JP5429144B2 - インバータ冷却装置 - Google Patents

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本発明は、電動圧縮機以外の車両用装置を駆動するインバータ装置を冷却することができるインバータ冷却装置に関する。
従来のインバータ冷却装置として知られる特許文献1には、車両において、電動圧縮機を駆動する第1のインバータと、電動圧縮機以外の車両用装置の一例であるウォーターポンプやブロワを駆動する第2のインバータとを一体に収容した統合インバータ装置が記載されている。この統合インバータ装置は、室内側熱交換器と電動圧縮機とを連通する低圧冷媒配管を連結するジョイントプレートに固定されている。
電動圧縮機が運転している場合は、冷媒が室内側熱交換器で気化するため、低圧冷媒配管を通る冷媒は冷却作用を有する。この冷却作用により、低圧冷媒配管を連結するジョイントプレートは冷却されるため、装置の駆動時に発熱する車両用統合インバータ装置を冷却することができる。したがって、電動圧縮機の運転中は、第1のインバータだけでなく、第2のインバータも同時に冷却することができる。統合インバータ装置は温度環境が厳しいエンジンルームに配置されているため、インバータの冷却は、機器の故障を防止するためにも重要な技術である。
特開2006−300038号公報
上記従来技術において、電動圧縮機以外の他の車両用装置が運転しているときに発熱する第2のインバータは、同時に電動圧縮機が運転している場合は流通する冷媒によって冷却されるが、車両での機器の使用状況によっては必ずしも電動圧縮機が運転しているとは限らない。したがって、電動圧縮機が停止している場合に第2のインバータが運転状態にあるときは、冷媒による冷却作用が働かないため、インバータ装置を構成する部品、例えばスイッチング素子等の温度が上昇し続け、メーカー保証の耐温度を超えてしまうという問題が発生する。
そこで本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電動圧縮機のインバータ装置とともに電動圧縮機に一体に設けられ、電動圧縮機以外の車両用装置を駆動するインバータ装置について、異常な温度状態になることを回避できるインバータ冷却装置を提供することである。
本発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載のインバータ冷却装置に係る発明は、冷媒を吸入して圧縮する圧縮機構(11)及び当該圧縮機構を駆動するモータ(10)を有する電動圧縮機(1)と、電動圧縮機の外殻の一部または全部を構成し、圧縮機構及びモータを収納するとともに内部を圧縮機構が吸入する冷媒が流通するハウジング(14)と、モータの駆動を制御する第1のインバータ装置(2)と、電動圧縮機以外の車両用装置(3)の駆動を制御する第2のインバータ装置(4)と、を備え、
第1のインバータ装置(2)及び第2のインバータ装置(4)は、冷媒との間で熱の移動がなされるようにハウジング(14)と一体に設けられており、
電動圧縮機(1)の運転が停止し、かつ第2のインバータ装置(4)が作動しているときに、予め設定された第2のインバータ装置(4)を冷却する冷却実施条件が成立すると、第1のインバータ装置(2)を作動させて電動圧縮機(1)を駆動することを特徴とする。
電動圧縮機が運転していない状況では、ハウジング内に冷媒が流通しないため、ハウジングに一体に設けられた第2のインバータ装置における素子等の発熱を外部から冷却することはできない。特に、車両において電動圧縮機は、エンジンルーム等の過酷な温度環境に配置されるため、第2のインバータ装置は、このような過酷な温度環境下で素子等が発熱し続けることで、繰り返し熱的な打撃を与え続けられて各部の劣化が促進し、本来の機能を発揮できなくなり、寿命に至ってしまう。そこで、この発明によれば、電動圧縮機の運転が停止し、かつ第2のインバータ装置が作動しているときに、第2のインバータ装置を冷却する冷却実施条件が成立すると、第1のインバータ装置を作動させて電動圧縮機を駆動する。このように停止していた電動圧縮機を冷却実施条件の成立によって敢えて運転する制御により、ハウジング内に冷媒が流通して、冷媒と第2のインバータ装置との間で熱の移動が起こり、冷媒による吸熱、冷却作用が発揮され、素子等の発熱状態を緩和することができる。
したがって、電動圧縮機の第1のインバータ装置とともに電動圧縮機に一体に設けられ、電動圧縮機以外の車両用装置を駆動制御する第2のインバータ装置について、部品の保証温度を超えるなどの異常な温度状態になることを回避することができるのである。当該冷却実施条件は、第2のインバータ装置に含まれる部品の耐温度、製品保証温度、環境等に応じて深刻な劣化が発生しないような条件に設定するものである。
請求項2に記載の発明は、電動圧縮機が圧縮する冷媒は、車両用空調装置(9)の空気通路(91)に設けられた冷却用熱交換器(102)を流通するときに車室内へ吹き出される空気を冷却するようになっており、
空気通路(91)に設けられた加熱装置(110)が加熱した暖房空気と冷却用熱交換器(102)が冷却した冷房空気とを混合させる風量割合を調整するエアミックスドア(111)を備え、
冷却実施条件が成立したときに、エアミックスドア(111)の開度を、電動圧縮機(1)を駆動させる前後における空気の温度差が予め定めた設定値以下になるように制御することを特徴とする。
この発明によれば、エアミックスドアの開度を上記のように制御することにより、ハウジング内に一定量の冷媒が流通して冷媒と第2のインバータ装置との間で熱の移動が起こり素子等の発熱状態を緩和することができるとともに、電動圧縮機の駆動前後での空気の温度差を抑えて乗員に対して冷房能力が強くなったことを感じさせないので、違和感を与えないインバータ冷却制御を提供できる。
請求項3に記載の発明によると、電動圧縮機が圧縮する冷媒は、車両用空調装置(9)の空気通路(91)に設けられた冷却用熱交換器(102)を流通するときに車室内へ吹き出される空気を冷却するようになっており、
第1のインバータ装置(2)が駆動する電動圧縮機の回転数を算出する演算処理装置(5)を備え、
演算処理装置(5)は、冷却実施条件が成立したときに、電動圧縮機の回転数を、電動圧縮機(1)を駆動させる前の空気の温度よりも低下しない温度の空気が吹き出される回転数となるように求めることを特徴とする。
この発明によれば、電動圧縮機を空気が冷やされない程度の回転数で運転することにより、ハウジング内に一定量の冷媒が流通して冷媒と第2のインバータ装置との間で熱の移動が起こり素子等の発熱状態を緩和することができるとともに、電動圧縮機の駆動前後で乗員に対して冷房能力が強くなったことを感じさせないので、違和感を与えないインバータ冷却制御を提供できる。
請求項4は、請求項3に記載の発明において冷却実施条件が成立したときに演算処理装置(5)が算出した回転数で電動圧縮機を駆動したと仮定した場合に、第2のインバータ装置(4)が冷却を必要としない状態にまで温度低下しないと判定すると、演算処理装置(5)が算出した当該回転数よりも大きな回転数で電動圧縮機を駆動するとともに、前記エアミックスドア(111)の開度を、前記電動圧縮機を駆動させる前後における前記空気の温度が同等になるように制御することを特徴とする。
この発明によれば、冷却実施条件が成立したときに乗員に対して送風の温度変化に基づく違和感を与えないでインバータ冷却を実施しようとしたものの、第2のインバータ装置を冷却できない場合には、電動圧縮機の回転数を上げてインバータ冷却効果を高めるとともに、電動圧縮機の駆動前後での空気の温度差をなくすようにエアミックスドアの開度を制御する。したがって、インバータ冷却と乗員に対して違和感を与えないことの両方を満たすインバータ冷却制御を提供できる。
請求項5に記載の発明は、冷却実施条件が成立したときに車両の乗員に対して電動圧縮機(1)を駆動することを通知する通知手段(84)を備えることを特徴とする。この発明によれば、停止している電動圧縮機を駆動して冷媒を流通させると、車両用空調装置から車室内へ冷房風が供給されるが、乗員に対してこのような状況が起こっていることを正しく認識させることができる。したがって、乗員が機器の故障を疑ったり、不快感を受けたりすることを未然に防止できるのである。
請求項6に記載の発明によると、冷却実施条件は、第2のインバータ装置(4)に含まれる素子(41)に流れる電流値と外気温度を用いて算出する素子推定温度(TC)が予め定めた設定温度以上であるときに成立したとみなされることを特徴とする。この発明によれば、素子に流れる電流値と外気温度を用いて算出した素子推定温度に基づいて冷却実施条件の成立を判断することにより、素子温度を物理的に計測する装置を必要とせず、部品点数の低減が図れ、低コストをもたらすインバータ冷却装置を提供できる。
請求項7に記載の発明によると、冷却実施条件は、第2のインバータ装置(4)に含まれる素子(41)について計測された素子温度が予め定めた設定温度以上であるときに成立したとみなされることを特徴とする。この発明によれば、実際に計測した素子温度を用いて判断することにより、冷却実施条件成立の判断にあたり、様々な外乱要因から受ける素子温度の過誤検出を考慮する必要がなく、実情に適合した冷却可否の判断を実施できる。
上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
本発明を適用する第1実施形態に係るインバータ冷却装置の構成を説明するための断面図である。 車両における通知手段の位置を示す模式的断面図である。 第1実施形態におけるインバータ冷却制御の処理手順を示したフローチャートである。 本発明を適用する第2実施形態のインバータ冷却制御を説明するためのインバータ冷却装置の模式図である。 第2実施形態におけるインバータ冷却制御の処理手順を示したフローチャートである。 図5のフローチャートにおけるエアミックスドア開度制御のサブルーチンである。 本発明を適用する第3実施形態におけるインバータ冷却制御の処理手順を示したフローチャートである。 図7のフローチャートにおけるエアミックスドア開度制御のサブルーチンである。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合わせることも可能である。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である第1実施形態について図1〜図3を参照して説明する、図1は第1実施形態に係るインバータ冷却装置の構成を説明するための断面図である。図2は車両8における通知手段の位置を示す模式的断面図である。図3はインバータ冷却装置によるインバータ冷却制御の処理手順を示したフローチャートである。
第1のインバータ装置2は、車両8における第1の負荷である電動圧縮機1の駆動を制御する装置であり、電動圧縮機1が備えるモータ部10の駆動をインバータ制御する。第2のインバータ装置4は、車両8における第2の負荷でありインバータ制御で動作できる電動圧縮機1以外の車両用装置3について、その駆動をインバータ制御する装置である。第1のインバータ装置2及び第2のインバータ装置4は、電動圧縮機1が吸入する冷媒との間で熱の移動がなされるように、電動圧縮機1の外殻の一部または全部を構成するハウジング14と一体に設けられている。ハウジング14は、圧縮機構11及びモータ部10を収納するモータ室12を形成している。電動圧縮機1は、モータ部10、圧縮機構11等を内部に収容するハウジング14に、第1のインバータ装置2及び第2のインバータ装置4を一体に備える、いわゆる機電一体型の圧縮機を構成する。
電動圧縮機1は、空調ユニット9(車両用空調装置)に使用される冷凍サイクルを流通する冷媒を吸入、圧縮して、冷媒の吸熱作用により冷房風を提供する。車両用装置3は、例えば、車両8に設けられて、インバータで動作可能な各種のブロワ、電気ヒータ、オイルポンプ、ウォーターポンプ等の機器である。各種のブロワは、車室内空調装置やシート用空調装置において空気を強制送風する送風機、二次電池を冷却する冷却空気を提供する送風機等である。電気ヒータは、車室内空調装置の熱源補充用ヒータ、シート空調装置のシート暖房用ヒータ、二次電池の暖機用ヒータ等に使用され得る。オイルポンプは、車両8のエンジン内部の各所にエンジンオイルを圧送するポンプ、オートマチックトランスミッション用のポンプ等である。ウォーターポンプは、エンジン、インバータ装置等を冷却する冷却水を強制循環させるポンプである。
図2に示すように、電動圧縮機1は、例えば、自動車のエンジンルーム82内に配置されている。電動圧縮機1は、凝縮器100、減圧器101、及び蒸発器102とともに、配管により環状に接続されて車両空調装置用の冷凍サイクルを構成している。電動圧縮機1は、外部から流入した低圧の冷媒が流通するハウジング14を外殻として備えている。
ハウジング14は、伝熱性の高いアルミニウム材もしくはアルミニウム合金材等の金属からなるもので、略円筒状に形成されている。ハウジング14には、外部から冷媒を取り入れる冷媒吸入口15と外部へ冷媒を排出する冷媒吐出口17とが設けられている。ハウジング14は、低圧の冷媒が吸入されて内部を流通するときに冷やされる。したがって、インバータ冷却装置は、電動圧縮機1がハウジング14内に吸入する冷媒によって、電動圧縮機1に一体に設けられた第1のインバータ装置2及び第2のインバータ装置4を冷却することができる。
電動圧縮機1は、モータ部10、圧縮機構11、インバータ収容部13、オイル分離部16等から構成されている。モータ部10は、例えば三相同期モータであって、回転軸、ロータ、ステータコア、及びステータコイル等から構成されている。回転軸は、ハウジング14に支持される軸受けにより回転自在に支持されており、ロータから受ける回転駆動力を圧縮機構11に伝える。
ロータは、例えば永久磁石が埋め込まれたもので、筒状に形成されているものであって、回転軸に対して固定されている。ロータは、ステータコアから発生される回転磁界に基づいて、回転軸とともに回転する。ステータコアは、ハウジング14内においてロータに対して径方向外周側に配置されている。ステータコアは、その軸線方向が回転軸の軸線方向に一致する筒状に形成されている。ステータコアは、ロータとの間に隙間を形成している。当該隙間は、回転軸の軸線方向に並行に冷媒を流す冷媒流路をなしている。ステータコアは、磁性体からなるもので、ハウジング14に対して動かないように固定されている。ステータコイルは、ステータコアに対して巻回されている。ステータコイルは回転磁界を発生する。
圧縮機構11は、モータ部10に対して軸線方向他方側に配置されている。圧縮機構11は、固定スクロール11bと可動スクロール11aとから構成されるスクロール型コンプレッサであり、モータ部10の回転軸からの回転駆動力によって可動スクロール11aを旋回させて冷媒を吸入、圧縮、吐出する。
固定スクロール11bと可動スクロール11aは渦巻状の溝をそれぞれ有しており、この溝の噛み合いによって形成される複数の作動室が体積を縮小することによって固定スクロール11bの渦巻状溝の最外周側に連通する吸入室に供給された冷媒を圧縮するように構成されている。圧縮機構11の作動室には吐出室11cが連通しており、この吐出室11cにオイル分離部16の流入口16aが通じている。
電動圧縮機1のオイル分離部16は、圧縮機構11に隣接する吐出室11cを通り流入口16aから供給された冷媒をチャンバ16bで旋回させてオイルを分離し、冷媒を吐出通路16cから外部に送り出す一方で、オイルをチャンバ16bの下部に流下させる。チャンバ16bの下部に貯留したオイルは、オイル戻し通路(図示せず)に戻され、固定スクロール11b及び可動スクロール11aの摺動界面等の摺動部に供給される。
インバータ収容部13は、ハウジング14のモータ室12を形成する部分の一端側の壁部14aに一体に配置されている。インバータ収容部13は、モータ室12とは反対側に位置するハウジング14の一部をなすカバー部13aと壁部14aとで形成される収容空間をなし、この収容空間に第1のインバータ装置2、第2のインバータ装置4及びその関係部品が収容されている。
カバー部13aは、第1のインバータ装置2及び第2のインバータ装置4を覆うようにハウジング14に取り付けられる。カバー部13aは、ハウジング14にネジ(図示せず)により締結されている。換言すれば、両方のインバータ装置2,4は、ハウジング14の壁部14aを底面側とし、カバー部13aが側面側及び天井面側となるケーシング内に収容されている。
第1のインバータ装置2は、スイッチング素子21等の半導体素子を含み、モータ部10を駆動する電圧を発生する駆動回路20を備える。第2のインバータ装置4は、スイッチング素子41等の半導体素子を含み、第2の負荷である車両用装置3を駆動する電圧を発生する駆動回路40を備える。電源は、両駆動回路20,40に接続された電源入力線7から供給され、この電源によって駆動回路20,40は動作する。
各駆動回路20,40は、例えば、ガラスエポキシ基板等の汎用プリント基板からなり、
電子回路部品と、スイッチング素子21,41や他の回路部品と電気的に接続する導体パターンと、を備えている。当該基板は、壁部14aが延びる方向に平行して配置されており、基板には外部との電気接続を可能にする接続端子を備えるコネクタの部品が実装されている。駆動回路20と駆動回路40は、一つの基板に配設される形態でもよいし、別個の基板に並ぶようにそれぞれ設けられる形態でもよい。
壁部14aには、インバータ装置の作動によって発熱するスイッチング素子21,41が熱の移動が可能なように熱的に接続されている。例えば、スイッチング素子21及び41は、壁部14aとの間に配した電気絶縁可能で熱伝導良好な絶縁シート22を介して壁部14aと一体に設けられている。絶縁シート22は、例えばシリコーン樹脂等の樹脂、シリコーンゴム等のゴム材等からできている。したがって、電動圧縮機1のモータ部10の駆動中にはスイッチング素子21が発熱し、その熱が壁部14aに熱伝達し、車両用装置3の駆動中にはスイッチング素子41が発熱し、その熱が壁部14aに熱伝達する。なお、絶縁シート22は、スイッチング素子21及び41と壁部14aの電気絶縁が確保されている場合は装備しなくてもよい。
また、スイッチング素子41の温度を検出するために、温度センサ6が設けられている。例えば温度センサ6は、スイッチング素子41に直面するように近接して設けられている。温度センサ6により検出された素子温度に関する電気信号は、内蔵するプログラムによって演算を実行する演算処理装置5に入力される。演算処理装置5は、各駆動回路20,40が配設される基板に設けられている。
演算処理装置5は、詳細は後述するインバータ冷却制御において、温度センサ6によって検出された素子温度や、素子を流れる電流及び外気温度センサ85によって検出される外気温度を用いて算出する素子推定温度に応じて、第1のインバータ装置2を作動させるか否かを判定する処理を実行する。換言すると、演算処理装置5はインバータ冷却制御を司る制御手段として機能する。
インバータ冷却装置は、車室内80にいる乗員83に対して、インバータ冷却を実施することを通知する通知手段を備えている。通知手段としては、例えば、メッセージ表示、LED等による点灯、点滅表示、所定の鳴動音、音声等を用いることができる。本実施形態では通知手段は、インストルメントパネル81から車室内80に露出するメッセージ表示部84に所定のメッセージを表示することにより実施されている。
次に、インバータ冷却装置によるインバータ冷却制御に係る処理手順について図3にしたがって説明する。図3に示すインバータ冷却制御に係るフローは、演算処理装置5、または演算処理装置5と通信する空調制御装置が実行する。当該フローが開始すると、ステップ10でスイッチング素子41の素子推定温度TCを算出する処理を実行する。この素子推定温度TCは、スイッチング素子41を流れる電流及び外気温度センサ85によって検出される外気温度を、内蔵するプログラムに記憶された演算式やマップによって演算することで算出される。例えば、素子推定温度TCは、当該電流と素子の熱抵抗を乗算した値に外気温度を加算することにより算出できる。
上述したように、電動圧縮機1が運転しているときはハウジング14内を冷媒が流通しているため、壁部14aを介して各インバータ装置2,4は冷却され得る。しかし、空調停止時等の電動圧縮機1の運転が停止し、かつ車両用装置3が駆動している場合には第2のインバータ装置4が駆動するため、スイッチング素子41が発熱する。このとき、ハウジング14内には冷媒が流通していないので、ハウジング14は冷やされず、インバータ収容部13内のスイッチング素子41は吸熱されない。このような非冷却状態が継続すると、電動圧縮機1は熱的負荷の高いエンジンルーム82内にあるため、スイッチング素子41を含む第2のインバータ装置4は、自己の発熱に加え、過酷な温度環境に晒され続けることになり、素子を含む電子部品の温度が製品の保証温度を超過して故障に至ってしまうおそれがある。
このような状態を未然に防ぐため、本フローでは以降のステップを実行する。ステップ20では、ステップ10で算出した素子推定温度TCが予め設定された設定温度T0以上であるか否かを判定する。この設定温度T0は、素子推定温度TCが当該設定温度T0以上になると、素子に故障等の不具合が生じ得る温度に設定される。例えば、設定温度T0は、メーカー保証の耐温度よりも数℃低い温度に設定することができる。ステップ20は、予め設定された第2のインバータ装置4を冷却する冷却実施条件が成立するか否かを判定するステップである。そして、冷却実施条件は、第2のインバータ装置4に含まれる部品の耐温度、製品保証温度、環境等に応じて深刻な劣化が発生しないような条件に設定するものである。
ステップ20で、素子推定温度TCが設定温度T0未満であればステップ10に戻るが、設定温度T0以上であると判定すると、素子冷却を行うため、ステップ30で、メッセージ表示部84に素子冷却、つまりインバータ冷却をこれから行う旨の通知を表示する。この通知により、乗員は、電動圧縮機1が作動して冷凍サイクル内を冷媒が流通することによって、空調ユニット9内の空気が蒸発器102に冷やされて車室内80に冷風が供給され得ることを認識できる。したがって、乗員は、冷気を感じる可能性があることを事前に知るため、乗員にとって予期しない事態が起こることを防止でき、また、エアコンの故障や不具合が起こっている等の誤解をうけることを未然に防止できるのである。
次にステップ40で、第1のインバータ装置2をONして作動し、所定の回転数、または演算により求めた回転数で、電動圧縮機1を駆動する。これにより、ハウジング14内を吸入された低圧の冷媒が流れる、この低圧冷媒はモータ室12を冷やし、壁部14aを介してスイッチング素子41の熱を奪い吸熱するため、スイッチング素子41は冷却され、車両用空調装置が駆動されている状態でも、スイッチング素子41の温度が低下し始める。低圧冷媒に吸熱された熱は、圧縮機構11で圧縮されて吐出室11c、吐出通路16cを通って冷媒吐出口17から凝縮器100に向けて吐出され、凝縮器100で放熱が行われる。
このインバータ冷却のための電動圧縮機1の駆動は、素子推定温度TCが設定温度T0未満に低下するまで行われる。したがって、ステップ60では、ステップ50で算出したTCが設定温度T0未満であるか否かを判定する。ステップ60でTCがT0未満であると判定すると、素子冷却を行う必要はないと判断して、ステップ70で第1のインバータ装置2をOFFして停止し、電動圧縮機1の運転を停止する。このステップ10からステップ70までの一連のインバータ冷却制御に係る処理は、車両用装置3が駆動し得る状態である限り、継続的に行われる。
次に、第1実施形態のインバータ冷却装置がもたらす作用効果について述べる。インバータ冷却装置は、電動圧縮機1と、圧縮機構11及びモータ部10を収納し内部を圧縮機構11が吸入する冷媒が流通する電動圧縮機1のハウジング14と、モータ部10を駆動制御する第1のインバータ装置2と、第1のインバータ装置2とともにハウジング14と一体に設けられ、電動圧縮機以外の車両用装置3を駆動制御する第2のインバータ装置4と、を備える。インバータ冷却装置は、電動圧縮機1の運転が停止し、かつ第2のインバータ装置4が作動しているときに、第2のインバータ装置4を冷却する冷却実施条件が成立すると、第1のインバータ装置2を作動させて電動圧縮機1を駆動する(ステップ20、ステップ40)。
例えば、エアコン停止時等の電動圧縮機1が運転していない状況では、ハウジング14内に冷媒が流通しないため、ハウジング14に一体の第2のインバータ装置4における素子等の発熱を外部から冷却して、素子等の温度を低下させることはできない。特に、電動圧縮機1は、エンジンルーム82等の熱的に過酷な環境に配置されるため、第2のインバータ装置4は、このような過酷な温度環境下で素子等が発熱し続けることで、繰り返し熱的な打撃を受けて各部品の劣化が進み、本来の機能を発揮できなくなり、故障、短寿命に至ってしまうことがある。
このような問題を解決するために、上記のように電動圧縮機1の運転が停止し、第2のインバータ装置4の作動中に、第2のインバータ装置4を冷却する冷却実施条件が成立すると、第1のインバータ装置2を作動させて電動圧縮機1を駆動する。このように停止していた電動圧縮機1を冷却実施条件の成立によって強制的に運転することにより、ハウジング14内に流通する冷媒と第2のインバータ装置4との間で熱の移動が起こり、冷媒による吸熱、冷却作用が発揮され、スイッチング素子41等の熱的負荷を緩和することができる。
また、インバータ冷却装置は、インバータ冷却制御において冷却実施条件が成立したときに乗員に対して電動圧縮機1を駆動することを通知する(ステップ30)。これによれば、インバータ冷却のために電動圧縮機1を駆動するときには、メッセージ表示部84のメッセージ表示、インストルメントパネル81で点灯、点滅表示、音声による通知等を実施する。このような通知手段を備えることにより、停止している電動圧縮機1を駆動して冷媒を流通させると空調ユニット9から車室内80へ冷房風が供給されるが、乗員に対してこのような状況が起こっていることを正しく認識させることができる。したがって、乗員が機器の故障を誤解したり、不快感を受けたりすることを未然に防止できる。
また、インバータ冷却を実施するか否かのトリガーとなる冷却実施条件は、第2のインバータ装置4に含まれるスイッチング素子41等に流れる電流値と外気温度とを用いて算出する素子推定温度TCが予め定めた設定温度T0以上であるときに成立したものとみなされる(ステップ20)。これによれば、スイッチング素子41等に流れる電流値と外気温度を用いて算出した素子推定温度TCに基づいて冷却実施条件の成立を判断するため、素子温度を物理的に計測するセンサ等の装置をこの制御のために設ける必要がなく、部品点数の低減、製品の低コスト化を図ることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態で説明したインバータ冷却制御の他の特徴的な制御について図4〜図6を参照して説明する。図4は、第2実施形態のインバータ冷却制御を説明するためのインバータ冷却装置の模式図である。図5は第2実施形態のインバータ冷却制御の処理手順を示したフローチャートである。図6は図5のフローチャートにおけるエアミックスドア開度制御のサブルーチンである。なお、第2実施形態のフローチャートに関係する電動圧縮機1は、第1実施形態で説明した構成と同様であり、その作用効果も同様である。以下に、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
本実施形態に記載する特徴的な制御は、第1実施形態に記載の制御に対し、素子冷却のために電動圧縮機1を駆動するときに、暖房空気と冷房空気とを混合させる風量割合を調整するエアミックスドア111の開度を制御し、車室内80に供給される空気温度の低下を抑制するものである。当該制御によって、乗員に対して供給される空気の温度変化を抑制できるという効果が得られる。
図5に示す各ステップにおいて、第1実施形態で説明した図3と同一のステップ符号を付したものは、同様の処理を行う。図5のフローが開始すると、第1実施形態と同様のステップ10、ステップ20を順に実行する。ステップ20で、素子推定温度TCが設定温度T0以上であると判定すると、次に第1のインバータ装置2をONして作動し、電動圧縮機1を駆動する。これにより、ハウジング14内に吸入された低圧の冷媒は、スイッチング素子41を冷却し、車両用空調装置が駆動されている状態でも、スイッチング素子41の温度が低下し始める。
しかしながら、電動圧縮機1が停止状態のときに、第2のインバータ装置4を冷却するために電動圧縮機1を駆動することによって、車室内80の乗員に対して供給される空気の温度が低下方向に変化してしまうという問題がある。そこで、本実施形態の制御では、この空気温度の低下による乗員の違和感を回避するために、ステップ40aでエアミックスドア111の開度制御を実行し、車室内80への吹出し温度の低下度合いを抑制する。
ステップ40aでは、図6のサブルーチンに示すように、まずステップ401で、電動圧縮機1の駆動を行う前の吹出し温度TAbを検出する。温度センサ112は、空調ユニット9内の空気通路91において冷風と温風が混合するエアミックス領域の空気温度を検出し、車室内80へ供給される吹出し温度TAに関する情報を電気信号として演算制御装置5に出力する温度検出手段である。
次に、ステップ402で第1のインバータ装置2をONして作動し、所定の回転数、または演算により求めた回転数で、電動圧縮機1を駆動する。これにより、蒸発器102を通過する空気が冷やされるため、空気通路91の下流側において温度センサ112が検出する、電動圧縮機1を駆動した後の吹出し温度TAaは低下するようになる。
そこで、ステップ403で、ステップ401で検出した吹出し温度TAbと電動圧縮機1駆動後の吹出し温度TAaとの差が予め定めたΔTAd以下になるように、エアミックスドア111の開度を決定し、決定した開度にエアミックスドア111を制御する。例えば、蒸発器102を通過して冷やされた空気について、ヒータコア110を通過する割合が増加するように、ヒータコア110側の通路を開く方向にエアミックスドア111を制御する。これにより、ヒータコア110で加熱されて温度上昇する空気が増えるため、加熱された温風が下流のエアミックス領域で冷風と混合して、電動圧縮機1の運転による吹出し温度の低下をΔTAd以下に抑制できるのである。ヒータコア110は、空気を加熱するための加熱装置の一例であり、エンジン冷却水を熱源とする。
以降、第1実施形態と同様のステップ50、60、70を順に実施し、電動圧縮機1の運転を停止する。このステップ10からステップ70までの一連のインバータ冷却制御に係る処理は、車両用装置3が駆動し得る状態である限り、継続的に行われる。
次に、第2実施形態のインバータ冷却装置がもたらす作用効果について述べる。インバータ冷却装置は、冷却実施条件が成立したときに、電動圧縮機1を駆動させる前後における車室内80への吹出し空気の温度差(TAb−TAa)が予め定めた設定値ΔTAd以下になるように、エアミックスドア111の開度を制御する(ステップ403)。
この制御によれば、エアミックスドア111の開度を上記のように制御することにより、ハウジング14内に一定量の冷媒が流通して冷媒と第2のインバータ装置4との間で熱の移動が起こりスイッチング素子41等の発熱状態を緩和することができる。
また、インバータ冷却制御では、車室内空調の制御に関わりなく、電動圧縮機1が動作することになるため、ブロワが動作していれば乗員の意図に反して冷気が車室内80に流入するようになり、乗員は空調の制御の不具合だと誤解する可能性がある。そこで、エアミックスドア111の開度制御によって、スイッチング素子41等の冷却効果に加え、電動圧縮機1の駆動前後での吹出し空気の温度差を抑えるので、乗員に対して冷房能力が強くなったことを感じさせない。したがって、乗員の違和感を与えずに、効果的なインバータ冷却を実施することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態で説明したインバータ冷却制御の他の特徴的な制御について図7及び図8を参照して説明する。図7は第3実施形態のインバータ冷却制御の処理手順を示したフローチャートである。図8は図7のフローチャートにおけるエアミックスドア開度制御のサブルーチンである。なお、第3実施形態のフローチャートに関係する電動圧縮機1及び空調ユニット9は、第1及び第2実施形態で説明した構成と同様であり、その作用効果も同様である。以下に、前述の実施形態との相違点についてのみ説明する。
本実施形態に記載する特徴的なインバータ冷却制御は、素子冷却のために電動圧縮機1を駆動するときに、吹出し温度の低下による乗員の違和感防止と、必要な素子冷却能力の確保とを両立できることにある。
図7に示す各ステップにおいて、第1実施形態で説明した図3と同一のステップ符号を付したものは、同様の処理を行う。図7のフローが開始すると、ステップ10aで、温度センサ6によって検出されたスイッチング素子41の素子温度TDを検出する処理を実行する。
第1実施形態で説明したように、空調停止時等の電動圧縮機1の運転が停止し、かつ車両用装置3が駆動している場合には、スイッチング素子41等を含む電子部品の温度が製品の保証温度を超過して故障に至ってしまうおそれがある。
このような状態を未然に防ぐため、本フローでは以降のステップを実行する。ステップ20aでは、ステップ10aで算出した素子温度TDが予め設定された設定温度T0以上であるか否かを判定する。この設定温度T0は、第1実施形態のステップ20で使用する設定温度と同様である。
ステップ20aで、素子温度TDが設定温度T0未満であればステップ10aに戻るが、設定温度T0以上であると判定すると、ステップ21で、電動圧縮機1の駆動を行う前の吹出し温度TAbを検出する。ステップ20aは、予め設定された第2のインバータ装置4を冷却する冷却実施条件が成立するか否かを判定するステップである。さらにステップ22で、電動圧縮機1の回転数NCを算出する。回転数NCは、電動圧縮機1駆動後の吹出し温度TAaが駆動前の吹出し温度TAbよりも低下しないような回転数であり、換言すれば、低下し始めるときの回転数よりも小さい回転数である。このような回転数NCは、演算処理装置5により、予め記憶された所定のプログラムやマップを用いた算出により求められる。所定のプログラムやマップは、予め行った実験等に基づいて求められる回転数NCに設定されるように、予め記憶装置に記憶されたものである。
次に、ステップ23では、ステップ20aで冷却実施条件が成立したときに、ステップ22で算出した回転数NCで電動圧縮機1を駆動したと仮定した場合に素子温度TDが設定温度T0以上になるか否かを判定する。この設定温度T0は、第1実施形態のT0と同じである。ステップ23で否定的、つまり、素子温度TDが設定温度T0未満であり、スイッチング素子41が必要な程度に温度低下すると判定すると、そのまま適切な素子冷却を実施できるので、ステップ40で第1のインバータ装置2をONして作動し、回転数NCで電動圧縮機1を駆動する。
ステップ23で肯定的、つまり、素子温度TDが設定温度T0以上であり、スイッチング素子41が必要な程度に冷却できないと判定すると、そのままでは乗員に対して違和感を与えないが、適切な素子冷却を実施できないので、ステップ24でエアミックスドアの開度制御を実行する。
ステップ24は、図8のサブルーチンにしたがって実行される。まず、ステップ241において、電動圧縮機1の回転数を、先のステップ22で算出された回転数NCよりも大きい回転数に設定する。この処理により、電動圧縮機1の回転数が上昇するため、圧縮機の冷媒吸入量が増加し、ハウジング14内に低圧の冷媒をより多く取り込むことができ、素子冷却の能力を向上できるようになる。
一方で、回転数の上昇によって車室内80への吹出し温度の低下が生じるため、これを改善して乗員の違和感を回避する必要がある。そこで、ステップ243で、先のステップ21で検出した吹出し温度TAbと電動圧縮機1駆動後の吹出し温度TAaとが同等になるように、エアミックスドア111の開度を決定し、決定した開度にエアミックスドア111を制御する。例えば、蒸発器102を通過して冷やされた空気について、ヒータコア110を通過する割合が増加するように、ヒータコア110側の通路を開く方向にエアミックスドア111を制御する。これにより、ヒータコア110で加熱されて温度上昇する空気が増えるため、加熱された温風が下流のエアミックス領域で冷風と混合して、電動圧縮機1の運転による吹出し温度の低下を防止できるのである。
このエアミックスドアの開度制御やステップ40を実行した後は、ステップ50aを実行する。インバータ冷却のための電動圧縮機1の駆動は、ステップ50aで検出した素子温度TDが設定温度T0未満に低下するまで行われる。したがって、ステップ60aでは、素子温度TDが設定温度T0未満であるか否かを判定する。ステップ60aでTDがT0未満であると判定すると、素子冷却を行う必要はないと判断して、ステップ70で第1のインバータ装置2をOFFして停止し、電動圧縮機1の運転を停止する。以上のステップ10aからステップ70までの一連のインバータ冷却制御に係る処理は、車両用装置3が駆動し得る状態である限り、継続的に行われる。
次に、第3実施形態のインバータ冷却装置がもたらす作用効果について述べる。インバータ冷却制御において、演算処理装置5は、冷却実施条件が成立したときに、電動圧縮機1の回転数を、電動圧縮機1を駆動させる前の吹出し空気の温度TAbよりも低下しない温度の空気が吹き出される回転数となるように算出する(ステップ22)。
この制御によれば、電動圧縮機1を空気が冷やされない程度の回転数で運転することになるため、ハウジング14内に流通する一定量の冷媒と第2のインバータ装置4との間で熱の移動が起こりスイッチング素子41等の発熱状態を緩和することができる。さらに、電動圧縮機1の駆動前後で乗員に対して冷気が強くなったことを感じさせないので、違和感を与えない。
さらに本実施形態のインバータ冷却制御では、冷却実施条件が成立したときに演算処理装置5がステップ22で算出した回転数で電動圧縮機を駆動したと仮定した場合に、第2のインバータ装置4が冷却を必要としない状態にまで温度低下しないと判定すると、演算処理装置5が算出した当該回転数よりも大きな回転数で電動圧縮機を駆動し(ステップ241)、電動圧縮機1を駆動させる前後における吹出し空気の温度が同等になるようにエアミックスドア111の開度を制御する(ステップ242)。
この制御によれば、冷却実施条件が成立したときに乗員に対して送風の温度変化に基づく違和感を与えないでインバータ冷却を実施しようとしたものの、第2のインバータ装置4を冷却できない場合には、電動圧縮機1の回転数を上げてインバータ冷却効果を高める。さらに、電動圧縮機1の駆動前後での吹出し空気の温度差をなくすようにエアミックスドア111の開度を制御する。したがって、インバータ冷却とともに乗員に対して違和感を与えないことの両方を満たすインバータ冷却制御を実現できる。
また、冷却実施条件は、第2のインバータ装置4に含まれるスイッチング素子41について計測された素子温度TDが予め定めた設定温度T0以上であるときに成立したとみなされる(ステップ20a、ステップ21)。これによれば、温度センサ6によって実際に計測した素子温度TDを用いて判断することにより、冷却実施条件成立の判断にあたり、様々な外乱要因から受ける素子温度の過誤検出を考慮する必要がない。したがって、実情に適合したインバータ冷却の可否判断を実現できる。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
上記実施形態では、素子推定温度TCや素子温度TDが設定温度T0以上であるときに素子冷却を実施するようにしているが、素子冷却の基準である設定温度はT0よりもさらに低い温度としてもよい。この場合、素子冷却を早い段階から実施できるため、急激な冷却を行わなくても素子温度が上昇しすぎない。したがって、電動圧縮機1の回転数を抑制することができ、低温空気の送風、圧縮機の騒音発生を防ぎ、乗員の違和感を小さくできる。
上記の第2及び第3実施形態で説明した制御フローにおいては、第1実施形態で説明したフローのステップ30(素子冷却運転通知のステップ)に相当する処理を行わないとしているが、素子冷却運転を行う前に相当する通知の処理を実行するようにすることも可能である。第2及び第3実施形態の制御フローでも、この通知の処理を実行することで、乗員に対して冷風が供給され得ることを知らせるので、乗員が動作不具合等の誤解をすることを防止できる。
また、上記実施形態では、スイッチング素子21,41は、モータ部10の回転軸方向にほぼ垂直なハウジング14の壁部14aに取り付けられていたが、この形態に限定されるものではない。すなわち、ハウジング14の外面のうち内部を吸入冷媒が流通する部位に形成された壁部に取り付けられるものであればよい。
1…電動圧縮機
2…第1のインバータ装置
3…車両用装置
4…第2のインバータ装置
5…演算処理装置
9…空調ユニット(車両用空調装置)
10…モータ部(モータ)
11…圧縮機構
14…ハウジング
41…スイッチング素子(素子)
84…メッセージ表示部(通知手段)
91…空気通路
102…蒸発器(冷却用熱交換器)
110…ヒータコア(加熱装置)
111…エアミックスドア

Claims (7)

  1. 冷媒を吸入して圧縮する圧縮機構(11)及び当該圧縮機構を駆動するモータ(10)を有する電動圧縮機(1)と、
    前記電動圧縮機の外殻の一部または全部を構成し、前記圧縮機構及び前記モータを収納するとともに内部を前記圧縮機構が吸入する冷媒が流通するハウジング(14)と、
    前記モータの駆動を制御する第1のインバータ装置(2)と、
    前記電動圧縮機以外の車両用装置(3)の駆動を制御する第2のインバータ装置(4)と、を備え、
    前記第1のインバータ装置(2)及び前記第2のインバータ装置(4)は、前記冷媒との間で熱の移動がなされるように前記ハウジング(14)と一体に設けられており、
    前記電動圧縮機(1)の運転が停止し、かつ前記第2のインバータ装置(4)が作動しているときに、予め設定された前記第2のインバータ装置(4)を冷却する冷却実施条件が成立すると、前記第1のインバータ装置(2)を作動させて前記電動圧縮機(1)を駆動することを特徴とするインバータ冷却装置。
  2. 前記電動圧縮機が圧縮する冷媒は、車両用空調装置(9)の空気通路(91)に設けられた冷却用熱交換器(102)を流通するときに車室内へ吹き出される空気を冷却するようになっており、
    前記空気通路(91)に設けられた加熱装置(110)が加熱した暖房空気と前記冷却用熱交換器(102)が冷却した冷房空気とを混合させる風量割合を調整するエアミックスドア(111)を備え、
    前記冷却実施条件が成立したときに、前記エアミックスドア(111)の開度を、前記電動圧縮機(1)を駆動させる前後における前記空気の温度差が予め定めた設定値以下になるように制御することを特徴とする請求項1に記載のインバータ冷却装置。
  3. 前記電動圧縮機が圧縮する冷媒は、車両用空調装置(9)の空気通路(91)に設けられた冷却用熱交換器(102)を流通するときに車室内へ吹き出される空気を冷却するようになっており、
    前記第1のインバータ装置(2)が駆動する前記電動圧縮機の回転数を求める演算処理装置(5)を備え、
    前記演算処理装置(5)は、前記冷却実施条件が成立したときに、前記電動圧縮機の回転数を、前記電動圧縮機(1)を駆動させる前の前記空気の温度よりも低下しない温度の空気が吹き出される回転数となるように求めることを特徴とする請求項1に記載のインバータ冷却装置。
  4. 前記冷却実施条件が成立したときに前記演算処理装置(5)が前記算出した回転数で前記電動圧縮機を駆動したと仮定した場合に、前記第2のインバータ装置(4)が冷却を必要としない状態にまで温度低下しないと判定すると、前記演算処理装置(5)が前記算出した回転数よりも大きな回転数で電動圧縮機を駆動し、前記エアミックスドア(111)の開度を、前記電動圧縮機を駆動させる前後における前記空気の温度が同等になるように制御することを特徴とする請求項3に記載のインバータ冷却装置。
  5. 前記冷却実施条件が成立したときに車両の乗員に対して前記電動圧縮機(1)を駆動することを通知する通知手段(84)を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のインバータ冷却装置。
  6. 前記冷却実施条件は、前記第2のインバータ装置(4)に含まれる素子(41)に流れる電流値と外気温度を用いて算出する素子推定温度(TC)が予め定めた設定温度以上になる条件であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のインバータ冷却装置。
  7. 前記冷却実施条件は、前記第2のインバータ装置(4)に含まれる素子(41)について計測された素子温度(TD)が予め定めた設定温度以上であるときに成立したとみなされることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のインバータ冷却装置。
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