JP2010189360A - カムカムフルーツ果汁含有肝機能改善剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 カムカムフルーツ果汁、その抽出物、その分画精製物、あるいはカムカムフルーツ果汁に含まれるリンゴ酸−1−メチルエステル(カムカムフルーツ果汁由来のもの以外も含む)を用いることにより、優れた肝機能改善作用を有する新規な肝機能改善剤が提供される。また、比較的簡便な操作によって、カムカムフルーツ果汁から有効成分であるリンゴ酸−1−メチルエステルを抽出することができるため、肝機能改善物質を容易に提供することができる。
【選択図】 図1
Description
また、前記肝機能改善剤において、1日摂取量がカムカムフルーツ果汁由来の固形分として50g以上であることが好適である。
さらに、前記肝機能改善剤において、1日摂取量がカムカムフルーツ果汁由来の固形分として70g以上であることがより好適である。
また、本発明にかかる肝機能改善剤は、カムカムフルーツ果汁より酢酸エチルを用いて抽出して得られる可溶成分を有効成分として含むことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる肝機能改善剤は、カムカムフルーツ果汁より酢酸エチルを用いて抽出して得られる可溶成分をさらに分画精製することによって得られるリンゴ酸−1−メチルエステルを有効成分として含むことを特徴とするものである。
また、前記肝機能改善剤において、ウイルス性肝炎の抑制に用いることが好適である。
本発明者らが、このカムカムフルーツ果汁を凍結乾燥した粉末をカムカムフルーツ由来の固形分として10%濃度で食餌に添加したものを実験動物(ラット)に投与し、1週間の飼育期間後に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを使用してウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察したところ、肝炎発生の指標である血漿中のGPT,GOT活性の上昇を有意に抑制することが明らかとなった。
最初に、カムカムフルーツ果汁に酢酸エチルを加えてよく振盪混合し、抽出を行った。酢酸エチル可溶画分は溶媒分配によって、酢酸エチル層に移行するので、これを分液して酢酸エチル層を得た。
酢酸エチルにより抽出された残渣のカムカム果汁に、n−ブタノールを加えてよく振盪混合し、抽出を行った。n−ブタノール可溶画分は溶媒分配によって、n−ブタノール層に移行するので、これを分液しn−ブタノール層を得た。
上記の4つの抽出層はそれぞれ濃縮乾固もしくは凍結乾燥して溶媒を完全に留去し、各層の乾固物を得た。これをカムカムフルーツ果汁10%添加に相当する濃度で食餌に添加したものを実験動物(ラット)に投与し、1週間の飼育期間後に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させた。解剖後、血漿中GPT,GOTを測定したところ、酢酸エチル層、n−ブタノール層、水溶性低分子層の画分はGPT,GOT活性の上昇を有意に抑制した。これらのうち最も強い活性抑制効果を示したのは酢酸エチル層であった。なお、カムカムフルーツ果汁中に多く含まれることが知られているビタミンCは水溶性低分子層画分に含まれるものの、これよりも酢酸エチル層画分の方がより強いGPT,GOT活性の抑制効果を示したことから、カムカムフルーツ果汁による肝機能改善効果が主にビタミンC以外の成分により生じていることが示唆された。
実施するシリカゲルクロマトグラフィーの条件は、クロマトグラフィーのサイズ、展開溶媒等により適宜選択することができる。本発明においては、シリカゲル担体としてMerck KgaA社のKieselgel 60を用い、展開溶媒としては、n−ヘキサン:酢酸エチル混合溶媒(混合溶媒比率(v/v)を順に8:2,7:3,5:5,0:10とした)、つづいて酢酸エチル:アセトン混合溶媒(混合溶媒比率(v/v)を順に5:5,0:10とした)、最後にメタノールを用いた。
これをカムカムフルーツ果汁10%添加に相当する濃度で食餌に添加したものを実験動物(ラット)に投与し、1週間の飼育期間後に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察したところ、フラクション2が血漿中のGPT,GOT活性の上昇を最も強く抑制した。
得られた各物質を体重kgあたり500mgの濃度で、実験動物(ラット)に強制経口投与し、投与から4時間後に肝炎惹起物質としてD−ガラクトサミンを腹腔内注射して、ウイルス性肝炎様の肝炎を誘発させて観察したところ、物質2が血漿中のGPT,GOT活性の上昇を最も強く抑制した。
乾燥物にする際には、果汁に含まれる糖分によって飴状に固体化してしまうため、コーンスターチ、乳糖、サイクロデキストリン、カルボキシメチルセルロースナトリウム等を賦形剤として添加し、粉体として提供することもできる。また、この粉体を打錠してタブレット様にしたり、カプセルに封入して提供することもできる。
本発明の飲料もしくは食品には、他の果汁、野菜汁、植物エキス類等の食品素材を併用してもよい。また、酸化防止剤、調味料、酸味料、甘味料、pH調整剤、香料、色素、乳化剤、ゲル化剤、安定剤、保存料、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、等の食品添加物を添加しても良い。
本発明では、高砂香料工業株式会社から入手したカムカムフルーツ2倍濃縮果汁を用いた。カムカムフルーツ2倍濃縮果汁8.450kgに賦形剤としてコーンスターチを997g添加し、凍結乾燥処理を行った。処理後1.733gのカムカムフルーツ乾燥粉末を回収した。粉末中のカムカムフルーツ由来成分含量は48.32%であった。
実験動物はWistar系雄ラット(6週齢)20匹を使用した。25%カゼイン食を標準食とし、ノーマル群(5匹)、コントロール群(10匹)には標準食を与えた。標準食に上記カムカムフルーツ凍結乾燥物を果汁由来成分の含量が10%になるように添加し、添加した量と同一量のコーンスターチを削減して試験食(カムカム添加食)とし、カムカム投与群(5匹)に与えた。(表1,2)
カムカムフルーツ果汁3.015gを分液ロートに入れ、酢酸エチル3Lを添加して十分に振盪混合した。水層を分液し、酢酸エチル層を回収した。水層を再び分液ロートに戻し、同様の操作を4回繰り返し行った。酢酸エチル層はロータリーエバポレーターで酢酸エチルを留去して濃縮乾固し、酢酸エチル可溶画分31.56gを得た。
上記抽出された残渣の水層に、n−ブタノール3Lを添加して十分に振盪混合した。水層を分液し、n−ブタノール層を回収した。水層を再び分液ロートに戻し、同様の操作を4回繰り返し行った。n−ブタノール層はロータリーエバポレーターでn−ブタノールを留去して濃縮乾固し、n−ブタノール可溶画分216.25gを得た。
上記抽出された残渣の水層に添加後のエタノール濃度が70%になるようにエタノールを加え、よく振盪混合して静置した。十分に沈殿が生じたところで、ブフナーロートにて吸引ろ過を行った。吸引ろ過によって得られたろ液は、ロータリーエバポレーターによりエタノールを十分に留去した後、凍結乾燥処理を行って、水溶性低分子画分92.90gを得た。一方、残渣は凍結乾燥処理を行って、水溶性高分子画分21.20gを得た。
実験動物はWistar系雄ラット(6週齢)を60匹使用した。25%カゼイン食を標準食とし、ノーマル群(5匹)、コントロール群(15匹)には標準食を与えた。標準食に実施例2で得られた各種溶媒による4種のカムカムフルーツ分画物を果汁乾燥物10%添加に相当する濃度になるように添加し、添加分はコーンスターチと置き換えたものを試験食(各種画分添加食)とし、各画分投与群(各10匹)に与えた。(表4)
標準食でWistar系雄ラット(6週齢)43匹を1週間飼育した後、実施例3で肝機能改善作用が確認されたカムカムフルーツ果汁の酢酸エチル可溶画分について、投与量を変えて強制経口投与して、肝機能改善効果の用量依存性を確認した。(表6)
実施例2の方法で得られたカムカムフルーツ果汁の酢酸エチル可溶画分26.37gを十分量の酢酸エチルに完全に溶解し、適量のシリカゲル担体(Merck KgaA製Kieselgel 60)を添加した。これをロータリーエバポレーターにて酢酸エチルを完全に留去して、酢酸エチル可溶画分をシリカゲル担体に吸着させた。
上記担体をヘキサンに懸濁し、シリカゲル担体(Merck KgaA製Kieselgel 60)2.5Lを充填したカラムに重層し、カラムクロマトグラフィーに供した。
6Lのn−ヘキサン:酢酸エチル=8:2溶媒で溶出される液を濃縮乾固してフラクション1(1.50g)を得た。さらに、8Lのn−ヘキサン:酢酸エチル=5:5溶媒で溶出し、8Lのn−ヘキサン:酢酸エチル=3:7溶媒で溶出される液を濃縮乾固してフラクション2(4.99g)を得た。さらに、6Lの100%酢酸エチルで溶出される液を濃縮乾固してフラクション3(9.40g)を得た。さらに、3Lの100%アセトンで溶出される液を濃縮乾固してフラクション4(1.15g)を得た。最後にカラムに3Lの100%メタノールを通液し、溶出される液を濃縮乾固してフラクション5(6.61g)を得た。
実験動物はWistar系雄ラット(6週齢)を57匹使用した。25%カゼイン食を標準食とし、ノーマル群(5匹)、コントロール群(12匹)には標準食を与えた。標準食に実施例5で得られたカムカムフルーツ酢酸エチル可溶画分のカラム分画物(フラクション1〜5)を果汁乾燥物10%添加に相当する濃度になるように添加し、添加分はコーンスターチと置き換えたものを試験食(各種画分添加食)とし、各フラクション投与群(各8匹)に与えた。(表8)
実施例5の方法で得られたフラクション2を、実施例5の方法を小スケール化したカラムクロマトグラフィー、HPLCで再度精密に分離精製し、物質1〜3に単離した。
TLCによる確認の結果、物質1はフラクション1の主成分、物質3はフラクション3の主成分と同一の画分であり、それぞれフラクション2に混在しているものと判断された。物質2はフラクション2の主成分であった。
標準食でWistar系雄ラット(6週齢)を1週間飼育した後、実施例7で得られた物質1〜3について、体重1kgあたり500mgの投与量で強制経口投与して、各物質の肝機能改善作用を確認した。(表10)
清涼飲料として、カムカムフルーツ果汁を固形物として30g添加した飲料を調製した。本飲料を1日1本飲用することで、肝機能改善作用が期待できる。配合成分及び配合量を下記に示す。
組成 配合量(500mlボトル缶飲料換算)
カムカムフルーツ冷凍濃縮透明果汁(Bx.30) 100g
果糖ブドウ糖液糖 20g
グラニュー糖 5g
香料 0.75g
クエン酸ナトリウム 0.4g
純水 残 量
カップデザート食品として、カムカムフルーツ果汁を固形物として10g添加したゼリーを調製した。本ゼリーを1日3カップ食用することで、肝機能改善作用が期待できる。配合成分および配合量を下記に示す。
組成 配合量(200mlプラスチックカップゼリー換算)
カムカムフルーツ冷凍濃縮透明果汁(Bx.30) 35g
果糖ブドウ糖液糖 20g
ゲル化剤 4g
香料 0.6g
クエン酸ナトリウム 0.15g
高感度甘味料 0.06g
純水 残 量
Claims (9)
- カムカムフルーツ果汁を含有し、その1日摂取量がカムカムフルーツ果汁由来の固形分として30g以上であることを特徴とする肝機能改善剤。
- 1日摂取量がカムカムフルーツ果汁由来の固形分として50g以上であることを特徴とする請求項1記載の肝機能改善剤。
- 1日摂取量がカムカムフルーツ果汁由来の固形分として70g以上であることを特徴とする請求項2記載の肝機能改善剤。
- カムカムフルーツ果汁より酢酸エチル、n−ブタノール又はエタノール水溶液のいずれかの溶媒を用いて抽出して得られる可溶成分を有効成分として含むことを特徴とする肝機能改善剤。
- カムカムフルーツ果汁より酢酸エチルを用いて抽出して得られる可溶成分を有効成分として含むことを特徴とする肝機能改善剤。
- カムカムフルーツ果汁より酢酸エチルを用いて抽出して得られる可溶成分をさらに分画精製することによって得られるリンゴ酸−1−メチルエステルを有効成分として含むことを特徴とする肝機能改善剤。
- リンゴ酸−1−メチルエステルを有効成分として含むことを特徴とする肝機能改善剤。
- ウイルス性肝炎の抑制に用いることを特徴とする請求項1〜7に記載の肝機能改善剤。
- 請求項1〜8に記載の肝機能改善剤を含むことを特徴とする肝機能改善用食品もしくは飲料。
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JP2001187732A (ja) * | 1999-10-21 | 2001-07-10 | Noda Inst For Scient Res | レプチン分泌促進剤 |
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