JP5438423B2 - 鉄鉱石含有コークスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鉱石を内装したコークスを製造するときに用いる原料に関するものである。
コークスは、通常、原料炭を1000℃前後に加熱乾留して製造される。このコークスは、高炉内に、コークス層と鉄鉱石層が層状に重なるように装入され、羽口から高温の空気を吹き込んでコークスを燃焼させ、このとき発生した還元性ガスで鉄鉱石中の酸化鉄を還元することで銑鉄が製造できる。
近年では、鉄鉱石を内装した鉄鉱石含有コークス(フェロコークスと呼ぶことがある。)を、鉄鉱石層に配合して銑鉄を製造することが研究されている。鉄鉱石層に鉄鉱石含有コークスを配合することで、鉄鉱石含有コークスが燃焼して発生する還元性ガスによって鉄鉱石層中の酸化鉄の還元が促進されると共に、鉄鉱石含有コークス中の鉄成分の触媒作用により、銑鉄の生産効率が向上すると考えられている。
鉄鉱石含有コークスは、コークスの原料となる石炭と、鉄鉱石とを混合したものを成形した後に乾留して製造される。しかし、石炭と鉄鉱石の密着力は弱く、成形体を形成できなかったり、成形体を形成できたとしても強度が低く、取扱い性が悪いという問題がある。そこで石炭と鉄鉱石の混合物を成形して形成した成形体の強度を向上させる技術が、特許文献1〜4に提案されている。
特許文献1〜4では、石炭と鉄源原料とバインダーを含む原料を塊成形物に成形し、この塊成形物を乾留してフェロコークスを製造しており、特定のバインダーを配合することで、塊成形物の強度を向上させている。
本出願人も上記特許文献1〜4と同様の技術を特許文献5に提案している。特許文献5は、高強度の製鉄用炭材内装塊成化物を製造する方法を提供するものであり、この技術では、酸化鉄原料と炭材を含む塊成用組成物に、軟化流動性促進剤を配合している。
特開2007−277489号公報 特開2008−56777号公報 特開2008−56778号公報 特開2008−10112号公報 特開2005−325435号公報
上記特許文献1〜5では、鉄源原料や酸化鉄原料と、石炭や炭材とを混合して成形した成形体の強度を向上させるために、バインダーや軟化流動性促進剤を配合しているが、本発明者らが検討したところ、鉄源原料や酸化鉄原料と、石炭や炭材に、バインダーや軟化流動性促進剤を配合したものを混合してから成形すると、混合状態によっては鉄源原料(酸化鉄原料)と石炭(炭材)の密着力が充分に向上せず、成形体の強度が低下することが分かった。
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、石炭と鉄鉱石を混合して成形体を製造したときに、成形体の強度を高める技術を提供することにある。
上記課題を解決するには、溶剤で石炭から可溶成分を抽出する抽出工程と、抽出液から未溶解石炭を除去する固液分離工程と、未溶解石炭を除去した抽出液を鉄鉱石と接触させて鉄鉱石の表面を前記可溶成分で被覆する被覆工程、を経て表面被覆鉄鉱石を製造し、得られた表面被覆鉄鉱石と、石炭とを混合して成形体を製造すればよい。
前記被覆工程では、(a)未溶解石炭を除去した抽出液と鉄鉱石を混合してスラリー化した後、該抽出液に含まれる溶剤を除去して鉄鉱石の表面を前記可溶成分で被覆する方法や、(b)未溶解石炭を除去した抽出液で鉄鉱石を湿潤させた後、該抽出液に含まれる溶剤を除去して鉄鉱石の表面を前記可溶成分で被覆する方法、を採用することが好ましい。
また、本発明の上記課題は、溶剤で石炭から可溶成分を抽出する抽出工程と、抽出液から未溶解石炭を除去する固液分離工程と、未溶解石炭を除去した抽出液から前記溶剤を除去して得られた前記可溶成分を、100〜460℃に加熱して軟化溶融させて液状物とし、この液状物を鉄鉱石と接触させて鉄鉱石の表面を前記可溶成分で被覆する被覆工程、を経て表面被覆鉄鉱石を製造し、得られた表面被覆鉄鉱石と、石炭とを混合して成形体を製造しても解決できる。
本発明には、上記各工程を経て得られた表面被覆鉄鉱石と、石炭を含む混合物を成形した後に乾留して鉄鉱石含有コークスを製造する方法も包含される。
本発明によれば、鉄鉱石の表面を石炭からの抽出物で被覆しているため、この表面被覆鉄鉱石と石炭とを混合して成形体を製造すれば、鉄鉱石と石炭との間に石炭抽出物が確実に介在することとなり、この石炭抽出物が鉄鉱石と石炭との密着性を向上でき、成形体の強度を高めることができる。また、本発明によれば、鉄鉱石と石炭抽出物が密に結合した鉄鉱石含有コークス(フェロコークス)が得られるため、コークスの反応性を一層高くすることができる。
本発明者らは、鉄鉱石と石炭の混合物を成形して形成した成形体の強度を高めることを目指して、鋭意検討を重ねてきた。その結果、成形体の原料として用いる鉄鉱石の表面を石炭抽出物で予め被覆しておけば、成形体の強度が向上することを見出し、本発明を完成した。
即ち、石炭と鉄鉱石との親和性は悪いが、石炭と石炭抽出物との親和性は良好である。そのため、鉄鉱石の表面を石炭抽出物で予め被覆しておくことで、石炭と接触する位置に石炭抽出物を確実に存在させることができ、この抽出物が石炭と鉄鉱石の密着性向上に寄与し、成形体の強度を向上できる。また、鉄鉱石の表面は滑らかではなく、微細な凹凸や細孔が形成されているため、鉄鉱石の表面を石炭抽出物で被覆すると、該抽出物が鉄鉱石の窪みや細孔部分に浸透し、アンカー効果が発揮され、成形体の強度が向上すると考えられる。
これに対し、上記特許文献1〜5に開示された技術では、鉄源原料や酸化鉄原料と、石炭や炭材に、バインダーや軟化流動性促進剤を同時に配合して混合しているが、完全な均一混合状態にすることは難しく、鉄源原料や酸化鉄原料と、石炭や炭材の間にバインダーや軟化流動性促進剤が介在しない部分が生じ、鉄源原料や酸化鉄原料と、石炭や炭材の密着性を充分に向上できない。
以下、鉄鉱石の表面を石炭抽出物で被覆して表面被覆鉄鉱石を製造する方法について説明する。
本発明に係る表面被覆鉄鉱石の製造方法は、溶剤で石炭から可溶成分を抽出する抽出工程と、抽出液から溶剤に未溶解の石炭を除去する固液分離工程とを含み、更に、
(a)未溶解石炭を除去した抽出液を鉄鉱石と接触させて鉄鉱石の表面を前記可溶成分で被覆する被覆工程、または
(b)未溶解石炭を除去した抽出液から前記溶剤を除去して得られた前記可溶成分を、100〜460℃に加熱して軟化溶融させて液状物とし、この液状物を鉄鉱石と接触させて鉄鉱石の表面を前記可溶成分で被覆する被覆工程、
を含むところに特徴がある。
《抽出工程》
抽出工程では、石炭と溶剤を接触させて、石炭から溶剤に可溶な可溶成分を溶出させることにより可溶成分を抽出する。この可溶成分は、無灰炭(ハイパーコール;HPC)と呼ばれており、石炭中に含まれる無機物は含まず、有機物のみで構成されている。
可溶成分の抽出に用いる溶剤としては、極性溶剤や芳香族溶剤を使用できる。極性溶剤としては、例えば、N-メチルピロリドンやピリジン等が用いられる。芳香族溶剤としては、一般的には、ベンゼン、トルエン、キシレン等の1環芳香族化合物や、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、トリメチルナフタレン、テトラヒドロナフタレン(テトラリン;登録商標)等の2環芳香族化合物、アントラセン等の3環以上の芳香族化合物等が用いられる。また、2環芳香族化合物には、その他脂肪族側鎖をもつナフタレン類、また、これにビフェニルや長鎖脂肪族側鎖をもつアルキルベンゼンが含まれる。
本発明では、上記極性溶剤や芳香族溶剤のなかでも、水素非供与性の溶剤を用いることが好ましい。水素非供与性溶剤としては、主に石炭の乾留生成物から精製した2環芳香族化合物を主とする石炭誘導体を例示できる。この水素非供与性溶剤は、加熱状態でも安定であり、石炭との親和性に優れているため、溶剤に抽出される可溶成分の割合が高く、また、蒸留等の方法で容易に回収可能な溶剤である。回収した溶剤は、経済性の向上を図るため、循環使用できる。水素非供与性溶剤としては、例えば、ナフタレン、メチルナフタレン、タール軽油などが挙げられ、これらから選択される1種を主成分とする溶剤や、2種以上を含む溶剤を用いることができる。
可溶成分の抽出に用いる溶剤は、沸点が180〜330℃(特に、200〜250℃)のものが好ましい。沸点が低過ぎると、抽出工程での可溶成分の抽出率が低下する。また、抽出工程や、後述する固液分離工程での必要圧力が高くなる。更に、溶剤を回収するときに揮発による損失が大きくなり、溶剤の回収率が低下する。一方、沸点が高過ぎると、後述する固液分離工程で分離される抽出液からの溶剤の除去や、可溶成分を抽出した後の石炭に付着している溶剤を除去することが困難となり、溶剤の回収率が低下する。
可溶成分の抽出に用いる石炭の種類は特に限定されないが、劣質炭を用いることが好ましい。安価な石炭を使用することにより、可溶成分を安価に製造できるため、経済性の向上を図ることができる。もちろん劣質炭に限定されず、瀝青炭等の高品位炭を使用しても良い。
劣質炭とは、軟化溶融性をほとんど持たない非微粘炭や、一般炭、低品位炭等の石炭をいう。低品位炭とは、通常、20質量%以上の水分を含有し、脱水することが望まれる石炭のことである。このような低品位炭には、例えば、褐炭、亜炭、亜瀝青炭がある。褐炭には、例えば、ビクトリア炭、ノースダゴタ炭、ベルガ炭等があり、亜瀝青炭には、例えば、西バンコ炭、ビヌンガン炭、サマランガウ炭等がある。低品位炭は上記例示のものに限定されず、多量の水分を含有し、脱水することが望まれる石炭は、いずれも本発明のいう低品位炭に含まれる。
抽出工程では、石炭から可溶成分を抽出し易くするために、石炭を、例えば、直径5mm程度以下に粉砕しておくことが好ましい。
抽出工程では、石炭から可溶成分を抽出するときの抽出率を高めるために石炭と溶剤とをスラリー状に混合することが好ましく、この混合物を攪拌しつつ、スラリーを加熱すれば、石炭に含まれる溶剤に可溶な可溶成分(ハイパーコール)が溶剤中に抽出される。
抽出温度は、例えば、300〜420℃程度(特に、330〜400℃程度)に設定することが好ましい。抽出温度が低過ぎると、石炭に含まれる易ガス化成分を石炭から除去できない上に、石炭を構成する成分の分子間結合力を弱めることが不十分となって、石炭に含まれる可溶成分の抽出率が低くなる。一方、抽出温度が高過ぎると、石炭が熱分解して生成したラジカルの再結合が起こるため、石炭から可溶成分を抽出するときの抽出率が低くなる。
抽出時間は、例えば、10〜60分程度とすればよい。抽出時間が長過ぎると、抽出した可溶成分の熱分解反応が進行し、ラジカル重合反応が進むため可溶成分の抽出率が低下する。
抽出工程は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素)の存在の下で行なえばよい。
なお、抽出工程では、溶剤が沸騰しないように加圧する必要があり、圧力は、通常、0.8〜2.5MPa程度(特に、1〜2MPa)の範囲に調整すればよい。
《固液分離工程》
固液分離工程では、上記抽出工程で石炭から可溶成分を抽出した後、未溶解石炭(溶媒に可溶な成分が抽出されて残った石炭)を分離し、液体分を回収する。この液体分は、石炭から抽出した可溶成分と、抽出に用いた溶媒で構成されている。
固液分離する方法は特に限定されず、公知の方法を採用すればよく、例えば、各種の濾過法、遠心分離法、重力沈降法が挙げられる。なお、濾過法では、濾過フィルターの濾過量が制限されることから、大量の未溶解石炭を分離できない場合がある。また遠心分離法では、未溶解石炭による閉塞が起こり易く、工業的に実施することが困難な場合がある。一方、重力沈降法によれば、重力沈降槽の上部からは液体分を、下部からは未溶解石炭を得ることができ、流体の連続操作が可能であり、低コストで大量の処理にも適しているため好ましい。
なお、固液分離工程における溶媒の温度と固液分離時の圧力は、上記抽出工程で設定した温度および圧力と同じ範囲に設定することが好ましい。原料の石炭から溶出した溶質の再析出を防ぐためである。
《被覆工程》
次に、被覆工程では、固液分離工程で未溶解石炭を除去した抽出液を用い、鉄鉱石の表面を石炭から抽出した可溶成分で被覆する。このとき、(a)未溶解石炭を除去した抽出液を鉄鉱石と接触させて鉄鉱石の表面を可溶成分で被覆してもよいし、(b)未溶解石炭を除去した抽出液から溶剤を除去して得られた可溶成分を、100〜460℃に加熱して軟化溶融させて液状物とし、この液状物を鉄鉱石と接触させて鉄鉱石の表面を前記可溶成分で被覆してもよい。
上記(a)の方法では、未溶解石炭を除去した抽出液をそのまま鉄鉱石のコーティング剤として用いる。即ち、このコーティング剤は、石炭から抽出した可溶成分と抽出に用いた溶剤で構成されている。
未溶解石炭を除去した抽出液からなるコーティング剤と鉄鉱石を接触させて鉄鉱石の表面を石炭除去後の抽出液で濡らした後、この抽出液に含まれる溶剤を除去すれば、鉄鉱石の表面を石炭から抽出した可溶成分で被覆できる。
未溶解石炭を除去した抽出液と鉄鉱石とを接触させる方法としては、(1)未溶解石炭を除去した抽出液と鉄鉱石を混合してスラリー化する方法や、(2)未溶解石炭を除去した抽出液で鉄鉱石を湿潤させる方法
が挙げられる。
なお、上記(2)の抽出液で鉄鉱石を湿潤させる方法としては、例えば、該抽出液を鉄鉱石に滴下する方法や、該抽出液を鉄鉱石に噴霧する方法が挙げられる。このとき鉄鉱石の表面に上記抽出液を均一に付着させるために、容器内に入れた鉄鉱石を攪拌したり、鉄鉱石を入れた容器を振動させるなどして鉄鉱石を流動させておくことが好ましい。
未溶解石炭を除去した抽出液と鉄鉱石を接触させるときは、該抽出液を、室温ないし上記抽出温度と同じ温度まで加熱すればよい。未溶解石炭を除去した抽出液を加熱することで、上記可溶成分を溶剤に均一に分散させることができる。具体的には、300〜420℃程度に加熱することが好ましい。
次に、未溶解石炭を除去した抽出液と鉄鉱石を接触させた後は、該抽出液に含まれる溶剤を除去することによって、表面が石炭から抽出した可溶成分(ハイパーコール)で被覆された表面被覆鉄鉱石を製造できる。得られた表面被覆鉄鉱石は、鉄鉱石の表面に石炭から抽出した可溶成分からなる層が形成されているため、この表面の特性は、鉄鉱石の表面の特性に比べて改質されており、石炭との親和性が向上している。
抽出液に含まれる溶剤は、前記抽出液で濡れた鉄鉱石を加熱乾燥したり、気体を吹付けることにより乾燥除去すればよい。
一方、上記(b)の方法では、未溶解石炭を除去した抽出液から溶剤を除去(溶剤除去工程)し、石炭から抽出した可溶成分のみを回収し、この可溶成分(固体状の無灰炭)自体を鉄鉱石のコーティング剤として用いる。
溶剤除去工程では、上記固液分離工程で得られた液体分から溶剤を分離する。これにより、灰分の濃度が少ない可溶成分を得ることができる。なお、灰分とは、可溶成分を815℃で灰化したときの残留無機物(ケイ酸、アルミナ、酸化鉄、石灰、マグネシア、アルカリ金属など)をいう。本発明では、可溶成分に含まれる灰分の含有率は、質量基準で、5000ppm以下(より好ましくは2000ppm以下)であることが好ましい。
溶剤を分離する方法としては、一般的な蒸留法や蒸発法(スプレードライ法等)を用いることができる。なお、本発明では、分離して回収した溶剤を抽出工程で用いる溶剤の一部として再利用することが好ましい。
石炭から抽出した可溶成分をコーティング剤として用いて鉄鉱石の表面を被覆するには、該可溶成分を、100〜460℃程度に加熱して軟化溶融させて液状物とし、この液状物を鉄鉱石と接触させればよい。
液状物を鉄鉱石と接触させる方法としては、鉄鉱石に液状物を噴霧する方法を採用でき、鉄鉱石に液状物を噴霧することで、鉄鉱石の表面を湿潤させることができる。
上記(a)、(b)の方法において、鉄鉱石の表面に被覆する可溶成分の被覆量(コーティング量)は、鉄鉱石の質量に対して3〜20質量%であると良い。被覆量が少な過ぎると、表面被覆鉄鉱石と石炭を混合して成形したときに、成形体の強度向上効果が充分に発揮されない。一方、被覆量が多過ぎても成形体の強度向上効果は飽和し、またコーティング量過多となり、コスト高となる。
上記可溶成分で被覆する鉄鉱石の種類は特に限定されず、赤鉄鉱(ヘマタイト;Fe23)、磁鉄鉱(マグネタイト;Fe34)、褐鉄鉱(Fe23・nH2O)などが混合されている一般的に入手可能な鉄鉱石を用いることができる。更に、オキシ水酸化鉄(FeOOH)を原料とすることもできる。上記可溶成分でオキシ水酸化鉄の表面を被覆すると、オキシ酸化鉄を脱水させて酸化鉄にすることができる。
このようにして得られた表面被覆鉄鉱石は、鉄鉱石含有コークスを製造するときの原料として好適に用いることができる。即ち、表面被覆鉄鉱石と石炭とを混合(混合工程)したものを成形(成形工程)し、得られた成形体を加熱乾留(乾留工程)することで、鉄鉱石含有コークス(フェロコークス)を製造できる。以下、順を追って説明する。
《混合工程》
混合工程では、表面被覆鉄鉱石と石炭とを混合する。均一な混合物を得るためである。
表面被覆石炭と石炭とを混合するにあたっては、表面被覆石炭と石炭とを含む混合物を事前に予備加熱してから混合してもよいし、加熱しながら混合してもよい。混合物を予備加熱あるいは加熱するときの温度は、例えば、100〜250℃程度とすればよい。
表面被覆鉄鉱石と石炭とを混合する手段についても、特に限定されるものではなく、例えば、ミキサー、ニーダー、単軸の混合機、二軸の混合機などを用いることができる。
(表面被覆鉄鉱石)
表面被覆鉄鉱石の粒径は、200μm以下(より好ましくは170μm以下、更に好ましくは150μm以下)が好ましい。表面被覆鉄鉱石の粒径が大き過ぎると、表面被覆鉄鉱石の界面に働く応力が大きくなるため、得られる鉄鉱石含有コークスの強度が低下することがある。なお、表面被覆鉄鉱石の粒径の下限については特に限定されるものではなく、小さいほど良いが、例えば30μm(より好ましくは50μm、更に好ましくは70μm)であることが好ましい。粒径が30μm未満の表面被覆鉄鉱石を得るには手間がかかり、製造コストが上がるからである。
(石炭)
石炭としては、上記可溶成分の抽出に用いる石炭として例示した石炭を用いることができる。
石炭の粒径は、表面被覆鉄鉱石の粒径が上記範囲にある場合、その70質量%以上(より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上)が3mm以下であることが好ましい。粒径3mmを超える石炭が30質量%を超えて存在すると、得られる鉄鉱石含有コークスの強度が低下することがある。
なお、上記「粒径」とは、ふるい分け法によって求められる値である。
(配合比)
石炭と表面被覆鉄鉱石の混合比(石炭/表面被覆鉄鉱石)は、質量基準で、30/70〜70/30(特に、40/60〜60/40)とすることが好ましい。
(補助バインダー)
本発明では、石炭と表面被覆鉄鉱石の他に、補助バインダーとして粘結性の補填材を配合してもよい。粘結性の補填材を配合することで、石炭と表面被覆鉄鉱石の密着性を一層高めることができる。粘結性の補填材としては、例えば、粘結炭や石油アスファルト、石炭ピッチ、石炭抽出物、などを用いることができる。
補助バインダーの配合量は、石炭と表面被覆鉄鉱石の合計を100質量部としたとき、1質量部以上(より好ましくは3質量部以上)が好ましく、10質量部以下(より好ましくは8質量部以下)が好ましい。
《成形工程》
成形工程では、上記混合物を成形して、所定の強度を持つ成形物にする。本発明の鉄鉱石含有コークスを、例えば縦型シャフト炉を用いて乾留して製造する場合には、上記成形物をシャフト炉の頂部から投入するため、炭材と鉄鉱石が分離し難いこと(所定の強度を有すること)が求められる。
上記混合物を成形するための方法は特に限定されるものではなく、例えば、平ロールによるダブルロール(双ロール)型成形機や、アーモンド型ポケットを有するダブルロール型成形機を用いる方法の他、単軸プレスやローラータイプの成形機、押し出し成形機を用いる方法等、いずれの方法も採用できる。
混合物の成形は、室温前後で行なう冷間成形でもよいし、加熱して行う熱間成形でもよい。熱間成形は、室温を超えて400℃程度以下で行うのがよい。成形温度が400℃を超えると、石炭が熱分解し、タールが発生して石炭成分を失うことになる。好ましくは250〜350℃程度で熱間成形するのがよい。成形圧力は特に限定されず、公知の条件を採用すればよい。
《乾留工程》
乾留工程では、上記成形工程で得られた成形体を乾留することで鉄鉱石含有コークスを製造できる。乾留するときに用いる炉の形状も特に限定されず、室炉を用いてバッチ式で乾留してもよいし、縦型シャフト炉を用いて連続式で乾留してもよい。縦型シャフト炉を用いた場合には、炉の上方から上記成形体を装入し、炉内を上から下に向かって移動する間に乾留され、炉の下方から乾留された鉄鉱石含有コークスが排出される。
乾留条件も公知の条件を採用でき、乾留温度は、650〜1100℃程度(特に、700〜1050℃程度)、乾留時間は、5分間〜24時間程度(特に、10分間〜12時間程度)とすればよい。乾留雰囲気は、石炭の酸化による劣化を防止するため、非酸化性ガス雰囲気とすればよい。
このようにして得られた鉄鉱石含有コークスは、石炭から抽出した可溶成分が、鉄鉱石と石炭のバインダーとして作用し、鉄鉱石と石炭が強固に接着されるため、鉄鉱石含有コークスの強度は向上すると考えられる。

Claims (4)

  1. 溶剤で石炭から可溶成分を抽出する抽出工程と、
    抽出液から未溶解石炭を除去する固液分離工程と、
    未溶解石炭を除去した抽出液を鉄鉱石と接触させて鉄鉱石の表面を前記可溶成分で被覆する被覆工程、
    を含む表面被覆鉄鉱石の製造方法で得られた表面被覆鉄鉱石と、石炭を含む混合物を成形した後に乾留することを特徴とする鉄鉱石含有コークスの製造方法。
  2. 前記被覆工程において、未溶解石炭を除去した抽出液と鉄鉱石を混合してスラリー化した後、該抽出液に含まれる溶剤を除去して鉄鉱石の表面を前記可溶成分で被覆する請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記被覆工程において、未溶解石炭を除去した抽出液で鉄鉱石を湿潤させた後、該抽出液に含まれる溶剤を除去して鉄鉱石の表面を前記可溶成分で被覆する請求項1に記載の製造方法。
  4. 溶剤で石炭から可溶成分を抽出する抽出工程と、
    抽出液から未溶解石炭を除去する固液分離工程と、
    未溶解石炭を除去した抽出液から前記溶剤を除去して得られた前記可溶成分を、100〜460℃に加熱して軟化溶融させて液状物とし、この液状物を鉄鉱石と接触させて鉄鉱石の表面を前記可溶成分で被覆する被覆工程、
    を含む表面被覆鉄鉱石の製造方法で得られた表面被覆鉄鉱石と、石炭を含む混合物を成形した後に乾留することを特徴とする鉄鉱石含有コークスの製造方法。
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