JP5434505B2 - インダクタ - Google Patents

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本発明は、各種の電子機器における電源回路等の基板に、チョークコイルやトランス等として実装されるインダクタに関するものである。
周知のように、各種電子機器の電源回路等の基板には、チョークコイルやトランス等として多数のインダクタが実装されている。
ところで、上記電子機器類に対する小型化および薄型化の要求に伴って、当該電子機器の回路基板に実装される上記インダクタについても、小型化や薄肉化が進められている。
さらに、薄型テレビジョンの液晶ディスプレイにおける冷陰極管の放電・点灯用の電源回路基板に対しては、上述した薄型化に加えて画面の大型化に伴い、大電流化に対応する必要もある。
そこで、近年、コイルの軸線を回路基板の実装面と平行(横置き)にしたインダクタによって上記要請への対応を図っている。
図15〜図17は、従来のこの種のインダクタを示すもので、図中符号1がこのインダクタのボビンである。このボビン1には、下面に端子1aが突設されるとともに、上記端子1aが接続される回路基板の実装面と平行な軸線を有する筒状の巻線部2が一体に形成され、当該巻線部2にコイル3が巻回されるとともに、閉磁路を形成する一対のE型コア4の中脚4aが巻線部2内に両側から挿入されたものである。
このような、コイル3を横置きしたインダクタによれば、巻線部2の軸線方向の長さ寸法を大きく取ることにより、所望とするコイル3の巻回数を確保することができるために、上述した薄型化および大電流化に対応することができるという利点がある。
しかしながら、上記構成からなるインダクタにあっては、特に大電流化へ対応するためには、両E型コア4の中脚4a間のインダクタンス調整用のギャップGを大きく取る必要がある。このため、当該ギャップGに起因して、それぞれ図16に点線で、図17に淡色で示すような、中脚4a間を透る磁束がコイル3の外方に向けて環状に大きく膨らんだ漏れ磁束が発生し、周辺回路に悪影響を及ぼす事例がしばしば問題になっている。
これに対して、図18に示すように、下面に端子5aが突設されたボビン5の上面中央に、回路基板の実装面と直交する方向に軸線を有する筒状の巻線部(図示を略す)を一体に形成し、この巻線部にコイル6を巻回するとともに、ボビン5の下面側にE型コア7を配設し、上面側にI型コア8が配設して、E型コア7の中脚7bを巻線部内に挿入し、かつE型コア7の外脚7aをI型コア8の両端下面に当接させることにより閉磁路を形成した、縦置きのインダクタを用いて、上記E型コア7の中脚を短くすることにより、上記薄型化および大電流化に対応する試みがなされている。
ところが、上記縦置きのインダクタにあっても、同様にE型コア7の中脚7bとI型コア8との間のギャップを大きく取る必要があるために、それぞれ図19に点線で、図20に淡色で示すような漏れ磁束が発生し、周辺回路に影響を及ぼすおそれがあった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、漏れ磁束の発生を抑制して周辺回路等への影響を無くすことができ、よって薄型化および大電流化に対応することが可能になるインダクタを提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明に係るインダクタは、実装面と交差する方向に軸線を有する筒状の巻線部にコイルが巻回されたボビンと、このボビンの上記実装面側に配置された第1のコアと、この第1のコアに対向配置されて閉磁路を形成する第2のコアとを備えてなり、上記第1および第2のコアの少なくとも一方は、上記ボビンの一端面側に配置された長方形状の平板部と、この平板部の長手方向の両端部に立設されて上記コイルを間に挟んで対向する一対の外脚と、上記外脚間に立設されて上記巻線部内に挿入される中脚を有するE型コアであり、上記第1および第2のコアの他方は、上記ボビンの他端面側に配設されて上記E型コアの上記平板部と対向するとともに長手方向の両端部において上記外脚と磁気的に連続する長方形状の平板部を有し、この平板部と上記中脚との間にギャップが形成されるとともに、上記第2のコアの上記平板部の短手方向の幅寸法を、上記第1のコアの上記平板部の短手方向の幅寸法よりも大きくし、かつ上記第2のコアの上記平板部の厚さ寸法を、その上記長手方向の全長にわたって、上記第1のコアの上記平板部の厚さ寸法よりも小さくしたことを特徴とするものである。
なお、第1および第2のコアにおける平板部の幅寸法とは、各々の平板部における上記外脚の対向方向と直交する方向の寸法である。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記第1および第2のコアが、ぞれぞれの上記平板部に、上記巻線部内に挿入されるとともに、互いの間にギャップを形成する上記中脚を有していることを特徴とするものである。
請求項1または2に記載の発明によれば、上方に位置する第2のコアの平板部の幅寸法を、下方に位置する第1のコアの平板部の幅寸法よりも大きくしているために、第1のコアの中脚と第2のコアとの間のギャップから漏れて外方へと広がろうとする磁束を、上方の幅広の第2のコアによって抑制して漏れ磁束を低減化して、外部回路への影響を無くすことができ、よって薄型化および大電流化にも対応することができる。
ここで、上記第1および第2のコアは、いずれか一方を中脚および一対の外脚を備えたE型コアとし、他方を少なくとも平板部を有するI型コアとして構成することができる。また、請求項2に記載の発明のように、第1および第2のコアを、ともにE型コアによって構成してもよい。
さらに、実装面に対して上方に位置する第2のコアの平板部の厚さ寸法を、第1のコアの平板部の厚さ寸法よりも小さくしているために、インダクタ全体として、より一層薄型にすることができる
本発明の第1の実施形態を示す側面図である。 図1の正面図である。 図2の平面図である。 図1のE型コアを示す平面図である。 図1の漏れ磁束を模式的に示す断面図である。 図1の漏れ磁束のCAE解析による解析結果を示す図である。 本発明の第2の実施形態を示す側面図である。 図7のE型コアおよびI型コアの形状を示す正面図である。 本発明の第3の実施形態を示す側面図である。 図9の上下E型コアの形状を示すもので、(a)は上部E型コアを示す底面図、(b)は下部E型コアを示す平面図である。 本発明の第4の実施形態を示す側面図である。 図11の上下E型コアを示す正面図である。 本発明に係る第1のコアの他の形状を示す平面図である。 本発明に係る第1のコアの他の形状を示す平面図である。 従来の横置き型のインダクタを示す正面図である。 図15の漏れ磁束の模式的に示す断面図である。 図15の漏れ磁束のCAE解析による解析結果を示す図である。 従来の縦置き型のインダクタを示す側面図である。 図18の漏れ磁束の模式的に示す断面図である。 図18の漏れ磁束のCAE解析による解析結果を示す図である。
(第1の実施形態)
図1〜図6は、本発明に係るインダクタの第1の実施形態を示すものである。
図1〜図5において、図中符号10は、このインダクタのボビンを示すもので、このボビン10は、長方形板状の基部10aと、この基部10aの両長辺側からそれぞれ側方に突出した5本の端子台10bと、上面中央に形成された円筒状の巻線部とが電気絶縁性を有する合成樹脂によって一体成形されたものである。
ここで、円筒状の巻線部は、その軸線が基部10aの板面と直交する方向に形成されており、この結果基板10aの中央部には貫通孔11が形成されている。そして、この巻線部にコイル12が巻回されるとともに、当該コイル12の端部が、端子台10bの下面から図示されない回路基板の実装面側に向けて突出する端子13に巻回されている。
また、巻線部の上端面には、長方形状の平坦面10cが形成され、当該平坦面10cの長辺側の縁部には、案内用の壁部10dが一体に形成されている。そして、これら壁部10d間の平坦面10c上に、フェライトからなるI型コア(第2のコア)14が載置されている。このI型コア14は、長方形板状の平板部14aによって形成されたものである。
他方、端子12が設けられた基部10aの下面側(すなわち、このインダクタが取り付けられる回路基板の実装面側)には、フェライトからなるE型コア15(第1のコア)が配置されている。
このE型コア15は、図4に示すように、長方形板状の平板部15aと、この平板部15aの長手方向両端部に立設された略板状の外脚15bと、これら外脚15b間の中央部に立設された円柱状の中脚15とが一体に成形されたもので、中脚15の高さ位置が、外脚15bの高さよりも低くなるように形成されている。なお、外脚15bの対向面は、コイル12の外周面に沿うように円弧面状に形成されている。
また、このE型コア15の平板部15aの長手方向の寸法は、I型コア14の平板部14aの長手方向の寸法と等しくなるように形成されている。
これに対して、図1に示すように、I型コア14は、その平板部14aの短手方向の幅寸法WIが、E型コア15の平板部15aにおける短手方向の幅寸法WEよりも、大きく形成されている。
そして、E型コア15は、平板部15aがボビン10の下面側に配置され、外脚15bがコイル12を間に挟んで対向し、かつ中脚15が巻線部内に挿入された状態で、外脚15bの端面がI型コア14の平板部14aの両端下面に接合されることにより、一体化されている。
これにより、I型コア14およびE型コア15によって、閉磁路が形成されるとともに、E型コア15の中脚15とI型コア14の平板部14aとの間には、インダクタンス調整用のギャップGが形成されている。
以上の構成からなるインダクタによれば、実装面に対して上方に位置するI型コア1の平板部14aの幅寸法Wを、下方に位置するE型コア1の平板部1aの幅寸法Wよりも大きくしているために、それぞれ図5に点線で、図6に淡色で示すように、E型コア15の中脚15とI型コア14との間のギャップから漏れて外方へと広がろうとする磁束を、上方の幅広のI型コア1によって抑制して漏れ磁束を低減化して、外部回路への影響を無くすことができる。このため、薄型化および大電流化にも対応することが可能になる。
(第2の実施形態)
図7および図8は、本発明の第2の実施形態を示すもので、第1の実施形態と同一構成部分については、同一符号を付してその説明を簡略化する。
これらの図に示すように、本実施形態のインダクタが、第1の実施形態に示したものと相違する点は、I型コア(第2のコア)14およびE型コア(第1のコア)15の平板部14a、15aにおける相対的な厚さ寸法DI、DEの関係にある。
すなわち、本実施形態のインダクタにおいては、I型コア14の平板部14aの厚さ寸法DIが、E型コア15の平板部15aの厚さ寸法DEよりも小さくなるように形成されている。
したがって、上記構成からなるインダクタによれば、第1の実施形態に示したものと同様の作用効果が得られることに加えて、さらに実装面に対して上方に位置するI型コア14の平板部14aの厚さ寸法DIを、E型コア15の平板部15aの厚さ寸法DWよりも小さくしているために、インダクタ全体として、より一層薄型にすることができるという効果が得られる。
(第3の実施形態)
図9および図10は、本発明の第3の実施形態を示すものである。
これらの図において、本実施形態のインダクタが、第1の実施形態に示したものと相違する点は、第1の実施形態におけるE型コア15の中脚15の長さ寸法が、より短く形成されるとともに、I型コア(第2のコア)14に代えて、E型コア(第2のコア)20を用いたことにある。
このE型コア20は、図10に示すように、下方のE型コア15と同様に、長方形板状の平板部20aと、この平板部20aの長手方向両端部に立設された略板状の外脚20bと、これら外脚20b間の中央部に立設された円柱状の中脚20cとが一体に成形されたものである。ここで、E型コア20は、その平板部20aの長手方向の長さ寸法や外脚20bの形状が、下方のE型コア15における平板部15aの長手方向の長さ寸法や外脚15bの形状とほぼ等しくなるように形成されている。
また、E型コア20の中脚20cの外径も、下方のE型コア15の中脚15cの外径と同一になっている。さらに、中脚20cの高さ寸法は、双方のE型コア15、20の外脚15b、20bを当接させた際に、下方のE型コア15の中脚15cとの間に所望とするギャップGが形成される寸法(図12参照)に設定されている。
ただし、E型コア20においては、その平板部20aの短手方向の幅寸法WE(upper)が、下方のE型コア15の平板部15aにおける短手方向の幅寸法WE(lower)よりも、大きくなるように形成されている。
そして、ボビン10の巻線部内には、下方からE型コア15の中脚15cが挿入されるとともに、上方からE型コア20の中脚20cが挿入され、両者間に上述したギャップGが形成されている。
(第4の実施形態)
さらに、図11および図12は、本発明の第4の実施形態を示すもので、本実施形態のインダクタは、第3の実施形態に示したE型コア20の平板部14aの厚さ寸法DE(upper)を、下方のE型コア15の平板部15aの厚さ寸法DE(lower)よりも小さくしたものである。
したがって、上記第3および第4の実施形態に示したインダクタにあっても、各々上記第1および第2の実施形態に示したものと、同様の作用効果を得ることが可能である。
なお、上記第1〜第4の実施形態においては、E型コア15、20として、円柱状の中脚15a、20aが一体形成されたものについてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図13に示すように、四角柱の中脚21cを有するE型コア21や、中脚22cの幅寸法と外脚22bの幅寸法が異なるPMコア22等も同様にして用いることが可能である。
各種の電子機器における電源回路等の基板に、チョークコイルやトランス等として実装されるインダクタとして利用可能である。
10 ボビン
12 コイル
14 I型コア(第2のコア)
15 E型コア(第1のコア)
14a、15a、20a 平板部
15b、20b、22b 外脚
15c、20c、21c、22c 中脚
20 E型コア(第2のコア)
21 E型コア
22 PMコア
I I型コアの平板部の幅寸法
E E型コアの平板部の幅寸法
I I型コアの平板部の厚さ寸法
E E型コアの平板部の厚さ寸法

Claims (2)

  1. 実装面と交差する方向に軸線を有する筒状の巻線部にコイルが巻回されたボビンと、このボビンの上記実装面側に配置された第1のコアと、この第1のコアに対向配置されて閉磁路を形成する第2のコアとを備えてなり、
    上記第1および第2のコアの少なくとも一方は、上記ボビンの一端面側に配置された長方形状の平板部と、この平板部の長手方向の両端部に立設されて上記コイルを間に挟んで対向する一対の外脚と、上記外脚間に立設されて上記巻線部内に挿入される中脚を有するE型コアであり、上記第1および第2のコアの他方は、上記ボビンの他端面側に配設されて上記E型コアの上記平板部と対向するとともに長手方向の両端部において上記外脚と磁気的に連続する長方形状の平板部を有し、この平板部と上記中脚との間にギャップが形成されるとともに、上記第2のコアの上記平板部の短手方向の幅寸法を、上記第1のコアの上記平板部の短手方向の幅寸法よりも大きくし、かつ上記第2のコアの上記平板部の厚さ寸法を、その上記長手方向の全長にわたって、上記第1のコアの上記平板部の厚さ寸法よりも小さくしたことを特徴とするインダクタ。
  2. 上記第1および第2のコアは、ぞれぞれの上記平板部に、上記巻線部内に挿入されるとともに、互いの間にギャップを形成する上記中脚を有していることを特徴とする請求項1に記載のインダクタ。
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