JP5433471B2 - 積層フィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、換気扇やレンジフード等に設置されるグリスフィルタの空気吸入側に設けられた枠体に取り付けられて用いられる積層フィルタに関する。
換気扇やレンジフードの吸入口には、調理時に発生する油煙や埃等(以下、油煙等ともいう。)によって排煙用のファン等が直接汚れないようにするために、油煙等を捕獲するグリスフィルタと称される金属製のフィルタが取り付けられている。しかし、このグリスフィルタは、油煙等の捕集性が不十分でフード内部を汚してしまう上、掃除が面倒であるため、その手間を軽減するために、その外側の枠体に更に不織布等の素材からなる使い捨てのフィルタ(所謂レンジフード用フィルタ)が取り付けられて使用されている。このようなレンジフード用フィルタによる油煙等の捕集率を高めるための方法として、用いる繊維の繊維径を細くする、用いる繊維の量を増やすなどの方法でフィルタの目を細かくする方法が考えられる。しかし、そのようにしてフィルタの目を細かくして捕集率を高めると、フィルタ通過時の圧力損失が増大し通気性が低下してしまう。また、油等の保持量を増大させ、使用可能期間を長くする事が望ましいが、保持量を増大させるには繊維量を増大させる必要があり、圧力損失の増大につながる。このことは、レンジフード用フィルタの装着によって換気扇ファンの吸引を阻害し換気性能を低下させることにつながる。また、フィルタ通過時の圧力損失の増大を抑えるために繊維量を減らしたり、フィルタの密度を下げ嵩高にすると、一般にレンジフード用フィルタの剛性が低下したり、捕集性能が低下してしまう。また、剛性が低下すると、レンジフード用フィルタをグリスフィルタの枠体に取り付ける際に、ゆるみを生じ、グリスフィルタにレンジフード用フィルタを密着させることができず、捕集率の低下を招き、裏面のグリスフィルタや換気扇本体の汚れの原因となってしまう。
従って、フィルタ通過時の圧力損失の増大を抑えるとともに剛性の高く、使用期間の長い、各性能のバランスのとれたフィルタが必要とされている。
前記の技術とは別に、特許文献1には、平均繊維径が0.5〜6.0μm、嵩密度0.05〜0.50g/cm3の極細不織布と、平均繊維径10〜60μm、嵩密度0.05〜0.50g/cm3の繊維シートとを積層し、高さ3〜100mmの凹凸状に成形したフィルタが記載されている。このフィルタは空気清浄機、掃除機、自動車、マスク等に用いられ、微細な粒子の捕集を長期間にわたり持続させることを目的とするものである。しかし、フィルタ通過時の圧力損失の増大を抑えるとともに剛性が高く使用期間が長い、各性能のバランスが取れたフィルタに関しての開示はない。
また、特許文献2及び特許文献3には、2層以上の不織布を積層し、吸引側(外側)に配される不織布を密なものとし、かつファン側(内側)に配される不織布を疎なものとしたフィルタが記載されている。しかし、フィルタ通過時の圧力損失の増大を抑えるとともに剛性が高く使用期間の長い、各性能のバランスが取れたフィルタに関しての開示はない。
特開平4−180808号公報 特開平8−24535号公報 特開2000−218113号公報
したがって、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し、フィルタ通過時の圧力損失の増大を抑えるとともに剛性が高く使用期間の長いフィルタを提供することにある。また、圧力損失、剛性、使用期間をバランスよく調整可能なフィルタを提供することにある。
本発明は、繊維シートからなる裏面層と繊維シートからなる表面層とを有する積層フィルタであって、前記積層フィルタは、前記裏面層が、流体吸入の下流側に位置するように使用されるものであり、前記裏面層は、複数個の貫通口を有しており、前記裏面層における前記貫通口以外の部分の繊維間距離が、前記表面層の繊維間距離よりも長い積層フィルタを提供するものである。
本発明の積層フィルタによれば、フィルタ通過時の圧力損失の増大が抑えられるとともに剛性が高いので、取り付け時にゆるみ、たるみが生じず、捕集率を高めることができる。また、本発明の積層フィルタによれば、油の保持量、圧力損失、剛性、使用期間等のバランスが取れたフィルタを提供することが出来る。
図1は、本発明の本実施形態の積層フィルタの斜視図である。 図2は、図1に示す積層フィルタをグリスフィルタの枠体に取り付ける状態を説明する説明図である。 図3は、図1に示す積層フィルタのX1−X1線端面図である。 図4(a)は、従来のフィルタにおける流体の流れを示す模式図であり、図4(b)は、本発明の積層フィルタにおける流体の流れを示す模式図である。 図5は、圧力損失の測定法を示す模式図である。 図6は、表面層の一部に撥油性の繊維を用いた場合の油滴の捕集の様子を示す模式図である。
以下、本発明の積層フィルタを、その好ましい実施形態に基づき、図1〜図3を参照しながら説明する。尚、各図中、同一符号は同一の構成要素を示している。
本実施形態の積層フィルタ1は、図1,図3に示すように、繊維シートからなる裏面層2と繊維シートからなる表面層3とを有している。裏面層2と表面層3とは、接合一体化されているか、又は非接合状態で積層されている。裏面層2と表面層3とが接合一体化されている場合、両者の接合方法としては、これらの層の構成材料等に応じ、接着剤による接着や熱の作用による融着、及び超音波による融着等の公知の接合手段が採用される。
積層フィルタ1は、裏面層2が、流体吸入の下流側に位置するように使用されるものである。積層フィルタ1が、図2に示すように、遮蔽部4を有する枠体5に取り付けられて使用される場合には、裏面層2が、枠体5に対向するように、枠体5に取り付けられて使用される。枠体5としては、例えばレンジフードの空気吸入側に設置されているグリスフィルタや、エアコンや排気ダクト等に備えられている格子状又はその他の形状の遮蔽部を有する部材等が挙げられる。枠体5における遮蔽部4とは、枠体5におけるフィルタを構成するための部位のことである。この部位は流体の通過を遮蔽するので、本発明において遮蔽部4と呼んでいる。例えば枠体5がグリスフィルタである場合、グリスフィルタはバッフル型とメッシュ型に大別されるところ、バッフル型グリスフィルタのバッフル板が上述の遮蔽部4に該当する。メッシュ型の場合、パンチングメタルやエキスパンドメタルの金属部分が遮蔽部4に該当する。エアコンや排気ダクト等に備えられている枠体における遮蔽部4とは、例えばフィルタを構成する格子状の部位を言う。なお、枠体5は、通常、本実施形態の積層フィルタのような使い捨てフィルタの取り付け用として具備されているものではなく、ゴミ等の吸引防止や整流機能、またグリスフィルタでは換気扇の汚染防止のため用いられているものであるが、本願では便宜的に枠体と称する。また、枠体5は、壁や天井等より個別に取り出されて、使い捨てフィルタを取り付ける場合と、取り出されずに、使い捨てフィルタを取り付ける場合があり、その取り付け方法に制限はない。
本実施形態の積層フィルタ1は、図1,図2に示すように、図1に記載のX方向に長い長方形状である。本実施形態の積層フィルタ1においては、図1に示すように、同形同大の裏面層2及び表面層3から形成されている。即ち、本実施形態の積層フィルタ1の裏面層2及び表面層3も、X方向に長い長方形状である。積層フィルタ1は、図1に示すように、そのX方向の長さL1が、260mm〜1800mmであり、図1に記載のY方向(幅方向)の長さW1が、260mm〜600mmである。尚、X方向とY方向とは、互いに直交する関係にある。
裏面層2は、複数個の貫通口20を有している。貫通口20は、裏面層2の厚み方向に貫通する開口であり、圧力損失を低減させつつ、剛性、強度を保つ観点から、裏面層2の10cm2当たり25個〜200個形成されていることが好ましく、10cm2当たり50個〜100個形成されていることが更に好ましい。
圧力損失を低減させつつ、剛性、強度を保つ観点、及び油保持量の維持の観点から、裏面層2における貫通口20の開口率、即ち、複数個の貫通口20の総面積が、裏面層2の全面積に対して10%〜60%であることが好ましく、25%〜50%となるように形成されることが更に好ましい。
本実施形態の裏面層2は、均一な円形状の貫通口20が、X方向及びY方向に均等な間隔を空けて配されて形成されている。即ち、本実施形態においては、裏面層2は、円形状の貫通口20が、X方向に一定の間隔L3(4mm〜14mm)を空けて並置されX方向に一直線状の列をなしており、この列がY方向に一定の間隔を空けて並置されて形成されている。ここで、通口20の直径Lは、圧力損失を低減させつつ、剛性、強度を保つ観点から、2〜15mmであることが好ましく、2〜8mmであることが更に好ましい。また、この列には、Y方向に隣接する列の貫通口20と同じ位置に貫通口20が配されており、貫通口20はY方向にも一直線状の列をなし、この列がX方向に一定の間隔を空けて並置されて形成されている。尚、貫通口20の形状は、本実施形態においては、均一な円形状であるが、楕円形状、三角形状、台形状等であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。また、本実施形態においては、貫通口20は、X方向又はY方向に一定の間隔に配されているが、不定であってもよい。また、貫通口20は、隣接する列同士では貫通口20が隣り合わないよう、いわゆる千鳥配置としてもよい。
裏面層2における貫通口20以外の部分21の繊維間距離は、圧力損失の増大を抑え、疎な空間を形成する観点から、後述する表面層3の繊維間距離よりも長く形成されている。裏面層2の部分21の繊維間距離は、圧力損失を可能な限り抑えつつ疎な空間を形成しつつも、シートとしてある程度の剛性、強度を持たせる必要がある観点から、50μm〜300μmであることが好ましく、70μm〜250μmであることが更に好ましい。裏面層2の平均繊維間距離は、次式から算出される。
Figure 0005433471
また、貫通口20の設けられた裏面層20の貫通口20以外の部分21の繊維間距離については、計算時に以下の式から算出される裏面層2の見かけの坪量w’を、坪量wの代わりに用いて計算を行なっている。

裏面層2の坪量w’=w × (100/(100−a))

ここで、w’は裏面層2の見かけの坪量(g/m2)を表し、wは裏面層2の実際の坪量(g/m2)を表し、aは裏面層2の開口率(%)を表す。
裏面層2の貫通口20は繊維間距離より大きいものであり、その大きさは、圧力損失の増大を十分に抑える観点から、裏面層2における貫通口20以外の部分21の繊維間距離の30倍以上であることが好ましく、35倍以上であることが更に好ましい。「貫通口20の大きさ」とは、本実施形態のように、均一な円形状である場合には、直径L2(図3参照)を意味するが、その他の形状の場合は、最も開口の大きい位置での長さを意味する。圧力損失の増大を抑える観点からは、裏面層2の貫通口20の大きさは、裏面層2の部分21の繊維間距離に比べて大きくするほど良好であるが、後述する裏面層2の破断強度、剛性、伸度を確保する観点から、上限は、裏面層2の部分21の繊維間距離の150倍以下であることが好ましい。
本実施形態の積層フィルタ1は、貫通口20を備え、空間形成能の高い裏面層2に特徴の一つを有する。詳細には、図4(a)に示すように、従来のフィルタ100においては、これを、遮蔽部4を有する枠体5に取り付けると、フィルタ100のうち、遮蔽部4に対向していない部位においては、流体の流路が短いので枠体5を通過するときの抵抗は小さいが(図中、Aで示す)、遮蔽部4に対向している部位においては、遮蔽部4によって流体の通過が妨げられ、遮蔽部4が存在していない部位まで迂回しないと流体が通過できない(図中、Bで示す)。その結果、流体の流路が長くなり、それに起因して通過抵抗が大きくなる。この理由により、従来のフィルタ100では、目的物を捕集するのに十分な流体の速度を確保することが容易ではなかった。これに対して、図4(b)に示すように、本実施形態の積層フィルタ1においては、これを、遮蔽部4を有する枠体5に取り付けると、表面層3と枠体5の遮蔽部4との間に、裏面層2に起因する空間Sが形成される。この空間Sの存在によって、積層フィルタ1のうち、遮蔽部4に対向している部位においても、流体は空間Sをショートカットして枠体5を容易に通過できる。その結果、流体の流路長を図4(a)に示す場合よりも短くできるので(図4(b)中、B’で示す)、通過抵抗の増大を防止できる。この理由により、本実施形態の積層フィルタ1によれば、捕集層となる表面層3の目を細かくしても、目的物を捕集するのに十分な流体の速度を確保することが可能となる。
本実施形態における裏面層2の空間形成能は、前記貫通口20以外の部分21の繊維間距離、貫通口20の面積率、及び裏面層2の厚みで表される。貫通口20以外の部分21の繊維間距離、貫通口20の面積率、及び裏面層2は、その値が大きいほど、裏面層2の空間形成能が高いと判断される。
裏面層2は、50Pa荷重下における厚みが、裏面層2を通過する通気の通過抵抗を抑え、十分な流体の速度を確保する観点から、0.5mm〜12mmであることが好ましく、1mm〜5mmであることが更に好ましい。厚みは、裏面層2と表面層3とが一体化している場合には、積層フィルタ1から裏面層2を、貫通口20が潰れないように、剥離して、裏面層2において10点測定し、それらを平均して求めた値である。厚みの測定時に50Paの荷重をかける理由は、裏面層2は、その材質によっては、流体が濾過するときの吸引力によって厚み方向に圧縮され、その厚みが潰れてしまう場合があるからである。裏面層2の厚みは、装着する遮蔽部の形状によっても変化するが、およそ5mm程度で流体の速度は上限に達する。それ以上厚みを上げることで流体の速度にマイナスに作用することはないが、必要以上の厚みを持たせることは実用的ではなく、積層フィルタ1の厚みが無用に大きくなるので、その上限は12mm程度が好ましい。
〔厚みの測定方法〕
X方向に100mm、Y方向に100mmの寸法の正方形形状の測定片を切り出す。この切り出された正方形形状の測定片を測定サンプルとする。測定サンプル上に直径5.6cm、重さ12.6gの円形形状の金属製の平板をのせ、50Paの荷重をかけた状態とし、キーエンス社製のレーザー厚み計を用いて厚みを測定し、裏面層2の厚みとする。
裏面層2は、貫通口20により圧力損失の増大を抑えるとともに、表面層3と枠体5との間に空間を形成し、積層フィルタ1の剛性を高める観点から、裏面層2は、外力が加わったときに変形しづらい性質のものであることが好ましい。このような性質について本発明者らが検討した結果、裏面層2はその剛性、または破断強度が高いことが有利であることが判明した。また、裏面層2はその伸度が低いことが有利であることが判明した。具体的には、裏面層2の剛性に関しては、カンチレバー法で測定した剛性の値が25mm以上であることが好ましく、50mm以上であることが更に好ましい。裏面層2の破断強度に関しては、破断強度の値が1〜150N/25mmであることが好ましく、3〜100N/25mmであることが更に好ましい。伸度に関しては、0.5N/25mmの引張応力を加えたときの伸度が1〜15%であることが好ましく、1〜8%であることが更に好ましい。剛性、破断強度及び伸度は、裏面層2のX方向及びY方向のいずれか一方において前記の範囲を満たしていることが好ましく、両方向において前記の範囲を満たしていることが更に好ましい。剛性、破断強度及び伸度は以下の方法で測定される。なお、積層フィルタ1から裏面層2または表面層3の各物性を測定する場合、裏面層2と表面層3とが一体化している場合には、貫通穴20が潰れない様に、または表面層3の繊維構造が壊れない様に、積層フィルタ1から剥離して測定サンプルを得る。
〔剛性の測定〕
X方向及びY方向それぞれにおいて、幅20mm長さ150mmに切り出し、それを測定サンプルとし、JIS L 1096 8.19.1に準拠したカンチレバー法によって測定する。
〔破断強度の測定法〕
X方向に100mm、Y方向に25mmの寸法の長方形形状の測定片を切り出す。この切り出された長方形形状の測定片を測定サンプルとする。この測定サンプルを、X方向が引張方向となるように、引張試験機のチャックに取り付ける。チャック間距離は50mmとする。測定サンプルを300mm/分で引っ張り、サンプル破断までの最大荷重点をMDの破断強度とする。また、Y方向に100mm、X方向に25mmの寸法の長方形形状の測定片を切り出し、これを測定サンプルとする。この測定サンプルを、そのY方向が引張方向となるように引張試験機のチャックに取り付ける。上述したX方向の破断強度の測定方法と同様の手順によってY方向の破断強度を求める。
〔伸度の測定法〕
X方向及びY方向に関し、上述した〔破断強度の測定法〕と同様の手順で測定サンプルを用意し、その測定サンプルを引張試験機のチャックに取り付けて引っ張る。このときの条件も、上述した〔破断強度の測定法〕と同様である。荷重値が0.5Nのときにおける伸長した測定サンプルの長さを測定し、下記式から0.5N/25mm荷重時の伸度を求める。
伸度(%)={(伸長時の長さ−50)/50}×100
貫通口20を有する裏面層2は、貫通口以外の部分における圧力損失が、積層フィルタ1としての圧力損失を増大させずに流体の速度を十分に高める観点から、風速0.8m/sの時、20Pa以下であることが好ましく、10Pa以下であることが更に好ましい。裏面層2の圧力損失は、裏面層単体で測定するが、貫通口を形成する前の貫通口がない状態で測定するのが好ましい。圧力損失は、以下の方法で測定される。
〔圧力損失の測定〕
測定サンプルを、直接レンジフードに装着して圧力損失を測定する場合、ダクト内外の気圧差やフードの隙間などが原因で、測定誤差が大きくなってしまうため、図5に示すように、レンジフードを模した装置を用いて測定を行う。該模した装置には、ブロアーに昭和電気製、EC−100T−R313を用い、その前方に口径直径14cm(面積154cm2)、長さ95cmの筒を取り付け、その筒の内部におけるブロアーから54cm風上に測定サンプルが設置される。なお、ブロアーの吸引によって筒内に吸気を行なって空気の流れを発生させるため、筒内のブロアー側が風下となる。測定サンプルからブロアーまでの筒内と筒外との圧力差を測定するため、OMRON株式会社製圧力差測定機(モデルE8Y−AR2C)を設置する。該測定機では、測定サンプルの中心から23cm風下側(筒内のブロアーから31cm風上側)の位置で、筒の外部の外気との圧力差を測定する。
次に、風速測定機として日本カノマックス株式会社製の風速測定機(モデル6541)を用い、測定サンプルを取り付けた状態で、測定サンプルの中心から20cm風上側の位置での風速を測定しながら、該位置での風速が風速0.8m/sとなるようブロアーを調整する。この条件下において風速0.8m/s時の圧力差を測定し、圧力損失を求める。
筒の内部に、測定サンプルのみを取り付けて測定した場合を「単体の圧力損失」とする。また、測定サンプルを枠体(三菱レンジフードV−6037K6−BL用クロスキャッチフィルターを直径14cmに切り出したものを使用)とともに筒の内部に取り付けた状態で測定を行った場合を、「枠体取り付け時の圧力損失」とする。これらの場合、測定サンプルは筒内径と隙間がないよう周囲をシールして取り付けられるが、シールによって筒内の測定サンプルが通気されるのは直径13cmの領域となる。
裏面層2は、表面層3と枠体5との間に空間を形成し、圧力損失を低減する効果を得るため、嵩高な繊維シートから構成されていることが好ましい。繊維シートとしては、不織布、織布、編み物地、ネット材料又はこれらの複合材料等を用いることができる。積層フィルタ1は一般に使い切りされるものなので、経済性を考慮すると繊維シートとして不織布を用いることが好ましい。
裏面層2として不織布を用いる場合、該不織布としては、エアレイド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布、ケミカルボンド不織布などの各種不織布を用いることができる。これらの不織布のうち、嵩高である観点から、エアレイド不織布、エアスルー不織布を用いることが好ましい。エアレイド不織布、エアスルー不織布を用いる場合、構成繊維の繊維径は、15μm〜50μmであることが好ましく、その坪量が10〜50g/m2であることが好ましく、10〜20g/m2であることが更に好ましい。
貫通口20は、平板状シートにパンチ刃やピンなどを用いて形成することができる。また、不織布の場合、繊維ウェブを作成する工程で開口を設け、それをシート化することで形成してもよく、水流などにより繊維ウェブをシート化すると同時に形成してもよい。
表面層3は、目的物を十分に捕集する観点から、その繊維間距離が、50μm〜250μmであることが好ましく、60μm〜150μmであることが更に好ましい。表面層3の平均繊維間距離は、裏面層2の繊維間距離と同様の上式から算出される。
表面層3を構成する繊維シートとしては、不織布、織布、編み物地、ネット材料又はこれらの複合材料等を用いることができる。積層フィルタ1は一般に使い切りされるものなので、経済性を考慮すると繊維シートとして不織布を用いることが好ましい。
表面層3として不織布を用いる場合、該不織布としては、スパンレース不織布、エアレイド不織布、エアスルー不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布、ケミカルボンド不織布などの各種不織布を用いることができる。これらの不織布のうち、繊維を自由に選択でき、難燃性繊維などを使用しやすいという観点から、スパンレース不織布を用いることが好ましい。スパンレース不織布を用いる場合、構成繊維の繊維径は、7μm〜35μmであることが好ましい。また、表面層としてエアスルー不織布やエアレイド不織布を用いた場合、嵩高な不織布を形成できるため圧力損失を低減でき、好適に用いる事ができる。エアスルー不織布やエアレイド不織布を用いる場合も、構成繊維の繊維径は、7μm〜35μmであることが好ましい。さらに、表面層としてケミカルボンド不織布を用いた場合、繊維を自由に選択でき、嵩高であり、さらにバインダーとして難燃剤を添加することで難燃性能を向上させることができるため、好適に用いることが出来る。ケミカルボンド不織布を用いる場合も、構成繊維の繊維径は、7μm〜35μmであることが好ましい。
不織布からなる表面層3は、その坪量が20〜150g/m2、特に20〜100g/m2であることが好ましい。またその厚み(50Pa荷重下)は0.5〜10mmであることが好ましく、1〜5mmであることが更に好ましい。表面層3の厚みは、裏面層2の厚みと同様に測定される。不織布からなる表面層3は、その単独での圧力損失が、捕集性、防汚性を確保する観点から、2〜35Paであることが好ましく、5〜35Paであることが更に好ましい。表面層3の圧力損失は、上述した段落〔0029〕で示した方法で測定される。
積層フィルタ1を、例えばレンジフードに取り付けて使用される油捕集用フィルタとして用いる場合には、表面層3として、外方を向く第1層と、裏面層2の側を向く第2層とを有し、第2層の構成繊維の表面が撥油性を有しているものを用いることが、油滴の裏抜けが効果的に防止されるので好ましい。この理由は次のとおりである。
図6には、上述の構成の表面層3の縦断面が模式的に示されている。この表面層3においては、その厚み方向における片側の略半面の領域に存する繊維F1の表面が撥油性を有しており、残りの略半面の領域に存する繊維F2の表面は撥油性を有していない。この表面層3を、繊維F2が存する側をレンジ側(外方を向く側)に位置させて使用した場合、図6に示すように、油成分Aは先ずレンジ側に位置する繊維F2に付着する。繊維F2は撥油性を有していないので、繊維F2に付着した油成分Aは、繊維F2の表面に濡れ広がり油膜Mを形成する。油膜Mを構成する油成分Aは毛細管現象によって、ファン側(裏面層2側、枠体5側)に向かって表面層3の厚み方向に移行する。ファン側に向かって移行する油成分Mは繊維F1が存する領域まで到達すると、該繊維F1の有する撥油性によって油膜Mの形成が妨げられ、また毛細管現象による移行も妨げられる。その結果、繊維F1の表面において油滴の状態で存在するようになり、毛細管力が作用しづらくなる。その結果、油成分Aは表面層3のファン側に移動しづらくなる。このような理由によって油成分Aの裏抜けが防止される。
繊維F1の表面が撥油性を有するようにするためには、(イ)撥油剤を有していない繊維を用いて不織布を作製し、その後に撥油剤又は撥油剤を添加した樹脂を塗工する等、繊維の表面を撥油性処理する方法、(ロ)撥油性の繊維を用いて表面層3を作製する方法がある。(イ)の場合、例えば繊維の表面にフッ素系撥油剤をコーティング処理して撥油性を付与すればよい。
繊維F1の表面をフッ素系撥油剤でコーティング処理するためには、例えば繊維の表面にフッ素樹脂のエマルジョンを付与し、これを乾燥させればよい。これによって繊維の表面にフッ素樹脂を膜状に付着させることができる。乾燥後に熱処理を施すことで、繊維の表面に付着したフッ素樹脂の密着性を高めることができる。フッ素樹脂のエマルジョンを繊維の表面に付与するには、例えば該エマルジョンをディッピング(含浸)させたり、該エマルジョンをスプレー噴霧したり、該エマルジョンを泡立て処理したりすればよい。その他の方法として、希釈フッ素ガス、低温プラズマによるもの、グロー放電によるスパッタリングによって、繊維の表面をフッ素化し撥油性を付与することができる。
フッ素樹脂としては、テトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン・パーフルオロプロピルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン樹脂、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂、ヘキサフルオロプロピレン・フッ化ビニリデン共重合体、及びポリイミド系変性フッ素樹脂、PPS系変性フッ素樹脂、エポキシ系変性フッ素樹脂、PES系変性フッ素樹脂、フェノール系変性フッ素樹脂、パーフルオロアルキルエチレン基を有するアクリレート重合体やメタクリレート共重合体等が挙げられる。また、フッ素樹脂のエマルジョンを用いることもできる。そのようなエマルジョンとしては、例えば旭硝子製のフッ素樹脂であるアサヒガード(登録商標)AG−7000を用いることができる。
フッ素樹脂を付着させる量は、フッ素樹脂を付着させる前の繊維の重量に対して0.1〜10重量%、特に0.5〜2重量%とすることが好ましい。付着量を0.5重量%以上とすることで、繊維の表面に十分な撥油性を付与することができる。また付着量を10重量%以下とすることで、過剰付着に起因するフィルタの通気性の低下が防止される。
繊維自体を、撥油性を有する材料から構成する場合、該材料としては、上述した各種のフッ素樹脂を用いることができる。
撥油性処理に使用する撥油剤として、フッ素系撥油剤以外に、一部の界面活性剤を用いることもできる。そのような界面活性剤は、これを不織布に塗工し乾燥させることによって、撥油性を発現させることができる。例えば、非イオン性界面活性剤であるアルキルグルコシド、両性界面活性剤であるラウラミドプロピルベタインを不織布に塗工し乾燥させることによって、繊維に撥油性を付与できる。また、フッ素を配合した油剤を表面に塗布した繊維のなかには、加熱することにより繊維表面が撥油性を示すものがあり、そのような繊維を本発明で使用することもできる。そのような繊維の例としては、宇部日東製の超撥油不織布用原綿、UCファイバー HR−PLEが挙げられる。
撥油性の繊維を用いて不織布を作製する場合に用いられる該繊維としては、フッ素が練り込まれた繊維、フッ素樹脂からなる繊維が挙げられる。そのような繊維の例としては、東レ製のフッ素繊維であるトヨフロン(登録商標)や、デュポン製のテフロン(登録商標)等が挙げられる。
撥油処理した表面層3は、例えば次の方法で製造できる。まず撥油性の持たない繊維を用いて表面層3を作成し、片面からスプレーでフッ素樹脂のエマルジョンを塗布する。その後、熱により薬剤を乾燥させる。
以上の構成を有する本実施形態の積層フィルタ1は、上述したとおり、レンジフードの油捕集用フィルタとして特に有用であり、その他にエアコン用フィルタや排気用ダクトのフィルタ等の気体用フィルタとして有用である。本実施形態の積層フィルタ1においては、裏面層2よりも表面層3の方が低通気性なので、積層フィルタ1の通気性は表面層3の通気性によって支配される。したがって、積層フィルタ1の通気度は、表面層3の通気度と実質的に同じになる。
裏面層2及び表面層3の繊維シートを構成する構成繊維は、換気扇やレンジフード用の油捕集用フィルタとして用いる場合には、安全性の観点から、不燃性繊維又は難燃性繊維であることが好ましい。不燃性繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維等を用いることができ、難燃性繊維としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクラール、難燃ポリエステル、難燃アクリル、難燃レーヨン、難燃ポリプロピレン、難燃ポリエチレン、難燃ポリ乳酸等を用いることが好ましい。あるいは、不燃物繊維及び/又は難燃性繊維を混綿することが好ましい。難燃性繊維とはLOI値が26以上の繊維のことである。
裏面層2及び表面層3の構成繊維が不燃性繊維や難燃性繊維でない場合、又は不燃性繊維や難燃性繊維であっても防炎性が不十分である場合には、後加工工程でハロゲン系又はリン系の難燃剤を繊維に施したり、ポリホウ酸の難燃剤を繊維に施したりしてもよい。あるいは難燃剤を含んだ樹脂をバインダーとして繊維表面に施して、その被膜を形成してもよい。
裏面層2及び表面層3の構成繊維が不燃性繊維や難燃性繊維でなくてもよい場合には、該構成繊維として公知の繊維形成用合成樹脂からなる合成繊維、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン系材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系材料、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系材料、ポリアクリルニトリル系材料、レーヨン、各種ゴム等からなる繊維を用いることができる。また、ポリ塩化ビニル等のビニル系材料や、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン系等からなる繊維を用いることもできる。更に、これらの材料の変成物、アロイ又は混合物等からなる繊維を用いることもできる。カーボンニュートラルな繊維であるため環境負荷も少ないことから、ポリ乳酸繊維も好適に用いることが出来る。
上述した裏面層2及び表面層3を積層して形成された積層フィルタ1は、フィルタ通過時の圧力損失の増大が抑えられるとともに剛性が高いので、捕集率を高めることができる。形成された積層フィルタ1の剛性は50mm以上となることが好ましく、70mm以上となることが更に好ましい。形成された積層フィルタ1は、剛性が高いので、ゆるみを生じずに、枠体5に密着して取り付けることができる。尚、剛性は、積層フィルタ1を、X方向及びY方向それぞれにおいて、幅20mm長さ150mmに切り出し、それを測定サンプルとし、JIS L 1096 8.19.1に準拠したカンチレバー法によって測定した。剛性は、積層フィルタ1のX方向及びY方向のいずれか一方において前記の範囲を満たしていることが好ましく、両方向において前記の範囲を満たしていることが更に好ましい。
形成された積層フィルタ1は、その破断強度に関しては、破断強度の値が1〜150N/25mmであることが好ましく、3〜100N/25mmであることが更に好ましい。形成された積層フィルタ1は、破断強度が高いので、外力が加わったときに変形し難く、枠体5に密着して取り付けることができる。積層フィルタ1の破断強度は、裏面層2と同様の方法で測定される。伸度に関しては、0.5N/25mmの引張応力を加えたときの伸度が1〜15%であることが好ましく、1〜8%であることが更に好ましい。伸度は、積層フィルタ1のX方向及びY方向のいずれか一方において前記の範囲を満たしていることが好ましく、両方向において前記の範囲を満たしていることが更に好ましい。形成された積層フィルタ1は、表面層3単体の場合と比較して伸度が低いので、外力が加わったときに変形し難く、枠体5に密着して取り付けることができる。
形成された積層フィルタ1は、その単体の圧力損失に関しては、捕集性、防汚性を確保する観点から、5〜40Paであることが好ましく、10〜35Paであることが更に好ましい。
また、形成された積層フィルタ1は、その枠体取り付け時の圧力損失に関しては、捕集性、防汚性を確保する観点から、5〜50Paであることが好ましく、10〜40Paであることが更に好ましい。
上述した本発明の実施形態の積層フィルタ1を、その裏面層2を流体吸入の下流側(枠体5側)に位置するように配して、使用した際の作用効果について説明する。
本実施形態の積層フィルタ1は、図1,図3に示すように、裏面層2と表面層3との積層体であることにより、油の保持量を多くすることができ、また、剛性が高くなるので、枠体5への取り付け時にゆるみ、たるみが生じ難く、油の捕集率を高めることができる。また、本実施形態の積層フィルタ1は、図1,図3に示すように、裏面層2が複数個の貫通口20を有しており、更に裏面層2における貫通口20以外の部分21の繊維間距離が、外方を向く側に配される表面層3の繊維間距離よりも長いので、フィルタ通過時の圧力損失の増大を抑えることができる。更に、本実施形態の積層フィルタ1は、裏面層2の貫通口20の大きさや貫通口20の面積率等を制御することで、油の保持量、圧力損失、剛性、使用期間等のバランスが取れたフィルタを提供することが出来る。
本発明の積層フィルタは、上述の実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、積層フィルタをレンジフード用の油捕集用フィルタとして用いる場合には、コンロ側の表面層3のみ、不燃性繊維や難燃性繊維の繊維で構成してもよい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
(1)裏面層
坪量40g/m2のエアスルー不織布を用いた。この不織布は、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(繊維径17.5μm)から構成されていた。この不織布に、パンチ刃を用いて直径8mmの貫通口を、開口率25%(10cm2当たり50個)の割合で形成した。貫通口形成後の不織布は、50Pa荷重下における厚みが2.16mm、MD方向(繊維の流れ方向)及びCD方向(繊維の流れ方向に直交する方向)の破断強度がそれぞれ14.6N/25mm,3.3N/25mm、MD方向及びCD方向の伸度がそれぞれ1.5%,3.1%、貫通口以外の部分の繊維間距離が85.3μm、貫通口以外の部分の圧力損失が17.3Pa、坪量は30g/m2であった。
(2)表面層
坪量40g/m2のスパンレース不織布を用いた。この不織布は、プロピレン繊維(繊維径15.5μm)から構成されていた。この不織布の50Pa荷重下での厚みは1.77mm、繊維間距離は71.2μm、圧力損失は31.0Paであった。
(3)積層フィルタ
得られた裏面層と裏面層とを重ねて、142℃に設定した乾燥機中に10分間配置することによって溶解融着し一体化した。これによって目的とする積層フィルタを得た。
〔実施例2〜4〕
裏面層として表1に示すものを用いる以外は実施例1と同様にして積層フィルタを得た。
〔実施例5〕
裏面層として以下に示す不織布を用いる以外は、実施例1,2と同様にして積層フィルタを得た。
(1)裏面層
坪量15g/m2のエアスルー不織布を用いた。この不織布は、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(繊維径30μm)から構成され、さらにカレンダー処理を行い高強度化されていた。この不織布に、パンチ刃を用いて直径8mmの貫通口を、開口率25%(10cm2当たり50個)の割合で形成した。貫通口形成後の不織布は、50Pa荷重下における厚みが0.54mm、MD方向(繊維の流れ方向)及びCD方向(繊維の流れ方向に直交する方向)の破断強度がそれぞれ4.4N/25mm,1.9N/25mm、MD方向及びCD方向の伸度がそれぞれ2.1%,6.9%、貫通口以外の部分の繊維間距離が154.1μm、開通口以外の部分の圧力損失が3.3Pa、坪量が11.3g/m2であった。
〔実施例6〕
裏面層として以下に示す不織布を用いる以外は、実施例1〜3と同様にして積層フィルタを得た。
(1)裏面層
坪量40g/m2のエアスルー不織布を用いた。この不織布は、ポリプロピレンとポリエチレンからなるサイドバイサイド型複合繊維(繊維径42μm)から構成されていた。この不織布に、パンチ刃を用いて直径8mmの貫通口を、開口率25%(10cm2当たり50個)の割合で形成した。貫通口形成後の不織布は、50Pa荷重下における厚みが2.48mm、MD方向(繊維の流れ方向)及びCD方向(繊維の流れ方向に直交する方向)の破断強度がそれぞれ1.3N/25mm,1.0N/25mm、MD方向及びCD方向の伸度がそれぞれ8.1%,9.9%、貫通口以外の部分の繊維間距離が226μm、開通口以外の部分の圧力損失が4.1Pa、坪量が30g/m2であった。
〔実施例7〕
表面層として以下に示す不織布を用いる以外は、実施例4と同様にして積層フィルタを得た。
(1)表面層
坪量34g/m2のエアスルー不織布を用いた。この不織布は、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(繊維径17.5μm)から構成されていた。この不織布の50Pa荷重下での厚みは0.9mm、繊維間距離は60.7μm、圧力損失は15.9Paであった。
〔実施例8〕
表面層として以下に示す不織布を用いる以外は、実施例4,5と同様にして積層フィルタを得た。
(1)表面層
坪量34g/m2のケミカルボンド不織布を用いた。この不織布は、ポリプロピレン繊維(繊維径27μm)から構成されていた。この不織布の50Pa荷重下での厚みは1.5mm、繊維間距離は160.2μm、圧力損失は3.3Paであった。
〔比較例1〕
比較例1の積層フィルタは、裏面層を設けず、表2に示すように、実施例1と同様の表面層のみを用いて得た。
〔比較例2〜4〕
比較例2〜4の積層フィルタは、裏面層に貫通口を設けず、表2に示した物性の裏面層を用いて得た。
〔比較例5,6〕
比較例5,6の積層フィルタは、裏面層を設けず、それぞれ実施例7,8と同様の表面層のみを用いて得た。
〔比較例7,8〕
比較例7,8の積層フィルタは、裏面層に貫通口を設けず、表2に示した物性の裏面層を用いて得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた積層フィルタについて、MD方向及びCD方向それぞれの剛性、伸度及び破断強度を測定した。また、実施例及び比較例で得られた積層フィルタについて、油保持量、単体の圧力損失及び枠体取り付け時の圧力損失を以下の方法により測定した。
<油保持量の測定>
実施例及び比較例で得られた積層フィルタの重量を測定し、次に、各積層フィルタを、日清オイリオグループ株式会社製の日清キャノーラ油(登録商標)に、完全に浸した後、日清キャノーラ油(登録商標)から取り出し、垂直状態に吊し、8時間経過後の重量を測定した。油保持後の積層フィルタの重量から当初の積層フィルタの重量を差し引くことにより油保持量を求めた。尚、油保持量は、2点測定し、それらを平均して求めた値である。
Figure 0005433471
Figure 0005433471
表1,表2に示す結果から明らかなように、実施例1〜4の積層フィルタは、比較例1のフィルタと比較して、圧力損失の増加を最大6Pa、枠体への取り付け時には整流効果が働くことにより最大4Pa程度に抑えつつ、剛性はCD方向で3倍以上向上し、油捕集量も1.5倍程度向上しており、圧力損失の増加を抑えながら剛性及び捕集量が向上している。また、実施例1〜4の積層フィルタは、比較例2のフィルタと比較して、剛性及び油捕集量は減少しているものの、圧力損失も単体で10Pa以上低減しており、バランスのよい性能をもつフィルタとなっている。また、実施例1〜4の物性から明らかなように、貫通口のサイズ及び面積率を調節することで、剛性、圧力損失、油保持量を望む値に調節することが可能である。
また、表1に示す実施例5、6及び表2に示す比較例1、3、4から明らかなように、裏面層に種類の異なる開孔を施した不織布を用いることによっても同様に、圧力損失の増大を抑えながらも剛性や油保持量の高い、バランスのよい性能を持つフィルタを設計することができる。
さらに、表1に示す実施例7,8及び表2に示す比較例5〜8から明らかなように、表面層に種類の異なる不織布を用いた場合でも、同様に、圧力損失の増大を抑えながらも剛性や油保持量の高い、バランスのよい性能を持つフィルタを設計することができる。
これにより、各実施例のフィルタは、各比較例のフィルタと比較して、換気性能を維持しながら、レンジフード用フィルタをグリスフィルタに取る付ける際にゆるみが生じにくく、長期間の使用が可能なフィルタを提供することが出来る。また、使用場面に応じた圧力損失、剛性、油保持量を持ったフィルタを作成することが可能である。
1 積層フィルタ
2 裏面層
20 貫通口
21 裏面層の貫通口以外の部分
3 表面層
4 遮蔽部
5 枠体

Claims (8)

  1. 不織布からなる裏面層と不織布からなる表面層とを有する積層フィルタであって、
    前記積層フィルタは、前記裏面層が、流体吸入の下流側に位置するように使用されるものであり、
    前記裏面層は、複数個の貫通口を有しており、
    前記貫通口は、均等な間隔を空けて配されており、
    前記裏面層における前記貫通口以外の部分の下記式で算出される平均繊維間距離が、前記表面層の下記式で算出される平均繊維間距離よりも長く、
    前記裏面層が、遮蔽部を有する枠体に対向するように、該枠体に取り付けられて使用される積層フィルタ。

    Figure 0005433471
  2. 前記裏面層の不織布としては、坪量10〜50g/m 2 のエアレイド不織布又はエアスルー不織布を用い、
    前記表面層の不織布としては、坪量20〜150g/m 2 のスパンレース不織布を用いる請求項1に記載の積層フィルタ。
  3. 各前記貫通口の大きさが、前記裏面層における前記貫通口以外の部分の繊維間距離の30倍以上である請求項1又は2に記載の積層フィルタ。
  4. 前記積層フィルタは、JIS L 1096に規定するカンチレバー法で測定した剛性が50mm以上である請求項1〜3の何れか1項に記載の積層フィルタ。
  5. 前記裏面層における前記貫通口の開口率は、10〜60%である請求項1〜の何れか1項に記載の積層フィルタ。
  6. 前記裏面層は、50Pa荷重下における厚みが0.5〜12.0mmである請求項1〜の何れか1項に記載の積層フィルタ。
  7. 前記裏面層及び前記表面層それぞれの不織布は、構成繊維が不燃性繊維又は難燃性繊維である請求項1〜の何れか1項に記載の積層フィルタ。
  8. 前記積層フィルタは、レンジフード用又は換気扇用のフィルタとして用いられる請求項1〜の何れか1項に記載の積層フィルタ。
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