JP5435333B2 - α+β型チタン合金薄板の製造方法及びα+β型チタン合金薄板コイルの製造方法 - Google Patents

α+β型チタン合金薄板の製造方法及びα+β型チタン合金薄板コイルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、圧延処理によってα+β型チタン合金薄板を製造する方法及びそのコイルを製造する方法に関する。
従来から、α+β型チタン合金は、溶接性や強度特性に優れているため、航空機等の部品として様々な分野で大量に使用されている。このα+β型チタン合金は、変形能(加工性)が低いため、再結晶温度以上に加熱されて熱間加工されたり、融点以上の温度で溶融されて鋳造されたりすることにより加工が行われている。例えば、α+β型チタン合金を薄板状に加工する際には、一般的に、再結晶温度以上β変態点未満の温度にα+β型チタン合金を加熱し、その後熱間圧延を行うことにより薄板状に形成する方法が採用されている(特許文献1及び非特許文献1参照)。
特開昭58−25421号公報
M.J.Donachie編 鈴木洋夫、原田謙一郎訳:チタンテクニカルガイド P49、内田老鶴圃
しかしながら、上記のように、α+β型チタン合金を再結晶温度以上β変態点未満の温度に加熱して熱間圧延を行った場合、圧延荷重(圧延を行った際に生じる応力)が大きいため、所定の厚さの薄板となるまで圧延することができず、薄板コイルのような薄板状の製品を低コストで大量に製造することは困難である。
これに対し、β変態点以上の温度に加熱した状態で熱間圧延することで、熱間圧延時の圧延荷重を低減することができるが、結晶組成がβ単相となって結晶粒が粗大化し(数百μm〜数mm程度)、熱間圧延によって結晶粒が展伸組織となってしまう。この状態で後に冷間圧延を行うと、表面に凹凸を伴う筋模様が形成され、表面性状が悪いものとなる。
そこで、本発明は、α+β型チタン合金の薄板を圧延処理によって製造するに際し、熱間圧延時の圧延荷重を低減することができると共に、優れた表面性状と機械特性とを有するα+β型チタン合金薄板を得ることができるα+β型チタン合金薄板の製造方法を提供することを課題とする。また、熱間圧延時の圧延荷重が低く、優れた表面性状と機械特性とを有するα+β型チタン合金薄板コイルを得ることができるα+β型チタン合金薄板コイルの製造方法を提供することを課題とする。
本発明にかかるα+β型チタン合金薄板の製造方法は、α+β型チタン合金をβ変態点以上の温度に加熱して熱間圧延し、得られた熱間圧延材をβ変態点以上の温度で焼鈍し、次いで前記焼鈍された熱間圧延材を圧下率が70%以上となるように冷間圧延を行い、得られた冷間圧延材をβ変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で仕上げ焼鈍を行うことを特徴とする。
かかる方法によれば、α+β型チタン合金をβ変態点以上の温度に加熱して熱間圧延し、得られた熱間圧延材をβ変態点以上の温度で焼鈍し、次いで前記焼鈍された熱間圧延材を圧下率が70%以上となるように冷間圧延を行い、得られた冷間圧延材をβ変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で仕上げ焼鈍を行うことで、優れた表面性状と機械特性とを有するα+β型チタン合金薄板を製造することができる。
具体的には、α+β型チタン合金は、純チタンや鋼などに比べて熱間圧延を行う際の圧延荷重が大きいため、β変態点未満の温度では所定の厚みの薄板となるまで熱間圧延することが困難となってしまう。これに対し、α+β型チタン合金をβ変態点以上の温度に加熱することで、熱間圧延を行う際の圧延荷重を低減することができる。
一方、α+β型チタン合金をβ変態点以上の温度に加熱することで、α+β型チタン合金がβ単相となり、結晶粒が粗大化する。そして、この状態で熱間圧延されて得られた熱間圧延材は、粗大化した結晶粒が展伸組織となっている。該展伸組織は、冷間圧延材の表面に発生する凹凸を伴う筋模様の原因となるが、β変態点以上の温度で熱間圧延材を焼鈍することで、展伸組織によって凹凸を伴う筋模様が表面に発生するのを防止することができ、優れた表面性状を有するα+β型チタン合金薄板を得ることができる。
また、焼鈍された熱間圧延材を圧下率が70%以上となるように冷間圧延を行うことで、焼鈍によって熱間圧延材に形成された針状組織を、この冷間圧延による歪と、その後の所定条件での仕上げ焼鈍により等軸粒組織とすることができる。このため、優れた機械特性を有するα+β型チタン合金薄板を得ることができる。
すなわち、β変態点以上の温度に加熱されると針状組織が形成されてしまい優れた機械特性を付与することが困難になるところ、前記冷間圧延材をβ変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で仕上げ焼鈍を行うことで、冷間圧延によって蓄積された歪みが除去され、等軸粒組織が形成されたα+β型チタン合金薄板を得ることができる。
また、本発明においては、前記冷間圧延が複数回に分けて行われ、各冷間圧延の間にβ変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で中間焼鈍が行われると共に、各冷間圧延の圧下率の合計が70%以上となることが好ましい。
かかる方法によれば、前記冷間圧延が複数回に分けて行われ、各冷間圧延の間にβ変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で中間焼鈍が行われると共に、各冷間圧延の圧下率の合計が70%以上となることで、1回の冷間圧延では70%以上の圧下率を得ることができない場合であっても、冷間圧延を複数回行い、圧下率の合計が70%以上となるようにすることができる。この際、冷間圧延を行う毎に冷間圧延材に歪みが蓄積されることとなるが、中間焼鈍を行うことにより、歪みを除去しつつ冷間圧延を行うことができる。更に、β変態点未満の温度で中間焼鈍を行うことで、針状組織が形成されてしまうのを防止することができる。
また、本発明においては、前記α+β型チタン合金は、質量%でAl:2.0〜4.0%、V:4.0〜9.0%、Zr:0〜2.0%、Sn:0〜3.0%を含有し、更にFe:0.1〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%の内から選択される一つ以上を含有し、残部がTi及び不純物から構成されると共に、下記(1)式から得られるVeq値が4.0〜9.5の範囲である。
Veq=V+1.9Cr+3.75Fe・・・(1)
かかる方法によれば、冷間圧延を行う際の圧延荷重を低減することができる。具体的には、一般的に使用されているα+β型チタン合金の組成は、Ti−6Al−4Vとなるものであり、冷間変態能が低いため、冷間圧延を行った際の圧延荷重が大きく、薄板を製造することが困難であるが、本発明にかかる組成を有するα+β型チタン合金を用いることで、冷間圧延を行った際の圧延荷重を低減することができる。
また、本発明に係るα+β型チタン合金薄板コイルの製造方法は、上記何れか一つに記載の方法により製造されるα+β型チタン合金薄板をコイル状に巻き回すことを特徴とする。
以上のように、本発明にかかるα+β型チタン合金薄板の製造方法によれば、α+β型チタン合金の薄板を圧延処理によって製造するに際し、熱間圧延時の圧延荷重を低減することができると共に、優れた表面性状と機械特性とを有するα+β型チタン合金薄板を得ることができる。また、本発明にかかるα+β型チタン合金薄板コイルの製造方法によれば、熱間圧延時の圧延荷重が低く、優れた表面性状と機械特性とを有するα+β型チタン合金薄板コイルを得ることができる。
以下、本発明にかかる実施形態について説明する。
本実施形態にかかるα+β型チタン合金薄板の製造方法は、α+β型チタン合金を圧延処理して薄板状に形成する方法である。具体的には、α+β型チタン合金を加熱して熱間圧延し、該熱間圧延された熱間圧延材を所定の温度で焼鈍し、焼鈍された熱間圧延材を更に冷間圧延し、該冷間圧延された冷間圧延材を所定の温度で仕上げ焼鈍することによって行われる方法である。
前記α+β型チタン合金の組成としては、Ti−3Al−5Vとなる組成のものを用いることが好ましい。より詳しくは、α+β型チタン合金の組成としては、質量%でAl:2.0〜4.0%、V:4.0〜9.0%、Zr:0〜2.0%、Sn:0〜3.0%を含有すると共に、更にFe:0.1〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%の内から選択される一つ以上を含有し、残部がTi及び不純物から構成されるものを用いることが好ましい。更に、前記α+β型チタン合金は、上記V、Cr、Feの質量%を用いて下記の(1)式から算出されるVeq値が4.0〜9.5の範囲である冷間加工性を有するものを用いることが好ましい。また、前記α+β型チタン合金としては、β変態点が885〜890℃となるものを用いることができる。
Figure 0005435333
前記熱間圧延(以下、熱延と記す)は、α+β型チタン合金をβ変態点以上の温度に加熱して行われる。加熱されたα+β型チタン合金の温度としては、β変態点以上の温度であれば特に限定されるものではないが、β変態点+100℃以上であることが好ましい。また、その上限としては、特に限定されるものではないが、温度が高すぎるとα+β型チタン合金の酸化が急速に進む場合がある上、結晶粒が粗大化し過ぎてしまう場合もあるため、後に冷間圧延を行った際に、等軸粒組織を形成することが困難となる場合がある。このため、熱延を行う際のα+β型チタン合金の温度の上限としては、β変態点+250℃以下又は1200℃以下であることが好ましい。
また、前記熱間圧延材の焼鈍は、β変態点以上の温度で行われる。焼鈍温度としては、β変態点以上の温度であれば特に限定されるものではないが、温度が高すぎると結晶粒が粗大化し過ぎてしまう場合があるため、後に冷間圧延を行った際に、等軸粒組織を形成することが困難となる場合がある。このため、焼鈍温度の上限としては、β変態点+200℃以下であることが好ましい。また、焼鈍時間としては、0.5〜60分であることが好ましい。また、焼鈍に用いられる設備としては、純チタンやステンレス等の焼鈍に用いられている連続焼鈍酸洗ラインを用いることができる。
また、焼鈍された熱間圧延材の冷間圧延(以下、冷延と記す)は、その圧下率が70%以上となるように行われる。圧下率が70%未満である場合には、得られた冷間圧延材の結晶粒が針状組織となっているものが多いのに対し、圧下率を70%以上にすることで結晶粒の大半を等軸粒組織にすることができる。
なお、1回の冷延で圧下率を70%以上とすることができない場合には、冷延を複数回行い、各冷延の圧下率の合計が最終的に70%以上となるようにしてもよい。この場合、各冷延の間(例えば、1回目と2回目の冷延の間)に、中間焼鈍を行ってもよい。該中間焼鈍は、β変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で行われる。β変態点−150℃未満の温度では、冷延によって蓄積された歪みを除去することが困難となり、また、β変態点以上の温度では、結晶粒が針状組織となってしまい、機械特性に優れた薄板を得ることができない虞がある。これに対し、β変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で中間焼鈍を行うことで、このような虞を改善することができる。各中間焼鈍の時間としては、0.5〜60分であることが好ましい。また、焼鈍に用いられる設備としては、純チタンやステンレス等の焼鈍に用いられている連続焼鈍酸洗ラインやバッチ式の焼鈍炉を用いることができる。
また、前記冷延後に得られる冷間圧延材の仕上げ焼鈍は、中間焼鈍と同様の理由から、β変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で行われる。仕上げ焼鈍の時間としては、0.5分〜24時間であることが好ましい。また、仕上げ焼鈍は、純チタンやステンレス等の焼鈍に用いられる連続焼鈍酸洗ラインやバッチ式の焼鈍炉を用いることができる。なお、上記の方法により得られたα+β型チタン合金薄板は、コイル状に巻き回されることにより、α+β型チタン合金薄板コイルとすることができる。
以上のように、本発明にかかるα+β型チタン合金薄板の製造方法によれば、熱間圧延時の圧延荷重を低減することができると共に、優れた表面性状と機械特性とを有するα+β型チタン合金薄板を得ることができる。
即ち、前記α+β型チタン合金薄板の製造方法は、α+β型チタン合金をβ変態点以上の温度に加熱して熱延することで、熱延を行う際の圧延荷重を低減することができる。また、得られた熱間圧延材をβ変態点以上の温度で焼鈍することで、前記熱間圧延材に形成された展伸組織を破壊することができ、後の冷延において凹凸を伴う筋模様が表面に発生するのを防止することができる。
また、圧下率が70%以上となるように冷延を行うことで、焼鈍によって熱間圧延材に形成された針状組織を、この冷延による歪と、その後の仕上げ焼鈍により等軸粒組織とすることができる。このため、優れた機械特性を有するα+β型チタン合金薄板を得ることができる。
また、前記冷間圧延材をβ変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で仕上げ焼鈍を行うことで、冷延によって蓄積された歪みが除去され、等軸粒組織が形成されたα+β型チタン合金薄板を得ることができる。
また、1回の冷延では70%以上の圧下率を得ることができない場合であっても、冷延を複数回行い、圧下率の合計が70%以上となるようにすることができる。また、冷延を行う毎に冷間圧延材に蓄積される歪みを中間焼鈍によって除去しつつ冷延を繰り返すことができる。更に、β変態点未満の温度で中間焼鈍を行うことで、針状組織が形成されてしまうことを防止することができる。
また、前記α+β型チタン合金が、上記組成を有し、Veq値が4.0〜9.5の範囲であることで、一般的に使用されているα+β型チタン合金(Ti−6Al−4V)よりも冷延を行った際の圧延荷重を低減することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
試験1:熱間圧延(熱延)
1.試験用スラブ:
α+β型チタン合金(組成:Ti−3Al−5V、β変態点:888℃)のVAR鋳塊から作製した50mm厚のものを用いて試験を行った。
2.試験方法:
下記表1の温度条件となるように試験用スラブを加熱し、50mm厚から5mm厚となるまで熱延した。
3.評価:
熱延時の圧延荷重について、熱延を行うに際し適当であるか否かについて評価を行った。評価結果は、下記表1に示す。
Figure 0005435333
試験2:焼鈍
1.試験片:
熱延加熱温度がβ変態点以上の温度で熱延した熱延板を下記表2の温度条件で焼鈍した。そして、焼鈍後の熱延板を1mm厚となるように切削し、JIS5号の引張試験片に加工したものを用いて試験を行った。
2.試験方法:
冷延時に見られる凹凸のある筋模様を模擬するために、上記試験片を伸び率約10%となるように引張試験を行い、表面性状の観察を行った。なお、比較試験例3は、焼鈍を行わずに引張試験を行った。
3.評価:
上記引張試験において筋模様が表面に発生するようであれば、冷延時にも筋模様が表面に発生するとして評価を行った。評価結果は、下記表2に示す。
Figure 0005435333
試験3:冷間圧延(冷延)
1.試験片:
熱延加熱温度がβ変態点以上の温度で熱延した熱延板をβ変態点以上の温度で焼鈍したものを用いて試験を行った。
2.試験方法:
冷延の圧下率が下記表3に記載の条件となるように冷延を行った後、所定温度で仕上げ焼鈍を行い、試験片のミクロ組織の状態(結晶粒の状態)を観察した。
3.評価:
試験片のミクロ組織が等軸粒組織となっているか否かについて評価を行った。評価結果は、下記表3に示す。
Figure 0005435333
■まとめ
(1)試験1の結果について
熱延加熱温度がβ変態点未満の温度である比較試験例1は、熱延初期には圧延荷重が低かったものの、熱延の後半に(板厚が薄くなるに従って)温度が低下して圧延荷重が増加した。このため、熱延するのが困難となってしまった。また、熱延加熱温度がβ変態点+200℃よりも高い比較試験例2は、熱延荷重の増加の影響はなかったものの、圧延前の段階で表面の酸化が進み、厚いスケールが発生してしまったため、歩留まりが低下してしまった。さらに、圧延後の組織が粗大針状組織となっており、そのまま冷延しても等軸粒組織を形成させることが困難となってしまった。
これに対し、試験例1及び2のように、β変態点以上β変態点+200℃又は1200℃以下の温度となるように加熱して熱延を行うことで、表面酸化が過多になることがなく、熱延の後半においても熱延するのに十分な温度が維持され、温度低下に伴う圧延荷重の増加の影響を少なくすることができると認められる。また、熱延後の組織が粗大にならないため、その後の冷延によって等軸粒組織を形成することが容易に可能となる。

(2)試験2の結果について
焼鈍を行わない比較試験例3と熱延板焼鈍温度がβ変態点未満の温度である比較試験例4及び5とは、ミクロ組織(結晶粒)が熱延時に形成された展伸組織のままの状態となっている。展伸組織は、倍率100倍程度で試験片のミクロ組織を観察すると、熱延加工時の組織に起因する圧延方向に筋状の模様に形成されおり、冷延されることによって圧延方向に張力がかかると表面に凹凸筋模様が発生してしまうことが認められる。
これに対し、試験例3及び4のように熱延板焼鈍温度をβ変態点以上の温度にすることで、β再結晶されて展伸組織が破壊され、これにより、表面に凹凸筋模様が発生するのを防止することができると認められる。なお、β再結晶後、常温に冷却すると結晶組成がβ型からα型に変態し、旧β結晶粒内に針を束ねたような針状組織が形成される。

(3)試験3の結果について
冷延による圧下率が50%以下である比較試験例6〜8は、ミクロ組織が伸長組織となっており、また、圧下率が60%である比較試験例9では伸長組織と等軸粒組織とが混在していることが確認される。伸長組織は、針状組織に起因したものであり、圧化率が不足すると針状組織を十分に破壊することができないため、アスペクト比の長い粒がそのまま残存してしまったものである。また、圧化率が十分でも、仕上げ焼鈍温度が低い比較試験例11のような場合には、ミクロ組織が再結晶せず伸長組織が残存してしまう。
これに対し、試験例5,6,8のように冷延圧化率を70%以上とし、仕上げ焼鈍をβ変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で行うことでミクロ組織を等軸粒組織とすることがきる。また、試験例7のように、冷延を2回に分けて行い、その間に中間焼鈍を行った場合であっても、最終的な圧下率が70%以上となることで、ミクロ組織を等軸粒組織とすることができると認められる。

(4)以上のように、α+β型チタン合金をβ変態点以上の温度に加熱して熱延し、その後、β変態点以上の温度で焼鈍し、更に圧下率が70%以上となるように冷延した後、β変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で仕上げ焼鈍することで、熱延時の圧延荷重を低減することができると共に、表面に凹凸の筋模様が発生することのない優れた表面性状を有し、機械特性に優れた等軸粒組織を有するα+β型チタン合金薄板を得ることができる。

Claims (3)

  1. α+β型チタン合金をβ変態点以上の温度に加熱して熱間圧延し、得られた熱間圧延材をβ変態点以上の温度で焼鈍し、次いで前記焼鈍された熱間圧延材を圧下率が70%以上となるように冷間圧延を行い、得られた冷間圧延材をβ変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で仕上げ焼鈍を行い、且つ前記α+β型チタン合金が、質量%でAl:2.0〜4.0%、V:4.0〜9.0%、Zr:0〜2.0%、Sn:0〜3.0%を含有し、更にFe:0.1〜1.0%、Cr:0.01〜1.0%、Cu:0.01〜1.0%、Ni:0.01〜1.0%の内から選択される一つ以上を含有し、残部がTi及び不純物から構成されると共に、下記(1)式から得られるVeq値が4.0〜9.5の範囲であることを特徴とするα+β型チタン合金薄板の製造方法。
    Veq=V+1.9Cr+3.75Fe・・・(1)
  2. 前記冷間圧延は、複数回に分けて行われ、各冷間圧延の間にβ変態点−150℃乃至β変態点未満の温度で中間焼鈍が行われると共に、各冷間圧延の圧下率の合計が70%以上となることを特徴とする請求項1に記載のα+β型チタン合金薄板の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法により製造されるα+β型チタン合金薄板をコイル状に巻き回すことを特徴とするα+β型チタン合金薄板コイルの製造方法。
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