JP5441433B2 - カムカムフルーツ果汁含有肝機能改善剤 - Google Patents

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Description

本発明は肝機能改善剤、特にカムカムフルーツ果汁に含まれる機能性物質(又はそれと同一の物質)を有効成分として含む肝機能改善剤、及びこの肝機能改善剤を含有する食品もしくは飲料に関する。
カムカムフルーツはペルー原産の果物で、他の地域では自生、栽培が行われていない。近年、ペルー政府の保護政策により、生木、種子、果実の国外持ち出しは禁止されており、果汁等の加工品以外は輸出が認められていないため、カムカムフルーツに関する研究はほとんど行われていない。このため、栄養機能や含まれる機能性物質についても未知な部分が多い果実であった。
従来、様々な食品素材から、生理活性を有する有用な機能性物質を探索する試みがされており、本発明者らも多くの果汁素材から新たな有用成分の探索を試みてきた。すなわち、本発明の目的は、カムカムフルーツ果汁に含まれる機能性物質を明らかにするとともに、その機能を発揮するのに必要な量を見出すことによって、当該機能性物質を含有し、且つその機能を十分に発揮し得る機能性改善剤、及びこれを含む食品もしくは飲料を提供することにある。
前記従来技術の課題に鑑み、本発明者らが鋭意検討を行なった結果、カムカムフルーツ果汁を実験動物に投与し、その後、肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察したところ、肝炎発生の指標である血漿中のGPT,GOT活性の上昇が抑制されるという事実が明らかとなった。このことから、本発明者らは、カムカムフルーツ果汁が肝機能改善効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる肝機能改善剤は、カムカムフルーツ果汁を含有し、その1日摂取量がカムカムフルーツ果汁由来の固形分として30g以上であることを特徴とするものである。
また、前記肝機能改善剤において、1日摂取量がカムカムフルーツ果汁由来の固形分として50g以上であることが好適である。
さらに、前記肝機能改善剤において、1日摂取量がカムカムフルーツ果汁由来の固形分として70g以上であることがより好適である。
また、本発明にかかる肝機能改善剤は、カムカムフルーツ果汁より酢酸エチル、n−ブタノール又はエタノール水溶液のいずれかの溶媒を用いて抽出して得られる可溶成分を有効成分として含むことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる肝機能改善剤は、カムカムフルーツ果汁より酢酸エチルを用いて抽出して得られる可溶成分を有効成分として含むことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる肝機能改善剤は、カムカムフルーツ果汁より酢酸エチルを用いて抽出して得られる可溶成分をさらに分画精製することによって得られるリンゴ酸−1−メチルエステルを有効成分として含むことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる肝機能改善剤は、リンゴ酸−1−メチルエステルを有効成分として含むことを特徴とするものである。
また、前記肝機能改善剤において、ウイルス性肝炎の抑制に用いることが好適である。
本発明によれば、カムカムフルーツ果汁、その抽出物、その分画精製物、あるいはカムカムフルーツ果汁に含まれるリンゴ酸−1−メチルエステル(カムカムフルーツ果汁由来のもの以外も含む)を用いることにより、優れた肝機能改善作用を有する新規な肝機能改善剤が提供される。また、比較的簡便な操作によって、カムカムフルーツ果汁から有効成分であるリンゴ酸−1−メチルエステルを抽出することができるため、肝機能改善物質を容易に提供することができる。
ノーマル群(標準食,水投与)、コントロール群(標準食,D−ガラクトサミン投与)、カムカム群(カムカム添加食,D−ガラクトサミン投与)のそれぞれのラットにおける血漿中GPT活性測定結果である。 ノーマル群(標準食,水投与)、コントロール群(標準食,D−ガラクトサミン投与)、カムカム群(カムカム添加食,D−ガラクトサミン投与)のそれぞれのラットにおける血漿中GOT活性測定結果である。 ノーマル群、コントロール群、各種溶媒による抽出画分投与群(酢酸エチル画分投与群,n−ブタノール画分投与群、水溶性低分子画分投与群、水溶性高分子画分投与群)のそれぞれのラットにおける血漿中GPT活性測定結果である。 ノーマル群、コントロール群、各種溶媒による抽出画分投与群(酢酸エチル画分投与群,n−ブタノール画分投与群、水溶性低分子画分投与群、水溶性高分子画分投与群)のそれぞれのラットにおける血漿中GOT活性測定結果である。 酢酸エチル抽出画分の投与量を変化させたそれぞれのラットにおける血漿GPT測定結果である。 酢酸エチル抽出画分の投与量を変化させたそれぞれのラットにおける血漿GPT測定結果である。 ノーマル群、コントロール群、酢酸エチル画分をさらに精製分画したフラクション投与群(フラクション(Fr)1〜5)のそれぞれのラットにおける血漿中GPT活性測定結果である。 ノーマル群、コントロール群、酢酸エチル画分をさらに精製分画したフラクション投与群(フラクション(Fr)1〜5)のそれぞれのラットにおける血漿中GOT活性測定結果である。 コントロール群、フラクション2をさらに分離精製した単離物質投与群(物質1〜3)のそれぞれのラットにおける血漿中GPT活性測定結果である。 コントロール群、フラクション2をさらに分離精製した単離物質投与群(物質1〜3)のそれぞれのラットにおける血漿中GOT活性測定結果である。
以下、本発明のカムカムフルーツ果汁の有する肝機能改善作用、同有効成分であるリンゴ酸−1−メチルエステルの抽出方法、同成分の肝機能改善作用について詳しく説明する。
前述のように、カムカムフルーツはペルー政府により加工品以外の国外持ち出しが禁止されているため、カムカムフルーツ果汁はペルー国内で搾汁されたものに限られている。
本発明者らが、このカムカムフルーツ果汁を凍結乾燥した粉末をカムカムフルーツ由来の固形分として10%濃度で食餌に添加したものを実験動物(ラット)に投与し、1週間の飼育期間後に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを使用してウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察したところ、肝炎発生の指標である血漿中のGPT,GOT活性の上昇を有意に抑制することが明らかとなった。
このため、本発明者らは、カムカムフルーツ果汁に含まれる肝機能改善作用の有効成分を確認するため、カムカムフルーツ果汁の分画を行なった。
最初に、カムカムフルーツ果汁に酢酸エチルを加えてよく振盪混合し、抽出を行った。酢酸エチル可溶画分は溶媒分配によって、酢酸エチル層に移行するので、これを分液して酢酸エチル層を得た。
酢酸エチルにより抽出された残渣のカムカム果汁に、n−ブタノールを加えてよく振盪混合し、抽出を行った。n−ブタノール可溶画分は溶媒分配によって、n−ブタノール層に移行するので、これを分液しn−ブタノール層を得た。
n−ブタノール抽出された残渣のカムカム果汁に、70%エタノール水溶液を加えてよく振盪混合し、吸引ろ過を行った。吸引ろ過によって得られたろ液を水溶性低分子層、残渣を水溶性高分子層とした。
上記の4つの抽出層はそれぞれ濃縮乾固もしくは凍結乾燥して溶媒を完全に留去し、各層の乾固物を得た。これをカムカムフルーツ果汁10%添加に相当する濃度で食餌に添加したものを実験動物(ラット)に投与し、1週間の飼育期間後に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させた。解剖後、血漿中GPT,GOTを測定したところ、酢酸エチル層、n−ブタノール層、水溶性低分子層の画分はGPT,GOT活性の上昇を有意に抑制した。これらのうち最も強い活性抑制効果を示したのは酢酸エチル層であった。なお、カムカムフルーツ果汁中に多く含まれることが知られているビタミンCは水溶性低分子層画分に含まれるものの、これよりも酢酸エチル層画分の方がより強いGPT,GOT活性の抑制効果を示したことから、カムカムフルーツ果汁による肝機能改善効果が主にビタミンC以外の成分により生じていることが示唆された。
つづいて、酢酸エチル層画分を、投与量を変化させて実験動物(ラット)に強制経口投与し、投与から4時間後に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察したところ、体重kgあたり250mgの投与量で、血漿中のGPT,GOT活性の上昇を有意に抑制した。また、この抑制効果はより少ない添加量でも観察され、体重kgあたり125mgの投与量でも、血漿中のGPT,GOT活性の上昇を抑制する傾向が見られた。この酢酸エチル層画分を用いて観察した結果から、肝機能改善作用に有効なカムカムフルーツ果汁の摂取量を換算すると、一般成人(体重55kgで換算)で1日あたり、カムカムフルーツ果汁由来の固形分として30g以上、より好ましくは50g以上、最も好ましくは70g以上と換算された。
つづいて、カムカムフルーツ果汁の酢酸エチル抽出画分を、さらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、数種の成分に分画した。
実施するシリカゲルクロマトグラフィーの条件は、クロマトグラフィーのサイズ、展開溶媒等により適宜選択することができる。本発明においては、シリカゲル担体としてMerck KgaA社のKieselgel 60を用い、展開溶媒としては、n−ヘキサン:酢酸エチル混合溶媒(混合溶媒比率(v/v)を順に8:2,7:3,5:5,0:10とした)、つづいて酢酸エチル:アセトン混合溶媒(混合溶媒比率(v/v)を順に5:5,0:10とした)、最後にメタノールを用いた。
カラムクロマトグラフィーによって酢酸エチル層画分をさらにフラクション1〜5(Fr1〜5)までの5つの画分に分画した。5つのフラクションはそれぞれ濃縮乾固して溶媒を完全に留去し、各フラクションの乾固物を得た。
これをカムカムフルーツ果汁10%添加に相当する濃度で食餌に添加したものを実験動物(ラット)に投与し、1週間の飼育期間後に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察したところ、フラクション2が血漿中のGPT,GOT活性の上昇を最も強く抑制した。
上記フラクション2を、さらにシリカゲルクロマトグラフィー、HPLCにて精製し、物質1〜3を得た。各物質はそれぞれ濃縮乾固して溶媒を完全に留去し、各物質の乾固物を得た。
得られた各物質を体重kgあたり500mgの濃度で、実験動物(ラット)に強制経口投与し、投与から4時間後に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察したところ、物質2が血漿中のGPT,GOT活性の上昇を最も強く抑制した。
つづいて、物質2の成分をNMR等を用いて構造解析したところ、この有効成分はリンゴ酸−1−メチルエステルであることが明らかになった。
リンゴ酸−1−メチルエステルの化学構造を下記一般式(1)に示す
Figure 0005441433
なお、リンゴ酸−1−メチルエステルは山茱萸(サンシュユ) Corni Fructus果実にも含まれていることが知られており、これを精製して得ることもできる。また、リンゴ酸からの化学的合成も比較的容易に行える物質であり、化学的合成及びクロマトグラフィー等による精製によっても得ることができる。また、本発明で示したリンゴ酸−1−メチルエステルの肝機能改善効果は、他の方法で得られたリンゴ酸−1−メチルエステルにおいても同様の効果が期待できる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこの実施例により制限されるものではない。
実施例1:カムカムフルーツ果汁の肝機能改善作用
本発明では、高砂香料工業株式会社から入手したカムカムフルーツ2倍濃縮果汁を用いた。カムカムフルーツ2倍濃縮果汁8.450kgに賦形剤としてコーンスターチを997g添加し、凍結乾燥処理を行った。処理後1.733gのカムカムフルーツ乾燥粉末を回収した。粉末中のカムカムフルーツ由来成分含量は48.32%であった。
実験動物はWistar系雄ラット(6週齢)20匹を使用した。25%カゼイン食を標準食とし、ノーマル群(5匹)、コントロール群(10匹)には標準食を与えた。標準食に上記カムカムフルーツ凍結乾燥物を果汁由来成分の含量が10%になるように添加し、添加した量と同一量のコーンスターチを削減して試験食(カムカム添加食)とし、カムカム投与群(5匹)に与えた。(表1,2)
Figure 0005441433
Figure 0005441433
1週間の飼育期間後に、コントロール群とカムカム投与群に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを体重1kgあたり350mg腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察した。ノーマル群には対照として水を腹腔内注射した。その結果、肝炎発生の指標である血漿中のGPT,GOT活性は、コントロール群に比べてカムカム投与群において有意にその上昇が抑制された。(表3,図1及び2)なお、本明細書に記載の図中、*(P<0.05)、**(P<0.01)とは、それぞれ、統計学における5%未満、1%未満の危険率P(probability)で有意差があることを示す。
Figure 0005441433
実施例2:カムカムフルーツ果汁の溶媒分画
カムカムフルーツ果汁3.015gを分液ロートに入れ、酢酸エチル3Lを添加して十分に振盪混合した。水層を分液し、酢酸エチル層を回収した。水層を再び分液ロートに戻し、同様の操作を4回繰り返し行った。酢酸エチル層はロータリーエバポレーターで酢酸エチルを留去して濃縮乾固し、酢酸エチル可溶画分31.56gを得た。
上記抽出された残渣の水層に、n−ブタノール3Lを添加して十分に振盪混合した。水層を分液し、n−ブタノール層を回収した。水層を再び分液ロートに戻し、同様の操作を4回繰り返し行った。n−ブタノール層はロータリーエバポレーターでn−ブタノールを留去して濃縮乾固し、n−ブタノール可溶画分216.25gを得た。
上記抽出された残渣の水層に添加後のエタノール濃度が70%になるようにエタノールを加え、よく振盪混合して静置した。十分に沈殿が生じたところで、ブフナーロートにて吸引ろ過を行った。吸引ろ過によって得られたろ液は、ロータリーエバポレーターによりエタノールを十分に留去した後、凍結乾燥処理を行って、水溶性低分子画分92.90gを得た。一方、残渣は凍結乾燥処理を行って、水溶性高分子画分21.20gを得た。
実施例3:カムカムフルーツ果汁の溶媒分画物の肝機能改善作用
実験動物はWistar系雄ラット(6週齢)を60匹使用した。25%カゼイン食を標準食とし、ノーマル群(5匹)、コントロール群(15匹)には標準食を与えた。標準食に実施例2で得られた各種溶媒による4種のカムカムフルーツ分画物を果汁乾燥物10%添加に相当する濃度になるように添加し、添加分はコーンスターチと置き換えたものを試験食(各種画分添加食)とし、各画分投与群(各10匹)に与えた。(表4)
Figure 0005441433
1週間の飼育期間後に、コントロール群と各種溶媒による抽出画分投与群に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを体重1kgあたり350mg腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察した。ノーマル群には対照として水を腹腔内注射した。この結果、肝炎発生の指標である血漿中のGPT,GOT活性は、酢酸エチル抽出画分の投与群において最も強く上昇が抑制された。(表5,図3及び4)
Figure 0005441433
実施例4:カムカムフルーツ果汁の酢酸エチル可溶画分の肝機能改善作用
標準食でWistar系雄ラット(6週齢)43匹を1週間飼育した後、実施例3で肝機能改善作用が確認されたカムカムフルーツ果汁の酢酸エチル可溶画分について、投与量を変えて強制経口投与して、肝機能改善効果の用量依存性を確認した。(表6)
Figure 0005441433
強制経口投与から4時間後に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを体重1kgあたり350mg腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察したところ、酢酸エチル画分を体重1kgあたり250mg以上投与した群において、肝炎発生の指標である血漿中のGPT,GOT活性が有意に抑制された。(表7,図5及び6)
Figure 0005441433
実施例5:カムカムフルーツ果汁酢酸エチル可溶画分のカラム分画
実施例2の方法で得られたカムカムフルーツ果汁の酢酸エチル可溶画分26.37gを十分量の酢酸エチルに完全に溶解し、適量のシリカゲル担体(Merck KgaA製Kieselgel 60)を添加した。これをロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを完全に留去して、酢酸エチル可溶画分をシリカゲル担体に吸着させた。
上記担体をヘキサンに懸濁し、シリカゲル担体(Merck KgaA製Kieselgel 60)2.5Lを充填したカラムに重層し、カラムクロマトグラフィーに供した。
6Lのn−ヘキサン:酢酸エチル=8:2溶媒で溶出される液を濃縮乾固してフラクション1(1.50g)を得た。さらに、8Lのn−ヘキサン:酢酸エチル=5:5溶媒で溶出し、8Lのn−ヘキサン:酢酸エチル=3:7溶媒で溶出される液を濃縮乾固してフラクション2(4.99g)を得た。さらに、6Lの100%酢酸エチルで溶出される液を濃縮乾固してフラクション3(9.40g)を得た。さらに、3Lの100%アセトンで溶出される液を濃縮乾固してフラクション4(1.15g)を得た。最後にカラムに3Lの100%メタノールを通液し、溶出される液を濃縮乾固してフラクション5(6.61g)を得た。
実施例6:カムカムフルーツ果汁酢酸エチル可溶画分のカラム分画物の肝機能改善作用
実験動物はWistar系雄ラット(6週齢)を57匹使用した。25%カゼイン食を標準食とし、ノーマル群(5匹)、コントロール群(12匹)には標準食を与えた。標準食に実施例5で得られたカムカムフルーツ酢酸エチル可溶画分のカラム分画物(フラクション1〜5)を果汁乾燥物10%添加に相当する濃度になるように添加し、添加分はコーンスターチと置き換えたものを試験食(各種画分添加食)とし、各フラクション投与群(各8匹)に与えた。(表8)
Figure 0005441433
1週間の飼育期間後に、コントロール群と各画フラクション投与群に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを体重1kgあたり350mg腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察した。ノーマル群には対照として水を腹腔内注射した。この結果、肝炎発生の指標である血漿中のGPT,GOT活性は、フラクション2投与群において最も強くその上昇が抑制された。(表9,図7及び8)
Figure 0005441433
実施例7:カムカムフルーツ果汁に含まれる肝機能改善作用の有効成分の単離
実施例5の方法で得られたフラクション2を、実施例5の方法を小スケール化したカラムクロマトグラフィー、HPLCで再度精密に分離精製し、物質1〜3に単離した。
TLCによる確認の結果、物質1はフラクション1の主成分、物質3はフラクション3の主成分と同一の画分であり、それぞれフラクション2に混在しているものと判断された。物質2はフラクション2の主成分であった。
実施例8:カムカムフルーツ果汁に含まれる肝機能改善作用物質の特定
標準食でWistar系雄ラット(6週齢)を1週間飼育した後、実施例7で得られた物質1〜3について、体重1kgあたり500mgの投与量で強制経口投与して、各物質の肝機能改善作用を確認した。(表10)
Figure 0005441433
強制経口投与から4時間後に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンをそれぞれ体重1kgあたり350mg腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察したところ、肝炎発生の指標である血漿中のGPT,GOT活性は、物質2投与群においてのみ有意に抑制された。一方で、物質1,3にはGPT,GOT活性の抑制作用は観察されなかった。(表11,図9及び10)
Figure 0005441433
また、上記実施例において肝機能改善作用の有効成分と特定された物質2について、NMRによって物質の同定を行ったところ、下記一般式(1)に示すリンゴ酸−1−メチルエステルと判明した。
Figure 0005441433

Claims (8)

  1. カムカムフルーツ果汁を含有し、その1日摂取量がカムカムフルーツ果汁由来の固形分として30g以上であることを特徴とする肝機能改善剤。
  2. 1日摂取量がカムカムフルーツ果汁由来の固形分として50g以上であることを特徴とする請求項1記載の肝機能改善剤。
  3. 1日摂取量がカムカムフルーツ果汁由来の固形分として70g以上であることを特徴とする請求項2記載の肝機能改善剤。
  4. カムカムフルーツ果汁より酢酸エチル、n−ブタノール又はエタノール水溶液のいずれかの溶媒を用いて抽出して得られる可溶成分を有効成分として含むことを特徴とする肝機能改善剤。
  5. カムカムフルーツ果汁より酢酸エチルを用いて抽出して得られる可溶成分を有効成分として含むことを特徴とする肝機能改善剤。
  6. カムカムフルーツ果汁より酢酸エチルを用いて抽出して得られる可溶成分をさらに分画精製することによって得られるリンゴ酸−1−メチルエステルを有効成分として含むことを特徴とする肝機能改善剤。
  7. リンゴ酸−1−メチルエステルを有効成分として含むことを特徴とする肝機能改善剤。
  8. ウイルス性肝炎の抑制に用いることを特徴とする請求項1〜7に記載の肝機能改善剤。
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