JP4688795B2 - バナバ抽出物の調製方法 - Google Patents

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Description

本発明は飲料をはじめ各種食品に好適に用いることのできるバナバ抽出物の調製方法に関する。更に詳しくは、本発明はコロソリン酸を多く含有し、また、苦味の少ないバナバ抽出物の調製方法に関する。さらに本発明は、上記方法によって調製されるバナバ抽出物を含有する食品に関する。
糖尿病は生活習慣病の一つで、初期には自覚症状がないので潜在患者も多い疾患であり、今後も増加する傾向にある。糖尿病にはI型糖尿病とII型糖尿病の他、遺伝子異常や他の病気や薬剤により起こるもの、及び妊娠糖尿病が知られている。I型糖尿病はインスリンを作る膵臓のβ細胞が破壊され、からだの中のインスリン量が絶対的に足りなくなって生じる疾患である。子供のうちに始まることが多く、以前は小児糖尿病とか、インスリン依存型糖尿病と呼ばれていたものである。II型糖尿病はインスリンの出る量が少なくなったり、肝臓や筋肉などの細胞がインスリン作用をあまり感じなくなるためにブドウ糖がうまく取り入れられなくなって生じる疾患である。食事や運動並びにストレスなどの生活習慣が関係している場合が多く、日本国の糖尿病患者の95%以上はこのタイプであるといわれている。
最近、生活習慣病といわれるII型糖尿病の予防や初期症状の改善を目的として、新しいサプリメント素材が求められている。そして、バナバをはじめ、グァバ、桑の葉、フェヌグリーク、その他ハーブ類や難消化性デキストリン等が健康食品や機能性食品(いずれも飲料を含む)として提案され、商品化されている。
バナバは、中国南部、フィリピン、マレー、インドシナ半島からオーストラリア北部などの熱帯地域に広く分布するミソハギ科の常緑樹で、日本名はオオバサルスベリ、学名はLagerstroemia speciosa LINNEである。樹高は20mにも達し、赤紫やピンクの大きな花が房状に咲き、フィリピンでは公園樹や街路樹として広く栽培されている。この樹の葉は肉厚で20〜30cmの楕円形の大きな葉からなり、フィリピンでは古くから伝承的にこの葉を煎じて糖尿病の予防や治療に使用されている。
最近ではバナバ葉から、こうした血糖降下作用等を有する各種有効成分の抽出が試みられており、例えば、バナバ葉の熱水抽出物をスチレン−ジビニルベンゼン系合成樹脂に吸着させ、吸着物を100%メタノールで溶出させた後凍結乾燥させたものが、抗糖尿病剤(例えば、特許文献1参照)やコレステロール上昇抑制作用剤(例えば、特許文献2参照)として提案されている。また、バナバ葉から熱水又は有機溶剤と熱水との混合液で抽出して得られた粗抽出物をスチレン−ジビニルベンゼン系合成樹脂に吸着させ、これを有機溶媒で溶出させたものが、抗酸化剤(例えば、特許文献3参照)として、また活性酸素フリーラジカル消去剤及び活性酸素・フリーラジカル起因疾患予防剤(例えば、特許文献4参照)として提案されている。
また、本発明者の一人は、へキサオキシジフェン酸誘導体がインスリン様作用として、末梢組織における糖取り込みの促進活性、細胞内に存在する糖輸送担体タイプ4(GLUT4)を介する作用、あるいはホスファチジルイノシトール−3−キナーゼ(Pl3K)を介する作用を有することを見いだし、バナバ葉抽出物の水溶性画分に含まれるヘキサオキシジフェン酸誘導体に分類されるエラジタンニンの一種(lagerstroemin、並びにこのエピマー体であるflosin Bとreginin A)にも上記のインスリン様作用があることを解明した(例えば、特許文献5及び非特許文献1参照のこと)。
さらに、バナバ葉抽出物の水難溶性画分にも上記エラジタンニンと同様にインスリン様作用があり、その有効成分がトリテルペンの一種であるコロソリン酸であることが解明されている(例えば、非特許文献2参照)。こうした知見に基づいて、100mg当たり0.1〜15mgの割合でコロソリン酸を含むように濃縮調製したバナバ葉抽出物が、血糖値上昇抑制剤ないし血糖値下降作用組成物(例えば、特許文献6参照)として、またインスリン値、コレステロール値あるいは中性脂肪の高い人に対する代謝異常改善用の組成物(例えば、特許文献7参照)として提案されている。
しかし、コロソリン酸はエラジタンニンと異なり、水や熱水に殆ど溶解しないためバナバ葉から効率よく抽出することは難しく、特にバナバ葉に含まれる苦味成分と臭気成分を排除しながらコロソリン酸を多量に含む画分を取得することは容易でない。このため、バナバ葉に由来するインスリン様作用成分(コロソリン酸、エラジタンニン)を摂取する方法として、これらの成分をバナバ葉から単離することなく乾燥したバナバ葉をそのまま微粉末としてキャンディ原料に配合し、苦味を軽減して摂取しやすくする方法(例えば、特許文献8参照)、バナバ葉を微粉末にしてタブレットやカプセルの形態として摂取する方法が提案されている。しかしかかる方法では、インスリン様作用成分(コロソリン酸、エラジタンニン)を多量に摂取することが難しい。一方、コロソリン酸を抽出する方法としてバナバ葉から熱水抽出した残渣をメタノール等の有機溶剤で再抽出し、それを凍結乾燥してバナバ葉抽出粉末エキスとして食品等に混入する方法(例えば、特許文献9参照)等も提案されているが、この方法では有機溶剤による抽出処理によってコロソリン酸と共に苦味物質、葉緑素、葉由来の臭気成分、テルペン類やその他脂溶性物質など、種々の夾雑物質が多量に抽出されるため、臭いや苦味があり、更にカプセル化や糖衣錠などの製剤上の工夫が必要である。
特開平07−228539号公報 特開平07−228538号公報 特開平10−130644号公報 特開平10−291935号公報 特開2002−255804号公報 特開2000−169384号公報 特開2002−205949号公報 特開平08−154586号公報 特開平05−310587号公報 Hayashi T, et al., Letter Planta Med.,2002, 68, p173-175 Murakami C,et al., P1anta Medica l991, 57, p414-416
本発明のバナバ抽出物の調製工程の概略図を示す。
本発明は、バナバに含まれるインスリン様作用成分、特にコロソリン酸を食品、特に飲料の素材として提供することを目的とする。このための本発明の第1目的は、バナバからコロソリン酸を多く含み且つ臭気や苦味の少ない画分(コロソリン酸高含量バナバ抽出物)を効率よく調製する方法を提供することである。また本発明の第2目的は、上記画分を飲料素材として好適に用いられる形態に調製する方法を提供することである。さらに本発明は、上記コロソリン酸に加えて、同様にバナバのインスリン様作用成分であるエラジタンニンを多く含む画分(コロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物)の調製方法を提供することを目的とする。
さらにまた本発明は、当該方法によって調製されたバナバ抽出物(コロソリン酸高含量バナバ抽出物、コロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物)を配合した、健康食品または機能性食品として有用な食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討していたところ、バナバの含水有機溶媒抽出物を不溶性画分と可溶性画分とに分別し、次いでこの不溶性画分をアルカリ性含水有機溶媒で抽出することによって、その溶媒中に所望のコロソリン酸が選択的に移行し、高い収率でコロソリン酸を取得することができることを見いだした。さらに当該コロソリン酸を含むアルカリ性含水有機溶媒(可溶性画分)を酸処理することによって苦味や臭気の原因になる不純物が除去できること、また酸処理で得られた析出物(コロソリン酸含有画分)をアルカリ性含水アルコールで溶解したものは、飲料をはじめとする中性〜弱アルカリ性の食品に対して可溶性であり、扱い易いことを見いだし、多種類の食品にコロソリン酸を配合することが可能になることを確認した。さらに、本発明者らは、斯くして得られたコロソリン酸含有画分を、上記バナバ含水有機溶媒抽出物の可溶性画分(エラジタンニン含有画分)またはその処理物に配合することによって、コロソリン酸とともにエラジタンニンを多量に含む組成物を調製することができ、健康食品または機能性食品を調製するために有用な素材が提供できることを確認した。
本発明は、かかる知見に基づいて鋭意研究によって開発されたものであり、下記の態様を有するものである:
1.本発明は、下記項1〜項3に記載する、コロソリン酸を高い割合で含有するバナバ抽出物(コロソリン酸高含量バナバ抽出物)の調製方法を提供する。
項1.下記の工程を有するバナバ抽出物の調製方法:
(1) バナバを含水有機溶媒で抽出し、得られた抽出液を濃縮後、含水有機溶媒に分散する工程、
(2) 上記分散液を不溶物と可溶物とに分別する工程、
(3) 上記不溶物をアルカリ性含水有機溶媒で抽出し、抽出液を採取する工程、
及び
(4) 上記抽出液を酸処理して、析出物を採取する工程。
項1-1.上記バナバとしてバナバの葉、好ましくは成熟葉、より好ましくは老熟葉を用いる項1記載のバナバ抽出物の調製方法。
項2.さらに、下記の工程を有する項1または項1-1に記載するバナバ抽出物の調製方法:
(5) 上記工程(4)で得られた析出物をアルカリ性含水アルコールに溶解する工程。
項3.コロソリン酸高含量バナバ抽出物の調製方法である、項1、項1-1または項2のいずれかに記載する方法。
2.本発明は、下記項4〜項6に記載する、コロソリン酸及びエラジタンニンを高い割合で含有するバナバ抽出物(コロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物)の調製方法を提供する。
項4.項1に記載する工程(4)で得られる析出物、または項2に記載する工程(5)で得られるアルカリ性含水アルコールの溶解物のいずれか一方を、項1に記載する工程(2)で得られる可溶物、またはその処理物と混合する工程を有するバナバ抽出物の調製方法。
項5.上記可溶物の処理物が、項1に記載する工程(2)で得られる可溶物を吸着処理し、次いで脱離処理することによって得られるものである項4に記載するバナバ抽出物の調製方法。
項6.コロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物の調製方法である項4または5に記載する方法。
3.また本発明は、コロソリン酸、またはコロソリン酸及びエラジタンニンを高い割合で含有するバナバ抽出物を提供する。
項7.項1、項1-1または項2に記載の調製方法によって得られるコロソリン酸高含量バナバ抽出物。
項8.項4または項5に記載する調製方法によって得られるコロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物。
4.さらに本発明は、コロソリン酸、またはコロソリン酸及びエラジタンニンを高い割合で含有するバナバ抽出物を含有する食品を提供する。
項9.項7に記載するコロソリン酸高含量バナバ抽出物、または項8に記載するコロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物を含有する食品。
項10.コロソリン酸を100mL中、0.01〜150mg、好ましくは0.1〜15mgの割合で含有する項9に記載する食品。
項11.コロソリン酸、またはコロソリン酸及びエラジタンニンに起因する薬理作用を有する機能性食品である項9または10に記載の食品。
項12.薬理作用が血糖値上昇抑制作用または血糖値降下作用である、項11に記載の食品(血糖値上昇抑制用食品または血糖値降下用食品)。
項13.包装に血糖値の上昇を抑制する旨の薬理効果が記載されてなる項12に記載の食品。
項14.薬理作用が、コレステロール上昇抑制作用である、項11に記載の食品。
項15.包装に血中コレステロール値を低下させる旨の薬理効果が記載されてなる項14に記載の食品。
項16.薬理作用が、抗酸化作用である、項11に記載の食品。
項17.包装に体内酸化を抑制する旨の薬理効果が記載されてなる項16に記載の食品。
項18.茶飲料である項9乃至17のいずれかに記載する食品。
以下に、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明でいう「食品」には、食べ物や飲み物など、生命維持、エネルギー供給、成長促進またはリラクスゼーションなどのため、または嗜好品として、体内に摂取されるものが含まれる。また、本発明でいう「食品」には、体内に摂取される最終形態のものだけでなく、最終形態の前段階のもの(前調製物)、例えば、水に溶解して飲用される粉末飲料やフリーズドライ飲料、水で希釈して飲用される濃縮飲料、アイスクリームやゼリー等といった菓子類のプレミックス物、乾燥麺なども含まれる。
I.バナバ抽出物の調製方法
バナバには、血糖降下作用成分(インスリン様作用成分)として水可溶性成分であるエラジタンニン〔例えば、下式(1)で示されるLagerstroemin:
Figure 0004688795
並びにこのエピマー体である下式(2)で示されるFlosin B:
Figure 0004688795
及び下式(3)で示されるReginin A
Figure 0004688795
〕、及び
式(4)に示される水不溶性成分であるコロソリン酸:
Figure 0004688795
が含まれていることが知られている。
以下、(A)バナバから水不溶性成分であるコロソリン酸を効率よく抽出する方法、すなわちコロソリン酸を多量に含むバナバ抽出物(コロソリン酸高含量バナバ抽出物)の調製方法、並びに(B) 水不溶性成分であるコロソリン酸と水可溶性成分であるエラジタンニンを多量に含むバナバ抽出物(コロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物)の調製方法について、図1に示す調製工程概略図を利用して説明する。但し、当該図1は単に本発明の説明のために用いられるものであって、本発明は当該図によって制限されるものではない。
なお、バナバは、学名:Lagerstroemia speciosa LINNE(異名:Lagerstroemia flosreginae Retz.、日本名:オオバサルスベリ)というミソハギ科の植物である。本発明においては、バナバまたはその近縁植物が使用され、その産地は特に問わない。抽出に供される植物部位は、植物体全体であっても、葉、花、茎、木質部、木皮部、根部等の植物体の一部であってもよい。好ましくは葉及び葉を含む植物部位である(以下、本明細書では、バナバの植物体全体および一部を問わず、「バナバ」と称する)。なお、当該部位の収穫時期は特に制限されない。葉の場合はその成熟度に伴ってコロソリン酸の含有量が増加する傾向にあるため、好ましくは成熟葉、より好ましくは老熟葉である。
(A)コロソリン酸を多量に含むバナバ抽出物の調製方法
コロソリン酸を多量に含むバナバ抽出物は、バナバ、好ましくはバナバ葉を下記の工程に供することによって調製することができる。
(1)バナバを含水有機溶媒で抽出し、抽出液を濃縮後、含水有機溶媒に分散する工程(工程(1))、
(2)上記分散液を不溶物と可溶物とに分別する工程(工程(2))、
(3)上記不溶物をアルカリ性含水有機溶媒で抽出し、抽出液を採取する工程(工程(3))
、及び
(4)上記抽出液を酸処理して、析出物を採取する工程(工程(4))。
<工程(1)>
当該工程(1)において、抽出に供するバナバはそのまま(生)若しくは生の破砕物または粉砕物であってもよいし、また乾燥後、必要に応じて破砕若しくは粉砕したものであってもよい。好ましくは、バナバ葉を乾燥後、破砕または粉砕したものが使用される。
上記バナバの抽出には、水不溶性(脂溶性)のコロソリン酸と水可溶性(水溶性)のエラジタンニンの両方が溶解する溶媒が用いられる。かかる溶媒としては、水と有機溶媒の混合溶媒(含水有機溶媒)を好適に挙げることができる。ここで有機溶媒としては上記目的に適うものであれば特に制限されず、低級脂肪族アルコールおよび極性溶媒を広く用いることができる。より具体的には低級脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルコール;極性溶媒としては、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル等が使用される。好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロピルアルコール等の低級脂肪族アルコール及びアセトンであり、より好ましくは食品に適用できる点からエタノールである。
なお、これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用することもできる。水と有機溶媒との混合割合も、上記目的に適うものであれば特に制限されない。好ましくは含水有機溶媒100容量%中、有機溶媒の占める割合は50〜99容量%、好ましくは60〜97容量%、より好ましくは80〜95容量%である。
抽出方法は、制限されることなく、一般に用いられる方法を採用することができる。制限はされないが、例えば溶媒中にバナバ(そのまま若しくは破砕・粉砕物、又はそれらの乾燥物)を冷浸、温浸等によって浸漬する方法、加温し攪拌しながら抽出する方法(加熱還流法を含む)、またはパーコレーション法等を挙げることができる。効率の点から、好ましくは加温しながら抽出する方法である。なお、当該温度は使用する抽出溶媒の沸点以下であればよく、特に制限されない。抽出時間も特に制限されないが、好ましくは2時間から数日間の間であり、この範囲で適宜選択採用することができる。
抽出後、ろ過または遠心分離等の慣用方法によって固液分離して固形物(残渣)を除去する。得られる抽出液はバナバ特有の臭気を有する黒緑色を呈している。必要に応じて、当該抽出液を活性炭や微粉末シリカゲル等の吸着剤を用いた吸着・脱離処理に供することによって脱色及び脱臭を行ってもよい。次いで当該抽出液は、常圧または減圧下で濃縮または乾固される。濃縮の程度は特に制限されないが、全体に占める固形分含量が10重量%以上、好ましくは30重量%以上となるまで、濃縮することが望ましい。
なお、濃縮には、特に制限されず、常圧濃縮缶、減圧濃縮缶、及び遠心薄膜式濃縮装置、及びその他の一般的な濃縮装置を使用することができる。
次いで得られた濃縮物または乾固物を含水有機溶媒と混合する。当該操作によって、含水有機溶媒に対する可溶性成分(水溶性成分)は当該含水有機溶媒中に移行し、一方不溶性成分(脂溶性成分)は不溶物として含水有機溶媒中に分散する。
ここで使用される含水有機溶媒としては、エラジタンニンを選択的に溶解し、コロソリン酸を選択的に不溶化し得るものであればよい。例えば、制限されないが、水と前記に掲げる有機溶媒との混合物を挙げることができる。好ましくは水とエタノールとの混合溶媒である。水と有機溶媒(好ましくはエタノール)との混合割合も、上記目的に適うものであれば特に制限されない。有機溶媒の濃度が高すぎると含水有機溶媒中にコロソリン酸(脂溶性成分)が溶解してコロソリン酸の収率が低下するし、一方、有機溶媒の濃度が低すぎると水溶性成分と脂溶性成分がうまく分離できずに分散液が粘稠(油状)になって固液分離の作業性が低下するとともに、バナバ抽出物の品質が悪くなるという問題がある。水と有機溶媒との混合割合は、こうした点を考慮して定められるが、好ましい含水有機溶媒100容量%中の有機溶媒、好ましくはエタノールの割合は20〜90容量%、好ましくは40〜85容量%、より好ましくは60〜80容量%、更に好ましくは65〜80容量%である。
当該含水有機溶媒の配合割合は、制限されないが、混合液(分散液)中の固形分含量が1〜50重量%、好ましくは3〜30重量%となるような割合が望ましい。なお、当該溶媒分散の際に採用される温度は、制限されないが、通常40℃以下である。
<工程(2)>
工程(1)で調製された分散液は、次いで分別、具体的には固液分離に供される。かかる固液分離によって、分散液をコロソリン酸を高い割合で含む固形画分(不溶物:黄褐色〜褐色)とエラジタンニンを高い割合で含む溶液画分(可溶物:黒色〜黒緑褐色)とに分別することができる。
固液分離操作は、常法に従って行うことができる。例えばフィルタープレス、加圧ろ紙ろ過機、リーフフィルター、ロータリプレス等を使用した加圧式ろ過法;ろ紙やろ布等を用いた常圧ろ過法;遠心分離機、上排式遠心分離機、底排式遠心分離機等を使用した遠心式分離法;回転ドラム式連続ろ過機、真空フィルター等を使用した減圧式ろ過法等を制限されることなく使用することができる。その際、必要に応じて珪藻土やセルロース末などの慣用のろ過助剤を併用してもよい。
<工程(3)>
工程(3)は、工程(2)の固液分離によって分別された不溶物(コロソリン酸高含有固形画分)をアルカリ性含水有媒溶媒で抽出し、抽出液を採取する工程である。
上記工程(2)の固液分離によって得られた不溶物は、抽出に先立って、必要に応じて工程(1)の分散に使用された含水有機溶媒、好ましくは含水エタノールなどで洗浄してもよい。
抽出に使用されるアルカリ性含水有機溶媒は、好ましくは水と低級アルコールとの混合溶媒であって、pH8.5以上、好ましくはpH9以上のアルカリ性を示すものである。ここで低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルコールを挙げることができるが、好ましくはエタノールである。水と有機溶媒との混合割合は、使用する有機溶媒の種類によって異なり制限されないが、含水有機溶媒100容量%中の有機溶媒の割合が通常20〜90容量%、好ましくは40〜80容量%となるような割合を挙げることができる。有機溶媒の割合が低すぎるとコロソリン酸の抽出収率が低下し、一方、有機溶媒の割合が高すぎると極性の低い不純物がコロソリン酸とともに抽出されてコロソリン酸の純度が低下する傾向にある。
不溶物の抽出に使用するアルカリ性含水有機溶媒の割合は、制限されないが、不溶物(固形物)1重量部に対して1〜100重量部、好ましくは2〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部を好適に例示することができる。
アルカリ性含水有媒溶媒での抽出は、工程(2)で得られた不溶物(コロソリン酸高含有固形画分)に直接アルカリ性(pH8.5以上、好ましくはpH9以上)に調整した含水有媒溶媒を配合して抽出処理してもよいし、また不溶物に含水有媒溶媒を配合して不溶物を分散させた後に、アルカリ成分を添加して含水有機溶媒をアルカリ性(pH8.5以上、好ましくはpH9以上)に調整し、抽出処理を行ってもよい。ここでアルカリ成分としては、制限はされないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸水素カリウムの中から選ばれる一種の化合物、若しくは二種以上の混合物を採用することができる。配合するアルカリ成分の形状は、粉末、結晶、若しくは水溶液の何れであってもよい。
抽出方法は、制限されることなく、一般に用いられる方法を採用することができる。制限はされないが、例えばアルカリ性含水有機溶媒中に不溶物(コロソリン酸高含有固形画分)を冷浸、温浸等によって浸漬する方法、攪拌しながら抽出する方法(加熱還流法を含む)、またはパーコレーション法等を挙げることができる。抽出温度は制限されないが、好ましくは−10〜50℃の範囲を例示することができる。抽出時間も特に制限されないが、通常5分以上、好ましくは30分から2時間の間で適宜選択採用することができる。
抽出処理後、固液分離によって不溶性固形物(不溶物:残渣)を除去して、抽出液(可溶物)を取得する。固液分離操作は、常法に従って行うことができる。例えばフィルタープレス、加圧ろ紙ろ過機、リーフフィルター、ロータリプレス等を使用した加圧式ろ過法;ろ紙やろ布等を用いた常圧ろ過法;遠心分離機、上排式遠心分離機、底排式遠心分離機等を使用した遠心式分離法;回転ドラム式連続ろ過機、真空フィルター等を使用した減圧式ろ過法等を制限されることなく使用することができる。その際、必要に応じて珪藻土やセルロース末などの慣用のろ過助剤を併用してもよい。また、得られた抽出液をさらにカートリッジフィルター、限外ろ過膜、ミクロフィルターで更にろ過して残存する不溶性固形物を除去してもよい。
<工程(4)>
当該工程(4)は、上記工程(3)で得られた抽出液を酸処理して、析出物としてコロソリン酸高含有画分を採取する工程である。
抽出液の酸処理は、上記抽出液に酸を加え抽出液のpHを0〜7、より好ましくはpH2〜5に調整することによって実施することができる。ここで酸としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、又はクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸等の有機酸を挙げることができる。これらの酸は1種単独で使用しても、2種以上を混合して使用することもできる。好ましくは、塩酸、硫酸、リン酸である。配合する酸の形状は、粉末、結晶、若しくは水溶液の何れであってもよい。
かかる酸処理によって抽出液の液性がpH7以下、好ましくはpH0〜7、より好ましくはpH2〜5に調整されることによって、アルカリ性含水有機溶媒に溶解した脂溶性物質の中からコロソリン酸を含むトリテルペンカルボン酸が選択的に固形物として析出してくる。このため、析出物を分離取得することによってコロソリン酸を高含量で含む画分(コロソリン酸高含量バナバ抽出物)を取得することができる。
析出物の分離には、通常の固液分離法を使用することができる。分離法としては一般的な方法が採用され、例えばろ紙やろ布等を用いた常圧ろ過法;遠心分離機、上排式遠心分離機、底排式遠心分離機等を使用した遠心式分離法;フィルタープレス、加圧ろ紙ろ過機、リーフフィルター、ロータリプレス等を使用した加圧式ろ過法;回転ドラム式連続ろ過機、真空フィルター等を使用した減圧式ろ過法等を制限されることなく使用することができる。
斯くして得られる析出物は、コロソリン酸を高い割合で含むバナバ抽出物(コロソリン酸高含量バナバ抽出物)である。当該抽出物は、原料として使用するバナバ、特にバナバ葉に含まれるコロソリン酸のうち70重量%以上、好ましくは80重量%以上のコロソリン酸を含むことができる(収率70重量%以上、好ましくは80重量%以上)。具体的には、一般にバナバ葉1kg(乾燥重量)にはコロソリン酸が0.6〜2gの割合で含まれていることが知られているので、上記方法によればバナバ葉1kg(乾燥重量)からコロソリン酸を0.42〜1.4g以上、好ましくは0.48〜1.6g以上の割合で含む析出物を調製することができる。
当該析出物(コロソリン酸高含量バナバ抽出物)は、必要に応じて水又は含水エタノールで洗浄してもよいし、また真空下若しくは常圧下で乾燥してもよい。
斯くして得られるコロソリン酸高含量バナバ抽出物は、バナバ特有の臭気、葉緑素などの着色物質、並びに不快な味が除去または低減されており、そのまま、または乾燥後、各種食品の素材として使用することができる。しかし、当該コロソリン酸高含量バナバ抽出物は、水に溶解しないため、水への溶解を要する場合には、さらに下記工程(5)に供して、アルカリ性含水アルコール溶液またはその濃縮若しくは固化物として調製することが好ましい。
<工程(5)>
当該工程は、上記工程(4)で得られた析出物をアルカリ性含水アルコールに溶解する工程である。
溶解に使用されるアルカリ性含水アルコールは、好ましくは水と低級アルコールとの混合溶媒または水と多価アルコールとの混合溶媒であって、pH8.5以上、好ましくはpH9以上のアルカリ性を示すものである。より好ましくはpH9〜13である。ここで低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、またはブタノール等の炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルコールを挙げることができる。食品に使用する場合にはエタノールが好適に例示できる。また多価アルコールとしては、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等を挙げることができるが、食品に使用する場合にはグリセリン、プロピレングリコールが好適である。
水とアルコールとの混合割合は、使用するアルコールの種類によって異なり制限されない。例えば、低級アルコールを用いる場合は、含水アルコール100容量%中の低級アルコールの割合が通常40容量%以上、好ましくは40〜95容量%、より好ましくは50〜90容量%となるような割合を挙げることができる。また、多価アルコールを用いるときは、含水アルコール100容量%中の多価アルコールの割合が通常80容量%以上、好ましくは80〜99容量%となるような割合を挙げることができる。
析出物のアルカリ性含水アルコールへの溶解は、工程(4)で得られた析出物(コロソリン酸高含量バナバ抽出物)を直接アルカリ性(8.5以上、好ましくはpH9以上)に調整した含水アルコールと混合して溶解してもよいし、また析出物に含水アルコールを配合して析出物を分散させた後に、アルカリ成分を添加して含水アルコールをアルカリ性(pH8.5以上、好ましくはpH9以上)に調整して溶解してもよい。ここでアルカリ成分としては、特に制限されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸水素カリウムの中から選ばれる1種の化合物、若しくは2種以上の混合物を例示することができる。配合するアルカリ成分の形状は、粉末、結晶、若しくは水溶液の何れであってもよい。
なお、析出物の溶解に使用する含水アルコールの使用量は、通常の温度(例えば0〜50℃)で上記析出物を溶解しえる量であればよく、特に制限されない。溶解後、必要に応じて、ろ過などの固液分離によって不溶物を除去したり、また溶液を濃縮して含有するコロソリン酸を所望の濃度に調整することもできる。
斯くして得られるコロソリン酸高含量バナバ抽出物(アルカリ性含水アルコール溶解物)は、バナバ特有の臭気、不快味、および着色が除去ないし低減されているだけでなく、水、特にpH4〜9を有する水系組成物(水含有組成物)への溶解性が改善されており、飲料や水を含む食品組成物に適用し易い食品素材として提供することができる。
(B)コロソリン酸とエラジタンニン類を多量に含むバナバ抽出物の調製方法
バナバの水可溶性画分には、血糖値上昇抑制作用(血糖値降下作用)を有するエラジタンニンが多く含まれていることが知られている。よって、エラジタンニンを高含量含むバナバの水可溶性画分と、上記(A)の方法によって得られるコロソリン酸高含量バナバ抽出物(工程(4)で得られる析出物、または工程(5)で得られるアルカリ性含水アルコール溶解物)を混合することによって、コロソリン酸とエラジタンニンを多量に含むバナバ抽出物を調製することができる。工程(4)で得られる析出物は、前述するように水に溶解し難いので、エラジタンニン高含量画分が溶液である場合、またはバナバ抽出物を水に溶解して使用する場合等のように水への溶解を必要とする場合には、コロソリン酸高含量バナバ抽出物として工程(5)で得られるアルカリ性含水アルコール溶解物を使用することが好ましい。
バナバ、特にバナバの葉から、水可溶性成分であるエラジタンニンを高い割合で抽出し取得する方法は、既に公知である(例えば、特開平7−228539号公報、特開2002−12547号公報等参照のこと)。具体的には、バナバの葉を熱水(60〜100℃、好ましくは95〜100℃)、有機溶媒(メタノールやエタノール等の低級アルコール)、またはこれらの混合溶液で抽出し、得られた粗抽出液を合成樹脂(例えば、スチレン−ジビニルベンゼン系合成樹脂またはデキストラン系合成樹脂)に吸着させ、蒸留水で洗浄後、エラジタンニンを含む画分を有機溶媒で脱離溶出する方法が挙げることができる。
本発明で使用されるエラジタンニン高含量バナバ抽出物は、公知の取得方法や将来開発される取得方法等、取得方法に拘わらず、バナバに由来するエラジタンニンを高い割合で含む画分であればよい。好適には、図1に示す工程において工程(2)で得られる可溶物(可溶物:黒色〜黒緑褐色)をエラジタンニン高含量画分として使用することができる。
具体的には、エラジタンニン高含量バナバ抽出物は、下記の工程を経て調製することができる:
(1)バナバを含水有機溶媒で抽出し、抽出液を濃縮後、含水有機溶媒に分散する工程(工程(1))、
(2)上記分散液を不溶物と可溶物とに分別する工程(工程(2))、及び
(6)上記で分別された可溶物、またはそれを精製処理したものを、エラジタンニン高含量バナバ抽出物として取得する工程(工程(6))
すなわち、上記(A)の方法において、工程(3)に供されない可溶物はエラジタンニン高含量画分であり、そのままエラジタンニン高含量バナバ抽出物として用いられるか、またはエラジタンニン高含量バナバ抽出物の調製原料として好適に使用することができる。
工程(6)において可溶物の取得は、工程(2)の分別操作(固液分離処理)において、溶液画分を取得することによって実施することができる。当該溶液画分(可溶物)(エラジタンニン高含量画分)は、そのまま若しくは濃縮してエラジタンニン高含有バナバ抽出物として使用してもよいが、当該溶液画分(可溶物)は黒色〜黒緑褐色を呈しているので、任意の精製処理に供することによって脱色または脱臭を行ってもよい。
可溶物(エラジタンニン高含量画分)の精製処理は、特に制限されないが、例えば合成樹脂を利用した吸着処理または活性炭を利用した吸着処理、及びそれに続く脱離処理を好適に挙げることができる。合成樹脂としては、芳香族系、置換芳香族系、アクリル系、フェノール系多孔性樹脂の中から任意なものが選ばれる。具体的に樹脂名を例示するとデュオライト XAD761、S874、S876、S877(Rohm & Haas社製)、ダイヤイオン HP10、20、21、30、40、50、1MG、2MG(三菱化成工業(株)社製)、セパビーズ SP205、206、207、800、825、850、875(三菱化成工業(株)社製)、アンバーライト XAD4、XAD7HP、XAD16HP、XAD1180、XAD2000(Rohm & Haas社製)、吸着樹脂KSまたはHS(味の素ファインテクノ(株)社製)、その他が挙げられ、これらの合成吸着樹脂の中から1種を選択して使用してもよく、又は2種以上を任意の割合で混合して使用することができ、ファルマシア社製Sephadex LH-20を使用することができる。
具体的には、まず上記工程(2)で得られる可溶物を、水で含水有機溶媒100容量%中の有機溶媒の割合が20容量%以下、好ましくは10容量%以下になるまで希釈するか、または濃縮して有機溶媒を除去した後、上記合成樹脂に供して吸着させ、次いで水を通液して樹脂を洗浄し、引き続いて所望の脱離溶媒を通液してエラジタンニンを含む画分を溶出する。この際、使用される脱離溶媒としては含水低級アルコールを挙げることができる。ここで低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、またはブタノール等の炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルコール、より好ましくはエタノールを挙げることができる。含水低級アルコール100容量%中のアルコールの割合は3〜80容量%、好ましくは10〜60容量%、より好ましくは15〜50容量%である。また、必要に応じて、当該溶出物をそのまま若しくは濃縮後、活性炭処理してもよい。
斯くして得られる可溶物(エラジタンニン高含量画分)の精製処理物は、バナバ特有の臭気、葉緑素などの着色物質、並びに不快な味が低減されており、食品素材として好適に使用できる、エラジタンニンを高い割合で含むバナバ抽出物(エラジタンニン高含量バナバ抽出物)である。当該抽出物は、原料として使用するバナバ、特にバナバ葉に含まれるエラジタンニンの含量のうち70重量%以上、好ましくは80重量%以上のエラジタンニンを含むことができる(収率70重量%以上、好ましくは80重量%以上)。具体的には、一般にバナバ葉1kg(乾燥重量)にはlactonized valoneic acid換算量としてのエラジタンニンが2.2〜4.4gの割合で含まれていることが知られているので、上記方法によればバナバ葉1kg(乾燥重量)からエラジタンニンを1.54〜3.08g以上、好ましくは1.76〜3.52g以上の割合で含む抽出物を調製することができる。
当該エラジタンニン高含量バナバ抽出物は、そのまま、または濃縮若しくは乾燥した状態で、工程(4)または(5)で得られるコロソリン酸高含量バナバ抽出物(好ましくは工程(5)で得られるコロソリン酸高含量バナバ抽出物(アルカリ性含水アルコ−ル溶解物))と混合することができ、斯くしてエラジタンニン及びコロソリン酸を高い割合で含むバナバ抽出物(コロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物)を調製することができる。
エラジタンニン高含量バナバ抽出物とコロソリン酸高含量バナバ抽出物の混合割合は、最終バナバ抽出物中にコロソリン酸:エラジタンニン(lactonized valoneic acidの量として)が1:0.01〜10、好ましくは1:0.1〜10、さらに好ましくは1:0.1〜5となるような割合を例示することができるが、特に制限されない。
当該バナバ抽出物は、バナバ、特にバナバ葉に含まれる血糖値上昇抑制成分であるエラジタンニンとコロソリン酸の両方を高い割合で含むため、より優れた血糖値上昇抑制作用または血糖値低下作用(インスリン様作用)を有する。さらに当該バナバ抽出物はバナバ特有の臭気、不快味、および着色が除去ないし低減されているため、食品素材、特に機能性食品(例えば血糖値の上昇を抑える働きを有する健康食品)の食品素材として提供することができる。
また、エラジタンニン高含量バナバ抽出物と工程(5)で得られるコロソリン酸高含量バナバ抽出物を混合して調製されるバナバ抽出物は、水、特にpH4〜9を有する水系組成物(水含有組成物)への溶解性が改善されているため、飲料や水を含む水系の食品組成物に適用し易い食品素材として有用である。
本発明のコロソリン酸高含量バナバ抽出物、及びコロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物は、溶液、濃縮エキス、凍結乾燥もしくはスプレードライによって乾燥した固形(粉末、顆粒、丸剤等)等の任意の形態に調製することができる。また、食品上または薬学的に許容される担体(賦形剤や増粘剤、増量剤など)や添加剤を配合することによって、錠剤、カプセル剤、顆粒剤の形態に成形してコロソリン酸、またはコロソリン酸及びエラジタンニンが有する薬理活性作用(例えば、血糖値上昇抑制作用または血糖値低下作用、コレステロール上昇抑制作用、代謝異常改善作用、または抗酸化作用[活性酸素・フリーラジカル消去作用を含む])を有する医薬品、準医薬品、サプリメント(食品)として調製することもできる。
また、本発明のバナバ抽出物は、食品の製造に際して原料の一素材として使用することもでき、そうすることによって当該食品にコロソリン酸、またはコロソリン酸及びエラジタンニンが有する薬理活性作用(例えば、血糖値上昇抑制作用または血糖値低下作用、コレステロール上昇抑制作用、代謝異常改善作用、または抗酸化作用[活性酸素・フリーラジカル消去作用を含む])を付加することができる。
II.バナバ抽出物を含有する食品
本発明は、上記コロソリン酸高含量バナバ抽出物、またはコロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物を含む食品を提供する。当該食品には、コロソリン酸高含量バナバ抽出物、またはコロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物を、必要に応じて食品上または薬学的に許容される担体や添加剤とともに、溶液、エキス(溶液、粉末、顆粒)、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤などの形態に成形してなるサプリメント(栄養補助食品又はこれらを配合した栄養ドリンク剤)、並びに下記に例示する一般の食品が含まれる。
例えば食品としては、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、アイスキャンディー、アイスケーキ等の冷菓類;;乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実飲料、粉末飲料、コーヒー飲料などの飲料;紅茶飲料、ウーロン茶、緑茶、プーアル茶、玄米茶、麦茶、ジャスミン茶等の茶飲料;カモミール、ローズヒップ、ミント、ハイビスカス、ウコン、ルイボスティ、ハトムギ、ドクダミ、グァバ、バナバ、ペパーミント、アニス、黒大豆、シナモン、ローズマリー、ラベンダー、レモングラス、レモンバーム、セージ、タイム、トチュウ、柿の葉、ビワ葉、リンデン、ラズベリー、ユーカリ等からなるハーブティなどの各種飲料;;コンソメスープ、ポタージュスープ等のスープ類;;カスタードプリン,ミルクプリン,果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類;;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);;マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート,ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;;ハードキャンディー(ボンボン、バターボール、マーブル等を含む)、ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、ドロップ、タフィ等のキャラメル類;;ハードビスケット、クッキー、おかき、煎餅等の焼き菓子類;;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム、プレザーブ等のジャム類;;赤ワイン等の果実酒や各種リキュール類;;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ、桃等の加工用果実;;ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類等、種々の加工食品を挙げることができる。
なお、上記サプリメントは、コロソリン酸高含量バナバ抽出物、またはコロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物だけでなく、その他の成分としてシイタケ、レイシ、アガリスク、メシマコブ、ビール酵母、各種アミノ酸類、各種ビタミン類、各種プロテイン、各種ミネラル、プロボリス、シジウム、マリアアザミ、エキナセア、ウーロン茶抽出物、リンゴポリフェノール、ブドウ種子抽出物、マカ、田七人参、ベータグルカン、コエンザイムQ10、フコダイン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、サメ軟骨、カモミール、ローズヒップ、ミント、ハイビスカス、ウコン、ルイボスティ、ハトムギ、ドクダミ、グァバ、バナバ、ペパーミント、アニス、黒大豆、シナモン、ローズマリー、ラベンダー、レモングラス、レモンバーム、セージ、タイム、トチュウ、柿の葉、ビワ葉、リンデン、ラズベリー、ユーカリ等から選ばれる1種若しくは2種以上の成分を含有するものも含まれる。
食品としては、特に飲料が好ましい形態として挙げられる。高血糖になると喉が渇きやすくなり、この状態で水を飲まないと脱水状態となり、血糖コントロールが更に乱れたり、合併症を助長することにもなるからである。従って、心臓病や腎臓病などの病気がない場合は、積極的な水分補給が必要である。また、血糖値コントロールの乱れを抑制し、正常状態を維持するためには、睡眠、風呂、散歩、運動、通勤、仕事等の日常生活の中で失われた水分を積極的に補給する必要があるからである。従来のバナバ抽出物は、バナバ特有の臭気が強く、且つ苦味が強い不溶成分を含むためとりわけ飲料としての利用が難しく、不溶成分を除去して苦味を軽減するための工夫が必要であったが、本発明の調製方法によって得られるバナバ抽出物は、臭気成分、その他不要な夾雑物が除去されており、さらに苦味も低減されているので飲料の配合素材として有効に使用することができる。これにより味や臭い(風味)が殆ど影響されずに、コロソリン酸、またはコロソリン酸及びエラジタンニンに基づく薬理的機能(例えば、血糖値上昇抑制作用、血糖値降下作用、コレステロール上昇抑制作用、代謝異常改善作用、または抗酸化作用[活性酸素・フリーラジカル消去作用を含む]など)を有する飲料を提供することができる。
本発明の食品には、その包装に血糖値の上昇を抑制する旨の薬理効果を記載した食品が含まれる。また本発明の食品には、その包装にコレステロール値の上昇を抑制する旨の薬理効果、体内酸化を抑制する旨の薬理効果を記載した食品が含まれる。
なお、食品中に配合されるバナバ抽出物の割合は特に制限されない。通常、コロソリン酸及びエラジタンニンの一日摂取量(成人)を目安として適宜調整することができる。例えばコロソリンについては、その好適な一日摂取量(成人)として0.1mg〜15mgを、エラジタンニンについては、その好適な一日摂取量(成人)として0.01mg〜150mg(lactonized valoneic acidとして)を挙げることができ、これを目安にして適宜調製することができる。
本発明によれば、コロソリン酸を高い割合で含むバナバ抽出物を提供することができる。さらに本発明によればコロソリン酸及びエラジタンニンを高い割合で含むバナバ抽出物を提供することができる。さらにこれらの好適な抽出物はバナバに由来する臭気や苦味が低減されているため食品素材として好適に利用することができ、これによってコロソリン酸、またはコロソリン酸とエラジタンニンの薬理作用(例えば血糖値上昇抑制作用、血糖値降下作用、コレステロール上昇抑制作用、代謝異常改善作用、または抗酸化作用[活性酸素・フリーラジカル消去作用を含む]など)を食品に付与することができる。すなわち、本発明によれば、バナバのコロソリン酸とエラジタンニンに基づいて薬理作用(血糖値上昇抑制作用、血糖値降下作用、コレステロール上昇抑制作用、代謝異常改善作用、または抗酸化作用[活性酸素・フリーラジカル消去作用を含む]など)を有する機能性食品を提供することができる。特に本発明によればコロソリン酸高含量バナバ抽出物を、飲料等の酸〜中性の水系組成物に溶解可能な態様で提供できるので、当該バナバ抽出物を広く水系組成物(水含有組成物)の食品素材として使用することができる。
以下、実施例などを挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1
1.バナバ抽出物中のコロソリン酸含有量の測定方法
(1) バナバ抽出物1gをエタノール80mlに分散して超音波で5分間処理し、その後エタノールを加えて正確に100mlとする。
(2) 上澄み液をシリンジフィルター(セルロースアセテート膜(0.45μm))に通して、それを試験液として、下記条件のHPLCに供して定量分析を行う。なお、定量は、標準品コロソリン酸(純度98%以上)を同条件のHPLCにかけて注入したコロソリン酸の量とピーク面積から作成した検量線を基にして行った。
(3) HPLC条件
カラム:Wakosil 5Cl8 (カラム径4.6mm、カラム長250mm)
移動相:A;65容量%アセトニトリル−0.1重量%リン酸
B;90容量%アセトニトリル−0.1重量%リン酸
グラジェント:0〜11.5分まで65%アセトニトリル濃度で保持後、12分までに90%アセトニトリル濃度に上げ、12分から16分まで90容量%アセトニトリル濃度で保持。
流 速:1.0ml/分、
検出器:紫外線分光検出器 210nm、
カラム温度:40℃。
2.バナバ抽出物中のエラジタンニン含有量の測定方法
(a) タンニン含有量の測定方法
バナバ抽出物に含まれるタンニンの量はFolin-Ciocalteu法に従って、没食子酸換算値として得ることができる。具体的には、正確に秤量したバナバ抽出物を水で希釈し、Folin試液を加えて混合し、室温で10分放置後20重量%炭酸ナトリウム液を加えて混合後40℃、20分加熱して発色させ、冷水で冷却後、水を対照として760nmの吸光度を測定する。なお、定量は標準物質として没食子酸(シグマ社)を用いて予め上記方法により作成した検量線を用いて行う。
(b) Lagerstroemin、Flosin B及びReginin A含有量(総量)の測定方法
バナバ抽出物中に含まれるLagerstroemin(1)、及びこのエピマー体であるFlosin B(2)及びReginin A(3)の総量は下記の方法に従って、lactonized valoneic acid換算値として得ることができる。
(i) バナバ抽出物を5%硫酸液中で15時間、100℃で加熱還流してバナバ抽出物に含まれるLagerstroemin(1)、及びそのエピマー体(Flosin B[2]とReginin A[3])をlactonized valoneic acidにまで加水分解する。
(ii) その後得られた加水分解液を冷却して、生成したlactonized valoneic acid を酢酸エチルで3回抽出して、酢酸エチル抽出液を減圧下で濃縮乾固し、残渣をジメチルスルホキシドに溶解して次の条件のHPLCに供してlactonized valoneic acidを定量分析する。なお、lactonized valoneic acidの定量は標準物質としてlactonized valoneic acidを用いて予め上記方法により作成した検量線を用いて行う。
(iii) HPLC条件
カラム:DeverosilHG-3(カラム径:46mm、カラム長75mm)、
移動相:A;0.1M トリフロロ酢酸(TFA)
B;80容量%アセトニトリル−0.1M TFA
グラジェント:0〜0.5分までA液92容量%−B液8容量%、0.5〜10.5分までアセトニトリル濃度8〜80容量%にリニアにグラジェント
流 速:1.0ml/分、
検出器:紫外線分光検出器 280nm、
カラム温度:40℃。
なお、エラジタンニンとそれから生成されるlactonized valoneic acidとの相関関係は、標準品エラジタンニン(純度98%以上)を上記方法で処理した後に同条件のHPLCにかけて、エラジタンニンから生成したlactonized valoneic acidの量とピーク面積から検量線を作成し、当該検量線をもとにして行った。
参考例2
バナバ葉中に含まれるコロソリン酸、及びエラジタンニン〔タンニン含量、Lagerstroemin(1)、Flosin B(2)及びReginin A(3)の総量〕の含量を下記の方法に従って測定した。なお、バナバ葉として、フィリピン産の採取時期の異なる3種類のバナバ葉(若葉、成熟葉、老熟葉)を用意し、採取時期(生育期)によるコロソリン酸及びエラジタンニンの含量の相違を調べた。
(i) 各バナバ葉を5〜10mm角にカットし、葉100g(乾燥重量)に対して90容量%エタノール水溶液を2Lの割合で加えて煮沸下で10時間抽出処理を行う。
(ii) その後、抽出物を室温まで冷却し、ろ紙を用いて吸引ろ過して抽出液を採取し、得られた液を減圧下で濃縮乾固する。
(iii) 乾固したバナバ抽出物を試料として用いて、参考例1の方法に従ってバナバ葉中に含まれるコロソリン酸、タンニン、及びLagerstroemin(1)、Flosin B(2)及びReginin
A(3)の総量(lactonized valoneic acid含量)を測定する。
結果を表1に示す。
Figure 0004688795
実施例l
バナバ葉の粗粉砕物1kg(乾燥重量)に90容量%エタノール水溶液(含水エタノール)10Lを加えて、弱い還流下、68℃で8時間抽出処理を行った。抽出物を室温まで冷却した後、ヌッチェを用いて吸引ろ過した(第一抽出液)。残渣を元の容器に戻し、90容量%エタノール水溶液10Lを加えて再度還流下、68℃で8時間抽出した。そして同様に抽出物を室温まで冷却した後、ヌッチェを用いて吸引ろ過した(第二抽出液)。得られた第一抽出液と第二抽出液を合わせて濃縮乾固(乾固物)をし、黒褐色固形物を88g得た。
このうち、85gを75容量%エタノール水溶液(含水エタノール)850mlと、室温で1時間混合した後、ろ紙を用いて吸引ろ過し、濾液(可溶物)と残渣(不溶物)に分別し、それぞれの画分を下記の方法により精製した。
<濾液画分(可溶物)>
濾液(可溶物)を1/5の容量になるまで濃縮し、得られた濃縮物を、攪拌しながら15℃の水1600mL中に少しずつ投入し、同温度で2時間攪拌した後、濾過助剤として珪藻土を加えて吸引濾過し、濾液を採取した。樹脂吸着剤(ダイヤイオン HP-20:三菱化成工業社製)0.6Lを充填したガラスカラムに上記濾液を通液し、次いで水を通液してカラムから非吸着物を洗い流した。それから、カラム樹脂量の3倍量の25容量%エタノール水溶液(含水エタノール)を通液して、溶出画分を採取した。得られた溶出液を濃縮乾燥し、赤褐色の固形物(エラジタンニン高含量バナバ抽出物)を9.53g取得した。当該固形物(エラジタンニン高含量バナバ抽出物)を試料として、参考例1の2(b)の方法に従って、当該固形物中に含まれている Lagerstroemin(1)、Flosin B(2)及びReginin A(3)総量をLactonized valoneic acidの量として求めた。その結果、当該固形物(9.53g)中にはLactonized valoneic acidが23.2重量%(2.21g)の割合で含まれていた。
<残渣画分(不溶物)>
残渣(不溶物)に80容量%エタノール水溶液(含水エタノール)lLを配合して、室温下で攪拌しながら30%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10に調整し、同pHの下(アルカリ条件下)で1時間混合した後、ヌッチェを用いて吸引ろ過して濾液(抽出液、可溶物)を採取した。次いで、これに希硫酸を加えて抽出液のpHを3に調整したところ白色の固形物が生成した。生成した白色の固形物(析出物)を、ヌッチェを用いて吸引ろ過し、得られた残渣(析出物)を50容量%エタノール水溶液(含水エタノール)で洗浄した。これをデシケータ中、真空下で乾燥して白色、無臭であって殆ど無味の固形物(コロソリン酸高含量バナバ抽出物)を3.5g得た。
当該固形物(コロソリン酸高含量バナバ抽出物)を試料として、参考例1の1.の方法に従って、当該固形物中に含まれているコロソリン酸の量を求めたところ、当該固形物(3.5g)中にはコロソリン酸が38.5重量%(1.347g)の割合で含まれていた。
当該固形物3.0gを70容量%エタノール水溶液(含水エタノール)30mlに分散させ、これに30%炭酸カリウム液を加えてpH9.5に調整した後、微量の不溶物を、ヌッチェを用いて吸引ろ過して除去し、残渣を少量の70容量%エタノール水溶液で洗浄して無色透明のろ液(コロソリン酸高含有バナバ抽出液)35mlを得た。該ろ液中に含まれるコロソリン酸の量を求めたところ1ml当たり0.033gの割合で含まれていた。
上記原料のバナバ葉、第一抽出液と第二抽出液の混合物の濃縮乾固物、エラジタンニン高含量バナバ抽出物、及びコロソリン酸高含量バナバ抽出物に含まれるコロソリン酸の量及びLagerstroemin(1)、Flosin B(2)及びReginin A(3)の総量(lactonized valoneic acid含量)並びに回収率を、参考例1の方法に従って求めた。結果を表2に示す。
Figure 0004688795
上記濾液画分(可溶物)から得られた赤褐色の固形物(エラジタンニン高含量バナバ抽出物)と、上記残渣画分(不溶物)から得られた白色固形物(コロソリン酸高含量バナバ抽出物)とを2:1(重量比)の割合で混合して、コロソリン酸1重量部に対してLactonized valoneic acidを1.21重量部含有するバナバ抽出物(コロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物)を調製した。
実施例2 茶飲料の香味評価
緑茶8kgを80℃の熱水300Lに入れ、同温度で4分間抽出を行った。得られた抽出液を冷却後、遠心分離し、清澄な上清を採取してこれを緑茶抽出物とした。この抽出液にビタミンCを0.4kg配合し、さらに実施例1で調製したバナバ抽出物(コロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物)(「バナバエキスI」)を、最終組成物(1000L)中にコロソリン酸が1g、2g、5g、7gまたは10g含まれるように添加して、熱水で最終容量が1000Lになるように調整した。これをバナバ抽出物配合緑茶飲料として、製造後まもなくモニター5名(男性3名、女性2名)に試飲してもらって香味評価を行った。
また比較対照緑茶飲料として、上記バナバ抽出物(バナバエキスI)に代えて、バナバ葉100gに対して90w/v%エタノール水溶液を2L加えて煮沸下で10時間抽出後、冷却し、ろ紙で吸引ろ過した抽出液を取り出し、減圧下で濃縮乾固させたバナバ抽出物(バナバエキスII)を用いて上記と同様にして調製したバナバ抽出物配合緑茶飲料(コロソリン酸含量;1g、2g、5g、7gまたは10g)を用いて、同様にモニター5名に試飲してもらった。
上記5名のモニターによって、苦味、雑味及び臭気の有無から好ましい順位をつけてもらい、下記評価基準にてポイントとして算出した。結果を表3に示す。
Figure 0004688795
Figure 0004688795
従来の方法で得られたバナバ抽出物(バナバエキスII)は、飲料への添加量がコロソリン酸含量として1g/1000Lでも、バナバ葉特有の枯葉臭と渋味を呈したのに対し、本発明の方法で得られたバナバ抽出物(バナバエキスI)は、飲料にコロソリン酸含量として5g/1000Lまで添加しても癖がなく飲みやすいという結果が得られた。このことから、本発明の方法で得られたバナバ抽出物(バナバエキスI)は、臭気成分や苦味成分、及びその他の夾雑物質が除去低減されており、飲料の味に殆ど影響を与えないことがわかる。
実施例3
緑茶8kgを80℃の熱水300Lに入れ、同温度で4分間抽出を行った。得られた抽出液を冷却後、遠心分離し、清澄な上清を採取してこれを緑茶抽出物とした。この抽出液にビタミンCを0.4kg配合し、さらに実施例1で調製したバナバ抽出物(コロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物)(「バナバエキスI」)を、最終組成物(1000L)中にコロソリン酸が5g含まれるように添加して、熱水で最終容量が1000Lになるように調整した。これを85℃以上に加熱し、金属缶に充填して、レトルト殺菌(125℃、5分)して緑茶飲料とした。
実施例4 サプリメント
下記の成分を、常法により練合及び造粒し、乾燥後打錠して、1錠(200mg)中有効成分としてコロソリン酸を0.5重量%(1mg)の割合で含む錠剤を得た。当該錠剤は、コロソリン酸の薬理作用(例えば、血糖値上昇抑制作用、血糖値降下作用、コレステロール上昇抑制作用、代謝異常改善作用、または抗酸化作用[活性酸素・フリーラジカル消去作用を含む]など)を有するサプリメントとして提供することができる。
Figure 0004688795
実施例5 キャンディー
下記の成分1,2,及び3を予め混合し、成分6を加えて常法により190℃まで煮詰めた。120℃まで冷却して成分4と5を加えて混合後成形した。1粒(4.5g)中、有効成分としてコロソリン酸を0.045%(2mg)の割合で含むキャンディーを得た。当該キャンディーは、コロソリン酸の薬理作用(血糖値上昇抑制作用、血糖値降下作用、コレステロール上昇抑制作用、代謝異常改善作用、または抗酸化作用[活性酸素・フリーラジカル消去作用を含む]など)を有する機能性食品として提供することができる。
Figure 0004688795
本発明のバナバ抽出物の調製方法は、バナバ、特にバナバの葉から、臭気成分や苦味成分の混入を抑えながらも、血糖値上昇抑制作用を始めとする有用な薬理作用(例えば、コレステロール上昇抑制作用、代謝異常改善作用、または抗酸化作用[活性酸素・フリーラジカル消去作用を含む]など)を有するコロソリン酸を高い効率で抽出することができる。このため当該方法で取得されたバナバ抽出物は食品素材としても使用することができ、これにより食品に血糖値上昇抑制作用等のコロソリン酸の薬理作用を付加することができる。当該食品は、血糖値上昇抑制作用等の機能を有する機能性食品(健康食品)として提供することができる。

Claims (6)

  1. 下記の工程を有するバナバ抽出物の調製方法:
    (1) バナバを含水有機溶媒で抽出し、得られた抽出液を濃縮後、含水有機溶媒に分散する工程、
    (2) 上記分散液を不溶物と可溶物とに分別する工程、
    (3) 上記不溶物をアルカリ性含水有機溶媒で抽出し、抽出液を採取する工程、
    及び
    (4) 上記抽出液を酸処理して、析出物を採取する工程。
  2. さらに、下記の工程を有する請求項1に記載するバナバ抽出物の調製方法:
    (5) 上記工程(4)で得られた析出物をアルカリ性含水アルコールに溶解する工程。
  3. コロソリン酸高含量バナバ抽出物の調製方法である、請求項1記載の方法。
  4. 請求項1に記載する工程(4)で得られる析出物、または請求項2に記載する工程(5)で得られるアルカリ性含水アルコールの溶解物の少なくとも1方を、請求項1に記載する工程(2)で得られる可溶物、またはその処理物と混合する工程を有するバナバ抽出物の調製方法。
  5. 上記可溶物の処理物が、請求項1に記載する工程(2)で得られる可溶物を吸着処理し、次いで脱離処理することによって得られるものである請求項4に記載するバナバ抽出物の調製方法。
  6. コロソリン酸及びエラジタンニン高含量バナバ抽出物の調製方法である、請求項4記載の方法。
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