JP5431339B2 - 酵素学的方法および酵素 - Google Patents

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Description

ペプチダーゼをコードするヌクレオチドを利用した体の悪臭形成のモジュレーターを同定する方法、ペプチダーゼ発現用コンストラクトおよびかかるコンストラクトを含む細胞、ならびに結果として生じるペプチダーゼが提供される。
前記ヌクレオチドは、ペプチダーゼ酵素のタンパク質をコードする。ペプチダーゼは悪臭形成に関与し、体の悪臭形成のモジュレーター、特にインヒビターを同定する方法に利用することができる。これらのインヒビターは体、特にヒトの体における悪臭形成を防止または減少させる能力を持つ。
1950年代以来、アポクリン腺によって分泌される汗は無臭であり、汗の望ましくない臭いは、細菌の作用を介してのみ発生することが知られている。したがって、汗は悪臭の前駆体を含み、悪臭物質は該前駆体への細菌の酵素作用を介して放出されると結論づけられた。
特に腋の悪臭を含む体の悪臭は、スルファニルアルコール、不飽和またはヒドロキシル化した酸、およびステロイドの3つの主要なクラスの化合物が原因である。本明細書に記載する方法は、スルファニルアルコールの形成を防止するインヒビターの同定に有用である。
本出願人は以前に不飽和またはヒドロキシル化した酸の悪臭前駆体、およびそれらを形成するアミノアシラーゼ酵素(AMRE)を同定した(EP 1258531)。AMRE酵素は、悪臭形成酵素のインヒビターをスクリーニングするのに使用でき、またこのため、体の悪臭を防止または減少させる化合物の同定に使用できる。
スルファニルアルコールの放出に関して、本出願人はCorynebacterium sp. Ax20由来のシスタチオニンβ−リアーゼおよび前駆体化合物を同定した(A. Natsch et al., Chemistry & Biodiversity 2004, 1058)。
Starkenmannらは、異なる前駆体、すなわち式FIIIの前駆体からスルファニルアルコールを放出するStaphylococcus haemolyticus由来の異なるβ−リアーゼを想定した(WO2006079934)。
Figure 0005431339
Staphylococcus細菌は、悪臭形成に大幅に関与しているとは一般的に思われていないにもかかわらず、FIIIの化合物(例では「cys−gly複合体」)は体の悪臭に寄与しているようである。
配列番号3および配列番号4の配列は、その仮想的な遺伝子産物として以前に配列データベースで公表されたが、そのタンパク質の機能、触媒活性および悪臭発生におけるその関与は知られていない。
本出願人は今回、驚くべきことに、前駆体I(例えば、限定することなく、FIIIの化合物)、または代替的に、本明細書の以下に記載の他の多様な基質から前駆体IIを放出し、以前に同定されたシスタチオンβ−リアーゼの作用とともに、スルファニルアルコール悪臭物質を最終的に形成する第3のタイプの酵素(配列番号2および配列番号4を含むが、これらに限定されないペプチダーゼ)を同定した(図1を参照)。
新規のタイプのペプチダーゼおよび以前に本出願人らによって記載されたβ−リアーゼのいずれも、Corynebacteriaで発生する。理論にとらわれることを望むわけではないが、非常に不快な悪臭は主にCorynebacteriaによって新しい汗から放出されることが一般的に受け入れられている。
本出願人はCorynebacteria sp. Ax20の抽出物のどの単一画分も、前駆体I、特に、限定することなくFIIIの化合物から悪臭を放出させることができないことを示した。このことは、前駆体I(本明細書の下記の例、特に例11を参照)を切断することが可能な単一の酵素は、Corynebacteria sp.の抽出物に存在しないことを示す。さらに本出願人は、2種の酵素が、前駆体I、特に、限定することなくFIIIの化合物の切断を媒介することを示した。まず、ペプチダーゼ(例えば、限定することなく、配列番号2または配列番号4)がgly残基とcys残基との間でジペプチドを切断し、次いでβ−リアーゼがその後、前記ペプチダーゼによって形成されたcys複合体(FIV)から悪臭物質を放出する(本明細書の下記の例、特に例12を参照)。
Figure 0005431339
同定したタイプの酵素は、スルファニルアルコール悪臭物質による悪臭形成のインヒビターを同定する代替的なスクリーニング標的として有用である。
前駆体I(生理学的に関連性のある基質)は、一般式FII
Figure 0005431339
式中、R1はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルからなるアルカン残基の群から選択され、
R2およびR3は、独立してHおよびメチルからなる群から選択される
を有する。
したがって、スルファニルアルカノール悪臭物質は、一般式FV
Figure 0005431339
式中、R1はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルからなるアルカン残基の群から選択され、
R2およびR3はHおよびメチルからなる群から独立的に選択される
を有する。
ペプチダーゼは、本明細書の以下の「ペプチダーゼの基質」の項で詳述する式FIの非生理学的な基質にも反応し、これらはスクリーニングの目的に有用である。
前記タイプのペプチダーゼ酵素は、理論にとらわれることを望むわけではないが、これが最も関連性のある細菌の属で発生するだけでなく、このタイプのペプチダーゼ酵素は悪臭形成の酵素学的反応における律速段階を行っているようであることから特に興味深く、したがって、同定したインヒビターは特に効果的であることが期待できる。
さらにまた、これも理論にとらわれることを望むわけではないが、ペプチダーゼの両態様(配列番号2および配列番号4)は、以前に同定された悪臭を有する不飽和またはヒドロキシル化した酸を形成するAMRE酵素と同クラスの酵素(メタロペプチダーゼ)に属し、(限定することなく、配列番号2および配列番号4の酵素を含む)ペプチダーゼ酵素を用いたスクリーニングは、悪臭を有する不飽和およびヒドロキシル化した酸の形成に関与するメタロペプチダーゼに対しても活性を有するインヒビターを見出す結果となり得るため、両クラスの悪臭物質の形成を同時に減少させるのに有効である。
以下に示すものが提供される。
(1)体の悪臭形成のモジュレーターを同定する方法であって、
(i)ペプチダーゼをペプチダーゼの基質および少なくとも1種の被検物質と接触させる工程、および
(ii)ペプチダーゼ媒介反応速度への前記少なくとも1種の被検物質の効果を決定する工程
を含み、
前記ペプチダーゼは、式FIII
Figure 0005431339
で表される基質化合物からグリシンを放出する触媒活性を有し、
前記ペプチダーゼは、配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるポリペプチド配列に少なくとも40%の配列同一性で相同であり、
前記ペプチダーゼは、以下の保存された部分配列:
105番目と150番目のアミノ酸の間にERDGRWYGRGXADCKG、
150番目と180番目のアミノ酸の間にEGSEEXG、
205番目と255番目のアミノ酸の間にHSGXXGGXAPDA、
385番目と425番目のアミノ酸の間にGGSIPL
を含み、
ここで、アミノ酸は天然に存在する形態の実質的に相同なペプチダーゼのN末端から始まって番号付けされており、アルファベットはアミノ酸一文字表記を示し、Xは20の標準アミノ酸のいずれか1つである、前記方法。
(2)工程(i)のペプチダーゼ基質が、式FI
Figure 0005431339
式中、XはSおよびOからなる群から選択され、R1はHおよびメチルから選択される残基であり、R2は直鎖状または分枝状のC1〜C10アルキル、直鎖状または分枝状のC1〜C10アルカノール、フェニル、およびベンジルからなる群から選択される残基である、
で表される化合物である、項目(1)の方法。
項目(2)の代替的な態様において、XはSである。
(3)基質が、S−ベンジル−Cys−Gly、O−ベンジル−Ser−Gly、(1−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルブチル)−L−システイニル−グリシン、S−ベンジル−Cys−Ala、O−ベンジル−Ser−Ala、Pro−Gly、Ala−Gly、Ala−Ala、およびPro−Alaからなる群から選択される化合物である、項目(1)の方法。
項目(3)の代替的な態様において、基質はS−ベンジル−Cys−Gly、O−ベンジル−Ser−Gly、(1−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルブチル)−L−システイニル−グリシン、S−ベンジル−Cys−Ala、およびO−ベンジル−Ser−Alaからなる群から選択される化合物である。
項目(3)の代替的な態様において、基質はPro−Gly、Ala−Gly、Ala−Ala、Pro−Alaからなる群から選択される化合物である。
(4)追加の酵素であるシスタチオニンβ−リアーゼを、基質および被検物質とともに、平行してまたは引き続きインキュベートし、工程(ii)において、ペプチダーゼとβ−リアーゼ酵素とによる切断への被検物質の効果を、少なくとも1種の反応産物、任意にチオール反応産物およびヒドロキシ反応産物から選択される反応産物の形成の変化によって決定する、項目(1)〜(3)のいずれか1つの方法。
(5)組み合わせて用いるための
(i)本明細書に記載の、特に項目(1)に定義されたペプチダーゼ、および
(ii)前記ペプチダーゼによって切断される基質化合物
を含む、被検物質を前記ペプチダーゼおよび悪臭形成のモジュレーターとして同定するためのキット。
項目(5)の1つ特別な態様において、基質化合物は、式FI
Figure 0005431339
式中、XはSおよびOからなる群から選択され、R1はHおよびメチルから選択される残基であり、R2は直鎖状または分枝状のC1〜C10アルキル、直鎖状または分枝状のC1〜C10アルカノール、フェニル、およびベンジルからなる群から選択される残基である
で表される化合物である。
項目(5)の別の態様において、式FIで表される前記基質化合物は、S−ベンジル−Cys−Gly、O−ベンジル−Ser−Gly、(1−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルブチル)−L−システイニル−グリシン、S−ベンジル−Cys−Ala、O−ベンジル−Ser−Ala、Pro−Gly、Ala−Gly、Ala−Ala、およびPro−Alaからなる群から選択される。
項目(5)のさらに別の態様では、式FIで表される前記基質化合物は、S−ベンジル−Cys−Gly、O−ベンジル−Ser−Gly、(1−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルブチル)−L−システイニル−グリシン、S−ベンジル−Cys−Ala、O−ベンジル−Ser−Alaからなる群から選択される。
項目(5)のさらに別の態様では、式FIで表される前記基質化合物は、Pro−Gly、Ala−Gly、Ala−Ala、およびPro−Alaから選択される。
(6)本明細書で定義した、特に項目(1)で定義したペプチダーゼを、その基質を切断する能力において阻害する方法であって、前記ペプチダーゼをペプチダーゼインヒビターと接触させる、前記方法。
(7)ペプチダーゼのインヒビターを体の表面に適用し、前記ペプチダーゼは、本明細書に記載した、特に、限定することなく、項目(1)に記載したペプチダーゼである、体の悪臭形成を防止または減少させるための項目(6)の方法。
(8)インヒビターを、少なくとも1種の賦形剤を含む皮膚科学的に許容し得る組成物の形態で適用する、項目(7)の方法。
(9)体の悪臭形成に対して効果を有するパーソナルケア製品を調製するための方法であって、ペプチダーゼのインヒビターをパーソナルケア製品配合物に添加し、前記ペプチダーゼは、本明細書に記載した、特に、限定することなく、項目(1)に記載したペプチダーゼである、前記方法。
(10)ペプチダーゼ基質と、単離したペプチダーゼとを含む組成物であって、
前記ペプチダーゼは、本明細書に記載した、特に、限定することなく、項目(1)に記載のペプチダーゼであり、
前記ペプチダーゼ基質は、本明細書に記載した、特に項目(2)または(3)のいずれか1つ、またはその具体的な態様のいずれか1つに記載したペプチダーゼ基質である、
前記組成物。
(11)ペプチダーゼが、単離された形態、機能的なペプチダーゼを含有する調製物の形態、適した宿主細胞における異種発現の形態、ペプチダーゼを発現するCorynebacterium jeikeiumの形態、およびペプチダーゼを発現するCorynebacterium jeikeium K411の形態からなる群から選択される形態である、項目(10)の組成物。
(12)単離されたペプチダーゼであって、該ペプチダーゼは、本明細書に記載した、特に、限定することなく、項目(1)に記載したペプチダーゼであり、
前記ペプチダーゼは、配列番号2および配列番号4から選択される配列に少なくとも40%の配列同一性で相同である、前記単離されたペプチダーゼ。
(13)ペプチダーゼが、配列番号2および配列番号4から選択される配列に少なくとも80%の配列同一性で相同である、項目(12)の単離されたペプチダーゼ。
他の態様では、配列同一性は少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である。
(14)ペプチダーゼをコードするヌクレオチドであって、該ペプチダーゼは、本明細書に記載した、特に、限定することなく、項目(1)に記載したペプチダーゼであり、
配列同一性によって決定される、配列番号1のヌクレオチド配列と実質的に相同なヌクレオチド、
対応するタンパク質へ翻訳されるときにアミノ酸変化を生じない、配列番号1の保存的に改変された変異体であるヌクレオチド、
ハイブリダイゼーションによって決定される、配列番号1に実質的に相同なヌクレオチド
からなる群から選択され、
配列同一性によって決定される実質的に相同なヌクレオチドは少なくとも80%の配列同一性を有する、前記ヌクレオチド。
他の態様では、配列同一性は少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%である。
(15)単離されたヌクレオチドが発現ベクターの一部を形成する、項目(14)の単離されたヌクレオチド。
(16)発現ベクターが、該発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞の一部を形成する、項目(15)の単離されたヌクレオチド。
(17)ペプチダーゼを形成する方法であって、前記ペプチダーゼをコードする発現ベクターを含む宿主細胞を発現に十分な条件下で培養し、それによってペプチダーゼを形成する工程、および任意にそれを細胞から回収する工程を含み、前記ペプチダーゼが、本明細書に記載した、特に、限定することなく、項目(1)に記載したペプチダーゼである、前記方法。
[詳細な説明]
以下の節は、ペプチダーゼおよびその変異体、その基質、その反応産物、多様なスクリーニングアッセイおよびそれらを実行する方法を含む、体の悪臭のモジュレーターおよびインヒビターの同定におけるその利用を詳細に記載するものであり、これは、利用してもよい細胞、精製ペプチダーゼを利用するアッセイ、ペプチダーゼ転写アッセイ、ペプチダーゼ用発現系、ペプチダーゼの過剰発現、ペプチダーゼコンストラクトの細胞へのトランスフェクション、ペプチダーゼタンパク質回収、ペプチダーゼのモジュレーター、ペプチダーゼ基質の同定、結合アッセイ、モジュレーターを同定するキット、同定したモジュレーターの確認、大規模スクリーニングアッセイ、被検物質のライブラリー、被検物質のタイプ、パーソナルケア製品およびペプチダーゼ配列を含む。
ペプチダーゼおよび実質的に相同な配列
本明細書に記載の方法で有用なペプチダーゼ(またはそれをコードするヌクレオチド)は、配列番号2(またはそれをコードするヌクレオチドについては配列番号1)のペプチダーゼ、配列番号4(またはそれをコードするヌクレオチドについては配列番号3)のペプチダーゼ、および配列番号2および/または配列番号4(またはそれをコードするヌクレオチドについては配列番号1および/または配列番号3)と実質的に相同であり、かつ依然として機能的である、すなわち、ペプチダーゼが、本明細書に記載する基質/悪臭物質前駆体と結合し、および/または該基質/悪臭物質前駆体と反応/該基質/悪臭物質前駆体を切断するペプチダーゼからなる群から選択されてもよい(またはヌクレオチドの場合、これらがかかるペプチダーゼをコードするならば、これらは機能的とみなされる)。例えば、限定することなく、ヒトの腋に天然に存在する、またはそこから単離可能なcorynebacteriaから誘導し得るペプチダーゼまたはペプチダーゼをコードするヌクレオチドである。
実質的に相同なペプチダーゼは、以下に示す保存された部分配列のブロックを含む(アルファベットはアミノ酸一文字表記を示し、Xは20の標準アミノ酸のいずれか1つであり、該アミノ酸は天然に存在する形態の実質的に相同なペプチダーゼのN末端から始まって番号付けされている):
105番目と150番目とのアミノ酸の間にERDGRWYGRGXADCKG、
150番目と180番目とのアミノ酸の間にEGSEEXG、
205番目と255番目とのアミノ酸の間にHSGXXGGXAPDA、
385番目と425番目とのアミノ酸の間にGGSIPL。
番号付けにおいては、実質的に相同なペプチダーゼの天然に存在する配列を用いるか、または、当業者にとって明らかなとおり、番号付けの前に、すべての付加したタグ、融合配列などを修正し、配列の番号付けには考慮せず、天然に存在する形態の配列、すなわち、番号付けに影響を与えるこのようなまたは同様の変化がない配列と一致して番号を付ける。
保存された配列ブロックを、以下の図にも示す。
Figure 0005431339
同定したペプチダーゼ酵素、配列番号2および配列番号4は、Corynebacterium sp. Ax20(配列番号2)およびCorynebacterium jeikeium(配列番号4)から、より具体的には、2001年4月26日にD-38124 Braunschweigの国際寄託機関DSMZ- German Collection of Microorganisms and Cell Culturesに提出された(Accession Number DSM 14267)、Corynebacterium striatumまたはglaucumに最も近いCorynebacterium sp. Ax20であるDSM 14267、およびCorynebacterium jeikeium K411 (Tauch et al. 2005, J Bacteriol. 187(13): 4671-82)から単離した。
Ax20(DSM 14267)はヒトの腋から単離され、生化学的試験(API Coryne test kit, BioMerieux, France)によると、Corynebacterium striatumと最も近く、全長の16S rRNA遺伝子配列解析に基づくと、Corynebacterium glaucum種由来の基準株に最も近い。
Corynebacterium jeikeiumは、特に免疫不全患者での日和見感染について知られている。K411はヒトの腋から単離された。それは院内病原菌として認知されている皮膚微生物叢の、脂質要求性および多剤耐性の細 菌種である。
本明細書で用いる用語ペプチダーゼは、Ax20ペプチダーゼ(配列番号2)、K411ペプチダーゼ(配列番号4)、または本明細書に記載した、これらに実質的に相同なペプチダーゼを指してもよい。
補酵素として亜鉛イオンの存在を要求する限りにおいて、本ペプチダーゼはメタロペプチダーゼとして分類された。それらは、不飽和またはヒドロキシル化した酸の悪臭物質を放出し、亜鉛依存性でもある、以前に同定したメタロペプチダーゼ(AMRE)と機能的に近い。本ペプチダーゼをコードするヌクレオチド配列が単離され、配列決定された(配列番号1、配列番号3)。各ペプチダーゼ遺伝子配列は、適した発現ベクターに導入し、所望の微生物または細胞における異種発現によって本ペプチダーゼを生産するのに利用することが可能である。
配列番号1および2の配列(Ax20由来)は以前に記載されておらず、単離された配列番号4のペプチダーゼは以前に記載されていない。
in vivoでは、本ペプチダーゼは細胞内で生じ、細胞外被の機械的な破壊によって細胞から放出され得る。したがって、本ペプチダーゼは細胞抽出物、特に野生型corynebacteria菌株からなる群から選択される生物体由来の細胞から得た細胞抽出物から単離してもよい。corynebacteriaは、例えば、限定することなく、Corynebacteria sp. 、Corynebacterium striatum、Corynebacterium glaucum、Corynebacterium jeikeium、Corynebacterium sp. Ax 20、Corynebacterium jeikeium K411、Corynebacterium xerosis、Corynebacterium appendicis、Corynebacterium coyleae、Corynebacterium mucifaciens、Corynebacterium riegelii、およびCorynebacterium tuberculostearicumを含む。
当該技術分野で周知のように、野生型corynebacteria菌株の良い供給源はヒトの腋であり、そこから細菌株を培養および単離してもよい。
上記全てのcorynebacteriaはヒトの腋から単離され、またはヒトの腋に存在し、悪臭形成酵素を発現して、悪臭を生成することができる。
ペプチダーゼはインタクトな細胞の形態、または、単離された形態、例えば粗抽出物などとして、または精製された形態で使用してもよい。例えば、粗抽出物は細胞の機械的な破壊によって生成することができる。任意に、ペプチダーゼは精製されていてもよい。代替的に、ペプチダーゼは本明細書に記載するように組み換え的に生成してもよい。
実質的に相同なペプチダーゼタンパク質は、基質結合および/または触媒部位が、異なる種、例えば、Corynebacterium属の細菌を含むが、これらに限定されないヒトの腋由来の別の細菌由来のアレル変異体の関連する部位で置換されているタンパク質を含む。
さらに、実質的に相同なペプチダーゼヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、保存的な変異および/または点変異によって生成してもよく、以下に詳細に示す保存的に改変された変異体を含む。
ヌクレオチド配列に関して、保存的に改変された変異体は、同一の、または本質的に同一のアミノ酸配列(保存的に置換されたアミノ酸、すなわち、アルギニンに置き換わったリジンおよび本明細書の以下に説明するさらなる例)をコードするヌクレオチドを意味する。
遺伝暗号の縮重のため、配列は異なるが機能的に同一である多数のヌクレオチドが、任意の所与のポリペプチド/タンパク質をコードする。かかるヌクレオチドのバリエーションは、「サイレントバリエーション(silent variation)」であり、保存的に改変されたバリエーションの1種である。ポリペプチドをコードする各ヌクレオチド配列は、そのヌクレオチドの全ての可能なサイレントバリエーションもまた記載する。したがって、ヌクレオチドの各コドン(通常はメチオニンの唯一のコドンであるAUG、および通常はトリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)は、同一のポリペプチドを産生する機能的に同一のヌクレオチド配列を得るために改変することができる。したがって、ポリペプチドをコードするヌクレオチドの各サイレントバリエーションは、各々の所与のヌクレオチド配列に内在している。
アミノ酸配列に関して、アミノ酸置換は、PCR、遺伝子クローニング、cDNAの部位特異的変異誘発、宿主細胞のトランスフェクション、およびin vitro転写を含む組み換え遺伝子技術の既知のプロトコルを利用して導入してもよく、ペプチダーゼ配列にかかる変化を導入するために使用してもよい。変異体は、その後ペプチダーゼ活性についてスクリーニングすることができる。機能的に同様なアミノ酸を提供する保存的置換の表は、該当技術分野で周知である。例えば、保存的置換を選択する1つの例示的なガイドラインは、ala/glyまたはser、arg/lys、asn/glnまたはhis、asp/glu、cys/ser、gln/asn、gly/asp、gly/alaまたはpro、his/asnまたはgln、ile/leuまたはval、leu/ileまたはval、lys/argまたはglnまたはglu、met/leuまたはtyrまたはile、phe/metまたはleuまたはtyr、ser/thr、thr/ser、trp/tyr、tyr/trpまたはphe、val/ileまたはleuを含む(本来の残基に例示的な置換が続く)。
代替の例示的なガイドラインは、互いに保存的置換となるアミノ酸をそれぞれ含む、次に示す6つの群を利用する:1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)、2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、4)アルギニン(R)、リジン(K)、5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、および6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
別の代替ガイドラインは、正であっても負であっても、全荷電アミノ酸を互いにとっての保存的置換として許容することである。
さらに、単一アミノ酸またはコードされた配列中の少ない割合のアミノ酸(例えば、26%まで、または20%まで、または10%まで)を変化、付加、または欠失させる個々の置換、欠失、または付加もまた、保存的に改変されたバリエーションとみなされる。
実質的に相同なヌクレオチドまたはポリペプチド配列は、本明細書に定義する基質へのポリペプチドの触媒活性を保持する一方で、以下に示す配列同一性の度合を有する。
%配列同一性
実質的に相同なヌクレオチド配列は、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の%配列同一性を有する。
実質的に相同なポリペプチド配列は、少なくとも40%、少なくとも42%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の%配列同一性を有する。
特に、ともに同じ生理学的基質に対して同じ触媒活性を有する、ペプチダーゼAx20(配列番号1および配列番号2)およびペプチダーゼK411(配列番号3および配列番号4)を比較した場合、アミノ酸配列に基づいての同一性は42%であり、ヌクレオチド配列に基づいての同一性は55%である。
%配列同一性の算出は、以下のように決定する。
BLAST(Basic Local Alignment Search Tool)は、http://www.ncbi.nlm.nih.govで利用可能なプログラムblastnによって利用されるヒューリスティック探索アルゴリズムである。ヌクレオチド問い合わせ配列の別のヌクレオチド配列に対する%同一性を決定するため、10のEXPECT(statistical significance threshold for reporting matches against database sequences)およびDUSTフィルタリングを含むBLASTバージョン2.2.1.3のデフォルトパラメータを用いて、Blastnを使用する。ポリペプチド問い合わせ配列の別のポリペプチド配列に対する%相同性を決定するため、10のEXPECTおよびDUSTフィルタリングを含むBLASTバージョン2.2.1.3のデフォルトパラメータを用いて、Blastpを使用する。
実質的に相同なヌクレオチド配列は、限定することなく、1または2以上の本明細書に記載するペプチダーゼヌクレオチド配列、またはそれら相補体に、以下に詳細に示すストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、選択的にハイブリダイズする配列を含む。ストリンジェントな条件は、50%ホルムアミド、5×SSC、および1%SDSからなる溶液中42℃の温度、および0.2×SSCおよび0.1%SDSからなる溶液中65℃での洗浄である(1×SSC=0.15M NaCl、0.015M クエン酸三ナトリウム pH7.0)。
例えばスクリーニングされるゲノムDNAライブラリー中に存在する他のヌクレオチド配列のために、バックグラウンドハイブリダイゼーションが生じることがある。
観察された標的DNAとの特異的な相互作用より、2倍強度が少ない、または任意に、10倍強度が少ないシグナルは、バックグラウンドとみなされる。相互作用の強度は、例えば、プローブを例えば32Pで放射性標識することにより測定してもよい。
本明細書で用いる用語「単離された」は、何らかのものがそこから生じる環境から取り出され、異なる環境に移されたことを意味し、これは、インタクトな細胞の環境およびこれを細胞ライセートに移すことを含む。
「精製された形態」は、他のタンパク質および/または核酸混入物に対して80%以上、例えば、限定することなく、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、またはそれ以上(w/w)であることを意味する。
ペプチダーゼの基質
本ペプチダーゼの基質(例えば、限定することなく前駆体I)は、ジペプチド誘導体として一般的に記載してもよい。基質の例は、限定することなく、ala−alaおよびala−glyなどの単純なジペプチドを含む。本ペプチダーゼに対して最も高い親和性を有する基質は、cys−glyおよびcys−ala誘導体、特に本明細書に記載するcys−glyまたはcys−ala残基のS原子がアルキル化したL−cys−L−glyおよびL−cys−L−ala誘導体である。
cys−gly誘導体は、天然に存在するもの、例えば、限定することなく前駆体I、または、S−ベンジル−Cys−Glyを含むが、これに限定されない合成類似体であってもよい。
所与のジペプチド誘導体がペプチダーゼ基質であるかどうかは、配列番号2または配列番号4のペプチダーゼとともにインキュベートすること、および該基質が本明細書に記載するペプチダーゼによって酵素的に反応するかどうかを決定することによって、容易に決定することができる。
基質は、限定することなく、酵素に対して高い親和性を有する基質を含み、以下に示す式FI
Figure 0005431339
式中、XはSおよびOからなる群から選択され、R1はHおよびメチルからなる群から選択される残基であり、R2は直鎖状または分枝状のC1〜C10アルキル、直鎖状または分枝状のC1〜C10アルカノール、フェニル、およびベンジルからなる群から選択される残基である
で表されるものであってもよい。
有用な基質の特定の群は、XがSであり、R1がメチルであり、R2が直鎖状または分枝状のC1〜C10アルキル、直鎖状または分枝状のC1〜C10アルカノール、フェニル、およびベンジルからなる群から選択される残基である、式FIで表される基質である。
R2残基に関して、「C1〜C10アルキル」は、限定することなく、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、およびデシルを含み、「C1〜C10アルカノール」は、限定することなく、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、および任意に、アルキルまたはアルカノールの任意の分枝した形態を含む。
生理学的に関連性のある基質は、「前駆体I」として本明細書に上記したものであり、一般式FII
Figure 0005431339
式中、R1はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、およびヘキシルからなる群から選択されるアルキル残基であり、
R2およびR3は、独立して、Hおよびメチルからなる群から選択される
を有する。
ペプチダーゼ基質の特定の例は、限定することなく、S−ベンジル−Cys−Gly、O−ベンジル−Ser−Gly、(1−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルブチル)−L−システイニル−グリシン、S−ベンジル−Cys−Ala、O−ベンジル−Ser−Ala、Pro−Gly、Ala−Gly、Ala−Ala、Pro−Alaを含む。これらの化学構造を以下の表に示す。
Figure 0005431339
Figure 0005431339
ペプチダーゼ反応産物
ペプチダーゼとの酵素反応産物は、単純なジペプチド基質については2つの遊離アミノ酸であり、またはgly誘導体については遊離グリシンおよびS置換cysまたはO置換ser誘導体であり、ala誘導体については、遊離アラニンおよびS置換cysまたはO置換ser誘導体である。
最終的な悪臭物質産物は、生じたペプチダーゼの酵素反応産物(例えば、前駆体II)がβ−リアーゼにさらされ、これが酵素反応産物を切断してスルファニルアルカノールを放出する場合にのみ形成される。
提供される新規のコンストラクトおよび産物(DNA、ベクター、組み換え細菌、タンパク質/ペプチダーゼ酵素)は、限定することなく、ペプチダーゼ反応のインヒビターをスクリーニングする場合に有用である。
モジュレーターおよびインヒビターの同定
インヒビターであるモジュレーターは、体の悪臭形成を防止するために製品(特に、脱臭剤を含むが、これに限定されないパーソナルケア製品)に添加する利益がある。同様に、本明細書の以下に記載するスクリーニング方法は、かかる製品中では避けるべきエンハンサーなどの他のモジュレーターの同定に使用することができる。
モジュレーターを同定するために、本ペプチダーゼとその基質を、少なくとも1種の被験物質(潜在的モジュレーター)に、適した濃度、例えば、限定することなく、1nm〜1mMまたは10nm〜10μMでさらす。
次いで、酵素的切断/反応速度へのモジュレーターの効果を、当該技術分野で周知の方法、例えば、限定することなく、本明細書に記載する方法によってモニターする。
酵素的切断/反応速度の変化は、遊離体切断速度または生成物形成速度(後者は二次産物を含む)によって決定する。
例えば、切断/反応速度は、基質が消失する速度、または基質の切断産物が現れる速度(例えば、glyまたはalaを含むが、これらに限定されない遊離アミノ酸反応産物が現れる速度)をモニターすることによって決定する。
潜在的モジュレーターのハイスループットスクリーニングの一態様において、遊離L−glyまたはL−alaの放出は、アミン基との反応時に発色団または蛍光分子を生成するアミン基誘導体化物質で、遊離Nα基を誘導体化することによって測定する。この点に関して有用であり得るのは、L−glyまたはL−alaとの反応時に蛍光分子を生成するフルオレサミン(Fluka, Buchs, Switzerland)の使用である。最後に、L−gly基質の切断はコントロール反応と比較してもよく、それによって、被検化合物が反応に影響する能力、特にそれを阻害する能力を定量化してもよい。
β−リアーゼまたはペプチダーゼ反応産物に作用する別の酵素が反応に加えられた場合においても同様に、その後代替的にまたは付加的に、悪臭物質(スルファニルアルコール)または他の放出されたイオウ分子が出現する速度をモニターすることができる。モニターした速度の変化は、被検物質および潜在的モジュレーターの酵素への効果を示す。インヒビターは、インヒビター被検物質非存在下での反応または所定の標準速度と比較した場合に、切断産物形成のより低い速度または遊離アミノ酸放出のより低い速度またはイオウ分子形成のより低い速度によって同定する。
切断/反応速度は、例えば、限定することなく次に示す方法によってモニターすることができる:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィー(TLC)またはキャピラリー電気泳動による基質または形成した遊離アミノ酸または他の切断産物の分析、遊離アミノ酸を蛍光プローブ(例えば、限定することなく、フルオレサミン)と反応させた後の蛍光分光光度法、遊離イオウ分子を蛍光プローブ(例えば、限定することなく、モノブロモビマン)と反応させた後の蛍光分光光度法、放出されたイオウ分子のガスクロマトグラフィー、または生化学的試験による反応産物の検出。
有用なペプチダーゼは、限定することなく、配列番号2のペプチダーゼおよび配列番号4のペプチダーゼを含む。配列番号4のペプチダーゼは、配列番号2のペプチダーゼより低い活性を有するが、スクリーニング標的として、またはスクリーニングでヒットしたものを検証するために、および/または異なる細菌種におけるインヒビターの広範囲な活性をスクリーニングするためには依然として極めて有用である。
これらスクリーニングは、引き続き、または平行して、1つの反応ウェルで両酵素を用いて行うことができる。
本明細書に記載するペプチダーゼを利用するスクリーニング方法と平行して、または引き続き、追加の悪臭形成酵素、例えば、限定することなく、1または2以上のβ−リアーゼおよびAMREを使用することができる。そのために、β−リアーゼおよび/またはAMREを、前記ペプチダーゼおよびその基質および被検物質とともに平行して、または引き続きインキュベートしてもよく、酵素の切断/反応速度への被検物質の効果を、スルファニルアルカノール(ペプチダーゼおよびβ−リアーゼによって放出された)および/またはカルボン酸またはグルタミン(AMREによって放出された)の形成の変化によって決定する。代替的に、反応遊離体の反応速度変化を決定してもよい。
1または2以上のペプチダーゼ配列番号2、ペプチダーゼ配列番号4、および実質的なホモログの同定されたインヒビターは、無臭の汗からイオウ化学物質を放出する律速段階を阻害するため、望ましい脱臭剤成分である。特に興味深いのは、2種以上のcorynebacteriaのペプチダーゼ、例えば、限定することなく、ペプチダーゼ配列番号2およびペプチダーゼ配列番号4の両方を阻害し、それゆえに複数の異なるcorynebacteria種に対する広域の活性を与えるインヒビターである。
本明細書の以下の例の結果は、β−リアーゼがFIIIの前駆体Iではなくcys複合体のみを切断することを示し、β−リアーゼ単独では腋分泌物中の量的に最も豊富な基質の切断の原因にはなり得ないことを示している。対照的に、ヒト被検対象の腋から単離されたcorynebacteria sp. Ax 20由来のペプチダーゼ含有抽出物は、FIIIの前駆体I(例では、cys−gly複合体)からスルファニルアルカノール悪臭物質を放出し、この反応はメタロペプチダーゼインヒビターo−フェナントロリンによって停止する。WO 2006079934はFIIIの前駆体Iを切断するβ−リアーゼを想定しているため、これは驚くべきことである。したがって、細胞抽出物はFIIIの前駆体Iの切断に関与するβ−リアーゼ以外の別の酵素を含むことになる。しかし、本明細書の例に示すとおり、Ax20抽出物のどの単一画分も、FIIIの前駆体Iから悪臭イオウ揮発物質を放出できず、また、これも本明細書の例に示すとおり、β−リアーゼの存在下では単一画分が悪臭イオウ揮発物質をFIIIの前駆体Iから放出することができるため、2つの酵素が順次FIIIの前駆体Iから悪臭物質を放出する、すなわちペプチダーゼがglyを放出し、それによってβ−リアーゼの基質を形成し、これが今度はイオウ分子を放出することになる。
アッセイに使用される細胞
適した細菌細胞は、天然にペプチダーゼを発現するすべてのcorynebacteria、例えば、限定することなく、Corynebacterium sp. 、Corynebacterium sp. Ax20、Corynebacterium striatum、Corynebacterium glaucum、Corynebacterium jeikeium、Corynebacterium jeikeium K411、Corynebacterium xerosis、Corynebacterium appendicis、Corynebacterium coyleae、Corynebacterium mucifaciens、Corynebacterium riegelii、およびCorynebacterium tuberculostearicumを含む。
代替的に、ペプチダーゼは宿主株、例えば、限定することなく、細菌株(限定することなくE. coli菌株を含む)、酵母株、または真核細胞系(限定することなく昆虫細胞、哺乳動物細胞、両生類細胞、および蠕虫細胞を含む)において、異種性に発現させてもよい。これら宿主株は、当該技術分野で周知であるように、ペプチダーゼをコードするヌクレオチド配列および宿主のための関連する調節エレメントを保有する適したベクターにより形質転換する。
ペプチダーゼを発現するためのベクターコンストラクトは、自体公知の方法で、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いてcorynebacteriumの染色体DNAからコード領域を増幅し、配列の検証後に、適したベクターにコード配列をサブクローニングすることによって作製してもよい。適したベクターは市販されており、例えばInvitrogen(Groningen, The Netherlands)からのベクターである。有用なベクターは、pET−3aベクター(Studier and Moffatt, 1986)である。結果として生じるプラスミドは、適したE. coli宿主株に形質転換される。ベクター−宿主株の組み合わせの適合性は、ベクターがそれに対して適合または至適化されている、選択した宿主株に依存する(例えば、ベクターpET−3aは、宿主株BL21(DE3)に形質転換される)。
代替的に、多様な発現ベクター/宿主系を、ペプチダーゼをコードする配列を収容および発現するために使用することができる。これらは、例えば、組み換えバクテリオファージ、プラスミド、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌、酵母発現ベクターで形質転換した酵母、ウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)、または細菌発現ベクター(例えばpBR322プラスミド)で感染させた昆虫細胞系を含む様々な微生物を含む。
酵母発現系をペプチダーゼの生産に使用してもよい。構成的または誘導型プロモーター、例えば、アルファ因子、アルコールオキシダーゼ、およびPGHプロモーターなどを含む複数のベクターが、酵母Saccharomyces cerevisiaeまたはPichia pastorisで使用できる。加えて、かかるベクターは、発現したタンパク質の分泌または細胞内保持のいずれかを誘導し、安定した増殖のために外来性の配列を宿主ゲノムに組み込むことを可能とする。
昆虫細胞系での異種タンパク質の発現のために、例えば、鱗翅目のバキュロウイルスであるAutographa californica核多角体ウイルス(AcMNPV)の類縁体を使用することができる。この系において、外来性遺伝子の発現は、非常に強力な後期ウイルスプロモーターであるポリヘドリンまたはp10プロモーターのいずれかによって誘導され、組み換えタンパク質の発現および回収を至適化する多様なベクターが利用可能である。これらベクターは、膜結合型および分泌型タンパク質の両方の高レベルの発現を可能とする。複数のベクター(例えばInvitrogenからInsectSelectTM System)が市販されている。
精製したペプチダーゼを用いたアッセイ
細胞ベースアッセイを用いる代わりに、当該技術分野で周知の方法を用いて、本明細書で上記したペプチダーゼ発現細胞からペプチダーゼを精製し、次いで精製したペプチダーゼ、基質、および被検物質をin vitroで接触させる酵素アッセイを行い、本明細書に記載するペプチダーゼ反応速度の変化を決定することは、通常はより簡単であろう。任意に、結果を本明細書に記載するヒトの腋から得ることが可能なcorynebacteriaを用いて、in vivoで検証してもよい。
ペプチダーゼ転写アッセイ
細胞ベースまたは酵素アッセイの代わりに、遺伝子転写のレベルに作用するモジュレーターを同定するアッセイを行ってもよい。被検物質をペプチダーゼを発現する野生型corynebacteriaに添加する。有限時間(例えば、30分〜8時間)後、被検物質を、細菌細胞を洗浄することによって、または遠心分離により細胞を収集することによって取り除く。その後、細菌細胞をペプチダーゼの量について分析し、その値を被検物質にさらされていないコントロール細胞と比較する。インヒビターは、細菌が生成するペプチダーゼの量を減少させ、したがって悪臭を形成する細菌の能力を低下させる。細菌細胞のペプチダーゼの量は、本明細書に記載する方法および基質を用いる活性アッセイによって、または、限定することなく配列番号2または配列番号4を含むペプチダーゼに特異的な抗体(モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれか)を産生し、その後、細菌細胞中のペプチダーゼを特異的に検出するため、好適な免疫学的検出方法、例えば、限定することなく、免疫ドットブロット、ウェスタンブロット、または酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いることのいずれかによって決定することができる。
ペプチダーゼのための発現系
所望のタンパク質をコードするcDNAを発現させるために、典型的には、転写を誘導する強力なプロモーター、転写/翻訳ターミネーター、および翻訳開始のためのリボソーム結合部位を含む発現ベクター中へ、適切なcDNAをサブクローニングする。好適な細菌プロモーターは当該技術分野で周知であり(例えば、E. coli、Bacillus sp.、およびSalmonellaなど)、かかる発現系のためのキットは市販されている。同様に、哺乳動物細胞、酵母、および昆虫細胞のための真核生物発現系が市販されている。真核生物発現ベクターは、例えば、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ベクター、またはレトロウイルスベクターであってもよい。
発現カセットは、効率的な終結を提供するために、構造遺伝子下流の転写終結領域も含むべきである。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得てもよく、または異なる遺伝子から得てもよい。
タンパク質の発現に関して、当該技術分野で周知の、真核または原核細胞での発現のための従来のベクターを使用してもよい。ベクターの例は、細菌発現ベクター、例えば、pBR322ベースのプラスミド、pBADベースのプラスミド、pSKF、およびpET23Dを含むプラスミド、および融合発現系、例えば、GSTおよびLacZを含む。
真核生物ウイルス由来の調節エレメントを含む発現ベクターは、真核生物発現ベクター、例えば、SV40ベクター、サイトメガロウイルスベクター、パピローマウイルスベクター、およびエプスタイン・バーウイルス由来のベクターで、典型的に用いられている。他の例示的な真核生物ベクターは、pMSG、pAV009/A、pMTO10/A、pMAMneo−5、バキュロウイルスpDSVE、pcDNA3.1、pIRESおよび、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳癌ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーターまたは真核細胞での発現に有効であることが示されている他のプロモーターの誘導下でタンパク質発現を可能とする他の任意のベクターを含む。
いくつかの発現系は、遺伝子増幅を提供するマーカー、例えば、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ、ジヒドロ葉酸還元酵素などを有する。発現ベクターに典型的に含まれるエレメントは、E. coliで機能するレプリコン、組み換えプラスミドを保有する細菌の選択を可能にする薬剤耐性をコードする遺伝子、および真核生物配列の挿入を可能とするプラスミドの非必須領域中のユニークな制限部位も含んでもよい。選択される特定の薬剤耐性遺伝子は決定的ではなく、当該技術分野で周知の多数の薬剤耐性遺伝子のいずれもが適している。必要に応じて、原核細胞配列は、真核細胞でDNAの複製を妨げないように任意に選択される
細菌系では、ペプチダーゼcDNA断片を単独で、または融合タンパク質として発現させてもよく、そこにおいて、対象となるペプチダーゼタンパク質は、E. coliペリプラズムマルトース結合タンパク質(MBP)に融合しており、シグナルペプチドを含むMBPはペプチダーゼのアミノ末端に連結している。野生型ペプチダーゼcDNA、またはMBP:ペプチダーゼ融合cDNAは、適したプラスミド、例えばpBR322にサブクローニングされ、その場合、E. coliにおいて、ペプチダーゼ発現はlac野生型プロモーターで駆動される。
ベクター−宿主株の組み合わせの特定の例は、E. coli DH5αPRO株(Clontech, Palo Alto, CA, USA)でのベクターpPROTet.E133またはE. coli株TOP 10(Invitrogen, Groningen, The Netherlands)でのベクターpBAD-myc-his-Aである。
さらなる発現ベクターおよび宿主株の例は、T. Maniatis et al. (Molecular Cloning, cold spring Harbor Laboratory, 1982)に記載されている。
in vitro転写および翻訳は、ペプチダーゼを発現するための別の選択肢である。
ペプチダーゼの過剰発現
ペプチダーゼは強力な構成的プロモーター、例えばCMV初期プロモーターの制御下に置くことにより、過剰発現させてもよい。代替的に、過剰発現は誘導型プロモーター、例えば、限定することなく、ベクターpBAD-myc-his-Aのアラビノースプロモーターまたは本明細書の以下に記載するT-rex系の制御下で達成されてもよい。
ペプチダーゼ発現ベクターコンストラクトの細胞へのトランスフェクション
標準のトランスフェクション法を、タンパク質を大量に発現する細菌細胞系、哺乳動物細胞系、酵母細胞系または昆虫細胞系を作製するのに用いることができる。
ヌクレオチド配列を宿主細胞に導入する任意の既知の方法を用いてもよい。唯一必要なのは、使用する特定の遺伝子工学手順が、関連する遺伝子を対象となるタンパク質を発現することができる宿主細胞へ、成功裡に導入できることである。これら方法は、クローン化ゲノムDNA、cDNA、合成DNAまたは他の外来性遺伝物質を宿主細胞に導入することを伴ってもよく、これは、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム、マイクロインジェクション、プラズマベクター(plasma vector)、ウイルスベクターなどの使用を含んでもよい。
例えば、限定することなく、T-RexTM発現系(Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)を使用してもよい。T-RexTMSystemは、E. coli Tn10にコードされるテトラサイクリン(Tet)耐性オペロン由来の調節エレメントを使用する、テトラサイクリン制御性の哺乳類発現系である。T-RexTM Systemのテトラサイクリン制御は、Tetリプレッサーへのテトラサイクリンの結合および対象となる遺伝子の発現を調節するプロモーターの抑制解除に基づく。
トランスフェクション後、トランスフェクトした細胞は当該技術分野で周知の標準的な培養条件で培養してもよい。異なる細胞が、適切な温度および細胞培養培地を含む、異なる培養条件を要求することは、当業者には明白である。
ペプチダーゼタンパク質回収
必要に応じて、タンパク質を、標準的手法を用いて、細胞から回収してもよい。例えば、細胞を、機械的に、または浸透圧ショックによって、破裂開放してもよい。結果として生じる粗酵素はそのままで使用してもよく、または、例えば、イオン交換、疎水性相互作用、逆相、およびサイズ排除クロマトグラフィー工程を含むが、これらに限定されない沈殿およびクロマトグラフィー工程に供して、1または2以上の細胞残屑、細胞タンパク質、細胞核酸、および細胞混入物から分離してもよい。各工程後、溶出したタンパク質は、濾過および限外濾過を含むが、これらに限定されない手法によって、さらに精製および/または濃縮してもよい。代替的に、組み換えタンパク質は、組み換え細胞を培養した培養培地から回収してもよい(ペプチダーゼが培養培地への搬出をもたらす配列とともに発現される場合)。
アッセイによって同定し得るモジュレーター
ペプチダーゼ活性のモジュレーターおよび特にインヒビターは、本明細書の以下に記載のとおりに同定することができる。
本明細書に記載の方法で同定される物質の定義が以下に続く。
モジュレーターは、以下の1または2以上の増加または減少をもたらす物質である:基質のペプチダーゼへの結合、基質(例えば、限定することなく、悪臭物質前駆体)の悪臭物質または第二の悪臭物質前駆体への反応。モジュレーターは、それ自身がペプチダーゼに、基質結合部位または他の部位いずれかで結合することができ、異なる速度で切断または反応を受けるか、または全く受けないかのいずれかであってもよく、または基質に結合して、それによって反応/切断速度に影響を与えることができる。
モジュレーターは、小分子、ペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、抗体またはそれらの断片を含む、多様なタイプの化合物を含む。これらは、合成または天然のものを含む多様な供給源、天然物質の抽出物、例えば、動物、哺乳類、昆虫、植物、細菌または真菌の細胞物質または培養細胞、またはかかる細胞の馴化培地に由来してもよい。
基質はペプチダーゼに結合し、それによって切断または反応を受ける物質である。
インヒビターは、基質のペプチダーゼへの結合を、インヒビター非存在下における基質の結合と比較して減少させる、および/または基質の反応/切断速度を減少させる、および/または全体的なペプチダーゼ活性を減少させるモジュレーターである。
エンハンサーは、基質のペプチダーゼへの結合を、エンハンサー非存在下における基質の結合と比較して増加させる、および/または基質の反応/切断速度を増加させる、および/または全体的なペプチダーゼ活性を増加させるモジュレーターである。
基質と結合して、それを反応/切断し、第二の前駆体および最終的に悪臭物質を形成するペプチダーゼの活性または活性の変化は、本明細書の以下に記載する方法によって決定することができる。
基質の同定
基質を同定するため、被検物質をペプチダーゼとともにインキュベートし、反応物質の形成または潜在的基質の消失を、本明細書に記載する分析方法により追跡する。ペプチダーゼと反応するあらゆる化合物を基質として定義する。ある基質の親和性を、他の既知の基質に対して評価するため、基質の希釈系列を一定濃度のペプチダーゼとインキュベートし、一定時間後の各基質濃度での切断速度を決定する。得られた曲線に基づいて、生化学的パラメーターVmax(ペプチダーゼ1分子によって毎秒切断される基質分子で表した最大反応速度)およびK(酵素が最大反応速度の50%の活性を有する基質濃度を与えるMichaelis定数)を決定する。低いKはペプチダーゼの基質への高い親和性を示し、したがって低いKおよび高いVmaxを有する基質は、酵素にとって特によい基質である。しかしながら、スクリーニングアッセイにおいては、高いKおよび低いVmaxを有する基質もまた使用してもよい。
モジュレーターを同定するキット
単離されたペプチダーゼ(野生型または組み換え細胞由来)、または前記ペプチダーゼもしくはこれと実質的に相同な配列を発現する組み換え細胞を含み、および、前記ペプチダーゼの基質、例えば限定することなく、S−ベンジル−Cys−Gly、O−ベンジル−Ser−Gly、(1−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルブチル)−L−システイニル−グリシン、S−ベンジル−Cys−Ala、O−ベンジル−Ser−Ala、Pro−Gly、Ala−Gly、Ala−Ala、Pro−Alaを含むキット、例えば、スクリーニングキットまたはハイスループットスクリーニングキットである。
基質は、好適な濃度、例えば1μM〜10mM、または10μM〜1mM、例えば50μM〜1mM、または50μM〜500μMで提供される。
キットの任意構成要素は、提供される組み換え細胞を培養するための適した培地、および、細胞をそこで生育させる培養デバイス、例えばマイクロタイタープレートを含んでもよく、当業者は、これら任意構成要素を容易に入手することができる。
キットは以下のように使用してもよい:
(i)ペプチダーゼを発現する組み換え細胞を生育させること、または代替的に、単離されたペプチダーゼを提供すること、
(ii)適した濃度のペプチダーゼ基質の存在下で少なくとも1種の被検物質を加えること、および
(iii)ペプチダーゼによる基質/その1種または2種以上の産物の切断/反応速度の変化、または基質のペプチダーゼへの結合の変化を、被検物質の存在下および非存在下での応答を比較することにより決定し、それによって被検物質をモジュレーターとして同定すること。
特に、単離されたペプチダーゼを使用するキットについては:
(i)被検物質を、任意に約1ナノモル〜約5ミリモルの濃度で、ペプチダーゼを含むアッセイ緩衝液に加え、
(ii)被検物質のペプチダーゼへの結合を可能にする所定のプレインキュベーション期間(任意に0〜15分)の後、選択した基質を適した濃度で加え、
(iii)ペプチダーゼによる基質またはその1種もしくは2種以上の産物の切断/反応速度の変化、またはペプチダーゼへの基質結合の変化を、被検物質の存在および非存在下での応答を比較することにより決定し、それによって被検物質をモジュレーターとして同定する。
同様のアッセイを、ペプチダーゼが単離された形態ではなく、細胞抽出物の形態である場合、またはインタクトな原核または真核細胞の形態で提供される場合に行うことができる:
(i)ペプチダーゼタンパク質を発現する組み換え細胞を培養で生育させ、
(ii)任意に約1ナノモル〜約5ミリモルの濃度の被検物質を、適した濃度の基質存在下で、培養培地に加え、
(iii)ペプチダーゼによる基質またはその1種もしくは2種以上の産物の切断/反応速度の変化、またはペプチダーゼへの基質結合の変化を、被検物質の存在下および非存在下での応答を比較することにより決定し、それによって被検物質をモジュレーターとして同定する。
例えば、限定することなく、工程(iii)は本明細書の上述の方法のいずれか1つに従って行わってもよい。これは、これも本明細書で上記した、特異的に選択または適応させた組み換え細胞を要してもよい。
同定したモジュレーターの確認
本明細書の上述の方法により同定したモジュレーターは、以下に詳細に示す、サンプルの臭いを嗅ぐ試験者のパネルによる簡単な官能実験によって、容易に確認することができる。サンプルはペプチダーゼおよびβ−リアーゼにさらされ、基質として以下の式FI
Figure 0005431339
式中、XはSから選択され、R1はHおよびメチルからなる群から選択される残基であり、R2はC1〜C10アルキル、C1〜C10アルカノール、フェニル、およびベンジルからなる群から選択される残基である
で表される化合物、および生成した任意の酵素反応産物を含む。
サンプルは、モジュレーターなしのネガティブコントロールと比較して、パネルが臭いを嗅ぎ、モジュレーターが悪臭形成を調節、例えば阻害することを確認する。
大規模スクリーニングアッセイ
本明細書の上述のアッセイは、ライブラリーを、ペプチダーゼ活性を調節する物質についてスクリーニングするのによく適している。
アッセイは、アッセイの工程の自動化、および(例えば、ロボットアッセイでのマイクロタイタープレート上でのマイクロタイター型式で)典型的には平行して実行される、アッセイへの、好都合な供給源由来の化合物の提供により、大規模な化学ライブラリーをスクリーニングするために設計してもよい。
アッセイは、多数の潜在的モジュレーターを含むコンビナトリアル化学ライブラリーまたはペプチドライブラリーの提供を伴う、ハイスループットスクリーニング方法で実行してもよい。その後、かかるライブラリーを、本明細書の上述の活性を示すライブラリー物質(特定の化学種またはサブクラス)を同定するために、本明細書の上述の1または2以上のアッセイでスクリーニングする。このように同定したモジュレーターは、直接使用するか、または誘導体を作製および試験して、さらなるモジュレーターを同定するリードとして利用してもよい。
合成化合物ライブラリーは、Maybridge Chemical Co.(Trevillet, Cornwall, UK)、Comgenex(Princeton, N.J.)、Brandon Associates(Merrimack, N.H.)、およびMicrosource(New Milford, Conn.)を含む複数の会社から市販されている。
結合アッセイ
遊離体および直接的または間接的な産物(例えば、限定することなく、基質/前駆体I、前駆体II、悪臭物質)の増加または減少を測定することにより切断/反応速度を測定する本明細書の上述の機能的な方法の代わりに、基質のペプチダーゼへの結合を測定する当該技術分野で周知の結合アッセイによって、基質結合を決定してもよい。モジュレーターのペプチダーゼポリペプチドへの結合は、例えば、限定することなく、分光学的な特性(例えば蛍光、吸光度または屈折率)の変化の測定、(例えば形状(shape)を利用する)水力学的な方法、クロマトグラフィー、ペプチダーゼポリペプチドの溶解特性の測定によって決定することができる。
被検物質のライブラリー
コンビナトリアル化学ライブラリーは、複数の化学的「ビルディングブロック」、例えば試薬などを組み合わせることにより、化学合成または生物学的合成のいずれかによって産生した多様な化学物質の収集物である。例えば、線形コンビナトリアル化学ライブラリー、例えばポリペプチドライブラリーなどは、1組の化学的ビルディングブロック(アミノ酸)を、所与の化合物の長さ(すなわち、ポリペプチド化合物中のアミノ酸数)に対して、全ての可能な方法で組み合わせることによって形成される。数百万の化学物質を、かかる化学的ビルディングブロックのコンビナトリアルな混合を介して合成することができる。
希少な化学ライブラリーは、Aldrich(Milwaukee, Wis.)から入手可能である。
細菌、真菌、植物および動物の抽出物の形態の天然化合物ライブラリーは、例えばPan Laboratories(Bothell, Wash.)またはMycoSearch(NC)から市販されており、または当該技術分野で周知の方法によって、容易に作製可能である。さらに、天然の、および合成的に作製されたライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物理的、および生化学的手段によって容易に改変される。
他のライブラリーには、タンパク質/発現ライブラリー、例えば食品、植物、動物、細菌を含む天然の供給源由来のcDNAライブラリー、1種または2種以上のポリペプチドをランダムにまたは系統的に変異させた変異体を発現するライブラリー、1つの細胞または組織のmRNAの内容を発現するのに使用されるウイルスベクターでのゲノムライブラリーが含まれる。
ハイスループットアッセイでは、数千までの異なるモジュレーターまたは基質を、1日でスクリーニングすることが可能である。特に、マイクロタイタープレートの各ウェルは、選択された潜在的モジュレーター/基質に対して別々のアッセイを実行するのに使用でき、または、濃度もしくはインキュベーション時間の効果を観察する場合には、毎5〜10ウェルは単一のモジュレーターを試験できる。したがって、単一の標準的なマイクロタイタープレートで、約100種のモジュレーターをアッセイすることができる。1536ウェルプレートを使用すると、単一のプレートで約100〜約1500の異なる化合物を容易にアッセイすることができる。1日当たり複数の異なるプレートをアッセイすることが可能で、約6,000〜20,000までの異なる化合物についてスクリーニングするアッセイが可能である。
本アッセイ方法でそのペプチダーゼ調節効果について試験することができる被検物質のタイプ
被検物質は、低分子化学物質、化学的ポリマー、生物学的ポリマー、ペプチド、タンパク質、糖、炭水化物、核酸および脂質を含む任意の物質であってもよい。物質は、合成化合物、化合物の混合物、天然物または天然のサンプル、例えば植物抽出物、培養上清、または組織サンプルであってもよい。
パーソナルケア製品
同定された酵素インヒビター/悪臭中和物質(malodour counteractants)は、体の悪臭を防止するために多様な製品に添加してもよい。例えば、パーソナルケア製品は、限定することなく、脱臭剤、制汗剤、ローション、クリーム、膏(salve)、パウダー、ボディローション、軟膏、石鹸、シャンプー、ファインフレグランス、オーデコロン、オーデトワレを含む。パーソナルケア製品は香料入りであっても、または香料を含まなくてもよい。かかる製品は、通常は当該技術分野で周知の複数の賦形剤を含有する。パーソナルケア製品の悪臭中和効果は、ペプチダーゼのエンハンサーとして同定されたすべての成分を除外することによって、さらに改良することができる。
同定されたモジュレーター/インヒビターは、水溶液、エマルジョン、アルコール性溶液、シリコン溶液、油、またはワックスに添加してもよい。
核酸およびタンパク質の配列
本明細書に記載のコンストラクトおよび方法に利用する配列は、本明細書の以下の配列表に見出すことができる。
配列番号1:Corynebacterium sp. Ax20由来のペプチダーゼのヌクレオチド配列
配列番号2:Corynebacterium sp. Ax20由来のペプチダーゼのアミノ酸配列
配列番号3:Corynebacterium jeikeium K411由来のペプチダーゼのヌクレオチド配列
配列番号4:Corynebacterium jeikeium K411由来のペプチダーゼのアミノ酸配列
配列番号5:Corynebacterium sp. Ax20由来のβ−リアーゼのヌクレオチド配列
配列番号6:Corynebacterium sp. Ax20由来のβ−リアーゼのアミノ酸配列
上記手段を例示するのに役立つ一連の例が以下に続く。以下の例は単に例示的であり、ポリペプチド、核酸/ヌクレオチド、発現ベクター、宿主細胞、方法、キットおよびパーソナルケア製品を含む本明細書に記載の主題を、決して限定するように解釈すべきではない。

全ての例は、Corynebacteria、特に2001年4月26日にD-38124 Braunschweigの国際寄託機関DSMZ- German Collection of Microorganisms and Cell Culturesに提出された、Corynebacterium sp. Ax20(「Ax20」)、DSM 14267(Accession Number DSM 14267)およびCorynebacterium jeikeium K411 (「K411」)(Tauch et al. 2005, J Bacteriol. 187(13): 4671-82)由来のDNA配列を使用する。
例では、cys−gly複合体は以下のジペプチド化合物を指す。
Figure 0005431339
例中のcys複合体は、以下の化合物を指す。
Figure 0005431339
例中の「β−リアーゼ」は、Natsch et al. 2004, Chemistry & Biodiversity, 1, 1058に記載のβ−リアーゼ酵素を指す。β−リアーゼ遺伝子(metC遺伝子、1134bp)の全オープンリーディングフレームは、アクセッション番号AY646680(gi|51556860|gb|AY646680.1|[51556860])で、GenBankから入手可能である。それは配列表にも含まれている(配列番号5、ヌクレオチド配列、および配列番号6、タンパク質配列)。
「AMRE」または「AMRE酵素」は、「腋の悪臭を放出する酵素(axilliary malodour releasing enzyme)」の略で、EP1258531でNatschによって記載された悪臭酸放出酵素(malodourous acid releasing enzyme)Na−アシル−グルタミン−アミノアシラーゼを意味する。AMREアミノ酸配列は、EP1258531中の配列番号1であり、AMRE遺伝子のオープンリーディングフレームは、EP1258531中の配列番号5である。その異種発現は、EP1258531の例6に記載されている。
例1
ペプチダーゼ(配列番号2)の単離
細胞抽出物は以下のように作製した。Ax20の一晩培養物を遠心分離で収集し、少量の緩衝液A(50mM NaCl、50mM NaH2PO4/K2HPO4、pH7)に再懸濁して、10倍量のガラスビーズ(425〜600μm, Sigma, St-Louis, USA)で修正し、最大速度で30分間ボルテックスすることにより機械的に破壊した。ライセートを遠心分離し、上清を保存した。得られたCorynebacterium sp. Ax20細胞抽出物を、その後引き続き次のカラムで分画した。1.フェニルセファロース(疎水性相互作用クロマトグラフィー)、2.Mono-Q(強陰イオン交換)、3.Mono-P(弱陰イオン交換)、および4.Superdex 200(ゲル濾過)。
各画分のサンプルは、β−リアーゼおよびcys−gly複合体の両方とともに同時にインキュベートし、3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノールの放出を、遊離SH基に特異的な蛍光試験によって決定した。そのために、0.5mMのモノブロモビマンを含有する0.5容量のNaCO3緩衝液(0.1M、pH8.8)を加え、そうして遊離チオール基を誘導体化し、酵素反応を止めた。その後、蛍光を、Flex-station(Molecular devices, Sunnyvale, CA, USA)上で、385nmの励起波長および480nmの発光波長で測定した。
活性の単一ピーク(3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノール放出)が各精製工程で見られ、これは1種のみの酵素が放出反応に関与していることを示している。
これら4つの精製工程の後、調製物をSDS−PAGEゲル上で分離した。活性画分に固有のゲルバンドを切除し、それによってペプチダーゼを得た。
例2
遺伝子(配列番号1)のクローニングおよびペプチダーゼ(配列番号2)をコードする核酸配列の単離
例1で得たペプチダーゼを、トリプシン消化およびペプチド配列分析に供した。これら単離されたペプチド配列に基づき、Corynebacterium sp. Ax20のゲノムDNAをテンプレートとして使用し、ポリメラーゼ連鎖反応で遺伝子の部分配列を増幅するようにプライマーを設計した。
その後、完全な遺伝子配列を、Corynebacterium sp. Ax20の染色体ライブラリーを用いて、染色体歩行によって単離した。
それによって、配列番号1に示す、ペプチダーゼ配列の完全なオープンリーディングフレームを得た。
例3
Ax20ペプチダーゼの異種発現、産生および精製
ペプチダーゼ(配列番号1)のオープンリーディングフレーム(ORF)を、Corynebacterium sp. Ax20の染色体DNAから、特異的なプライマーを使用してPCRによって増幅した。ORFを、6×ヒスチジンタグをコードする配列にライゲーションし、発現ベクター(pET-3a, Studier and Moffatt, 1986)にクローニングした。得られたプラスミドを、E. coli株(BL21(DE3))に形質転換した。
代替的に、6×ヒスチジンタグ無しのORFを、同じベクターにクローニングした。
6×ヒスチジンタグ有りまたは無しの組み換えE. coli株を、NZCYM培地(カゼイン加水分解物10.0g、NaCl 5.0g、カザミノ酸(Difco)1.0g、酵母抽出物5.0g、MgSO4×7H2O 2.0g、マルトース2.0g、蒸留水1000.0ml)で生育させ、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)で誘導し、4時間後に細胞をリン酸緩衝液(100mM、pH7)中でフレンチプレスに3回通して溶菌した。細胞ライセートは、15分間、10,000gでの遠心分離によって透明にした。
酵素を精製するために、透明な細胞ライセートをNi−NTAアフィニティーカラム(Qiagen, Hilden, Germany)にロードした。カラムを20mMのイミダゾールを含有する緩衝液で洗浄し、最終的に、100〜250mMの増加する濃度のイミダゾールを有する緩衝液で溶出した。得られた溶出液は、SDS−PAGEで示すように、純度>95%の組み換え酵素を含有していた。
例4
K411ペプチダーゼ(配列番号4)の異種発現および産生
Corynebacterium K411由来の配列番号4のペプチダーゼを、配列番号2について上記したように発現させ、産生し、および精製した。
例5
Ax20およびK411ペプチダーゼの活性
例3および4に記載したとおりに作製した50mlの組み換えE. coli培養物を収集して、最終容量3mlのリン酸緩衝液に再懸濁し、その後超音波処理によって破壊した。可溶抽出物を遠心分離によって透明にした。得られた抽出物の様々な希釈溶液を、cys−gly複合体(1mM)とともに、過剰量のβ−リアーゼ存在下においてだけでなく非存在下においてもインキュベートした。ネガティブコントロールとして、空ベクターで形質転換したE.coli由来の透明な細胞ライセートおよびcys−gly複合体を有するがβ−リアーゼを有しない細胞ライセートを使用した。
表は、例1に記載した蛍光試験で決定した、mMでの悪臭物質(3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノール)の放出を示す。
以下の表に示すように(列2〜7を参照)、悪臭物質(3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノール)は、(配列番号2/Ax20または配列番号4/K411のペプチダーゼを発現する)配列番号1または配列番号3を含有するプラスミドで形質転換した組み換えE.coli株によってのみ、およびβ−リアーゼ存在下においてのみ、cys−gly複合体から放出された。K411ペプチダーゼは、Ax20ペプチダーゼより低い効率でcys−gly複合体を切断する(列7参照)。
Figure 0005431339
これは配列番号1および配列番号3の単離されたヌクレオチド配列が、関連する酵素活性を有するペプチダーゼ酵素をコードすることを示す。
示したとおり、ヒスチジンタグはペプチダーゼ活性への顕著な効果を何ら有しない。
例6
ペプチダーゼの基質特異性
例3で記載したとおりに作製した組み換えAx20ペプチダーゼ(アフィニティーカラム精製のタグ付酵素)を、基質特異性を特徴付けるため、およびスクリーニングアッセイ(例えば、インヒビターを含むモジュレーターのスクリーニングのための)に有用な基質の同定のため、様々な化合物、特に潜在的な候補ジペプチド基質とともにインキュベートした。
以下の表は、被検化合物(主に略称で示すジペプチド、例えば、アラニン−グリシンジペプチドについてはala−gly)を収載し、それらがペプチダーゼによって切断されるかどうかを示す。Zは、ペプチドN末端のベンジルオキシ−カルボニル保護基を示す。
切断は薄層クロマトグラフィーで決定した。
量は定性的であり、(++)は1時間のインキュベーション中の0.1μg/mlのペプチダーゼによる1mM溶液の>80%の切断を示し、(+++)は1時間のインキュベーション中の1μg/mlのペプチダーゼによる1mM溶液の完全な切断を示し、(+)は1時間のインキュベーション中の1μg/mlのペプチダーゼによる1mM溶液の部分的な切断(20〜80%)示し、(−)は何らの切断もないことを示す。
Figure 0005431339
例7
ペプチダーゼのモジュレーター/インヒビターの同定方法
組み換えAx20ペプチダーゼ(配列番号2)の添加によるペプチド基質Pro−Glyの切断は、フルオレサミン(FluramTM, Fluka, Buchs, Switzerland)によって誘導体化が可能な固有の遊離NH基を放出した。
被検化合物(例えば、潜在的酵素インヒビター)は、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に、例えば、マイクロタイタープレートの個々のウェルで溶解する。
リン酸緩衝液に溶解したAx20ペプチダーゼをマイクロタイタープレート個々のウェルに加え(1μg/mlのペプチダーゼ)、平衡化、およびインヒビターがある場合にはインヒビターのペプチダーゼへの結合を可能にするため、5分間インキュベートする。
リン酸緩衝液に溶解した基質Pro−Glyは、1mMの最終濃度となるように各ウェルの被検化合物/ペプチダーゼ混合物に加える。
代替的に、別の基質化合物を使用してもよい。有用な基質は、Ala−Ala、Ala−Gly、Cys−gly複合体、およびS−ベンジル−Cys−Glyを含む。これらの化合物を使用する場合、切断の検出は、蛍光光度法の代わりに、生成した遊離グリシンを(薄層クロマトグラフィー(TLC)または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって)決定することにより行う。
37℃での60分のインキュベーション後、Pro−Glyから放出されたグリシンの遊離NH基を、アセトニトリル中に溶解したFluramを、1mMの最終Fluram濃度および25%v/vの最終アセトニトリル濃度となるように加えることにより誘導体化し、5分間のインキュベーション後、蛍光をFlex-station(Molecular devices、Sunnyvale、CA、USA)上で、381nmの励起波長および470nmの発光波長で決定する。コントロールは平行して行い、同じ手順に供する。ポジティブコントロールはインヒビター無しのDMSOを含み、ネガティブコントロールは基質を含まない。
%阻害率は、ポジティブコントロール(0%阻害/100%活性)との比較に基づいて計算する。このように同定した活性を有するインヒビターの例を、以下の表に示す。
Figure 0005431339
表中の結果は、化合物Pro−Glyがハイスループットスクリーニングに有用な基質であることを示す。存在する唯一のNH2基は、ペプチダーゼによる切断によって放出されるGly中のものであり、優れたシグナル対ノイズ比を可能とする。
インヒビターは、通常、例えば1mM、100μM、10μM、1μM、またはそれ未満の濃度での、少なくとも50%の阻害率の阻害で同定される。
例7b
多様なペプチダーゼ酵素を用いたペプチダーゼモジュレーター/インヒビターの同定方法
例7を、ペプチダーゼ酵素を置換し、配列番号4(K411ペプチダーゼ)、または配列番号4もしくは配列番号2(Ax20ペプチダーゼ)のホモログの1または2以上を使用することを除き、記載したとおりに行ってもよい。
例7c
広い阻害スペクトルを有するペプチダーゼのモジュレーター/インヒビターの同定方法
例7を、配列番号2、配列番号4、または配列番号4もしくは配列番号2のホモログから選択される2または3以上のペプチダーゼ酵素を、引き続きまたは平行して使用することを除き、記載したとおりに行ってもよい。平行して行う場合、酵素反応は適合する緩衝液を使用して、同じウェルの中で行ってもよい。
これは、両ペプチダーゼに作用する化合物を同定し、多様な細菌株に対して広い阻害活性を有する阻害性化合物を同定する利点がある。
例8
ペプチダーゼおよび/またはβ−リアーゼに対して活性を有するペプチダーゼのモジュレーター/インヒビターの同定方法
本例は、例7に記載したスクリーニングアッセイの代わりとして、以下の改変とともに行った。
基質として、cys−gly複合体または本明細書で上記した基質構造の化合物を使用する。
これらは、(S−ベンジル)−cys−gly、(S−ベンジル)−cys−ala、または任意のS置換cys−glyまたは置換cys−ala複合体、例えば、S−エチル−、S−プロピル−、S−ブチル−、S−ペンチル−、S−ヘキシル−、S−フェニル−cys−glyまたは−cys−alaを含む。
代替的に、セリンのOH基で置換された、置換ser−alaまたは置換ser−gly誘導体を使用する。同様の多種類のセリンでの置換基が、システインと同じように可能である。
以下に示す結果に関しては、(S−ベンジル)−cys−glyを使用した。
0.1μg/mlの濃度のペプチダーゼ(配列番号2)を、5μg/mlの濃度のβ−リアーゼと併用した。両酵素は同時に同じリン酸緩衝液に溶解した。
β−リアーゼおよびペプチダーゼの両方のインヒビターを同時にスクリーニングすることは、より効果的なスクリーニングの利点がある(すなわち、ペプチダーゼまたはβリアーゼのいずれかのインヒビターまたはそれら両方のインヒビターが両方同時に同定される)。引き続いて、ペプチダーゼ活性および/またはβ−リアーゼ活性を別々に決定するため、各スクリーニング「ヒット」(悪臭物質放出のモジュレーション/阻害)をさらに分析した。
複合体の遊離NH基をFluramを加えることによって誘導体化する代わりに、両酵素の引き続く作用によって複合体から放出される遊離SH基を、NaCO緩衝液(100mM、pH8.8)に溶解したモノブロモビマン(Fluka、Buchs、Switzerland)を0.5mM〜1mMの最終濃度となるように加えることにより、誘導体化した。5〜15分のインキュベーション後、蛍光をFlex-station(Molecular devices, Sunnyvale, CA, USA)上で、385nmの励起波長および480nmの発光波長で測定した。
代替的に、N−(9−アクリジニル)マレイミドおよび359/440nmでの蛍光検出を含む、他のチオール誘導体化物質を使用した。
このようにして同定した活性を有するペプチダーゼインヒビターを以下の表に示す。
Figure 0005431339
例9
1種または2種以上のペプチダーゼ(配列番号2および/または配列番号4)およびAMREに対して活性を有する広域モジュレーター/インヒビターの同定方法
例7または8への追加の工程において、同定したペプチダーゼインヒビターをAMRE酵素(EP1258531にNatschによって記載されたNα−アシル−グルタミン−アミノアシラーゼ)に対するモジュレーション効果について試験し、それによって悪臭放出に関与する両メタロペプチダーゼ酵素のデュアルインヒビターを同定した。
代替的に、工程を酵素の存在下で同時に平行して行うことができる。
AMREはEP1258531の例6に記載されたとおりに作製する。
結果を以下の表に収載する。
Figure 0005431339
したがって、この結果は、2以上の悪臭形成酵素に対して活性を有する活性インヒビター(この場合金属キレート剤)を、記載したアッセイの併用で同定することができ、それによって広域モジュレーター/インヒビター同定のための効果的なアッセイが可能となることを実証する。
例10
Ax20細胞ライセートまたはβ−リアーゼで切断した場合のcys−gly複合体切断における差異
被検化合物(Cys複合体(1mM)またはCys−Gly複合体(1mM))を、β−リアーゼとともにインキュベートした。
また、被検化合物(cys複合体(1mM)またはcys−gly複合体(1mM))を、配列番号2のペプチダーゼを天然に含有する野生型株Corynebacterium sp. Ax20の抽出物とともにインキュベートした。Corynebacterium sp. Ax20の細胞抽出物は、例1に記載したとおりに調製した。得られた抽出物を、光学密度OD 4となるように調整したときに最初の培養液が有したのと同じ容量になるまで希釈した。基質は24時間抽出物とともにインキュベートした。
切断はガスクロマトグラフィーによって測定し、3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノールの放出をmMで決定した。結果を以下の表に示す。
Figure 0005431339
結果は、cys−gly複合体ではなくcys複合体のみが組み換えβ−リアーゼによって切断されたことを示し、β−リアーゼは腋分泌物中の主要な基質を切断できないことを示している(上記表の2行目参照)。
しかしながら、ヒト被検対象の腋から単離したC. sp. Ax20由来の抽出物は、両複合体から3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノールを放出する。(上記表の3行目参照)。
例11
C. sp. Ax20由来の別々の抽出物画分は悪臭物質を放出できない
例1に記載したとおりにC. sp. Ax20から得た細胞抽出物を、Mono-Q陰イオン交換カラムを用いて分画した。得られた画分を、cys−gly複合体とともに別々にインキュベートし、3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノール(悪臭物質)の放出を例1に記載したとおりに測定した。
結果は、C. sp. Ax20抽出物のいずれの単一画分も、cys−gly複合体から3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノールを放出できなかったことを示した。このことは、C. sp.抽出物中には、cys−gly複合体から悪臭物質を放出することのできる単一の酵素が存在しないことを実証する。
例12
β−リアーゼと併用した場合にC. sp.抽出物画分は悪臭物質を放出する
C. sp. Ax20細胞抽出物の画分を、例11に記載したとおりに作製した。
各画分をβ−リアーゼとともに、およびcys−gly複合体とともにインキュベートした。3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノール(悪臭物質)の放出を、上記例1に記載したとおりに測定した。
結果は、単一の画分がβ−リアーゼ存在下で、cys−gly複合体から3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノールを放出したことを示した。他の画分またはβ−リアーゼそれ自体では、悪臭物質を放出することはできなかった。
例11の結果とともに、このことは、2種類の酵素がcys−gly複合体の切断を媒介していることを実証する。まずペプチダーゼがglyおよびcys残基の間でジペプチドを切断し、次いでβ−リアーゼがその後、ペプチダーゼによって形成されたcys複合体から悪臭物質を放出する。
例13
Corynebacteria抽出物による悪臭放出はペプチダーゼインヒビターによって阻害される
C. sp. Ax20およびC. jeikeium K411由来の抽出物を、例1に記載したとおりに作製した。
o−フェナントロリン(0.5mM)、メタロペプチダーゼインヒビターまたは、メタロペプチダーゼインヒビターを含まないが、特異性の広いセリンおよびアスパラギン酸ペプチダーゼのインヒビターを含有するプロテアーゼインヒビター混合物であるCompleteTM(EDTA不含)(Roche biochemicals, Switzerland、製造者によって指示された使用濃度)を抽出物のバッチに加え、10分間インキュベートした。
次いで、両方とも悪臭物質3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノールの前駆体であるcys複合体またはcys−gly複合体(1mM)を、様々なインヒビターを含有するC. sp. Ax20またはC. jeikeium K411の抽出物に加えた。
Corynebacteria細胞ライセートにおける酵素活性を示す悪臭物質3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノールの放出を、例12および13に記載したとおりに測定した。
(インヒビターを添加していない反応と比較した3−スルファニル−3−メチル−ヘキサノール放出の%阻害率で表した)結果を以下の表に示す。
Figure 0005431339
例10に示したとおり、C. sp. Ax20の抽出物とのインキュベーションは、両複合体から顕著な悪臭物質の放出を誘導し、より遅い速度ではあるが、C. jeikeium K411の抽出物もまた両基質を切断した。
メタロペプチダーゼインヒビターo−フェナントロリンの添加は、C. sp.由来の抽出物を使用した場合、Cys複合体の切断は阻害しないが(0%阻害率)、cys−gly複合体の切断を阻害する(100%阻害率)。同様に、C. jeikeiumの抽出物に関しては、cys複合体に対する顕著な阻害はないが、cys−gly複合体の高い阻害がある(93%)。
このことは、(cys複合体ではなく)cys−gly複合体の切断が、メタロペプチダーゼインヒビターo−フェナントロリンによる阻害に感受性の酵素によって媒介されることを示す。
このことはまた、β−リアーゼ反応(Cys複合体の切断)がo−フェナントロリンによっては阻止されないが、cys−gly結合の切断のみが阻害されることを示し、Corynebacteria由来の抽出物中のメタロペプチダーゼが専らこの反応を触媒することを示す。
様々なセリンおよびアスパラギン酸ペプチダーゼに対して広い特異性を有するプロテアーゼインヒビターの混合物(CompleteTM)は、いずれの複合体の切断も顕著に阻止しなかったが、これはセリン/アスパラギン酸ペプチダーゼが悪臭物質の放出に関与していないことを示す。
ペプチダーゼ、ヌクレオチド、発現ベクター、宿主細胞、方法、およびキットを、特定の例示的な態様に関連して上記に記載したが、他の同様の態様を使用してもよく、または同様の機能を果たすために修正および追加を、記載した態様に行なってもよいことを理解すべきである。さらに、多様な態様を所望の特徴を提供するために併用してもよいため、すべての開示された態様は必ずしも代替的ではない。当業者は、本開示の意図および範囲から逸脱することなく、バリエーションを行なうことができる。したがって、ヌクレオチド、ポリペプチド/ペプチダーゼ、発現ベクター、宿主細胞、方法およびキットは、どの単一の態様にも限定されるべきではなく、むしろ添付した特許請求の範囲の既述と一致した幅および範囲で解釈されるべきである。

Claims (13)

  1. 体の悪臭形成のモジュレーターを同定する方法であって、
    (i)ペプチダーゼをペプチダーゼ基質および少なくとも1種の被検物質と接触させる工程、および
    (ii)前記少なくとも1種の被検物質のペプチダーゼ媒介反応速度への効果を決定する工程
    を含み、前記ペプチダーゼは、式FIII
    Figure 0005431339
    で表される基質化合物からグリシンを放出する触媒活性を有し、
    前記ペプチダーゼは、配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるポリペプチド配列に少なくとも90%の配列同一性で相同であり、
    前記ペプチダーゼは、以下の保存された部分配列:
    105番目と150番目のアミノ酸の間にERDGRWYGRGXADCKG、
    150番目と180番目のアミノ酸の間にEGSEEXG、
    205番目と255番目のアミノ酸の間にHSGXXGGXAPDA、
    385番目と425番目のアミノ酸の間にGGSIPL
    を含み、
    ここでアミノ酸は配列番号2または配列番号4のポリペプチド配列のN末端から始まって番号付けされており、アルファベットはアミノ酸一文字表記を示し、Xは20の標準アミノ酸のいずれか1つである、前記方法。
  2. 基質が、S−ベンジル−Cys−Gly、O−ベンジル−Ser−Gly、(1−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルブチル)−L−システイニル−グリシン、S−ベンジル−Cys−Ala、O−ベンジル−Ser−Ala、Pro−Gly、Ala−Gly、Ala−Ala、およびPro−Alaからなる群から選択される化合物である、請求項1に記載の方法。
  3. 追加の酵素であるシスタチオニン−β−リアーゼを、基質および被検物質とともに、平行してまたは引き続きインキュベートし、工程(ii)において、ペプチダーゼとβ−リアーゼ酵素とによる切断への被検物質の効果を、チオール反応産物およびヒドロキシ反応産物から選択される少なくとも1種の反応産物の形成の変化によって決定する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 組み合わせて用いるための
    (i)ペプチダーゼ、および
    (ii)ペプチダーゼによって切断される基質化合物
    を含む、被検物質を前記ペプチダーゼおよび悪臭形成のモジュレーターとして同定するためのキットであって、
    前記基質化合物は、S−ベンジル−Cys−Gly、O−ベンジル−Ser−Gly、(1−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルブチル)−L−システイニル−グリシン、S−ベンジル−Cys−Ala、O−ベンジル−Ser−Ala、Pro−Gly、Ala−Gly、Ala−Ala、およびPro−Alaからなる群から選択され、
    前記ペプチダーゼは、式FIII
    Figure 0005431339
    で表される基質化合物からグリシンを放出する触媒活性を有し、
    前記ペプチダーゼは、配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるポリペプチド配列に少なくとも90%の配列同一性で相同であり、
    前記ペプチダーゼは、以下の保存された部分配列:
    105番目と150番目のアミノ酸の間にERDGRWYGRGXADCKG、
    150番目と180番目のアミノ酸の間にEGSEEXG、
    205番目と255番目のアミノ酸の間にHSGXXGGXAPDA、
    385番目と425番目のアミノ酸の間にGGSIPL
    を含み、
    ここでアミノ酸は配列番号2または配列番号4のポリペプチド配列のN末端から始まって番号付けされており、アルファベットはアミノ酸一文字表記を示し、Xは20の標準アミノ酸のいずれか1つである、前記キット。
  5. ペプチダーゼを、その基質を切断するその能力において阻害する方法であって、前記ペプチダーゼをペプチダーゼインヒビターと接触させ、該ペプチダーゼは、式FIII
    Figure 0005431339
    で表される基質化合物からグリシンを放出する触媒活性を有し、
    前記ペプチダーゼは、配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるポリペプチド配列に少なくとも90%の配列同一性で相同であり、
    前記ペプチダーゼは、以下の保存された部分配列:
    105番目と150番目のアミノ酸の間にERDGRWYGRGXADCKG、
    150番目と180番目のアミノ酸の間にEGSEEXG、
    205番目と255番目のアミノ酸の間にHSGXXGGXAPDA、
    385番目と425番目のアミノ酸の間にGGSIPL
    を含み、
    ここでアミノ酸は配列番号2または配列番号4のポリペプチド配列のN末端から始まって番号付けされており、アルファベットはアミノ酸一文字表記を示し、Xは20の標準アミノ酸のいずれか1つである、前記方法。
  6. ペプチダーゼ基質と、単離されたペプチダーゼとを含む組成物であって、該ペプチダーゼ基質は、S−ベンジル−Cys−Gly、O−ベンジル−Ser−Gly、(1−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルブチル)−L−システイニル−グリシン、S−ベンジル−Cys−Ala、O−ベンジル−Ser−Ala、Pro−Gly、Ala−Gly、Ala−Ala、およびPro−Alaからなる群から選択され、
    前記ペプチダーゼは、式FIII
    Figure 0005431339
    で表される基質化合物からグリシンを放出する触媒活性を有するペプチダーゼであり、
    前記ペプチダーゼは、配列番号2および配列番号4からなる群から選択されるポリペプチド配列に少なくとも90%の配列同一性で相同であり、
    前記ペプチダーゼは、以下の保存された部分配列:
    105番目と150番目のアミノ酸の間にERDGRWYGRGXADCKG、
    150番目と180番目のアミノ酸の間にEGSEEXG、
    205番目と255番目のアミノ酸の間にHSGXXGGXAPDA、
    385番目と425番目のアミノ酸の間にGGSIPL
    を含み、
    ここで配列番号2または配列番号4のポリペプチド配列のN末端から始まって番号付けされており、アルファベットはアミノ酸一文字表記を示し、Xは20の標準アミノ酸のいずれか1つである、前記組成物。
  7. ペプチダーゼが、単離された形態、機能的なペプチダーゼを含有する調製物の形態、適した宿主細胞における異種発現の形態、ペプチダーゼを発現するCorynebacterium jeikeiumの形態、およびペプチダーゼを発現するCorynebacterium jeikeium K411の形態からなる群から選択される形態である、請求項に記載の組成物。
  8. 単離されたペプチダーゼであって、
    前記ペプチダーゼは、式FIII
    Figure 0005431339
    で表される基質化合物からグリシンを放出する触媒活性を有し、
    前記ペプチダーゼは、配列番号2ポリペプチド配列に少なくとも90%の配列同一性で相同であり、
    前記ペプチダーゼは、以下の保存された部分配列:
    105番目と150番目のアミノ酸の間にERDGRWYGRGXADCKG、
    150番目と180番目のアミノ酸の間にEGSEEXG、
    205番目と255番目のアミノ酸の間にHSGXXGGXAPDA、
    385番目と425番目のアミノ酸の間にGGSIPL
    を含み、
    ここでアミノ酸は配列番号2のポリペプチド配列のN末端から始まって番号付けされており、アルファベットはアミノ酸一文字表記を示し、Xは20の標準アミノ酸のいずれか1つである、前記ペプチダーゼ。
  9. ペプチダーゼをコードするヌクレオチドであって、
    (i)配列同一性によって決定される、配列番号1のヌクレオチド配列と実質的に相同なヌクレオチド配列、
    (ii)対応するタンパク質へ翻訳されるときにアミノ酸変化を生じない、配列番号1の保存的に改変された変異体であるヌクレオチド配列、
    (iii)ストリンジェントなハイブリダイゼーションによって決定される、配列番号1に実質的に相同なヌクレオチド配列
    からなる群から選択され、
    配列同一性によって決定される(i)の実質的に相同なヌクレオチド配列は、少なくとも90%の配列同一性を有し、
    前記ペプチダーゼは、式FIII
    Figure 0005431339
    で表される基質化合物からグリシンを放出する触媒活性を有し、
    前記ペプチダーゼは、配列番号2ポリペプチド配列に少なくとも90%の配列同一性で相同であり、
    前記ペプチダーゼは、以下の保存された部分配列:
    105番目と150番目のアミノ酸の間にERDGRWYGRGXADCKG、
    150番目と180番目のアミノ酸の間にEGSEEXG、
    205番目と255番目のアミノ酸の間にHSGXXGGXAPDA、
    385番目と425番目のアミノ酸の間にGGSIPL
    を含み、
    ここでアミノ酸は配列番号2のポリペプチド配列のN末端から始まって番号付けされており、アルファベットはアミノ酸一文字表記を示し、Xは20の標準アミノ酸のいずれか1つである、前記ヌクレオチド。
  10. 単離されたヌクレオチドが発現ベクターの一部を形成する、請求項に記載の単離されたヌクレオチド。
  11. 発現ベクターが、発現ベクターでトランスフェクトされた宿主細胞の一部を形成する、請求項10に記載の単離されたヌクレオチド。
  12. ペプチダーゼを形成する方法であって、該ペプチダーゼをコードする発現ベクターを含む宿主細胞を発現に十分な条件下で培養し、それによってペプチダーゼを形成する工程を含み、該ペプチダーゼは、式FIII
    Figure 0005431339
    で表される基質化合物からグリシンを放出する触媒活性を有し、
    前記ペプチダーゼは、配列番号2ポリペプチド配列に少なくとも90%の配列同一性で相同であり、
    前記ペプチダーゼは、以下の保存された部分配列:
    105番目と150番目のアミノ酸の間にERDGRWYGRGXADCKG、
    150番目と180番目のアミノ酸の間にEGSEEXG、
    205番目と255番目のアミノ酸の間にHSGXXGGXAPDA、
    385番目と425番目のアミノ酸の間にGGSIPL
    を含み、
    ここでアミノ酸は配列番号2のポリペプチド配列のN末端から始まって番号付けされており、アルファベットはアミノ酸一文字表記を示し、Xは20の標準アミノ酸のいずれか1つである、前記方法。
  13. ペプチダーゼを、発現に十分な条件下で培養した、該ペプチダーゼをコードする発現ベクターを含む宿主細胞から回収する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
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