JP5433806B1 - 出銑口装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】出銑口装置は、鉄皮11と、前記鉄皮11の内側に沿って張られた耐熱レンガ13と、前記鉄皮11を貫通しかつ前記耐熱レンガ13に対向して配置された筒状のハウジング16と、前記ハウジング16の前記耐熱レンガ13側端部に設置された環状または筒状のシール体20とを有し、前記シール体20は、前記ハウジング16との間を全周にわたって気密シールするハウジング側シール221と、前記耐熱レンガ13との間を全周にわたって気密シールするレンガ側シール222とを有する。
【選択図】図2
Description
出銑口は、出銑時以外は粘土状のマッド材により封止されている。出銑する際には、専用の開孔機を用いて外部からマッド材を穿孔し、出銑口を開いて溶銑を流出させている。このような出銑作業は2〜3時間毎に行われる。
図7において、高炉の炉体90は、鉄皮91の内側に冷却用のステーブ92を配列し、その炉内側に保護用の耐熱レンガ93を張って構成される。鉄皮91とステーブ92ないし耐熱レンガ93の隙間には、スタンプ材あるいはキャスタブル等の不定形耐火材94が充填される。
図8において、出銑口周辺の耐熱レンガ93の目地隙間が緩む等により、この隙間を通じて炉内ガスG1が耐熱レンガ93の外側に漏れ出すことがある。漏れ出したガスG2は、耐熱レンガ93の表面に沿って出銑口部分95に達し、さらに出銑用の通路97内に入り込むことがある。
このようにして通路97内に漏れ出したガスG3は、出銑のため通路97を通されている溶銑を吹き飛ばし、流れを乱す等の好ましくない挙動を示す。その結果、出銑作業に支障をきたし、出銑作業を都度中断させなくてはならないことがある。そして、出銑作業が連続して行えないと、必要量の溶銑を出銑するために、出銑作業の回数を増やさなければならず、出銑口の開閉を無駄に繰り返す必要が生じる可能性がある。
しかし、図8に示すように、出銑口部分95へのガスリークは、近傍の耐熱レンガ93の目地だけから生じるものではなく、例えば出銑口部分95から離れた部位のレンガ目地から漏れ出した炉内ガスが、ステーブ92の炉内側面に沿って流れ、出銑口部分95に達することもある。また、漏れ出したガスG4がステーブ92の目地に生じた隙間から鉄皮91側に達し、鉄皮91の内側に沿って流れ、出銑口部分95に達することもある。
このように、前述した特許文献1で提案されている対策では、出銑時のガスリークの抑制が十分でなく、ガスリークによる出銑障害を十分に解決できないという問題がある。
このようなシール体により、ハウジング近傍のレンガ目地から漏れ出した炉内ガスや、ステーブ内側あるいは鉄皮内側に沿って伝わってくる炉内ガスは、シール体の内部ないしハウジング内部に侵入することが防止される。
この通路は、シール体により周囲に対して気密シールされ、炉内ガスの侵入を防止されているから、出銑時においてもガスリークを抑制することができ、ガスリークによる出銑障害を解消することができる。
このような付勢機構としては、ガイドロッドに複数の皿ばねを挿通した構造、ガイドロッドにコイルばねを挿通した構造、ガイドロッドと並列に圧縮ばねを配置した構造が適宜利用できる。さらに、ハウジングを変位可能に支持する構成としては、シール体自体をハウジングの内周面あるいは外周面に対して摺動させる構造としてもよく、このような構造とする場合、付勢機構はガイドロッド等を用いずに、単に圧縮ばねでシール体を付勢する構造などとしてもよい。
なお、ハウジング側シールは、ハウジング内周面の寸法形状に応じて設計することで、気密シールに必要なハウジング内周面に対する圧接性能を確保すればよい。
このような本発明では、ひとつのシール部材でハウジング側シールおよびレンガ側シールを形成でき、構造が簡素にできる。また、シールホルダでシール部材を支持するため、シール部材の全体が弾性材料でも所定の設置位置を維持することができる。
このような本発明では、ひとつのシール部材でハウジング側シールおよびレンガ側シールを形成できるとともに、弾性材料の被覆の内側のシールホルダには剛性を確保することができ、所定の位置に設置して同位置を維持することができる。さらに、シール部材およびシールホルダをひとつのシール体として扱うことができ、構造が簡素にでき、製造あるいは設置に先立つ運搬等も効率的に行うことができる。
このような本発明では、ハウジング側シール部材およびレンガ側シール部材を個別に設置できるため、ハウジングと耐熱レンガとの距離が大きい場合、あるいは形状が特殊な場合などにも適切に対応することができる。
このような本発明では、鉄皮側シールおよびハウジング外側シールにより、鉄皮に沿って流通する炉内ガスを遮断することができ、出銑時のガスリークの抑制をさらに強化することができる。この際、ハウジングの周囲のステーブがハウジングの全周にわたって連続しているため、鉄皮側シールおよびハウジング外側シールも環状に連続して形成することができ、気密シールを確実なものとすることができる。
〔第1実施形態〕
図1において、高炉の炉体10は、鉄皮11の内側に冷却用のステーブ12を配列し、その炉内側に保護用の耐熱レンガ13を張って構成される。鉄皮11とステーブ12ないし耐熱レンガ13の隙間には、スタンプ材あるいはキャスタブル等の不定形耐火材14が充填される。
高炉の出銑口部分15には、鉄皮11を貫通する筒状のハウジング16が設置される。ハウジング16の先端はステーブ12の開口を挿通して耐熱レンガ13の表面に対向するように配置される。ハウジング16の内部を通して炉内に至る出銑用の通路17が形成されている。
通路17は、ハウジング16内の不定形耐火材14を貫通し、さらに耐熱レンガ13をその表面(鉄皮11側の表面)から炉内側(図中左側)へと延びている。
通路17内には、通常は封止用のマッド材が充填されており、出銑時にのみマッド材が除去されて管状の通路となり、炉内の溶銑が自身のヘッド圧および炉内の圧力により炉外(図中右側)へと送り出される。
図2にも示すように、ハウジング16の耐熱レンガ13側端部内には、同端部の開口縁に沿って環状のシール体20が配置されている。
シール体20は、シールホルダ21で支持されたシール部材22を有する。
シールホルダ21には周方向に所定間隔でガイドロッド23が固定されている。ハウジング16の内周面にはステー24が溶接等で固定されており、各ガイドロッド23はそれぞれ対応するステー24に挿通されて軸方向に進退可能に支持されている。
なお、ガイドロッド23には、ステー24の耐熱レンガ13とは反対側にナット26が螺合されており、このナット26により外れ止めがなされるとともに、前述した付勢力を発生させるための初期圧縮が行われている。
これらのガイドロッド23および皿ばね25により、付勢機構が構成されている。
前述のように、シールホルダ21は耐熱レンガ13に向けて付勢されており、シールホルダ21が耐熱レンガ13に向けて変位することで、その傾斜面により耐熱レンガ13表面に向けて押し付けられるとともに、ハウジング16の端部開口の内周面にも押し付けられる。言い換えれば、シール部材22は、ハウジング16端縁と耐熱レンガ13表面との隙間に向けて押し付けられる。
なお、シール部材22の外径は、ハウジング16内周径よりも幾分大きく形成され、ハウジング16内にシール部材22を収容した際にはシール部材22の外周がハウジング16の内周面に圧接され、気密シールとして十分な圧接性能が確保されている。
また、シールホルダ21によってシール部材22が耐熱レンガ13の表面にシール部材22の全周にわたって押し付けられることで、耐熱レンガ13の表面とシール部材22との間に気密シール性能を有するレンガ側シール222が形成される。
従って、耐熱レンガ13の目地から漏れ出した炉内ガスG1が、耐熱レンガ13の表面に沿って流れるガスG2、あるいはステーブ12の目地から漏れ出して鉄皮11の内側に沿って流れるガスG4となり、ハウジング16近傍に流れてきたとしても、ハウジング16端縁と耐熱レンガ13表面との隙間はシール体20によって封止され、リークガスがハウジング16内ないし出銑用の通路17内に吹き込むことを防止することができる。
ステーブ12は、図3に示すように、鋳鉄または銅合金等で形成された板状の本体120を有し、その内部には冷却用配管122が形成されているとともに、中央部には出銑用開口121が形成されている。
本体120の鉄皮11側の表面(図2参照)には、出銑用開口121に沿って環状に連続した凸条123が形成され、その先端面には耐熱性エラストマで形成されたシール部材124が装着されている。また、出銑用開口121の内側には、凸条123が形成された側の開口縁に沿って内向きの凸条125が形成され、その先端面には耐熱性エラストマで形成されたシール部材126が装着されている。
前述のように、ハウジング16と耐熱レンガ13との間は、ハウジング側シール221およびレンガ側シール222を有するシール体20により気密シールされているが、これらのシール部材124,126によって鉄皮11の内側からのガスG4が遮断されることで、通路17に至るガスリークの防止性能を一層高めることができる。
このような3分割方式とすることで、ハウジング16を通すための開口84を形成することが容易である。
しかし、このような3分割式のステーブ81,82,83では、開口84の周縁も分割されるため、全周にわたって連続した気密シールを形成することが難しい。
これに対し、図3のような一枚もののステーブ12を用いることで、全周にわたって連続したシール部材124,126を設置することが容易にできる。
なお、従来の出銑口部分15用のステーブとしては2分割式もあるが、前述した3分割式と同様な問題があり、図3のような一枚もののステーブ12のほうが望ましい。
本実施形態では、シール体20により、ハウジング16と耐熱レンガ13の表面との間の隙間を封止することができる。シール体20は、ハウジング側シール221によりハウジング16の内周に対して全周にわたって気密シールすることができ、レンガ側シール222により耐熱レンガ13の表面に対して全周にわたって気密シールすることができる。
これにより、ハウジング16の内部および出銑用の通路17は、シール体20によって周囲に対して気密シールされ、ハウジング16近傍のレンガ目地から漏れ出した炉内ガスG1、耐熱レンガ13の表面やステーブ12あるいは鉄皮11に沿って伝わってくるガスG2,G4等が通路17まで侵入することを防止でき、出銑時のガスリークを十分に抑制し、ガスリークによる出銑障害を解消することができる。
シール部材22は全体が弾性部材であるが、これを支持するシールホルダ21に十分な剛性を確保することができ、シール部材22を所定の位置に維持することができる。
シール部材22においては、ハウジング側シール221およびレンガ側シール222からシールホルダ21までの距離が大きく、当該部分で圧縮されるシール部材22の弾性材料の厚みが大きくなり、気密シール性能を向上することもできる。
なお、シールホルダ21の付勢機構としては、ガイドロッド23に挿通された皿ばね25のほか、ガイドロッドにコイルばねを挿通した構造、ガイドロッドと並列に圧縮ばねを配置した構造を利用してもよい。
本実施形態は、前述した第1実施形態と同様な構造を有するが、シール体20とは異なる構成を有する。従って、共通する構成については第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略し、以下には相違するシール体について詳細に説明する。
シール部材22Aは、前述した第1実施形態のシール部材22(図2参照)と同様の位置に配置される。その結果、シール部材22Aがハウジング16の端部開口の内周面に全周にわたり押し付けられることで、ハウジング16の内周とシール部材22Aとの間に気密シール性能を有するハウジング側シール221が形成される。また、シール部材22Aが耐熱レンガ13の表面にシール部材22の全周にわたって押し付けられることで、耐熱レンガ13の表面とシール部材22Aとの間に気密シール性能を有するレンガ側シール222が形成される。
これらのシールホルダ21Aおよびシール部材22Aにより、ハウジング側シール221およびレンガ側シール222を有するシール体20Aが形成され、ハウジング16と耐熱レンガ13の表面との隙間はシール体20Aにより封止される。
さらに、本実施形態のシール体20Aは、シールホルダ21Aの表面に耐熱性エラストマで形成されたシール部材22Aを被覆して構成されるため、これらを一体に取り扱うことができ、設置スペースを小型化できるとともに、製造工程を簡略化することができる。
本実施形態は、前述した第1実施形態と同様な構造を有するが、シール体20とは異なる構成を有する。従って、共通する構成については第1実施形態と同じ符号を付して説明を省略し、以下には相違するシール体について詳細に説明する。
シールホルダ21Bは、ハウジング16の内周面に沿う筒状の部分と耐熱レンガ13の表面に沿う環状の板材とを溶接して製造することができる。ただし、L形鋼を環状に曲げて製造してもよい。
これらのハウジング側シール部材221Bおよびレンガ側シール部材222Bは、各々全周にわたって連続した耐熱性エラストマで形成されている。
ハウジング側シール部材221Bは、ハウジング16に押し付けられることでハウジング側シールを形成し、レンガ側シール部材222Bは耐熱レンガ13の表面に押し付けられることでレンガ側シールを形成する。
これらのシールホルダ21B、ハウジング側シール部材221Bおよびレンガ側シール部材222Bにより、シール体20Bが形成されている。
さらに、本実施形態のシール体20Bは、シールホルダ21Bにハウジング側シール部材221Bおよびレンガ側シール部材222Bを別々に設置するため、各々の距離が離れていたり、各々の向きが異なっていたりしても、柔軟に対応が可能であり、設計自由度を高めることができる。
また、ハウジング側シール部材221Bおよびレンガ側シール部材222Bは、各々の表面を幅広い面でハウジング16あるいは耐熱レンガ13の表面に圧接させることができ、気密シール性能を一層高めることができる。
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形等は本発明に含まれるものである。
前述した各実施形態では、シール体20,20A,20Bを環状あるいは筒状に形成したが、その断面形状は筒状のハウジング16に従って形成すればよい。例えば、ハウジング16の断面形状が矩形、多角形状あるいは円形等であれば、その断面形状に応じた形状でシール体20,20A,20Bを形成すればよい。
前述した各実施形態では、シール体20,20A,20Bをハウジング16の内側に設置したが、ハウジング16の外側に設置してもよい。この場合、付勢機構であるガイドロッド23および皿ばね25はハウジング16の外周面に設置し、ハウジング側シール221はハウジング16の外周面に対して気密シールされる構成とすることが必要である。
さらに、付勢機構はハウジング16に設置されてシール体20,20A,20Bを付勢するものに限らず、耐熱レンガ13の表面あるいはステーブ12で支持するようにしてもよい。
また、前述した一枚もののステーブ12において、環状に連続したシール部材124,126は省略してもよく、一枚ものになっていることで鉄皮11内面とステーブ12背面との間のリークを皆無にできるので有効である。
その他、各部の寸法、細部形状、材質等は、それぞれ実施にあたって適宜変更することができる。
11…鉄皮
12…ステーブ
120…本体
121…出銑用開口
122…冷却用配管
123,125…凸条
124,126…シール部材
13…耐熱レンガ
14…不定形耐火材
15…出銑口部分
16…ハウジング
17…通路
20,20A,20B…シール体
21,21A,21B…シールホルダ
22,22A…シール部材
221…ハウジング側シール
222…レンガ側シール
221B…ハウジング側シール部材
222B…レンガ側シール部材
23…付勢機構であるガイドロッド
24…ステー
25…付勢機構である皿ばね
26…ナット
Claims (6)
- 鉄皮と、前記鉄皮の内側に沿って張られた耐熱レンガと、前記鉄皮を貫通しかつ前記耐熱レンガに対向して配置された筒状のハウジングと、前記ハウジングの前記耐熱レンガ側端部に設置された環状または筒状のシール体とを有し、
前記シール体は、前記ハウジングと前記シール体との間を全周にわたって気密シールするハウジング側シールと、前記耐熱レンガと前記シール体との間を全周にわたって気密シールするレンガ側シールとを有することを特徴とする出銑口装置。 - 請求項1に記載した出銑口装置において、
前記シール体は、前記ハウジングの外周面または内周面に沿って前記ハウジングの軸方向に変位可能に支持され、かつ付勢機構により前記耐熱レンガに向けて付勢されていることを特徴とする出銑口装置。 - 請求項1または請求項2に記載した出銑口装置において、
前記シール体は、耐熱性の弾性材料で形成された環状または筒状のシール部材と、前記シール部材を支持する環状のシールホルダとを有することを特徴とする出銑口装置。 - 請求項1または請求項2に記載した出銑口装置において、
前記シール体は、環状または筒状のシールホルダと、前記シールホルダの表面を被覆する耐熱性の弾性材料で形成されたシール部材とを有することを特徴とする出銑口装置。 - 請求項1または請求項2に記載した出銑口装置において、
前記シール体は、環状または筒状のシールホルダと、前記シールホルダに設置されて前記ハウジングに圧接されるハウジング側シール部材と、前記シールホルダに設置されて前記耐熱レンガに圧接されるレンガ側シール部材とを有することを特徴とする出銑口装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載した出銑口装置において、
前記ハウジングの周囲にはステーブが設置され、前記ステーブは前記ハウジングを挿通可能な貫通孔を有し、
この貫通孔の周囲には、環状に連続しかつ前記鉄皮に対して気密シールされる鉄皮側シールと、環状に連続しかつ前記ハウジングの外周面に対して気密シールされるハウジング外側シールとが形成されていることを特徴とする出銑口装置。
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