JP5428999B2 - Lpg・アンモニア混載用鋼材の製造方法 - Google Patents
Lpg・アンモニア混載用鋼材の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5428999B2 JP5428999B2 JP2010077104A JP2010077104A JP5428999B2 JP 5428999 B2 JP5428999 B2 JP 5428999B2 JP 2010077104 A JP2010077104 A JP 2010077104A JP 2010077104 A JP2010077104 A JP 2010077104A JP 5428999 B2 JP5428999 B2 JP 5428999B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- steel material
- lpg
- hot rolling
- austenite
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
C:0.02〜0.10%
Cは、鋼材の強度上昇に極めて有効な元素である。しかしながら、その含有量が0.02%未満では所望の強度確保ができないので、0.02%以上含有させる必要がある。一方、0.10%を超えて含有させると溶接継手部の靭性劣化を招くほか、硬度上昇により耐SCC特性を損なう。このため、Cの含有量は0.02〜0.10%とする。好ましくは、0.04〜0.07%である。
Siは、Alとともに脱酸材として必要な元素であり、また鋼材の強度上昇にも極めて有効である。十分な脱酸効果と十分な鋼材の強度を得るためには、0.05%以上含有させる必要がある。しかしながら、0.5%を超えて含有させると溶接熱影響部の異常硬化及び継手靱性の低下につながる。このため、Siの含有量は0.05〜0.5%とする。好ましくは、0.1〜0.4%である。
Mnは、鋼の焼入性を向上させ、強度及び靱性を確保する上で重要な元素である。この効果を得るために、1.0%以上含有させる必要がある。しかし、1.8%を超えて含有させると焼戻し脆性が大きくなり、溶接性が劣化するなどの問題を生じる。このため、Mnの含有量は1.0〜1.8%とする。好ましくは、1.2〜1.6%である
Pは、不純物として鋼中に存在する。鋼材の機械的特性、特に低温靱性を低下させることから極力低減することが望ましい。しかしながら、Pの除去には著しいコスト上昇を伴うため、所望特性の確保が可能な0.02%をPの含有量の上限とする。好ましくは0.015%以下である。
Sは、不純物として鋼中に存在する。MnSを生成して低温靭性を低下させることから極力低減することが望ましい。しかしながら、Sの除去には著しいコスト上昇が避けられないため、所望特性の確保が可能な0.01%をSの含有量の上限とする。好ましくは0.005%以下である。
Tiは、鋼中のフリーのNを固定してスラブ表面や鋼材表面の清浄性を確保するのに極めて有効な元素である。そして、その効果は0.005%以上の含有量で顕著になる。しかしながら、0.02%を超えて過剰に含有させると鋼材の衝撃特性の低下をもたらす。このため、Tiの含有量は0.005〜0.02%とする。好ましくは、0.007〜0.015%である。
Nbは、細粒化と炭化物析出により母材の強度および靭性を向上させる。この効果を得るためには、Nbの含有量を0.005%以上とする必要がある。しかしながら、0.06%を超えて含有させると、溶接時の割れ性が低下する。したがって、Nbの含有量は0.005〜0.06%以下とする。好ましくは0.010〜0.04%である。
Crは、鋼材の強度上昇に寄与する元素である。この効果を得るには、Crの含有量を0.05%以上とする必要がある。しかしながら、0.20%を超えて含有させると、この効果が飽和するばかりか、溶接性の著しい低下をもたらすので、Crの含有量は0.20%以下とする。好ましくは0.07〜0.18%である。
sol.Alは、鋼中のフリーNをAlNとして固定し無害化する。また、脱酸材としての効果も有する。この効果を得るために0.015%以上含有させる必要がある。しかしながら、0.08%を超えてsol.Alを含有させてもその効果が飽和するばかりか、HAZ(Heat Affected Zone:熱影響部)の靭性の劣化を招く。このため、sol.Al含有量を0.015〜0.08%とする。好ましくは0.02〜0.06%である。
Nは、不可避的不純物として鋼中に存在する。Nは、sol.AlによりAlNとして固定されるが、Nが多量に存在する場合にはHAZ靭性の悪化原因になることから極力低減することが望ましい。したがって、N含有量を0.008%以下とする。好ましくは0.006%以下である。
Oは、不純物として鋼中に存在する。Oが0.005%を超えると、酸化物系介在物が増加して鋼の清浄性と靱性が損なわれる。よって、Si含有量およびAl含有量を適量に規制にした上で0.005%以下にしなければならない。好ましくは0.003%以下である。
Cuには、強度および耐食性をより向上させる効果があるので、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、0.30%を超えてCuを含有させると、高温割れが生じる。このため、Cuは0.30%以下とする。好ましくは0.25%以下である。なお、Cuによる強度および耐食性の向上効果を安定的に得るためには、Cuを0.05%以上含有させるのが好ましい。
Niには、固溶状態において鋼のマトリックス(生地)の靭性を高めて、靭性をさらに向上する効果があるので、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、0.50%を超えて含有させても靱性向上効果は飽和し、合金コストの上昇に見合った特性の向上が得られない。このため、Niは0.50%以下とする。好ましくは0.45%以下である。なお、Niによる靱性向上効果を安定的に得るためには、Niを0.05%以上含有させるのが好ましい。
Moは、鋼材の強度上昇に寄与する元素であるので、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、0.08%を超えてMoを含有させると、鋼材の強度が大きくなりすぎ、降伏強度が規格範囲を超えるほか、溶接性にも影響を及ぼす。よって、Moの含有量は0.08%以下とする。好ましくは0.05%以下である。なお、Moによる鋼材の強度上昇効果を安定的に得るためには、Moを0.005%以上含有させるのが好ましい。
Vは、Moと同様に、鋼材の強度上昇に寄与する元素であるので、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、0.05%を超えてVを含有させると、鋼材の強度が大きくなりすぎ、降伏強度が規格範囲を超えてしまう。よって、Vの含有量は0.05%以下とする。好ましくは0.02%以下である。なお、Vによる鋼材の強度上昇効果を安定的に得るためには、Vを0.01%以上含有させるのが好ましい。
Caは、鋼中のSと結び付いてCa-Mn-S化合物を形成することにより、Mn-S化合物の展進化を阻止し、鋼材の機械的特性の異方性を減少させることができる元素であるので、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、0.005%を超えてCaを含有させても、鋼材の機械的特性の異方性減少効果が飽和するので、Caの含有量は0.005%以下とする。好ましくは0.004%以下である。なお、Caによる鋼材の機械的特性の異方性減少効果を安定的に得るためには、Caを0.002%以上添加するのが好ましい。
Mgは、溶接熱影響部においてオーステナイト粒の成長を抑制して組織を微細化する効果を有し、溶接部の低温靱性を向上させるのに有効な元素であるので、必要に応じて含有させることができる。しかしながら、0.005%を超えてMgを含有させても、溶接部の低温靱性向上効果が飽和するので、Mgの含有量を0.005%以下とする。好ましくは0.004%以下である。なお、Mgによる溶接部の低温靱性向上効果を安定的に得るためには、Mgを0.001%以上添加するのが好ましい。
以下に、上記のスラブを用いて降伏強度が440MPa以下、靭性が破面遷移温度vTrsで−55℃以下であるLPG・アンモニア混載用鋼材を得るための製造条件を記載する。
本発明に係る鋼材のミクロ組織、すなわち、タンクを製造する際の溶接する前の鋼材としてのミクロ組織は、主としてフェライト組織となる。
本発明に係る製造方法で製造した鋼材の靭性は、破面遷移温度vTrsで−55℃以下、降伏強度は315〜440MPaのものが得られる。本発明では、熱間圧延における圧延パスを厳密に制御したことにより、降伏強度が440MPa以下となり、耐SCC(Stress Corrosion Cracking:応力腐食割れ)特性の確保が可能となるとともに、高い靭性を得ることができる。
Ar3=868−396C+24.6Si−68.1Mn−36.1Ni−20.9Cu−248Cr・・・(1)式
ここで、式中の元素記号は、スラブ中の各元素の含有量(質量%)を示す。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.02〜0.10%、Si:0.05〜0.5%、Mn:1.0〜1.8%、P:0.02%以下、S:0.01%以下、Ti:0.005〜0.02%、Nb:0.005〜0.06%、Cr:0.05〜0.20%、sol.Al:0.015〜0.08%、N:0.008%以下、O:0.005%以下を含有し、残部Fe及び不純物からなるスラブを加熱し、熱間圧延するLPG・アンモニア混載用鋼材の製造方法であって、オーステナイト再結晶温度域からオーステナイト-フェライト2相温度域にかけて熱間圧延を行うにあたり、オーステナイト再結晶温度域で熱間圧延を開始し、熱間圧延での全パス数に対するオーステナイト未再結晶温度域でのパス数の比を40〜60%とする熱間圧延を行うことを特徴とする、破面遷移温度vTrsが−55℃以下、降伏強度が315〜440MPa、引張強度が446〜494MPaのLPG・アンモニア混載用鋼材の製造方法。
- スラブが、Feの一部に代えて、質量%で、さらに、Cu:0.30%以下及びNi:0.50%以下のうちの1種又は2種を含有することを特徴とする、請求項1に記載のLPG・アンモニア混載用鋼材の製造方法。
- スラブが、Feの一部に代えて、質量%で、さらに、Mo:0.08%以下及びV:0.05%以下のうちの1種または2種を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載のLPG・アンモニア混載用鋼材の製造方法。
- スラブが、Feの一部に代えて、質量%で、さらに、Ca:0.005%以下及びMg:0.005%以下のうちの1種または2種を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載のLPG・アンモニア混載用鋼材の製造方法。
- オーステナイト再結晶温度域で熱間圧延をした後、圧延を停止し、スラブ温度がオーステナイト未再結晶温度域まで低下した後に、熱間圧延を再開することを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載のLPG・アンモニア混載用鋼材の製造方法。
- 粗ミルおよび仕上ミルの2つのミルを用いて製造するLPG・アンモニア混載用鋼材の製造方法であって、仕上ミルにおける熱間圧延での全パス数に対するオーステナイト未再結晶温度域でのパス数の比を40〜60%とすることを特徴とする、請求項1から5までのいずれかに記載のLPG・アンモニア混載用鋼材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010077104A JP5428999B2 (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | Lpg・アンモニア混載用鋼材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010077104A JP5428999B2 (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | Lpg・アンモニア混載用鋼材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011208222A JP2011208222A (ja) | 2011-10-20 |
JP5428999B2 true JP5428999B2 (ja) | 2014-02-26 |
Family
ID=44939577
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010077104A Active JP5428999B2 (ja) | 2010-03-30 | 2010-03-30 | Lpg・アンモニア混載用鋼材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5428999B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5981813B2 (ja) * | 2012-09-11 | 2016-08-31 | 株式会社神戸製鋼所 | 低温靭性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 |
JP7066997B2 (ja) * | 2017-08-16 | 2022-05-16 | 日本製鉄株式会社 | 鋼材 |
CN114645188A (zh) * | 2022-02-08 | 2022-06-21 | 包头钢铁(集团)有限责任公司 | 一种高效生产2~4mm极限薄规格抗拉强度650MPa级优质搅拌罐用热轧钢带的方法 |
WO2023162522A1 (ja) * | 2022-02-24 | 2023-08-31 | Jfeスチール株式会社 | 鋼板およびその製造方法 |
JP7323088B1 (ja) | 2022-02-24 | 2023-08-08 | Jfeスチール株式会社 | 鋼板およびその製造方法 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002003983A (ja) * | 2000-04-21 | 2002-01-09 | Nippon Steel Corp | 溶接性と低温靭性に優れた低降伏比高張力鋼及びその製造方法 |
JP2003105439A (ja) * | 2001-10-01 | 2003-04-09 | Kawasaki Steel Corp | 低温用低降伏比鋼材およびその製造方法 |
JP3894148B2 (ja) * | 2003-03-31 | 2007-03-14 | 住友金属工業株式会社 | 低降伏比低温用鋼およびその製造方法 |
JP4767590B2 (ja) * | 2005-06-01 | 2011-09-07 | 新日本製鐵株式会社 | 低降伏比高張力鋼および低降伏比高張力鋼の製造方法 |
-
2010
- 2010-03-30 JP JP2010077104A patent/JP5428999B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011208222A (ja) | 2011-10-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US9394579B2 (en) | High-strength steel material having outstanding ultra-low-temperature toughness and a production method therefor | |
KR101686257B1 (ko) | 내 hic 성이 우수한 후육 고장력 열연강판 및 그 제조 방법 | |
EP2589678B1 (en) | High-strength steel sheet with excellent processability and process for producing same | |
JP5195469B2 (ja) | 低温靭性に優れた厚肉高張力熱延鋼板の製造方法 | |
JP7147960B2 (ja) | 鋼板およびその製造方法 | |
JP5418251B2 (ja) | 耐hic性に優れた厚肉高張力熱延鋼板の製造方法 | |
CN110573642A (zh) | 高Mn钢及其制造方法 | |
CN111051553B (zh) | 高Mn钢及其制造方法 | |
JP4605117B2 (ja) | Lpg・アンモニア運搬船用タンクに用いられる鋼材 | |
JP5741260B2 (ja) | 歪付与後のctod特性に優れた極低温用鋼材およびその製造方法 | |
US11371126B2 (en) | Nickel-containing steel for low temperature | |
JP6492862B2 (ja) | 低温用厚鋼板及びその製造方法 | |
US20220282359A1 (en) | Nickel-containing steel for low temperature | |
JP5428999B2 (ja) | Lpg・アンモニア混載用鋼材の製造方法 | |
US11384416B2 (en) | Nickel-containing steel for low temperature | |
JP5272714B2 (ja) | 製缶用鋼板の製造方法 | |
JP7440740B2 (ja) | タンク用鋼板 | |
JP7348948B2 (ja) | 冷間曲げ性に優れた高強度構造用鋼材及びその製造方法 | |
JP7323088B1 (ja) | 鋼板およびその製造方法 | |
TWI826257B (zh) | 鋼板及其製造方法 | |
WO2021033693A1 (ja) | 鋼およびその製造方法 | |
WO2024101317A1 (ja) | クラッド鋼板およびその製造方法 | |
WO2023162522A1 (ja) | 鋼板およびその製造方法 | |
JP5332894B2 (ja) | 延性、疲労特性及び靭性に優れた低比重鋼板及びその製造方法 | |
CN116964237A (zh) | 厚钢板及其制造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120326 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121011 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20121011 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130903 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131018 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131105 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131118 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5428999 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |