JP5442119B2 - ファスナーエレメント及びファスナーエレメントの製造方法 - Google Patents

ファスナーエレメント及びファスナーエレメントの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、安価で、耐時期割れ性及び耐応力腐食割れ性に優れたファスナーエレメント、及びそのファスナーエレメントの製造方法に関する。
銅亜鉛合金は加工性に優れており、従来から様々な分野で広く利用されている。一般に、銅亜鉛合金は、銅地金よりも亜鉛地金の価格が安価であるため、亜鉛含有量を増加させることにより、材料コストを低減させることができる。また、亜鉛含有量が43mass%(=wt%)以下の範囲であれば圧下率80%以上の冷間加工が可能であり、その冷間加工で生じる加工歪により強度を向上させることができ、その加工歪による効果は、亜鉛含有量が高いほど向上する。
更に、銅亜鉛合金は、その亜鉛含有量に応じて、固有の合金色調を呈することが知られている。例えば、15mass%の亜鉛を含有する銅亜鉛合金(一般に丹銅と呼ばれている)の色調は、赤味を帯びた黄金色となる。また、30mass%の亜鉛を含有する銅亜鉛合金(一般に七三黄銅と呼ばれている)の色調は、黄色味を帯びた黄金色となり、40mass%の亜鉛を含有する銅亜鉛合金(一般に四六黄銅と呼ばれている)の色調は、丹銅と同じような赤味を帯びた黄金色となる。
このような銅亜鉛合金については、強度や耐食性等の性質をより一層向上させるために、従来から様々な研究開発がなされ、実用化されてきている。
例えば特開2000−129376号公報(特許文献1)には、加工性を劣化させずに強度を向上させた銅亜鉛合金が開示されている。
この特許文献1に記載されている銅亜鉛合金は、銅を60mass%以上65mass%未満で含有している。また、その銅亜鉛合金の金属組織は、不可避的に残存する粗大β相及び未再結晶α相を除き、微細なα相とβ相とからなる2相混合組織で構成されている。特許文献1によれば、銅含有量が65mass%以上では強度が上がらず、60mass%未満では加工性が十分でなくなるとしている。
なお、特許文献1において、微細なα相とβ相とからなる2相混合組織とは、0.1〜2μmのβ相がα相と粒界を接して存在する状態を言うとしている。また、不可避的に存在するβ相とは、低温焼鈍前に存在するβ相又は低温焼鈍中に加工組織から一部発生する粗大に成長するβ相のことであり、未再結晶α相とは、低温焼鈍処理で加工組織が2相混
合組織に変わっていく途中で一部加工組織が残存したものを言うとしている。
このような特許文献1の銅亜鉛合金を製造する場合、先ず、所定の組成となる原料を溶解、鋳造し、さらに熱間加工した後、得られた合金に冷間加工率50%以上の冷間加工を加える。
冷間加工率50%以上の冷間加工を加えた後、当該合金に低温焼鈍を行う。これにより、加工歪を除くとともに、β相を晶出させる。この場合、特許文献1によれば、低温焼鈍温度が低いとβ相の晶出に時間がかかり、低温焼鈍温度が高いと再結晶α相が出現して十分な強度が得られないため、低温焼鈍温度を200〜270℃程度に設定することが望ましいとしている。特許文献1によれば、上記低温焼鈍が行われて製造された銅亜鉛合金は、プレス曲げ性等の加工性を劣化させずに、強度を向上させることができるとしている。
一方、例えば特開2000−355746号公報(特許文献2)には、亜鉛含有量が37〜46mass%であり、常温においてα+βの結晶組織を有し、この常温における結晶組織が、β相の面積比率が20%以上で且つα相及びβ相の平均結晶粒径が15μm以下である銅亜鉛合金が開示されており、このタイプの銅亜鉛合金は切削性及び強度に優れている記載されている。
また特許文献2によれば、このような銅亜鉛合金は、亜鉛含有量が37〜46mass%である銅亜鉛合金素材を、480〜650℃の範囲内の温度で熱間押出しをした後、400℃以下になるまで、0.4℃/sec以上の冷却することにより製造されるとしている。
特開2000−129376号公報 特開2000−355746号公報
銅亜鉛合金は、上述のように様々な分野で広く利用されており、例えばスライドファスナー用のファスナーエレメントや止具などのファスナー構成部品にも多く用いられている。銅亜鉛合金製のファスナーエレメントや止具は、例えば所定の断面形状を有する線材を所定の厚さにスライスした後、又は所定の厚さを有する板材を打ち抜いた後に、その得られた各部品にプレス加工等を行って噛合頭部を形成することにより作製される。そして、得られたファスナーエレメントや止具は、スライドファスナー用のファスナーテープに加締め付けられることにより、ファスナーテープの側縁部に取着される。
しかし、銅亜鉛合金製のファスナーエレメントや止具をファスナーテープに加締め付ける際に、ファスナーエレメントや止具は塑性変形することから、ファスナーテープに取着されたファスナーエレメントや止具に、残留応力による時期割れが発生したり、応力腐食割れが発生したりするという問題があった。
ここで、時期割れとは、引張残留応力が内部に存在する銅亜鉛合金をアンモニアガス等の腐食環境下に曝すと、製品(ファスナーエレメントや止具)の外面に割れが発生する現象である。また、応力腐食割れとは、引張り応力と腐食環境の相互作用で、製品表面に亀裂が発生し、その亀裂が時間と共に進展する現象である。
このような時期割れや応力腐食割れの問題は、亜鉛含有量が15mass%よりも多い銅亜鉛合金に発生し易くなることが知られており、例えば前記特許文献1に記載されてい
るような亜鉛含有量がおよそ35〜40mass%となる銅亜鉛合金や、前記特許文献2に記載されているような亜鉛含有量が37〜46mass%となる銅亜鉛合金を用いてファスナー構成部品を作製した場合でも、時期割れや応力腐食割れの問題を解消することはできなかった。
また従来から、時期割れや応力腐食割れの防止対策として、第3元素を添加することや、加工歪みを除去する焼鈍処理を行うことが知られている。
例えば、第3元素の添加については、銅亜鉛合金に錫などの第3元素を数%の量で添加することにより、耐時期割れ性及び耐応力腐食割れ性に優れた銅亜鉛合金が得られることが知られている。
しかし、時期割れや応力腐食割れの防止効果が確認されている何れの第3元素も亜鉛よりも高価な元素であるため、材料コストの増大を招くといった問題があった。また、銅亜鉛合金に錫などの第3元素を添加することにより、銅亜鉛合金の冷間加工性を低下させてしまい、高い圧下率での冷間加工が不可能となる弊害を伴う。
一方、焼鈍処理を行うことにより銅亜鉛合金の耐時期割れ性や耐応力腐食割れ性を向上させる場合、その焼鈍処理によって銅亜鉛合金に生じていた加工歪が消失する。このため、銅亜鉛合金の強度が低下してしまい、例えばファスナー構成部品として必要とされる強度が十分に得られないという問題があった。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その具体的な目的は、亜鉛含有量の増加による材料コストの削減が可能で、耐時期割れ性及び耐応力腐食割れ性に優れ、更に冷間加工性と適切な強度とを備えたファスナーエレメント、及びそのファスナーエレメントの製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明により提供されるファスナーエレメントは、基本的な構成として、亜鉛を35mass%より大きく43mass%以下で含有し、α相とβ相の2相組織を有する銅亜鉛合金からなり、噛合頭部と、前記噛合頭部から延設された胴部と、前記胴部から分岐して延設された一対の脚部とを有するファスナーエレメントであって、前記銅亜鉛合金のβ相の比率が10%より大きく40%未満に制御され、前記α相及びβ相の結晶粒が、前記ファスナーエレメントの外面に沿って、冷間加工により扁平状に押し潰されて層状に配され、扁平状の前記β相の結晶粒は、残留応力による時期割れ又は応力腐食割れによる亀裂が進展する方向に対して交差する方向に層状に形成され、且つ、断面視にて、前記外面に直交する方向の短辺長さに対する前記外面に平行な方向の長辺長さの割合が2以上に形成されてなることを最も主要な特徴とするものである。
本発明において、一対の前記脚部の対向する脚部内側面に沿って、扁平状の前記α相及びβ相が配されていることが好ましい。更に、前記胴部に、前記脚部内側面から連続する股部内側面が配され、前記胴部の前記股部内側面に沿って、扁平状の前記α相及びβ相が配されていることが好ましい。
次に、本発明により提供されるファスナーエレメントの製造方法は、亜鉛を35mass%より大きく43mass%以下で含有し、α相とβ相の2相組織を有する銅亜鉛合金から長尺の線材又は板材を形成し、前記線材又は前記板材を切断する又は打ち抜くことにより、銅亜鉛合金製のファスナーエレメントを製造する製造方法であって、前記銅亜鉛合金における前記β相の比率を10%より大きく40%未満に制御する工程と、前記β相の比率が制御された前記銅亜鉛合金に対して、50%以上の加工率で冷間加工を施すことにより、α相及びβ相の結晶粒を扁平状に押し潰すとともに、β相の結晶粒を、断面視にて
、前記ファスナーエレメントの外面に直交する方向の短辺長さに対する前記外面に平行な方向の長辺長さの割合が2以上となるように、残留応力による時期割れ又は応力腐食割れによる亀裂が進展する方向に対して交差する方向に層状に形成する工程とを含んでなることを最も主要な特徴とするものである。
本発明に係る製造方法は、前記β相の比率を制御する工程にて、前記銅亜鉛合金に熱処理を施すことを含んでいることが好ましい。
本発明に係る銅亜鉛合金製ファスナーエレメント(銅亜鉛合金製品)は、亜鉛を35mass%(=wt%)より大きく43mass%以下で含有し、α相(面心立方構造)とβ相(体心立方構造)の2相組織を有する銅亜鉛合金により構成されている。このように亜鉛含有量を35mass%より大きくすることにより、銅亜鉛合金中のβ層を確実に形成して、そのβ層の比率を制御することができ、更に、銅亜鉛合金中の銅含有量を減少させて材料コストの削減を図ることができる。一方、亜鉛含有量を43mass%以下にすることにより、α相とβ相の2相組織を安定して形成でき、銅亜鉛合金の冷間加工性を向上させることができる。
また、本発明の銅亜鉛合金製品は、β相の比率が10%より大きく40%未満に、好ましくは15%以上40%未満に制御されている。ここで、銅亜鉛合金におけるβ相は、α相に比べて硬い組織であり、β相の割合を多くすることにより、銅亜鉛合金の強度を向上させることができるが、その一方で銅亜鉛合金の冷間加工性を低下させてしまう。また、本発明では、後述するように、扁平状に押し潰されたβ相の存在により、銅亜鉛合金製品の耐時期割れ性及び耐応力腐食割れ性を向上させることができる。
このため、本発明の銅亜鉛合金製品におけるβ相の比率を10%以下にすると、銅亜鉛合金製品の強度が低下するとともに、耐時期割れ性及び耐応力腐食割れ性を向上させる効果が十分に得られない。また、β相の比率を40%以上にすると、銅亜鉛合金が脆くなり、冷間加工性の低下を招く。また、耐時期割れ性及び耐応力腐食割れ性を向上させる効果が十分に得られない。従って、銅亜鉛合金におけるβ相の比率が10%より大きく40%未満に制御されていることにより、銅亜鉛合金の強度と冷間加工性とを適切に確保することができる。
更に、本発明の銅亜鉛合金製品では、α相の結晶粒とβ相の結晶粒が、冷間加工により扁平状に押し潰されて層状に配されている。なお、本発明で言う層状とは、複数の扁平状のβ相の結晶粒が方向性を持って並んで配されており、好ましくは、複数の扁平状のβ相の結晶粒が外面から製品内部にかけて重なり合って配されていることを言う。
通常、銅亜鉛合金製品の時期割れ又は応力腐食割れは、結晶粒界やα相の結晶粒内に亀裂が進展することにより生じる。従って、本発明のように扁平状に押し潰されたα相及びβ相の結晶粒が層状に配されていることにより、製品表面に亀裂が発生しても、扁平状の硬いβ相が壁のように層状に存在するため、発生した亀裂が進展することを効果的に抑制でき、銅亜鉛合金製品に時期割れや応力腐食割れが生じることを防止できる。
特に本発明では、扁平状のβ相の結晶粒が残留応力による時期割れ又は応力腐食割れによる亀裂が進展する方向に対して交差する方向に層状に配されていることにより、亀裂が進展することを一層効果的に抑制することができる。
このような本発明の銅亜鉛合金製品において、扁平状に押し潰されたα相及びβ相の結晶粒が、当該製品の外面に沿って配されていることにより、製品表面に発生した亀裂が進
展することをより効果的に抑制することができる。
特にこの場合、扁平状のβ相の結晶粒が、断面視にて、外面に交差する方向、好ましくは直交する方向の短辺長さに対する外面に平行な方向の長辺長さの割合が2以上に、好ましくは4以上に形成されていることにより、亀裂の進展を抑制する効果を高めることができ、時期割れや応力腐食割れの発生をより安定して防止できる。
なお、ここで言う短辺長さに対する長辺長さの割合とは、銅亜鉛合金製品の断面を見たときに、β相の結晶粒を、外面に直交する方向の短辺と外面に平行な方向の長辺とにより形成される長方形で囲んだ場合におけるアスペクト比(即ち、長辺/短辺の値)のことを言う。
また、本発明に係る銅亜鉛合金製品は、加工率50%以上の冷間加工が一般的に行われるファスナー構成部品として特に好適に用いられる。
なお、ここで言う加工率とは、断面積の減少率なので、上限は特に限定されない。あえて加工率の上限を設定するのであれば、加工率が100%となることはあり得ないので、その上限は、100%未満、好ましくは99%以下とする。
例えばファスナー構成部品が、噛合頭部と、噛合頭部から延設された胴部と、胴部から分岐して延設された一対の脚部とを有するファスナーエレメントである場合、ファスナーエレメントを加締め加工してファスナーテープに取り付けたときに、従来ではファスナーエレメントの脚部の対向する脚部内側面や、脚部内側面から連続する股部内側面に時期割れや応力腐食割れが発生し易いという問題があった。
しかし、本発明に係る銅亜鉛合金製品がファスナーエレメントであり、同ファスナーエレメントの脚部内側面に沿って扁平状のα相及びβ相が配されていれば、ファスナーエレメントが加締め加工されてファスナーテープに取り付けられても、脚部内側面に時期割れや応力腐食割れが発生することを効果的に防止できる。更に、胴部の股部内側面に沿って扁平状のα相及びβ相が配されていれば、股部内側面に時期割れや応力腐食割れが発生することも効果的に防止できる。
次に、本発明に係る銅亜鉛合金製ファスナーエレメント(銅亜鉛合金製品)の製造方法は、亜鉛を35mass%より大きく43mass%以下で含有し、α相とβ相の2相組織を有する銅亜鉛合金におけるβ相の比率を10%より大きく40%未満に、好ましくは15%以上40%未満に制御する工程と、β相の比率が制御された銅亜鉛合金に対して、50%以上の加工率で冷間加工を施す工程とを含んでいる。
このような本発明の製造方法によれば、亜鉛を35mass%より大きく43mass%以下で含有する銅亜鉛合金を用いることにより、銅亜鉛合金製品の材料コストを容易に削減することができる。また、その銅亜鉛合金におけるβ相の比率を10%より大きく40%未満に制御することにより、亜鉛合金の強度と冷間加工性とを適切に確保することができる。
更に、β相の比率が制御された銅亜鉛合金に対して50%以上の加工率で冷間加工を施すことにより、銅亜鉛合金に存在するα相の結晶粒とβ相の結晶粒とを扁平状に押し潰して層状に配することができるため、耐時期割れ性及び耐応力腐食割れ性に優れた銅亜鉛合金製品を製造できる。
このような本発明の銅亜鉛合金製品の製造方法において、銅亜鉛合金におけるβ相の比率を制御する工程においては、銅亜鉛合金に熱処理を施すことにより、銅亜鉛合金におけ
るβ相の比率を10%より大きく40%未満に安定して制御することができる。
また、本発明の銅亜鉛合金製品の製造方法において、前記冷間加工により、扁平状のβ相の結晶粒を、残留応力による時期割れ又は応力腐食割れによる亀裂が進展する方向に対して交差する方向に層状に形成することにより、耐時期割れ性及び耐応力腐食割れ性が極めて優れている銅亜鉛合金製品を安定して製造できる。
更に、本発明の銅亜鉛合金製品の製造方法において、前記冷間加工により、β相の結晶粒を、断面視にて、製品外面に直交する方向の短辺長さに対する製品外面に平行な方向の長辺長さの割合が所定の大きさとなるように、好ましくは前記割合が2以上となるように、好ましくは4以上となるように形成する。これにより、製造される銅亜鉛合金製品の耐時期割れ性及び耐応力腐食割れ性を更に向上させることができる。
また、本発明の銅亜鉛合金製品の製造方法によれば、銅亜鉛合金から長尺の線材又は板材を形成し、その線材又は板材を切断する又は打ち抜くことにより、銅亜鉛合金製品として、ファスナーエレメントや止具などのファスナー構成部品を好適に製造することができる。これにより製造されたファスナー構成部品は、加締め加工等の冷間加工が施されても、時期割れや応力腐食割れの発生を効果的に防止できる。
図1は、スライドファスナーの正面図である。 図2は、ファスナーエレメント及び上下止具のファスナーテープへの取り付けを説明する説明図である。 図3は、扁平状のβ相の結晶粒が配される位置を模式的に示す模式図である。 図4は、ファスナーエレメントの股部内側面の表層部に形成されたβ相の結晶粒を模式的に示す模式図である。 図5は、β相の各結晶粒における長辺長さと短辺長さを説明する説明図である。 図6は、ファスナーエレメントの脚部内側面の表層部に形成されたβ相の結晶粒を模式的に示す模式図である。 図7は、β相の各結晶粒における長辺長さと短辺長さを説明する説明図である。 図8は、圧延方向に対して、外面に直交する方向、外面に平行な方向、各切断面の方向を概念的に説明する説明図である。 図9は、実施例2に係る試験片の圧延面に対して直交し且つ圧延方向に直交する切断面の組織を観察した光学顕微鏡写真の写しである。 図10は、実施例2に係る試験片の圧延面に対して直交し且つ圧延方向に平行な切断面の組織を観察した光学顕微鏡写真の写しである。 図11は、実施例2に係る試験片の圧延面に平行な切断面の組織を観察した光学顕微鏡写真の写しである。 図12は、実施例1に係るファスナーエレメントの脚部内側面近傍の組織を観察した光学顕微鏡写真の写しである。 図13は、実施例1に係るファスナーエレメントの股部内側面近傍の組織を観察した光学顕微鏡写真の写しである。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。
例えば、以下の実施形態では、銅亜鉛合金製品としてファスナー構成部品を製造する場合について説明するが、本発明は、ファスナー構成部品以外の銅亜鉛合金製品や、最終製品が得られる前の中間製品(例えば後述するような長尺の線材など)に対しても同様に適用することができる。
本実施形態に係るファスナー構成部品は、スライドファスナーを構成する銅亜鉛合金製の部品であり、例えば、ファスナーエレメント、上止具、下止具、開離嵌挿具、及びスライダーなどが含まれる。
ここで、スライドファスナー1は、例えば図1に示したように、ファスナーテープ3の対向するテープ側縁部に複数のファスナーエレメント10が列設されてエレメント列4が形成された左右一対のファスナーストリンガー2と、左右のファスナーストリンガー2の上端部及び下端部にエレメント列4に沿って取着された上止具5及び下止具6と、エレメント列4に沿って摺動可能に配されたスライダー7とを有している。
この場合、各ファスナーエレメント10は、図2に示したように、Yバーと呼ばれる断面が略Y字形状の線材20を所定の厚さでスライスし、そのスライスしたエレメント素材21にプレス加工等を行って噛合頭部10aを形成することにより製造される。
このとき得られるファスナーエレメント10は、プレス加工等により形成された噛合頭部10aと、噛合頭部10aから一方向に延設された胴部10bと、胴部10bから二股に分岐して延設された一対の脚部10cとを有している。そして、ファスナーエレメント10は、一対の脚部10c間にファスナーテープ3の芯紐部3aを含むエレメント取付部が挿入された状態で、両脚部10cが互いに近接する方向(内側)に加締められて塑性変形することにより、ファスナーテープ3に所定の間隔で取り付けられる。
スライドファスナー1用の上止具5は、断面が矩形状の平角材5aを所定の厚さでスライスし、得られた切断片に曲げ加工を行って断面略U字状に成形することにより製造される。また、上止具5は、その内周側の空間部にファスナーテープ3のエレメント取付部が挿入された状態で加締められて塑性変形することにより、左右のファスナーテープ3のそれぞれに取り付けられる。
スライドファスナー1用の下止具6は、断面が略H形状(又は略X形状)の異形線材6aを所定の厚さでスライスすることにより製造される。また、下止具6は、左右の内周側の空間部にそれぞれ左右のファスナーテープ3のエレメント取付部が挿入された状態で加締められて塑性変形することにより、左右のファスナーテープ3に跨って取り付けられる。
このようなスライドファスナー1において、本実施形態に係るファスナー構成部品は、上述のようにファスナーテープ3に取り付ける際に加締め加工が施されるファスナーエレメント10や上下止具5,6として特に好適に適用される。なお、以下では、本発明が好適に適用される銅亜鉛合金製のファスナーエレメント10について主に説明することとする。
本実施形態に係るファスナーエレメント10は、銅と、亜鉛と、不可避不純物とからなる銅亜鉛合金により構成されている。ここで、不可避不純物とは、原料中に存在したり、製造工程において不可避的に混入したりする不純物であり、銅亜鉛合金製品の特性に影響を及ぼさない程度に許容されている微量の不純物をいう。
このファスナーエレメント10の材料として使用される銅亜鉛合金は、同合金中におけ
る亜鉛含有量が35mass%より大きく43mass%以下となるように調整されており、面心立方格子のα相と体心立方格子のβ相の2相組織を有している。
ここで、銅亜鉛合金における亜鉛含有量が35mass%以下になると、合金中にβ相が形成されないか、或いは、β相が形成されたとしてもβ相の比率を以下のような範囲に制御することが困難となる。更に、銅亜鉛合金中の亜鉛含有量が小さい場合、その銅亜鉛合金に含まれる銅の含有量が必然的に大きくなるため、ファスナーエレメント10の材料コストが銅の含有量が大きくなるにつれて増大する。一方、銅亜鉛合金における亜鉛含有量が43mass%より大きくなると、銅亜鉛合金がβ相の単相組織となって脆くなるため、銅亜鉛合金の冷間加工性が悪くなり、脆性破壊が生じ易くなる。
また、銅亜鉛合金の亜鉛含有量を上記範囲に制御することにより、ファスナーエレメント10が、亜鉛含有量が15mass%程度の銅亜鉛合金からなる従来のファスナーエレメント10と同じような色調(即ち、赤味を帯びた黄金色の色調)を呈することができる。具体的には、銅亜鉛合金の色調が、Lab表色系において、L値が60以上90以下で、a値が0以上5以下で、b値が15以上35以下となる。これにより、本実施形態のファスナーエレメント10を用いてスライドファスナー1を構成しても、当該スライドファスナー1は従来と同じような色彩を備えるため、スライドファスナー1の使用者に違和感を与えることもない。
また、同ファスナーエレメント10に使用される銅亜鉛合金は、β相の比率が10%より大きく40%未満に、好ましくは15%以上40%未満に制御されている。ここで、β相の比率が10%以下になると、後述するような耐時期割れ性及び耐応力腐食割れ性を向上させる効果が十分に得られない。一方、β相の比率を40%以上にすると、銅亜鉛合金が脆くなり、銅亜鉛合金の冷間加工性が低下する。
更に、本実施形態に係るファスナーエレメント10では、銅亜鉛合金の少なくとも一部の結晶組織において、α相の結晶粒とβ相の結晶粒が扁平状に押し潰されて層状に配されている。この場合、図3にファスナーエレメントにおける扁平状に押し潰されたβ相の配置を判り易く模式的に示すように、細い線で模式的に表した扁平状のβ相の結晶粒15は、少なくとも、ファスナーエレメント10をスライスする前のYバーにおいて外周面を構成していた外面の近傍領域に、その外面に沿って層状に配されている。
なお、図3では、扁平状のβ相の結晶粒15を判り易くするために、実際の大きさよりも大きく表示しているものの、実際のβ相の結晶粒は図3に表示するものよりも小さく形成されている(例えば、図12及び図13を参照)。また、ここで言う外面とは、外側に露呈する表面のことであり、脚部10cの内側に対向して配される脚部内側面10dや噛合頭部10aに形成された噛合凹部内の内周面も、ここで言う外面に含まれる。また、同ファスナーエレメント10に形成される扁平状のα相の結晶粒も、扁平状のβ相の結晶粒が配されている領域と略同じ領域に配されている。
特に本実施形態のファスナーエレメント10の場合、扁平状のβ相の結晶粒は、少なくとも脚部10cの対向する脚部内側面10dの近傍(表層部)に形成されていることを特徴とし、その脚部内側面10dから連続するように形成された胴部10bの股部内側面10eの近傍(表層部)にも配されていることが好ましい。
即ち、従来のファスナーエレメント10は、一般にファスナーテープ3に取り付ける際には常温にて加締め固定されるため、取り付けられた後のファスナーエレメント10には、上述のような脚部内側面10dや股部内側面10eの近傍に、脚部10cの塑性変形に起因する引張残留応力が発生するため、このような脚部内側面10dや股部内側面10e
に時期割れが発生し易かった。
また、ファスナーテープ3に取着されたファスナーエレメント10が引っ張られたとき等には、ファスナーテープ3に直接咬み込んでいる脚部内側面10dや股部内側面10eに引張り応力がかかり易いため、脚部内側面10dや股部内側面10eに応力腐食割れが発生し易かった。
これに対して、本実施形態のファスナーエレメント10では、従来では時期割れや応力腐食割れが発生し易かった脚部内側面10dや股部内側面10eの少なくとも近傍の領域(表層部)に、扁平状の硬いβ相の結晶粒が層状に配されている。これにより、残留応力等に起因してファスナーエレメント10の脚部内側面10dや股部内側面10eから亀裂が発生しても、層状に形成された複数の扁平状のβ相が、時期割れ或いは応力腐食割れによる亀裂が進展する方向に対して交差する方向、好ましくは直交する方向に長くなるように配置されているので、亀裂を分散させたり、亀裂の進展を妨げたりすることができる。このため、割れ(亀裂)が大きくなる(深くなる)ことを防いで、ファスナーエレメント10の品質を損ねるような時期割れや応力腐食割れが生じることを防止できる。
特に本実施形態では、ファスナーエレメント10の脚部10cや胴部10bの断面における結晶組織を見たときに、扁平状のβ相の結晶粒が、ファスナーエレメント10の外面(脚部内側面10d又は股部内側面10e)に沿って配され、しかも、その外面に直交する方向の短辺長さと、その外面に平行な方向の長辺長さとの割合が、即ち、外面に直交する方向の短辺と外面に平行な方向の長辺とにより形成される長方形のアスペクト比(長辺/短辺の値)が、2以上となるように、好ましくは4以上となるように形成されている。
なお、外面に直交する方向とは、ファスナーエレメント10の結晶組織を断面で見た場合に、ファスナーエレメント10の外面を基準としたときの合金の深さ方向を指し、例えばその外面が曲面である場合には、その曲面の接線方向に対して略直交する方向を言う。一方、外面に平行な方向とは、ファスナーエレメント10の結晶組織を断面で見た場合、ファスナーエレメント10の外面に沿った方向を指し、例えばその外面が曲面である場合には、その曲面の接線方向に略平行な方向を言う。なお、外面に直交する方向と外面に平行な方向とは、必ずしも互いに直交している必要はなく、交差する角度が90°から誤差を含む程度でずれていても良い。
ここで、外面に直交する方向の短辺長さと、その外面に平行な方向の長辺長さとの割合について、図4〜図7を参照しながら、より具体的に説明する。図4は、後述される図13のファスナーエレメント10の股部内側面10eの表層部に形成されたβ相の結晶粒のうちから任意に選択した3つの結晶粒を模式的に示した図であり、図6は、後述される図12におけるファスナーエレメント10の脚部内側面10dの表層部に形成されたβ相の結晶粒のうちから任意に選択した3つの結晶粒を模式的に示した図である。
ファスナーエレメント10の股部内側面10eの表層部に形成された図4に示すβ相の結晶粒31,32,33、及び、脚部内側面10dの表層部に形成された図6に示すβ相の結晶粒34,35,36は、ファスナーエレメント10の外面に沿って配されており、ファスナーエレメント10の外面に平行な方向の長辺長さaと外面に直交する方向の短辺長さbとを、それぞれ図5及び図7に示したように規定することができる。
即ち、β相の結晶粒31について見てみると、同結晶粒31の長辺方向(外面に平行な方向)の一端部と他端部間を結ぶ線分の寸法を長辺長さaと規定する。また、当該結晶粒31について外面に直交する方向(外面に対する深さ方向)における結晶粒界間の寸法を測定したときに、その結晶粒界間の寸法が最大となる部分の寸法を短辺長さbと規定する
このように長辺長さa及び短辺長さbを規定した場合において、「長辺長さa/短辺長さb」の値が、結晶粒31のアスペクト比となる。また、β相の結晶粒32〜36についても、図5及び図7に示したようにβ相の結晶粒31と同様に長辺長さa及び短辺長さbが規定される。なお、図5及び図7に示したように、それぞれのβ相の結晶粒31〜36は、その結晶粒が配されている位置によって、股部内側面10e及び脚部内側面10dに沿った方向が異なっているため、長辺長さa及び短辺長さbの方向も各結晶粒31〜36ごとに相違する。
また本発明において、結晶組織を見るときのファスナーエレメント10の断面方向は任意に設定することができる。この場合、外面に直交する方向は、その断面方向の向きに関わらず一方向に設定されるものの、外面に平行な方向は、その断面方向の向きに応じて変わってくる。
例えば図8に概念的に銅亜鉛合金片25を示したように、ファスナーエレメント10における外面に直交する方向とは、冷間加工において圧延される圧延面29に対して直交する方向22であり、この直交方向は基本的に1つの圧延面29に対して、深さ方向となる一方の方向に定められる。一方、外面に平行な方向とは、圧延面29と平行な方向であり、圧延面29内の方向であれば、例えば圧延方向に平行な方向23、圧延方向に対して直交する方向24、圧延方向に傾斜した方向などが含まれる。
このため、本実施形態において、β相の結晶粒は、ファスナーエレメント10を圧延面29に対して直交する任意の面で切断した場合、その切断面26(又は切断面27)において短辺長さと長辺長さとの割合が2以上に形成されている。特に本実施形態では、1つの切断面26(又は切断面27)と、当該切断面26(又は切断面27)に対して直交する切断面27(又は切断面26)の両方において、短辺長さと長辺長さとの割合が2以上に形成されていることが好ましい。
即ち、ファスナーエレメント10を、例えば冷間加工において圧延された圧延面に対して直交し、且つ圧延方向に平行な方向で切断した場合、その圧延方向に平行な切断面において、β相の結晶粒における短辺長さと長辺長さとの割合が2以上に形成されており、且つ、同ファスナーエレメント10を、圧延面に対して直交し、且つ圧延方向にも直交する方向で切断した場合にも、その圧延方向に直交する切断面において、β相の結晶粒における短辺長さと長辺長さとの割合が2以上に形成されていることが好ましい。
このように1つの切断面において、好ましくは2つ以上の切断面において扁平状のβ相の結晶粒における短辺長さと長辺長さとの割合が2以上に、好ましくは4以上の関係を有していれば、そのβ相の結晶粒が層状に配されていることにより、ファスナーエレメント10の脚部内側面10dや股部内側面10eから亀裂が深く進展することを効果的に妨げることができ、ファスナーエレメント10の耐時期割れ性や耐応力腐食割れ性を向上させることができる。
従って、例えば本実施形態のファスナーエレメント10は、例えば80%以上の加工率で冷間加工が施されて製造されたために同ファスナーエレメント10に残留応力が生じている場合でも、同ファスナーエレメント10に時期割れや応力腐食割れが生じることを安定して防止できる。
なお、本実施形態のファスナーエレメント10では、図3に示したように、脚部内側面10dや股部内側面10eだけでなく、噛合頭部10a、胴部10b、及び脚部10cの
各外側面10fや、両脚部10cの先端に対向して配される先端面10gにも、扁平状のβ相の結晶粒が層状に配されている。従って、同ファスナーエレメント10では、残留応力が発生し易い脚部内側面10dや股部内側面10eだけでなく、噛合頭部10a、胴部10b、及び脚部10cの各外側面や、両脚部10cの先端面に時期割れや応力腐食割れが生じることも効果的に防止できる。
また、本実施形態のファスナーエレメント10において、扁平状のα相の結晶粒や扁平状のβ相の結晶粒が配される領域はファスナーエレメント10の外面近傍の領域(表層部)に限定されるものではなく、ファスナーエレメント10の外面から深い領域に扁平状のα相の結晶粒や扁平状のβ相の結晶粒が配されていても良い。
次に、上述のような本実施形態に係るファスナーエレメント10を製造する方法について説明する。
先ず、所定の断面積を有する銅亜鉛合金のビレットを鋳造する。このとき、ビレットは、亜鉛の含有量が35mass%より大きく43mass%以下となるように銅亜鉛合金の組成が調整されて鋳造される。このとき鋳造されたビレットは、α相とβ相の2相組織を有している。
続いて、得られたビレットに熱処理を行うことにより、銅亜鉛合金におけるα相とβ相の比率を、β相の比率が10%より大きく40%未満となるように、好ましくは15%以上40%未満となるように制御する。この場合、ビレットに行う熱処理の条件は、銅亜鉛合金の組成に応じて任意に設定することができる。なお、例えばビレットを鋳造すると同時に銅亜鉛合金におけるβ相の比率を上記範囲に制御できる場合には、上述のような熱処理を行うことを省略することができる。
ビレットにおけるβ相の比率を制御した後、そのビレットに対して、例えば加工率が50%以上となるように冷間押出加工等の冷間加工を行うことにより、中間製品となる長尺の線材を作製する。なお本発明において、冷間加工は、銅亜鉛合金の再結晶温度未満の温度で行われ、好ましくは200℃以下の温度、特に100℃以下の温度で行われると良い。
このように銅亜鉛合金のビレットに冷間加工を行って長尺の線材を作製することにより、得られた長尺の線材では、銅亜鉛合金中のα相の結晶粒とβ相の結晶粒とが扁平状に押し潰されて層状に配された状態となる。特にこの場合、α相の結晶粒とβ相の結晶粒とは、冷間加工が行われたことによって、加工方向(圧延方向)に沿うように長く引き伸ばされた扁平形状を有している。
その後、冷間加工が施された長尺線材を複数の圧延ロールを通して、線材の横断面が略Y形状となるように冷間加工を行うことにより、前述したYバー20が成形される。これにより、銅亜鉛合金中のα相の結晶粒とβ相の結晶粒とを更に扁平状に押し潰して、例えばファスナーエレメント10の脚部内側面10dや股部内側面10eに沿って、扁平状のβ相の結晶粒を緻密に配することができる。この場合、得られた長尺のYバー20の縦断面を見たときに、Yバー20の外周面に沿って配されている扁平状のβ相の結晶粒は、短辺長さに対する長辺長さの割合が2以上となるように形成されている。
そして、前記Yバー20を所定の厚さでスライスし、そのスライスしたエレメント素材21に、例えば特開2006−247026号公報で説明されているような装置を利用してフォーミングパンチとフォーミングダイによりプレス加工等を行って噛合頭部10aを形成することによって、本実施形態に係るファスナーエレメント10を安定して製造することができる。
ここで、Yバー20を製造する工程において、Y字形状の冷間加工を加工率50%以上で行うのであれば、ビレットを伸線したのち、β相の比率を制御するために熱処理を施してもよい。なお、このときの中間製品はYバーとなる。
なお、上述の実施形態では、主にファスナーエレメント10について説明しているが、本発明は、上述のように上止具5、下止具6、開離嵌挿具、及びスライダー7にも同様に適用することができる。
例えば、上止具5の場合、先ず、ファスナーエレメント10と同様の組成を有する銅亜鉛合金製のビレットを鋳造し、同ビレットに熱処理を施して銅亜鉛合金におけるβ相の比率を制御する。次に、得られたビレットに冷間加工を行うことにより、断面が矩形状の平角材5a(中間製品)を作製する。その後、得られた平角材5aを、図2に示すように所定の厚さでスライスし、得られた切断片に曲げ加工を行って断面略U字状に成形することにより上止具5を製造することができる。
一方、下止具6の場合、先ず、ファスナーエレメント10や上止具5と同様の組成を有する銅亜鉛合金製のビレットを鋳造し、同ビレットに熱処理を施して銅亜鉛合金におけるβ相の比率を制御する。次に、得られたビレットに冷間加工を行うことにより、断面が略H形状(又は略X形状)の異形線材6a(中間製品)を作製する。その後、得られた異形線材6aを、図2に示すように所定の厚さでスライスすることにより下止具6を製造することができる。
上述のようにして得られた上止具5や下止具6は、ファスナーテープ3に取着したときにファスナーテープ3に接触する内側面に沿って、短辺長さに対する長辺長さの割合が2以上となる扁平状のβ相の結晶粒が緻密に配されているため、ファスナーエレメント10と同様に、これらの上下止具5,6に時期割れや応力腐食割れが生じることを安定して防止することができる。
以下、実施例及び比較例を示すことにより本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
先ず、以下に詳述する条件に従って実施例1〜4及び比較例1〜5に係る試験片を作製し、得られた各試験片について、耐時期割れ性、耐応力腐食割れ性、冷間加工性、及び強度についての評価を行った。
先ず、下記の表1及び表2に示した所定の組成に秤量した銅と亜鉛を高周波真空溶解装置により、アルゴン雰囲気中で溶解して直径40mmの鋳塊を作製し、その得られた直径40mmの鋳塊から直径8mmの押出材を作製し、更に、得られた押出材に板厚が1.1mm以上5.0mm以下の範囲の所定の板状になるまで冷間加工を施した。
次に、銅亜鉛合金におけるβ相の比率が下記の表1及び表2に示した所定の値となるように、400℃以上700℃以下の範囲で押出材に熱処理を行った。続いて、熱処理を施して加工歪みが除去された板状の押出材に対して、表1及び表2に示した所定の加工率で上下方向のみから圧延加工する冷間圧延を施して長尺の板材を製造した。その後、得られた板材から、厚さ(上下方向の寸法)1mm×幅(左右方向の寸法)5mm×長さ(圧延方向の寸法)の試験片を切り出した。
更に、得られた各試験片について、上面の近傍領域における銅亜鉛合金の組織をその断面写真にて観察した。このとき、図8に示したように、試験片25について、圧延面29
に対して直交し且つ圧延方向に直交する切断面26、圧延面29に対して直交し且つ圧延方向に平行な切断面27、及び圧延面29に平行な切断面28における銅亜鉛合金の組織を観察した。また同時に、切断面27において観察されるβ相の結晶粒の短辺長さと長辺長さを測定して、短辺長さに対する長辺長さの割合(長辺長さ/短辺長さの値)を求めた。
また、実施例及び比較例の各試験片に対して、耐時期割れ性、耐応力腐食割れ性、冷間加工性、及び強度の評価を以下のようにして行った。
耐時期割れ性の評価については、JBMA−T301(日本伸銅協会技術標準)に基づいた促進試験方法で評価し、アンモニア暴露後に発生した時期割れ(亀裂)の長さが150μm以下であったものを「○」と評価し、150μmを超えたものを「×」と評価した。
耐応力腐食割れ性の評価については、先ず、各試験片を三点曲げ治具にそれぞれ保持することにより、試験片の長さ方向の両端部を下面側から支持するとともに、長さ方向の中央部を上面側から下方に押圧して、各試験片に所定の応力を加えた。更に、三点曲げ治具に保持した状態の試験片を、日本伸銅協会技術標準JBMA−01に準じて、デシケーター内でアンモニア暴露を実施した。そして、暴露前後による引張強度を比較して、強度低下率50%以上の試料を耐応力腐食割れ性について「○」とし、50%未満の試料を耐応力腐食割れ性について「×」として評価した。
冷間加工性の評価については、所定の加工率で冷間圧延が施された試験片を目視観察したときに、割れ(亀裂)が発生していなかったものを「○」と評価し、割れ(亀裂)が発生していたものを「×」と評価した。強度の評価については、ビッカース硬度測定を行った結果、硬度がHv80以上であったものを「○」と評価し、硬度がHv80未満であったものを「×」と評価した。
下記表1及び表2に、実施例及び比較例に係る各試験片の作製条件を示すとともに、β相の結晶粒における短辺長さに対する長辺長さの割合を求めた結果と、耐時期割れ性、耐応力腐食割れ性、冷間加工性、及び強度の評価結果とを示す。更に、実施例2の試験片については、前述の切断面26〜28における銅亜鉛合金の組織を走査型電子顕微により観察した写真の写しをそれぞれ図9〜図11に示す。なお、図9〜図11に示した写真の写しにおいて、影が付いている部分がβ相の結晶粒を示している。
上記表1に示したように、実施例1〜実施例4の試験片は、何れも亜鉛含有量が35mass%より大きいため、銅亜鉛合金中の銅含有量の減少によるコスト削減の効果が期待できる。また、実施例1〜実施例4の試験片は、焼鈍処理が施されることなく、50%以上の加工率で冷間圧延が行われているものの、試験片の表面に亀裂は観察されず、冷間加工性に優れていることが判った。
更に、実施例1〜実施例4の試験片について、圧接面近傍領域における組織を前述の切断面26及び切断面27にて観察したところ、図9及び図10に示したように、何れの試験片においても扁平状のβ相の結晶粒が層状に配されていることが確認できた。また、実施例1〜実施例4の試験片は、時期割れ性、耐応力腐食割れ性及び強度についても十分に優れていることも確認された。
更にまた、実施例1〜実施例4の試験片の色調を、Lab表色系において判定したところ、何れの試験片も、L値が60以上90以下で、a値が0以上5以下で、b値が15以上35以下となっており、従来のファスナーエレメントと同じような色彩を備えていることが確認できた。
一方、上記表2に示したように、比較例1の試験片は、亜鉛含有量が所定の範囲に調整されているものの、銅亜鉛合金中のβ相の比率が10%以下である。このため、比較例1の試験片では、扁平状のβ相の結晶粒により得られる耐時期割れ性の向上効果が十分に得られないことが確認された。
比較例2の試験片は、亜鉛含有量が43mass%よりも大きいため、銅亜鉛合金中にβ相が多く存在し、β相の比率が40%以上となった。このようにβ相の比率が大きくなったことにより銅亜鉛合金の冷間加工性が低下し、10%程度の加工率の冷間加工によって銅亜鉛合金に亀裂(脆性破壊)が確認された。
更に、比較例2の試験片は、50%以上の加工率の冷間加工を行うことができなかったため、β相の結晶粒を扁平状に押し潰すことができず、β相の結晶粒における短辺長さに対する長辺長さの割合は2よりも小さかった。このため、扁平状のβ相の結晶粒により得られる耐時期割れ性及び耐応力腐食割れ性の向上効果が十分に得られなかった。
比較例3の試験片は、従来から一般的に製造されているファスナーエレメントと略同じ条件で作製されている試験片である。この比較例3の試験片における耐時期割れ性、耐応力腐食割れ性、冷間加工性、及び強度についてはスライドファスナーの使用に耐え得るものであったが、亜鉛含有量が小さく、銅含有量が大きいため、材料コストが高くなるとい
う問題があった。
比較例4〜比較例5の試験片は、何れもα相の単相組織を有しており、耐時期割れ性、耐応力腐食割れ性、及び強度の何れかの性質に劣るものであった。
次に、上述の表1に示した実施例1及び4の条件、並びに表2に示した比較例3及び5の条件に従ってファスナーエレメントを製造し、得られた各ファスナーエレメントについて、耐時期割れ性、耐応力腐食割れ性、冷間加工性、及び強度についての評価を行った。
具体的には、先ず、表1及び表2に示した所定の組成に秤量した銅と亜鉛を溶解してビレットを鋳造し、常温で伸線加工を行うことにより長尺線材を作製した。次に長尺線材に熱処理を施して銅亜鉛合金におけるβ相の比率を表1及び表2に示す値となるように制御した。
続いて、作製した長尺線材を複数の圧延ロールに通して、線材の横断面が略Y形状となるように常温にて加工することによってYバー20を成形し、その後、得られたYバー20を所定の厚さでスライスし、そのスライスしたエレメント素材21にフォーミングパンチとフォーミングダイによりプレス加工を行ってファスナーエレメント10を製造した。
次に、実施例1,4及び比較例3,5のファスナーエレメント10における脚部内側面10dの近傍領域における組織を断面写真にて観察した。また、実施例1,4及び比較例3,5のファスナーエレメント10に対して、耐時期割れ性、耐応力腐食割れ性、冷間加工性、及び強度についての評価を上述した方法を用いて行った。
ここで、実施例1のファスナーエレメント10については、脚部内側面10dの近傍領域における組織と、股部内側面10eの近傍領域における組織とを走査型電子顕微により観察した写真の写しをそれぞれ図12と図13に示す。なお、図12及び図13に示した写真の写しにおいて、黒く見える部分がβ相の結晶粒である。
実施例1及び実施例4のファスナーエレメント10は、ビレットからファスナーエレメント10を製造する際に、焼鈍処理が施されることなく、50%以上の加工率で冷間加工が行われて塑性変形しているものの、ファスナーエレメント10の表面に亀裂は観察されず、試験片における評価結果と同様に冷間加工性に優れていることが判った。
更に、実施例1及び実施例4のファスナーエレメント10について、脚部内側面10dの近傍領域及び股部内側面10eの近傍領域における組織を観察したところ、図12及び図13に示したように、何れのファスナーエレメント10においても扁平状のβ相の結晶粒が層状に配されていることが確認できた。また、実施例1及び実施例4のファスナーエレメント10は、試験片における評価結果と同様に、耐時期割れ性、耐応力腐食割れ性、及び強度について十分に優れていることも確認された。
一方、比較例3のファスナーエレメントは、試験片における評価結果と同様に、耐時期割れ性、耐応力腐食割れ性、冷間加工性、及び強度についてはスライドファスナーの使用に耐え得るものであったが、亜鉛含有量が小さく、銅含有量が大きいため、材料コストが高くなるという問題があった。
比較例5のファスナーエレメントはα相の単相組織を有しており、耐時期割れ性及び耐応力腐食割れ性に劣るものであった。
1 スライドファスナー
2 ファスナーストリンガー
3 ファスナーテープ
3a 芯紐部
4 エレメント列
5 上止具
5a 平角材
6 下止具
6a 異形線材
7 スライダー
10 ファスナーエレメント
10a 噛合頭部
10b 胴部
10c 脚部
10d 脚部内側面
10e 股部内側面
10f 外側面
10g 先端面
15 β相の結晶粒
20 線材(Yバー)
21 エレメント素材
22 圧延面に直交する方向
23 圧延方向に平行な方向
24 圧延方向に対して直交する方向
25 試験片(合金片)
26 切断面
27 切断面
28 切断面
29 圧延面
31〜36 β相の結晶粒

Claims (5)

  1. 亜鉛を35mass%より大きく43mass%以下で含有し、α相とβ相の2相組織を有する銅亜鉛合金からなり、噛合頭部(10a) と、前記噛合頭部(10a) から延設された胴部(10b) と、前記胴部(10b) から分岐して延設された一対の脚部(10c) とを有するファスナーエレメント(10)であって、
    前記銅亜鉛合金のβ相の比率が10%より大きく40%未満に制御され、
    前記α相及びβ相の結晶粒が、前記ファスナーエレメント(10)の外面に沿って、冷間加工により扁平状に押し潰されて層状に配され
    扁平状の前記β相の結晶粒は、残留応力による時期割れ又は応力腐食割れによる亀裂が進展する方向に対して交差する方向に層状に形成され、且つ、断面視にて、前記外面に直交する方向の短辺長さに対する前記外面に平行な方向の長辺長さの割合が2以上に形成されてなる、
    ことを特徴とするファスナーエレメント
  2. 一対の前記脚部(10c) の対向する脚部内側面(10d) に沿って、扁平状の前記α相及びβ相が配されてなる請求項記載のファスナーエレメント
  3. 前記胴部(10b) に、前記脚部内側面(10d) から連続する股部内側面(10e) が配され、
    前記胴部(10b) の前記股部内側面(10e) に沿って、扁平状の前記α相及びβ相が配されてなる、
    請求項1又は2記載のファスナーエレメント
  4. 亜鉛を35mass%より大きく43mass%以下で含有し、α相とβ相の2相組織を有する銅亜鉛合金から長尺の線材(20)又は板材を形成し、前記線材(20)又は前記板材を切断する又は打ち抜くことにより、銅亜鉛合金製のファスナーエレメント(10)を製造する製造方法であって、
    前記銅亜鉛合金における前記β相の比率を10%より大きく40%未満に制御する工程と、
    前記β相の比率が制御された前記銅亜鉛合金に対して、50%以上の加工率で冷間加工を施すことにより、α相及びβ相の結晶粒を扁平状に押し潰すとともに、β相の結晶粒を
    、断面視にて、前記ファスナーエレメント(10)の外面に直交する方向の短辺長さに対する前記外面に平行な方向の長辺長さの割合が2以上となるように、残留応力による時期割れ又は応力腐食割れによる亀裂が進展する方向に対して交差する方向に層状に形成する工程と、
    を含んでなることを特徴とするファスナーエレメントの製造方法。
  5. 前記β相の比率を制御する工程にて、前記銅亜鉛合金に熱処理を施すことを含んでなる請求項記載のファスナーエレメントの製造方法。
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