JP5432215B2 - 継手構造 - Google Patents

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本発明は、特に分解状態で輸送できる組立式水槽などの構造物の構成部材を接合するために用いる継手構造に関する。
本願と同一の出願人は、特許文献1に開示される組立式水槽を開発した。
この組立水槽は、貯水槽、窯業原料の湿式分級に用いる沈殿槽、並びに防火水槽等の有底筒状の大型水槽として、分解状態で納まりが良く、輸送車等への積み降ろしが容易であると共に、漏水することなく容易に組立てられるものである。
具体的には、コ字状溝を外向きに設け、且つ連結すると円環を構成する複数の円弧枠と、該円弧枠の開口端を閉塞した端面を、水密状に接合固定して成る円環枠と、該円環枠と同径の外向きコ字状溝を周設した円板を所定形状に分割形成して成る底板分割体と、該底板分割体の継ぎ目に立設した衝合板を、水密状に接合固定して成る円形底板と、上下方向で同心配置した円形底板と単数又は複数の円環枠のコ字状溝同士間にその円周方向で所定間隔置きに水密状に起立介装すると共に、一側面が円形底板と円環枠の内周面に沿う様に形成された支柱とにより枠体を構成し、該枠体において、上下のコ字状溝と、その間に隣り合って介在される支柱にて囲繞される開口部を、該開口部より面積大にして、且つ湾曲変形可能な薄肉金属製の矩形状の壁板で枠体内側から水密状に閉塞することにより構成されている。
そして、出願人は、上記構成の水槽を更に組み立て易くするために、上下一対の円環枠間に支柱と壁板を配して円筒の胴枠体と、これに底板を設けた底枠体を構成し、該底枠体上に1個以上の胴枠体を積み上げることにより組み立てられる水槽を試作した。
底枠体と胴枠体、及び胴枠体同士の連結は、各枠体の上下に有する円環枠のフランジ同士を衝合して、ボルトとナットで締結することにより成し得るものである。
特開2010−111395号公報
しかしながら、上記各フランジの円周方向に所定間隔置きに設けたボルト挿通孔は位置決め精度が低く、必ずしも上下で合致しないことが多々あり、その作業効率を低減することが明らかになった。
そこで、本発明では、上記の様に底枠体や胴枠体等の接合部材に設けたフランジ等の衝合板に直接にボルト挿通孔を設けることなく接合部材を接合できる様にした継手構造を提供することを目的としている。
上記課題に鑑み、本発明の継手構造は、接合する部材の夫々に設けた衝合板を衝合し、該衝合板の衝合面の背面に設けた各凸部を先端鉤部にて掛止する一対の留め具をボルトとナットにて締結するものであって、各留め具は、側面視凹状に形成されると共に、相互に凹側を対向させて成り、前記先端鉤部は、前記ボルトの挿通孔を中央に貫設した水平板の先端に短尺な垂下片を設けることにより形成され、水平板の基端には前記垂下片より長い垂直板を垂設し、該垂直板の各端面を衝合したことを特徴とし、必要に応じて衝合板の衝合面間にシール材を介在する。
要するに本発明は、接合する部材の夫々に設けた衝合板を衝合し、該衝合板の衝合面の背面に設けた各凸部を先端鉤部にて掛止する一対の留め具をボルトとナットにて締結するものであって、各留め具は、側面視凹状に形成されると共に、相互に凹側を対向させて成り、前記先端鉤部は、前記ボルトの挿通孔を中央に貫設した水平板の先端に短尺な垂下片を設けることにより形成され、水平板の基端には前記垂下片より長い垂直板を垂設し、該垂直板の各端面を衝合することにより、留め具間に重ね合わされた衝合板を挟持でき、これにより簡単容易にして堅固に各部材を接合でき、従来の様に各部材の衝合板に設けた複数のボルト挿通孔を一致させてボルトを通して締結する手間を省けるので、その作業効率を飛躍的に向上できる。
又、衝合板の衝合面間にシール材を介在することにより、部材間からの漏水を防止でき、組立式水槽を構成する部材に適用できる等その実用的効果甚だ大である。
組立式水槽の一部破断平面図である。 同上正面図である。 同上背面図である。 同上底面図である。 図1のA−A断面図である。 側方の底板分割体の斜視図である。 中央の底板分割体の斜視図である。 円弧枠の斜視図である。 支柱の斜視図である。 壁板の斜視図である。 壁板の張設過程を示す一部破断平面図である。 クランプの使用状態を示す側面図である。 クランプの使用状態を示す正面図である。
以下本発明の実施の一形態例を図面に基づいて説明する。
図1〜5は本発明に係る継手構造を用いた有底筒状の組立式水槽の平面図、正面図、背面図、底面図、及びA−A断面図である。
この水槽は、金属製の円形底板1、円環枠2、支柱3及び壁板4を構成部材としてこれらを溶接せずに組み立てることにより形成される。
円形底板1は、所定径の外向きコ字状溝5を周設した円板を所定形状に分割形成して成る底板分割体6、7、8から成り、各底板分割体6、7、8は、図1、4、6、7に示す様に、円形底板1をその円の平行で同長な一対の弦で3分割しており、左右側方の底板分割体6、8は同形と成している。
底板分割体6、7、8において、上記弦に対応する継ぎ目には、夫々に同形の衝合板6a、7a、7b、8aを立設している。
衝合板6a、7a、7b、8aは、分割によって形成されたコ字状溝5の開口端を閉塞する矩形板と、該矩形板間にこれより低い帯板を連結した凹状板から成り、左側方の底板分割体6の衝合板6aと中央の底板分割体7の左側衝合板7aとを、右側方の底板分割体8の衝合板8aと中央の底板分割体7の右側衝合板7bとを、これらと同形板状の合成ゴム製のシール材(図示せず)を介して水密状に接合すると共に、ボルトB1とナットN1の締結にて固定し、円形底板1を構成している。
尚、底板分割体6、7、8は上記形状に限定されることなく、例えば円を複数に等分した扇形状であっても良く、この場合にも当然ながら継ぎ目にはシール部材を介して相互に水密接合される衝合板を立設している。
円環枠2は、円形底板1のコ字状溝5と同径のコ字状溝9を外向きに設け、且つ連結すると円環を構成する複数の円弧枠10から成り、該円弧枠10は、図1、8に示す様に、円環枠2を等分(図示例では3等分)した同形の円弧を有している。
又、円弧枠10は、その開口端を端面11にて閉塞して成り、各円弧枠10の端面11を、これと同形板状の合成ゴム製のシール材(図示せず)を介して水密状に接合すると共に、ボルトB2とナットN2の締結にて固定し、円環枠2を構成している。
支柱3は、図2、3、9に示す様に、上記コ字状溝5、9と同形で上下方向に真直で長い外向きコ字状溝12から成り、その上下の開口端を端面13にて閉塞している。
そして、上下方向で同心配置した円形底板1と円環枠2のコ字状溝5、9同士間にその円周方向で所定間隔置きに支柱3を起立介装し、該支柱3の上下端面13とコ字状溝5、9とは、端面13と同形板状の合成ゴム製のシール材(図示せず)を介して水密状に接合されると共に、ボルトB3とナットN3の締結にて固定することにより水槽の底枠体14aを構成する。
同様に、上下方向で同心配置した上下一対の円環枠2のコ字状溝9同士間にその円周方向で所定間隔置きに支柱3を起立介装し、該支柱3の上下端面13とコ字状溝9とは、端面13と同形板状の合成ゴム製のシール材(図示せず)を介して水密状に接合されると共に、ボルトB3とナットN3の締結にて固定することにより水槽の胴枠体14bを構成する。
又、支柱3(コ字状溝12)は、他のコ字状溝5、9とは、真直に形成されたか湾曲に形成されたかの違いはあるが、同形のため、その一側面3aは円形底板1と円環枠2の内周面1a、2aに沿ってこれらと共に略一様な底枠体14a及び胴枠体14b(以下、底枠体14a及び胴枠体14bを総じて枠体14とも称する。)の内側を形成している。
壁板4は、枠体14(14a、14b)において、上下のコ字状溝5、9と、その間に隣り合って介在される支柱3を窓枠として、該窓枠を枠体14の内側から閉塞するものであり、図5、10に示す様に、窓枠にて囲繞される開口部15より面積大にして、且つ湾曲変形可能な薄肉金属製の矩形板から成り、その左右側縁4a、4bが直角に内側へ屈曲形成され、該左右側縁4a、4bの上下方向には複数のボルト挿通穴が所定間隔置きに貫設されている。
尚、図10において、左右側縁4a、4bの基端部上下には三角形状の補強板が形成されているが、この補強板は、その他の図(図1、11)では説明の便宜上、二点鎖線で示している。
又、枠体14の内側、即ち、円弧枠10(円環枠2)の内周面2a、底板分割体6、7、8(円形底板1)の内周面1a、及び支柱3の一側面3aには、壁板4による開口部15の閉塞が水密性を有する様に、夫々の形状に対応する板状の合成ゴム製のシール材(図示せず)が貼着されている。
そして、壁板4は、その中央の上下側縁が止めボルトB4及び止めナットN4により上記窓枠における上下のコ字状溝5、9の内周面1a、2aに水密状に鋲着され、周方向で隣接する各壁板4において支柱3の一側面3a上で左右平行に隣接配置する各側縁4a、4bに壁板連結ボルトB5を横貫する(図1、5、11参照)。
尚、必要があれば、壁板4の中央が鋲着される上下側縁間に対応する上下のコ字状溝5、9間に別途支柱3を上記と同様に水密状に起立介装し、該支柱3の一側面3aに壁板4の上下側縁を除く中央部を止めボルトB4及び止めナットN4にて水密状に鋲着しても良い。
上記の如く側縁4a、4bに横貫した壁板連結ボルトB5は、頭部を有する一端が一方の側縁4bに固定される。
この固定は、側縁4bの内側からボルト挿通穴にねじ部を通し、該ねじ部に側縁4bの外側から螺合した挟持用ナットN5を締め付けることにより、該挟持用ナットN5と頭部間に側縁4bを配することで成し得る。
そして、図11(a) に示す如く、一端が一方の側縁4bに固定された壁板連結ボルトB5には、両側縁4a、4b間にして且つ他方の側縁4aの外側面に当接する様に圧着ナットN6を螺着する。
次いで、圧着ナットN6を挟持用ナットN5から離間する様に螺進させる。
壁板4中央の上下側縁が止めボルトB4にて枠体14の内側適所に位置決め固定されているので、圧着ナットN6の上記螺進により、各側縁4a、4bは所定間隔を保持する様に離間すると共に、図11(a) の状態よりも壁板4の湾曲度を増大させて壁板4を枠体14の内側に図示しないシール材を介して水密状に圧着させて図11(b) の状態に至る。
各枠体14の全ての開口部15を上記の様に壁板4にて水密状に閉塞した後には、他方の側縁4aの内側より突出する壁板連結ボルトB5の他端をロックナットN7にて螺着することにより、水密壁4を周設した底枠体14aと胴枠体14bの組立が完了する。
次に、上記底枠体14aを最下段にして、この上に上記胴枠体14bを1個以上積み重ねてる。
これにより上下に隣接する底枠体14a及び胴枠体14b、並びに胴枠体14b同士が接合され、かかる接合部材14(14a、14b)のフランジから成る衝合板F1 、F2が衝合される。
尚、衝合板F1 、F2の衝合面間には、円環板状の合成ゴム製のシール材Sを介在している(図12、13参照)。
又、衝合板F1 、F2の背面における同一円周上には、その円周方向で等間隔置きに円周方向に長い丸棒からなる複数の凸部16を溶接しており、各衝合板F1 、F2の凸部16の形成位置は相互に対応している。
尚、この凸部16は衝合板F1、F2の背面に同一円周上に沿って連続する様に円環枠2(円弧枠10)に形成しても良い。
そして、各段の衝合板F1、F2は、その円周方向に配置した複数のクランプ17にて水密状に接合固定される。
このクランプ17は、鋳鉄にて側面視略凹状に形成された上下一対の留め具18と、凹側を対向させた留め具18を上下に貫通するボルトBと、該ボルトBに螺着するナットNとから構成されている。
留め具18は、ボルトBの挿通孔を中央に貫設した段付き水平板18aと、該段付き水平板18aの先端に短尺な垂下片を設けることにより形成された凸部16を掛止する鉤部19と、段付き水平板18aの基端に前記垂下片より長く垂設した垂直板18bとからなる。
上記の様に構成されたクランプ17は、上下の留め具18の先端鉤部19に各衝合板F1、F2の各凸部16を掛止すると共に、上下の留め具18の垂直板18bの端面を衝合し、両留め具18をこれらに貫通するボルトBとナットNにて締結することで衝合板F1、F2の一部を留め具18間に挟持し、同様な手法にて衝合板F1、F2の円周方向に配置した複数のクランプ17で衝合板F1、F2の各所を挟持することにより、衝合板F1、F2は水密状に接合固定される。
各段の衝合板F1、F2がその円周方向に複数配置したクランプ17により上記の様に接合固定されると、溶接が不要な円筒形水槽の組立が完了する。
尚、本実施例では、多段に積み重ね配置した枠体14における円環枠2の衝合板F1、F2を複数のクランプ17で接合固定したもの示したが、その他の箇所、例えば円形底板1を構成する底板分割体6、7、8に形成した衝合板6a、7a、7b、8aの接合にもクランプ17を用いても良い。
14(14a、14b) 接合部材
16 凸部
18 留め具
19 先端鉤部
B ボルト
F1、F2 衝合板
N ナット
S シール材

Claims (2)

  1. 接合する部材の夫々に設けた衝合板を衝合し、該衝合板の衝合面の背面に設けた各凸部を先端鉤部にて掛止する一対の留め具をボルトとナットにて締結する継手構造であって、各留め具は、側面視凹状に形成されると共に、相互に凹側を対向させて成り、前記先端鉤部は、前記ボルトの挿通孔を中央に貫設した水平板の先端に短尺な垂下片を設けることにより形成され、水平板の基端には前記垂下片より長い垂直板を垂設し、該垂直板の各端面を衝合したことを特徴とする継手構造。
  2. 衝合板の衝合面間にシール材を介在したことを特徴とする請求項1記載の継手構造。
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