JP2021063849A - 吸音材 - Google Patents

吸音材 Download PDF

Info

Publication number
JP2021063849A
JP2021063849A JP2019186536A JP2019186536A JP2021063849A JP 2021063849 A JP2021063849 A JP 2021063849A JP 2019186536 A JP2019186536 A JP 2019186536A JP 2019186536 A JP2019186536 A JP 2019186536A JP 2021063849 A JP2021063849 A JP 2021063849A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
sound absorbing
base material
absorbing material
fiber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019186536A
Other languages
English (en)
Inventor
謙 谷沢
Ken Tanizawa
謙 谷沢
雅行 片山
Masayuki Katayama
雅行 片山
松下 淳一
Junichi Matsushita
淳一 松下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Vilene Co Ltd
Original Assignee
Japan Vilene Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Vilene Co Ltd filed Critical Japan Vilene Co Ltd
Priority to JP2019186536A priority Critical patent/JP2021063849A/ja
Publication of JP2021063849A publication Critical patent/JP2021063849A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Abstract

【課題】基材層に含有されているモダアクリル繊維の含有割合が少ない(含有割合が60mass%未満)にも関わらず、難燃性が向上あるいは維持されている難燃性に優れる吸音材の提供を目的とする。【解決手段】モダアクリル繊維を5mass%より多く60mass%未満含有する不織布層である基材層と、不織布層である表皮層とを備えた吸音材において、表皮層の目付を40g/m2以下とすることで、吸音材の難燃性を向上あるいは維持できることを見出した。そのため、本発明によって、基材層に含有されているモダアクリル繊維の含有割合が少ないことで異臭の発生が低減しているにも関わらず、難燃性に優れた吸音材を提供できる。【選択図】 なし

Description

本発明は、異臭の発生が低減していると共に難燃性に優れた吸音材に関する。
従来から、吸音材には難燃性が求められている。この要求に応えるため、本願出願人は難燃性に優れる吸音材として、特開2018−17994(特許文献1)に開示されているような、目付が60g/m以上の表皮層(極細不織布層)と、難燃繊維であるモダアクリル繊維を30〜60mass%含む基材層(難燃不織布層)とを有する吸音材を提案した。
なお、特許文献1には当該吸音材は、目付が60g/m以上かつ平均繊維径が4μm以下の極細不織布層を備えているため吸音性に優れること、そして、モダアクリル繊維を30〜60mass%含む難燃不織布層を有するため難燃性に優れることが開示されている。
特開2018−17994(特許請求の範囲、0012、0026など)
しかしながら、上述したような構成を備えた吸音材、つまり、目付が60g/m以上の表皮層とモダアクリル繊維を含有する基材層を備えた吸音材は、難燃性を発揮し得るものの吸音材が火に接触した際に異臭を発生させることがあった。特に、基材層が含有するモダアクリル繊維の含有割合が多いほど、異臭が強く発生し易くなった。
このことから、当該異臭の発生原因は吸音材の基材層に含有されているモダアクリル繊維であって、モダアクリル繊維の組成物は塩素を含有しているため、吸音材が火に接触することで塩化水素などの有毒ガスが発生したと考えられた。
そのため、当該吸音材を内蔵した音響機器や電子機器あるいは車両や建材などに発火が生じた場合、吸音材に火が接触すると有毒ガスが多く発生し易い(異臭が強く発生し易い)と考えられた。そして、当該有毒ガスは様々な素材に変性や劣化を発生させる原因となる恐れや、人など生物の健康に悪影響を与える恐れがあった。
上述の課題を解決するため、吸音材の基材層が含有するモダアクリル繊維の含有割合を少なくしたところ、具体的には、当該含有割合を60mass%未満としたところ、異臭の発生を低減化できたが、難燃繊維であるモダアクリル繊維の含有割合を少なくしたことに伴って吸音材の難燃性は低下した。
以上の知見のもと、基材層に含有されているモダアクリル繊維の含有割合が少ない(含有割合が60mass%未満)にも関わらず、難燃性が向上あるいは維持されている難燃性に優れる吸音材の提供が求められた。
本発明は、
「基材層と表皮層を備えた吸音材であって、前記基材層はモダアクリル繊維を5mass%より多く60mass%未満含有する不織布層であり、前記表皮層は目付40g/m以下の不織布層である、吸音材。」
である。
本願出願人は更に検討を続けた結果、モダアクリル繊維を5mass%より多く60mass%未満含有する不織布層である基材層と、不織布層である表皮層とを備えた吸音材において、表皮層の目付を40g/m以下とすることで、吸音材の難燃性を向上あるいは維持できることを見出した。
そのため、本発明によって、基材層に含有されているモダアクリル繊維の含有割合が少ないことで異臭の発生が低減しているにも関わらず、難燃性に優れた吸音材を提供できる。
本発明では、例えば以下の構成など、各種構成を適宜選択できる。
なお、本発明で説明する各種測定は特に記載や規定のない限り、常圧のもと25℃温度条件下で測定を行った。また、本発明で説明する各種測定結果は特に記載や規定のない限り、求める値よりも一桁小さな値まで測定で求め、当該値を四捨五入することで求める値を算出した。具体例として、少数第一位までが求める値である場合、測定によって少数第二位まで値を求め、得られた少数第二位の値を四捨五入することで少数第一位までの値を算出し、この値を求める値とした。
本発明の吸音材は不織布層である基材層を備えている。ここでいう不織布層とは、繊維同士がランダムに絡み合い構成された繊維の層をいう。基材層が不織布層であるため、基材層中に空隙が均一的に存在することで吸音性能に優れる吸音材を提供できると共に、基材層の各部分における物性が均一的であることで難燃性に優れる吸音材を提供できる。
また、本発明の吸音材はモダアクリル繊維を含有する基材層を備えており、当該含有割合が5mass%より多く、表皮層の目付が40g/m以下であることによって難燃性に優れる。そして、本発明の吸音材は、基材層が含有するモダアクリル繊維の含有割合が60mass%未満であることによって異臭の発生が低減化されている。
本発明でいうモダアクリル繊維とは、組成物中に塩素を含有すると共にアクリロニトリル単位を35〜85%含む繊維であり、例えば、アクリロニトリルと塩化ビニル又は塩化ビニリデンとの共重合体であり、カネカロン(登録商標)、プロテックス(登録商標)、ダイネルなどの商標で知られている。なお、アンチモン酸化物が含有されているモダアクリル繊維を採用することで、より難燃性に優れた吸音材を提供できる。そして、このようなモダアクリル繊維を採用することで、モダアクリル繊維の含有量を少なくでき、より異臭が発生し難い吸音材を実現でき好ましい。
このモダアクリル繊維の繊度は特に限定するものではないが、0.5dtex以上であることができ、1dtex以上であることができ、2dtex以上であることができる。一方で、モダアクリル繊維の繊度が大き過ぎると、モダアクリル繊維が均一に分散した基材層を備えた難燃性に優れる吸音材を提供することが困難になる恐れがある。そのため、モダアクリル繊維の繊度は15dtex以下であるのが好ましく、8dtex以下であるのがより好ましく、4dtex以下であるのが更に好ましい。なお、本発明における「繊度」はJISL1015:2010、8.5.1(正量繊度)に規定されているA法により得られる値を意味する。
モダアクリル繊維の繊維長は特に限定するものではないが、30mm以上であることができ、40mm以上であることができる。一方で、繊維長が長過ぎてもモダアクリル繊維が均一に分散した基材層を備えた難燃性に優れる吸音材を提供することが困難になる恐れがある。そのため、モダアクリル繊維の繊維長は105mm以下であるのが好ましく、70mm以下であるのが更に好ましい。
基材層に含有されているモダアクリル繊維の含有割合は5mass%より多く60mass%未満であればよく、当該範囲で適宜調整可能である。より異臭の発生が低減化された吸音材を提供できるよう、上限値は55mass%以下であるのが好ましく、50mass%以下であるのが好ましく、45mass%以下であるのが好ましく、40mass%以下であるのが好ましく、35mass%以下であるのが好ましく、30mass%以下であるのが好ましく、30mass%未満であるのがより好ましい。一方、基材層に含有されているモダアクリル繊維の含有割合が低過ぎると、難燃性に優れる吸音材を提供するのが困難となる恐れがあることから、下限値は6mass%以上であるのが好ましく、7mass%以上であるのが好ましく、8mass%以上であるのが好ましく、9mass%以上であるのが好ましく、10mass%以上であるのがより好ましい。
なお、当該含有割合は、以下の計算式から算出できる。
X=100*B/A
X:基材層に含有されているモダアクリル繊維の含有割合(単位:mass%)
A:基材層を構成する繊維の総質量(単位:g/m
B:基材層に含有されているモダアクリル繊維の質量(単位:g/m
なお、吸音材を構成する基材層は、以下のようにして分析できる。
(基材層の分析方法)
1.吸音材における、モダアクリル繊維を含有する不織布層を確認した。
2.当該不織布層が他の層とバインダや有機ポリマー由来の接着成分によって接着一体化している(接合している)ものの当該不織布層を容易に分離できる場合や、当該不織布層と他の層がただ重ね合わせてなる場合には、吸音材から分離し得た当該不織布層を基材層であるとした。そして、当該基材層を分析することで、モダアクリル繊維の含有割合などの各種構成を確認した。
3.当該不織布層が他の層とバインダや有機ポリマー由来の接着成分によって、容易に分離できない程度に接着一体化している(接合している)吸音材である場合には、吸音材から当該不織布層以外の他の層を除去し、残った当該不織布層を基材層であるとした。
なお、吸音材の構成部材(基材層と表皮層など)が入手可能である場合には、当該構成部材のうちモダアクリル繊維を最も多く含有する不織布(あるいは繊維ウェブ)を基材層であると判断できる。
基材層は構成繊維として、モダアクリル繊維以外の繊維を含有してもよい。一例として、融着繊維を含むことができ、この融着繊維によってモダアクリル繊維が固定されているのが好ましい。このような融着繊維によれば、モダアクリル繊維を損傷することなく、モダアクリル繊維を固定することができ、繊維が脱落しにくい吸音材であることができる。
この融着繊維としては、融着する際の熱によってモダアクリル繊維に影響を及ぼさない低融点樹脂を繊維表面に備えているのが好ましい。より具体的には、融点が180℃以下の低融点樹脂を繊維表面に備えている融着繊維であるのが好ましい。この低融点樹脂としては、例えば、共重合ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンなどを挙げることができる。
なお、融着繊維は低融点樹脂のみから構成された単一組成融着繊維であっても良いし、低融点樹脂に加えて、低融点樹脂よりも融点の高い高融点樹脂を含む複数組成融着繊維であっても良い。複数組成融着繊維であると、低融点樹脂の融着によってモダアクリル繊維を固定しても、高融点樹脂によって繊維形態を維持することができ、機械的強度の優れる基材層であることができるため好適である。この好適である複数組成融着繊維における低融点樹脂と高融点樹脂との組合せは特に限定するものではないが、前記作用を発揮しやすいように、融点差が50℃以上であるのが好ましく、100以上であるのがより好ましく、150℃以上であるのが更に好ましい。例えば、低融点樹脂の融点が180℃以下である場合、高融点樹脂は、例えば、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリウレタン;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂;であることができる。
なお、複数組成融着繊維の場合、低融点樹脂と高融点樹脂との配置状態は、例えば、繊維横断面において、芯鞘状、貼合せ状、オレンジ状、多層積層状、海島状であることができる。特に、低融点樹脂が繊維表面全体(繊維両端部を除く)を占めている芯鞘状又は海島状であると、モダアクリル繊維の融着固定作用に優れているため好適である。
このような融着繊維の繊度は特に限定するものではないが、モダアクリル繊維の融着固定に関与できる融着繊維の本数が多く、また、融着固定に関与できる低融点樹脂の表面積が広いように、融着繊維の繊度は1〜20dtexであるのが好ましく、2〜8dtexであるのがより好ましく、3〜6dtexであるのが更に好ましい。
また、融着繊維の繊維長は特に限定するものではないが、30mm以上であることができ、50mm以上であることができる。一方で、繊維長が長過ぎると、融着繊維が均一に分散することが困難になり、モダアクリル繊維を充分に融着固定できない傾向があるため、105mm以下であるのが好ましく、70mm以下であるのが更に好ましい。
このような融着繊維はモダアクリル繊維による難燃性を損なうことなく、モダアクリル繊維を強固に固定できるように、基材中に5〜70mass%含有されているのが好ましく、10〜40mass%含まれているのがより好ましく、15〜20mass%含まれているのが更に好ましい。
基材層は構成繊維としてモダアクリル繊維以外にも難燃繊維を含んでいることができる。例えば、ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ノボロイド樹脂、ポリクラール樹脂、アラミド樹脂、難燃剤(例えば、ハロゲン系、リン系、又は金属化合物系難燃剤)を含む樹脂を含む難燃繊維(一例として、リン系難燃剤を含むレーヨン繊維(レンチングファイバーズ社製LENZING FRなど))を含んでいることができる。
また、基材層は更に別の種類の繊維を含んでいることができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、炭化水素の一部をシアノ基またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のポリオレフィン系樹脂など)、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセタール、変性ポリフェニレンエーテル、芳香族ポリエーテルケトンなど)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、全芳香族ポリエステル樹脂など)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド樹脂、ナイロン樹脂など)、二トリル基を有する樹脂(例えば、ポリアクリロニトリルなど)、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、セルロース系樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルなどを共重合したポリアクリロニトリル系樹脂)、などの有機ポリマー1種類、又は2種類以上からなる繊維を含むことができる。
これらの繊維の繊度、繊維長は前記融着繊維と同じ範囲内であることができ、基材中に含有されている量は適宜調整できるが、前述の通り基材層はモダアクリル繊維以外に融着繊維を含んでいるのが好ましいため、30mass%以下であるのが好ましく、20mass%以下であるのがより好ましく、10mass%以下であるのが更に好ましい。
なお、基材層の構成繊維はバインダによって構成繊維同士が接着されていても良い。また、融着繊維の融着およびバインダの接着によって構成繊維同士が接着されていても良い。バインダの種類は適宜選択できるが、エラストマーや上述した別の種類の繊維を構成可能であるとして挙げた各樹脂などを採用できる。
基材層の目付は特に限定するものではないが、難燃性に優れながら異臭の低減された吸音材を提供できるように、20g/m以上であるのが好ましく、50g/m以上であるのがより好ましく、100g/m以上であるのが更に好ましい。一方で、基材層の目付の上限は適宜調整できるが、2000g/m以下であることができ、300g/m以下であることができ、200g/m以下であることができる。なお、本発明における「目付」は、一番広い主面1mあたりにおける質量を意味する。
また、基材層の厚さは特に限定するものではないが、吸音性能に優れる吸音材を提供できるように、2〜20mmであることができ、3〜10mmであることができ、5〜8mmであることができる。なお、本発明における「厚さ」は、吸音材の主面に対して、660.5mmの面積(直径29mmの円の面積)あたり、0.115Nの荷重を負荷した時に、荷重が作用する方向における長さを、高精度デジタル測長機[例えば、(株)ミツトヨ製のライトマチック(登録商標)]で測定した値をいう。
更に、基材層の見掛密度は特に限定するものではないが、5〜60kg/mであることができ、10〜30kg/mであることができ、20〜25kg/mであることができる。なお、見掛密度は基材層の目付(単位:kg/m)を厚さ(単位:m)で除し算出される値である。
基材層の単位厚さあたりの通気抵抗は、吸音材に求められる吸音性能を実現できるよう適宜調整できるが、より吸音性能が効果的に発揮されるように、6.9×10N・s/m以上であるのが好ましく、2.1×10N・s/m以上であるのがより好ましく、3.1×10N・s/m以上であるのが更に好ましい。一方単位厚さあたりの通気抵抗が大きすぎると、音波が反射しすぎることに起因して意図するほど吸音性能が向上しない恐れがあることから、6.3×10N・s/m以下であるのが好ましく、2.1×10N・s/m以下であるのがより好ましく、8.3×10N・s/m以下であるのが更に好ましい。
なお、本発明でいう基材層の単位厚さあたりの通気抵抗は、測定対象となる基材層の厚さと、測定対象となる基材層を以下に説明する(通気度の測定方法)へ供し算出して求めた通気度とを、次いで説明する(単位厚さあたりの通気抵抗の算出方法)へ算入して求めることができる。
(通気度の測定方法)
1.JIS L1096:2010「織物及び編物の生地試験方法」の「通気性」A法(フラジール形法)において、通気度の測定に使用可能なフラジール型通気度試験機を準備した。なお、前記フラジール型通気度試験機における、通気部分の大きさは直径70mmの円形であった。
2.測定対象を打ち抜き、直径29mmの円板状の試験片を採取した。
3.中央に直径29mmの円形の開口を有する平板(縦:100mm、横:100mm)の中央に、円筒(外径:35mm、内径:29mm、高さ20mm)の一方の端部が接続一体化した形状の、治具を準備した。
4.治具における円筒部分の内部に試験片を収め、試験片を両主面から挟むようにOリング(外径:29mm、内径:25mm)を配置することで、通気度の測定時に円筒部分と試験片の接触部分に通気が生じないようにした。
5.フラジール型通気度試験機における通気部分の中心と、治具に納められている試験片の中心とが重なるようにして、フラジール型通気度試験機における通気部分の上に治具を設置した。なお、この時、フラジール型通気度試験機と治具の接触部分に通気が生じないようにした。
6.差圧が125Paとなる条件で、通気度の測定を行った。なお、このときの試験片の通気部分は直径25mmの円形形状(Oリングの内周形状)であった。
7.測定結果を7.84倍し換算することで、測定対象の通気度(単位:cm/cm/s)を算出した。なお、7.84倍とは、フラジール型通気度試験機の通気部分(直径70mm)の面積を、試験片の通気部分(直径25mm)の面積で除した値である。
(単位厚さあたりの通気抵抗の算出方法)
測定対象の厚さと、測定対象の通気度の値とを以下の式に代入することで、測定対象の単位厚さあたりの通気抵抗を算出した。
Figure 2021063849
σ:単位厚さあたりの通気抵抗(単位:N・s/m
ΔP:差圧(125Pa)
Q:測定対象の通気度(単位:cm/cm/s)
t:測定対象の厚さ(単位:mm)
なお、吸音材を上述した(通気度の測定方法)へ供することで、吸音材の通気度を求めることができる。
本発明の吸音材は不織布層である表皮層を備えている。表皮層が不織布層であるため、基材層中に空隙が均一的に存在すると共に、基材層の各部分における物性が均一的であることで吸音性能に優れる吸音材を提供できる。また、本発明の吸音材は、表皮層の目付が40g/m以下であることによって、難燃性が向上あるいは維持されている。
本発明において、吸音材を構成する表皮層の目付が、吸音材における難燃性の向上あるいは維持に関与する理由は完全には明らかになっていない。しかし、本願出願人は当該の吸音材においては、表皮層の目付が少ないことで燃焼速度を遅くすることができる結果、吸音材の難燃性が向上するという効果が発揮されているためであると考えられる。
表皮層の目付は40g/m以下であればよく、吸音材に求められる吸音性能を実現できるよう適宜調整可能である。1〜35g/mであることができ、5〜30g/mであることができ、10〜25g/mであることができ、15〜20g/mであることができる。
表皮層の単位厚さあたりの通気抵抗は、吸音材に求められる吸音性能を実現できるよう適宜調整できるが、より吸音性能が効果的に発揮されるように、5.0×10N・s/m以上であるのが好ましく、1.0×10N・s/m以上であるのがより好ましく、5.0×10N・s/m以上であるのが更に好ましい。一方単位厚さあたりの通気抵抗が大きすぎると、音波が反射しすぎることに起因して意図するほど吸音性能が向上しない恐れがあることから、1.0×10N・s/m以下であるのが好ましく、5.0×10N・s/m以下であるのがより好ましく、1.0×10N・s/m以下であるのが更に好ましい。
なお、吸音材を構成する表皮層の単位厚さあたりの通気抵抗は、吸音材を以下に説明する(表皮層の単位厚さあたりの通気抵抗の測定方法)へ供し算出して求めることができる。
(表皮層の単位厚さあたりの通気抵抗の測定方法)
1.吸音材における、基材層を確認した。
2.基材層と他の層とがバインダや有機ポリマー由来の接着成分によって接着一体化している(接合している)ものの基材層を容易に分離できる場合や、基材層と他の層とがただ重ね合わせてなる場合には、吸音材から基材層を分離して、他の層(吸音材を構成していた基材層以外の層)を得た。
3.得られた他の層のうち、最も単位厚さあたりの通気抵抗が高い不織布(あるいは繊維ウェブ)の層を表皮層であるとした。なお、当該表皮層を分析することで、目付などの各種構成を確認できた。
4.バインダや有機ポリマー由来の接着成分の存在や繊維絡合などの要因によって、表皮層と基材層を分離して取得するのが困難な吸音材である場合、以下に説明する方法を用いた。
5.表皮層と基材層からなる吸音材の厚さと、吸音材を構成している基材層の厚さ(以下、基材層の本来厚さと称する)を測定した。
6.吸音材の厚さの値から基材層の本来厚さの値を引き、その値を表皮層の厚さとした。
7.吸音材を上述した(通気度の測定方法)へ供して通気度を測定した。
8.吸音材から基材層の主面と平行をなす方向に基材層を切り取り、基材層から試験片を採取した。そして、試験片の厚さを測定し、試験片を上述した(通気度の測定方法)へ供して通気度を測定した。
9.吸音材の通気度の値を以下の式に代入することで、吸音材の通気抵抗を算出した。また、試験片の通気度の値を以下の式に代入することで、試験片の通気抵抗を算出した。
Figure 2021063849
R:通気抵抗(単位:N・s/m
ΔP:差圧(125Pa)
Q:通気度(単位:cm/cm/s)
10.算出された試験片の通気抵抗の値を、基材層の本来厚さにおける通気抵抗の値に換算した。
11.吸音材の通気抵抗の値から、基材層の本来厚さにおける通気抵抗の値を引き、その値を表皮層の通気抵抗とした。
12. 表皮層の厚さと、得られた表皮層の通気抵抗とを、上述した(単位厚さあたりの通気抵抗の算出方法)へ算入することで、表皮層の単位厚さあたりの通気抵抗を算出した。
なお、表皮層により吸音材の吸音性能が効率良く向上されるよう、表皮層の単位厚さあたりの通気抵抗は、基材層の単位厚さあたりの通気抵抗よりも高いのが好ましい。このような構成を満足する吸音材においては、単位厚さあたりの通気抵抗が最も高い不織布の層を表皮層であると判断し、モダアクリル繊維を含有していると共に当該表皮層よりも単位厚さあたりの通気抵抗が低い不織布の層を基材層であると判断可能である。
表皮層を構成する繊維の平均繊維径は適宜調整できるが、吸音性に優れる吸音材を提供し易いことから平均繊維径は15μm以下であるのが好ましく、10μm以下であるのが好ましく、5μm以下であるのがより好ましく、1.5μm以下であるのが更に好ましい。一方で、表皮層を構成する繊維の平均繊維径が小さ過ぎると、取り扱いが困難になり、構成繊維が破損することにより吸音材が意図せず変形して吸音材の吸音性能が低下する恐れがあることから、0.1μm以上であるのが好ましく、0.5μm以上であるのがより好ましい。
本発明でいう「平均繊維径」は、測定対象の主面における電子顕微鏡写真を撮影し、その電子顕微鏡写真から無作為に選んだ100本の繊維の繊維直径の算術平均値を意味し、「繊維直径」は電子顕微鏡写真において、確認できる繊維の伸びる方向に対して直交する方向における長さを意味する。
なお、吸音性能に優れる吸音材を提供できるよう、表皮層を構成している繊維の平均繊維径は、基材層を構成している繊維の平均繊維径よりも小さいのが好ましい。このような構成を満足する吸音材においては、平均繊維径が最も小さい不織布の層を表皮層であると判断し、モダアクリル繊維を含有していると共に当該表皮層よりも平均繊維径が大きい不織布の層を基材層であると判断可能である。
表皮層を構成する繊維の繊維長は特に限定するものではないが、表皮層から構成繊維が脱落することによって吸音材が意図せず変形し、吸音材の吸音性能が低下するのを防止できることから、表皮層を構成する繊維は連続繊維であるのが好ましい。
なお、連続繊維(および連続繊維からなる不織布層)は、例えば、メルトブロー法、スパンボンド法、静電紡糸法、又は特開2009−287138号公報に開示されているような、溶媒に高分子を溶解又は分散させた紡糸液を吐出し、この吐出された紡糸液に対してガスを作用させて繊維化する方法などの、直接紡糸法を用いることで調製できる。これらの中でもメルトブロー法は、所望の通気度であることによって吸音性能が優れた表皮層をコストよく調製できるため、好適である。
表皮層の厚さは、吸音材に求められる吸音性能を実現できるよう適宜調整できる。具体的には、0.05〜3mmであることができ、0.1〜1.5mmであることができ、0.3〜0.8mmであることができる。
表皮層の構成繊維の種類は特に限定するものではないが、基材層を構成可能であると挙げたうちモダアクリル繊維以外の繊維を採用できる。異臭の発生を低減できると共に、表皮層による難燃性の向上効果が効率良く発揮されてなる難燃性に優れた吸音材を提供できるよう、表皮層の構成繊維はモダアクリル繊維を含有していないのが好ましい。
本発明の吸音材は前述のような基材層と表皮層とを備えているものであるが、基材層と表皮層とは接合していても良いし、接合していなくても良い。しかしながら、各種部位に設置する際の作業等に優れているように、接合しているのが好ましい。基材層と表皮層とが接合している場合、例えば、基材層を構成する融着繊維による融着;粉体、繊維又は繊維シート形態を有する融着材による融着;エマルジョン、サスペンジョン又は溶液状態の接着剤による接着;表皮層の構成繊維と基材層の構成繊維との絡合により接合していることができる。なお、具体例としてニードルパンチで接合する方法、水流を用いて接合する方法、表面にエンボス形状を有するロールを用いてヒートシールを用いて接合する方法、超音波融着する方法などを用いることができる。
この融着材としては、融着繊維を構成できる低融点樹脂と同様の低融点樹脂であることができる。つまり、融点が180℃以下の低融点樹脂であることができ、例えば、共重合ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデンであることができる。
また、接着剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の合成樹脂であることができ、例えば、ポリアクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、尿素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル・エーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、シリコーン系樹脂、などであることができる。
なお、多量の融着材や接着剤により接合していると通気性が損われ吸音性が悪くなる恐れがあることから、融着材や接着剤の量は80g/m以下であるのが好ましく、20g/m以下であるのがより好ましく、5g/m以下であるのが更に好ましい。
本発明の吸音材は難燃性に優れるものであるが、具体的には、アンダーライター・ラボラトリーズ・インコーポレーテッドが定めるUL94の燃焼試験に準じた試験で、「HF−1」グレードの難燃性を有することができる。
また、基材層及び/又は表皮層がシリカ粒子などの無機粒子を含んでいることによって、吸音材全体の質量が高いことで吸音性能に優れる吸音材であることができる。
更に、本発明の吸音材は吸音性、難燃性及び繊維の脱落防止性に更に優れるように、例えば、不織布、織物、編物などの繊維シート、通気性フィルム、発泡シートなどからなる層を更に有することができ、これらの層は基材層側、基材層と表皮層との間、又は表皮層側に有することができる。なお、表皮層による難燃性の向上効果が効率良く発揮されてなる難燃性に優れた吸音材を提供できるよう、吸音材自体は表皮層と基材層のみで構成されているのが好ましい。
更に、吸音材を機器内部などに貼付して使用する場合には、吸音材における基材層表面又は基材層表面に、粘着剤、両面粘着テープ、又は面ファスナーなどの貼付手段を有することができる。本発明の吸音材は音源に対向して表皮層が位置するように設置するのが好ましいため、貼付手段は基材層表面に備えているのが好ましい。
更に、本発明の吸音材の外形は適用箇所によって異なり、特に限定するものではないが、例えば、二次元的なシート形状、三次元的なプリーツ形状、円筒形状などであることができる。なお、吸音材は適用箇所に適合しやすいように、切り抜き部、打ち抜き部、又は切れ込み部を有することができる。
このような本発明の吸音材は、例えば、基材層と表皮層とをそれぞれ作製した後に、積層し、好ましくはこれら不織布(あるいは繊維ウェブ)を接合して、本発明の吸音材を製造することができる。また、基材層上に紡糸した繊維を直接積層して表皮層を形成し、本発明の吸音材を製造することもできる。
なお、基材層は公知の方法により作製することができる。例えば、モダアクリル繊維と好ましくは融着繊維とを混綿し、乾式法(例えば、カード法、エアレイ法など)又は湿式法により繊維ウエブを形成した後、融着繊維の低融点樹脂を融着させることにより、及び/又は液状バインダ(例えば、エマルジョン型バインダ、サスペンジョン型バインダ、溶液型バインダなど)の接着により、基材層をなす不織布(あるいは繊維ウェブ)を作製することができる。
また、表皮層は公知の方法により作製することができる。例えば、メルトブロー装置を用いて、複数配置された直径0.1〜0.6mmのノズル群から、一穴当たり0.001〜1.0g/min.の溶融樹脂を吐出させ、溶融樹脂の温度の±50℃に加熱されたエアを、吐出直後の溶融樹脂に吹き付けて繊維化し、ノズル下方に設置された捕集体上に集積させて、表皮層をなす不織布(あるいは繊維ウェブ)を作製することができる。
更に、基材層と表皮層との接合は、例えば、融着繊維を含む基材層と表皮層とを積層した後、熱風乾燥機、オーブン、エンボス加工機、超音波加工機等により、融着繊維の融着力を発揮させる方法;基材層と表皮層との間に、粉体、繊維又は繊維シート形態を有する融着材を介在させた後、熱風乾燥機、オーブン、エンボス加工機、超音波加工機等により、融着材の融着力を発揮させる方法;基材層と表皮層との間に、エマルジョン、サスペンジョン又は溶液状態の接着剤を付与し、接着剤の接着力を発揮させる方法;基材層と表皮層とを積層した状態で、エマルジョン、サスペンジョン又は溶液状態の接着剤浴中に浸漬し、接着剤を付与した後に、接着剤の接着力を発揮させる方法;基材層と表皮層とを積層した後、ニードルや水流により絡合する方法;により実施できる。なお、基材層と表皮層を接合する場合においても、ニードルパンチや水流などの外力を作用させることなく接合すると、基材層の構成繊維と表皮層の構成繊維とが損傷せず、繊維の脱落が生じにくいため、水流やニードルパンチを作用させる方法以外の方法により接合するのが好ましい。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における評価方法は次の通りである。
(難燃性の測定方法)
UL94に準じた燃焼性試験を行い、測定対象の難燃性を評価した。具体的には、JISK6400−6:2004「軟質発泡材料−物理特性の求め方−第6部:燃焼性」に記載の水平燃焼特性の測定へ測定対象を供し評価した。
○:HF−1の規格に適合した。
×:HF−1の規格に適合しなかった。
(臭いの測定方法)
上述した(難燃性の測定方法)へ測定対象を供した際に、どの程度の異臭が発生したかを人間の嗅覚を用いて評価した。
×:強く異臭を感じた。
〇:異臭をあまり感じなかった。
△:上述した「×」ほどの強い異臭を感じることはなかったが、上述した「〇」よりは強く異臭を感じた。
(比較例1)
モダアクリル繊維(繊度:7.8dtex、繊維長:64mm)60mass%と、モダアクリル繊維と合わせて100mass%となるようにして芯鞘型融着繊維(芯部:ポリエチレンテレフタレート樹脂(融点:250℃)、鞘部:共重合ポリエステル樹脂(融点:150℃)、繊度:2.2dtex、繊維長:51mm)とを混綿した後、カード機に供し繊維ウエブを形成した。その後、繊維ウエブをエアースルードライヤーにより、温度170℃での熱処理を実施し、芯鞘型融着繊維が融着した難燃不織布を作製した。
次いで、ポリプロピレン樹脂からなるメルトブロー不織布を作製した。
そして、難燃不織布における一方の主面にアクリル系接着剤(固形分量:5g/m)を塗布した後、メルトブロー不織布を積層し、キャンドライヤにて温度105℃で乾燥して、両不織布が接着剤で接着してなる吸音材を調製した。
なお、このようにして調製した吸音材は、難燃不織布由来の不織布層が基材層であり、メルトブロー不織布由来の不織布層が表皮層を備えているものであった。
(比較例2〜比較例7)
難燃不織布の構成(モダアクリル繊維の含有割合、目付、モダアクリル繊維の含有量、厚さ、密度)を変更したこと以外は、比較例1と同様にして吸音材を調製した。
上述のようにして調製した各吸音材の構成と、難燃性ならびに臭いの測定結果を、表1と表2にまとめた。
Figure 2021063849
Figure 2021063849
比較例1〜4の各吸音材ならびに比較例5〜7の各吸音材を比較した結果から、基材層に含有されているモダアクリル繊維の含有割合を高くすると、吸音材の難燃性は優れるが強く異臭が発生すること、一方、当該割合を低くすると、異臭の発生は抑えられるものの吸音材の難燃性が劣ることが判明した。
また、比較例1〜7の各吸音材を比較した結果から、目付の高い表皮層を備えた吸音材では、基材層におけるモダアクリル繊維の含有割合をいかに調整しても、異臭の発生が低く難燃性に優れる吸音材を提供することができないことが判明した。
(比較例8)
モダアクリル繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:51mm)60mass%と、芯鞘型融着繊維(芯部:ポリエチレンテレフタレート樹脂(融点:250℃)、鞘部:共重合ポリエステル樹脂(融点:150℃)、繊度:4.4dtex、繊維長:51mm)15mass%、ならびにポリエステル繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:64mm)25mass%とを混綿した後、カード機に供し繊維ウエブを形成した。その後、繊維ウエブをエアースルードライヤーにより、温度170℃での熱処理を実施し、芯鞘型融着繊維が融着した難燃不織布を作製した。
次いで、ポリプロピレン樹脂からなるメルトブロー不織布を作製した。
そして、難燃不織布における一方の主面にアクリル系接着剤(固形分量:5g/m)を塗布した後、メルトブロー不織布を積層し、キャンドライヤにて温度105℃で乾燥して、両不織布が接着剤で接着してなる吸音材を調製した。
なお、このようにして調製した吸音材は、難燃不織布由来の不織布層が基材層であり、メルトブロー不織布由来の不織布層が表皮層を備えているものであった。
(実施例1〜3、比較例9)
難燃不織布の構成(モダアクリル繊維の含有割合、モダアクリル繊維の含有量)を変更したこと以外は、比較例8と同様にして吸音材を調製した。なお、芯鞘型融着繊維の含有割合は15mass%として、モダアクリル繊維とポリエステル繊維を併せた含有割合が85mass%となるように混綿した。
上述のようにして調製した各吸音材の組成と、難燃性ならびに臭いの測定結果を、表3と表4にまとめた。
Figure 2021063849
Figure 2021063849
表3と表4の結果から、以下のことが判明した。
モダアクリル繊維を含有する不織布層である基材層と、目付40g/m以下の不織布層である表皮層を備えた吸音材において、基材層に含有されているモダアクリル繊維の含有割合が5mass%より多く60mass%未満であるときに、異臭の発生が低く難燃性に優れる吸音材を提供できることが判明した。
(実施例4〜実施例20)
メルトブロー不織布の構成(目付、厚さ)や、難燃不織布の構成(モダアクリル繊維の含有割合、目付、モダアクリル繊維の含有量、厚さ、密度)を変更したこと以外は、実施例1と同様にして吸音材を調製した。なお、芯鞘型融着繊維の含有割合は15mass%として、モダアクリル繊維とポリエステル繊維を併せた含有割合が85mass%となるように混綿した。
上述のようにして調製した各吸音材の組成と、難燃性ならびに臭いの測定結果を、表5と表6にまとめた。なお、表5と表6には実施例1の結果も併せて記載した。
Figure 2021063849
Figure 2021063849
表5と表6の結果から、以下のことが判明した。
モダアクリル繊維の含有割合が5mass%より多く60mass%未満の不織布層である基材層と、不織布層である表皮層を備えた吸音材において、表皮層の目付が40g/m以下であるときに、異臭の発生が低く難燃性に優れる吸音材を提供できることが判明した。
(実施例21〜実施例22)
難燃不織布の構成(目付、モダアクリル繊維の含有量、密度)を変更したこと以外は、実施例20と同様にして吸音材を調製した。
上述のようにして調製した各吸音材の組成と、難燃性ならびに臭いの測定結果を、表7と表8にまとめた。なお、表7と表8には実施例20の結果も併せて記載した。
Figure 2021063849
Figure 2021063849
また、上述のようにして調製した、表皮層の構成が同一である実施例18と実施例15ならびに比較例9の吸音材の組成と、難燃性ならびに臭いの測定結果を、表9と表10にまとめた。
Figure 2021063849
Figure 2021063849
表9と表10の結果から、実施例18と実施例15の吸音材はモダアクリル繊維の含有量が少量であるものの難燃性に優れていたのに対し、比較例9の吸音材はモダアクリル繊維の含有量が多量であるにも関わらず難燃性に劣っていた。
このことから、当該吸音材の難燃性は、基材層に含有されているモダアクリル繊維の含有量(g/m)に依存するものではなく、基材層に含有されているモダアクリル繊維の含有割合(mass%)に依存するものであることが判明した。
以上から、本発明にかかる構成を満足することによって、基材層に含有されているモダアクリル繊維の含有割合が少ないことで異臭の発生が低減しているにも関わらず、難燃性に優れた吸音材を提供できることが判明した。
本発明の吸音材は、例えば、一般家屋、工場、オフィス、病院などの建物内外における音を吸音する用途;航空機、船舶、鉄道車両、自動車などの乗り物内外における音を吸音する用途;工業用ロボット、加工機械、医療装置、又は情報機器装置(例えば、パソコン、プリンタ、スキャナなど)などの内部で発生した動作音を吸音する用途;家電製品(例えば、テレビ、掃除機、冷蔵庫、洗濯機、食器洗浄器、電子レンジ、高圧洗浄機、扇風機、ファンヒータなど)の内部で発生した動作音を吸音する用途に使用できる。

Claims (1)

  1. 基材層と表皮層を備えた吸音材であって、
    前記基材層はモダアクリル繊維を5mass%より多く60mass%未満含有する不織布層であり、
    前記表皮層は目付40g/m以下の不織布層である、吸音材。
JP2019186536A 2019-10-10 2019-10-10 吸音材 Pending JP2021063849A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019186536A JP2021063849A (ja) 2019-10-10 2019-10-10 吸音材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019186536A JP2021063849A (ja) 2019-10-10 2019-10-10 吸音材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021063849A true JP2021063849A (ja) 2021-04-22

Family

ID=75487993

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019186536A Pending JP2021063849A (ja) 2019-10-10 2019-10-10 吸音材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021063849A (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015121631A (ja) * 2013-12-23 2015-07-02 日本バイリーン株式会社 吸音材
JP2018017994A (ja) * 2016-07-29 2018-02-01 日本バイリーン株式会社 吸音材
JP2019128510A (ja) * 2018-01-26 2019-08-01 日本バイリーン株式会社 吸音材

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015121631A (ja) * 2013-12-23 2015-07-02 日本バイリーン株式会社 吸音材
JP2018017994A (ja) * 2016-07-29 2018-02-01 日本バイリーン株式会社 吸音材
JP2019128510A (ja) * 2018-01-26 2019-08-01 日本バイリーン株式会社 吸音材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6761618B2 (ja) 吸音材
WO2012018089A1 (ja) 隔膜およびこれを用いた熱交換器
US8795403B2 (en) Filter cloth for dust collector
US9284663B2 (en) Articles containing woven or non-woven ultra-high surface area macro polymeric fibers
JP2007086505A (ja) 吸遮音材
JP5433471B2 (ja) 積層フィルタ
JP4406175B2 (ja) 帯電フィルタ及びそれを用いたマスク
JP6498454B2 (ja) 多層成形用シート及びシート成形体
JP5348943B2 (ja) 積層フィルタ
JP6727059B2 (ja) 吸音材
JP6099330B2 (ja) フィルタ
JP2021063849A (ja) 吸音材
JP2019128510A (ja) 吸音材
JP5354991B2 (ja) 農業用資材、その製造方法、その使用方法
JP6646267B1 (ja) 積層吸音材
JP7154780B2 (ja) 積層帯電濾材
JP2016129992A (ja) 防護材料
JP6566802B2 (ja) 成形用繊維シート
JP2004143632A (ja) 吸音材
JPWO2019026798A1 (ja) 積層吸音材
JP6751278B1 (ja) 積層吸音材
JP2004209975A (ja) 積層表皮材およびそれを用いた内装材用積層体
JP6091313B2 (ja) 成形用表皮材
JP5106207B2 (ja) タイルカーペット
JP4450278B2 (ja) 通気性と保油性に優れた換気扇フィルター用不織布

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230926

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240123

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240716