JP5434333B2 - 傾斜検出方法及び傾斜検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は、傾斜検出方法及び傾斜検出装置に関するものである。
物体の運動状態の検出は、一般に加速度センサーや角速度センサー(ジャイロスコープ)を物体に取り付けて行われることが多い。使用される対象としては自動車、航空機、船舶、産業用ロボットなど多岐に亘る。このような対象の場合、センサーの正確さが重要であり、消費電力の問題は二の次になる。しかしながら、例えば、斜面の動きなどを計測するような場合、センサーを設置する場所により必要となる電力供給の難しさの問題から、センサーの正確さよりも、センサー自体の消費電力の大きさが問題となる場合がある。
消費電力の小さいセンサーとしては、球状の導電体を利用した傾斜センサーが知られている。しかしながら、このような傾斜センサーを用いる場合、特定の状態の検出はできるものの、細かな状態の変化における測定の正確さは一般的に使用される加速度センサーや角速度センサーに比べて劣る。従って、正確さがそれほど要求されない用途で、かつ、消費電力を小さくする必要がある場合に傾斜センサーが用いられる場合がある。
傾斜センサーの例としては、例えば、特許文献1には、環状の枠の内周に電極を有する複数の窪みを設け、環状の枠の内側を移動する導電体が複数の窪みのいずれかに位置するかにより回転方向(傾斜方向)を検出する方向センサー装置が考案されている。
また、特許文献2には、可動する導電体の振動により発生するオン、オフのパルス時間のオン時間を累積して震度の算出に用いる地震計が考案されている。
特開平5−118842号公報 特開平10−319130号公報
しかしながら、特許文献1の方向センサー装置の場合、電極を有する複数の窪みを環状の枠の内周に製造するのが容易ではないという問題がある。また、特許文献2の地震計の場合、可動する導電体が発するオンのパルス列から震度を判定するための演算処理部(CPU、メモリー、判定プログラムなど)の負荷が大きく、消費電力が小さくなりにくいという問題がある。一般的な加速度センサーや角速度センサーの代替として用いることができる正確さを有する傾斜センサー(傾斜検出装置)ができれば、その用途は大きく広がる可能性がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の傾斜検出方法及び傾斜検出装置の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係るひとつの傾斜検出方法は、対向配置され、互いの位置関係が固定された一対の電極と、前記一対の電極間に存在する可動する導電体と、を用い、前記一対の電極は、前記可動する導電体の位置により導通の状態又は非導通の状態のいずれかの状態にあり、所定の期間内における前記導通の状態を複数のレベル値で表し、前記導通の状態が前記複数のレベル値のいずれのレベル値であるかにより、前記一対の電極の動き状態を推定することを特徴とする。
この方法によれば、対向配置され、互いの位置関係が固定された一対の電極と一対の電極の間に存在する可動する導電体を用い、可動する導電体の動きにより発生する一対の電極の導通の状態を複数のレベル値で表すことで、このレベル値を利用して一対の電極の動き状態を識別することが可能である。例えば、本適用例に係る傾斜検出方法を適用した装置を動物の体に固定しておけば、一対の電極の動きは動物の動きに対応した動きをし、一対の電極間に存在する可動する導電体の動きにより一対の電極において導通の状態及び非導通の状態が発生することから、動物の動きを識別することが可能となる。
ここで、所定の期間とは、状態を検出する対象の動きの早さに合わせて適宜設定してよい時間間隔である。例えば、限定するものではないが、動物の場合では10ms〜30msに設定すると好ましい結果となる場合が多い。
[適用例2]
上記の適用例に係る傾斜検出方法において、連続する複数の前記所定の期間における前記複数のレベル値の取る値の変化により、前記一対の電極の動き状態の変化を推定することが好ましい。
この方法によれば、連続する複数の所定の期間における複数のレベル値の変化は、例えば、動物の連続的な動きに対応して変化するものと考えることができることから、本適用例に係る傾斜検出方法を適用した装置を取り付けた動物の活動状況を知ることが可能となる。
[適用例3]
上記の適用例に係る傾斜検出方法において、前記複数のレベル値は、前記所定の期間内において、前記導通の状態の占める時間の割合により定義されることが好ましい。
この方法によれば、所定の期間内における一対の電極の導通の状態は、本適用例に係る傾斜検出方法を適用した装置を取り付けた動物の活動状況の特徴を示すものと考えられることから、所定の期間内における一対の電極の導通の状態の占める時間の割合を元にして複数のレベル値の設定の仕方を定義することはひとつの効果的な定義の仕方と考えることができる。
[適用例4]
上記の適用例に係る傾斜検出方法のひとつにおいて、前記所定の期間は、複数の所定のサンプリングタイムの合計値であり、前記導通の状態及び前記非導通の状態の検出は、前記所定のサンプリングタイムでサンプリングすることにより行い、前記サンプリングの結果が前記導通の状態であった場合、直近の前記所定のサンプリングタイムの期間において、前記一対の電極が前記導通の状態にあったと見做し、前記サンプリングの結果が前記非導通の状態であった場合、直近の前記所定のサンプリングタイムの期間において、前記一対の電極が前記非導通の状態であったと見做すことが好ましい。
この方法によれば、所定の期間が所定のサンプリングタイムの整数倍の時間間隔となることから、連続した所定の期間にまたがるサンプリングタイムをなくすことができる。所定のサンプリングタイムとは検出対象に合わせて適宜設定するサンプリング周期で決まる時間間隔のことである。所定のサンプリングタイムで一対の電極の導通の状態または非導通の状態を検出し、この検出結果が直近のサンプリングタイムにおける一対の電極の導通の状態または非導通の状態と見做すことで回路構成の複雑化を回避することが可能となると共に、複数のレベル値への量子化が容易となる。
[適用例5]
上記の適用例に係る傾斜検出方法のひとつにおいて、前記所定の期間は、ゲートタイムとして定義され、前記一対の電極が前記非導通の状態から前記導通の状態に変化した第1のタイミングと、前記一対の電極が前記導通の状態から前記非導通の状態に変化した第2のタイミングとを検出し、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとから前記ゲートタイムにおける前記一対の電極の前記導通の状態の占める時間の割合を検出することが好ましい。
この方法によれば、第1のタイミングと第2のタイミングを検出することにより、一対の電極が導通の状態となっている時間の割合を正確に検出することができる。ここにおいて、ゲートタイムとは測定範囲として定められた時間間隔のことで、任意に設定可能である。ゲートタイムは、検出対象の動きを推定可能であると想定される時間間隔であればよい。
[適用例6]
上記の適用例に係る傾斜検出方法のひとつにおいて、前記所定の期間は、ゲートタイムとして定義され、前記一対の電極が前記非導通の状態から前記導通の状態に変化した第1の回数と、前記一対の電極が前記導通の状態から前記非導通の状態に変化した第2の回数とから、前記ゲートタイムにおける前記一対の電極の前記導通の状態の占める時間の割合を推定することが好ましい。
この方法によれば、第1の回数と第2の回数とから、所定の期間内で一対の電極が導通の状態にあった時間を推定することができる。第1の回数及び第2の回数をカウントすればよいので簡易な回路構成とすることができ、複数のレベル値のいずれのレベル値になるかを容易に決定することができる。ここにおいて、ゲートタイムとは測定範囲として定められた時間間隔のことで、任意に設定可能である。ゲートタイムは、検出対象の動きを推定可能であると想定される時間間隔であればよい。
[適用例7]
上記の適用例に係る傾斜検出方法において、更に、前記複数のレベル値の変化と前記一対の電極の動きの変化とを対応付けた運動状態データを用意し、前記複数の期間の各々に対応した前記複数のレベル値の変化の検出結果と前記運動状態データを比較することにより、前記一対の電極及び前記可動する導電体を備えた物体の動きを推定することが好ましい。
この方法によれば、予め動きを検出する対象となる物体、例えば動物の運動状態データを用意しておき複数のレベル値の変化と比較することで、容易に対象となる動物の動きの状態を知ることができる。
[適用例8]
上記の適用例に係る傾斜検出方法において、前記可動する導電体は、球状の導電体であることが好ましい。
この方法によれば、可動する導電体が球状であるので、一対の電極の傾き角度による導電体の動きに対しての影響を少なくすることができる。
[適用例9]
本適用例に係るひとつの傾斜検出装置は、対向配置され、互いの位置関係が固定された一対の電極と、前記一対の電極間に存在する可動する導電体と、を含み、前記一対の電極は、前記可動する導電体の位置により導通の状態又は非導通の状態のいずれかの状態にあり、所定の期間内において、前記導通の状態を複数のレベル値で表し、前記導通の状態が前記複数のレベル値のいずれのレベル値であるかにより、前記一対の電極の動き状態を推定することを特徴とする。
この構成によれば、対向配置され、互いの位置関係が固定された一対の電極と一対の電極の間に存在する可動する導電体を含み、可動する導電体の動きにより発生する一対の電極の導通の状態を複数のレベル値で表すことで、一対の電極の動き状態を識別することが可能であり、本適用例に係る傾斜検出装置を動物の体に固定しておけば、一対の電極の動きは動物の動きに対応した動きをし、一対の電極の間に存在する可動する導電体の動きにより一対の電極が導通の状態及び非導通の状態が発生することから、動物の動きを識別することが可能な傾斜検出装置の提供が可能となる。
[適用例10]
上記の適用例に係る傾斜検出装置において、連続する複数の前記所定の期間における前記複数のレベル値の変化により、前記一対の電極の動き状態の変化を推定することが好ましい。
この構成によれば、連続する複数の所定の期間における複数のレベル値の変化は、例えば、動物の連続的な動きに対応するものと考えることができ、本適用例に係る傾斜検出装置を取り付けた動物の活動状況を推定することが可能となる。
[適用例11]
上記の適用例に係る傾斜検出装置において、前記複数のレベル値は、前記所定の期間内における前記導通の状態の占める時間の割合により決定されることが好ましい。
この構成によれば、所定の期間内における一対の電極の導通の状態は、本適用例に係る傾斜検出装置を取り付けた動物の活動状況の特徴を示すものと考えられることから、所定の期間内における一対の電極の導通の状態の占める時間の割合を元にして複数のレベル値の設定の仕方を定義することはひとつの効果的な定義の仕方と考えることができる。
[適用例12]
上記の適用例に係る傾斜検出装置のひとつにおいて、前記所定の期間は、複数の所定のサンプリングタイムの合計値であり、前記導通の状態及び前記非導通の状態の検出は、前記所定のサンプリングタイムでサンプリングすることにより行い、前記サンプリングの結果が前記導通の状態であった場合、直近の前記所定のサンプリングタイムの期間を前記一対の電極が前記導通の状態にあった時間とし、前記サンプリングの結果が前記非導通の状態であった場合、直近の前記所定のサンプリングタイムの期間を前記一対の電極が前記非導通の状態にあった時間とすることが好ましい。
この構成によれば、所定の期間が所定のサンプリングタイムの整数倍の時間間隔となることから、連続した所定の期間にまたがるサンプリングタイムをなくすことができる。所定のサンプリングタイムとは検出対象に合わせて適宜設定するサンプリング周期で決まる時間間隔のことである。所定のサンプリングタイムで一対の電極の導通の状態または非導通の状態を検出し、この検出結果が直近のサンプリングタイムにおける一対の電極の導通の状態または非導通の状態とすることで回路構成の複雑化を回避することが可能となると共に、複数のレベル値への量子化が容易となる。
[適用例13]
上記の適用例に係る傾斜検出装置のひとつにおいて、前記所定の期間は、ゲートタイムとして定義され、前記一対の電極が前記非導通の状態から前記導通の状態に変化した第1のタイミングと、前記一対の電極が前記導通の状態から前記非導通の状態に変化した第2のタイミングとを検出し、前記第1のタイミングと前記第2のタイミングとから前記ゲートタイムにおける前記一対の電極の前記導通の状態の占める時間の割合を検出することが好ましい。
この構成によれば、第1のタイミングと第2のタイミングを検出することにより、所定の期間内において、一対の電極が導通の状態となっている時間の割合を正確に検出することができる。ここにおいて、ゲートタイムとは測定範囲として定められた時間間隔のことで、任意に設定可能である。ゲートタイムは、検出対象の動きを推定可能であると想定される時間間隔であればよい。
[適用例14]
上記の適用例に係る傾斜検出装置のひとつは、前記所定の期間は、ゲートタイムとして定義され、前記一対の電極が前記非導通の状態から前記導通の状態に変化した第1の回数と、前記一対の電極が前記導通の状態から前記非導通の状態に変化した第2の回数とから前記ゲートタイムにおける前記一対の電極の前記導通の状態の占める時間の割合を決定することが好ましい。
この構成によれば、第1の回数と第2の回数とから、所定の期間内で一対の電極が導通の状態にあった時間を推定することができる。第1の回数及び第2の回数をカウントすればよいので簡易な回路構成により、複数のレベル値のいずれのレベル値になるかを決定することができる。ここにおいて、ゲートタイムとは測定範囲として定められた時間間隔のことで、任意に設定可能である。ゲートタイムは、検出対照の動きを推定可能であると想定される時間間隔であればよい。
[適用例15]
上記の適用例に係る傾斜検出装置において、前記一対の電極の各々は対向する側に凹部を有し、前記可動する導電体は前記一対の電極の各々の凹部により形作られる空間に存在するが好ましい。
この構成によれば、簡易な構造を持つ傾斜検出装置を構成することができる。
[適用例16]
上記の適用例に係る傾斜検出装置において、前記可動する導電体は、球状の導電体であることが好ましい。
この構成によれば、可動する導電体が球状であるので、一対の電極の傾き角度による導電体の動きに対しての影響を少なくすることができる。
[適用例17]
上記の適用例に係る傾斜検出装置において、更に、前記複数のレベル値の変化と前記一対の電極の動きの変化とを対応付けた運動状態データを用意し、前記複数のレベル値の変化の検出結果と前記運動状態データを比較することにより、前記一対の電極及び前記可動する導電体を備えた物体の動きを検出することが好ましい。
この構成によれば、予め動きを検出する対象となる物体、例えば、動物の運動状態データを用意しておき複数のレベル値の変化と比較することで、容易に対象となる動物の動きの状態を知ることができる。
本発明の実施形態の説明に用いる傾斜検出装置のブロック図。 第1実施形態の多値化を示す図。 第2実施形態の多値化を示す図。 第3実施形態の多値化を示す図。 第1実施形態の運動状態の判定の説明に用いるタイムチャート図。 第1実施形態の運動状態の判定例におけるタイムチャート図。 第1実施形態の運動状態の判定例におけるタイムチャート図。 第1実施形態の運動状態の判定例におけるタイムチャート図。 第1実施形態の処理フローを説明するためのフローチャート図。
以下、本発明の傾斜検出方法及び傾斜検出装置の実施形態について、図を用いて説明する。
まず、図1に傾斜検出装置のブロック図を示し、各構成要素の機能を下記に説明する。図1に示したブロック図は、傾斜検出装置の主要な構成要素を示すこと目的としたものであり、傾斜検出装置のすべての構成要素を含むものではない。また、後述するすべての実施形態は同じ構成要素を有する。
図1中、一対の電極と一対の電極との間で可動する球状の導電体を有するのがセンサー1である。図1において、センサー1は球状の導電体が一対の電極の各々に接しており、一対の電極は導通の状態にある。図1において、センサー1の中の球状の導電体の存在する側、つまり図の下側が重力の方向となる。センサー1が90度回転し一対の電極のいずれかが図の下側、つまり重力の方向側に来た場合、球状の導電体は重力の方向側の電極にのみ接することになり、一対の電極は非導通の状態となる。
センサー1に何らかの衝撃が与えられ一対の電極に動きが発生した場合、球状の導電体は、球状の導電体の慣性力や一対の電極の各々から与えられる衝撃により一対の電極間を振動する。この振動が一対の電極間に導通の状態や非導通の状態を引き起こすことになる。
センサー1の導通の状態及び非導通の状態は検出部2に出力され、検出部2によって適当に設定された閾値による2値化によりパルス列化され、パルス列化されたデータは時系列的に演算処理部3に出力される。蓄積部4は、演算処理部3が処理に用いるデータの一時的な保存を行う部分である。演算処理部3は、検出部2から所定の期間内に出力されたパルス列を複数のレベル値の中のいずれかのレベル値に変換し、判定部5に出力する。これにより、判定部5に出力されるレベル値は、所定の期間の時系列に対応したデータ列となる。
判定部5は、所定の期間の時系列に対応したデータ列を分割し、分割したデータ列の変化を辞書部6に予め保存されている物体の運動状態データと照合することで、傾斜検出装置が取り付けられた対象の動きを判定し、判定結果を出力部7に出力する。
(第1実施形態)
本実施形態は、上述した傾斜検出装置において、演算処理部3に時系列で入力されるパルス列を複数のレベル値のデータ列に変換するひとつの方法を示したものである。また、本実施形態の説明において上述した傾斜検出装置の動作の説明を改めて行う。センサー1からの出力は、「導通の状態」(以降「オン」と記述する)及び「非導通の状態」(以降「オフ」と記述する)のいずれかとなる。検出部2には、オンまたはオフの区別をするために予めセンサー1に掛かる電圧にあわせた閾値が設定されている。
検出部2は、予め設定されたサンプリングクロックによりセンサー1の出力をサンプリングする。このサンプリングタイムをΔtとする。検出部2が生成したパルス列のデータを図2の上側のチャートに示す。傾斜検出装置を取り付ける対象が動物であるような場合、サンプリングタイムΔtは5ms〜10msに設定に設定するのが好ましい場合が多い。
演算処理部3は、検出部2から送られてくるパルス列のデータを順次蓄積部4に記憶する。演算処理部3は、所定の期間Tの間パルス列のデータを受け取ると蓄積部4に記憶した所定の期間Tに対応するパルス列のデータを読出し、所定の期間Tにおけるパルス列が複数のレベル値のなかのどのレベル値に対応するかを決定する。
本実施形態において、所定の期間TをΔtの5倍の時間とする。演算処理部3は、サンプリングしたときの状態がオンであればΔtの間オンであったとし、また、サンプリングしたときの状態がオフであればΔtの間オフであったとする。複数のレベル値は、次のように設定する。
所定の期間Tにおいて、すべての時間がオンの場合を、レベル3、とする。
所定の期間Tにおいて、[オンの時間の合計]≧[オフの時間の合計]を、レベル2、とする。
所定の期間Tにおいて、[オンの時間の合計]<[オフの時間の合計]を、レベル1、とする。
所定の期間Tにおいて、すべての時間がオフの場合を、レベル0、とする。
上記のように複数のレベル値を設定した場合、傾斜検出装置が緩やかな動きが多い場合は球状の導電体の動きは激しくなく、レベル3またはレベル3にレベル2が混じった状態が多いと考えられる。傾斜検出装置の動きが激しくなるに従い球状の導電体の動きが激しくなり、オン、オフの頻度が増え、レベル2やレベル1の状態の割合が多くなると考えられる。また、レベル3またはレベル0の状態が固定して継続する場合は傾斜検出装置を取り付けた対象物の動きが殆どない状態と考えられる。
複数のレベル値の設定を上記のようにした場合のパルス列と所定の期間Tのレベル値の例を図2の下側のチャートに示す。演算処理部3は、時系列の所定の期間Tに対応した時系列のレベル値のデータ列を判定部5に出力する。
判定部5では、少なくとも2種類の処理を行う。2種類の処理のひとつの処理(以降「第1の処理」と記載する)は、演算処理部3から出力される時系列のレベル値のデータ列を適切なデータ数に分割することである。2種類の処理の他のひとつの処理(以降「第2の処理」と記載する)は、分割した各々のデータ列を辞書部6に保存してある複数の運動状態データと比較することである。
辞書部6に保存されている複数の運動状態データの各々は、n個の連続したレベル値で記述されている。従って、判定部5は、第1の処理において時系列のレベル値のデータ列をn個の連続するレベル値のデータ列に分割する必要がある。
上述したn個の連続するレベル値のデータ列のnは、固定されている必要はない。複数の運動状態データの各々は個別の長さを有していてよい。また、nを特定の数値に固定してもかまわない。nがどのような数値となるかは、複数の運動状態データの各々をどのような運動状態データにしておくかで決まるものであり、対象となる運動を解析した結果により適切な形に決まるものである。
従って、判定部5は予め複数の運動状態データの各々がどのような長さで記述されているかを認識しておき、レベル値のデータ列の分割を、辞書部6に保存されている複数の運動状態データに合わせて適切な数(ここではn1とする)に分割する必要がある。例えば、判定部5はレベル値のデータ列の値の変化の仕方から分割する数を判断するようにしてもよい。
第1の処理の後、判定部5は、辞書部6に保存してある複数の運動状態データの中からn1の長さを有する運動状態データと比較をする第2の処理を行い、該当する運動状態データを選択し、選択した結果を判定結果として出力部7に出力する。判定部5は少なくとも上述した第1の処理及び第2の処理を、次々と出力されてくるレベル値のデータ列に対して繰り返し実行する。
次に、具体的に本実施形態における傾斜検出装置を動物に取り付けて得た運動状態データを辞書部6に保存してある場合の判定部5の動作を説明する。図5は、演算処理部3から判定部5に出力されたレベル値のデータ列である。図5における時間的な流れは左から右である。また、縦軸はレベル値を示す。各レベル値は、レベル3は表示がなく、レベル2は縦軸の3から2にかけての棒線で、レベル1は縦軸の2から1にかけての棒線で、レベル0は縦軸の1から0にかけての棒線で表現される。各レベル値の表現の仕方は、図6〜図8も同じである。尚、図5〜図8は、複数のレベルに跨って棒線が見える部分が存在するが、これは時間軸を圧縮して記載しているためである。図5中A〜Hは、判定部5が分割したレベル値のデータ列の領域を示す。A〜Hの領域は均等に分割されている。
図5中、Aの領域で示す部分は所定の期間T内のオンの割合がオフの割合よりも多いレベル2のデータが多く続いている領域であり、比較的穏やかな同じ動作を行っていると推定することができる。例えばゆっくりと同じテンポで歩くような動作を想定することができる。その後、Bの領域で示す部分はオフの割合がオンの割合よりも多くなるレベル1が発生し、C〜Eの領域もオフの割合がオンの割合よりも多くなるレベル1はBの領域と似た形で発生している。これはAの領域よりもやや激しい動きではあるがB〜Eにおいては同じ動作を繰り返していると推測することが可能であり、やや速いペースでの歩きに移行したと推定することができる。
FとHの領域ではレベル0の状態が発生している。レベル0の発生頻度が少ないことから、この時間帯には歩く速さはやや速いペースを持続しているものの、急激な変化が発生する状況があったと考えることができる。例えば動物の直前を何かが横切るとかで瞬間的に動くスピードを落としたようなケースを想定することが可能である。Gの領域はB〜Eと同じ動作をしていたことが想定される。以上から、A〜Hの領域の動物の動きは、最初はゆっくり歩行していた(Aの領域)がやや速いペースでの歩行に変わり(B〜Hの領域)、2度歩行ペースに影響がでるようなハプニングに遭遇した(F及びHの領域)と想定することが可能となる。
レベル値のデータ列の例を図6〜図8に示す。傾斜検出装置を取り付けた動物が用心深くそろりそろりと進む場合は図6のようなレベル値のデータ列を示す。ゆっくり進み、途中で停止するような場合は図7のようなレベル値のデータ列を示す。また、停止状態を含み素早く進むような場合は図8のようなレベル値のデータ列を示す。図6〜図8に示すデータを運動状態データとして辞書部6に保存しておくことで、本実施形態に係る傾斜検出装置を取り付けた動物の様々な行動を検知することが可能となる。
図9は、本実施形態に係る傾斜検出装置のデータの流れに沿った処理フローの例を示すものである。処理がスタートするとリセット及び初期設定(S101)が行われ、センサー1からは球状の導電体の位置で決まる状態を示す信号が出力され、検出部2がこれらを適切な閾値を元に判断したパルス列信号を生成する(S102)。検出部2から出力されたパルス列信号を演算処理部3が検出し、所定の期間Tの間パルス列信号の一部は蓄積部4に記憶される(S103)。演算処理部3は所定の期間Tの経過を認識するとこの間に入力されたパルス列信号からレベル値を決定し判定部5に出力する(S104)。判定部5は、入力されるレベル値のデータ列を適切な数のデータ数に分割する(S105)。判定部5はS105の処理で分割したデータ列を辞書部6に保存してある運動状態データを基に傾斜検出装置の運動状態を判定し(S106)、出力する(S107)。尚、S107の処理は傾斜検出装置外部に出力する形態でもよいし、傾斜検出装置内部にメモリーを設け、メモリーに記憶する形態でもかまわない。以上のデータの流れに沿ったフローは停止指示が出るまで繰り返される。また、図9はデータの流れに沿った処理フローの説明のためのものであり、傾斜検出装置の各構成要素の動作は平行して行われる。
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態において、複数のレベル値の算出の仕方を変えた例である。所定の期間Tにおける一対の電極のオンとオフの時間の割合を、所定の期間Tにおけるオフからオンに変わる第1の回数とオンからオフに変わる第2の回数の差から推定する。複数のレベル値は次のように設定される。
所定の期間Tにおいて、オンから変化しない場合を、レベル3、とする。
所定の期間Tにおいて、[第1の回数]≧[第2の回数]の場合を、レベル2、とする。
所定の期間Tにおいて、[第1の回数]<[第2の回数]の場合を、レベル1、とする。
所定の期間Tにおいて、オフから変化しない場合を、レベル0、とする。
図3に本実施形態におけるサンプリングのチャートを示す。複数のレベル値の設定の仕方が異なることで、検出部2及び演算処理部3の構成は第1実施形態と異なってくる。検出部2はオフからオンを検出する第1の微分回路とオンからオフを検出する第2の微分回路を有しサンプリング用のクロックが必要なくなり、第1実施形態に比較して簡易な回路で済むことになる。演算処理部3についても所定の期間Tにおける第1の回数と第2の回数との差分を算出すればよいので第1実施形態に比べて簡易にすることが可能である。また、蓄積部4も第1の回数及び第2の回数のカウントとリセットの機能があればよいため、独立した回路としなくとも演算処理部3内にカウンターを設けて実現することも可能となる。
また、本実施形態はサンプリングクロックが必要ないことから、所定の期間Tをサンプリングタイムの倍数の時間間隔にする必要がない。上述した違い以外の点においては、本実施形態は第1実施形態における実施形態を踏襲することができる。
(第3実施形態)
本実施形態は、第1実施形態において、複数のレベル値の算出の仕方を変えた例である。所定の期間Tにおける一対の電極のオンとオフの時間の割合を直接用いる方法である。複数のレベル値の設定は次のように設定する。
所定の期間Tにおいて、オンから変化しない場合を、レベル3、とする。
所定の期間Tにおいて、1>{[オンの状態の時間]/[オフの状態の時間]}≧0.5の場合を、レベル2、とする。
所定の期間Tにおいて、0.5>{[オンの状態の時間]/[オフの状態の時間]}>0の場合を、レベル1、とする。
所定の期間Tにおいて、オフから変化しない場合を、レベル0、とする。
図4に本実施形態におけるサンプリングのチャートを示す。第2実施形態で用いた第1の微分回路及び第2の微分回路とタイマーを用いることで、所定の期間Tにおけるオン及びオフの計測が可能である。本実施形態は、直接時間間隔を計測して複数のレベル値のいずれになるかを算出することから、レベル値の設定を正確に行うことができる。
本実施形態はレベル値の設定が正確になる代わりに、タイマーが必要になること及び除算が必要となることから第1実施形態及び第2実施形態に比べて演算処理部3の内部構造が複雑になる。また、本実施形態は第2実施形態と同様にサンプリングクロックが必要ないことから、所定の期間Tをサンプリングタイムの倍数の時間間隔にする必要がない。上述した違い以外の点においては、本実施形態は第1実施形態における実施形態を踏襲することができる。
以上、本発明に掛かる実施形態の説明を行ったが、本発明の実施は上述した実施形態に限られるものではない。例えば、いずれの実施形態においても複数のレベル値を0〜3の4段階に設定を行っているが、4段階以外に設定してもよい。また、辞書部6に保存する運動状態データをより限られた動作を対象としたものにし判定部5の判定を厳密なものにして用途を限定するようにしてもよい。また、判定部5が特定の動きのみを検出するようにしてもかまわない。
1…センサー、2…検出部、3…演算処理部、4…蓄積部、5…判定部、6…辞書部、7…出力部。

Claims (11)

  1. 対向配置され、互いの位置関係が固定された一対の電極と、
    前記一対の電極間に存在する可動する導電体と、
    を用い、
    前記一対の電極は、前記可動する導電体の位置により導通の状態又は非導通の状態のいずれかの状態にあり、
    所定の期間内における前記導通の状態を複数のレベル値で表し、
    前記導通の状態が前記複数のレベル値のいずれのレベル値であるかにより、前記一対の電極の動き状態を推定する傾斜検出方法であって、
    前記所定の期間は、ゲートタイムとして定義され、
    前記一対の電極が前記非導通の状態から前記導通の状態に変化した第1の回数と、
    前記一対の電極が前記導通の状態から前記非導通の状態に変化した第2の回数とから、
    前記ゲートタイムにおける前記一対の電極の前記導通の状態の占める時間の割合を推定することを特徴とする傾斜検出方法。
  2. 連続する複数の前記所定の期間における前記複数のレベル値の取る値の変化により、前記一対の電極の動き状態の変化を推定することを特徴とする請求項1に記載の傾斜検出方法。
  3. 前記複数のレベル値は、前記所定の期間内において、前記導通の状態の占める時間の割合により定義されることを特徴とする請求項1または2に記載の傾斜検出方法。
  4. 更に、前記複数のレベル値の変化と前記一対の電極の動きの変化とを対応付けた運動状態データを用意し、
    前記複数の期間の各々に対応した前記複数のレベル値の変化の検出結果と前記運動状態データを比較することにより、前記一対の電極及び前記可動する導電体を備えた物体の動きを推定することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の傾斜検出方法。
  5. 前記可動する導電体は、球状の導電体であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の傾斜検出方法。
  6. 対向配置され、互いの位置関係が固定された一対の電極と、
    前記一対の電極間に存在する可動する導電体と、
    を含み、
    前記一対の電極は、前記可動する導電体の位置により導通の状態又は非導通の状態のいずれかの状態にあり、
    所定の期間内において、前記導通の状態を複数のレベル値で表し、
    前記導通の状態が前記複数のレベル値のいずれのレベル値であるかにより、前記一対の電極の動き状態を推定する傾斜検出装置であって、
    前記所定の期間は、ゲートタイムとして定義され、
    前記一対の電極が前記非導通の状態から前記導通の状態に変化した第1の回数と、
    前記一対の電極が前記導通の状態から前記非導通の状態に変化した第2の回数とから前記ゲートタイムにおける前記一対の電極の前記導通の状態の占める時間の割合を決定することを特徴とする傾斜検出装置。
  7. 連続する複数の前記所定の期間における前記複数のレベル値の変化により、前記一対の電極の動き状態の変化を推定することを特徴とする請求項6に記載の傾斜検出装置。
  8. 前記複数のレベル値は、前記所定の期間内における前記導通の状態の占める時間の割合により決定されることを特徴とする請求項6または7に記載の傾斜検出装置。
  9. 前記一対の電極の各々は対向する側に凹部を有し、前記可動する導電体は前記一対の電極の各々の前記凹部により形作られる空間に存在することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の傾斜検出装置。
  10. 前記可動する導電体は、球状の導電体であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の傾斜検出装置。
  11. 更に、前記複数のレベル値の変化と前記一対の電極の動きの変化とを対応付けた運動状態データを用意し、
    前記複数のレベル値の変化の検出結果と前記運動状態データを比較することにより、前記一対の電極及び前記可動する導電体を備えた物体の動きを検出することを特徴とする請求項6乃至10のいずれか一項に記載の傾斜検出装置。
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