JP5439875B2 - 膜電極接合体及びその製造方法並びに固体高分子形燃料電池 - Google Patents

膜電極接合体及びその製造方法並びに固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、膜電極接合体及びその製造方法並びに固体高分子形燃料電池に関し、さらに詳しくは、高い酸化腐食耐性を示す膜電極接合体及びその製造方法並びに固体高分子形燃料電池に関するものである。
燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとを触媒を含む電極で水の電気分解の逆反応を起こさせ、熱と同時に電気を生み出す発電システムである。この発電システムは、従来の発電方式と比較して高効率で低環境負荷、低騒音などの特徴を有し、将来のクリーンなエネルギー源として注目されている。用いるイオン伝導体の種類によってタイプがいくつかあり、プロトン伝導性高分子膜を用いたものは、固体高分子形燃料電池と呼ばれる。
燃料電池の中でも固体高分子形燃料電池は、室温付近で使用可能なことから、車載用電源や家庭据置用電源などへの使用が有望視されて、近年、様々な研究開発が行われている。固体高分子形燃料電池は、膜電極接合体(Membrane and Electrolyte Assembly;以下、「MEA」ということがある)と呼ばれる高分子電解質膜の両面に一対の電極触媒層を配置させた接合体を、電極の一方に水素を含有する燃料ガスを供給し、電極の他方に酸素を含む酸化剤ガスを供給するためのガス流路を形成した一対のセパレータ板で挟持した電池である。ここで、燃料ガスを供給する電極を燃料極(アノード)、酸化剤を供給する電極を空気極(カソード)と呼んでいる。これらの電極は、白金系の貴金属などの触媒物質を担持した炭素粒子と高分子電解質を積層してなる電極触媒層と、ガス通気性と電子伝導性を兼ね備えたガス拡散層からなる。
ここで、燃料電池の耐久性を向上させるため、電極触媒層に対しては、酸化腐食耐性を高める取り組みがなされてきた。燃料電池の起動停止時においてアノード(燃料極)に微量の空気が混入し、カソード(空気極)に1.2V以上の高電位がかかる。このとき下記式A及び式Bで示す酸化反応が起こるため、電極触媒層に用いる炭素粒子がカソード(空気極)において酸化腐食してしまう。そして、電極触媒層の触媒活性や導電性が低下し、結果的に発電特性が低下するという問題がある。
C+HO→ CO+2H +2e・・・・・(A)
C+2HO→ CO +4H +4e・・・・・(B)
そこで、例えば、特許文献1及び2には、酸化腐食耐性が高い触媒担体を電極触媒層全体もしくは一部に用いることで劣化を低減する手法が開示されている(特許文献1及び2参照)。
一方、固体高分子形燃料電池の実用化に向けての課題は、出力密度や耐久性の向上などが挙げられるが、最大の課題は低コスト化である。
しかし、酸化腐食耐性が高い炭素材料に触媒物質を担持させる工程は煩雑な作業であり、コストの増加が予想され、低コスト化の課題にそぐわない。これまで、このような煩雑な工程をなくすため、例えば、触媒担体ではないが酸化腐食耐性が高い炭素材料を電極触媒層に添加する方法が考案されている。
また、例えば、特許文献3には、酸化腐食耐性が高い結晶性の炭素繊維を電極触媒層に添加した膜電極接合体が開示されている(特許文献3参照)。
しかしながら、引用文献1〜3により得られる膜電極接合体は、酸化腐食耐性が高い炭素材料比率が均一であり、燃料電池の起動停止時に空気極側の電極触媒層が比較的劣化しやすくなるため、燃料電池の耐久性を満足に向上させることができなくなってしまう。
特開2007−265916号公報 特開2007−287414号公報 特開2006−139970号公報
本発明は、起動停止時の高電位による空気極側の電極触媒層に用いる炭素粒子の酸化腐食を抑制し、電極触媒層の触媒活性や導電性の低下を抑制し、結果的に発電特性の低下を抑制できる電極触媒層を備える膜電極接合体及びその製造方法並びに固体高分子形燃料電池を提供することである。
本発明の請求項1に係る発明は、高分子電解質膜を一対の電極触媒層で持した膜電極接合体であって、前記一対の電極触媒層が高分子電解質および触媒物質を担持した粒子および触媒物質を担持していない炭素材料を備え、且つ、前記一対の電極触媒層において下記式1で示す触媒物質を担持していない炭素材料の比率が、外側である電極触媒層の表面から内側である前記高分子電解質膜に向かって減少しており、前記電極触媒層において、前記炭素材料の比率の異なる少なくとも2種の前記電極触媒層が積層されており、前記電極触媒層の厚さ方向における前記炭素材料の比率の最も高い値を前記炭素材料の比率の最も低い値で除した値が、1.2以上5.0以下の範囲内であり、前記炭素材料は、繊維径が10〜20nmのカーボンナノチューブであることを特徴とする膜電極接合体。(触媒物質を担持していない炭素材料の比率)={(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}・・・(式1)としたものである。
本発明の請求項に係る発明は、炭素材料が高結晶性の炭素材料であることを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体としたものである。
本発明の請求項に係る発明は、請求項1または2のいずれかに記載の膜電極接合体が一対のガス拡散層で持され、さらに、ガス拡散層で持された膜電極接合体が一対のセパレータで持されていることを特徴とする固体高分子形燃料電池としたものである。
本発明の請求項に係る発明は、触媒物質を担持した粒子と、高分子電解質及び触媒物質を担持していない炭素材料とを溶媒に分散させた触媒インクであって、炭素材料の比率が異なる少なくとも2種の触媒インクを形成し、ガス拡散層、転写シートおよび高分子電解質膜から選択される基材上に、炭素材料の比率が高い触媒インクから炭素材料の比率が低い触媒インクまで順に塗布するか、あるいは、炭素材料の比率が低い触媒インクから炭素材料の比率が高い触媒インクまで順に塗布して、基材上の比率が順次変化する多層構造の電極触媒層を形成し、基材がガス拡散層もしくは転写シートの場合に、基材上に形成された電極触媒層を高分子電解質膜の両面に接合し、下記式1で表される触媒物質を担持していない炭素材料の比率が外側である電極触媒層の表面から内側である高分子電解質膜に向かって減少している電極触媒層を備え、前記電極触媒層において、前記炭素材料の比率の異なる少なくとも2種の前記電極触媒層が積層されており、前記電極触媒層の厚さ方向における前記炭素材料の比率の最も高い値を前記炭素材料の比率の最も低い値で除した値が、1.2以上5.0以下の範囲内であり、前記炭素材料は、繊維径が10〜20nmのカーボンナノチューブである膜電極接合体を製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法(触媒物質を担持していない炭素材料の比率)={(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}・・・(式1)としたものである。
本発明の請求項に係る発明は、請求項に記載の膜電極接合体の製造方法により製造されることを特徴とする膜電極接合体としたものである。
発明の請求項に係る発明は、請求項に記載の膜電極接合体が一対のガス拡散層で持され、さらに、一対のガス拡散層は一対のセパレータで持されていることを特徴とする固体高分子形燃料電池としたものである。
本発明によれば、起動停止時の高電位による空気極側の電極触媒層に用いる炭素粒子の酸化腐食を抑制し、電極触媒層の触媒活性や導電性の低下を抑制し、結果的に発電特性の低下を抑制できる電極触媒層を備える膜電極接合体及びその製造方法並びに固体高分子形燃料電池を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る膜電極接合体を示す概略断面模式図である。 本発明の実施の形態に係る固体高分子形燃料電池を示す概略分解模式図である。 本発明の実施の形態に係る膜電極接合体の製造方法を示す概略説明図である。 本実施例、比較例1及び2に係る膜電極接合体の発電特性を示す図である。 本実施例と比較例1に係る膜電極接合体の酸化腐食試験において計測した炭素材料の分解電流を示す図である。 本実施例と比較例2に係る膜電極接合体の酸化腐食試験において計測した炭素材料の分解電流を示す図である。 本実施例と比較例1に係る膜電極接合体の酸化腐食試験前後の発電特性を示す図である。 本実施例と比較例2に係る膜電極接合体の酸化腐食試験前後の発電特性を示す図である。
以下に、本発明の膜電極接合体(MEA)及びその製造方法、固体高分子形燃料電池について説明する。なお、本発明は、以下に記載する各実施の形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
まず、本発明の実施の形態に係る電極触媒層を備える膜電極接合体について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12を示す概略断面模式図である。図1に示すように、本発明の実施の形態に係る膜電極接合体(MEA)12は、高分子電解質膜1の両面に電極触媒層2、3が接合され、狭持された構造を備える。本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12は、少なくとも一方の電極触媒層が、高分子電解質と触媒を担持した粒子と、高分子電解質及び触媒物質を担持していない炭素材料とを備える。本発明の実施の形態に膜電極接合体12にあっては、{(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}で示される触媒物質を担持していない炭素材料の比率が外側である電極触媒層の表面から内側である高分子電解質膜1に向かって減少していることを特徴とする。
本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12は、外側である電極触媒層の表面の比率を内側に位置する電極触媒層と比較して比率を高くし、内側である高分子電解質膜1側の電極触媒層の比率を外側に位置する電極触媒層と比較して比率を低くすることで、電極触媒層の厚さ方向における電位負荷の分布に酸化腐食耐性度を対応させた膜電極接合体としている。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る膜電極接合体は、{(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}で示される触媒物質を担持していない炭素材料の比率の異なる2層以上の層を積層してなる多層構造の電極触媒層を備えている。このとき、高分子電解質膜1に対して内側に位置する電極触媒層が高分子電解質膜1に対して外側(膜電極接合体12の表面)に位置する電極触媒層と比較して比率の低い電極触媒層2a、3aとなる。一方、外側である表面に位置する電極触媒層が内側に位置する電極触媒層と比較して比率の高い電極触媒層2b、3bとなる。
本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12は、電極触媒層の厚さ方向において比率を外側である電極触媒層の表面から内側である高分子電解質膜1に向かって変化させることにより、厚さ方向に電極触媒層の酸化腐食耐性を変化させ、電極触媒層にかかる電位負荷が大きい電極触媒層の表面側の酸化腐食耐性を強化することができる。これにより、高い酸化腐食耐性を備えた膜電極接合体12とすることができる。
また、図1に示すように、本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12のうち、{(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}で示される触媒物質を担持していない炭素材料の比率の異なる多層構造の電極触媒層を備える膜電極接合体にあっては、電極触媒層の厚さ方向における比率の最も高い値を、比率の最も低い値で除した値が、1.2以上5.0以下の範囲内であることが好ましい。比率の最も高い値を、比率の最も低い値で除した値が1.2に満たない場合にあっては、炭素材料の存在比がおおよそ均一となり、膜厚方向における電極触媒層にかかる電位負荷に対応できなくなってしまうためである。また、比率の最も高い値を、比率の最も低い値で除した値が5.0を超える場合にあっては、触媒物質を担持していない炭素材料がほとんど存在していない領域ができ、酸化腐食耐性向上が得られなくなってしまうためである。
次に、本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12を備える固体高分子形燃料電池について説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る固体高分子形燃料電池を示す概略分解模式図である。本発明の実施の形態に係る固体高分子形燃料電池は、膜電極接合体12の電極触媒層2、3と対向して空気極側ガス拡散層4及び燃料極側ガス拡散層5が配置される。これによりそれぞれ空気極(カソード)6及び燃料極(アノード)7が構成される。そしてガス流通用のガス流路8を備え、相対する主面に冷却水流通用の冷却水流路9を備えた導電性でかつ不透過性の材料よりなる1組のセパレータ10が配置される。燃料極7側のセパレータ10のガス流路8からは燃料ガスとして、例えば水素ガスが供給される。一方、空気極6側のセパレータ10のガス流路8からは、酸化剤ガスとして、例えば酸素を含むガスが供給される。そして、燃料ガスの水素と酸素ガスとを触媒の存在下で電極反応させることにより、燃料極7と空気極6の間に起電力を生じることができる。
図2に示す固体高分子形燃料電池は一組のセパレータ10に高分子電解質膜1、電極触媒層2、3、空気極側ガス拡散層4、燃料極側ガス拡散層5が狭持された、いわゆる単セル構造の固体高分子形燃料電池であるが、本発明の実施の形態にあっては、セパレータ10を介して複数のセルを積層して燃料電池とすることもできる。
本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12にあっては、高分子電解質膜1の両面に形成される電極触媒層2、3のうち、一方の電極触媒層のみが{(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}で示される触媒物質を担持していない炭素材料の比率が外側である電極触媒層の表面から内側である高分子電解質膜1に向かって減少している電極触媒層であっても構わない。このとき、本発明の実施の形態にあっては、電極触媒層は固体高分子形燃料電池の起動停止時における炭素粒子の酸化腐食が発生する空気極(カソード)6側に配置される。
次に、本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12の製造方法について説明する。
本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12の製造方法は、以下の工程により、{(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}で示される触媒物質を担持していない炭素材料の比率が外側である電極触媒層の表面から内側である高分子電解質膜1に向かって減少している電極触媒層を備える膜電極接合体12を容易に製造することができる。
まず、触媒物質を担持した粒子と、高分子電解質及び触媒物質を担持していない炭素材料とを溶媒に分散させた触媒インクであって、比率が異なる少なくとも2種の触媒インクを作製する工程。
次に、ガス拡散層、転写シート及び高分子電解質膜1から選択される基材上に、比率が高い触媒インクから比率が低い触媒インクまで順に塗布するか、あるいは、比率が低い触媒インクから比率が高い触媒インクまで順に塗布して、基材上の比率が順次変化が順次変化する多層構造の電極触媒層を形成する工程。
次に、基材がガス拡散層もしくは転写シートの場合に、基材上に形成された電極触媒層を高分子電解質膜1の両面に接合する工程。
以下に、基材としてガス拡散層もしくは転写シートを用いた場合の膜電極接合体12の製造方法について説明する。
図3(a)〜(g)は、本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12の製造方法を示す概略説明図である。膜電極接合体12の製造方法において、まず、触媒物質を担持した粒子と、高分子電解質及び触媒物質を担持していない炭素材料を溶媒に分散させた触媒インクであって、比率が異なる少なくとも2種の触媒インク2a’’、2b’’、3a’’、3b’’を作製する工程である。
より詳細には、図3(a)に示すように、触媒インクは触媒物質を担持した粒子と、高分子電解質および触媒物質を担持していない炭素材料を溶媒に分散させることにより調整される。比率が高い触媒インク2a’’、3a’’と、比率が低い触媒インク2b’’、3b’’を作製する。
次に、膜電極接合体12の製造方法において、基材上に、比率が高い触媒インクから比率が低い触媒インクまで順に使用して塗布、乾燥して、基材上の比率が順次変化する多層構造の電極触媒層を形成する工程である。
より詳細には、図3(b)及び(c)に示すように、基材22上に、比率が高い触媒インク2a’’、3a’’が塗布され、基材22上に塗膜2a’、3a’が形成される。
次に、図3(d)に示すように、必要に応じて乾燥工程が設けられ塗膜中の溶媒は除去され、基材22上に比率が高い電極触媒層2a、3aが形成される。次に、比率が高い電極触媒層2a、3a上に、比率が低い触媒インク2b’’、3b’’が塗布される。
次に、図3(e)に示すように、比率が高い電極触媒層2a、3a上に塗膜2b’、3b’が形成される。
次に、図3(f)に示すように、乾燥工程により塗膜中の溶媒は除去され、基材22側から順に比率が高い電極触媒層2aと比率が低い電極触媒層2bを順に備える基材と、基材22側から順に比率が高い電極触媒層3aと比率が低い電極触媒層3bを順に備える1組の基材が形成される。
このとき、基材としては、ガス拡散層もしくは転写シートを用いる。基材側から順に、比率が高い触媒インク2b’’、3b’’、比率が低い触媒インク2a’’、3a’’が塗布される。形成される電極触媒層を多層構造とし、基材側から順に形成される比率が高い電極触媒層2b、3b、比率が低い電極触媒層2a、3aを基材であるガス拡散層もしくは転写シート上に形成することにより、次の工程で、比率が内側である高分子電解質膜1から外側である電極触媒層の表面に向かって増加し、内側である高分子電解質膜1から外側である電極触媒層表面に向かって酸化腐食耐性を高めた電極触媒層を備える膜電極接合体とすることができる。
このとき、1層目の触媒インクを基材上に塗布し塗膜を形成した後、塗膜を乾燥して1層目の電極触媒層を形成し、2層目の触媒インクを1層目の電極触媒層上に塗布した後、塗膜を乾燥して2層目の電極触媒層を形成することにより多層構造の電極触媒層を形成することができる。
また、1層目の触媒インクを塗布し塗膜を形成し乾燥工程をおこなわず、続けて2層目の触媒インクを塗布し塗膜を形成し、これらの塗膜を乾燥して、多層構造の電極触媒層を形成することもできる。
また、1層目の触媒インクを塗布し塗膜を形成し、塗膜を乾燥して塗膜中に溶媒の一部を残して半乾燥状態とした後、2層目の触媒インクを塗布し塗膜を形成し、これらの塗膜を乾燥して多層構造の電極触媒層を形成することもできる。本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12の製造方法において、塗膜を乾燥する乾燥工程は必要に応じて変更することができる。
膜電極接合体12の製造方法において、次に、基材上に形成された電極触媒層を高分子電解質膜1に接合する工程である。より詳細には、図3(e)に示すように、基材22上に形成された電極触媒層2、3を高分子電解質膜1に接合する。このとき、接合方法としては、ホットプレス(熱プレス)を用いることができる。基材として、転写シートを用いた場合にあっては、ホットプレスによる転写後、基材は剥離される、また、基材としてガス拡散層を用いた場合にあっては、基材は剥離されない。
以上の膜電極接合体12の製造方法により、{(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}で示される触媒物質を担持していない炭素材料の比率が外側である電極触媒層表面から内側である高分子電解質膜1に向かって減少している電極触媒層を備える本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12を製造する。
本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12の別の製造方法は、基材として高分子電解質膜1を用い、高分子電解質膜1の両面に直接触媒インクを塗布し、膜電極接合体12を形成することもできる。このとき、高分子電解質膜1に対して、形成される電極触媒層の触媒物質を担持していない炭素材料の比率が高い触媒インクから形成される電極触媒層の触媒物質を担持していない炭素材料の比率が低い電極触媒インクが順次塗布され、電極触媒層は形成される。そして、{(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}で示される触媒物質を担持していない炭素材料の比率が外側である電極触媒層の表面から内側である高分子電解質膜1に向かって減少している電極触媒層を備えることを特徴とする本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12を製造する。
また、本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12の製造方法は、基材として転写シートを用い、転写シート上に多層構造の電極触媒層を形成し、一旦、転写シート上の電極触媒層をガス拡散層上に転写し、ガス拡散層上の電極触媒層を高分子電解質膜1に接合することにより、膜電極接合体12を形成することもできる。
このとき、転写シートである基材上に形成される電極触媒層は、基材側から表面の電極触媒層に向かって触媒物質を担持していない炭素材料の比率が低い電極触媒層、触媒物質を担持していない炭素材料の比率が高い電極触媒層が順に形成される。
さらに詳細に本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12および固体高分子形燃料電池について説明する。
本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12及び固体高分子形燃料電池に用いられる高分子電解質膜1としては、プロトン伝導性を有するものであればよく、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。
本発明の実施の形態に係る膜電極接合体において、高分子電解質膜1の両面に形成される電極触媒層2、3は、電極触媒インクを用いて高分子電解質膜1の両面に形成される。電極触媒インクは、少なくとも高分子電解質及び溶媒を含む。
本発明の実施の形態に係る触媒インクに含まれる高分子電解質としては、プロトン伝導性を有するものであれば良く、高分子電解質膜1と同様の材料を用いることができる。フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。しかし、電極触媒層2、3と高分子電解質膜1の密着性を考慮すると、高分子電解質膜1と同一の材料を用いることが好ましい。
本発明の実施の形態で用いる触媒物質(以下、触媒粒子あるいは触媒と称すことがある)としては、白金やパラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウムなどの金属又はこれらの合金、または酸化物、複酸化物等が使用できる。また、これらの触媒の粒径は、20nmを超えるとと、触媒の活性が低下してしまい、1nm未満だと触媒の安定性が低下してしまうため、0.5nm以上20nm以下が好ましい。更に好ましくは1nm〜5nmが良い。
これらの触媒物質を担持した粒子は電子伝導性の粉末であり、一般的に炭素粒子が使用される。炭素粒子の種類は、微粒子状で導電性を有し、触媒におかされないものであればどのようなものでも構わないが、カーボンブラックやグラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレンが使用できる。炭素粒子の粒径は、10nmより小さすぎると電子伝導パスが形成されにくくなってしまい、また1000nmより大きすぎると電極触媒層のガス拡散性が低下したり、触媒の利用率が低下したりしてしまうため、10nm以上1000nm以下が好ましい。更に好ましくは、10nm以上100nm以下が良い。その中でも特に、微細で導電性を有し、触媒におかされないものであるカーボンナノチューブを用いることが好ましい。
触媒物質を担持していない炭素材料としては、結晶性の炭素材料が使用できる。結晶性の炭素材料の種類は、微粒子状で導電性を有し、触媒におかされないものであればどのようなものでも構わない。例えば、002面の結晶格子定数C0(002)は0.670nm〜0.673nmであればよい。平均面間隔d002は0.337nm以下、好ましくは0.3352nm〜0.3369nmであればよい。更に、CuKα線を用いたX線結晶回折スペクトルで002ピークの半値幅は0.5未満、好ましくは0.1〜0.4、より好ましくは0.2〜0.3であればよい。このような炭素材料として、例えばグラファイト、黒鉛、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレンが使用できる。
触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、触媒粒子や高分子電解質を浸食することがなく、高分子電解質を流動性の高い状態で溶解または微細ゲルとして分散できるものあれば特に制限はない。しかし、揮発性の液体有機溶媒が少なくとも含まれることが望ましく、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール、1−プロパノ―ル、2−プロパノ―ル、1−ブタノ−ル、2−ブタノ−ル、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノ−ル等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノール等の極性溶剤等が使用される。また、これらの溶剤のうち二種以上を混合させたものも使用できる。
また、低級アルコールを用いた溶媒は発火の危険性が高く、このような溶媒を用いる際は水との混合溶媒にするのが好ましい。高分子電解質となじみがよい水が含まれていてもよい。水の添加量は、高分子電解質が分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限はない。
触媒インクは必要に応じて分散処理がおこなわれる。触媒インクの粘度、粒子のサイズは、触媒インクの分散処理の条件によって制御することができる。分散処理は、様々な装置を用いておこなうことができる。
触媒インク中の固形分含有量は、50質量%を超えると、触媒インクの粘度が高くなるため電極触媒層の表面にクラックが入りやすくなってしまい、また、1質量%を超えると、成膜レートが非常に遅く、生産性が低下してしまうため、1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。また、このときの触媒インクの粘度は、0.1cP〜500cP程度が好ましく、さらに好ましくは5cP〜100cPが良い。また触媒インクの分散時に分散剤を添加することで、粘度の制御をすることもできる。
本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12の製造方法における基材としては、ガス拡散層、転写シートもしくは高分子電解質膜1を用いることができる。
触媒インクは、基材上に塗布され、乾燥工程を経て電極触媒層が形成される。基材として、ガス拡散層もしくは転写シートを用いた場合には、電極触媒層は、接合工程より高分子電解質膜1の両面に電極触媒層は接合される。また、本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12は、基材として高分子電解質膜1を用い、高分子電解質膜1の両面に直接触媒インクを塗布し、高分子電解質膜1の両面に直接電極触媒層を形成することもできる。
このとき、塗布方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法などを用いることができる。
基材として用いられる転写シートとしては、転写性がよい材質であればよく、例えばエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂を用いることができる。基材として転写シートを用いた場合には、高分子電解質膜1に電極触媒層2、3を接合後に転写シートを剥離し、高分子電解質膜1の両面に電極触媒層2、3を備える膜電極接合体(MEA)12とすることができる。
また、ガス拡散層としては、ガス拡散性と導電性とを有する材質のものを用いることができる。具体的にはガス拡散層としてはカーボンクロス、カーボンペーパー、不織布などのポーラスカーボン材を用いることができる。ガス拡散層は基材として用いることもできる。このとき、転写工程後にガス拡散層である基材を剥離する必要は無い。
また、ガス拡散層を基材として用いる場合には、触媒インクを塗布する前に、予め、ガス拡散層上に目処め層を形成させてもよい。目処め層は、触媒インクがガス拡散層の中に染み込むことを防止する層であり、触媒インクの塗布量が少ない場合でも目処め層上に堆積して三相界面を形成する。このような目処め層は、フッ素系樹脂溶液にカーボン粒子を分散させ、フッ素系樹脂の融点以上の温度で焼結させることにより形成することができる。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が利用できる。
また、セパレータ10としては、カーボンタイプあるいは金属タイプのもの等を用いることができる。なお、ガス拡散層とセパレータ10は一体構造となっていても構わない。また、セパレータ10もしくは電極触媒層が、ガス拡散層の機能を果たす場合にはガス拡散層は省略されていても構わない。また、燃料電池としては、ガス供給装置、冷却装置などその他付随する装置を組み立てることにより製造される。
本発明の実施の形態に係る膜電極接合体12おいては、{(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}で示される触媒物質を担持していない炭素材料の比率が内側である高分子電解質膜1から外側である電極触媒層の表面に向かって増加していることを特徴とし、起動停止時の高電位による空気極側の電極触媒層に用いる炭素粒子の酸化腐食を抑制し、電極触媒層の触媒活性や導電性の低下を抑制し、結果的に発電特性の低下を抑制する電極触媒層を備える膜電極接合体12を形成することができ、酸化腐食試験後にも高い発電特性を備える固体高分子形燃料電池を形成することができる。
本発明における膜電極接合体及びその製造方法について、以下に具体的な実施例および比較例1、比較例2を挙げて説明するが、本発明は下記実施例によって制限されるものではない。
[触媒インクの調製]
白金担持量が50質量%である白金担持カーボン触媒(商品名:TEC10E50E、田中貴金属工業製)と、20質量%高分子電解質溶液のナフィオン(登録商標、Du Pont社製)、カーボンナノチューブ(繊維径10−20nm、繊維長5−15μm)を溶媒中で混合し、遊星型ボールミル(商品名:Pulverisette7、FRITSCH社製)で分散処理をおこなった。ボールミルのポット、ボールにはジルコニア製のものを用いた。
出発原料の組成比を白金担持カーボンの担体カーボンとカーボンナノチューブの質量比で3:1としたものを触媒インク1Aとした。そして質量比を8:1としたものを触媒インク1Bとした。
溶媒は1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ルを体積比で1:1とした。また、固形分含有量は10質量%とした。
[基材]
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを転写シートとして使用した。
[基材上への電極触媒層の形成方法]
ドクターブレードにより、触媒インク1Aを基材上に塗布し、そして大気雰囲気中90℃で5分間乾燥させた。その後、同様にして触媒インク1A上に触媒インク1Bを塗布し、大気雰囲気中90℃で30分間乾燥させることで2層構造の電極触媒層を作製した。触媒インク1Aと触媒インク1Bの単位面積あたりの塗布量は、質量比で1:1とした。電極触媒層の厚さは、白金担持量が約0.3mg/cmになるように調節した。
(比較例1)
[触媒インクの調整]
カーボンナノチューブを加えないことを除いては実施例に記載の触媒インクと同様に調製でした触媒インク1Cを使用した。
[基材]
実施例と同じ基材を使用した。
[基材上への電極触媒層の形成方法]
実施例と同様の手法で、基材に触媒インク1Cを塗布し、乾燥させた。電極触媒層の厚さは、インク1Cの塗布のみで白金担持量が約0.3mg/cmになるように調節した。
(比較例2)
[触媒インクの調整]
実施例に記載の触媒インクの調製法で出発原料の組成比を白金担持カーボンの担体カーボンとカーボンナノチューブの質量比で4:1とした触媒インク1Dを使用した。
[基材]
実施例と同じ基材を使用した。
[基材上への電極触媒層の形成方法]
実施例と同様の手法で、基材に触媒インク1Dを塗布し、乾燥させた。電極触媒層の厚さは、インク1Dの塗布のみで白金担持量が約0.3mg/cmになるように調節した。また、電極触媒層中のカーボンナノチューブの質量は実施例と等しくなるように調整した。
[膜電極接合体(MEA)12の作製]
実施例、比較例1及び比較例2において、作製した電極触媒層が形成された基材を25cmの正方形に打ち抜き、高分子電解質膜1のナフィオン(登録商標名)、Dupont社製の両面に対面するように転写シートを配置し、130℃、6.0×10Paの条件でホットプレスをおこない、図1に示すような膜電極接合体(MEA)12を得た。
(評価)
[発電特性]
実施例、比較例1及び比較例2で作製した各膜電極接合体12にガス拡散層としてのカーボンクロスを挟持するように貼りあわせ、発電評価セル(エヌエフ回路設計ブロック社製)内に設置した。これを燃料電池測定装置(エヌエフ回路設計ブロック社製)を用いて、セル温度80℃で、アノード(燃料極)及びカソード(空気極)ともに100%RHの条件で電流電圧測定を行った。燃料ガスとして水素、酸化剤ガスとして空気を用い、流量一定による流量制御を行った。
[酸化腐食試験]
発電試験を行った実施例、比較例1及び比較例2で作製した各膜電極接合体12を電気化学測定装置(北斗電工社製)を用いて、カソード側の電位を1.2Vとし、24時間作動させ炭素粒子の酸化腐食試験を行った。このとき、セル温度80℃で、アノードおよびカソードともに100%RHの加湿条件で、アノードに水素ガス、酸化剤ガスとして酸素を用い、利用率一定による流量制御を行った。酸化腐食試験後、セル温度80℃で、アノードおよびカソードともに100%RHの加湿条件で、電流電圧測定を行った。燃料ガスとして水素、酸化剤ガスとして空気を用い、流量一定による流量制御を行った。
(測定結果)
[発電特性]
図4に実施例と比較例1及び比較例2で作製した膜電極接合体(MEA)12の発電特性を示す。図4において、縦軸は電位(V)を示し、横軸は電流密度(A・cm−2)を示している。また、図4は太い実線が実施例の膜電極接合体12の発電特性であり、細い実線が比較例1の膜電極接合体の発電特性であり、細い点線が比較例2の膜電極接合体の発電特性である。
実施例、比較例1及び比較例2の膜電極接合体の発電特性はほぼ同程度の性能を得た。
[酸化腐食試験]
図5に実施例と比較例1で作製した膜電極接合体(MEA)12の酸化腐食試験において計測した炭素材料の分解電流を示す。図5は、縦軸は電流密度(μA・cm−2)を示し、横軸は時間(h)を示している。図5において、白点は実施例の膜電極接合体12の分解電流であり、黒点は比較例1の膜電極接合体の分解電流である。
図6は、図5と同様に、実施例と比較例2で作製した膜電極接合体(MEA)の酸化腐食試験において計測した炭素材料の分解電流を示す。図6は、縦軸は電流密度(μA・cm−2)を示し、横軸は時間(h)を示している。図6において、白点は実施例の膜電極接合体の分解電流であり、黒点は比較例2の膜電極接合体の分解電流である。
実施例及び比較例1の膜電極接合体12の酸化腐食試験の結果から、電極触媒層の触媒物質を担持していない炭素材料を添加した膜電極接合体12は、電極触媒の酸化腐食耐性が高まり、炭素材料の分解電流が低下することが確認された。
また、実施例及び比較例2の膜電極接合体12の酸化腐食試験の結果から、電極触媒層の触媒物質を担持していない炭素材料の比率を、ガス拡散層に近い側から高分子電解質膜1に向かって厚さ方向に減少させた膜電極接合体12は、電極触媒層の酸化腐食耐性がより向上し、炭素材料の分解電流がさら低下することが確認された。
図7に実施例と比較例1で作製した膜電極接合体(MEA)の酸化腐食試験前後の発電特性を示した。図7の縦軸は電位(V)を示し、横軸は電流密度(A・cm−2)を示している。図7において、太い実線は実施例の膜電極接合体12の酸化腐食試験前の発電特性であり、太い点線は実施例の膜電極接合体12の酸化腐食試験後の発電特性である。また細い実線は比較例1の膜電極接合体12の酸化腐食試験前の発電特性であり、細い点線は比較例1の膜電極接合体の酸化腐食試験後の発電特性である。
図8に実施例と比較例2で作製した膜電極接合体(MEA)の酸化腐食試験前後の発電特性を示した。図8の縦軸は電位(V)を示し、横軸は電流密度(A・cm−2)を示している。図8において、太い実線は実施例の膜電極接合体の酸化腐食試験前の発電特性であり、太い点線は実施例の膜電極接合体の酸化腐食試験後の発電特性である。また細い実線は比較例2の膜電極接合体の酸化腐食試験前の発電特性であり、細い点線は比較例2の膜電極接合体の酸化腐食試験後の発電特性である。
実施例及び比較例1の膜電極接合体の酸化腐食試験前後の発電特性の結果から、電極触媒層の触媒物質を担持していない炭素材料を添加した膜電極接合体12は、電極触媒層の酸化腐食耐性が高まり、酸化腐食試験前後の膜電極接合体12の劣化が低減することが確認された。また、実施例及び比較例2の膜電極接合体12の酸化腐食試験の結果から、電極触媒層の触媒物質を担持していない炭素材料の比率を、ガス拡散層に近い側から高分子電解質膜1に向かって厚さ方向に減少させた膜電極接合体12は、電極触媒層の酸化腐食耐性がより向上し、酸化腐食試験前後の膜電極接合体12の劣化がさらに低減することが確認された。
上述したように、本発明の膜電極接合体12は、高分子電解質膜1を一対の電極触媒層で挟持した膜電極接合体であって、電極触媒層は高分子電解質および触媒物質を担持した粒子および触媒物質を担持していない炭素材料を備え、{(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}で表される触媒物質を担持していない炭素材料の比率が電極触媒層の表面から内側である高分子電解質膜1に向かって減少していることを特徴とするものであり、電極触媒層の厚さ方向における触媒物質を担持していない炭素材料の比率を改善し、表面側から高分子電解質膜1に向かって厚さ方向に触媒物質を担持していない炭素材料の比率を減少させることによって、高分子電解質膜1から電極触媒層の表面に向かう厚さ方向における電位負荷の分布に酸化腐食耐性度を対応させることで、電極触媒層の酸化腐食耐性を高めることができ、従来の膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池に比べ、本発明の膜電極接合体を備えてなる固体高分子形燃料電池は、酸化腐食試験後の発電特性の劣化が低減することができた。
12…膜電極接合体
1…(固体)高分子電解質膜
2…電極触媒層
3…電極触媒層
4…ガス拡散層
5…ガス拡散層
6…空気極(カソード)
7…燃料極(アノード)
8…ガス流路
9…冷却水流路
10…セパレータ
22…基材
2a’’…触媒物質を担持していない炭素材料の比率が高い触媒インク
2b’’…触媒物質を担持していない炭素材料の比率が低い触媒インク
3a’’…触媒物質を担持していない炭素材料の比率が高い触媒インク
3b’’…触媒物質を担持していない炭素材料の比率が低い触媒インク
2a’…触媒物質を担持していない炭素材料の比率が高い触媒インクの塗膜
2b’…触媒物質を担持していない炭素材料の比率が低い触媒インクの塗膜
3a’…触媒物質を担持していない炭素材料の比率が高い触媒インクの塗膜
3b’…触媒物質を担持していない炭素材料の比率が低い触媒インクの塗膜

Claims (6)

  1. 高分子電解質膜を一対の電極触媒層で持した膜電極接合体であって、
    前記一対の電極触媒層が高分子電解質および触媒物質を担持した粒子および触媒物質を担持していない炭素材料を備え、且つ、前記一対の電極触媒層において下記式1で示す触媒物質を担持していない炭素材料の比率が、外側である電極触媒層の表面から内側である前記高分子電解質膜に向かって減少しており、
    前記電極触媒層において、前記炭素材料の比率の異なる少なくとも2種の前記電極触媒層が積層されており、
    前記電極触媒層の厚さ方向における前記炭素材料の比率の最も高い値を前記炭素材料の比率の最も低い値で除した値が、1.2以上5.0以下の範囲内であり、
    前記炭素材料は、繊維径が10〜20nmのカーボンナノチューブであることを特徴とする膜電極接合体。
    (触媒物質を担持していない炭素材料の比率)={(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}・・・(式1)
  2. 前記炭素材料が高結晶性の炭素材料であることを特徴とする請求項1に記載の膜電極接合体。
  3. 請求項1または2に記載の膜電極接合体が一対のガス拡散層で持され、さらに、前記ガス拡散層で持された膜電極接合体が一対のセパレータで持されていることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
  4. 触媒物質を担持した粒子と、高分子電解質及び触媒物質を担持していない炭素材料とを溶媒に分散させた触媒インクであって、前記炭素材料の比率が異なる少なくとも2種の触媒インクを形成し、
    ガス拡散層、転写シートおよび高分子電解質膜から選択される基材上に、前記炭素材料の比率が高い触媒インクから前記炭素材料の比率が低い触媒インクまで順に塗布するか、あるいは、前記炭素材料の比率が低い触媒インクから前記炭素材料の比率が高い触媒インクまで順に塗布して、前記基材上の比率が順次変化する多層構造の電極触媒層を形成し、
    前記基材が前記ガス拡散層もしくは前記転写シートの場合に、前記基材上に形成された前記電極触媒層を前記高分子電解質膜の両面に接合し、
    下記式1で表される触媒物質を担持していない炭素材料の比率が外側である電極触媒層の表面から内側である前記高分子電解質膜に向かって減少している電極触媒層を備え
    前記電極触媒層において、前記炭素材料の比率の異なる少なくとも2種の前記電極触媒層が積層されており、
    前記電極触媒層の厚さ方向における前記炭素材料の比率の最も高い値を前記炭素材料の比率の最も低い値で除した値が、1.2以上5.0以下の範囲内であり、
    前記炭素材料は、繊維径が10〜20nmのカーボンナノチューブである膜電極接合体を製造することを特徴とする膜電極接合体の製造方法。
    (触媒物質を担持していない炭素材料の比率)={(触媒物質を担持していない炭素材料の質量)/(電極触媒層の質量)}・・・(式1)
  5. 請求項に記載の膜電極接合体の製造方法により製造されることを特徴とする膜電極接合体。
  6. 請求項に記載の膜電極接合体が一対のガス拡散層で持され、さらに、前記一対のガス拡散層は一対のセパレータで持されていることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
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