縮後、ダイアイオンHP−20(商品名、三菱化学製)5Lに有効成分を吸着した。15Lの水で水洗し、糖質などを除去した後、40%エタノール10Lで有効成分を溶出させ、有効成分を含む画分を集め、40℃にて約1/50容量まで減圧濃縮した。濃縮物を凍結乾燥し、ピーナッツ渋皮抽出物115.8gを得た。
2.マウスの海馬におけるMAPキナーゼリン酸化に及ぼすピーナッツ渋皮抽出物の亢進効果の検証
(1)試験方法
被験動物として、6週齢の雄ddYマウス(日本SLC製)であって、体重29〜31gのもの4匹を使用した。ピーナッツ渋皮抽出物をPBS(2.7mM 塩化カリウム、1.5mM リン酸二水素カリウム、137mM 塩化ナトリム、10mM リン酸水素二ナトリム;pH7.4)に溶解し、ピーナッツ渋皮抽出物のPBS溶液を調製した。ピーナッツ渋皮抽出物の投与量が、それぞれ、30μg/kg、300μg/kg、3000μg/kg体重となるように、上記溶液を上記4匹のマウスのうちの3匹に腹腔内投与した。また、残りの1匹のマウスに、PBSのみを投与し、対照(Control)群とした。
各濃度のサンプル投与1時間後にマウスの海馬を摘出し、その海馬をRIPAバッファー(150mM 塩化ナトリウム、20mM トリス;pH7.4、2mM エチレンジアミン四酢酸、1%IGEPAL@CA−630、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS;ドデシル硫酸ナトリウム、50mM フッ化ナトリウム、1mM バナジン酸ナトリウム、1mM フッ化フニルメチルスルホニル、10μg/ml ロイペプチンヘミ硫酸塩一水和物、10μg/ml アプロチニン)中に移し、氷冷下、超音波破砕して細胞溶解液とした。これを遠心分離(12,000rpm、20分)した上清をSDS化した後、ポリアクリルアミドゲルにてタンパク質を分離し、SDS−ポリアクリルアミドゲル(10%(w/v)アクリルアミド)に装填した。ゲルをポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に転写した。そのPVDF膜を5%スキムミルクでブロッキングした後、リン酸化MAPキナーゼ及びMAPキナーゼの抗体(cell signaling製)を用いて成分検索した。
(2)試験結果
図1は、ピーナッツ渋皮抽出物を腹腔内投与した時のマウスの海馬におけるリン酸化MAPキナーゼの亢進効果の結果である。なお、縦軸はリン酸化MAPキナーゼと全MAPキナーゼの割合を示す。ピーナッツ渋皮抽出物を投与したマウスの海馬は、PBSのみを投与したマウス(コントロール)の海馬と比べ、投与量が300μg/kgのもので約4.2倍、投与量が3000μg/kgのもので約2.7倍、MAPキナーゼのリン酸化が亢進されていることが確認できた。
3.ピーナッツ渋皮抽出物の抗うつ作用及び抗不安作用の検証
(1)被験動物の用意
被験動物として、6週齢の雄のddYマウス(日本SLC)を購入した。マウスは6群に分け、飼育室であるプラスチックゲージ(幅280mm×深さ440mm×高さ180 mm)内で自由飲食にて飼育した。飼育室は、室温25±1℃に保ち、7時から19時まで点灯した。
マウスの購入後、5日間飼育してから、後述の尾懸垂試験を行い、無動化時間が20秒以下のもの、或いは2分以上のものは排除した。選別に残ったマウスを、無動化時間の平均が同等になるように、A群〜F群の6群(各群それぞれ6匹)に振り分けた。図2に、各群の無動化時間を示す。なお、図2の縦軸は無動化時間を表し、図2では各群6匹の平均値±標準誤差で表示している。
(2)ストレスの付加方法
6群のうち、A群、C群、E群を、ストレスをかけない正常マウスの群(コントロール群)とした。一方、B群、D群、F群を、ストレスをかけうつ状態にしたマウスの群(ストレス群)とした。
B群、D群、F群のマウスにストレスをかける方法は、伊藤ら(Phytomedic
ine.2006;13:658−67.)のマイルドストレス法を一部改良して用い、以下のように行った。なお、マイルドストレスの負荷は前述の尾懸垂試験による選別の二日後から開始した。B群、D群、F群のマウスに対し、まず15分間の強制水泳を行った。その48時間後から傾斜ケージで48時間、汚物ケージで24時間、振とうケージで24時間飼育した。なお、各種ストレスをかけ終わって24時間はストレスをかけずにマウスを休ませた。傾斜ケージ以降のストレスを三回り繰り返した。
(3)サンプルの投与方法
サンプルの投与方法は、以下のようにした。各群のマウスに対し、前述のマイルドストレスの負荷における強制水泳の48時間後から1日1回、3週間、反復経口投与により、サンプルを投与した。投与するサンプルは、C群、D群、E群、F群については、ピーナッツ渋皮抽出物をPBSに溶解したものとした。投与量は、C群、D群については、1mg/kg体重となるように調整し、E群、F群については、3mg/kg体重となるように調整した。A群、B群については、PBSのみを投与した。
(4)尾懸垂試験の方法
サンプルを3週間反復経口投与した後、各群のマウスに対し、尾懸垂試験を、以下のように実施した。尻尾の先端から約1cmの所を指先で摘み、床から10cmの高さで固定し、逆さ吊りした。マウスは始めの内は激しく動き抵抗するが、次第に諦め無動化する。尾懸垂開始から6分以内の無動化時間が長いマウスほど、うつの症状が重いという指標とし、投与したピーナッツ渋皮抽出物の抗うつ効果を評価した。この尾懸垂試験の評価は19時から22時までの時間帯に実施した。
(5)尾懸垂試験の結果
図3は、尾懸垂試験の結果を表す。なお縦軸は無動化時間を示し、各群6匹の平均値±標準誤差で表示している。図中の##マークは、PBSのみを投与したコントロール群(A群)と、PBSのみを投与したストレス群(B群)との間に、試験値における有意な差(##<0.01)があることを示す。また。*マークは、PBSのみを投与したストレス群(B群)と、3mg/kgのピーナッツ渋皮抽出物を投与したストレス群(F群)との間に、の無動化時間における有意な差(p<0.05)があることを示す。
1mg/kgのピーナッツ渋皮抽出物を投与したストレス群(D群)は、PBSのみを投与したストレス群(B群)に対し、試験値における有意な差はなかったが、無動化時間を低下させた。また、3mg/kgのピーナッツ渋皮抽出物を投与したストレス群(F群)は、無動化時間を有意に低下させた。このことから、3mg/kgのピーナッツ渋皮抽出物の投与により抗うつ効果が認められた。
(6)ガラス玉覆い隠し試験の方法
サンプルを3週間反復経口投与した後、各群のマウスに対し、ガラス玉覆い隠し試験を、以下のように実施した。透明なアクリル製の板で作成したケージ(幅300mm×深さ300mm×高さ300mm)にチップを厚さ5cmになるように敷き詰め、その上に直径2cmの透明なガラス玉を25個、間を縦横5cmずつ空けて置いた。このケージにマウスを放ち、15分間自由行動させた後、3分の2以上がチップで覆い隠されたガラス玉の数を数えた。隠されたガラス玉の数における減少を指標として、投与したピーナッツ渋皮抽出物の抗不安あるいは抗強迫性障害、抗パニック障害効果を評価した。このガラス玉覆い隠し試験は、8時から11時までの時間帯に実施した。
(7)ガラス玉覆い隠し試験の結果
図4は、ガラス玉覆い隠し試験の結果を表す。なお、縦軸は隠したガラス玉の個数を示し、各群6匹の平均値±標準誤差で表示している。図中の#マークは、PBSのみを投与したコントロール群(A群)と、PBSのみを投与したストレス群(B群)との間に、試験値における有意な差(#<0.05)があることを示す。また。*マークは、PBSのみを投与したストレス群(B群)と、3mg/kgのピーナッツ渋皮抽出物を投与したストレス群(F群)との間に、試験値における有意な差(*:p<0.05)があることを示す。
PBSのみを投与したストレス群(B群)に対し、ピーナッツ渋皮抽出物3mg/kgを投与したストレス群(F群)では、隠したガラス玉の数が有意に減少した。このことより、3mg/kgのピーナッツ渋皮抽出物の投与による抗不安あるいは抗強迫性障害、抗パニック障害効果を確認した。
(8)高架式十字迷路試験の試験方法
サンプルを3週間反復経口投与した後、各群のマウスに対し、高架式十字迷路試験を、以下のように実施した。図5に示すような、高架式十字迷路床を用意した。すなわち、床から高さ60cmの所に、中央で直角に交差した十字の板(幅5cm×長さ65cm)を設置し、片方向の板(クローズドアーム)については、高さ10cmの透明なアクリル製の板で両側を仕切った。この十字路にマウスを放ち、5分間自由行動させ、アクリル製の板で仕切られてないアーム(オープンアーム)にいた時間とアクリル製の板で仕切られた板(クローズドアーム)に入った回数とを計測した。オープンアームにいた時間の長短を指標として、投与したピーナッツ渋皮抽出物の抗不安効果を評価した。また、クローズドアームに入った回数を指標として、投与したピーナッツ渋皮抽出物の行動量への影響の評価とした。この高架式十字迷路試験は9時から11時までの時間帯に実施した。
(9)高架式十字迷路試験の結果
図6は、高架式十字迷路試験において、各群のマウスがオープンアームにいた時間を示す。なお、縦軸はオープンアームにいた時間を示し、各群6匹の平均値±標準誤差で表示している。図中の#マークは、PBSのみを投与したコントロール群(A群)と、PBSのみを投与したストレス群(B群)との間に、試験値における有意な差(#<0.05)があることを示す。また。*マークは、PBSのみを投与したストレス群(B群)と、3mg/kgのピーナッツ渋皮抽出物を投与したストレス群(F群)との間に、試験値における有意な差(*:p<0.05)があることを示す。
PBSのみを投与したストレス群(B群)に対し、ピーナッツ渋皮抽出物を3mg/kg投与したストレス群(F群)では、オープンアームにいる時間が有意に増加した。このことから3mg/kgのピーナッツ渋皮抽出物の投与には抗不安効果があることが示された。また、PBSのみを投与したストレス群(B群)と、ピーナッツ渋皮抽出物を3mg/kg投与したストレス群(F群)との間で、クローズドアームに入った回数において有意な差が無かったことから、ピーナッツ渋皮抽出物は行動量に影響しないことが分かった。
(10)オープンフィールド試験の試験方法
サンプルを3週間反復経口投与した後、各群のマウスに対し、オープンフィールド試験を、以下のように実施した。幅×深さ×高さが各40cmである白色のアクリル板製のケージの床に、縦4本横4本等間隔に線を引き、床を16等分した。このケージにマウスを放ち、5分間自由行動させ、その間に中央の4マスにいた時間と、マウスが動いていた時間とをそれぞれ測定した。中央にいた時間の長短を指標として、投与したピーナッツ渋皮抽出物の抗不安効果を評価した。また、マウスが動いていた時間を指標として、投与したピーナッツ渋皮抽出物の活動量に与える効果を評価した。このオープンフィールド試験は8時から10時の時間帯に実施した。
(11)オープンフィールド試験の結果
図7は、オープンフィールド試験において、各群のマウスが中央の4マスにいた時間を表す。なお、縦軸は中央の4マスにいた時間を示し、各群6匹の平均値±標準誤差で表示している。図中の##マークは、PBSのみを投与したコントロール群(A群)と、PBSのみを投与したストレス群(B群)との間に、試験値における有意な差(##<0.01)があることを示す。また。**マークは、PBSのみを投与したストレス群(B群)と、3mg/kgのピーナッツ渋皮抽出物を投与したストレス群(F群)との間に、試験値における有意な差(**:p<0.01)があることを示す。
PBSのみを投与したストレス群(B群)に対し、ピーナッツ渋皮抽出物を3mg/kg投与したストレス群(F群)では、中央の4マスにいる時間が有意に増加した。高架式十字迷路試験の試験結果に続き、この試験結果からも、3mg/kgのピーナッツ渋皮抽出物の投与には抗不安効果があることが示された。また、マウスが動いていた時間はいずれも有意な差が無かったことから、ピーナッツ渋皮抽出物は行動量に影響しないことが分かった。
4.ピーナッツ渋皮抽出物の記憶力改善作用の検証(その1)
(1)被験動物の準備
6週齢の雄のddYマウス(日本SLC)を使用した。マウスはコントロール群、ピーナッツ渋皮抽出物1mg/kg投与群、3mg/kg投与群、10mg/kg投与群の4群に分け、飼育室であるプラスチックゲージ(幅280mm×深さ440mm×高さ180mm)内で自由飲食にて一週間飼育した。飼育室は、室温25±1℃に保ち、7時から19時まで点灯した。
(2)サンプル投与方法
ピーナッツ渋皮抽出物をPBSに溶解し、ピーナッツ渋皮抽出物のPBS溶液を調製した。ピーナッツ渋皮抽出物の投与量が、それぞれ、1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg体重となるように、上記溶液を、1mg/kg投与群、3mg/kg投与群、10mg/kg投与群のマウスに、一日一回、反復経口投与した。なお、コントロール群には、上記溶液の代わりに、PBSのみを投与した。
(3)Y字迷路試験の試験方法
サンプルを2週間反復経口投与した後、各群のマウスに対し、Y字迷路試験を、以下の
ように実施した。アームの全長が40cm、壁の高さが30cm、床の幅が5cmで、3本のアームがそれぞれ120度の角度で接続されたY字迷路を使用した。マウスを、最後
のサンプル投与から12時間後に、Y字迷路のいずれかのアームの先端に置き、8分間迷
路内を自由探索させ、マウスが選択したアームを、選択した順に記録した。マウスが測定時間内に各アームを選択した回数を記録し、これを総アーム選択数とした。次に、この中から連続して異なる3本のアームを選択した組み合わせを調べ、この数を交替行動数とした。交替行動数を、総アーム選択数から2を引いた数で割り、その値に100をかけて交替行動率を求めた。交替行動率が高いほど作業記憶が改善されたことを示している。なお、Y迷路試験は8:00から11:00の時間帯に実施した。
(4)Y字迷路試験の結果
図8は、Y字迷路試験における交替行動率を表す。なお縦軸は交替行動率を示し、各群6匹の平均値±標準誤差で表示している。図中の#マークは、コントロール群と、3mg/kg投与群との間に、試験値における有意な差(#<0.05)があることを示している。ピーナッツ渋皮抽出物を3mg/kg投与した群では、コントロール群に比べ、交替行動率が有意に増加した。このことからピーナッツ渋皮抽出物による作業記憶の改善作用が確認された。また、ピーナッツ渋皮抽出物を過剰量投与した(10mg/kg)群には改善作用が認められなかった。
(5)新規物質認識試験の試験方法
各群のマウスに対し、新規物質認識試験を、以下のように実施した。幅、深さ、高さがいずれも30cmの白色のアクリル板製のケージを使用した。13日目のサンプル投与終了から12時間後に、試験に用いるケージに1時間マウスを放ち、ケージに慣れさせた。
次に、14日目のサンプル投与終了から12時間後に、形が同じ二つの木製の白色球体(直径3cm)を、壁から10cmの所に互いに10cmの間隔を空けて置いた前述のケージにマウスを15分間放ち、二つの球体を記憶させた。更にその24時間後、今度は二つの球体の内一つを黒色の立方体(縦×横×高さいずれも3cm)に置き換え、マウスを10分間ケージに放ち、新しく置いた立方体(新規物質)を探している時間と記憶させた球体を探している時間とをそれぞれ測定した。新規物質を探している時間と記憶させた球体を探している時間とを足した時間を総探索時間とし、新規物質探索時間を総探索時間で割り、その値に100をかけて新規物質認識指数を求めた。新規物質認識指数が高いほど、少なくとも24時間の記憶保持を有する物質認識記憶が改善されたことを示している。なお、新規物質認識試験は8:00から12:00の時間帯に実施した。
(6)新規物質認識試験の結果
図9は、新規物質認識試験における新規物質認識指数を表す。なお、縦軸は新規物質認識指数を示し、各群5匹の平均値±標準誤差で表示している。図中の#マークは、コントロール群と1mg/kg投与群との間に、試験値における有意な差(#<0.05)があることを示す。また、図中の##マークは、コントロール群と3mg/kg投与群との間に、試験値における有意な差(##<0.01)があることを示す。ピーナッツ渋皮抽出物を1mg/kg投与した群と3mg/kg投与した群とでは、コントロール群に比べ、新規物質認識指数が有意に増加した。特に、ピーナッツ渋皮抽出物を3mg/kg投与した群では、顕著に新規物質認識指数が増加していた。このことからピーナッツ渋皮抽出物による作業記憶の改善作用が確認された。また、ピーナッツ渋皮抽出物を過剰量投与した(10mg/kg)群では、改善作用が認められなかった。
5.ピーナッツ渋皮抽出物の記憶力改善作用の検証(その2)
(1)被験動物の準備
7週齢の雄のddYマウス(日本SLC製)を使用した。マウスを、それぞれ8匹ずつから成るX、Y、Z群に分け、プラスチックケージ(幅280mm×深さ440mm×180mm)内で自由飲食にて1週間飼育した。
(2)サンプル投与
X群のマウスには、1週間の間、滅菌したPBSに溶解したピーナッツ渋皮抽出物を1日1回腹腔内投与した。ピーナッツ渋皮抽出物の1回あたりの投与量は300μg/kg体重とした。Y群とZ群のマウスには、1週間の間、滅菌したPBS(X群に投与したものと同量)を1日1回腹腔内投与した。
(3)トリメチルスズ(TMT)の投与
X群、及びY群のマウスに対し、滅菌した生理食塩水に溶解したTMT(塩化トリメチルスズ)を、前記(2)の腹腔内投与のうちの最後の投与の翌日に腹腔内投与した。TMTの投与量は、2.5mg/kg体重とした。なお、TMTは、ヒトアルツハイマー病態に類似した記憶障害を惹起することが知られており(薬学雑誌.2007 127(3):451−461)、アルツハイマー病の有用なモデルを形成する。Z群のマウスに対しては、滅菌した生理食塩水のみを投与した。
(4)再度のサンプル投与
X群のマウスに対し、前記(3)のTMT投与の翌日と2日後において、滅菌したPBSに溶解したピーナッツ渋皮抽出物を1日1回腹腔内投与した。ピーナッツ渋皮抽出物の1回あたりの投与量は300μg/kg体重とした。また、Y群とZ群のマウスに対し、前記(3)のTMT投与の翌日と2日後において、滅菌したPBS(X群に投与したものと同量)を1日1回腹腔内投与した。
(5)試験結果
X、Y、Z群のマウスについて、前記(4)における最後のサンプル投与から1時間後に、前述のY字迷路試験を行った。その結果を図10に示す。なお、図10における縦軸は交替行動率を示し、各群8匹の平均値±標準誤差で表示している。
Y群(TMTを投与し、ピーナッツ渋皮抽出物は投与していない群)は、Z群(TMT無投与群)に比べて、有意に交替行動率が低下しており、記憶障害が惹起されている。X群(TMTとピーナッツ渋皮抽出物の両方を投与した群)は、ピーナッツ渋皮抽出物を投与することにより、Y群に比べて、有意に交替行動率が増加しており、記憶障害が改善されている。
なお、図10中の#マークは、Y群とZ群との間に、試験値における有意な差(#<0.05)があることを示す。また、*マークは、X群とY群との間に、試験値における有意な差(*<0.05)があることを示す。
6.BDNF遺伝子発現亢進作用の検証
(1)試験方法
Wistar系妊娠ラット(妊娠17日目;日本SLC製)から取り出した胎仔の大脳皮質神経細胞(以下、単に神経細胞ともいう)を、ポリ−DL−オルニチンコーティングした6穴プレートに収容した。この神経細胞を、培地1(5%FBS、亜セレン酸ナトリウム、抗生物質入りのDulbeccos‘s Modified Eagle’s Medium(DMEM;Invitrogen製))を用い、1×105細胞/cm2の密度で24時間培養した。その後、培地1を培地2(2%B27サプリメント、1mMピルビン酸ナトリウム、抗生物質、2mMグルタミン入りのNeurobasal Medium(Invitrogen製))に交換した。
6穴プレートにおける穴を第1の群、第2の群、第3の群に区分し、培地を交換した三日後に、第1の群には、滅菌PBSに溶解したピーナッツ渋皮抽出物を30μg/mL添加し、第2の群には、滅菌PBSに溶解したピーナッツ渋皮抽出物を100μg/mL添加し、第3の群には、滅菌PBSのみを添加した。
上記の添加の3時間後に培地2を除き、氷冷した滅菌PBSで神経細胞を洗浄した。次に、TRIzol(Invitrogen)を用いて神経細胞からRNAを抽出し、その1μgを逆転写酵素(Prime Script RTase、TaKaRa製)とcDNA合成プライマーによりDNAへ逆転写した。
その後、BDNF(350bp)のプライマーを用いて標的遺伝子の増幅を行った。増幅する際の条件は、変性を94℃で45秒、アニーリングを61℃で45秒、伸長を72℃で30秒で32サイクルとし、最終的なPCR産物は2%アガロースゲルにて30分間電気泳動を行った。バンドの強度はFLA−5100(FUJIFILM製)を用いて解析した。内部標準としては、β−actin(542bp)を用いた。
(2)試験結果
図11に、RT−PCR法によるBDNF遺伝子発現解析結果を表す。なお、縦軸はBDNFとβ−アクチンの割合を示す。
ピーナッツ渋皮抽出物を30μg/mL又は100μg/mL添加した神経細胞では、PBSのみを添加した神経細胞に比べて、BDNFのmRNA発現量が有意に増加していることが確認できた。
なお、図11中の*マーク及び**マークは、ピーナッツ渋皮抽出物を添加した神経細胞と、PBSのみ添加した神経細胞との間に、試験値における有意な差(*:p<0.05、**:p<0.01)があることを示している。
(参考例2
実施例1により得たピーナッツ渋皮抽出物を使用して、以下の配合で錠菓(食品)を製造した。
グラニュー糖 85重量部
濃縮果汁 5重量部
クエン酸 6重量部
香料 2重量部
ピーナッツ渋皮抽出物 2重量部
(参考例3
実施例1で作製したピーナッツ渋皮抽出物0.1重量部に対し、大麦若葉の乾燥粉末を10重量部加え、青汁のもとを製造した。この粉末3gに対し、150mlの水を加えることで、ピーナッツ渋皮抽出物を含有した青汁(食品)を製造した。
(参考例4
実施例1で作成したピーナッツ渋皮抽出物53重量部に対し、乳糖17重量部、結晶セルロース27重量部、ショ糖脂肪酸エステル3重量部を撹拌混合した。この攪拌混合したもの340mgを圧縮成形して直径10mmの錠剤(食品、医薬品)を製造した。
(参考5)
実施例1により得たピーナッツ渋皮抽出物を使用して、以下の配合でドリンク(食品)
を製造した。
ピーナッツ渋皮抽出物 50mg
ビタミンB1 30mg
ビタミンC 50mg
クエン酸 300mg
エチルアルコール 500mg
果糖 3000mg
香料 100mg
水 合計で100mlとした
(参考例6
実施例1により得たピーナッツ渋皮抽出物を使用して、以下の配合でペットフードを製造した。
ピーナッツ渋皮抽出物 10重量部
トウモロコシ 58重量部
トウモロコシグルテン 5.5重量部
チキンミール 22重量部
乾燥チコリー 2.5重量部
残りは塩、ビタミン及びミネラルから成る。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記実施例では、ピーナッツの渋皮の抽出物ではなく、ピーナッツの渋皮(例えばその粉末)を用いても良い。

Claims (2)

  1. ピーナッツの渋皮及び/又はその抽出物を有効成分として含有し、脳神経疾患治療、脳神経疾患予防、及び脳機能改善から成る群から選ばれる1以上を用途とし、
    前記脳神経疾患は、うつ症状、不安症状、及び記憶障害から成る群から選ばれる1以上であることを特徴とする医薬組成物。
  2. ピーナッツの渋皮及び/又はその抽出物を有効成分として含有し、脳神経疾患治療、脳神経疾患予防、及び脳機能改善から成る群から選ばれる1以上を用途とし、
    前記脳機能改善とは、記憶学習能改善であることを特徴とする医薬組成物。
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