以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる電解槽を表す斜視模式図である。
本実施形態にかかる電解槽100は、第1のケース210と、第2のケース220と、第1の電極310と、第2の電極320と、を備える。第1のケース210は、図示しない給水源から供給された水を電解槽100の内部に流入させる流入口211を有する。一方、第2のケース220は、電解槽100の内部に流入した水を外部に流出させる流出口221を有する。第1のケース210および第2のケース220は、互いに液密に取り付けられ、流入口211から流入した水が流出口221以外から外部に流出することを防止できる。
第1の電極310および第2の電極320は、電解槽100の内部、すなわち第1のケース210と、第2のケース220と、の間に設けられ、互いに対向して配置されている。このとき、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の間隔は、所定の距離に確保されている。これについては、後に詳述する。また、第1の電極310および第2の電極320は、電解槽100の外部の図示しない電源に適宜接続され通電されることにより、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の空間(流路)を流れる水を電気分解することができる。
より具体的に説明すると、図示しない給水源から電解槽100に供給された水は、第1のケース210の流入口211から電解槽100の内部に導かれる。続いて、流入口211から電解槽100の内部に流入した水は、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の流路を流れ、第2のケース220の流出口221から電解槽100の外部に排出される。この際、図示しない外部電源が第1の電極310および第2の電極320に通電している場合には、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の流路を流れる水は電気分解される。
この電気分解について、水道水の電気分解を例に挙げて、さらに詳細に説明する。第1の電極310および第2の電極320は、通電されているときには、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の流路を流れる水道水を電気分解することができる。この際、陽極に相当する電極では、式(1)〜(5)に表した反応が生じ、陰極に相当する電極では、式(6)〜(7)に表した反応が生ずる。また、式(7)において発生した塩素は、気泡としては存在しにくく、ほとんどの塩素は水に溶解する。そのため、式(7)において発生した塩素については、式(8)に表した反応が生ずる。
H++e− → 1/2H2↑ ・・・(1)
Na++H2O+e− → NaOH+1/2H2↑ ・・・(2)
K++H2O+e− → KOH+1/2H2↑ ・・・(3)
Ca2++2H2O+2e− → Ca(OH)2+H2↑ ・・・(4)
Mg2++2H2O+2e− → Mg(OH)2+H2↑ ・・・(5)
2OH− → 2e−+H2O+1/2O2↑ ・・・(6)
Cl− → e−+1/2Cl2 ・・・(7)
H2O+Cl2 → HCl+HClO ・・・(8)
このように、水道水は、塩素イオン(Cl−)を含んでいる。この塩素イオンは、水源(例えば、地下水や、ダムの水や、河川などの水)に食塩(NaCl)や塩化カルシウム(CaCl2)として含まれている。そのため、その塩素イオンを電気分解することにより次亜塩素酸(HClO)が生成される。その結果、電解槽100において電気分解された水は、次亜塩素酸を含む液に変化する。
次亜塩素酸は、殺菌成分として機能し、その次亜塩素酸を含む溶液すなわち殺菌水は、アンモニアなどによる汚れを効率的に除去あるいは分解したり、例えば、トイレ空間内で比較的よく発生するピンクスライムなどと呼ばれるメチロバクテリウムや、黒かびなどの細菌を効果的に殺菌することができる。ここで、本願明細書において「殺菌水」とは、次亜塩素酸などの殺菌成分を水道水よりも多く含む溶液をいうものとする。
このように、本実施形態にかかる電解槽100は、次亜塩素酸を含む溶液を生成することができるため、例えば、洋式腰掛便器に腰掛けた使用者の「おしり」などを水で洗浄する衛生洗浄装置や、大便器および小便器の洗浄装置などに利用される。また、これだけに限定されず、電解槽100は、アルカリイオン生成器や銀イオン生成器などにも利用される。
次に、本実施形態にかかる電解槽100の内部構造について、図面を参照しつつ説明する。
図2は、本実施形態にかかる電解槽の内部構造を表す断面模式図である。
なお、図2は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
第1のケース210は、図2に表したように、電解槽100が組み立てられた状態において第2のケース220へ向かって内面から立設された突起部213を有する。この突起部213は、第1のケース210の内面に設けられている。なお、図2に表した内部構造では、2つの突起部213が設けられているが、突起部213の設置数はこれだけに限定されるわけではない。
また、第1の電極310は、突起部213が貫通可能な電極孔311を有する。そして、第1の電極310は、図2に表したように、突起部213が電極孔311を貫通した状態において第1のケース210に支持されている。第1のケース210に対する第1の電極310の支持構造については、後に詳述する。
一方、第2の電極320は、第1のケース210に設けられた突起部213と当接しつつ、第2のケース220に支持されている。その結果、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の間隔は、所定の距離に確保されている。
つまり、第1の電極310は、突起部213が電極孔311を貫通した状態においてケース210の内面に固定されている。一方で、第2の電極320は、第1のケース210に設けられた突起部213から第2のケース220の内面へ押し付けられている。そのため、突起部213は、スペーサとしての機能を有し、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の間隔を所定の距離に確保している。
ここで、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の間隔を所定の距離に確保するために、例えば帯状などのスペーサがそれらの電極の間に設けられている場合には、その帯状のスペーサは、第1および第2の電極310、320の一部を覆ってしまう。そうすると、電気分解に寄与する第1および第2の電極310、320の有効面積は、より小さくなる。これによれば、図1に関して前述したような次亜塩素酸などの生成効率がより低くなる場合がある。
また、その帯状のスペーサは、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の流路を狭めてしまう。そうすると、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の流路の抵抗がより大きくなる。例えば、人体の局部を洗浄する衛生洗浄装置の殺菌に利用するために、電解槽が衛生洗浄装置の流路に組み込まれた場合には、その電解槽内の流路の抵抗によって、局部を洗浄する水の流量が低下してしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態にかかる電解槽100では、第1のケース210に設けられた突起部213が、スペーサとしての機能を有し、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の間隔を所定の距離に確保している。そのため、電気分解に寄与する第1および第2の電極310、320の有効面積は、例えば帯状などのスペーサが第1の電極310と、第2の電極320と、の間に設けられている場合よりも大きい。そのため、電気分解に寄与する第1および第2の電極310、320の有効面積をより効果的に確保することができる。これによれば、次亜塩素酸などの生成効率をより向上させることができる。
また、突起部213により生ずる流路の抵抗は、例えば帯状などのスペーサにより生ずる流路の抵抗よりも小さい。また、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の流路を通過する水の抵抗は、突起部213により生ずる流路の抵抗よりも、第1の電極310と、第2の電極320と、の間における圧力損失による抵抗に大きく支配される。つまり、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の流路を通過する水は、突起部213により生ずる流路の抵抗にほとんど影響されない。そのため、次亜塩素酸などを安定して生成することができる。
また、スペーサとしての機能を有する突起部213は、第1のケース210に一体的に設けられている。これによれば、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の間隔を所定の距離に確保するための別部材を必要としないため、部品点数を削減することができ、電解槽100の組立性をより向上させることができる。
さらに、電気分解に寄与する第1および第2の電極310、320の有効面積をより効果的に確保することができるため、第1および第2の電極310、320を小型化することができる。その結果、電解槽100を小型化することができる。
次に、第1の電極310の固定構造および電気接続について、図面を参照しつつ説明する。
図3は、第1の電極の固定構造および電気接続の具体例を例示する断面模式図である。 なお、図3は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
本具体例の第1の電極310は、図3に表したように、電極面から突出した接続部312を有する。一方、本具体例の第1のケース210は、例えば樹脂などの射出成形などにより形成される。そして、第1の電極310は、第1のケース210を成形する際にインサート成形される。その結果、第1の電極310の接続部312は、図3に表したように、第1のケースに保持されつつ、第1のケース210を通して電解槽100の外部に導出される。
これにより、第1の電極310は、第1のケース210に固定される。また、図示しない外部電源からの電線を接続部312に接続することにより、外部電源と第1の電極310とを電気的に接続することができる。さらに、第1の電極310は、第1のケース210にインサート成形されているため、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が、接続部312の部分から電解槽100の外部に漏れることはない。
図4は、第1の電極の固定構造および電気接続の他の具体例を例示する断面模式図である。
なお、図4は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
本具体例の第1のケース210には、図4に表したように、第1の電極310を固定する爪部215と、第1の電極310の一部を電解槽100の外部に露出させる貫通孔216(第1の貫通孔)と、が形成されている。そして、第1の電極310は、第1のケース210の内面と、爪部215と、の間に圧入あるいは挿入されることにより固定されている。
この際、第1のケース210と第1の電極310との間であって、貫通孔216の周囲には、シール部材410が介在している。このシール部材410は、例えばゴムや発泡材などのような弾力性を有する材料により形成されている。このようなシール部材410としては、例えばゴムにより形成された「Oリング」などが挙げられる。そのため、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が、貫通孔216を通して電解槽100の外部に漏れることはない。
また、図示しない外部電源からの電線420と、貫通孔216から電解槽100の外部に露出した部分の第1の電極310と、が貫通孔216を通して接続されている。これにより、外部電源と第1の電極310とを電気的に接続することができる。
図5は、第1の電極の固定構造および電気接続のさらに他の具体例を例示する断面模式図である。
なお、図5は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
本具体例の第1のケース210には、図5に表したように、第1の電極310の一部を電解槽100の外部に露出させる貫通孔216(第1の貫通孔)が形成されている。そして、第1の電極310は、接着材や両面接着テープなどの粘着材430により第1のケース210の内面に接着され固定されている。
これによれば、粘着材430は、シール部材としての機能を有する。そのため、図4に表したようなシール部材410が設けられていなくとも、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が貫通孔216を通して電解槽100の外部に漏れることを防止することができる。
また、図示しない外部電源からの電線420と、貫通孔216から電解槽100の外部に露出した部分の第1の電極310と、が貫通孔216を通して接続されている。これにより、外部電源と第1の電極310とを電気的に接続することができる。
次に、本発明の他の実施の形態にかかる電解槽100の内部構造について、図面を参照しつつ説明する。
図6は、本発明の他の実施の形態にかかる電解槽の内部構造を表す断面模式図である。 なお、図6は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
本実施形態では、第2のケース220は、図2に関して前述した第1のケース210と同様の構造を有する。つまり、本実施形態の第2のケース220は、電解槽100が組み立てられた状態において第1のケース210へ向かって内面から立設された突起部223(第2の突起部)を有する。この突起部223は、第2のケース220の内面に設けられている。なお、図6に表した内部構造では、1つの突起部223が設けられているが、突起部223の設置数はこれだけに限定されるわけではない。
また、本実施形態では、第2の電極320は、図2に関して前述した第1の電極310と同様の構造を有する。つまり、本実施形態の第2の電極320は、突起部213が貫通可能な電極孔311を有する。
一方、本実施形態の第1のケース210および第1の電極310は、図2に関して前述した第1のケース210および第1の電極310と同様の構造を有する。つまり、第1のケース210は、電解槽100が組み立てられた状態において第2のケース220へ向かって内面から立設された突起部213(第1の突起部)を有する。また、第1の電極310は、突起部213が貫通可能な電極孔311を有する。
そして、第1の電極310は、突起部213が電極孔311を貫通した状態において、第2のケース220に設けられた突起部223と当接しつつ第1のケース210に支持されている。つまり、第1の電極310は、第2のケース220に設けられた突起部223から第1のケース210の内面へ押し付けられている。
これと同様に、第2の電極320は、突起部223が電極孔321を貫通した状態において、第1のケース210に設けられた突起部213と当接しつつ第2のケース220に支持されている。つまり、第2の電極320は、第1のケース220に設けられた突起部213から第2のケース220の内面へ押し付けられている。その他の構造は、図2に関して前述した電解槽100の構造と同様である。
その結果、突起部213、223は、スペーサとしての機能を有し、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の間隔を所定の距離に確保している。これによれば、図3〜図5に関して前述したような固定構造が設けられていなくとも、第1の電極310は、突起部223と当接しつつ第1のケース210に支持され、第2の電極320は、突起部213と当接しつつ第2のケース220に支持される。そのため、電解槽100の組立性をさらに向上させることができる。また、その他の効果についても、図2に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
図7は、電極の電気接続および密閉構造の具体例を例示する断面模式図である。
なお、図7は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
本具体例の第2のケース220には、第2の電極320の一部を電解槽100の外部に露出させる貫通孔226(第2の貫通孔)が形成されている。また、第2のケース220と第2の電極320との間であって、貫通孔226の周囲には、シール部材410が介在している。このシール部材410は、図4に関して前述したように、例えばゴムにより形成された「Oリング」などである。
このとき、第1のケース210に設けられた突起部213は、図7に表したように、貫通孔226が位置する部分の第2の電極320をシール部材410の側へ押し付けている。つまり、突起部213は、貫通孔226に対向する部分の第2の電極320をシール部材410の側へ押し付けている。これにより、シール部材410には押圧力が作用する。そのため、シール部材410は、適正に変形し、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が貫通孔226を通して電解槽100の外部に漏れることを防止することができる。
また、図示しない外部電源からの電線420の先端には、接続端子440が設けられている。そして、接続端子440は、貫通孔226を通して、貫通孔226から電解槽100の外部に露出した部分の第2の電極320と接続されている。これにより、外部電源と第1の電極310とを電気的に接続することができる。なお、電線420は、半田やろう付けなどで直接的に第2の電極320と接続されていてもよい。
なお、本具体例では、第2の電極320の電気接続および密閉構造を例に挙げて説明したが、これは、第1の電極310についても同様に適用可能である。つまり、本具体例の電気接続および密閉構造は、図2および図6に関して前述した内部構造を有する電解槽100のいずれにも適用可能である。
図8は、電極の電気接続および密閉構造の他の具体例を例示する断面模式図である。
また、図9は、本具体例の突起部によるシール部材の押圧位置を例示する断面模式図である。
なお、図8は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
また、図9は、図8に表した切断面B−Bにおける断面模式図である。
本具体例の第1のケース210は、電解槽100が組み立てられた状態において第2のケース220へ向かって内面から立設された複数の突起部213を有する。突起部213の設置数は特に限定されるわけではないが、本具体例では、図9に表したように、4つの突起部213が設けられている。
そして、複数の突起部213のそれぞれは、図8および図9に表したように、シール部材410が位置する部分の第2の電極320をシール部材410の側へ押し付けている。つまり、複数の突起部213のそれぞれは、シール部材410に対向する部分の第2の電極320をシール部材410の側へ押し付けている。これにより、シール部材410には押圧力がより効果的に作用する。そのため、シール部材410は、より効果的に変形し、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が貫通孔226(第2の貫通孔)を通して電解槽100の外部に漏れることをより確実に防止することができる。
また、複数の突起部213のそれぞれは、シール部材410に対向する部分の第2の電極320をシール部材410の側へ押し付けているため、貫通孔226に対向する部分の第2の電極320が貫通孔226の側へ変形することをより確実に抑制することができる。これにより、次亜塩素酸などの生成効率をより向上させることができる。
なお、本具体例では、第2の電極320の電気接続および密閉構造を例に挙げて説明したが、これは、第1の電極310についても同様に適用可能である。つまり、本具体例の電気接続および密閉構造は、図2および図6に関して前述した内部構造を有する電解槽100のいずれにも適用可能である。
図10は、本発明のさらに他の実施の形態にかかる電解槽の内部構造を表す断面模式図である。
なお、図10は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
本実施形態にかかる電解槽100の内部には、3つの電極が設けられている。つまり、第1の電極310は、第1のケース210に支持され、第2の電極320は、第2のケース220に支持され、第3の電極330は、第1の電極310と第2の電極320との間において支持されている。
本実施形態の第1のケース210は、電解槽100が組み立てられた状態において第2のケース220へ向かって内面から立設された突起部213を有する。そして、その突起部213は、図10に表したように、先端から基端へ向かって外形が大きくなるように傾斜した傾斜部213a、213bを有する。
また、傾斜部213aと傾斜部213bとの間には、傾斜部213bの基端の外形および傾斜部213aの先端の外形よりも小さい外形を有する縮形部213cが形成されている。これと同様に、突起部213の基端部には、傾斜部213aの基端の外形よりも小さい外形を有する縮形部213dが形成されている。
一方、第1の電極310は、縮形部213dの外形よりも大きく、傾斜部213aの基端の外形よりも小さい径を有する電極孔311を有する。また、第3の電極330は、縮形部213cの外形よりも大きく、傾斜部213bの基端の外形および傾斜部213aの先端の外形よりも小さい径を有する電極孔331を有する。
そして、第1の電極310は、電極孔311が縮形部213dに係合された状態において第1のケース210に支持されている。つまり、突起部213は、電極孔311に挿入される際に傾斜部213aに引っ掛かるが、いわゆる「無理入れ」を行うことにより、電極孔311と縮形部213dとを係合することができる。これと同様に、第3の電極330は、電極孔331が縮形部213cに係合された状態において突起部213に支持されている。つまり、突起部213は、電極孔331に挿入される際に傾斜部213bに引っ掛かるが、いわゆる「無理入れ」を行うことにより、電極孔331と縮形部213cとを係合することができる。
また、第2の電極320は、第1のケース210に設けられた突起部213と当接しつつ、第2のケース220に支持されている。つまり、第2の電極320は、第1のケース210に設けられた突起部213から第2のケース220の内面へ押し付けられている。
これにより、第1の電極310と、第3の電極330と、の間の距離、および第2の電極320と、第3の電極330と、の間の間隔は、所定の距離に確保されている。すなわち、突起部213は、スペーサとしての機能を有し、第1の電極310と、第3の電極330と、の間の距離、および第2の電極320と、第3の電極330と、の間の間隔を所定の距離に確保している。
これによれば、電気分解に寄与する第1および第2および第3の電極310、320、330の有効面積をより効果的に確保することができる。そのため、次亜塩素酸などの生成効率をより向上させることができる。また、スペーサとしての機能を有する突起部213は、第1のケース210に一体的に設けられている。これによれば、第1の電極310と、第3の電極330と、の間の距離、および第2の電極320と、第3の電極330と、の間の間隔を所定の距離に確保するための別部材を必要としないため、部品点数を削減することができ、電解槽100の組立性をより向上させることができる。また、その他の効果についても、図2に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
なお、第1の電極310と、第3の電極330と、の間の距離、および第2の電極320と、第3の電極330と、の間の間隔を所定の距離に確保する構造は、これだけに限定されるわけではない。例えば、図10に表したように、第1のケース210に爪部215a、215bが設けられ、この爪部215a、215bにより、第1の電極310と、第3の電極330と、の間の距離、および第2の電極320と、第3の電極330と、の間の間隔が所定の距離に確保されていてもよい。この場合にも、前述した効果と同様の効果が得られる。
次に、第3の電極330の電気接続について、図面を参照しつつ説明する。
図11は、第3の電極の電気接続の具体例を例示する断面模式図である。
また、図12は、本具体例の溶着部における密閉構造を説明するための斜視模式図である。
また、図13は、本具体例の溶着部における他の密閉構造を説明するための斜視模式図である。
なお、図11は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
本具体例では、第1のケース210および第2のケース220は、溶着により互いに結合されている。また、第3の電極330は、その溶着部333から電解槽100の外部に導出された接続部332を有する。そして、溶着部333から電解槽100の外部に導出された接続部332と、図示しない外部電源からの電線と、を接続することにより、外部電源と第3の電極330とを電気的に接続することができる。
ここで、溶着部333における密閉性をより向上させるために、図12に表したように、第3の電極330の接続部332にシール部材415が装着されることがより好ましい。シール部材415は、例えばゴムなどの弾力性を有する材料により形成され、接続部332を挿入可能なスリット415aを有する。そして、接続部332がスリット415aに挿入された状態で、第1のケース210と第2のケース220との間の溶着部333に挟まれる。
これによれば、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が溶着部333から電解槽100の外部に漏れることを防止しつつ、外部電源と第3の電極330とを電気的に接続することができる。
なお、溶着部333における密閉構造は、これだけに限定されるわけではなく、例えば図13に表したように、シリコン材などのシール部材417が接続部332に塗布されていてもよい。この場合においても、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が溶着部333から電解槽100の外部に漏れることを防止しつつ、外部電源と第3の電極330とを電気的に接続することができる。
図14は、第3の電極の電気接続の他の具体例を例示する断面模式図である。
また、図15は、第3の電極の電気接続のさらに他の具体例を例示する断面模式図である。
なお、図14および図15は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
本具体例では、第1および第2および第3の電極310、320、330が、例えば図10に表した構造により支持された後、接続端子440が第1のケース210を貫通して設けられる。接続端子440は、図14に表したように、第3の電極330と当接し、接続端子440の周囲に設けられた「Oリング」などのシール部材410により第1のケース210に支持されている。
そして、電解槽100の外部に突出した部分の接続端子440と、図示しない外部電源からの電線と、を接続することにより、外部電源と第3の電極330とを電気的に接続することができる。このとき、接続端子440が第1のケース210を貫通した部分であって、接続端子440の周囲には、シール部材410が設けられている。そのため、シール部材410は、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が接続端子440の部分から電解槽100の外部に漏れることを防止できる。
なお、接続端子440における密閉構造は、これだけに限定されるわけではなく、例えば図15に表したように、接続端子440は、第2の接続端子442を有していてもよい。より具体的には、第2の接続端子442は、接続端子440からみて直交する方向に延在し、その長手方向と第1のケース210の側面とが並行するようにして第1のケース210の内部に挿入されている。そして、第2の接続端子442と第1のケース210との間に、「Oリング」などのシール部材410が介在している。つまり、図14に表した具体例では、シール部材410は、接続端子440が第1のケース210を貫通した部分を軸状に密閉している。一方、図15に表した具体例では、シール部材410は、接続端子440が第1のケース210を貫通した部分を面状に密閉している。
これらによれば、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が接続端子440の部分から電解槽100の外部に漏れることを防止しつつ、外部電源と第3の電極330とを電気的に接続することができる。
図16は、第3の電極の電気接続のさらに他の具体例を例示する断面模式図である。
なお、図16は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
本具体例の第1および第2のケース210、220は、図16に表したように、側面から外方に突出した突出部217、227をそれぞれ有する。また、突出部227には、第3の電極330の一部を電解槽100の外部に露出させる貫通孔226が形成されている。
一方、第3の電極330は、電解槽100の内部から突出部217、227へ向かって延在する接続部332を有する。
そして、貫通孔226から電解槽100の外部に露出した部分の第3の電極330には、貫通孔226を通して接続端子440が接続されている。そのため、接続端子440と、図示しない外部電源からの電線と、を接続することにより、外部電源と第3の電極330とを電気的に接続することができる。
ここで、第2のケース220と第3の電極330との間であって、貫通孔226の周囲には、例えば「Oリング」などのシール部材410が介在している。そのため、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が、貫通孔226を通して電解槽100の外部に漏れることを防止することができる。これによれば、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が貫通孔226を通して電解槽100の外部に漏れることを防止しつつ、外部電源と第3の電極330とを電気的に接続することができる。
図17は、第3の電極の電気接続のさらに他の具体例を例示する断面模式図である。
なお、図17は、図1に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
本具体例では、第1のケース210と、第2のケース220と、の間において、第3のケース230がさらに設けられている。また、第3の電極330は、その第3のケース230から電解槽100の外部に導出された接続部332を有する。つまり、第3の電極330の接続部332は、第3のケース230を貫通することにより電解槽100の外部に導出されている。そして、第3のケース230から電解槽100の外部に導出された接続部332と、図示しない外部電源からの電線と、を接続することにより、外部電源と第3の電極330とを電気的に接続することができる。
ここで、本具体例では、第1および第2のケース210、220とは別部材の第3のケース230が設けられているため、第3のケース230を成形する際に第3の電極330をインサート成形することができる。これによれば、第3のケース230は、第3の電極330の接続部332を支持しつつ、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が接続部332の部分から電解槽100の外部に漏れることを防止することができる。また、シール部材410を設けなくとも、接続部332の部分から漏水を防止することができるため、部品点数を削減することができ、電解槽100の組立性をより向上させることができる。
なお、接続部332における密閉構造は、これだけに限定されるわけではなく、例えば図11〜図16に関して前述した密閉構造であってもよい。これによれば、第3のケース230は、第3の電極330の接続部332を支持しつつ、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が接続部332の部分から電解槽100の外部に漏れることをより確実に防止することができる。
次に、本発明のさらに他の実施の形態にかかる電解槽について、図面を参照しつつ説明する。
図18は、本発明のさらに他の実施の形態にかかる電解槽を例示する平面模式図である。
なお、図18(a)は、本実施形態にかかる電解槽100を図1に表した矢視Cの方向にみたときの平面模式図であり、図18(b)は、本実施形態にかかる電解槽100を図1に表した矢視Dの方向にみたときの平面模式図である。
本実施形態の第1のケース210は、図18(b)に表したように、図示しない給水源から供給された水を電解槽100の内部に流入させる流入口211と、第1の電極310の一部を電解槽100の外部に露出させる貫通孔216(第1の貫通孔)と、を有する。流入口211は、第1のケース210の下部に設けられている。また、貫通孔216は、第1のケース210の中央部の近傍に設けられている。なお、図18(b)に表した電解槽100では、流入口211を通して第2のケース220が見えた状態を表しており、貫通孔216を通して第1の電極310が露出した状態を表している。
一方、本実施形態の第2のケース220は、図18(a)に表したように、電解槽100の内部に流入した水を外部に流出させる流出口221と、第2の電極320の一部を電解槽100の外部に露出させる貫通孔226(第2の貫通孔)と、を有する。流出口221は、第2のケース220の上部に設けられている。また、貫通孔226は、第2のケース220の中央部の近傍に設けられている。なお、図18(a)に表した電解槽100では、流出口221を通して第1のケース210が見えた状態を表しており、貫通孔226を通して第2の電極320が露出した状態を表している。
図19は、本実施形態の第1および第2のケースの内側を例示する平面模式図である。 なお、図19(a)は、本実施形態の第2のケースの内側を図1に表した矢視Dの方向にみたときの平面模式図である。また、図19(b)は、第1のケース210の下端部を軸として図1に表した矢印Eの方向に回動させた状態において、第1のケース210の内側を矢視Dの方向にみたときの平面模式図である。そのため、図19(b)に表した第1のケース210では、上下方向が反転し、流入口211が上部に位置している。
第1のケース210は、図19(b)に表したように、電解槽100が組み立てられた状態において第2のケース220へ向かって内面から立設された複数の突起部218a〜218g(第1の突起部)を有する。より具体的には、第1のケース210は、長手方向の一端部に突起部218a、218bを有し、長手方向の他端部に突起部218cを有する。また、第1のケース210は、中央部の近傍に突起部218d、218e、218f、218gを有する。この突起部218d、218e、218f、218gは、図19(a)に表したシール部材410、すなわち第2ケース220と第2の電極320との間に介在するシール部材410に対向する部分の第2の電極320と当接する位置に設けられている。
一方、第2のケース220は、図19(a)に表したように、電解槽100が組み立てられた状態において第1のケース210へ向かって内面から立設された複数の突起部228a〜228g(第2の突起部)を有する。より具体的には、第2のケース210は、長手方向の一端部に突起部228a、228bを有し、長手方向の他端部に突起部228cを有する。また、第2のケース220は、中央部の近傍に突起部228d、228e、228f、228gを有する。この突起部228d、228e、228f、228gは、図19(b)に表したシール部材410、すなわち第1ケース210と第1の電極310との間に介在するシール部材410に対向する部分の第1の電極310と当接する位置に設けられている。
電解槽100が組み立てられた状態においては、第1のケース210に設けられた突起部218cは、第2のケース220に設けられた突起部228aと突起部228bとの間の部分の第2の電極320と当接する。一方、電解槽100が組み立てられた状態においては、第2のケース220に設けられた突起部228cは、第1のケース210に設けられた突起部218aと突起部218bとの間の部分の第1の電極310と当接する。
また、第1の電極310には、複数の突起部218a〜218gが貫通可能な電極孔311(図2参照)が、複数の突起部218a〜218gにそれぞれ対応する位置において設けられている。一方、第2の電極320には、複数の突起部228a〜228gが貫通可能な電極孔321(図6参照)が、複数の突起部228a〜228gにそれぞれ対応する位置において設けられている。
そして、第1の電極310は、図19(b)に表したように、突起部218a〜218gが電極孔311を貫通した状態において第1のケース210に支持されている。一方、第2の電極320は、図19(a)に表したように、突起部228a〜228gが電極孔311を貫通した状態において第1のケース210に支持されている。
図20および図21は、本実施形態にかかる電解槽の内部構造を表す断面模式図である。
なお、図20は、図18に表した切断面F−Fにおける断面模式図である。
また、図21は、図18に表した切断面G−Gにおける断面模式図である。
第1の電極310は、図20に表したように、第2のケース220に設けられた突起部228f、228gと当接しつつ第1のケース210に支持されている。つまり、第1の電極310は、第2のケース220に設けられた突起部228f、228gから第1のケース210の内面へ押し付けられている。これは、図20には表していない突起部228d、228eについても同様であり、第1の電極310は、第2のケース220に設けられた突起部228d、228eから第1のケース210の内面へ押し付けられている。
一方、第2の電極320は、図20に表したように、第1のケース210に設けられた突起部218f、218gと当接しつつ第2のケース220に支持されている。つまり、第2の電極310は、第1のケース210に設けられた突起部218f、218gから第2のケース220の内面へ押し付けられている。また、第2の電極320は、図21に表したように、第1のケース210に設けられた突起部218d、218fから第2のケース220の内面へ押し付けられている。これは、図20および図21には表していない突起部218eについても同様であり、第2の電極320は、第1のケース210に設けられた突起部218eから第2のケース220の内面へ押し付けられている。
その結果、突起部218d〜218gおよび突起部228d〜228gは、スペーサとしての機能を有し、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の間隔を所定の距離に確保している。そのため、電気分解に寄与する第1および第2の電極310、320の有効面積をより効果的に確保することができる。これによれば、次亜塩素酸などの生成効率をより向上させることができる。
また、スペーサとしての機能を有する突起部218d〜218gは、第1のケース210に一体的に設けられ、一方で、スペーサとしての機能を有する突起部228d〜228gは、第2のケース220に一体的に設けられている。これによれば、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の間隔を所定の距離に確保するための別部材を必要としないため、部品点数を削減することができ、電解槽100の組立性をより向上させることができる。
また、突起部218d〜218gのそれぞれは、シール部材410が位置する部分の第2の電極320をシール部材410の側へ押し付けている。つまり、突起部218d〜218gのそれぞれは、シール部材410に対向する部分の第2の電極320をシール部材410の側へ押し付けている。
一方、突起部228d〜228gのそれぞれは、シール部材410が位置する部分の第1の電極310をシール部材410の側へ押し付けている。つまり、突起部228d〜228gのそれぞれは、シール部材410に対向する部分の第1の電極310をシール部材410の側へ押し付けている。
これによれば、シール部材410には押圧力がより効果的に作用する。そのため、シール部材410は、より効果的に変形し、流入口211から電解槽100の内部に導かれた水が貫通孔216、226を通して電解槽100の外部に漏れることをより確実に防止することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1のケース210に設けられた突起部213は、スペーサとしての機能を有し、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の間隔を所定の距離に確保している。あるいは、第1のケース210に設けられた突起部213、および第2のケース220に設けられた突起部223は、スペーサとしての機能を有し、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の間隔を所定の距離に確保している。そのため、電気分解に寄与する第1および第2の電極310、320の有効面積をより効果的に確保することができる。これによれば、次亜塩素酸などの生成効率をより向上させることができる。
また、スペーサとしての機能を有する突起部213は、第1のケース210に一体的に設けられ、スペーサとしての機能を有する突起部223は、第2のケース220に一体的に設けられている。これによれば、第1の電極310と、第2の電極320と、の間の間隔を所定の距離に確保するための別部材を必要としないため、部品点数を削減することができ、電解槽100の組立性をより向上させることができる。
さらに、電気分解に寄与する第1および第2の電極310、320の有効面積をより効果的に確保することができるため、第1および第2の電極310、320を小型化することができる。その結果、電解槽100を小型化することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、第1および第2のケース210、220などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや突起部213、223の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、本実施形態にかかる電解槽100は、洋式腰掛便器に腰掛けた使用者の「おしり」などを水で洗浄する衛生洗浄装置や、大便器および小便器の洗浄装置や、アルカリイオン生成器や、銀イオン生成器などに利用される。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。