本発明の請求項1記載の双方向スイッチの駆動装置は、ブリッジ回路に配置して単相あるいは三相インバータを構成する双方向スイッチと、前記双方向スイッチを駆動する駆動装置とを備え、前記双方向スイッチは、チャネルを有する半導体層積層体と、前記半導体層積層体の上に互いに間隔をおいて形成した第1のオーミック電極及び第2のオーミック電極と、前記第1のオーミック電極と前記第2のオーミック電極との間に前記第1のオーミック電極側から順に形成した第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層と、前記第1のp型半導体層の上に形成した第1のゲート電極と、前記第2のp型半導体層の上に形成した第2のゲート電極とを備えた基板と、前記第1のオーミック電極に接続したドレイン端子と、前記第2のオーミック電極に接続したソース端子と、前記第1のゲート電極に接続した第一ゲート端子と、前記第2のゲート電極に接続した第二ゲート端子とで構成し、かつ、前記第一ゲート端子とドレイン端子間のみにゲート駆動信号を入力すると、前記ドレイン端子から前記ソース端子間に向けてオン状態の双方向デバイスと逆方向ダイオードが直列接続された半導体として動作する第一モードと、前記第二ゲート端子と前記ソース端子間のみにゲート駆動信号を入力すると、前記ドレイン端子から前記ソース端子間に向けて順方向ダイオードとオン状態の双方向デバイスが直列接続された半導体として動作する第二モードと、前記第一ゲート端子とドレイン端子間および前記第二ゲート端子と前記ソース端子間にゲート駆動信号を入力して前記ドレイン端子から前記ソース端子間に順方向ダイオードおよび逆方向ダイオードのいずれも介さない双方向に導通する動作する第三モードと、前記第一ゲート端子とドレイン端子間および前記第二ゲート端子と前記ソース端子間のいずれにもゲート駆動信号を加えないで順逆双方向の電流を遮断する第四モードとを有し、前記駆動装置は、ブリッジ回路に配置してある上下に直列接続された二つの前記双方向スイッチのうち第1の双方向スイッチに順方向電流を流している状態から、切り替えによって前記順方向電流を遮断し、前記単相あるいは三相インバータの負荷電流を還流電流として第2の双方向スイッチに流す場合において、第2の双方向スイッチを前記第三モードで通電させるようにこの第2の双方向スイッチの第一ゲート端子、および第二ゲート端子の状態のみを第1の双方向スイッチの駆動状態に同期させる同期制御手段を備え、第2の双方向スイッチに順方向電流を流している状態から、切り替えによって前期順方向電流を遮断し、前記単相あるいは三相インバータの負荷電流を還流電流として第1の双方向スイッチに流す場合は、前記第1の双方向スイッチの第一ゲート端子、および第二ゲート端子の状態は第2の双方向スイッチの駆動状態に同期させないという構成にして、前記同期制御手段は、前記単相あるいは三相インバータにおいて、接続された誘導負荷から流れる還流電流を第2の双方向スイッチに流す場合に前記第三モードで通電するように前記第一ゲート端子、および第二ゲート端子に制御信号を送り、第2の双方向スイッチを駆動させるので、第2の双方向スイッチには、還流ダイオードを並列接続する必要がなく、還流ダイオードのVfによる損失を無くすることができ、低損失な電力変換回路を実現することを可能とした双方向スイッチの駆動装置を提供することができる。
また、請求項2記載の双方向スイッチの駆動装置は、駆動装置は、第2の双方向スイッチを第四モードから第三モードへ移行させて通電する場合に、第1の双方向スイッチと第2の双方向スイッチを切り替える所定のステップを実行するシーケンスを有する。これにより、インバータの出力側に誘導性の負荷が接続された場合に、直列に接続された双方向スイッチが同時に同通して上下アーム短絡となる状態を防止するとともに、還流電流の経路を意図的に確保することができるので、素子の破壊等を防止することができる。
また、請求項3記載の双方向スイッチの駆動装置は、第1の双方向スイッチと第2の双方向スイッチを第三モードに切り替える場合に第1の双方向スイッチを第三モードに切り替えるステップと第2の双方向スイッチを第三モードに切り替えるステップを備え、第1の双方向スイッチと第2の双方向スイッチの各ステップは同時に第三モードとならないように制御するシーケンスを有するこれにより、これにより、インバータの出力側に誘導性の負荷が接続された場合に、直列に接続された双方向スイッチが同時に同通して上下アーム短絡となる状態を防止することができるので、素子の破壊等を防止することができる。
また、請求項4記載の双方向スイッチの駆動装置は、同期制御手段は、第2の双方向スイッチを第四モードから第三モードへ移行させて通電する場合に、第2の双方向スイッチを第一モードに経由させるステップを有する。これにより、インバータの出力側に誘導性の負荷が接続された場合に、直列に接続された双方向スイッチが同時に同通して上下アーム短絡となる状態を防止するとともに、還流電流の経路を意図的に確保することができるので、素子の破壊等を防止することができる。
また、請求項5記載の双方向スイッチの駆動装置は、同期制御手段は、第1の双方向スイッチが第四モードに切り替わった後に、第2の双方向スイッチを第三モードへ切り替えるシーケンスを有する。これにより、単相または三相インバータにおいて、第1の双方向スイッチが第三モードで順方向電流を流している状態から、第一の双方向スイッチを遮断して第2の双方向スイッチに還流電流を流す場合に、第1の双方向スイッチを第四モードに切り替えて順方向電流の遮断を行い、その後、第2の双方向スイッチを第三モードへ切り替えるので、上下アームが短絡することなく還流電流の経路を確保することができるので、素子の破壊等なくインバータのスムーズな動作ができる。
また請求項6記載の双方向スイッチの駆動装置は、駆動装置に信号発信手段を備え、ブリッジ回路に配置してある上下に直列接続された二つの双方向スイッチの第2の双方向スイッチの状態を第1の双方向スイッチの駆動状態に同期させて切り替える場合に、第1の双方向スイッチの第一ゲート端子、および第二ゲート端子の駆動信号は信号発信手段から入力されるものである。これにより、通常三相インバータの場合は双方向スイッチが6素子必要であることからインバータを駆動させるためには12ゲート分の信号が必要になる。そして、その内の第1の双方向スイッチの駆動信号は6信号であり、その6信号分を信号発信手段から入力できるので、簡単な回路構成で、かつ高機能の信号発信手段は必要なく安価で低損失なインバータ回路を得ることができる。
また、請求項7記載の双方向スイッチの駆動装置は、信号発信手段は、第1の双方向スイッチを第一モードあるいは第二モードを意図的に経由しないものである。これにより、順方向電流を流す場合に第二モードを経由した際の順方向ダイオードの状態によるダイオードのVfによる損失を回避することができ、かつ第一ゲート端子、第二ゲート端子の駆動信号は、微少なタイミングをずらす必要がなく同じ信号を入力することができるため、複雑な信号を生成する必要がなく簡単な構成のゲート回路を得ることができる。
また、請求項8記載の双方向スイッチの駆動装置は、同期制御手段は、第2の双方向スイッチを第四モードから第三モードへ移行させて通電する場合に、第1の双方向スイッチおよび第2の双方向スイッチを第一モードへ経由させるステップを有する。これにより、
インバータの出力側に誘導性の負荷が接続された場合に、直列に接続された双方向スイッチが同時に同通して上下アーム短絡となる状態を防止するとともに、還流電流の経路を意図的に確保することができるので、素子の破壊等を防止することができる。
また、請求項9記載の双方向スイッチの駆動装置は、駆動装置は、第1の双方向スイッチと第2の双方向スイッチが第一モードに切り替える場合に第1の双方向スイッチを第一モードに切り替えるステップと第2の双方向スイッチを第一モードに切り替えるステップを備え、第2の双方向スイッチを第1の双方向スイッチよりも先に切り替えるシーケンスを有する。これにより、単相または三相インバータにおいて、第1の双方向スイッチが第三モードで順方向電流を流している状態から、第1の双方向スイッチを遮断して第二の双方向スイッチに還流電流を流す場合に、第2の双方向スイッチを先に第一モードとすることで、還流電流を流す経路が確保され、その後第1の双方向スイッチを第一モードにして第1の双方向スイッチに流れる順方向電流を遮断することとなるので、上下アームが短絡することなく単相または三相インバータの負荷電流を連続して流すことができる。
また、請求項10記載の双方向スイッチの駆動装置は、同期制御手段は、第1の双方向スイッチが第一モードに切り替わった後に、第2の双方向スイッチを第三モードへ切り替えるシーケンスを有する。これにより、単相または三相インバータにおいて、第1の双方向スイッチが第三モードで順方向電流を流している状態から、第1の双方向スイッチを遮断して第2の双方向スイッチに還流電流を流す場合に、第1の双方向スイッチを第一モードに切り替えて順方向電流の遮断を行い、その後、第2の双方向スイッチを第三モードへ切り替えるので、上下アームが短絡することなく還流電流の経路を確保することができるので、素子の破壊等なくインバータのスムーズな動作ができる。
また、請求項11記載の双方向スイッチの駆動装置は、駆動装置は、ブリッジ回路に配置してある上下に直列接続された二つの双方向スイッチの第2の双方向スイッチの状態を同期制御手段が第1の双方向スイッチの駆動状態に同期させて双方向スイッチを切り替える場合に、第1の双方向スイッチの第一ゲート端子は常時オン状態にするものであるこれにより、第1の双方向スイッチは、第2の双方向スイッチに順方向電流を流している状態から、切り替えによって還流電流を流す場合、第1の双方向スイッチが第一モードになっていることから順方向電流を遮断するとともに還流の経路を確保することができているので、第1の双方向スイッチに還流ダイオードを並列接続する必要がなくインバータ駆動ができる。
また、請求項12記載の双方向スイッチの駆動装置は、第1、第2の双方向スイッチを切り替えるステップを所定の時間間隔で行う遅延手段を設けたことを特徴とするものである。これにより、ターンオン、オフ時の過渡期おける意図しないスイッチング動作の組合せを避けることができるので、過渡期における上下アーム短絡の防止をすることができ、素子の破壊等を防止することができる。
また、請求項13記載の双方向スイッチの駆動装置は、遅延手段にて設定する遅延時間は、遅延手段にて設定する遅延時間は、少なくとも双方向スイッチのモード間の移行時間よりも長い時間であることを特徴とするものである。これにより、単相または三相インバータを構成する双方向スイッチの個体差による応答時間の影響を排除して、過渡期における意図しないスイッチング動作の組合せを防止することができるので、上下アーム短絡を防止することができる。
また、請求項14記載の双方向スイッチの駆動装置は、電力変換装置は、同期制御手段を用いた双方向スイッチの駆動回路を使用したものである。これにより、同期制御手段によって損失が低減されるので、変換効率が良く、省エネ効果もある電力変換装置を得ることができる。
また、請求項15記載の双方向スイッチの駆動装置は、モータ駆動装置は、同期制御手段を用いた双方向スイッチの駆動回路を使用したものである。これにより、同期制御手段によって損失が低減されるので、変換効率が良く、省エネ効果もあるモータ駆動装置を得ることができる。
また、請求項16記載の双方向スイッチの駆動装置は、空気調和機は、同期制御手段を用いた双方向スイッチの駆動回路を使用したものである。これにより、同期制御手段によって損失が低減されるので、変換効率が良く、省エネ効果もある空気調和機を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
双方向スイッチ1について、図1を参照しながら構成について説明する。図1に示すように、双方向スイッチ1は、第一ゲート端子2と第二ゲート端子3とドレイン端子4とソース端子5により構成されている。双方向スイッチ1は、シリコン(Si)からなる基板6の上に厚さが10nm窒化アルミニウム(AlN)と厚さが10nmの窒化ガリウム(GaN)とが交互に積層されてなる厚さが1μmのバッファ層7が形成され、その上に半導体層積層体8が形成されている。半導体層積層体8は、第1の半導体層とこの第1の半導体層と比べてバンドギャップが大きい第2の半導体層とが基板側から順次積層されている。第1の半導体層は、厚さが2μmのGaN(アンドープの窒化ガリウム)層9であり、第2の半導体層は、厚さが20nmのn型のAlGaN(窒化アルミニウムガリウム)層10である。GaN層9のAlGaN層10とのヘテロ界面近傍には、自発分極及びピエゾ分極による電荷が生じる。これにより、シートキャリア濃度が1×1013cm―2以上で且つ移動度が1000cm2V/sec以上の2次元電子ガス(2DEG)層であるチャネル領域が生成されている。つまり、半導体層積層体8は、2次元電子ガス(2DEG)層であるチャネル領域を有し、基板の上に形成されている。半導体層積層体8の上には、互いに間隔をおいて第1のオーミック電極11Aと第2のオーミック電極11Bとが形成されている。第1のオーミック電極11A及び第2のオーミック電極11Bは、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)とが積層されており、チャネル領域とオーミック接合を形成している。また、コンタクト抵抗を低減するために、AlGaN層10の一部を除去すると共にGaN層9を40nm程度掘り下げて、第1のオーミック電極11A及び第2のオーミック電極11BがAlGaN層10とGaN層9との界面に接するように形成した例を示している。なお、第1のオーミック電極11A及び第2のオーミック電極11Bは、AlGaN層10の上に形成してもよい。n型のAlGaN層10の上における第1のオーミック電極11Aと第2のオーミック電極11Bとの間の領域には、第1のp型半導体層12A及び第2のp型半導体層12Bが互いに間隔をおいて選択的に形成されている。第1のp型半導体層12Aの上には第1のゲート電極13Aが形成され、第2のp型半導体層12Bの上には第2のゲート電極13Bが形成されている。第1のゲート電極13A及び第2のゲート電極13Bは、それぞれパラジウム(Pd)と金(Au)とが積層されており、第1のp型半導体層12A及び第2のp型半導体層12Bとオーミック接触している。AlGaN層10及び第1のp型半導体層12A及び第2のp型半導体層12Bを覆うように窒化シリコン(SiN)からなる保護膜14が形成されている。保護膜14を形成することで、いわゆる電流コラプスの原因となる欠陥を保障し、電流コラプスを改善することが可能となる。第1のp型半導体層12A及び第2のp型半導体層12Bは、それぞれ厚さが300nmで、マグネシウム(Mg)がドープされたp型のGaNからなる。第1のp型半導体層12A及び第2のp型半導体層12Bと、AlGaN層10とによりPN接合がそれぞれ形成される。これにより、第1のオーミック電極11Aと第1のゲート電極13Aとの間の電圧が例えば0Vでは、第1のp型GaN層からチャネル領域中に空乏層が広がるため、チャネルに流れる電流を遮断することができ、同様に、第2のオーミック電極11Bと第2のゲート電極13Bとの間の電圧が例えば0V以下のときには、第2のp型GaN層からチャネル領域中に空乏層が広がるため、チャネルに流れる電流を遮断することができ、いわゆるノーマリーオフ動作をする半導体素子を実現している。第1のオーミック電極11Aの電位をV1、第1のゲート電極13Aの電位をV2、第2のゲート電極13Bの電位をV3、第2のオーミック電極11Bの電位をV4とする。この場合において、V2がV1より1.5V以上高ければ、第1のp型半導体層12Aからチャネル領域中に広がる空乏層が縮小するため、チャネル領域に電流を流すことができる。同様にV3がV4より1.5V以上高ければ、第2のp型半導体層12Bからチャネル領域中に広がる空乏層が縮小し、チャネル領域に電流を流すことができる。つまり、第1のゲート電極13Aのいわゆる閾値電圧及び第2のゲート電極13Bのいわゆる閾値電圧は共に1.5Vである。以下においては、第1のゲート電極13Aの下側においてチャネル領域中に広がる空乏層が縮小し、チャネル領域に電流を流すことができるようになる第1のゲート電極13Aの閾値電圧を第1の閾値電圧とし、第2のゲート電極13Bの下側においてチャネル領域中に広がる空乏層が縮小し、チャネル領域に電流を流すことができるようになる第2のゲート電極13Bの閾値電圧を第2の閾値電圧とする。また、第1のp型半導体層12Aと第2のp型半導体層12Bとの間の距離は、第1のオーミック電極11A及び第2のオーミック電極11Bに印加される最大電圧に耐えられるように構成する。
つまり、双方向スイッチ1は、チャネル領域を有する半導体層積層体8と、この半導体層積層体8の上に互いに間隔をおいて形成した第1のオーミック電極11A及び第2のオーミック電極11Bと、第1のオーミック電極11Aと前記第2のオーミック電極11Bとの間に前記第1のオーミック電極11A側から順に形成した第1のp型半導体層12A及び第2のp型半導体層12Bと、第1のp型半導体層12Aの上に形成した第1のゲート電極13Aと、第2のp型半導体層12Bの上に形成した第2のゲート電極13Bとを備えた基板と、前記第1のオーミック電極11Aに接続したドレイン端子4と、前記第2のオーミック電極11Bに接続したソース端子5と、前記第1のゲート電極13Aに接続した第一ゲート端子2と、前記第2のゲート電極13Bに接続した第二ゲート端子3とで構成される。
次に、双方向スイッチ1の動作について説明する。説明のため、第1のオーミック電極11Aの電位を0Vとし、第一ゲート端子2に印加する電圧をVg1、第二ゲート端子3に印加する電圧をVg2、第2のオーミック電極11Bと第1のオーミック電極11Aとの間の電圧をVs2s1、第2のオーミック電極11Bと第1のオーミック電極11Aとの間に流れる電流をIs2s1とする。
V4がV1よりも高い場合、例えば、V4が+100Vで、V1が0Vの場合において、第一ゲート端子2と第二ゲート端子3の入力電圧であるVg1及びVg2をそれぞれ第1の閾値電圧及び第2の閾値電圧以下の電圧、例えば0Vとする。これにより、第1のp型半導体層12Aから広がる空乏層が、チャネル領域中を第2のp型GaN層の方向へ向けて広がるため、チャネルに流れる電流を遮断することができる。従って、V4が正の高電圧であっても、第2のオーミック電極11Bから第1のオーミック電極11Aへ流れる電流を遮断する遮断状態を実現できる。一方、V4がV1よりも低い場合、例えばV4が−100Vで、V1が0Vの場合においても、第2のp型半導体層12Bから広がる空乏層が、チャネル領域中を第1のp型半導体層12Aの方向へ向けて広がり、チャネルに流れる電流を遮断することができる。このため、第2のオーミック電極11Bに負の高電圧が印加されている場合においても、第1のオーミック電極11Aから第2のオーミック電極11Bへ流れる電流を遮断することができる。すなわち、双方向スイッチ1の双方向の電流を遮断することが可能となる。
以上のような構造及び動作において、耐圧を確保するためのチャネル領域を第1のゲート電極13Aと第2のゲート電極13Bとが共有する。この素子は、1素子分のチャネル領域の面積で双方向スイッチ1が実現可能であり、双方向スイッチ1全体を考えると、2つのダイオードと2つのノーマリーオフ型のAlGaN/GaN−HFETとを用いた場合と比べてチップ面積をより少なくすることができ、双方向スイッチ1の低コスト化及び小型化が可能となる。
次に、第一ゲート端子2、第二ゲート端子3の入力電圧であるVg1及びVg2が、それぞれ第1の閾値電圧及び第2の閾値電圧よりも高い電圧、例えば5Vの場合には、第1のゲート電極13A及び第2のゲート電極13Bに印加される電圧は、共に閾値電圧よりも高くなる。従って、第1のp型半導体層12A及び第2のp型半導体層12Bからチャネル領域に空乏層が広がらないため、チャネル領域は第1のゲート電極13Aの下側においても、第2のゲート電極13Bの下側においてもピンチオフされない。その結果、第1のオーミック電極11Aと第2のオーミック電極11Bとの間に双方向に電流が流れる導通状態を実現できる。
次に、Vg1を第1の閾値電圧よりも高い電圧とし、Vg2を第2の閾値電圧以下とした場合の動作について説明する。第一ゲート端子2、第二ゲート端子3を備えた双方向スイッチ1を等価回路で表すと図2(a)に示すように第1のトランジスタ15と第2のトランジスタ16とが直列に接続された回路とみなすことができる。この場合、第1のトランジスタ15のソース(S)が第1のオーミック電極11A、第1のトランジスタ15のゲート(G)が第1のゲート電極13Aに対応し、第2のトランジスタ16のソース(S)が第2のオーミック電極11B、第2のトランジスタ16のゲート(G)が第2のゲート電極13Bに対応する。このような回路において、例えば、Vg1を5V、Vg2を0Vとした場合、Vg2が0Vであるということは第2のトランジスタ16のゲートとソースが短絡されている状態と等しいため、双方向スイッチ1は図2(b)に示すような回路とみなすことができる。
さらに、図2(b)に示す第2のトランジスタ16のソース(S)をA端子、ドレイン(D)をB端子、ゲート(G)をC端子として説明を行う。図に示すB端子の電位がA端子の電位よりも高い場合には、A端子がソースでB端子がドレインであるトランジスタとみなすことができ、このような場合、C端子(ゲート)とA端子(ソース)との間の電圧は0Vであり、閾値電圧以下のため、B端子(ドレイン)からA端子(ソース)に電流は流れない。一方、A端子の電位がB端子の電位よりも高い場合には、B端子がソースでA端子がドレインのトランジスタとみなすことができる。このような場合、C端子(ゲート)とA端子(ドレイン)との電位が同じであるため、A端子の電位がB端子を基準として閾値電圧以下の場合にはA端子(ドレイン)からB端子(ソース)へ電流を通電しない。A端子の電位がB端子を基準として閾値電圧以上となると、ゲートにB端子(ソース)を基準として閾値電圧以上の電圧が印加され、A端子(ドレイン)からB端子(ソース)へ電流を流すことができる。つまり、トランジスタのゲートとソースとを短絡させた場合、ドレインがカソードでソースがアノードのダイオードとして機能し、その順方向立上り電圧はトランジスタの閾値電圧となる。そのため、図2(a)に示す第2のトランジスタ16の部分は、ダイオードとみなすことができ、図2(c)に示すような等価回路となる。図2(c)に示す等価回路において、双方向スイッチ1のドレイン端子4の電位がソース端子5の電位よりも高い場合、第1のトランジスタ15の第一ゲート端子2に5Vが印加されている場合には、第1のトランジスタ15はオン状態であり、S2からS1へ電流を流すことが可能となる。ただし、ダイオードの順方向立上り電圧によるオン電圧が発生する。また、双方向スイッチ1のS1の電位がS2の電位よりも高い場合、その電圧は第2のトランジスタ16からなるダイオードが担い、双方向スイッチ1のS1からS2へ流れる電流を阻止する。つまり、第一ゲート端子2に閾値電圧以上の電圧を与え、第二ゲート端子3に閾値電圧以下の電圧を与えることにより、いわゆる双方向素子をオンした状態とドレイン側にダイオードのカソード側を直列接続した動作が可能なスイッチが実現できる。
図3は、双方向スイッチ1のVs2s1とIs2s1との関係であり、図3(a)は、Vg1とVg2とを同時に変化させた場合を示し、図3(b)はVg2を第2の閾値電圧以下の0Vとし、Vg1を変化させた場合を示し、図3(c)はVg1を第1の閾値電圧以下の0VとしてVg2を変化させた場合を示している。なお、図3において横軸であるS2−S1間電圧(Vs2s1)は、第1のオーミック電極11Aを基準とした電圧であり、縦軸であるS2−S1間電流(Is2s1)は第2のオーミック電極11Bから第1のオーミック電極11Aへ流れる電流を正としている。図3(a)に示すように、Vg1及びVg2が0Vの場合及び1Vの場合には、Vs2s1が正の場合にも負の場合にもIs2s1は流れず、双方向スイッチ1は遮断状態となる。また、Vg1とVg2とが共に閾値電圧よりも高くなると、Vs2s1に応じてIs2s1が双方向に流れる導通状態となる。一方、図3(b)に示すように、Vg2を第2の閾値電圧以下の0Vとし、Vg1を第1の閾値電圧以下の0Vとした場合には、Is2s1は双方向に遮断される。しかし、Vg1を第1の閾値電圧以上の2V〜5Vとした場合には、Vs2s1が1.5V未満の場合にはIs2s1が流れないが、Vs2s1が1.5V以上になるとIs2s1が流れる。つまり、第2のオーミック電極11Bから第1のオーミック電極11Aにのみに電流が流れ、第1のオーミック電極11Aから第2のオーミック電極11Bには電流が流れない逆阻止状態となる。また、Vg1を0Vとし、Vg2を変化させた場合には図3(c)に示すように、第1のオーミック電極11Aから第2のオーミック電極11Bにのみに電流が流れ、第2のオーミック電極11Bから第1のオーミック電極11Aには電流が流れない逆阻止状態となる。
以上より、双方向スイッチ1は、そのゲートバイアス条件により、双方向の電流を遮断・通電する機能を有すると共に、ダイオード動作も可能であり、そのダイオードの電流が通電する方向も切り換えることができる。
以上、説明したように双方向スイッチ1の第一ゲート端子2と第二ゲート端子3のオンあるいはオフ条件に応じて、図4示す4つの動作モードで動作することができる。つまり、双方向スイッチ1は、前記第一ゲート端子2とドレイン端子4間のみにゲート駆動信号を入力する(簡略化して言うと、第一ゲート端子2のみをオンする)と、前記ドレイン端子4から前記ソース端子5間に向けてオン状態の双方向デバイスと逆方向ダイオードが直列接続された半導体として動作する第一モードと、前記第二ゲート端子3と前記ソース端子5間のみにゲート駆動信号を入力する(簡略化して言うと、第二ゲート端子3のみをオンする)と、前記ドレイン端子4から前記ソース端子5間に向けて順方向ダイオードとオン状態の双方向デバイスが直列接続された半導体として動作する第二モードと、前記第一ゲート端子2とドレイン端子4間および前記第二ゲート端子3と前記ソース端子5間にゲート駆動信号を入力(簡略化して言うと、第一ゲート端子2および前記第二ゲート端子3をオンする信号を入力)して前記ドレイン端子4から前記ソース端子5間に順方向ダイオードおよび逆方向ダイオードのいずれも介さない双方向に導通する動作する第三モードと、前記第一ゲート端子2とドレイン端子4間および前記第二ゲート端子3と前記ソース端子5間のいずれにもゲート駆動信号を加えないで(簡略化して言うと、第一ゲート端子2および前記第二ゲート端子3をオフして)順逆双方向の電流を遮断する第四モードとを有するものである。
本構造はJFETに類似しているが、キャリア注入を意図的に行うという点で、ゲート電界によりチャネル領域内のキャリア変調を行うJFETとは全く異なった動作原理により動作する。具体的には、ゲート電圧が3VまではJFETとして動作するが、pn接合のビルトインポテンシャルを超える3V以上のゲート電圧が印加された場合には、ゲートに正孔が注入され、前述したメカニズムにより電流が増加し、大電流且つ低オン抵抗の動作が可能となる。
また、双方向スイッチ1は、第1のゲート電極13Aがp型の導電性を有する第1のp型半導体層12Aの上に形成され、第2のゲート電極13Bがp型の導電性を有する第2のp型半導体層12Bの上に形成されている。このため、第1の半導体層と第2の半導体層との界面領域に生成されるチャネル領域に対して、第1のゲート電極13A及び第2のゲート電極13Bから順方向のバイアスを印加することにより、チャネル領域内に正孔を注入することができる。窒化物半導体においては正孔の移動度は、電子の移動度よりもはるかに低いため、チャネル領域に注入された正孔は電流を流す担体としてほとんど寄与しない。このため、第1のゲート電極13A及び第2のゲート電極13Bから注入された正孔は同量の電子をチャネル領域内に発生させるので、チャネル領域内に電子を発生させる効果が高くなり、ドナーイオンのような機能を発揮する。つまり、チャネル領域内においてキャリア濃度の変調を行うことが可能となるため、動作電流が大きいノーマリーオフ型の窒化物半導体層双方向スイッチを実現することが可能となる。
次に双方向スイッチ1を使用した電力変換装置としてインバータ装置である三相用のインバータ装置17について、図5を参照しながら説明する。図5に示すように、三相用のインバータ装置17は、双方向スイッチ1を二個直列に接続して構成した三つのハーフブリッジ回路18a、18b、18cと、双方向スイッチ1の第一ゲート端子2a〜2f、第二ゲート端子3a〜3fを駆動する駆動装置20とを備えている。
三つのハーフブリッジ回路18a、18b、18cは、対称の構成を有するので、一つのハーフブリッジ回路18aについて詳細に説明をする。
上記において、ハーフブリッジ回路18aは、双方向スイッチ1を二個直列に接続した構成であることを説明したが、一方上側に配置した双方向スイッチ1aを上アームとし、他方の下側に配置した双方向スイッチ1bを下アームとしている。そして、双方向スイッチ1aは、第一ゲート端子2aと第二ゲート端子3aを有する。また、双方向スイッチ1bは、第一ゲート端子2bと第二ゲート端子3bを有する。
同様に、ハーフブリッジ回路18bは、双方向スイッチ1cを上アームに配置し、双方向スイッチ1dを下アームに配置する。双方向スイッチ1cは、第一ゲート端子2cと第二ゲート端子3cを有する。また、双方向スイッチ1dは、第一ゲート端子2dと第二ゲート端子3dを有する。
さらに、同様にハーフブリッジ回路18cは、双方向スイッチ1eを上アームに配置し、双方向スイッチ1fを下アームに配置する。双方向スイッチ1eは、第一ゲート端子2eと第二ゲート端子3eを有する。また、双方向スイッチ1fは、第一ゲート端子2fと第二ゲート端子3fを有する。
そして、三相用のインバータ装置17の出力としてハーフブリッジ回路18a、18b、18cの中間接続点には、例えばブラシレスDCモータが誘導負荷19aとして接続されている。ここでは、三相用のインバータ装置としたが、ハーフブリッジ回路を二対備えた構成として、単相負荷を接続してもよい。
また、駆動装置20は図6に示すように、インバータ装置17の三相交流出力を生成する上下各アームの駆動信号を発信する信号発信手段であるマイクロコンピュータ21と、このマイクロコンピュータ21の信号を受けて双方向スイッチ1a、1c、1eを駆動させる上アームゲート駆動回路22と、双方向スイッチ1b、1d、1fを駆動させる下アームゲート駆動回路23と、所定のステップを有し、双方向スイッチ1a、1c、1eを駆動させる信号に同期させて双方向スイッチ1b、1d、1fを駆動させる信号を生成する同期制御手段19と、この同期制御手段19とマイクロコンピュータ21から発信した双方向スイッチ1b、1d、1fを駆動させる信号と論理和をとるOR回路24と、双方向スイッチ1a〜1fを駆動させる信号を遅延させる遅延手段19dを備えたものである。このOR回路24は、双方向スイッチ1b、1d、1f側の下アームゲート駆動回路23に接続されるものである。
つまり、駆動装置20は、上アームをPWM制御するもので、この駆動信号はマイクロコンピュータ21から遅延手段19dを通して上アームゲート駆動回路22に入力する構成とする。
なお、双方向スイッチ1a〜1fの変調パターンは、各端子共にPWM制御を行なう方法や、下アームである双方向スイッチ1b、1d、1fを出力の電気角120度毎に常時オンとし、上アームである双方向スイッチ1a、1c、1eのみPWM制御を行なう方法などがある。これらは一般的に行われているものであるので詳細な説明は簡略化する。つまり本発明の前提は、一般に行われるもののうち上アームまたは下アームのどちらか一方のみをPWM制御して誘導負荷19aへ印加する電圧を調整するものである。そして、この場合はPWM制御を行った一方のアームに直列に接続した他方のアームのみ還流電流を流す頻度が高くなるものである。
そこで、本実施の形態では、この点に着目して、上アームをPWM制御して、このタイミングに同期させて下アームへ流す還流電流を制御させるものである。
さて、前記同期制御手段19は、図9に示す三相インバータに接続された誘導負荷19aに流れる還流電流を第三モードで双方向スイッチ1bへ流すものである。すなわち、上アームに配置した双方向スイッチ1aをPWM制御して順方向電流を遮断したときに、前記負荷からの還流電流が流れるタイミングに応じて、双方向スイッチ1bを第四モードから第一モードを経由させて第三モードで通電するものである。そして、このときマイクロコンピュータ21から発信される信号と遅延手段19dを通過した後の双方向スイッチ1a駆動する信号に同期させて、かつ図4に示した4つの動作モードに対応させて、前記第一ゲート端子2b、および第二ゲート端子3bを駆動させるものである。
つまり、上アームである双方向スイッチ1a、1c、1eにマイクロコンピュータ21からの駆動信号により順方向電流を流して、切り替えによって下アームである双方向スイッチ1b、1d、1fを前記同期制御手段19によって駆動させ、双方向スイッチ1b、1d、1fを第三モードで通電状態にして還流電流を流す構成にする。この場合は、上アームにはマイクロコンピュータ21から遅延手段19dを通過した駆動信号を入力している。下アームに順方向電流を流している状態から切り替えによって上アームに還流電流を流す場合は、すでに述べたようにPWM制御を行わないで上アームには還流ダイオードを並列接続させて還流電流の経路を確保すれば良い。つまり、駆動装置20は、同期制御手段19によって、第1の双方向スイッチに順方向電流を流している状態から、切り替えによって前記順方向電流を遮断し、前記単相あるいは三相インバータの負荷電流を還流電流として第2の双方向スイッチに流す場合において、前記第2の双方向スイッチを第三モードで通電させるようにこの第2の双方向スイッチの第一ゲート端子、および第二ゲート端子を第1の双方向スイッチの駆動状態に同期させるものである。また、第2の双方向スイッチに順方向電流を流している状態から、切り替えによって前期順方向電流を遮断し、前記単相あるいは三相インバータの負荷電流を還流電流として第1の双方向スイッチに流す場合は、前記第1の双方向スイッチの第一ゲート端子、および第二ゲート端子の状態は第2の双方向スイッチの駆動状態に同期させずに駆動するものである。
ここでインバータの双方向スイッチ1a〜1fを120度通電で同期制御手段19を備えた場合についてのタイミングチャートを図7に示す。ここで、双方向スイッチ1a〜1fの第一ゲート端子2a〜2f、第二ゲート端子3a〜3fの駆動信号は、それぞれゲート駆動信号2ag〜2fg、ゲート駆動信号3ag〜3fgとする。例えば、双方向スイッチ1aがスイッチング動作を行い、誘導負荷19aに順方向電流を流し込むタイミング31では、図8に示すように双方向スイッチ1aをPWM駆動し、双方向スイッチ1dを導通状態にして負荷に電流を流している。この場合、双方向スイッチ1aを導通状態と遮断状態の間を行き来させることになる。双方向スイッチ1aを遮断状態にすると誘導負荷19aに還流電流を流す流路を確保することが必要である。この場合双方向スイッチ1aは遮断された状態で、双方向スイッチ1bに逆方向の電流を流すことになる。すなわち図9に示すように誘導負荷19aに流し込む電流は、双方向スイッチ1bを通して、還流電流を流すこととなる。このときの本実施の形態のように双方向スイッチ1を使用した場合、前記双方向スイッチ1bのモードを制御することでこの還流電流を流しても損失を少なくすることができる。
つまり、還流電流は通常スイッチング素子に逆並列に接続されたダイオードを通して流すために損失となるが双方向スイッチ1bを第三モードに切り替えることで、還流電流は双方向スイッチ1bを逆方向に流すことができ、逆並列ダイオードを不要にし損失を少なくすることができる。しかし、双方向スイッチ1bは、双方向スイッチ1aの動作に同期させて切り替えなければ、上アームと下アームの上下短絡が発生したり、双方向スイッチ1aと双方向スイッチ1bのスイッチング動作のばらつきにより不用意に負荷電流を遮断してしまったり、モード変化の際に過渡的に発生する第一モードや第二モードで発生するダイオードに電流を流してしまい損失の増加を招くことがある。
そこで、本実施の形態のように同期制御手段19を備え、所定のシーケンスに基づき双方向スイッチ1aと双方向スイッチ1bを切り替えることが重要である。以下その切り替えのシーケンスを説明する。
図10は、図7で示したインバータ装置17におけるハーフブリッジ回路18aの上下に直列接続された二つの双方向スイッチ1a、1bの同期動作について説明するためのオン・オフテーブルである。
以下、このオン・オフテーブルを参照して出力した場合の電力変換装置としてのインバータ装置17について、図8を参照しながら説明する。図8では、双方向スイッチ1a〜1fにてインバータ装置17の主回路を構成している。駆動装置20は、双方向スイッチ1a〜1fのそれぞれ第一ゲート端子2a〜2f、第二ゲート端子3a〜3fに対して、図7のような12個の制御信号を駆動装置20から出力することで、図10のオン・オフテーブルを参照した4つのモードを遷移する。
すなわち、図10の組合せ(1)は、上アームがスイッチング動作を行い、例えば、ハーフブリッジ回路18aから負荷に電流を流し込むタイミング31において、双方向スイッチ1aは第三モードの双方向に通電している状態で、双方向スイッチ1bは第四モードの双方向に遮断の状態であり、インバータ装置17に流れる電流はすでに説明したように、図8のような流路になり、順方向電流が双方向スイッチ1aを介して誘導負荷19aに流れ、双方向スイッチ1dを通って電源へ帰還する回路が形成されている。次にタイミング31において双方向スイッチ1aがオフし第四モードの双方向に遮断の状態で双方向スイッチ1bがオンし第三モードの双方向に通電している状態となると、インバータ装置17に流れる電流は図9のような流路になり、還流電流が双方向スイッチ1bの第三モードを介して負荷に流れている状態に切り替わる。
このように図7のタイミング31においてインバータ装置17に流れる電流の流路を双方向スイッチ1aから双方向スイッチ1bに切り替える場合に、図10のオン・オフテーブルにおいて、組合せ(1)、組合せ(2)、組合せ(3)、組合せ(4)の順番に駆動させることによって、上下アームの短絡がなく貫通電流が流れず、かつ負荷に流れる電流が不連続になることなく素子、回路等の破壊を防止し、損失が少ない双方向スイッチ1a、1bの駆動をすることができる。
そこで、駆動装置20は、第四モードにある第2の双方向スイッチの第一ゲート端子、および第二ゲート端子の状態を第三モードにある第1の双方向スイッチの駆動状態に同期させる同期制御手段19を備えている。この同期制御手段19には、すでに図10を用いて説明した組合せ(1)から(4)の4つのステップとこれらを順番に実行させるシーケンスが備えられている。
つまり、前記4つのステップを順番に遷移させることで、第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)に順方向電流を流している状態から、切り替えによって前記順方向電流を遮断し、前記単相あるいは三相インバータの負荷電流を還流電流として第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)に流す場合において、前記第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を第三モードで通電させるようにこの第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)の第一ゲート端子(2b)、および第二ゲート端子(3b)の状態を第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)の駆動状態に同期させる駆動を行うものである。一方、第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)に順方向電流を流している状態から、切り替えによって前記順方向電流を遮断し、前記単相あるいは三相インバータの負荷電流を還流電流として第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)に流す場合は、前記第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)の第一ゲート端子(2a)、および第二ゲート端子(3a)の状態は第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)の駆動状態に同期させずに駆動するものである。
また、第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)と第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を第三モードに切り替える場合にマイクロコンピュータ21が第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)を第三モードに切り替え(ステップ組合せ(3))てから同期制御手段19が第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を第三モードに切り替えるステップ(組合せ(4))を備え、つまり駆動装置20は、第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)と第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)が同時に第三モードとならないように制御するシーケンスを備えたものである。
また、駆動装置20は、第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を第四モードから第三モードへ移行させて通電する場合に、第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)と第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を切り替える所定のステップを実行するシーケンスを有するもので以下のステップおよびシーケンスを含むものである。
つまり、組合せ(1)から組合せ(2)、組合せ(3)を経由して組合せ(4)へ移行させるステップは、同期制御手段19の作用により、第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を第四モードから第三モードへ移行させて通電する場合に、第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を第一モードへ経由させるステップ(組合せ(2))である。
また、同期制御手段19は、組合せ(3)、(4)を順番に実行することで、第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)が第四モードに切り替わった後に、第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を第三モードへ切り替えるものである。
また、同期制御手段19は、ブリッジ回路に配置してある上下に直列接続された二つの双方向スイッチの第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)の状態を第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)の駆動状態に同期させて第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を切り替える場合に、第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)の第一ゲート端子(2a)、および第二ゲート端子(3a)の駆動信号はマイクロコンピュータ21から遅延手段19dを通して入力されるものである。
また、マイクロコンピュータ21は第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)を第一モードあるいは第二モードを意図的に経由しないように切り替えるステップ(組合せ(3))を備えたものである。
つまり、双方向スイッチ1aの第一ゲート端子2aおよび第二ゲート端子3aには、同じタイミングでオン、オフする信号が入力されることになり微小なタイミングのずれを作成することはできない。また、図7において双方向スイッチ1bに順方向電流を流している状態から切り替えによって、双方向スイッチ1aに還流電流を流すタイミング32では、双方向スイッチ1bの駆動状態に同期して双方向スイッチ1aを駆動させることはしないため、双方向スイッチ1aに並列に還流ダイオードを接続して還流電流が流れる経路を確保する必要がある。
さらに、同期制御手段19は、前記第1の双方向スイッチ、第2の双方向スイッチを切り替えるステップを所定の時間間隔で行う遅延手段19dを設けたものであり、この遅延手段19dにて設定する所定の時間間隔は、双方向スイッチ素子の応答時間よりも長い時間としたものである。
以下同期制御手段19の作用による動作について図8、9、10、11を用いて説明する。
まず、図10の組合せ(1)では、前記第1の双方向スイッチとしての双方向スイッチ1aは、第三モードの双方向に通電する状態で、前記第2の双方向スイッチとしての双方向スイッチ1bは、第四モードの双方向に遮断の状態である。つまり双方向スイッチ1aと双方向スイッチ1bのゲート駆動信号は、図11の組み合わせ(1)に示すものである。すなわち、第一ゲート端子2aと第二ゲート端子3aは共にON、第一ゲート端子2bと第二ゲート端子3bは共にOFFとしている。この組合せ(1)の状態では、意図する電流の通流方向は、双方向スイッチ1aのドレイン端子4からソース端子5への方向であり、双方向スイッチ1bが遮断状態にあるので、電流の流路は図8のような双方向スイッチ1aを通ってインバータ装置17の誘導負荷19aに流れ込み、双方向スイッチ1dを通って電源へ帰還する回路が形成されている状態である。
次に組合せ(2)に移行させると、双方向スイッチ1aは、第三モードの双方向に通電する状態で、双方向スイッチ1bは、第一モードの双方向デバイスと逆方向ダイオードが直列接続された状態であるので、電流の方向は組合せ(1)の場合と同じで電流の流路は図8のままである。つまり双方向スイッチ1aと双方向スイッチ1bのゲート駆動信号は、図11の組み合わせ(2)に示すものである。すなわち、上アームの第一ゲート端子2aと第二ゲート端子3aと下アームの第一ゲート端子2bはON、第二ゲート端子3bはOFFとしている。しかし、この組合せ(2)の状態をあらかじめ作ることによって、図7のタイミング31で双方向スイッチ1aがもし順方向に遮断された状態(たとえば組合せ(3)、(4))となっても双方向スイッチ1bのソース端子5からドレイン端子4の方向へ逆方向ダイオードを介して還流電流を流すための経路を確保でき、誘導負荷19aに供給する電流が不連続とならないように制御できる。つまり、双方向スイッチ1bのモード推移が双方向スイッチ1a遮断へのモード推移に対して遅れると電流が不連続となる。これを避けるために組合せ(2)を実施する。また、双方向スイッチに逆方向ダイオードがあることから上下アームの短絡状態を避けることができるためこの組合せ(2)の状態は必須である。
またもし、この組合せを意図的に経由せずに組合せ(1)から組合せ(4)に移行させようとすると、各ゲート回路や応答性のばらつき等によりスイッチングのタイミングにズレが生じ、同時に4ゲートが切り替わることはないため、例えば組合せ(1)の状態から一番初めに双方向スイッチ1bの第二ゲート端子3bがオンしてしまうタイミング発生すると上下短絡を起こし、貫通電流が流れ素子等の破壊に至る。また、組合せ(1)の状態から一番初めに双方向スイッチ1aの第二ゲート端子3aがオフするタイミングが少しでも発生すると順方向電流、還流電流共に遮断されてしまうため負荷に電流を流し込めなくなり、誘導負荷19aのインダクタンスのエネルギーの逃げ場がなくなってサージ電圧が発生し、素子や周辺回路等の破壊に至る。このような事を避けるためにも組合せ(1)の次には組合せ(2)を意図的に作る必要がある。
また、次に組合せ(3)に移行すると、双方向スイッチ1aは、第四モードの双方向に遮断の状態で、双方向スイッチ1bは第一モードの双方向デバイスと逆方向ダイオードが直列接続された状態であるため双方向スイッチ1bのドレイン端子4からソース端子5の方向への電流は遮断され、双方向スイッチ1bのソース端子5からドレイン端子4の方向へ逆方向ダイオードを介して還流電流が流れる状態となる。つまり双方向スイッチ1aと双方向スイッチ1bのゲート駆動信号は、図11の組み合わせ(3)に示すものである。すなわち、上アームの第一ゲート端子2a、第二ゲート端子3aは共にOFF、下アームの第一ゲート端子2bはONで第二ゲート端子3bはOFFとしている。この組合せ(3)の状態は、電流の流路は図9のようなインバータ装置17の誘導負荷19aに、双方向スイッチ1bの第一モードを経由して還流電流が流れる状態である。この状態だと逆方向ダイオードを介して電流が流れるため第三モードで電流を流すよりも損失が多くなってしまうが、上下短絡を防止し素子の破壊等なくスイッチングを行うためには、組合せ(3)の状態を経由させることが必要である。また、組合せ(2)の状態から組合せ(3)の状態に切り替えることによって双方向スイッチ1aを第三モードから第四モードに直接移行させることができる。組合せ(2)において、双方向スイッチ1bが第一モードになっていることによって、双方向スイッチ1aを第一モードおよび第二モードを経由せず第四モードで遮断しても双方向スイッチ1bが第一モードになっていることから還流電流の経路が確保されているので誘導負荷19aに流れる電流が不連続になることなく素子の破壊等なく切り替えができる。
もし、この組合せを意図的に作らず組合せ(2)から組合せ(4)に移行させようとすると、各ゲート回路や応答性のばらつき等によりスイッチングのタイミングにズレが生じ、同時に4ゲートが切り替わることがないため、例えば組合せ(2)の状態から一番初めに双方向スイッチ1bの第二ゲート端子3bがオンしてしまうタイミングが少しでも発生すると上下短絡を起こし、貫通電流が流れ素子等の破壊に至る。
また、双方向スイッチ1aの第一ゲート端子2a、第二ゲート端子3aには、すでに説明したようにマイクロコンピュータ21から遅延手段19dを通して駆動信号が入力されているが、同時にOFFさせる信号を入力しても上アームゲート駆動回路22や双方向スイッチ1の応答性のバラつきにより同時に2つのゲートが切り替わることはないため、例えば、第一ゲート端子2aが第二ゲート端子3aよりも先にOFFしてしまうと、双方向スイッチ1aが第二モードで動作することになり、電流は順方向に流れているが順方向ダイオードを介して電流が負荷に流れることになるためダイオードでの損失が発生した状態となる。しかし、双方向スイッチ1aの駆動信号をマイクロコンピュータ21から遅延手段のみを通して入力できることから高機能なマイクロコンピュータや複雑な回路構成を用いる必要がなく安価な構成で本実施の形態のゲート駆動装置を実現することができる。また、第二ゲート端子3aが第一ゲート端子2aよりも先にOFFさせることで、双方向スイッチ1aに流れている順方向電流を遮断してすることができ、このときすでに双方向スイッチ1bに還流電流を流せる状態とすることができるので、双方向スイッチ1aの順方向ダイオードによる損失は発生しないことになり、より低損失な状態を実現できる組合せ(3)の状態に切り替えることができる。なお、意図的に第一ゲート端子2aを第二ゲート端子3aよりも意図的に遅らせて切り替える場合は、ゲート回路の定数を調整して実現することもできる。このような、上下アーム短絡を防止し、低損失でゲート駆動するためには組合せ(2)の次には組合せ(3)を意図的に作る必要がある。
また、次に組合せ(4)に移行すると、双方向スイッチ1aは、第四モードの双方向に遮断の状態で、双方向スイッチ1bは、第三モードの双方向に通電する状態であるので、双方向スイッチ1bのソース端子5からドレイン端子4の方向へ還流電流が流れる状態である。つまり双方向スイッチ1aと双方向スイッチ1bのゲート駆動信号は、図11の組み合わせ(4)に示すものである。すなわち、上アームの第一ゲート端子2aと第二ゲート端子3aはOFF、下アームの第一ゲート端子2bと第二ゲート端子3bはONとしている。この組合せ(4)の状態では、電流の流路は図9のような前記インバータ装置17の誘導負荷19aに、双方向スイッチ1bの第三モードで還流電流が流れる状態であるので、組合せ(3)の状態よりも損失が少ない状態で通流することができる。そして、組合せ(3)、組合せ(4)の順番で双方向スイッチ1a、1bを駆動させることにより、双方向スイッチ1aが第四モードに切り替わってから双方向スイッチ1bを第三モードに切り替えるので、上下アーム短絡を発生させることなく還流電流を双方向スイッチ1bに流すことができ、素子破壊等を防ぐことができる。
以上のように、駆動装置20のシーケンスによって、組合せ(1)、組合せ(2)、組合せ(3)、組合せ(4)、の順番に双方向スイッチ1a、1bを動作させることによって、上下のアームが同時に第三モードとならないように制御し、上アームより順方向電流を負荷に供給している状態から、下アームより還流電流を流して負荷に電流を供給する状態へ移行するときに、上下アーム短絡することなく、また負荷へ供給される電流が不連続になることなく損失が少なくスムーズに移行することができる。また逆の動作、すなわち下アームより還流電流を負荷に供給している状態から、上アームより順方向電流を負荷に供給する状態へ移行する双方向スイッチ1a、1bの動作の組合せは、組合せ(4)、組合せ(3)、組合せ(2)、組合せ(1)の順番で、上アームより順方向電流を負荷に供給する状態から下アームより還流電流を負荷に供給している状態に移行する組合せの逆の動作をすることになる。逆の動作もこの組合せの順番で動作させると上下アーム短絡することなく、また負荷へ供給される電流が不連続になることなく、損失が少なくスムーズに移行することができる。
つまり、上アームのゲート駆動信号をマイクロコンピュータ21から遅延手段19dを通して駆動装置20へ入力し、同期制御手段19を備えて下アームを駆動させることによって低損失で効率が良く、上アームのゲート駆動回路に関しては高機能なマイクロコンピュータや複雑な回路構成等が必要なく簡単で安価な構成の前記インバータ装置17を得ることができる。また、タイミング32において双方向スイッチ1bに順方向電流を流し、切り替えによって還流電流を流す場合は、双方向スイッチ1aの駆動信号がマイクロコンピュータ21から遅延手段19dのみを通して入力されていることから双方向スイッチ1aは、双方向スイッチ1bの状態に同期して駆動することはしない、双方向スイッチ1aは並列に還流ダイオードを接続し還流電流の流れるための経路を確保する必要がある。しかし、このタイミング32では双方向スイッチ1bは常時オンであることから、還流電流が流れる区間としては、タイミング31に流れる場合と比較すると微小であり、この場合において還流電流を双方向スイッチ1aに並列接続されたダイオードに流したとしてもそれほど損失は発生せず、効率にも影響は少ない。上アームに還流ダイオードを接続したとしても、先述したようにゲート駆動回路を簡単な構成とできるので、全体的には、安価な構成のインバータ装置17を得ることができる。
ここで、通常の単方向素子の場合だと、還流電流は素子と並列接続された、例えば還流ダイオードを通って電流が流れるため、図7のタイミング32では、下アームには何も信号は出力されておらず常にOFF状態である。しかし、本実施の形態の双方向スイッチ1a〜1fでインバータが構成される場合は、前記同期制御手段19を備えることによって、双方向スイッチ1bは、還流電流を第三モードの双方向に通電できる状態で流すことができるので、還流電流による損失を低減することができ、変換効率の良いインバータ装置17を得ることができる双方向スイッチ1a〜1fの駆動装置を提供できる。
また、前記同期制御手段19では、双方向スイッチ1bは、第四モードから第三モードに移行する際に、第一モードを介して移行し、第三モードから第四モードに移行する際も第一モードに移行して上下のアーム短絡を防止し、還流電流の経路を確保する形を取っている。
また、前記駆動装置20は、上下に配した双方向スイッチが同時に第三モードとならないように同期制御手段19の作用により、組合せ(1)から(4)を用意して、それぞれのステップを順番に実行するシーケンスを備え、さらに遅延手段19dにより、先述の前記同期制御手段19の各組合せが移行するステップ間に所定の時間間隔を設けることによって簡単な回路構成で組合せが移行している過渡期において意図しないスイッチング動作を防止することができる。つまり、前記同期制御手段19は上下アーム短絡なく低損失な状態で動作させることができる。例えば、双方向スイッチのスイッチング動作が極端に早い場合を想定すると、ONからOFFまたはOFFからONに切り替わる時にリンギングが発生し電圧が跳ね上がるといった現象が起こる。このような現象が発生すると過電圧によって素子破壊が発生したり、スイッチングを行うことでノイズ発生の原因となってしまうためこのような現象を避けるために意図的にスイッチングスピードを遅らせる場合がある。そのような場合では、たとえ同期制御手段19から図11のような波形を双方向スイッチに出力したとしても回路等のばらつきによって、実際のスイッチングスピードに遅れが生じてしまい双方向スイッチが意図しない動作をしてしまう。そして上下アーム短絡や電流不連続が発生してしまうタイミングが生じてしまう恐れがある。その防止策として、遅延手段19dを設けて図10のような組合せの順番で上下の双方向スイッチが動作するようにする必要がある。
また、前記同期制御手段19において遅延手段19dにて設定する遅延時間は、少なくとも双方向スイッチの第三モードへの移行時間あるいは第三モードから他のモードへの移行時間よりも長い時間と設定しており、例えば第三モードに移行する時間が100nsとすると先述の各組合せの移行する間に設けたデットタイムを少なくとも100ns以上と設定することにより、過渡期における意図しないスイッチング動作を防止することができる。
また、前記同期制御手段19を用いた本実施の形態に記載の双方向スイッチのゲート駆動装置を使用することによって、電力変換損失の少ない高効率な例えばインバータのような電力変換器を得ることができ、消費電力の少なくても同じ出力ができる電力変換装置を得ることができる。
また、前記同期制御手段19を用いた本実施の形態に記載の双方向スイッチの駆動装置を使用することによって、例えば電力変換損失の少ない高効率なインバータ回路が搭載されることになり、消費電力が少なく省エネ効果のあるモータ駆動装置を得ることができる。
また、前記同期制御手段19を用いた本実施の形態に記載の双方向スイッチの駆動装置を使用することによって、電力変換損失の少ない高効率なインバータ回路の搭載された空気調和機として、消費電力が少なく省エネ効果のある例えばレンジフードのようなものを得ることができる。
なお、ここまではタイミング31について説明したが、他の上アーム(双方向スイッチ1c、1e)がPWM制御している区間であっても同様である。さらに、今回は第1の双方向スイッチを上アーム、第2の双方向スイッチを下アームとして、下アームの駆動状態は、上アームに順方向電流を流している場合の駆動状態に同期させて駆動させ還流電流を第三モードで流す構成にしていたが、第2の双方向スイッチを上アーム、第1の双方向スイッチを下アームとし、上アームの駆動状態を下アームに順方向電流を流している場合の駆動状態に同期させて駆動させ第三モードで還流を流す構成にしてもよい。その場合は、下アームをPWM制御する構成として、この下アームにマイクロコンピュータ21から直接信号が入力されており、上アームの駆動状態に同期させて駆動させることはできない。
(実施の形態2)
以下、実施の形態2について、図12、13を参照しながら双方向スイッチ1の同期制御手段19について説明する。
なお、実施の形態1と同一機能を有するものは、同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態2は、図12に示すように、双方向スイッチ1を使用した電力変換装置としてインバータ装置25は、双方向スイッチ1a、1c、1eを上アーム、双方向スイッチ1b、1d、1fを下アームとした場合に、上アームの第一ゲート端子2a、2c、2eを常時オンさせるような回路構成とする。このような構成とした場合、同期制御手段19は、12ゲートの内、上アームの第一ゲート端子2a、2c、2eが常時オンであることから9ゲートをPWM変調させるようにすればよい。さらに上アームの第二ゲート端子を駆動させる信号としては単方向素子を電気角120度でPWM制御を行なう方法等を用いればよい。この場合は、上アームである双方向スイッチ1a、1c、1eの第二ゲート端子のみに駆動信号を入力して順方向電流を流して、切り替えによって下アームである双方向スイッチ1b、1d、1fを前記同期制御手段19によって駆動させ、双方向スイッチ1b、1d、1fを第三モードで通電状態にして還流電流を流す構成にする。ここで、上アームの第一ゲート端子2a、2c、2eは常時オンとしているので、下アームに順方向電流を流している状態から切り替えによって上アームに還流電流を流す場合は、上アームは前記同期制御手段19によって駆動させることができないが、第一ゲート端子が常時オンであるため、駆動信号はなくても上アームは常に第一モードになり、上アームには第一モードを通して還流電流が流れる経路が確保されていることになるので、還流ダイオードを並列接続させる必要がなく、本実施の形態の構成にすることによって還流ダイオードは必要なくなる。
つまり、同期制御手段19は、ハーフブリッジ回路に配置してある上下に直列接続された二つの双方向スイッチの第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)の状態を第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)の駆動状態に同期させて双方向スイッチを切り替える場合に、第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)の第一ゲート端子(2a)は常時オン状態にするものである。
ここでインバータの双方向スイッチ1a〜1fを120度通電で同期制御手段19を備えた場合についてのタイミングチャートを図13に示す。図13は実施の形態1で説明した図7のタイミングチャートについて上アームの双方向スイッチ1a、1c、1eの第一ゲート端子2a、2c、2eを常時オンとしたものである。そこで、本実施の形態のように同期制御手段19を備え、所定のシーケンスに基づき双方向スイッチ1aと双方向スイッチ1bを切り替えることが重要である。以下その切り替えのシーケンスを説明する。
図14は、図13で示したインバータ装置25におけるハーフブリッジ回路18aの上下に直列接続された二つの双方向スイッチ1a、1bの同期動作について説明するためのオン・オフテーブルである。
以下、このオン・オフテーブルを参照して出力した場合の電力変換装置としてのインバータ装置25について、図15を参照しながら説明する。図15では、双方向スイッチ1a〜1fにて主回路を構成している。双方向スイッチ1a〜1fは、それぞれ第一ゲート端子2a〜2f、第二ゲート端子3a〜3fに対して、図13のような9個の同期制御信号を駆動装置20から出力することで、図14のオン・オフテーブルを参照した4つのモードを遷移する。
すなわち、図14の組合せ(1)は、上アームがスイッチング動作を行い、例えば、ハーフブリッジ回路18aから負荷に電流を流し込むタイミング33において、双方向スイッチ1aは第三モードの双方向に通電している状態で、双方向スイッチ1bは第四モードの双方向に遮断の状態であり、電流の流路は、図15のような流路になり、順方向電流が双方向スイッチ1aを介して誘導負荷19aに流れ、双方向スイッチ1dを通って電源へ帰還する回路が形成されている。次にタイミング33において双方向スイッチ1aの第二ゲート端子3bがオフし第一モードの双方向デバイスと逆方向ダイオードが直列接続された状態で双方向スイッチ1bがオンし第三モードの双方向に通電している状態となると、インバータ装置25に流れる電流は図16のような流路になり、還流電流が双方向スイッチ1bの第三モードを介して負荷に流れている状態に切り替わる。
このように図14のタイミング33においてインバータ装置25に流れる電流の流路を双方向スイッチ1aから双方向スイッチ1bに切り替える場合に、図14のオン・オフテーブルにおいて、組合せ(1)、組合せ(2)、組合せ(3)、組合せ(4)の順番に駆動させることによって、上下アームの短絡がなく貫通電流が流れず、かつ負荷に流れる電流が不連続になることなく素子、回路等の破壊を防止し、損失が少ない双方向スイッチ1a、1bの駆動をすることができる。
そこで、駆動装置20は、第四モードにある第2の双方向スイッチの第一ゲート端子、および第二ゲート端子の状態を第三モードにある第1の双方向スイッチの駆動状態に同期させる同期制御手段19を備えている。この同期制御手段19には、すでに図14を用いて説明した組合せ(1)から(4)の4つのステップとこれらを順番に実行させるシーケンスが備えられている。
つまり、前記4つのステップを順番に遷移させることで、同期制御手段19は、第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を第四モードから第三モードへ移行させて通電する場合に、第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)および第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を第一モードへ経由させるステップ(組合せ(2))(組合せ(3))を有するものである。
また、同期制御手段は、組合せ(2)、組合せ(3)の順番で移行すると第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)と第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)が第一モードに切り替える場合に第1の双方向スイッチを第一モードに切り替えるステップ(組合せ2)と第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を第一モードに切り替えるステップ(組合せ3)を備え、第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)よりも先に切り替えるシーケンスを有するものである。
つまり、双方向スイッチ1aを駆動させる信号は、実施の形態1ですでに説明したように遅延手段19dを通して入力されているので、元の遅延する前の信号に同期して双方向スイッチ1bを駆動させ第一モードに切り替えるものである。その後に遅延した信号により双方向スイッチ1aが駆動し、第一モードに切り替わるものである。
また、同期制御手段は、組合せ(3)から組合せ(4)の順番に移行するシーケンスは第1の双方向スイッチ(双方向スイッチ1a)が第一モードに切り替わった後に、第2の双方向スイッチ(双方向スイッチ1b)を第三モードへ切り替えるものである。
以下同期制御手段19の作用による動作について図14、15、16、17を用いて説明する。
まず、図14の組合せ(1)では、前記第1の双方向スイッチとしての双方向スイッチ1aは、第三モードの双方向に通電する状態で、前記第2の双方向スイッチとしての双方向スイッチ1bは、第四モードの双方向に遮断の状態である。つまり双方向スイッチ1aと双方向スイッチ1bのゲート駆動信号は、図17の組み合わせ(1)に示すものである。すなわち、第一ゲート端子2aと第二ゲート端子3aは共にON、第一ゲート端子2b、第二ゲート端子3bは共にOFFとしている。この組合せ(1)の状態では、意図する電流の通流方向は、双方向スイッチ1aのドレイン端子4からソース端子5への方向であり、双方向スイッチ1bが遮断状態にあるので、電流の流路は図15のような双方向スイッチ1aを通ってインバータ装置25の誘導負荷19aに流れ込み、双方向スイッチ1dを通って電源へ帰還する回路が形成されている状態である。これは図17の組み合わせ(1)に示す状態でもある。
次に組合せ(2)に移行させると、双方向スイッチ1aは、第三モードの双方向に通電する状態で、双方向スイッチ1bは、第一モードの双方向デバイスと逆方向ダイオードが直列接続された状態であるので、電流の方向は組合せ(1)の場合と同じで電流の流路は図15のままである。しかし、双方向スイッチ1aと双方向スイッチ1bのゲート駆動信号は、図17の組み合わせ(2)に示すものである。すなわち、上アームの第一ゲート端子2aと第二ゲート端子3aと下アームの第一ゲート端子2bはON、第二ゲート端子3bはOFFとしている。しかし、この組合せ(2)の状態をあらかじめ作ることによって、図13のタイミング33で双方向スイッチ1aがもし順方向に遮断された状態(たとえば組合せ(3)、(4))となっても双方向スイッチ1bのソース端子5からドレイン端子4の方向へ逆方向ダイオードを介して還流電流を流すための経路を確保でき、誘導負荷19aに供給する電流が不連続とならないように制御できる。つまり、双方向スイッチ1bのモード推移が双方向スイッチ1a遮断へのモード推移に対して遅れると電流が不連続となる。これを避けるために組合せ(2)を実施する。また、双方向スイッチ1に逆方向ダイオードが存在する第一モードがあることから上下アームの短絡状態を避けることができるためこの組合せ(2)の状態は必須である。
もし、この組合せを意図的に経由せずに組合せ(1)から組合せ(4)に移行させようとしても、各ゲート回路や応答性のばらつき等によりスイッチングのタイミングにズレが生じ、同時に3ゲートが切り替えることはできない。例えば組合せ(1)の状態から一番初めに双方向スイッチ1bの第二ゲート端子3bがオンしてしまうタイミング発生すると上下短絡を起こし、貫通電流が流れ素子等の破壊に至る。また、組合せ(1)の状態から一番初めに双方向スイッチ1aの第二ゲート端子3aがオフするタイミングが少しでも発生すると順方向電流、還流電流共に遮断されてしまうため負荷に電流を流し込めなくなり、誘導負荷19aのインダクタンスのエネルギーの逃げ場がなくなってサージ電圧が発生し、素子や周辺回路等の破壊に至る。このような事を避けるためにも組合せ(1)の次には組合せ(2)を意図的に作る必要がある。つまり、双方向スイッチ1bを双方向スイッチ1aよりも先に第一モードに切り替える必要がある。
また、次に組合せ(3)に移行すると、双方向スイッチ1aは、第一モードの双方向デバイスと逆方向ダイオードが直列接続された状態で、双方向スイッチ1bも第一モードの双方向デバイスと逆方向ダイオードが直列接続された状態であるため双方向スイッチ1aのドレイン端子4からソース端子5の方向への電流は遮断され、双方向スイッチ1bのソース端子5からドレイン端子4の方向へ逆方向ダイオードを介して還流電流が流れる状態となる。これは、双方向スイッチ1aと双方向スイッチ1bのゲート駆動信号は、図17の組み合わせ(3)に示すものである。すなわち、上アームの第一ゲート端子2aはON、第二ゲート端子3aはOFF、下アームの第一ゲート端子2bはONで第二ゲート端子3bはOFFとしている。この組合せ(3)の状態は、電流の流路は図16のようなインバータ装置25の誘導負荷19aに、双方向スイッチ1bの第一モードを経由して還流電流が流れる状態である。この状態は、逆方向ダイオードを介して電流が流れるため損失が第三モードで電流を流す場合よりも多くなってしまうが、上下短絡を防止し素子の破壊等なくスイッチングを行うためには、組合せ(3)の状態が一瞬でも必要である。つまり、双方向スイッチ1bを第四モードから第三モードに移行させる場合には、二つの双方向スイッチが第一モードになる状態を作る必要がある。
もし、この組合せを意図的に作らず組合せ(2)から組合せ(4)に移行させようとしても、各ゲート回路や応答性のばらつき等によりスイッチングのタイミングにズレが生じ、同時に3ゲートが切り替えることがない。例えば組合せ(2)の状態から一番初めに双方向スイッチ1bの第二ゲート端子3bがオンしてしまうタイミングが少しでも発生すると上下短絡を起こし、貫通電流が流れ素子等の破壊に至る。また、双方向スイッチの第一ゲート端子2aがオフすると電流は順方向に流れているが順方向ダイオードを介して電流が負荷に流れることになるためダイオードでの損失が発生した状態となり、順方向電流を遮断するためには結局双方向スイッチ1aの第二ゲート端子3aをオフする必要があるため、無駄な損失が発生してしまうことになる。このような、上下アーム短絡を防止し、低損失でゲート駆動するためには組合せ(2)の次には組合せ(3)を意図的に作る必要がある。
また、次に組合せ(4)に移行すると、双方向スイッチ1aは、第一モードの双方向デバイスと逆方向ダイオードが直列接続された状態で、双方向スイッチ1bは、第三モードの双方向に通電する状態であるので、双方向スイッチ1bのソース端子5からドレイン端子4の方向へ還流電流が流れる状態である。これは、双方向スイッチ1aと双方向スイッチ1bのゲート駆動信号は、図17の組み合わせ(4)に示すものである。すなわち、上アームの第一ゲート端子2aはONで第二ゲート端子3aはOFF、下アームの第一ゲート端子2bと第二ゲート端子3bはONとしている。この組合せ(4)の状態では、電流の流路は図16のような前記インバータ装置25の誘導負荷19aに、双方向スイッチ1bの第三モードで還流電流が流れる状態であるので、組合せ(3)の状態よりも損失が少ない状態で通流することができる。そして、組合せ(3)、組合せ(4)の順番で双方向スイッチ1a、1bを駆動させることにより、双方向スイッチ1aが第一モードに切り替わってから双方向スイッチ1bを第三モードに切り替えるので、上下アーム短絡を発生させることなく還流電流を双方向スイッチ1bに第三モードで通電させることができ、素子破壊等を防ぐことができる。
ここで、双方向スイッチ1aの第一ゲート端子2aを常時オンとしていることから組合せ(4)の状態で双方向スイッチ1aを第四モードにすることはしないためので、第一ゲート端子2aを制御させるための駆動信号を必要としないことから、回路構成を簡単で安価にすることができる。インバータ装置25全体で考えると上アームの第一ゲート端子2a、2c、2eを駆動させるための3つの信号を必要としない構成により回路構成も簡単にでき、より安価なインバータ装置25を得ることができる。
以上のように、駆動装置20によって、組合せ(1)、組合せ(2)、組合せ(3)、組合せ(4)、の順番に双方向スイッチ1a、1bを動作させて、上下のアームが同時に第三モードとならないように制御し、上アームより順方向電流を負荷に供給している状態で上アームをPWM制御しても上下アーム短絡することなく、また負荷へ供給される電流が不連続になることもなく、下アームに還流電流を流して負荷に供給する状態に損失を少なくかつスムーズに移行することができる。また逆の動作、すなわち下アームより還流電流を負荷に供給している状態から、上アームより順方向電流を負荷に供給する状態へ移行する双方向スイッチ1a、1bの動作の組合せは、組合せ(4)、組合せ(3)、組合せ(2)、組合せ(1)の順番で動作させることとなる。つまり、上アームより順方向電流を負荷に供給する状態から下アームより還流電流を負荷に供給する状態に移行する組合せの逆の順番に動作させることになる。逆の動作もこの組合せの順番で動作させると上下アーム短絡することなく、また負荷へ供給される電流が不連続になることなく、損失が少なくスムーズに移行することができる。
つまり、上アームの第一ゲート端子を常時オンとし、第二ゲート端子のみをPWM制御させ、その駆動状態に同期させ下アームを駆動させる同期制御手段19を備えることによって下アームに還流電流を流す場合には低損失で効率が良く、上アームのゲート駆動回路に関しては高機能なマイクロコンピュータや複雑な回路構成等が必要なく簡単で安価な構成の前記インバータ装置25を得ることができる。
また、タイミング34において双方向スイッチ1bに順方向電流を流し、切り替えによって還流電流を流す場合は、双方向スイッチ1aは、双方向スイッチ1bの状態に同期して駆動することしないが、第一ゲート端子が常時オンであることから、双方向スイッチ1aは、常に第一モードになり、上アームには第一モードを通して還流電流が流れる経路が確保されているので、インバータ装置25には還流ダイオードは必要なくなる。また、このタイミング34は双方向スイッチ1bが常時オンであることから、還流電流が流れる区間としては、タイミング33の双方向スイッチ1bの還流電流を流す区間に比べると電流は微小であり、この場合において還流電流を双方向スイッチ1aの第一モードである逆方向ダイオードを流したとしてもそれほど損失は発生せず、効率にも影響は少ないと考えられる。
以上より、上アームの第一ゲート端子を常時オン状態とし、下アームを上アームの動作に同期させて駆動する本実施の形態の構成にすることによって、上アームのゲート駆動回路を簡単な構成とすることができ、還流電流を流す場合の損失も低減できるという安価で損失の少ない構成のインバータ装置25を得ることができる。
なお、ここまではタイミング33について説明したが、他の上アーム(双方向スイッチ1c、1e)がPWM制御している区間であっても同様である。さらに、本実施の形態は第1の双方向スイッチを上アーム、第2の双方向スイッチを下アームとして、下アームの駆動状態は、上アームの順方向電流をPWM制御する構成のインバータ装置の上アームの駆動状態に同期させて駆動させ還流電流を第三モードで流す構成にしていたが、第2の双方向スイッチを上アーム、第1の双方向スイッチを下アームとし、上アームの駆動状態は、下アームの順方向電流をPWM制御する構成のインバータ装置の下アームの駆動状態に同期させて駆動させ第三モードで還流を流す構成にしてもよい。その場合は、下アームの第一ゲート端子は常時オン状態で第二ゲート端子をPWM制御する構成であり、上アームの駆動状態に同期させて駆動させることはできない。
つまり第1の双方向スイッチは、上アームの双方向スイッチとしても下アームの双方向スイッチとしても良く、順方向電流をPWM制御している側のアームに配置した双方向スイッチを第1の双方向スイッチとして、この双方向スイッチと直列に接続した双方向スイッチを第2の双方向スイッチとするものである。