JP5442078B2 - モータ制御装置及びモータの絶縁劣化検出方法 - Google Patents

モータ制御装置及びモータの絶縁劣化検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、モータの絶縁劣化検出機能を備えたモータ制御装置及びモータの絶縁劣化検出方法に関する。
一般的に、サーボモータは、モータ制御装置に接続され、モータ制御装置内に設けたPWMインバータによって駆動される。サーボモータは、工作機械をはじめとする生産設備で多く用いられる。工作機械の中には、切削液を供給しながらワークを加工する機械がある。切削液を用いる機械では、切削液がサーボモータに付着し、付着した切削液がサーボモータの内部に侵入して、サーボモータの絶縁を徐々に劣化させる。
サーボモータの絶縁が劣化すると、サーボモータ内の巻線とグランドとの間の絶縁抵抗が小さくなり、最終的には、巻線とグランドとが電気的に繋がってしまい、地絡に至る。地絡が生じると、漏電ブレーカーをトリップさせたり、モータ制御装置を損傷させたりして、システムダウンを発生させる。システムダウンの発生は、工場の生産ラインを強制的に停止させることになるため、工場での生産に多大の損害を与える。
従来、予防保全の観点から、地絡に至る前に、サーボモータの絶縁劣化を容易に検出できる装置を要望する声があった。特に、多くのサーボモータを用いている多軸の工作機械を使用する工場では、サーボモータの絶縁劣化を、個々に検出できる装置が切望されている。
多数のモータの絶縁劣化を検出する従来の方法として、下記特許文献1に示すような方法がある。
下記特許文献1に示す方法は、モータの絶縁劣化検出時、まず、モータごとに、整流回路が備える平滑コンデンサの一端を、第1スイッチを介してモータの巻線に接続し、他端を、第2スイッチを介してグランドに接続して、平滑コンデンサから第1スイッチ、モータの巻線、第2スイッチ、グランド、平滑コンデンサに至る閉回路を形成する。そして、モータごとに、この閉回路を流れる電流を測定し、また、閉回路に接続した抵抗器のリンク電圧を測定する。最後に、測定した電流と測定したリンク電圧とからそれぞれのモータの絶縁抵抗を検出する。
特開2010−156661号公報
しかしながら、この方法を適用したとしてもモータの絶縁抵抗を正確に検出できない場合がある。たとえば、モータ制御装置が次のように構成されている場合である。
インバータ回路のプラス極のトランジスタのゲート制御信号を、高耐圧ICを用いて伝送させ、そのマイナス極のトランジスタのゲート制御信号を、高耐圧ICを用いずに伝送させるインバータ回路を設け、全てのインバータ回路で共用する整流回路を設けている場合である。
このような構成のモータ制御装置において、モータごとに絶縁抵抗を検出するときには、インバータ回路とモータとを接続する接続線から高耐圧ICの電源を通して整流回路の−側に電流が流れてしまう。つまり、絶縁抵抗を検出するときに形成する閉回路に、検出電流とは逆向きの電流が流れてしまう。この逆向きの電流は絶縁抵抗の正確な検出を阻害する。
本発明は、上記のような構成を有するモータ制御装置においても、容易に絶縁抵抗を検出することができ、複数のモータの絶縁劣化の状態を個別に正確に把握することができるモータ制御装置及びモータの絶縁劣化検出方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係るモータ制御装置は、遮断器、複数のインバータ回路、検出スイッチ、検出動作制御部、絶縁抵抗検出部を有する。各インバータ回路は、スイッチング部、第1駆動回路、直流電源接続スイッチを有する。
遮断器は、平滑コンデンサを備えた整流回路と交流電源との接続を遮断する。
複数のインバータ回路は、前記平滑コンデンサと並列に接続され複数のモータのそれぞれを個別に駆動する。
検出スイッチは、前記平滑コンデンサから前記インバータ回路、前記モータ、前記平滑コンデンサに至る絶縁抵抗検出用電流経路を形成する。
各インバータ回路のスイッチング部は、一対の半導体スイッチを直列に接続し前記一対の半導体スイッチ同士の接続ラインを前記モータの巻線に接続したアーム回路を複数並列に接続し複数のアーム回路を前記平滑コンデンサに並列に接続する。
各インバータ回路の第1駆動回路は、前記アーム回路の一対の半導体スイッチのうち一方の半導体スイッチを駆動する高耐圧ICを備える。
各インバータ回路の直流電源接続スイッチは、前記第1駆動回路に電力を供給する直流電源を前記高耐圧ICに接続する。高耐圧ICの2次側電源、及び、トランジスタの駆動電源は、別途絶縁電源などで構成する。
検出動作制御部は、前記モータの絶縁抵抗の検出指示を受信したときには、前記遮断器を遮断し、前記検出スイッチを閉にして絶縁抵抗検出用電流経路を形成し、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路以外の、高耐圧ICを用いて構成される全てのインバータ回路の直流電源接続スイッチを開にして前記絶縁抵抗検出用電流経路に電流が流れ込まないようにする一方、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路の直流電源接続スイッチを閉にし、検出対象となるモータが接続される前記第1駆動回路、第2駆動回路にPWM信号を出力する。
絶縁抵抗検出部は、前記絶縁抵抗検出用電流経路を流れる電流を用いて各モータの絶縁抵抗を検出する。
上記目的を達成するための本発明に係る他のモータ制御装置は、遮断器、複数のインバータ回路、検出スイッチ、検出動作制御部、絶縁抵抗検出部を有する。各インバータ回路は、スイッチング部、第1駆動回路、第2駆動回路、分離スイッチを有する。
遮断器は、平滑コンデンサを備えた整流回路と交流電源との接続を遮断する。
複数のインバータ回路は、前記平滑コンデンサと並列に接続され複数のモータのそれぞれを個別に駆動する。
検出スイッチは、前記平滑コンデンサから前記インバータ回路、前記モータ、前記平滑コンデンサに至る絶縁抵抗検出用電流経路を形成する。
各インバータ回路のスイッチング部は、一対の半導体スイッチを直列に接続し前記一対の半導体スイッチ同士の接続ラインをモータの巻線に接続したアーム回路を複数並列に接続し複数のアーム回路を前記平滑コンデンサに並列に接続する。
各インバータ回路の第1駆動回路は、アーム回路の一対の半導体スイッチのうち高耐圧ICと当該高耐圧ICを駆動するブートストラップ回路を有し一方の半導体スイッチを駆動する。
各インバータ回路の第2駆動回路は、前記アーム回路の一対の半導体スイッチのうち他方の半導体スイッチを駆動する。
前記分離スイッチは、前記ブートストラップ回路と前記高耐圧ICに電力を供給する直流電源を前記ブートストラップ回路と前記高耐圧IC接続する一方、前記第1駆動回路と前記第2駆動回路とを分離する。
検出動作制御部は、前記モータの絶縁抵抗の検出指示を受信したときには、前記遮断器を遮断し、前記検出スイッチを閉にして絶縁抵抗検出用電流経路を形成し、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路以外の、高耐圧ICを用いて構成される全てのインバータ回路の分離スイッチを開にして前記絶縁抵抗検出用電流経路に電流が流れ込まないようにする一方、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路の分離スイッチを閉にし、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路の第1駆動回路にはA%のデューティー比のPWM信号を出力して当該インバータ回路のスイッチング部の少なくとも一つのアーム回路の一対の半導体スイッチの一方をオン状態にして他方をオフ状態にし、その後、前記インバータ回路の第2駆動回路には前記PWM信号のHI、LOWを同一タイミングで反転させた100−A%のデューティー比のPWM信号を出力して前記アーム回路の一対の半導体スイッチの一方をオフ状態にして他方をオン状態にするスイッチング動作を繰り返させる。
絶縁抵抗検出部は、前記絶縁抵抗検出用電流経路を流れる電流を用いて各モータの絶縁抵抗を検出する。
上記目的を達成するための本発明に係るモータの絶縁劣化検出方法は、前記モータの絶縁抵抗の検出指示を受信する第1段階と、前記遮断器を遮断し、検出スイッチを閉にして絶縁抵抗検出用電流経路を形成し、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路以外の、高耐圧ICを用いて構成される全てのインバータ回路の直流電源接続スイッチを開にして前記絶縁抵抗検出用電流経路に電流が流れ込まないようにする一方、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路の直流電源接続スイッチを閉にする第2段階と、検出対象となるモータが接続される第1駆動回路にPWM信号を出力する第3段階と、前記絶縁抵抗検出用電流経路を流れる電流を用いて各モータの絶縁抵抗を検出する第4段階と、を含む。
上記目的を達成するための本発明に係る他のモータの絶縁劣化検出方法は、前記モータの絶縁抵抗の検出指示を受信する第1段階と、遮断器を遮断し、検出スイッチを閉にして絶縁抵抗検出用電流経路を形成し、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路以外の全てのインバータ回路の分離スイッチを開にして前記絶縁抵抗検出用電流経路に電流が流れ込まないようにする一方、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路の分離スイッチを閉にする第2段階と、前記検出対象となるモータが接続されるインバータ回路の第1駆動回路にはA%のデューティー比のPWM信号を出力して当該インバータ回路のスイッチング部の少なくとも一つのアーム回路の一対の半導体スイッチの一方をオン状態にして他方をオフ状態にし、その後、前記インバータ回路の第2駆動回路には前記PWM信号のHI、LOWを同一タイミングで反転させた100−A%のデューティー比のPWM信号を出力して前記アーム回路の一対の半導体スイッチの一方をオフ状態にして他方をオン状態にするスイッチング動作を繰り返させて前記絶縁抵抗検出用電流経路内に検出電流を流す第3段階と、前記絶縁抵抗検出用電流経路を流れる電流を用いて各モータの絶縁抵抗を検出する第4段階と、を含む。
本発明によれば、高耐圧ICを有するモータ制御装置であっても、容易に絶縁抵抗を検出することができ、複数のモータの絶縁劣化の状態を個別に正確に把握することができる。
実施形態1に係るモータ制御装置の構成図である。 図1に示したモータ制御装置の絶縁抵抗検出時の動作フローチャートである。 実施形態1に係るモータ制御装置の絶縁抵抗検出時の動作説明に供する図である。 実施形態2に係るモータ制御装置の絶縁抵抗検出時の動作説明に供する図である。 実施形態3に係るモータ制御装置の絶縁抵抗検出時の動作説明に供する図である。 実施形態3に係るモータ制御装置で用いるPWM信号の一例を示す図である。 実施形態4に係るモータ制御装置の絶縁抵抗検出時の動作説明に供する図である。
以下に、本発明に係るモータ制御装置及びモータの絶縁劣化検出方法の実施形態を、[実施形態1]から[実施形態4]に分けて説明する。
[実施形態1]
〔モータ制御装置の構成〕
図1は、実施形態1に係るモータ制御装置の構成図である。図に示すように、実施形態1に係るモータ制御装置100は、2台のモータM1、M2を駆動でき、2台のモータM1、M2の絶縁抵抗を個別に検出できる。実施形態1に係るモータ制御装置を用いてモータM1、M2の絶縁抵抗を検出する場合には、検出対象となるモータの配線を外す必要がなく、交流電源からの漏れ電流の影響を受けることがない。また、下記のように、2軸で構成されるモータ制御装置が高耐圧ICを備えていたとしても、2つのモータの絶縁抵抗を個別に正確に検出することができる。なお、本明細書で記載している高耐圧ICとは、通常の制御回路と高電圧系回路を混載したICのことを言う。
実施形態1で例示するモータは、三相交流モータであり、モータM1は、スター接続されたR相の巻線W1r、S相の巻線W1s、T相の巻線W1tを有する。モータM1が駆動されているときには、たとえば、巻線W1r、W1s、W1tに電気角で120°位相をずらした電流が流される。また、モータM1の絶縁抵抗R1iは等価回路として巻線W1r、W1s、W1tの中性点とグランドとの間の絶縁を示す抵抗として記載してある。絶縁抵抗R1iの抵抗値があらかじめ定めた一定の値以下になるとモータM1の絶縁が劣化していると判断できる。
同様に、モータM2は、スター接続されたR相の巻線W2r、S相の巻線W2s、T相の巻線W2tを有する。モータM2が駆動されているときには、モータM1と同様に、たとえば、巻線W2r、W2s、W2tに、電気角で120°位相をずらした電流が流される。また、モータM2の絶縁抵抗R2iの抵抗値があらかじめ定めた一定の値以下になるとモータM2の絶縁が劣化していると判断できる。
モータ制御装置100は、平滑コンデンサCを備えた整流回路110と交流電源(三相)120との接続を遮断する遮断器130を有する。
整流回路110は、図に示す通り、ブリッジ接続した6個のダイオードD1−D6を有し、6個のダイオードD1−D6は交流電源120から流れる交流電流を全波整流する。6個のダイオードD1−D6によって全波整流された直流電流は、平滑コンデンサCによって平滑化され、全波整流後の直流電流電圧のリップルが低減される。
遮断器130は、モータM1またはM2の絶縁抵抗を検出するときにその接点が開放され、整流回路110と交流電源120との接続を遮断する。
整流回路110には、2つのインバータ回路140−1と140−2が並列に接続してある。インバータ回路140−1と140−2は、平滑コンデンサCと並列に接続され、モータM1、M2のそれぞれを個別に駆動する。インバータ回路140−1と140−2の構成は同一であるので、代表してインバータ140−1の構成を説明する。
インバータ140−1は、スイッチング部を構成する3つのアーム回路150A、150B、150Cを有する。
アーム回路150Aは、一対のトランジスタ(半導体スイッチ)TR1とTR4とを直列に接続し、一対のトランジスタTR1とTR4同士の接続ライン152AにモータM1の巻線W1rを接続する。アーム回路150Bは、一対のトランジスタTR2とTR5とを直列に接続し、一対のトランジスタTR2とTR5同士の接続ライン152BにモータM1の巻線W1tを接続する。アーム回路150Cは、一対のトランジスタTR3とTR6とを直列に接続し、一対のトランジスタTR3とTR6同士の接続ライン152CにモータM1の巻線W1sを接続する。
3つのアーム回路150A、150B、150C(スイッチング部)は整流回路110の平滑コンデンサCに並列に接続される。スイッチング部を形成する6つのトランジスタTR1、TR4、TR2、TR5、TR3、TR6のコレクタ−エミッタ間には、ダイオードDが逆接続される。
各アーム回路150A、150B、150Cを形成する一対のトランジスタTR1、TR4または、TR2、TR5または、TR3、TR6のうち、一方のトランジスタTR1、TR2、TR3のそれぞれには、高耐圧IC145が接続される。高耐圧IC145にはコンデンサC0が並列に接続される。高耐圧IC145とコンデンサC0とによって第1駆動回路を形成する。高耐圧ICの2次側電源、及び、トランジスタの駆動電源は、別途絶縁電源などで構成する。
各アーム回路150A、150B、150Cを形成する一対のトランジスタTR1、TR4または、TR2、TR5または、TR3、TR6のうち、他方のトランジスタTR4、TR5、TR6のそれぞれには、トランジスタTR4、TR5、TR6を駆動する第2駆動回路147が接続される。
高耐圧IC145は、トランジスタTR1、TR2、TR3のそれぞれに対して個別に設けられる。また、第2駆動回路147は、トランジスタTR4、TR5、TR6のそれぞれに対して個別に設けられる。
トランジスタTR1、TR2、TR3を駆動する第1駆動回路の高耐圧IC145は、直流電源DPSが直流電源接続スイッチ149−1によって接続される。また、第1駆動回路の高耐圧IC145とトランジスタTR4、TR5、TR6を駆動する第2駆動回路147とは、直流電源接続スイッチ149−1によって接続される。
直流電源接続スイッチ149−1が開になると、高耐圧IC145と直流電源DPSが切り離されて、高耐圧IC145を通じて流れる電流が絶縁抵抗検出用電流経路に流れ込むことを防止する。また、第1駆動回路の高耐圧IC145と第2駆動回路147とが分離される。逆に、直流電源接続スイッチ149−1が閉になると、高耐圧IC145と直流電源DPSが接続され、高耐圧IC145は、直流電源DPSの電圧によりトランジスタTR1、TR2、TR3を駆動する。また、第1駆動回路の高耐圧IC145と第2駆動回路147とが接続される。
なお、実施形態1では、直流電源接続スイッチ149−1を高耐圧IC145が接続されるラインと第2駆動回路147が接続されるラインとの間に設け、直流電源接続スイッチ149−1を開とすることで、全ての高耐圧IC145と全ての第2駆動回路147とを1つの直流電源接続スイッチ149−1でまとめて分離している。しかし、直流電源接続スイッチ149−1は隣接する高耐圧IC145間、及び隣接する第2駆動回路147間に設けても良い。
検出スイッチ155の一方の端子には、平滑コンデンサCの一端とトランジスタTR4、TR5、TR6のエミッタを接続するラインに一方の端子が接続された抵抗器160が接続される。また、検出スイッチ155の他方の端子には、モータM1またはM2が地絡状態にあるときに過電流が流れるのを防止する保護抵抗器165の一端が接続される。保護抵抗器165の他端はグランドに接続される。
モータM1またはM2の絶縁抵抗を検出するときに、検出スイッチ155を閉じると、下記のいずれかの絶縁抵抗検出用電流経路を形成する。
すなわち、モータM1の絶縁抵抗を検出するときには、インバータ回路140−1において、平滑コンデンサCからアーム回路150AのトランジスタTR1、TR4、モータM1の巻線W1r、アーム回路150BのトランジスタTR2、TR5、モータM1の巻線W1t及びアーム回路150CのトランジスタTR3、TR6、モータM1の巻線W1sの3つの巻線を経由し、絶縁抵抗R1i、グランドを介して、保護抵抗器165、検出スイッチ155、抵抗器160から平滑コンデンサCに至る絶縁抵抗検出用電流経路を形成する。
また、絶縁抵抗検出用電流経路は、上記のように3つの巻線を経由するのではなく、1つずつの巻線を経由する下記のいずれかの経路であっても良い。
すなわち、平滑コンデンサCからアーム回路150AのトランジスタTR1、TR4、モータM1の巻線W1r、絶縁抵抗R1i、グランドを介して、保護抵抗器165、検出スイッチ155、抵抗器160から平滑コンデンサCに至る絶縁抵抗検出用電流経路であっても良い。または、平滑コンデンサCからアーム回路150BのトランジスタTR2、TR5、モータM1の巻線W1t、絶縁抵抗R1i、グランドを介して、保護抵抗器165、検出スイッチ155、抵抗器160から平滑コンデンサCに至る絶縁抵抗検出用電流経路であっても良い。または、平滑コンデンサCからアーム回路150CのトランジスタTR3、TR6、モータM1の巻線W1s、絶縁抵抗R1i、グランドを介して、保護抵抗器165、検出スイッチ155、抵抗器160から平滑コンデンサCに至る絶縁抵抗検出用電流経路であっても良い。また、任意の2つのアーム回路(たとえばアーム回路150Aと150C)によって絶縁抵抗検出用電流経路を形成するようにしても良い。
なお、モータM2の絶縁抵抗を検出するときには、インバータ回路140−2側において、上記と同様に、いずれかの経路で絶縁抵抗検出用電流経路を形成する。
遮断器130、直流電源接続スイッチ149−1、149−2、検出スイッチ155は、検出動作指示部170によって駆動される。
検出動作制御部170は、モータM1またはM2の絶縁抵抗の検出指示を受信したときには、その検出指示がどのモータに対する検出指示であるのかを認識する。絶縁抵抗の検出指示がモータM1に対するものであれば、図3に示してあるように、遮断器130を開にし、直流電源接続スイッチ149−1を閉に、直流電源接続スイッチ149−2を開にして、同時に検出スイッチ155を閉にして、インバータ回路140−1側において上記の絶縁抵抗検出用電流経路を形成する。
一方、絶縁抵抗の検出指示がモータM2に対するものであれば、遮断器130を開にし、直流電源接続スイッチ149−1を開に、直流電源接続スイッチ149−2を閉にして、同時に検出スイッチ155を閉にして、インバータ回路140−2側において上記の絶縁抵抗検出用電流経路を形成する。
直流電源接続スイッチ149−1と149−2は通常は同時に閉となることはなく、絶縁抵抗の検出指示がモータM1に対するものであるか、モータM2に対するものであるかによって択一的に開閉される。したがって、インバータ回路140−1側において絶縁抵抗検出用電流経路を形成するときには、インバータ回路140−2側の影響を受けることなく、モータM1の絶縁抵抗R1iが測定できる。また、インバータ回路140−2側において絶縁抵抗検出用電流経路を形成するときには、インバータ回路140−1側の影響を受けることなく、モータM2の絶縁抵抗R2iが測定できる。なお、モータM1の絶縁抵抗R1iとモータM2の絶縁抵抗R2iの並列抵抗値を検出したい場合は、直流電源接続スイッチ149−1と149−2を同時に閉とする。
PWM制御回路175は、絶縁抵抗検出時には、検出動作制御部170からの指示を受けて、高耐圧IC145及び第2駆動回路147に一定のデューティー比のPWM信号を出力する。
これにより、スイッチング部の少なくとも一つのアーム回路(たとえば3つであればアーム回路150A−150C)の一対のトランジスタTR1、TR2、TR3をオン状態にしてトランジスタTR4、TR5、TR6をオフ状態にし、その後トランジスタTR1、TR2、TR3をオフ状態にしてトランジスタTR4、TR5、TR6をオン状態にするスイッチング動作が繰り返される。また、スイッチング部の少なくとも一つのアーム回路(たとえば1つであればアーム回路150A)の一対のトランジスタTR1をオン状態にしてトランジスタTR4をオフ状態にし、その後トランジスタTR1をオフ状態にしてトランジスタTR4をオン状態にするスイッチング動作が繰り返される。
PWM制御回路175は、アーム回路150A−150Cの第1駆動回路を形成する高耐圧IC145と第2駆動回路147に上記の一定のデューティー比のPWM信号をパルスの位相を合わせるように同期させて出力して、モータM1またはM2の巻線の絶縁抵抗を検出できるようにする。
また、PWM制御回路175は、アーム回路150Aの高耐圧IC145と第2駆動回路147に上記のデューティー比のPWM信号を出力して、モータM1またはM2の巻線W1rまたは巻線W2rの絶縁抵抗を検出できるようにする。または、アーム回路150Bの高耐圧IC145と第2駆動回路147に上記のデューティー比のPWM信号を出力して、モータM1またはM2の巻線W1tまたは巻線W2tの絶縁抵抗を検出できるようにする。または、アーム回路150Cの高耐圧IC145と第2駆動回路147に上記のデューティー比のPWM信号を出力して、モータM1またはM2の巻線W1sまたは巻線W2sの絶縁抵抗を検出できるようにする。
さらに、PWM制御回路175は、任意の2つのアーム回路(たとえばアーム回路150Aと150C)の高耐圧IC145と第2駆動回路147に対してパルスの位相を合わせるように同期させて、同時に上記のデューティー比のPWM信号を出力しても良い。
なお、検出動作指示部170とPWM制御回路175とで検出動作制御部を形成する。
検出スイッチ155と抵抗160との間にはA/Dコンバータ180が接続される。A/Dコンバータ180は、抵抗160の端子間電圧をデジタル値に変換する。A/Dコンバータ180には、デジタル化された抵抗160の端子間電圧からモータM1、M2の絶縁抵抗R1iまたはR2iを検出し、検出した絶縁抵抗の値を用いて絶縁劣化状態を判定する絶縁劣化判定コンピュータ185が接続される。
なお、A/Dコンバータ180と絶縁劣化判定コンピュータ185とで絶縁抵抗検出部を形成する。
〔モータ制御装置の動作〕
次に、図1に示したモータ制御装置100の動作について説明する。絶縁抵抗を検出する動作について説明する前に、まず、モータM1、M2を駆動する通常の動作について説明する。
(通常動作)
モータM1とM2を駆動する場合には、検出動作指示部170は作動しないので、遮断器130は図1に示すように閉状態になっている。交流電源120によって印加される電圧は整流回路110によって直流に変換され、モータM1を駆動するインバータ回路140−1とモータM2を駆動するインバータ回路140−2とに供給される。なお、通常動作では、図1に示すように、直流電源接続スイッチ149−1と149−2はともに閉状態であり、検出スイッチ155は開状態となっている。
PWM制御回路175は、インバータ回路140−1と140−2のアーム回路150A−150CのトランジスタTR1−TR6のスイッチングを繰り返すことによって、モータM1、M2の巻線W1r−W1t、W2r−W2tに電流を流し、モータM1、M2を回転させる。
PWM制御回路175による、トランジスタTR1−TR6のスイッチングの制御は、モータM1、M2に取り付けられているエンコーダからの信号に基づいて行われる。エンコーダからの信号によりモータM1、M2の回転位置が検出され、位置決めのためにモータM1、M2の速度が制御される。
(絶縁抵抗検出動作)
上記のような通常動作とは別に、モータM1またはM2の絶縁抵抗を検出するときには、モータ制御装置100は次のように動作する。
図2は、図1に示したモータ制御装置100の絶縁抵抗検出時の動作フローチャートである。この動作フローチャートに示す処理手順は、モータの絶縁劣化検出方法の手順を示すものでもある。
図2の動作フローチャートの処理を、図3を参照しながら説明する。
絶縁抵抗検出動作は、検出動作指示部170が、モータM1またはM2の絶縁抵抗の検出指示を外部から入力することによって開始される。
検出動作指示部170が外部から絶縁抵抗の検出指示を受信すると(S100)、検出動作指示部170は、図3に示すように、遮断器130を閉状態から開状態にして、整流回路110を交流電源120から切り離す(S101)。これによってインバータ回路140−1と140−2には電力が供給されなくなり、モータ制御装置100が通常動作から絶縁抵抗検出動作に移行する。なお、絶縁抵抗の検出指示には、検出対象となるモータM1またはM2の情報を含んでいる。
このステップS100の処理は絶縁劣化検出方法の第1段階に相当する。
検出動作指示部170は、絶縁抵抗の検出指示に含まれる検出対象となるモータの情報から、その検出指示がどのモータに対する検出指示であるのかを認識する。認識した検出指示により、開状態にさせる直流電源接続スイッチ149−1または149−2を選択し、選択した直流電源接続スイッチを開状態にする。
たとえば、絶縁抵抗の検出指示がモータM1に対するものであれば、絶縁抵抗の検出対象となるモータが接続されるインバータ回路は140−1であるので、検出動作指示部170は、図3に示すように、直流電源接続スイッチ149−1のみを閉状態にする。すなわち、直流電源接続スイッチ149−1は閉状態のままとし、絶縁抵抗の検出対象外のモータが接続されるインバータ回路140−2の直流電源接続スイッチ149−2は閉状態から開状態とする。
直流電源接続スイッチ149−2を開状態にするのは、万が一、モータM2の絶縁抵抗R2iが低下している場合には、モータM2の巻線から高耐圧IC145、直流電源DPS、平滑コンデンサCが接続されている−ライン側に電流が流れ込んでしまうからである。この電流は絶縁抵抗R1iの誤検出を招く。
以上の誤検出を回避するために、モータM1の絶縁抵抗を検出する際には、直流電源接続スイッチ149−2を開状態にしている。なお、モータM2の絶縁抵抗を検出する際には、直流電源接続スイッチ149−1を開状態にする(S102)。
次に、検出動作指示部170は、図3に示すように、検出スイッチ155を閉状態にする(S103)。
このステップS101からステップS103の動作は絶縁劣化検出方法の第2段階に相当する。
PWM制御回路175は、検出動作指示部170からの動作指示を受けて、インバータ回路140−1のアーム回路150A−150Cの高耐圧IC145に一定のデューティー比のPWM信号をパルスの位相を合わせるように同期させて出力する。なお、絶縁劣化検出動作の際に用いるPWM信号と上記の通常動作の際に用いるPWM信号は異なる。絶縁劣化検出動作の際には、絶縁劣化検出に適した独自のPWM信号を用いる。
このPWM信号によって、トランジスタTR1、TR2、TR3及びTR4、TR5、TR6が交互にスイッチング動作される。トランジスタTR1、TR2、TR3及びTR4、TR5、TR6が交互にスイッチング動作することによって、生成された電圧が、平滑コンデンサCからトランジスタTR1、モータM1の巻線W1r、及びトランジスタTR2、モータM1の巻線W1t、及びトランジスタTR3、モータM1の巻線W1s、絶縁抵抗R1i、グランド、保護抵抗器165、検出スイッチ155、抵抗器160を介して平滑コンデンサCに至る絶縁抵抗検出用電流経路に印加される。
トランジスタTR1、TR2、TR3がオンしている時間は高耐圧IC145に出力するPWM信号のデューティー比によって決まるので、絶縁抵抗R1i、保護抵抗器165、抵抗器160の直列回路に印加される平均電圧Vは、平滑コンデンサCの充電電圧をVDCとすると、V=VDC×A/100ボルトになる。
したがって、絶縁抵抗検出用電流経路に流れる検出電流をIとし、絶縁抵抗R1iの抵抗値をRR1i、保護抵抗器165の抵抗値をR165、抵抗器160の抵抗値をR160すると、
I=V/(RR1i+R165+R160
=VDC×A×/100(RR1i+R165+R160)アンペアである。
よって、抵抗器160の端子間電圧V160は、
160=VDC×A×R160/100(RR1i+R165+R160)ボルトである。なお、ここでは、モータM1の巻線W1r、巻線W1t、巻線W1sの合成抵抗値と、トランジスタTR1、TR2、TR3の電圧降下は、極めて小さいので無視している。
抵抗器160の端子間電圧V160の大きさは絶縁抵抗R1iの大きさRR1iに比例する。したがって、抵抗器160の端子間電圧V160の大きさを検出することで絶縁抵抗R1iの抵抗値RR1iを知ることができる。
因みに、RR1i=VDC×A×R160/100×V160−R160−R165で求めることができる。
上記のように、トランジスタTR1、TR2、TR3は高耐圧IC145に出力されるPWM信号によってスイッチングされる。PWM信号のデューティー比は大きいほどモータM1の巻線W1r、巻線W1t、巻線W1sを含む、絶縁抵抗R1i、保護抵抗器165、抵抗器160の直列回路に印加される平均電圧Vが大きくなるので、絶縁抵抗R1iの検出には都合が良い。
このため、高耐圧IC145に出力するPWM信号のデューティー比Aは、絶縁抵抗検出用電流経路に、絶縁抵抗R1iの検出に必要な電流を流すための電圧が生成できる、30%から70%の範囲の値を選定している(S104)。
このステップS104は絶縁劣化検出方法の第3段階に相当する。
次に、A/Dコンバータ180は、検出電流Iが抵抗器160に流れることで生成される抵抗器160の電圧V160をA/D変換する(S105)。
このステップS105は絶縁劣化検出方法の第4段階に相当する。
最後に、絶縁劣化判定コンピュータ185は、A/D変換された電圧V160からモータM1の絶縁抵抗値RR1iを検出する(S106)。検出した絶縁抵抗値RR1iをモニタリングして、絶縁抵抗値RR1iが低下している場合には、モータM1を交換し、地絡によるシステムダウンの発生を未然に防止する。なお、絶縁劣化判定コンピュータ185には、検出したモータの絶縁抵抗を用いてモータの絶縁劣化を判定する絶縁劣化判定機能を設けても良い。
上記の絶縁抵抗検出動作においては、インバータ回路140−1または140−2のアーム回路150A、150B、150Cに同一のデューティー比のPWM信号を、パルスの位相を合わせるように同期させて与えるため、モータM1、M2を回転させる方向に力が働かず、モータM1、M2が回転することはない。逆に言えば、絶縁劣化検出動作時には、モータM1、M2が回転することのないように、インバータ回路140−1または140−2の各アーム回路150A、150B、150Cに同一のデューティー比のPWM信号を与える。
以上のように、実施形態1に係るモータ制御装置100によれば、モータM1、M2の通常運転を停止し、遮断器130を開状態にすることでモータM1、M2の絶縁抵抗が測定できる。このため、モータM1、M2の配線を取り外す必要が無なく、絶縁抵抗の測定に際して、電源ラインを通して流れる漏れ電流や交流電源のノイズの影響を受けることがない。
また、絶縁抵抗の検出時には、検出時のみ通電される専用の抵抗器160を用いて絶縁抵抗を測定している。このため、絶縁抵抗の抵抗値は絶縁抵抗の検出に適した値を採用することができる。
さらに、1つの絶縁抵抗検出部を設けておくだけで複数のモータの絶縁抵抗を個別に検出できる。
[実施形態2]
〔モータ制御装置の構成〕
図4は、実施形態2に係るモータ制御装置の構成図である。実施形態2に係るモータ制御装置100Aの構成は、図1に示した実施形態1に係るモータ制御装置100の構成とほぼ同一である。
実施形態1に係るモータ制御装置100と異なっているのは、インバータ回路140−1のアーム回路150Aに、トランジスタTR1のコレクタ−エミッタ間をバイパスするバイパススイッチ156−1と抵抗器Rとの直列回路を接続していること、インバータ回路140−2のアーム回路150Aに、トランジスタTR1のコレクタ−エミッタ間をバイパスするバイパススイッチ156−2と抵抗器Rとの直列回路を接続していることである。この構成以外の構成は実施形態1に係るモータ制御装置100の構成と同一である。
バイパススイッチ156−1と156−2は、検出動作指示部170によって開閉される。また、その動作は、直流電源接続スイッチ149−1と149−2から独立している。
〔モータ制御装置の動作〕
次に、図4に示したモータ制御装置100Aの動作について説明する。
(通常動作)
通常動作は、バイパススイッチ156−1と156−2がともに開になっている以外は、実施形態1に係るモータ制御装置100の動作と全く同一である。
(絶縁抵抗検出動作)
通常動作とは別に、モータM1またはM2の絶縁抵抗を検出するときには、モータ制御装置100Aは次のように動作する。この動作は、モータの絶縁劣化検出方法を示すものでもある。
実施形態1に係るモータ制御装置100と同様に、実施形態2に係るモータ制御装置100Aも、絶縁抵抗検出動作は、検出動作指示部170が、モータM1またはM2の絶縁抵抗の検出指示を外部から入力することによって開始される。
検出動作指示部170が外部から絶縁抵抗の検出指示を受信すると、検出動作指示部170は、図4に示すように、遮断器130を閉状態から開状態にして、整流回路110を交流電源120から切り離す。これによってインバータ回路140−1と140−2には電力が供給されなくなり、モータ制御装置100が通常動作から絶縁抵抗検出動作に移行する。
検出動作指示部170は、絶縁抵抗の検出指示に含まれる検出対象となるモータの情報から、その検出指示がどのモータに対する検出指示であるのかを認識する。認識した検出指示により、開状態にさせる直流電源接続スイッチ149−1または149−2、及び、バイパススイッチ156−1または156−2を選択し、選択した直流電源接続スイッチ及びバイパススイッチを開状態にする。
たとえば、絶縁抵抗の検出指示がモータM1に対するものであれば、絶縁抵抗の検出対象となるモータが接続されるインバータ回路は140−1であるので、検出動作指示部170は、図4に示すように、直流電源接続スイッチ149−1とバイパススイッチ156−1を閉状態にする。すなわち、直流電源接続スイッチ149−1は閉状態のままとし、バイパススイッチ156−1を開状態から閉状態にして、絶縁抵抗の検出対象外のモータが接続されるインバータ回路140−2の直流電源接続スイッチ149−2は閉状態から開状態とし、バイパススイッチ156−2は開状態のままとする。
直流電源接続スイッチ149−2を開状態にするのは、実施形態1の場合と同様に、万が一、モータM2の絶縁抵抗R2iが低下している場合には、モータM2の巻線から高耐圧IC145、直流電源DPS、平滑コンデンサCが接続されている−ライン側に電流が流れ込んでしまうからである。この電流は絶縁抵抗R1iの誤検出を招く。
次に、検出動作指示部170は、図4に示すように、検出スイッチ155を閉状態にする。
絶縁抵抗の検出対象となるモータが接続されるインバータ回路140−1のバイパススイッチ156−1が閉状態になり、検出スイッチ155が閉状態になると、平滑コンデンサCからバイパススイッチ156−1、モータM1の巻線W1r、絶縁抵抗R1i、グランド、保護抵抗器165、検出スイッチ155、抵抗器160を介して平滑コンデンサCに至る絶縁抵抗検出用電流経路に電流が流れる。
A/Dコンバータ180は、検出電流Iが抵抗器160に流れることで生成される抵抗器160の電圧V160をA/D変換する。絶縁劣化判定コンピュータ185は、A/D変換された電圧V160からモータM1の絶縁抵抗値RR1iを検出する。検出した絶縁抵抗値RR1iをモニタリングして、絶縁抵抗値RR1iが低下している場合には、モータM1を交換し、地絡によるシステムダウンの発生を未然に防止する。
実施形態2に係るモータ制御装置100Aでは、絶縁抵抗検出動作時に、検出対象となるモータが接続されているインバータ回路のバイパススイッチのみを閉にする。バイパススイッチが閉になると、トランジスタとは無関係にバイパススイッチが閉じている間は絶縁抵抗検出用電流経路が形成されるので、高耐圧IC145にはPWM信号を与える必要はない。
[実施形態3]
〔モータ制御装置の構成〕
図5は、実施形態3に係るモータ制御装置の構成図である。実施形態3に係るモータ制御装置100Bの構成は、図1に示した実施形態1に係るモータ制御装置100の構成とほぼ同一である。実施形態2に係るモータ制御装置100Bは、下記のように、2軸で構成されるモータ制御装置がブートストラップ回路を備えていたとしても、2つのモータの絶縁抵抗を個別に正確に検出することができる。
実施形態1に係るモータ制御装置100と異なっているのは、インバータ回路140−1及び140−2のアーム回路150A、150B、150Cの高耐圧IC145に、抵抗器R1、ダイオードD1、コンデンサC1から構成されるブートストラップ回路を接続していること、高耐圧IC145とブートストラップ回路とに直流電源DPSを接続するとともに高耐圧IC145とコンデンサC0とで構成される第1駆動回路と第2駆動回路147とを分離する分離スイッチ157−1A、157−1B、157−2A、157−2Bを設けていることである。この構成以外の構成は実施形態1に係るモータ制御装置100の構成と同一である。
分離スイッチ157−1A、157−1B、157−2A、157−2Bは、検出動作指示部170によって開閉される。すなわち、検出対象となるモータがM1のときには、分離スイッチ157−1A、157−1Bが閉になり、分離スイッチ157−2A、157−2Bが開になる。逆に、検出対象となるモータがM2のときには、分離スイッチ157−1A、157−1Bが開になり、分離スイッチ157−2A、157−2Bが閉になる。
トランジスタTR1、TR2、TR3を駆動する高耐圧IC145とトランジスタTR4、TR5、TR6を駆動する第2駆動回路147とは、分離スイッチ157−1B、157−2Bによって接続される。分離スイッチ157−1B、157−2Bが開になると、高耐圧IC145と第2駆動回路147とが分離される。分離スイッチ157−1A、157−2Aは、ブートストラップ回路を構成する直流電源DPS、抵抗器R1、ダイオードD1、コンデンサC1、トランジスタTR4、TR5、TR6から直流電源DPSに戻る回路を遮断する。すなわち、分離スイッチ157−1A、157−2Aが開になるとブートストラップ回路への通電が遮断される。逆に、分離スイッチ157−1A、157−2Aが閉になると、高耐圧IC145と第2駆動回路147とが接続され、ブートストラップ回路への通電が可能になる。このため、コンデンサC1が充電され、高耐圧IC145は、コンデンサC1の電圧によりトランジスタTR1、TR2、TR3を駆動する。
なお、本実施形態では、分離スイッチ157−1A、157−2Aを抵抗器R1と直流電源DPSとの間に設けて、分離スイッチ157−1A、157−2Aを開とすることで、全ての高耐圧IC145と全ての第2駆動回路147とを1つの分離スイッチ157−1A、157−2Aでまとめて分離しているが、分離スイッチは、それぞれの抵抗器R1とコンデンサC1との間に設けても良い。
モータM1またはM2の絶縁抵抗を検出するときに、検出スイッチ155を閉じると、下記のいずれかの絶縁抵抗検出用電流経路を形成する。
すなわち、モータM1の絶縁抵抗を検出するときには、インバータ回路140−1において、平滑コンデンサCからアーム回路150AのトランジスタTR1、TR4、モータM1の巻線W1r、アーム回路150BのトランジスタTR2、TR5、モータM1の巻線W1t及びアーム回路150CのトランジスタTR3、TR6、モータM1の巻線W1sの3つの巻線を経由し、絶縁抵抗R1i、グランドを介して、保護抵抗器165、検出スイッチ155、抵抗器160から平滑コンデンサCに至る絶縁抵抗検出用電流経路を形成する。
また、絶縁抵抗検出用電流経路は、上記のように3つの巻線を経由するのではなく、1つずつの巻線を経由する下記のいずれかの経路であっても良い。
すなわち、平滑コンデンサCからアーム回路150AのトランジスタTR1、TR4、モータM1の巻線W1r、絶縁抵抗R1i、グランドを介して、保護抵抗器165、検出スイッチ155、抵抗器160から平滑コンデンサCに至る絶縁抵抗検出用電流経路であっても良い。または、平滑コンデンサCからアーム回路150BのトランジスタTR2、TR5、モータM1の巻線W1t、絶縁抵抗R1i、グランドを介して、保護抵抗器165、検出スイッチ155、抵抗器160から平滑コンデンサCに至る絶縁抵抗検出用電流経路であっても良い。または、平滑コンデンサCからアーム回路150CのトランジスタTR3、TR6、モータM1の巻線W1s、絶縁抵抗R1i、グランドを介して、保護抵抗器165、検出スイッチ155、抵抗器160から平滑コンデンサCに至る絶縁抵抗検出用電流経路であっても良い。また、任意の2つのアーム回路(たとえばアーム回路150Aと150C)によって絶縁抵抗検出用電流経路を形成するようにしても良い。
なお、モータM2の絶縁抵抗を検出するときには、インバータ回路140−2側において、上記と同様に、いずれかの経路で絶縁抵抗検出用電流経路を形成する。
検出動作制御部170は、モータM1またはM2の絶縁抵抗の検出指示を受信したときには、その検出指示がどのモータに対する検出指示であるのかを認識する。絶縁抵抗の検出指示がモータM1に対するものであれば、図5に示してあるように、遮断器130を開にし、分離スイッチ157−1A、157−1Bを閉に、分離スイッチ157−2A、157−2Bを開にして、同時に検出スイッチ155を閉にして、インバータ回路140−1側において上記の絶縁抵抗検出用電流経路を形成する。
一方、絶縁抵抗の検出指示がモータM2に対するものであれば、遮断器130を開にし、分離スイッチ157−1A、157−1Bを開に、分離スイッチ157−2A、157−2Bを閉にして、同時に検出スイッチ155を閉にして、インバータ回路140−2側において上記の絶縁抵抗検出用電流経路を形成する。
分離スイッチ157−1A、157−1Bと157−2A、157−2Bは同時に閉となることはなく、絶縁抵抗の検出指示がモータM1に対するものであるか、モータM2に対するものであるかによって択一的に開閉される。したがって、インバータ回路140−1側において絶縁抵抗検出用電流経路を形成するときには、インバータ回路140−2側の影響を受けることなく、モータM1の絶縁抵抗R1iが測定できる。また、インバータ回路140−2側において絶縁抵抗検出用電流経路を形成するときには、インバータ回路140−1側の影響を受けることなく、モータM2の絶縁抵抗R2iが測定できる。
PWM制御回路175は、検出動作制御部170からの指示を受けて、高耐圧IC145にはA%のデューティー比のPWM信号を出力し、第2駆動回路147にはPWM信号のHI、LOWを同一タイミングで反転させた100−A%のデューティー比のPWM信号を出力する。
これにより、スイッチング部の少なくとも一つのアーム回路(たとえば3つであればアーム回路150A−150C)の一対のトランジスタTR1、TR2、TR3をオン状態にしてトランジスタTR4、TR5、TR6をオフ状態にし、その後トランジスタTR1、TR2、TR3をオフ状態にしてトランジスタTR4、TR5、TR6をオン状態にするスイッチング動作が繰り返される。また、スイッチング部の少なくとも一つのアーム回路(たとえば1つであればアーム回路150A)の一対のトランジスタTR1をオン状態にしてトランジスタTR4をオフ状態にし、その後トランジスタTR1をオフ状態にしてトランジスタTR4をオン状態にするスイッチング動作が繰り返される。
PWM制御回路175は、アーム回路150A−150Cの高耐圧IC145と第2駆動回路147に上記のデューティー比のPWM信号をパルスの位相を合わせるように同期させて出力して、モータM1またはM2の巻線の絶縁抵抗を検出できるようにする。
また、PWM制御回路175は、アーム回路150Aの高耐圧IC145と第2駆動回路147に上記のデューティー比のPWM信号を出力して、モータM1またはM2の巻線W1rまたは巻線W2rの絶縁抵抗を検出できるようにする。または、アーム回路150Bの高耐圧IC145と第2駆動回路147に上記のデューティー比のPWM信号を出力して、モータM1またはM2の巻線W1tまたは巻線W2tの絶縁抵抗を検出できるようにする。または、アーム回路150Cの高耐圧IC145と第2駆動回路147に上記のデューティー比のPWM信号を出力して、モータM1またはM2の巻線W1sまたは巻線W2sの絶縁抵抗を検出できるようにする。
さらに、PWM制御回路175は、任意の2つのアーム回路(たとえばアーム回路150Aと150C)の第1駆動回路145と第2駆動回路147に対してパルスの位相を合わせるように同期させて、同時に上記のデューティー比のPWM信号を出力しても良い。
なお、検出動作指示部170とPWM制御回路175とで検出動作制御部を形成する。
このときの、高耐圧IC145に出力するPWM信号のデューティー比Aは、絶縁抵抗検出用電流経路に、モータM1またはM2の絶縁抵抗R1iまたはR2iの検出に必要な電流を流すための電圧が生成でき、かつ、ブートストラップ回路のコンデンサC1を高耐圧IC145によるトランジスタTR1のスイッチング動作が可能な程度に充電できる、30%から70%の範囲の値を選定する。
前述のように、図5に示したモータ制御装置100Bのアーム回路150Aの高耐圧IC145には、ブートストラップ回路が接続されている。ブートストラップ回路では、分離スイッチ157−1Aが閉となりトランジスタTR4がオンしている期間、直流電源DSP、抵抗R1、ダイオードD1、コンデンサC1、トランジスタTR4で構成される閉回路に電流が流れ、この電流によってコンデンサC1が充電される。
図6は、実施形態3に係るモータ制御装置で用いるPWM信号の一例を示す図である。
コンデンサC1に充電された電荷は高耐圧IC145に印加される電圧を上昇させる。分離スイッチ157−1Aが開となった後に、コンデンサC1の充電された電荷で高耐圧IC145を動作させることができ、高耐圧IC145から出力されるスイッチング信号によって、トランジスタTR1の導通状態を確保できる。
分離スイッチ157−1Aが閉となっている間、図6に示すような、PWM信号がトランジスタTR1とTR4に印加される。PWM信号1とPWM信号2は、HIとLOWの状態が反転している信号である。したがって、PWM信号1がトランジスタTR1に印加され、PWM信号2がトランジスタTR4に印加されると、トランジスタTR1はオン状態となる一方トランジスタTR4はオフ状態となり、その後トランジスタTR1はオフ状態になる一方トランジスタTR4はオン状態になる、というスイッチング動作を繰り返す。
〔モータ制御装置の動作〕
次に、図5に示したモータ制御装置100Bの動作について説明する。
(通常動作)
通常動作は、分離スイッチ157−1A、157−1B、157−2A、157−2Bが全て閉になっている以外は、実施形態1に係るモータ制御装置100の動作と全く同一である。
(絶縁抵抗検出動作)
上記のような通常動作とは別に、モータM1またはM2の絶縁抵抗を検出するときには、モータ制御装置100Bは次のように動作する。この動作は、モータの絶縁劣化検出方法を示すものでもある。
絶縁抵抗検出動作は、検出動作指示部170が、モータM1またはM2の絶縁抵抗の検出指示を外部から入力することによって開始される。
検出動作指示部170が外部から絶縁抵抗の検出指示を受信すると、検出動作指示部170は、図5に示すように、遮断器130を閉状態から開状態にして、整流回路110を交流電源120から切り離す。これによってインバータ回路140−1と140−2には電力が供給されなくなり、モータ制御装置100Bが通常動作から絶縁抵抗検出動作に移行する。なお、絶縁抵抗の検出指示には、検出対象となるモータM1またはM2の情報を含んでいる。
検出動作指示部170は、絶縁抵抗の検出指示に含まれる検出対象となるモータの情報から、その検出指示がどのモータに対する検出指示であるのかを認識する。認識した検出指示により、開状態にさせる分離スイッチ157−1A、157−1Bまたは157−2A、157−2Bを選択し、選択した分離スイッチを開状態にする。
たとえば、絶縁抵抗の検出指示がモータM1に対するものであれば、絶縁抵抗の検出対象となるモータが接続されるインバータ回路は140−1であるので、検出動作指示部170は、図5に示すように、分離スイッチ157−1A、157−1Bのみを閉状態にする。すなわち、分離スイッチ157−1A、157−1Bは閉状態のままとし、絶縁抵抗の検出対象外のモータが接続されるインバータ回路は140−2の分離スイッチ157−2A、157−2Bは閉状態から開状態とする。
分離スイッチ157−2A、157−2Bを開状態にするのは、万が一、モータM2の絶縁抵抗R2iが低下している場合には、インバータ回路140−2の直流電源DPSからブートストラップ回路の抵抗R1、ダイオードD1、コンデンサC1、絶縁抵抗R2i及び高耐圧IC145を通して電流が流れてしまうからである。この電流は絶縁抵抗R1iの誤検出を招く。
さらに具体的には、モータM1をPWM駆動した場合に、グランド電位に対するマイナス極の電位は、PWM信号の影響を受けて変動する。このため、マイナス極の電位がグランド電位よりも高くなった時に絶縁抵抗R2iを通して抵抗器160と保護抵抗器165に電流が流れる。これにより、絶縁抵抗P1iを検出しようとしているのに絶縁抵抗P2iを流れる電流の影響を受けて絶縁抵抗P1iの抵抗値が実際の抵抗値よりも小さく検出される。
以上の誤検出を回避するために、モータM1の絶縁抵抗を検出する際には、分離スイッチ157−2A、157−2Bを開状態にしている。なお、モータM2の絶縁抵抗を検出する際には、分離スイッチ157−1A、157−1Bを開状態にする。
次に、検出動作指示部170は、図5に示すように、検出スイッチ155を閉状態にする。
PWM制御回路175は、検出動作指示部170からの動作指示を受けて、まず、インバータ回路140−1のアーム回路150A-150Cの高耐圧IC145にA%のデューティー比のPWM信号を出力する。A%のデューティー比のPWM信号は、図6の上側に示すパルス状の信号である。なお、絶縁劣化検出動作の際に用いるPWM信号と上記の通常動作の際に用いるPWM信号は異なる。絶縁劣化検出動作の際には、絶縁劣化検出に適した独自のPWM信号を用いる。
このPWM信号によって、トランジスタTR1、TR2、TR3がスイッチング動作される。トランジスタTR1、TR2、TR3がオンしている間は、トランジスタTR4、TR5、TR6はオフし、図5に示すように、平滑コンデンサCからトランジスタTR1、モータM1の巻線W1r、及びトランジスタTR2、モータM1の巻線W1t、及びトランジスタTR3、モータM1の巻線W1s、絶縁抵抗R1i、グランド、保護抵抗器165、検出スイッチ155、抵抗器160を介して平滑コンデンサCに至る絶縁抵抗検出用電流経路に電流が流れる。
一方、PWM制御回路175は、検出動作指示部170からの動作指示を受けて、インバータ回路140−1のアーム回路150A−150Cの第2駆動回路147に、高耐圧IC145に出力したPWM信号のHI、LOWを同一タイミングで反転させた100−A%のデューティー比のPWM信号を出力する。100−A%のデューティー比のPWM信号は、図6の下側に示すパルス状の信号である。
このPWM信号によって、トランジスタTR4、TR5、TR6がスイッチング動作される。トランジスタTR4、TR5、TR6がオンしている間は、トランジスタTR1、TR2、TR3はオフし、図5に示すように、直流電源DPSから抵抗器R1、コンデンサC1、ダイオードD1、トランジスタTR4、TR5、TR6を介して直流電源DPSに至るブートストラップ回路に電流が流れる。この電流でコンデンサC1が充電される。充電されたコンデンサC1の電圧は、次にトランジスタTR1がスイッチング動作をするときの高耐圧IC145の電源となる。
したがって、高耐圧IC145と第2駆動回路147に出力するPWM信号によってトランジスタTR1、TR2、TR3とトランジスタTR4、TR5、TR6とが交互にオン、オフを繰り返す。トランジスタTR1、TR2、TR3がオンしている時間は高耐圧IC145に出力するPWM信号のデューティー比によって決まる。絶縁抵抗R1iの求め方は、実施形態1と同一である。
なお、上記のように、トランジスタTR1、TR2、TR3は高耐圧IC145に出力されるPWM信号によってスイッチングされる。PWM信号のデューティー比は大きいほどモータM1の巻線、絶縁抵抗R1i、保護抵抗器165、抵抗器160の直列回路に印加される平均電圧Vが大きくなるので、絶縁抵抗R1iの検出には都合が良い。
一方、トランジスタTR4、TR5、TR6がオンしている時間は高耐圧IC145に出力するPWM信号のデューティー比に依存する。トランジスタTR4、TR5、TR6がオンしている間だけブートストラップ回路に電流が流れるので、高耐圧IC145に出力するPWM信号のデューティー比が大きければ大きいほど、コンデンサC1の充電時間が短くなって、コンデンサC1の電圧が上がらなくなる。
このため、高耐圧IC145に出力するPWM信号のデューティー比Aは、絶縁抵抗検出用電流経路に、絶縁抵抗R1iの検出に必要な電流を流すための電圧が生成でき、かつ、ブートストラップ回路のコンデンサC1をトランジスタTR1、TR2、TR3のスイッチング動作が可能な程度に充電できる、30%から70%の範囲の値を選定している。
以上のように、実施形態3に係るモータ制御装置100Bによれば、モータM1、M2の通常運転を停止し、遮断器130を開状態にすることでモータM1、M2の絶縁抵抗が測定できる。このため、モータM1、M2の配線を取り外す必要が無なく、絶縁抵抗の測定に際して、電源ラインを通して流れる漏れ電流や交流電源のノイズの影響を受けることがない。
なお、上記の絶縁抵抗検出動作においては、インバータ回路140−1または140−2のアーム回路150A、150B、150Cに同一のデューティー比のPWM信号を、パルスの位相を合わせるように同期させて与えるため、モータM1、M2を回転させる方向に力が働かず、モータM1、M2が回転することはない。逆に言えば、絶縁劣化検出動作時には、モータM1、M2が回転することのないように、インバータ回路140−1または140−2の各アーム回路150A、150B、150Cに同一のデューティー比のPWM信号を与える。
また、絶縁抵抗の検出時には、検出時のみ通電される専用の抵抗器160を用いて絶縁抵抗を測定している。このため、絶縁抵抗の抵抗値は絶縁抵抗の検出に適した値を採用することができる。しかも各アーム回路には、同一のデューティー比のPWM信号を、パルスの位相を合わせるように同期させて(必ずしも完全にパルスの位相が合っていなくとも良い)与えているため、モータは回転することがない。
さらに、1つの絶縁抵抗検出部を設けておくだけで複数のモータの絶縁抵抗を個別に検出できる。
そして、ブートストラップ回路及び高耐圧ICの電流を遮断できる位置に分離スイッチを設け、他軸のモータの絶縁抵抗測定時にこの分離スイッチを開とするようにしたので、ブートストラップ電源を用いてインバータ回路が構成されている場合に、そのインバータ回路に接続されているモータの絶縁抵抗が低下していたとしても、モータの絶縁抵抗を正確に検出することができる。
[実施形態4]
〔モータ制御装置の構成〕
図6は、実施形態4に係るモータ制御装置の構成図である。実施形態4に係るモータ制御装置100Cの構成は、図5に示した実施形態3に係るモータ制御装置100Bの構成とほぼ同一である。
実施形態3に係るモータ制御装置100Bと異なっているのは、インバータ回路140−1のアーム回路150Aに、トランジスタTR1のコレクタ−エミッタ間をバイパスするバイパススイッチ159−1と抵抗器Rとの直列回路を接続していること、インバータ回路140−2のアーム回路150Aに、トランジスタTR1のコレクタ−エミッタ間をバイパスするバイパススイッチ159−2と抵抗器Rとの直列回路を接続していることである。この構成以外の構成は実施形態3に係るモータ制御装置100の構成と同一である。
バイパススイッチ159−1と159−2は、検出動作指示部170によって開閉される。また、その動作は、分離スイッチ157−1A、157−1B、157−2A、157−2Bから独立している。
〔モータ制御装置の動作〕
次に、図6に示したモータ制御装置100Cの動作について説明する。
(通常動作)
通常動作は、バイパススイッチ159−1と159−2がともに開になっている以外は、実施形態3に係るモータ制御装置100Bの動作と全く同一である。
(絶縁抵抗検出動作)
通常動作とは別に、モータM1またはM2の絶縁抵抗を検出するときには、モータ制御装置100Cは次のように動作する。この動作は、モータの絶縁劣化検出方法を示すものでもある。
実施形態3に係るモータ制御装置100Bと同様に、実施形態4に係るモータ制御装置100Cも、絶縁抵抗検出動作は、検出動作指示部170が、モータM1またはM2の絶縁抵抗の検出指示を外部から入力することによって開始される。
検出動作指示部170が外部から絶縁抵抗の検出指示を受信すると、検出動作指示部170は、図6に示すように、遮断器130を閉状態から開状態にして、整流回路110を交流電源120から切り離す。これによってインバータ回路140−1と140−2には電力が供給されなくなり、モータ制御装置100が通常動作から絶縁抵抗検出動作に移行する。
検出動作指示部170は、絶縁抵抗の検出指示に含まれる検出対象となるモータの情報から、その検出指示がどのモータに対する検出指示であるのかを認識する。認識した検出指示により、開状態にさせる分離スイッチ157−1A、157−1Bまたは157−2A、157−2B、及び、バイパススイッチ159−1または159−2を選択し、選択した分離スイッチ及びバイパススイッチを開状態にする。
たとえば、絶縁抵抗の検出指示がモータM1に対するものであれば、絶縁抵抗の検出対象となるモータが接続されるインバータ回路は140−1であるので、検出動作指示部170は、図6に示すように、分離スイッチ157−1A、157−1Bとバイパススイッチ159−1を閉状態にする。すなわち、分離スイッチ157−1A、157−1Bは閉状態のままとし、バイパススイッチ159−1を開状態から閉状態にして、絶縁抵抗の検出対象外のモータが接続されるインバータ回路140−2の分離スイッチ157−2A、157−2Bは閉状態から開状態とし、バイパススイッチ159−2は開状態のままとする。
分離スイッチ157−2A、157−2Bを開状態にするのは、実施形態3の場合と同様に、万が一、モータM2の絶縁抵抗R2iが低下している場合には、モータM2の巻線から高耐圧IC145、直流電源DPS、平滑コンデンサCが接続されている−ライン側に電流が流れ込んでしまうからである。この電流は絶縁抵抗R1iの誤検出を招く。
さらに具体的には、モータM1をPWM駆動した場合に、グランド電位に対するマイナス極の電位は、PWM信号の影響を受けて変動する。このため、マイナス極の電位がグランド電位よりも高くなった時に絶縁抵抗R2iを通して抵抗器160と保護抵抗器165に電流が流れる。これにより、絶縁抵抗P1iを検出しようとしているのに絶縁抵抗P2iを流れる電流の影響を受けて絶縁抵抗P1iの抵抗値が実際の抵抗値よりも小さく検出される。
次に、検出動作指示部170は、図6に示すように、検出スイッチ155を閉状態にする。
絶縁抵抗の検出対象となるモータが接続されるインバータ回路140−1のバイパススイッチ159−1が閉状態になり、検出スイッチ155が閉状態になると、平滑コンデンサCからバイパススイッチ159−1、モータM1の巻線W1r、絶縁抵抗R1i、グランド、保護抵抗器165、検出スイッチ155、抵抗器160を介して平滑コンデンサCに至る絶縁抵抗検出用電流経路に電流が流れる。
A/Dコンバータ180は、検出電流Iが抵抗器160に流れることで生成される抵抗器160の電圧V160をA/D変換する。絶縁劣化判定コンピュータ185は、A/D変換された電圧V160からモータM1の絶縁抵抗値RR1iを検出する。検出した絶縁抵抗値RR1iをモニタリングして、絶縁抵抗値RR1iが低下している場合には、モータM1を交換し、地絡によるシステムダウンの発生を未然に防止する。
実施形態4に係るモータ制御装置100Cでは、絶縁抵抗検出動作時に、検出対象となるモータが接続されているインバータ回路のバイパススイッチのみを閉にする。バイパススイッチが閉になると、トランジスタとは無関係にバイパススイッチが閉じている間は絶縁抵抗検出用電流経路が形成されるので、高耐圧IC145にはPWM信号を与える必要はない。
以上のように、本発明によれば、高耐圧ICを有する多軸のモータ制御装置であっても、各モータの絶縁抵抗を容易に検出することができ、複数のモータの絶縁劣化の状態を個別に正確に把握することができる。
なお、上記の実施形態では、インバータ回路140−1及び140−2の両方が、高耐圧ICを備えている場合を例示したが、どちらか一方のインバータ回路のみが高耐圧ICを備えている場合にも、本発明を適用することができる。
また、抵抗器の電圧検出をA/Dコンバータで行わせたが、代わりにコンパレータを用いて、絶縁劣化状態の検出ができるようにしても良い。
整流回路はダイオードによって構成されるものではなく、交流電源に回生する機能を有しているものであっても良い。
100 モータ制御装置、
110 整流回路、
120 交流電源、
130 遮断器、
140−1、140−2 インバータ回路、
145 高耐圧IC、
147 第2駆動回路、
149−1、149−2 直流電圧接続スイッチ、
150A、150B、150C アーム回路(スイッチング部)、
152A、152B、152C 接続ライン、
155 検出スイッチ、
156−1、156−2、159−1、159−2 バイパススイッチ、
157−1A、157−1B、157−2A、157−2B 分離スイッチ、
160 抵抗器、
165 保護抵抗器、
170 検出動作指示部、
175 PWM制御回路、
180 A/Dコンバータ、
185 絶縁劣化判定コンピュータ、
C 平滑コンデンサ、
TR1−TR6 トランジスタ、
DPS 直流電源、
R0 抵抗、
D0 ダイオード、
C0 コンデンサ。

Claims (13)

  1. 平滑コンデンサを備えた整流回路と交流電源との接続を遮断する遮断器と、
    前記平滑コンデンサと並列に接続され複数のモータのそれぞれを個別に駆動する複数のインバータ回路と、
    前記平滑コンデンサから前記インバータ回路、前記モータ、グランドを介して前記平滑コンデンサに至る絶縁抵抗検出用電流経路を形成する検出スイッチと、
    前記絶縁抵抗検出用電流経路を流れる電流を用いて各モータの絶縁抵抗を検出する絶縁抵抗検出部と、を有するモータ制御装置であって、
    各インバータ回路は、
    一対の半導体スイッチを直列に接続し前記一対の半導体スイッチ同士の接続ラインを前記モータの巻線に接続したアーム回路を複数並列に接続し複数のアーム回路を前記平滑コンデンサに並列に接続したスイッチング部と、
    前記アーム回路の一対の半導体スイッチのうち一方の半導体スイッチを駆動する高耐圧ICを備えた第1駆動回路と、
    前記第1駆動回路に電力を供給する直流電源を前記高耐圧ICに接続する直流電源接続スイッチと、を有し、さらに、
    前記モータの絶縁抵抗の検出指示を受信したときには、前記遮断器を遮断し、前記検出スイッチを閉にして絶縁抵抗検出用電流経路を形成し、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路以外の全てのインバータ回路の直流電源接続スイッチを開にして前記絶縁抵抗検出用電流経路に電流が流れ込まないようにする一方、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路の直流電源接続スイッチを閉にし、検出対象となるモータが接続される前記第1駆動回路にPWM信号を出力する検出動作制御部を有することを特徴とするモータ制御装置。
  2. 平滑コンデンサを備えた整流回路と交流電源との接続を遮断する遮断器と、
    前記平滑コンデンサと並列に接続され複数のモータのそれぞれを個別に駆動する複数のインバータ回路と、
    前記平滑コンデンサから前記インバータ回路、前記モータ、グランドを介して前記平滑コンデンサに至る絶縁抵抗検出用電流経路を形成する検出スイッチと、
    前記絶縁抵抗検出用電流経路を流れる電流を用いて各モータの絶縁抵抗を検出する絶縁抵抗検出部と、を有するモータ制御装置であって、
    各インバータ回路は、
    一対の半導体スイッチを直列に接続し前記一対の半導体スイッチ同士の接続ラインをモータの巻線に接続したアーム回路を複数並列に接続し複数のアーム回路を前記平滑コンデンサに並列に接続したスイッチング部と、
    前記アーム回路の一対の半導体スイッチのうち高耐圧ICと当該高耐圧ICを駆動するブートストラップ回路を有し一方の半導体スイッチを駆動する第1駆動回路と、
    前記アーム回路の一対の半導体スイッチのうち他方の半導体スイッチを駆動する第2駆動回路と、
    前記ブートストラップ回路と前記高耐圧ICに電力を供給する直流電源を前記ブートストラップ回路と前記高耐圧IC接続する一方、前記第1駆動回路と前記第2駆動回路とを分離する分離スイッチと、を有し、さらに、
    前記モータの絶縁抵抗の検出指示を受信したときには、前記遮断器を遮断し、前記検出スイッチを閉にして絶縁抵抗検出用電流経路を形成し、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路以外の全てのインバータ回路の分離スイッチを開にして前記絶縁抵抗検出用電流経路に電流が流れ込まないようにする一方、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路の分離スイッチを閉にし、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路の第1駆動回路にはA%のデューティー比のPWM信号を出力して当該インバータ回路のスイッチング部の少なくとも一つのアーム回路の一対の半導体スイッチの一方をオン状態にして他方をオフ状態にし、その後、前記インバータ回路の第2駆動回路には前記PWM信号のHI、LOWを同一タイミングで反転させた100−A%のデューティー比のPWM信号を出力して前記アーム回路の一対の半導体スイッチの一方をオフ状態にして他方をオン状態にするスイッチング動作を繰り返させる検出動作制御部を有することを特徴とするモータ制御装置。
  3. 前記各インバータ回路は、前記スイッチング部の少なくとも1つのアーム回路に、前記アーム回路の一対の半導体スイッチのうち一方の半導体スイッチの端子間をバイパスするバイパススイッチを有し、
    前記前記検出動作制御部は、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路以外の全てのインバータ回路のバイパススイッチを開にする一方、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路のバイパススイッチを閉にすることを特徴とする請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  4. 前記第1駆動回路に出力するPWM信号のデューティー比Aは、前記絶縁抵抗検出用電流経路に、前記モータの絶縁抵抗の検出に必要な電流を流すための電圧が生成できる、30%から70%の範囲の値を選定することを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  5. 前記第1駆動回路に出力するPWM信号のデューティー比Aは、前記絶縁抵抗検出用電流経路に、前記モータの絶縁抵抗の検出に必要な電流を流すための電圧が生成でき、かつ、前記ブートストラップ回路のコンデンサを前記一方の半導体スイッチのスイッチング動作が可能な程度に充電できる、30%から70%の範囲の値を選定することを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
  6. 前記第1駆動回路は、各アーム回路を形成する一対の半導体スイッチのうちの一方の半導体スイッチに対して個別に設けられ、
    前記直流電源接続スイッチは、全ての前記第1駆動回路の高耐圧ICを前記直流電源からまとめて遮断でき、前記絶縁抵抗検出用電流経路に電流を流れ込ませない位置に設けた単独のスイッチであることを特徴とする請求項1または4に記載のモータ制御装置。
  7. 前記第1駆動回路は、各アーム回路を形成する一対の半導体スイッチのうちの一方の半導体スイッチに対して個別に設けられ、
    前記第2駆動回路は、各アーム回路を形成する一対の半導体スイッチのうちの他方の半導体スイッチに対して個別に設けられ、
    前記分離スイッチは、全ての前記第1駆動回路の前記ブートストラップ回路と前記高耐圧ICを前記直流電源からまとめて遮断でき、前記絶縁抵抗検出用電流経路に電流を流れ込ませない位置に設けた単独のスイッチであることを特徴とする請求項2または5に記載のモータ制御装置。
  8. 前記検出動作制御部は、前記モータの絶縁抵抗の検出指示を受信したときには、前記検出指示がどのモータに対する検出指示であるのかを認識する機能を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のモータ制御装置。
  9. 前記検出スイッチの一方の端子に前記抵抗器の一端が接続され、さらに他方の端子に前記モータが地絡状態にあるときに前記絶縁抵抗検出用電流経路に過電流が流れるのを防止する保護抵抗器の一端が接続され、前記抵抗器の他端は前記平滑コンデンサに接続され前記保護抵抗器の他端はグランドに接続されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のモータ制御装置。
  10. 前記絶縁抵抗検出部は、検出した前記モータの絶縁抵抗を用いてモータの絶縁劣化を判定する絶縁劣化判定機能をさらに有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載のモータ制御装置。
  11. 請求項1に記載のモータ制御装置におけるモータの絶縁劣化検出方法であって、
    前記モータの絶縁抵抗の検出指示を受信する第1段階と、
    前記遮断器を遮断し、検出スイッチを閉にして絶縁抵抗検出用電流経路を形成し、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路以外の全てのインバータ回路の直流電源接続スイッチを開にして前記絶縁抵抗検出用電流経路に電流が流れ込まないようにする一方、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路の直流電源接続スイッチを閉にする第2段階と、
    検出対象となるモータが接続される第1駆動回路にPWM信号を出力する第3段階と、
    前記絶縁抵抗検出用電流経路を流れる電流を用いて各モータの絶縁抵抗を検出する第4段階と、
    を含むことを特徴とするモータの絶縁劣化検出方法。
  12. 請求項2に記載のモータ制御装置におけるモータの絶縁劣化検出方法であって、
    前記モータの絶縁抵抗の検出指示を受信する第1段階と、
    遮断器を遮断し、検出スイッチを閉にして絶縁抵抗検出用電流経路を形成し、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路以外の全てのインバータ回路の分離スイッチを開にして前記絶縁抵抗検出用電流経路に電流が流れ込まないようにする一方、検出対象となるモータが接続されるインバータ回路の分離スイッチを閉にする第2段階と、
    前記検出対象となるモータが接続されるインバータ回路の第1駆動回路にはA%のデューティー比のPWM信号を出力して当該インバータ回路のスイッチング部の少なくとも一つのアーム回路の一対の半導体スイッチの一方をオン状態にして他方をオフ状態にし、その後、前記インバータ回路の第2駆動回路には前記PWM信号のHI、LOWを同一タイミングで反転させた100−A%のデューティー比のPWM信号を出力して前記アーム回路の一対の半導体スイッチの一方をオフ状態にして他方をオン状態にするスイッチング動作を繰り返させて前記絶縁抵抗検出用電流経路内に検出電流を流す第3段階と、
    前記絶縁抵抗検出用電流経路を流れる電流を用いて各モータの絶縁抵抗を検出する第4段階と、
    を含むことを特徴とするモータの絶縁劣化検出方法。
  13. 前記第1段階では、
    前記モータの絶縁抵抗の検出指示がどのモータに対する指示であるのかを認識する段階を含むことを特徴とする請求項11または12に記載のモータの絶縁劣化検出方法。
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